世界に広く分布する普通種。腐敗木の樹皮や材に発生する。子嚢体は群生~密生し、ときに散生し、直立して有柄、高さ(1)2~6㎜。子嚢は類球形~卵形~円筒形、普通、赤色、ピンクがかった赤色~橙色がかった赤色~赤レンガ色など変異が多く、古くなると退色して褐色を帯び、直径0.4~1.2㎜、元のサイズからやや膨れる。柄は細く、子嚢と同色から暗色(暗赤色~赤褐色)、長さ0.5~1.5㎜。変形膜は小さく、個々の子嚢体の下又は子嚢体群に接してあり、目立たず、赤褐色で、銀色の光沢がある。子嚢壁(外皮)は成熟した子実体だけに小さな浅い杯状体として宿存し、光沢のあるひだがあり、平滑又は平滑に近く、粗く、乳頭状の網目がある。細毛体は直径3~4µmの連結糸からなる網目状になり、表面は歯車状、半環状、小さいいぼ状などの突起や隆起があり、杯状体の表面全体に強く固着する。胞子は反射光で赤色~赤褐色、透過光では無色、直径6~8µm、小さい淡色のいぼと少しの大きないぼが散在する。変形体は白色。
クロエウツボホコリ Arcyria affinis は日本、スリランカ、ロシア、ウクライナ、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドに分布する。変形体は白色。変形膜は不明瞭。子嚢体は密生し、ときにからみ合い、しばしば、大きく群生し、初期には円筒形、高さ2~3.5㎜、幅約.6㎜、ワインレッド~赤褐色、赤褐色に色あせる。柄は暗色で、長さ1㎜以下。杯状体は普通、やや濃色で、しばしば非相称、平滑又は放射状のひだがあり、内側はいぼで覆われ、帯状につながり、きれぎれの網状になる。細毛体の網は長さ8㎜以下、やや大きめのメッシュであり、普通、伏した羽毛状に広がって下垂し、柄の先に残る少量を除いて、吹き落ちる。細毛体は幅3.5~9µm、表面はいぼ状、刺状、歯状、半環状であり、尾根があり、部分的につながり、網状になる。胞子は直径7~8(9)
µm。
アッサムウツボホコリ Arcyria assamica は細毛体の糸が細く、表面に環状又は半環状の紋だけがある。現在はウツボホコリに含め、Arcyria
denudataと同一とする見解が多い。
モモイロウツボホコリ Arcyria incarnataは世界に広く分布する。変形体は白色。子嚢体は普通、短柄~ほぼ無柄、普通、小さく密生する。杯状体は皿形、普通、放射状のひだがある。内面は平滑又はいぼ状や乳頭状になり、ときに低い尾根状につながり、破れた網状になる。細毛体は非常に疎(幅広のメッシュ)の網状に広がり、柄の先の内面にきわめてゆるく繋がり、簡単に落ちる。元のサイズの3~4倍に広がる。胞子は集まるとサーモン・ピンク色。胞子は直径6~7.5µm。
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