学名は多説あり、MycoBankではタバコウロコタケ目のタバコウロコタケ科キコブタケ属Phellinus discipesを現行名としている。猿の腰掛け類きのこ図鑑ではタマチョレイタケ科・センベイタケ属のCoriolopsis
subradiatus である。ごく短い柄があり、アラゲカワラタケに似るが、傘上面の環紋は毛が伏したように見え、開出した毛は無い。また、管孔面が白色でなく、淡褐色~黄金茶色。
日本、スリランカ、タイ、マレーシア、マラヤ、フィジー、南アフリカに分布。広葉樹の枯木に発生する白色腐朽菌。子実体は柄がごく短く、側生のように見え、多数、重生し、ときに横のものと合着する。傘は幅4~6.5(9.6)㎝、奥行5.2㎝以下、厚さ1~3.5(5)[実測:0.15~3]㎜以下と薄く、初め、類楔形~類へら形、その後、扇形~腎形、ときに古くなると分裂、切れ込み、葉状になり、扁平で薄く、柔軟。上面は光沢が無く又は錯綜型毛状被の伏した毛でわずかに光沢があり、わずかに環溝があり、放射状の小じわがあり、環紋は明るい黄褐色(bright
fulvous cinnamon )、赤褐色(rufous cinnamon )、狭い密な暗色の部分があり、古くなると赤褐色(bay-brown
umber)又は鈍銅色(dull copper )、乾くと淡色になり、縁はけばけばしい黄金色、鈍端~鋭端。柄は長さ1~4㎜、幅3~6㎜、平らに円盤状に傘につく。円盤は幅8~14㎜[実測厚さ3(傘上部まで9)㎜、幅12㎜]、傘と同色、類綿毛で覆われ、初め明るい黄色、すぐに、暗く、灰褐色(fuscous
ferruginous)になる。類綿毛は厚さ2㎜以下、傘上面にも薄く広がり、まれにパッチ状に広がり、ときに管孔面にも広がる。管孔(筒)は長さ0.5~1.5㎜、ときに2080µmになり、傘の縁で約5㎜では短く、長さ0~0.5㎜、淡褐色(date-brown
umber)~暗金茶色(dark snuff-brown)。孔口は幅90~120µm、隔壁は厚さ40~150µm(約5個/㎜)、しばしば、不等長で不規則な歯状になり、管孔(筒)と同色。肉は傘の基部で厚さ1.5~3.5㎜、縁近くは薄く、厚さ0.5~1.5㎜、革質、けばけばしい黄金色、後にさび黄土色(ferruginous
ochraceous)~暗黄褐色(dark fulvous cinnamon)、殻皮は無い。匂いはわずかに酸味(無臭)がある。胞子は長さ5.5~7µm、幅約3µm、長さ4.5~6µm、幅2~3µm(Ryvarden)、長楕円形~類円柱形、鈍形、薄壁、平滑、幅1~2µmの油滴が1個あり、ときに小油滴がある。古い胞子は淡黄色。担子器は長さ9~15µm、幅3.5~4.5µm、小柄は4個、長さ2~2.5µm。シスチジオールはまばら。剛毛体は無い。菌糸は3菌糸型。クランプは無く(猿の腰掛け類きのこ図鑑では原菌糸にクランプがある)、骨格菌糸と同じほど原菌糸と結合菌糸(mediate
hyphae )がある。原菌糸は幅1.5~3.5µm。小さいものは薄壁、無色、幅が広いものは、帯黄色~淡帯褐色の壁が厚さ0.5µm以下、隔壁の間隔は9~180µm。狭いものはしばしば織り合わされ、骨格菌糸の周りにつく。幅の広いものはより縦に長い。骨格菌糸は幅35µm、厚く、明るい黄褐色の壁と線形の細胞間隙をもち、ほとんど無隔壁、分枝無く、非常に長い(2~3㎜)。しかし、長さ1㎜以下で端が尖るものもあり、少数の離れた隔壁や二次隔壁、まれに密に隔壁をもつものもある。結合菌糸は幅2.5~3.5µm、縦の原菌糸のように圧壁、隔壁の間隔は40~200µm、次第に骨格菌糸に変わる。隔壁は3菌糸型。幅3~4µmの骨格菌糸を持ち、膠着しない(粘らない)。傘表面は斜め~縦の骨格菌糸であり、しばしば、端がやや曲がり、綿毛は無く、原菌糸と結びつき、粉状にはならない。これは管孔のすぐ上の密な組織と似ている。柄の基部で、無色の幅1.5~2.5µmの原菌糸が、短い幅2.5~4µmの骨格菌糸中に伸び、円盤が発達する。これは黄褐色の厚壁をもち、次の増殖の前の組織の断面で暗色の線になり、その組織は非常に小さい。(参考:MycoBankの中の解説と猿の腰掛け類きのこ図鑑)。
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