中 国 名	雲芝 yun zhi
英　　名	purplepore bracket , violet-toothed polypore
学　　名	Trichaptum abietinum (Pers. ex J.F. Gmel.) Ryvarden
分　　類	坦子菌門　ハラタケ亜門　ハラタケ綱　タマチョレイタケ目（Polyporales）
科　　属	タマチョレイタケ科　 Polyporaceae　 シハイタケ属

　タマチョレイタケ科はタコウキン科（多孔菌科）ともいわれる。シハイタケ属は胞子が平滑、非アミロイド、菌糸にクランプあり、構成菌糸は2～3菌糸型、シスチジアは厚壁、先端に結晶を付着する。。
　子実体は半背着生、無柄、群生する。傘は幅1～2(～4又は～6)㎝、長さ（張り出し）0.5～2㎝、厚さ1～2㎜の半円形～扇形、棚状につき、柔らかい革質で薄く、乾くと内巻きに湾曲する。背面は白色～灰白色、綿毛が密生し、ときに粗毛状で、不規則な環紋がある。腹面(管孔面)は管孔状～薄歯状、初期に淡紫色を帯び、やがて退色して肉色～暗肉色になる。管孔は浅く、長さ1～1.5㎜。孔口は2～4個/㎜、円形、口壁が裂けて歯牙状になる。歯牙の度合いは変化が多く、ときに薄歯状になる。胞子は長さ5～7µm、幅2～3µmの紡錘形、非アミロイド。シスチジアは長さ15～30µm、幅5～7.5µmの紡錘形（細棒状）、頂部に結晶をつける。2菌糸型。原菌糸にはクランプがある。骨格菌糸は幅約5µm。
　ウスバシハイタケTrichaptum fuscoviolaceum はシハイタケと分布域が同じであり、針葉樹の枯木だけに半背着生するとされている。日本ではモミ、トドマツの枯木に多く、背面にシハイタケよりやや長い粗毛があり、子実層托は薄歯が放射状に並び、薄歯が長く、薄歯の縁に粗い鋸歯があるものとされ、管孔は変化が多い。外観ではシハイタケとの区別が困難なものもあり、同一種ではないかと考えられたこともあるが、シハイタケとは交配が成立しないことが確認され、異種説が確立している。傘は幅1～4㎝、厚さ1～3㎜。管孔は長さ1～2㎜。胞子やシスチジアはシハイタケのほぼ同じ。ヨーロッパではbrown purplepore bracket などと呼ばれ、腹面(子実層面）は色が濃い紫色や紫褐色のものが多く、普通、薄歯がかなり長い。傘は長さ1～6㎝、幅1～3㎝、厚さ1～3㎜。管孔は長さ1～4㎜、孔口3～6個/㎜。胞子は長さ(6)6.5～8.5(9)µm、幅2.5～3.5(4)µm、長楕円形とやや大きい。
　ウスバタケIrpex lacteusは広葉樹の枯木に背着生～半背着生。はじめ背着生し、成長すると辺縁が反巻きして小さな傘状になり、傘（反卷部）は腎臓形～不規則、長さ0.8～1.5㎝、幅0.5～3.5㎝、厚さ1～3㎜。背面は白色、短い綿毛を密生し、環紋は不明瞭、辺縁が薄く、波打ち、起伏がある。腹面は白色～乳白色、子実層托の管孔は2～3個/㎜、裂けて歯状突起（薄歯状）になる。歯状突起は長さ1～5㎜。肉は白色、丈夫な革質、乾くと硬くなる。胞子紋は白色。胞子は無色、長さ5～7µm、幅2～3µmの楕円形、平滑、非アミロイド。シスチジアは明瞭、多数つき、長さ50～110µm、幅5～10µmの紡錘形、上部に結晶物を付着する。2菌糸型、原菌糸は薄壁、よく分岐し、幅2～4µm。骨格菌糸は厚壁、まれに分岐し、幅2.5～6µm。菌糸にクランプは無い。
　コゴメウスバタケTrichaptum parvulum は日本(本州、四国)、朝鮮、ヨーロッパの広葉樹の枯木に発生し、背着生～半背着生。ウスバタケに外観が酷似し、菌糸のクランプで確認できる。子実体は初め背着生するが、乾くと縁がわずかに捲れ上がり傘をつくる。傘は半円形～棚形、幅2㎝以下、厚さ2㎜以下。傘の背面は灰白色、繊維状の密毛と環紋がある。肉は厚さ0.2㎜前後と非常に薄く、革質、白色。腹面は背面よりやや淡褐色を帯び、子実層托は低い薄歯状～やや針状、薄歯は長さ約1㎜。2菌糸型、原菌糸は無色、クランプがあり、幅約2.5µm。骨格菌糸は幅4～5µm。シスチジアは非常に多く、長さ約25µm、幅約7µm。胞子は長さ6～7µm、幅3～3.5µm、無色、薄壁、平滑、非アミロイド。
　ハカワラタケTrichaptum biforme 広葉樹の枯木に発生し、側着生。背面は灰白色～淡褐色、幅1～6㎝の扇形～半円形～腎形。腹面ははじめ淡紫色～帯紫褐色、後に淡褐色～灰褐色、孔は浅く、孔壁が裂けて、薄い歯牙状になる。