和名は表面が下ろし金状になることから。春~秋に広葉樹の枯木に発生する。子実体は背着生、薄い皮革状、境界が明瞭で、古くなると基物から剥がれやすく、乾燥しても、縮まない。初め類円形、隣と融合して不定形に広がり、長い側は8~15㎝ほどの幅になり、20㎝を超えることもあり、厚さは1㎜(500µm)以下、表面は汚白色~橙白色~橙黄灰色、ときにかすかに紫色やピンク色を帯び、止め釘状(針状)の微細な突起が多数ある。縁は普通、突起がなく、子実層表面と同色又は淡色で、幼時は貼りつき、古くなると巻き上がる。断面は突起を除いて厚さ500µm以下であり、突起、子実下層、子実層からなる。突起は7~10個/㎜、子実層表面と同色又は濃色、単一、高さ(200)250µm、幅50µm以下、織り合わされた菌糸からなり、不稔、構成菌糸は黄褐色、厚壁、わずかに隔壁がある。基部の層は厚さ20~40µm、構成菌糸は織り合わされ、厚壁、隔壁があり、褐色。反り返ったときに長い褐色の毛のような菌糸を生じ皮質のようになる。子実下層は黄褐色、厚さ200~300µm、構成菌糸は織り合わされ、厚壁、薄い色がつき、わずかに隔壁がある。子実層は側糸(円柱形嚢状体dikaryophyses)、シスチジア、担子器からなる。円柱形嚢状体は先が不規則に分枝し、ゼラチン化する。シスチジアは無色、薄壁、形の変化が多く、典型的なものは有柄の紡錘形、長さ35~75µm、幅6~12µm。前担子器はナシ形~棍棒形、基部にクランプがあり、長さ15~22.5µm、幅(8)9~13.5µm、縦の隔壁により2室になり、たまに十字形の隔壁になる。小柄は長さ46µm、幅3µm以下。胞子は曲がった円柱形(類ソーセージ形)、無色、平滑、長さ(14)16.5~26µm、幅5.7~7.5µm、薄壁、微突頭。発芽は見られない。
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