オオボタンタケの発生していた倒木はおそらく枯れたために伐採されたコナラと思われる。古くなったハカワラタケの群生の間に群生していた。
汎亜熱帯性であり、日本、中国、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、インド、スリランカ、サモア、ニューギニア、アフリカ( シエラレオネ )、北アメリカ、南アメリカで確認されている。主に広葉樹(コナラ、オオハマボウなど)、まれに針葉樹(テーダマツ)の腐朽木上に発生する。日本ではシイタケの榾木にも発生して知られている。
子座は盾形~脳形、直径7~80㎜、高さ30㎜以下、しばしば複雑になり、中心で固着し、肉質又は革質、淡黄褐色(light tan)、下面は淡色、表面は平滑、
3% KOHで変色しない。子座の下面は、多少、柄から縁までの放射状の目立つ浅いうねがある。うねは厚壁又は薄壁の絡み合った短細胞の菌糸からなる。しばしば、表面に綿状、白色の菌糸をもつ。子嚢殻の上昇は明瞭でない。子嚢殻の開口は目立たず、表面とほぼ同色。子嚢殻は多数、密に、子座の表面すぐ下の1層目に埋没する。断面は楕円形、相互の圧力により圧縮され、高さ310~370(~385)
µm、幅(165~)190~230(~245)µm 。ostiolar canal は長さ60~122µm、ostiolar開口部の周りの細胞はわずかに棍棒形、子座の表面と平行して柵を形成して終わる。子座表面は正面が絡み合い菌糸で形成される。断面で、子座の領域は幅約30µm、絡み合い菌糸からなる。子座表面のすぐ下の組織は疎に絡み合った幅2.5~5µmの平滑な隔壁のある菌糸からなり、子嚢殻の下の組織は密(コンパクト)に、絡み合った幅2.5~5µmの薄壁の菌糸からなる。子嚢は狭い棍棒形、長さ(60~)75~105(~132)µm、幅
(3.7~)4.2~6.2(~8.0) µm、無柄、先はわずかに太くなり[円筒形]、不明瞭な孔がある。子嚢は4個の大きな胞子と4個の小さな胞子をもつ。胞子は隔壁で分かれ、分かれた胞子は無色、細かい小刺があり、単一形で類球形~2形がある。先端部分は類球形、基部の部分は類球形~楔形。
小さな胞子 (n = 251) 先端部分 (1.7-)2.5-3.5(-4.5) x (1.7-)2.6-3.5(-4.0) µm
基部の部分 (2.0-)2.5-3.5(-4.7) x (1.7-) 2.2-3.2(-4.7)µm
大きな胞子 (n = 261) 先端部分 (2.2-)3.5-5.0(-6.2) x (1.7-)3.0-4.0(-5.0)µm
基部の部分 (2.0-)3.5-5.0(-6.5) x (1.5-) 2.7-4.0(-4.7)µm
(参考 MycoBank ;Samuels, G.J. & Ismaiel, A. 2011. Hypocrea peltata: a
mycological Dr Jekyll and Mr Hyde?. Mycologia. 103(3):616-630 )
※オオボタンタケHypocrea peltata (Jungh.) Berk.として日本のコナラに発生していたものが紹介されている。
参考文献 Doi (1972): Revision of the Hypocreales with cultural observations.
IV. The genus Hypocrea and its allies in Japan (2). Enumeration of the
species. (Bull. Nat. Sci. Mus. Tokyo ; 15(4), p. 649-751).
[http://chawantake.sakura.ne.jp/data/Hypocrea_peltata.html]
これによると、子座の色、子嚢に入る胞子の数や胞子が異なり、子嚢に短柄がある。
子座は径 1~4㎝、不正な肉厚の盤状~楯状、縁はやや波打ち反り返る。 表面は淡肉色~やや黄色味をおびた淡赤褐色、ときに艶がある。大型の胞子と小型の胞子の2型あり、それぞれ8個、4個ずつのグループになり、子嚢内に16個が1列に並ぶ。胞子はともに無色、ほぼ平滑~まばらに微細ないぼがある。
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