過去には広葉樹に生えるものをニレサルノコシカケRigidoporus ulmariusとし、針葉樹に生えるものをオオシロサルノコシカケRigidoporus
geotropus と分類していたが、両者をニレサルノコシカケに統合している。褐色腐朽を起こすニレサルノコシカケを白色腐朽のスルメタケ属に含めないとの見解もある。また、日本のものは白色腐朽と解説している図鑑もある。アカマツの根元に発生していた。
普通、多年生。広葉樹、針葉樹、主に広葉樹の根際に生え、褐色蓮根腐れ(brown cubicle rot)を起こす、根株腐朽菌である。世界に広く分布する。傘は厚い棚形、普通、長さ12~50(まれに50以上)㎝、幅(奥行)6~15㎝、厚さ14~8㎝、堅い木質。表面はふしくれだち、同心円上に尾根があり、最初、白色~黄土色(オーカー色)、その後、古くなると汚褐色になり、しばしば、緑藻で覆われる。管孔長は各層で1~5㎜、幼時、帯ピンク色~橙色、古くなると褐色になり、各層は白色の肉の薄い対照的な帯で分かれる。孔口は5~6個/㎜、赤橙色、古くなると、クレイピンク又はバフ色に色あせる。胞子は淡黄色、球形、直径6~7.5µm。菌糸型は1菌糸型。原菌糸はクランプを欠く。不食。(参考;
Imazeki, Bulletin of the Government Forest Experimental Station Meguro
57: 97 (1952))
●ベッコウタケPerenniporia fraxinea はよく似ていて、間違えやすい。広葉樹の根際に群生する白色腐朽菌。日本、東アジア、北アメリカ、ヨーロッパに分布する普通種。管孔長は1層が3~10㎜、管孔の層と肉が同色(少し濃色)。ニレサルノコシカケは管孔の層が橙色を帯び、スポンジ状の帯白色の肉と対照的である。菌糸は骨格菌糸との2菌糸型。胞子はデキストリノイド。
●スルメタケRigidoporus lineatus は日本(本州以南)、東アジア、南北アメリカ、オーストラリアに分布する。広葉樹の根株腐朽菌。一年生、白色腐朽菌。無柄~半背着生。傘は半円形~棚形、幅2~10㎝、厚さ3~8㎜、表面は薄い殻皮があり、わら色~汚黄泥色、しばしば茶褐色の入った環紋と不鮮明な環溝、放射状の小じわを生じる。質は強靭な革質であり、乾くと著しく硬くなる。管孔面は淡汚褐色、孔口はやや乱れた円形、5~7個/㎜、管孔長は長さ1~3㎜、色は管孔面と同色、肉より濃色。肉は薄く、黄白色、コルク質、傘の下面はやや肉色を帯び、濃色。胞子紋は白色。胞子は類球形~広卵形、長さ5~6µm、幅4.5~5µm、平滑、非アミロイド。子実層シスチジアは結晶に覆われ、長さ約10µm、幅約5µm。菌糸は1菌糸型(偽2菌糸型)、骨格菌糸に隔壁があり、原菌糸はクランプを欠く。
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