別 名 |
ウスバタケモドキ |
中 国 名 |
环带小薄孔菌 huan dai xiao bo kong jun |
学 名 |
Antrodiella zonata (Berk.) Ryvarden
Cerrena consors (Berk.) K.S. Ko et H.S. Jung
Coriolus brevis (Berk.) Aoshi
Irpex brevis Berk.. |
分 類 |
坦子菌門 ハラタケ亜門 ハラタケ綱 タマチョレイタケ目(Polyporales) |
科 属 |
マクカワタケ科 Phanerochaetaceae ニカワオシロイタケ属 |
|
学名は研究者の見解により異なり、Mycobankではマクカワタケ科(Phanerochaetaceae) ニカワオシロイタケ属 Antrodiella
zonataをCurrent nameとし、北陸のきのこ図鑑もAntrodiella zonataを採用している。日本産きのこ目録ではタマチョレイタケ科(Polyporaceae)Cerrena
consorsを採用している。写真のものは原色日本新菌類図鑑の解説がよく似ている。薄歯の幅のやや広いものがあり、薄歯は乾燥してもクリーム色に近く、橙色を帯びない。
広葉樹(カシ、クリ、シイなど)の枯木や切り株にきわめて普通に見られる白色腐朽菌。傘は小型、薄い革質、多数が屋根瓦状に重生し、基部は常に垂生背着し、上下に傘は連なって重なる。採取すると何枚か重なった傘が取れる。傘はほぼ半円形~半楕円形、幅1~3㎝、厚さ1~2㎜、乾くと下向きに強く湾曲し、縁片は薄く、全縁~やや鋸歯縁。背面はクリーム色~肉色~赤褐色、無毛、平滑、細い放射状の繊維紋と不明瞭な環紋がある。腹面(下面)の子実層托は材白色~乳白色、長さ1~2㎜の薄歯状の突起が密生し、ウスバタケ型といわれる。肉は材白色、きわめて薄く、強靭、乾くと堅くなる。胞子紋は白色。胞子は無色、長さ4.5~6µm、幅2~3µm、楕円形、平滑。シスチジアは無い(原色日本新菌類図鑑を参考)。
北陸きのこ図鑑では歯牙突起が橙黄色、菌糸は3菌糸型と解説している。産地により差があり、台湾産のものは2菌糸型、胞子が小さく、長さ4~4.5µm、幅1.5~2µm、楕円形。韓国のものも2菌糸型。 ニュージーランドのものはシスチジアがあり、胞子は長さ4~4.5µm、幅1.5~2µm、楕円形。
|
|
発生時期 |
夏~秋 |
大 き さ |
小型 傘の幅1~3㎝ |
栄養摂取 |
白色腐朽菌 |
発生場所 |
広葉樹の枯木、切株 |
分 布 |
日本、アジア、オーストリア、ニュージーランド |
食 毒 |
不食 |
撮 影 |
西尾市 16.10.6 |
|
【類似種】
● アカウスバタケSteccherinum laeticolor は1年生、背着生~半背着生、傘をもつ。傘は縁につき、小さく、幅2~6㎜。腹面は橙黄色~赤褐色、古くなると退色する。子実層托は針状、長さ1.5~4㎜、3~4個/㎜、互いに癒着し、鋸歯状になることも多い。周縁部は白くなり、毛羽立つ。胞子がニクハリタケより短い円筒形、長さ(2.6)2.7~3.5(3.6)µm、幅(1.7)1.8~2.1µm、非アミロイド。坦子器は4胞子性。偽シスチジアは無色~淡黄色、幅7~10µm。
● ニクハリタケ Steccherinum ochraceum は初期には背着生し、半背着生~側着生、無柄。傘は幅1~3㎝、薄い革質、半円形~扇形。背面は短綿毛を密生し、白っぽく、環紋が明瞭。腹面はやや淡色、肌色~淡紅褐色(肉色、黄色、橙色などもある)。子実層托は針状(spine)。針は長さ1~2(3)㎜、幅約0.2㎜の扁平~円錐形~円柱形、密につき、5~7個/㎜。胞子は無色、長さ3~4(5)µm、幅2~2.5µmの卵形、平滑。厚壁シスチジア(skeletocystidia)は多数つき、長さ20~100µm、幅4~10µmの狭紡錘形~円柱形、厚壁、上半部に多数の結晶物を付着する。
● Steccherinum robustius はヨーロッパ、ロシア、北アメリカに分布し、よく似ている。明るい橙褐色の腹面。胞子は長さ(3.5)~3.5(4)µm、幅(2.7)2.8~3.2µm。偽シスチジアがあり、大きく幅8~15µm。坦子器は長さ35µm以下。
● Steccherinum bourdotiiははヨーロッパ、ロシアに分布し、背着生~半背着生、小さい傘があり、背面に毛がある。腹面は淡ローズ色~帯赤色、子実層托は円筒状~やや扁平、帯灰色~帯褐色、3~4個/㎜。胞子は大きく、長さ(4.2)4.4~5.1(5.6)µm、幅(3.2)3.4~4.2µm。
● ダイダイタケ Hymenochaete xerantica = Inonotus xeranticus 湿気の多い場所を好み、中型で半背着生、多数重生する。傘は幅3~10㎝、半円形。背は黄褐色、短毛が密生し、環紋があり、成育中の縁は黄色になる。腹面は鮮黄色~黄褐色、管孔は長さ2~3㎜、孔口は小さく、4~5個/㎜。肉は柔らかい革質、薄い。胞子は長さ2.5~4µm、幅1.2~1.7µm。
● ウスバタケIrpex lacteus 子実体は背着生し、成長すると辺縁が反巻きし、反卷部は腎臓形~不規則、長さ0.8~1.5㎝、幅0.5~3.5㎝、厚さ1~3㎜。背面は白色、短い綿毛を密生し、環紋は不明瞭、辺縁が薄く、波打ち、起伏がある。腹面は白色~乳白色、子実層托の管孔は2~3個/㎜、裂けて歯状突起(薄歯状)になる。歯状突起は長さ1~5㎜。肉は白色、丈夫な革質、乾くと硬くなる。胞子紋は白色。胞子は無色、長さ5~7µm、幅2~3µmの楕円形、平滑、非アミロイド性。シスチジアは明瞭、多数つき、長さ50~110µm、幅5~10µmの紡錘形、上部に結晶物を付着する。菌糸にクランプは無い。
|