きのこ図鑑
Flora of Mikawa 
TOP きのこ一覧 きのこ用語 日本語-英語 英語-日本語
 ミドリスギタケ  緑杉茸
中 国 名 翘鳞伞 qiao lin san
英  名 magic blue gym
学  名 Gymnopilus aeruginosus (Peck) Sing.
分  類 坦子菌門 ハラタケ亜門 ハラタケ綱 ハラタケ亜綱 ハラタケ目(Agaricales)
科  属 モエギタケ科   Strophariaceae  チャツムタケ属
 傘は直径2~10㎝、丸山形~饅頭形~扁平、乾き、黄褐色~紫色~緑色など変化が多く、不規則にピンク色や赤色のしみを生じることもあり、その後ピンク色を帯びたバフ色(黄土色に近い皮色)に変わり、乾くと、とび色になり、小さな黄褐色~帯黒色の鱗片とパッチで覆われる。ひだは直生~上生、密、淡黄橙色~橙褐色。柄は中実~中空、長さ3~8(12)㎝、幅0.3~1(2)㎝、上下同形、扁心生もあり、上部に早落性のつばがある。柄の表面は傘と同色~やや淡色。肉は淡黄色~淡橙色~淡紫色、緑色や青緑色を帯びるなどもあり、苦味があり、無臭、傷つけても変色性なし。胞子紋は暗赤橙色~鉄銹褐色。胞子は長さ6~8.5µm、幅3.5~4.5µm、惰円形、細疣がある。縁シスチジアは長さ20~46µm、幅5~20µm、フラスコ形~便腹形。側シスチジアはまれ。菌糸にクランプはある。
 ムラサキスギタケとよく似ている。ムラサキスギタケは傘の肉を切ると、紫ピンク色に変色するが、ミドリスギタケは変色しない。ひだはムラサキスギタケは離生、やや密、ミドリスギタケは直生~上生、密。
 ●ムラサキスギタケGymnopilus luteofolius (Peck) Sing.
 針葉樹の枯木(商用の材木を含む)につく腐生菌。たまに広葉樹にも発生する。普通、束生し、夏~秋又は温暖な地域では冬にもみられる。傘は直径3~6㎝、饅頭形~平饅頭形~扁平、乾き、密~疎に、小さな、先天的な鱗片で覆われ、とくに、中央が多く、紫赤色~紫赤レンガ色、帯ピンク色又は帯黄色(又はこれらのまだら色)に退色し、場所によってはしばしば、緑色に汚れ、縁に条線は無い。ひだは離生、やや密、最初は淡黄色、その後、濃黄色になり、さび褐色に変色し、やがて、全体に錆色になる。若い最初は薄い内皮膜に覆われる。茎は長さ4~6㎝、幅4~6㎜、ほぼ上下同径、先付近は紫ピンク色、しかし、全体に帯褐色、小繊維状、先ちかくに壊れやすいつば又は環帯がある。基部の菌糸体は白色。肉は帯白色、傘の肉を切ると紫ピンク色に変わる。味は苦みが強く、無臭。KOHにより傘は紫ピンク色に変わる。胞子紋は鮮橙褐色。胞子は長さ5.5~8µm、幅3.5~4.5µm、ほぼ楕円形、細かいいぼがあり、KOH中で褐橙色、弱い偽アミロイド。側シスチジアは見られない。縁シスチジアは豊富、徳利形~紡錘状便腹形~頭形~円筒形、薄壁、長さ20~30µm、幅3~5µm。傘上表皮層は疎い平行菌糸被、要素菌糸はKOH中で帯褐色、幅2.5~5µm、ときに上向き。
 スギタケPholiota squarrosa は広葉樹、針葉樹林内の枯木、倒木上、老木の近くの地上に発生する。傘は直径3~7(12)㎝、半球形~饅頭形~広饅頭形~ほぼ扁平。背面は乾き、黄色~黄褐色地に目立ったバフ色(淡黄色のもみ革色)~黄褐色~赤褐色の鱗片がつく。柄は長さ4~12㎝、幅5~15㎜、円柱形、上部に繊維質の裂けたつばがあり、帯黄色、ときに下部から褐色~赤褐色になり、目立ったバフ色(淡黄色のもみ革色)~黄褐色の鱗片がつく。ひだはやや密につき、直生、幼時は帯白色~帯黄色、後に緑黄色、やがて銹褐色になり、初期には内被膜に覆われる。肉はやや厚く、帯白色~帯黄色、無味(温和臭~不快臭)、無臭~強いニンニク臭(コロラド産は臭いが強く、ニンニクとレモンの混じった臭い)。胞子紋はシナモン褐色。胞子は長さ6~8µm、幅3.5~5µmの楕円形、平滑、発芽孔がある。シスチジアは典型的な黄金シスチジア(crysocystidia)であり、アンモニア水や水酸化カリウムなどのアルカリで黄変する。 縁シスチジアは長さ35~50µm、幅10~13µmの棍棒形~紡錘形~便腹形。側シスチジアは長さ25~45µm、幅8~13µmの棍棒形~紡錘形~便腹形、先端が突出したり歪がある。傘上皮層は円筒形の菌糸が織り合わされた層からなり、菌糸の端は棍棒形~膨れた紡錘形。菌糸にクランプがある。
 スギタケモドキ Pholiota squarrosoides は広葉樹の倒木、枯木に多数、束生する。スギタケよりやや白っぽっく、鱗片が明瞭で、取れ難い。柄のつばが綿くず状。胞子が小さく、発芽孔が不明瞭。シスチジアが典型的な黄金シスチジアではない。
 傘は直径3~10(11)㎝、普通、粘り、白色地に目立った刺状鱗片で覆われ、鱗片は取れ難い。柄は長さ3~10㎝、幅5~15㎜、円柱形、帯白色、つばが厚く、綿くず状。肉は帯白色、無味、無臭~やや芳香。胞子紋はシナモン褐色。胞子は長さ4~6µm、幅2.5~3.5µmの楕円形、平滑、発芽孔が不明瞭。シスチジアが典型的な黄金シスチジア(crysocystidia)でなく、わずかに黄色~まれに橙黄色に変色する。傘上皮層は部分的にゼラチン化する。菌糸にクランプがある。
ミドリスギタケ
ミドリスギタケ3
発生時期 春~秋
大 き さ 小型~中型 直径2~10㎝
栄養摂取 腐生菌
発生場所 針葉樹(稀に広葉樹)の枯木、倒木、丸太、ウッドチップ上
分  布 日本、中国、北アメリカ
食  毒 有毒(神経系障害)
撮  影 蒲郡市 15.7.11
ミドリスギタケ傘
ミドリスギタケ傘2
ミドリスギタケ傘3
ミドリスギタケひだ
TOP Back