北半球温帯に広く分布。主にブナ科樹林下に散生~群生する。傘は直径5~10(20)㎝、饅頭形~中央がやや窪む饅頭形~浅い杯形、表面は湿時、粘性があり、平滑、茶褐色、表皮は剥げにく、辺縁の粒条線は顕著。柄は長さ4~8㎝、幅1~2.5㎝、上下同径、中実~中空、表面は白色mほぼ平滑、触れると淡褐色のしみを生じる。
ひだは離生、やや疎、幅約5㎜、乳白色~帯黄土白色、水滴を分布し、傷や古くなると褐色のしみを生じる。肉は脆く、白色、辛味があり、不快臭がある。傷つけても変色性は無い。鉄塩で肉は褐色に変色する。胞子紋はクリーム色。胞子は広卵形~類球形、長さ6~8µm、幅8~7µm、粗いいぼ状突起がある。縁シスチジアは長さ
37~63µm、幅7~15 µm、棍棒形~紡錘形、先端が突出。側シスチジアは縁シスチジアと同形、やや大形。傘上表皮は表面に薄いゼラチン質がある錯綜被。菌糸にクランプはない。有毒。
【類似種】
●クサハツモドキRussula grata Britzelm. 日本、ヨーロッパ、北アメリカに分布。英名はbitter almond brittlegill。
主に広葉樹林下に夏~秋に発生。傘は直径5~10㎝、帯褐黄土色~黄土色(クサハツより淡色)、周辺は淡色、湿時、粘性があり、顕著な粒条線がある。柄は長さ3~9㎝、幅1~2㎝、上下同径~下部やや太く、中空、白色~帯黄土色~帯汚褐色、条線がある。ひだはやや垂生~上生、密、幅約5㎜、クリーム白色、汚褐色のしみを生じ、水滴を分泌する。肉は白色、温和~強い辛味があり、強いアーモンドのような臭いがある。胞子紋は白色。胞子は類球形、長さ8.5~10µm、幅7.5~9µm、長い刺と翼状隆起がある。縁シスチジアは長さ
32~66µm、幅7.5~16 µm、棍棒形~紡錘形、とき、先端が尖り又は突出。側シスチジアは縁シスチジアと同形、やや大形。傘上表皮は表面にゼラチン質がある短細胞被。
●ニセクサハツ(クシノハタケモドキ) Russula pectinatoides Peck 北半球温帯に広く分布する。中国名は拟篦边红菇。ブナ科樹林下に初夏~秋に発生。中国名は亚稀褶黑菇。傘は直径2.5~8㎝、中央部が暗黄褐色、周りは黄土色~灰黄土色、弱粘性、顕著な粒条線がある。ひだ、肉、柄を傷つけると次第に暗褐色~褐色のしみになる。柄は長さ4~8㎝、幅1~2㎝、上下同径~中間が太く、白色、中空、しわ条線が密にある。ひだは直生、密、小ひだは稀、幅約4㎜、類白色~乳白色。肉は硬くて脆く、白色、ほぼ無味、異臭がある。胞子紋は乳白色。胞子は類球形~広卵形、長さ(7)7.5~8.5µm、幅5.5~6(6.5)µm、小刺がある。縁シスチジアは長さ
31~61µm、幅 5.5~10 µm、紡錘形、先端が尖ることがある。側シスチジアは長さ 37~57µm、幅 5~10 µm、棍棒形~紡錘形、先端突出。
●オキナクサハツRussula senis Imai ( = Russula punctipes Sing ) 傘表面に粘性がなく、黄褐色~橙褐色、表面が幼菌の頃からしわやひびわれが目立つ。柄に褐色~暗褐色の細粒点が密布する。ひだは離生、やや密、縁が褐色になる。
●オオクサハツ Russula sp, オキナクサハツに似るが傘の粒条線がなく、柄に細かい褐色の条線がある。胞子は長さ7.5~10µm、幅6.5~9µmとやや大きい。
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