科はキシメジ科 Tricholomataceaeを細分してクヌギタケ科 Mycenaceae、又はラッシタケ科 Favolaschiaceaeに分類する見解がある。最近ではクヌギタケ科とされる。
針葉樹、広葉樹下の腐葉上に秋~初冬に発生する。 傘が直径3~15(20)㎜、明るいサーモンピンク色~深紅色~橙赤色、わずかに条線があり、古くなると退色し、まれに白色になる。ひだは直生~上生、ピンク色~白色。肉は無味、無臭。柄は長さ1.5~4㎝、幅0.5~2㎜、白色~ピンク色、しばしば先がピンク色になる。坦子器は2胞子性、長さ25-35µm、幅6.5-7µm、狭棍棒形。胞子は無色、長さ7.2~9.5µm、幅5~5.5µmの広円筒形(日本:長さ7~8µm、幅3~3.5µm紡錘形~ナシ種子形)、平滑、非アミロイド。縁・側シスチジアは長さ35~45µm、幅12~14µm。傘の上表皮層の菌糸は幅約5µm、平滑~短指状分岐物に被われる。柄の皮層の菌糸は幅約3µm、平滑、末端の細胞(柄シスチジア)は棍棒形~紡錘形。
ヒメサクラタケ(カワリコウバイタケ) Mycena roseocandida は針葉樹、広葉樹下の腐葉上に秋~初冬発生する。坦子器が2胞子性、胞子が非アミロイドで、現在ではコウバイタケの異名とされている。北アメリカやヨーロッパのMycena
adonisはscarlet bonnet とか rose-cap mycenaと呼ばれ、ヒメサクラタケがピンク色から淡黄色に変色するのとは外観がやや異なっている。傘は直径5~15㎜、透明感があり初めピンク色、後に淡黄色、湿時、条線がある。ひだは直生、ほぼ白色、脈絡がある。柄は長さ2~4㎝、幅1~2㎜、傘と同色、中空、頂部は粉状、基部に細毛がある。胞子は長さ6.5~9.5µm、幅4~5µm、惰円形、非アミロイド。縁・側シスチジアは長さ37~65µm、幅8.5~11.5µm、紡錘形、先端が長く伸びる。外観だけではわからない例である。
サクラタケMycena pura は世界に広く分布し、針葉樹林、広葉樹林内の腐葉上に春~秋に発生し、色の変化が多い。傘は直径2~5cm、卵形~円錐形~中丘扁平。背面は湿り又乾き、粘性が無く、湿時、条線があり、標準は幼時、淡紅色~紫色、周縁は淡色。しかし、しばしば色あせ、他の色(白色、黄色、ピンク褐色、赤色)を帯びる。柄は長さ5~8㎝、幅2~7㎜、円柱形、下部がやや太く、ときにやや扁平になり、中空、表面は傘と同色、基部に細毛を密生する。ひだはやや疎につき、直生~湾生、白色~桃色~紫色~淡黄色、脈絡がある。肉はごく薄く、表面と同色、無味、強いダイコン臭。胞子紋は白色。胞子は無色、長さ6.5~9.5µm、幅3~4µmの長楕円形~類円筒形、平滑、アミロイド。縁シスチジアは長さ33~48µm、幅10~15µmの棍棒形~紡錘形、先端が伸び、ときに結晶物がふちゃくする。側シスチジアは長さ26~60µm、幅5~18µmの棍棒形~紡錘形。坦子器は4胞子性、長さ6.5~7.5µm、幅3~4µm。KOHaq反応は(-)又は傘表面で緑黄色に変色する。
シロサクラタケ Mycena pura form. alba は全体が白色、胞子がサクラタケより小型。
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