キチリメンタケ(暗橙褐色)
 きのこ図鑑
Flora of Mikawa 
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 キチリメンタケ(暗橙褐色)  黄縮緬茸
中 国 名 密粘褶菌 mi zhan zhe jun
英  名 brown rot fungus
学  名 Gloeophyllum trabeum (Pers.) Murrill,
分  類 坦子菌門 ハラタケ亜門 ハラタケ綱 キカイガラタケ目(Gloeophyllales)
科  属 キカイガラタケ科  Gloeophyllaceae   キカイガラタケ属
 キチリメンタケは半背着生であり、ひだが類似種に比べて密につき、普通、迷路状になる。傘の色は濃くなることもあり色だけでは判別は不可能。ひだの間隔が狭いコゲイロカイガラゴケに似た暗褐色になることもあり、暗橙褐色になることある。
 キチリメンタケGloeophyllum trabeum は普通1年生、針葉樹(トウヒ、マツ、モミ、カラマツ、イチイ、スギなど)、まれに広葉樹(カシ、ポプラなど)の枯木、材木などに発生し、半背着生。傘は半円形~横につながり棚形、幅3~5(10)㎝、奥行1~3.5(5)㎝、厚さ3~10㎜。背面は茶褐色~暗褐色、ときに暗橙褐色、ほとんど無毛で周辺部に綿毛があり、不規則な凸凹と環紋がある。環紋が不明瞭なことが多く、明瞭な場合もある。肉は柔軟な革質、背面と同色~黄褐色、無味、菌臭。腹面は初め黄土色(~黄褐色)、後に灰褐色、乾くと白っぽくなる。子実層托は円形の管孔状~ひだ状~迷路状、孔口又はひだは14~25個/㎝(2~4個/㎜)、深さ2~4㎜。胞子は長さ7~10µm、幅3~4µmの円筒形、無色、平滑。坦子器は4胞子性、4柄があり、長さ12~25µm、幅5~7µm。シスチジアは小形で不明瞭、長さ20~30µm、幅3.5~4.5µm。2菌糸型。原菌糸は無色、幅2~5µm、薄壁、クランプあり。骨格菌糸は黄褐色、直線状、幅3~5㎜、厚壁。

 コゲイロカイガラタケGloeophyllum abietinum(fill gill polypore)は中国名が冷杉粘褶菌。子実体は多年生、背着生。傘は半円形~貝殻形~棚形、幅2~8(10)㎝、奥行(1~2)㎝、厚さ2~5(5~10)㎜。背面は幼時、白黄褐色、その後、銹褐色~赤褐色、古くなると暗灰色・黒色、わずかに綿毛があり、古くなると無毛、環紋は不明瞭。肉は薄く、柔軟な革質(コルク質)、淡褐色~たばこ色、無味、無臭。腹面は黄土色~クリーム色~灰褐色、子実層托はひだ状~迷路状、ひだ8~13個/㎝、深さ3~4(4~10)㎜。胞子紋は白色。胞子は長さ9~11(12)µm、幅3~4.5µmの円筒形~紡錘形、無色、平滑、非アミロイド。坦子器は4胞子性、長さ20~28(35)µm、幅5~7µm。シスチジアは2型あり、棍棒形は長さ28~35µm、幅6~11µm。紡錘形は長さ30~40µm、幅約5µm、先端に結晶が付着する。3菌糸型。原菌糸は幅2~4µm、薄壁~わずかに厚壁、クランプあり。骨格菌糸は帯黄色~淡銹褐色、幅2.5~6㎜、厚壁。結合菌糸はまれ、黄褐色、幅2~4µm。

 キカイガラタケGloeophyllum sepiarium は普通1年生、側着生、無柄。傘は幅5~12㎝、厚さ3~10㎜の半円形~棚形、中心から緩く並んで円状につくことも多い。背面は黄褐色~赤褐色、古くなると灰褐色~黒褐色、辺縁は淡色、粗短毛を密生し、濃淡の明瞭な環紋がある。腹面は初期に黄白色~淡褐色、触れたり、古くなると、褐色が濃くなり、背面とほぼ同色。子実層托はひだ状、ひだは分岐し、互いに癒着して迷路状~ときに放射状の溝状になり、溝は深さ2~5㎜、ひだ15~20個/㎝。肉は軟かいコルク質、厚さ1~2㎜、茶褐色。胞子紋は白色。胞子は無色、長さ(7.5)9~13µm、幅3~5µmの円筒形、平滑、非アミロイド。坦子器は4胞子性、小柄がある。シスチジアは薄壁、棍棒形~紡錘形、長さ21~25µm、幅3~5µm、(北アメリカ:円筒形、長さ約100µm、幅約10µm)、子実層からわずかに突出する。菌糸は3菌糸型、原菌糸にクランプがある。骨格菌糸は淡褐色、幅3~4µm。

 ヒロハノキカイガラタケGloeophyllum subferrugineum は普通1年生(ときに多年生)、南方系であり、日本、朝鮮、中国、インド、スリランカ、フィリピン、オーストラリアに分布し、日本ではマツによく見られる。キカイガラタケによく似てやや淡色。ただし中国名は褐粘褶菌といい、色がやや濃く、銹褐色。特徴はひだの溝の幅がやや広く、肉が黄褐色、胞子が小さく、シスチジアが子実層から突出せず、菌糸が2菌糸型であること。背面は黄褐色(銹褐色)、全面に短い粗毛があり、環紋がある。腹面は淡白色、後に背面とほぼ同色。子実層托はひだ状、ひだは放射状の溝状、溝は深さ2~5㎜、縁部のひだ10~14個/㎝(1~2個/㎜))。肉は黄褐色(茶色~銹褐色)、革質、無味、温和臭。胞子6.5~8.5(8.9)µm、幅2.5~3.5µmは短円筒形、シスチジアは子実層から突出しない。菌糸は2菌糸型。
キチリメンタケ(暗橙褐色)
キチリメンタケ(暗橙褐色)腹面2
キチリメンタケ(暗橙褐色)腹面3
発生時期 通年
大 き さ 中型 幅3~5(10)㎝
栄養摂取 褐色腐朽菌 
発生場所 針葉樹、まれに広葉樹の材木、枯木、倒木
分  布 アジア、ヨーロッパ、コーカサス、北アフリカ、北アメリカ、ニュージーランド 、北・南半球の温帯と亜熱帯
食  毒 不食
撮  影 幸田町 14.12.20
キチリメンタケ(暗橙褐色)背面
キチリメンタケ(暗橙褐色)背面
キチリメンタケ(暗橙褐色)管孔
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