きのこ図鑑
Flora of Mikawa 
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 カイメンタケ  海綿茸
中 国 名 栗褐暗孔菌 li he an kong jun
英  名 velvet-top fungus , dyer's polypore , dyer's mazegill
学  名 Phaeolus schweinitzii (Fr.) Pat.
分  類 坦子菌門 ハラタケ亜門 ハラタケ綱 タマチョレイタケ目(Polyporales)
科  属 ツガサルノコシカケ科  Fomitopsidaceae   カイメンタケ属
 写真はアベマキの倒木に発生していた幼菌で、管孔面が灰色の微細な毛に覆われ、孔口が見えない、採取して時間が経つと淡褐色になり、孔口が見えるようになった。管孔面は触れるとやや赤色を帯び後に褐色になる。表面の毛は粗く、縁は新鮮なときに橙色のビロード状、時間が経つと褐色になった。柄は無い。臭いは普通の菌臭。倒木を確認したところマツではなく、アベマキだった。日本では広葉樹に発生したとされる報告は少なく、エゾヤマザクラやヤマザクラの記録がある程度だが、北アメリカではカバノキ属やコナラ属なども含め様々な広葉樹の発生例が報告されている。
 生きたカラマツなどマツ属の根や心材を枯らす害菌である。1年生。子実体は花弁状に傘の集まった集合体であり、直径20~30㎝。個々の傘は幅7~30㎝、厚さ0.5~1.5(2)㎝、半円形~扇形~腎形、(地上や立木のときは、より半円形)、しばしば根元は長く伸び柄のようになり、扁平又は中央が凹み、やや鈍縁。傘表面は粗く、ビロード状、とくに幼時や縁に沿って、ビロード状になり、ときに古くなると無毛、色や質感による環紋がある。色はきわめて変化が多く、若い時、帯褐黄色~オリーブ褐色、黄色~オリーブ色の帯があり、縁は淡色で鮮黄色~橙色、その後すぐにビロード状の帯は赤褐色~暗褐色になる。柄は普通あり、ほぼ中心生、長さ2.5~5㎝、幅2~2.5㎝、褐色、管孔面の下はビロード状、傷つくと暗褐色に変色する。肉は淡褐色~後に銹褐色、生育時には多湿、柔軟でやや脆いフェルト質、その後、硬い繊維質~革質、乾くと軽くなり、脆い海綿質、傘の下面は帯緑黄色~黄色、後に褐黄色~暗褐色。無味、無臭又は甘い香り。管孔面は垂生し、幼時、橙色~鮮黄色、その後、緑黄色~オリーブ色、やがて褐色になり、傷つくとすぐに、暗褐色~近黒色に変色する。孔口は1~3個/㎜、角形~細長いスロットのような形(コインを入れる穴)。管孔長は1~7㎜。KOHにより肉と傘表面は黒色になり、しばしば途中でチェリーレッドになる(とくに幼菌のとき)。胞子紋は帯白色又は帯黄色。胞子は長さ6~10µm、幅3~5µm、惰円形、平滑、KOH中で無色~帯褐色、非アミロイド。シスチジアは長さ40~100µm、幅5~12.5µm、円柱形、先が丸形~棍棒形、薄壁、平滑、KOH中で無色~帯褐色。菌糸は1菌糸型、無色~黄褐色、クランプは無い。肉の菌糸は薄壁~中間の厚壁、1隔壁、時折、分枝し、KOH中で赤褐色、幅5~15µm。組織はKOHにより黄色~橙色の色素を滲出する。
カイメンタケ
カイメンタケ2
カイメンタケ管孔
カイメンタケ触れたところ
カイメンタケ傘表面
カイメンタケ管孔2
カイメンタケ管孔3
発生時期 夏~秋
大 き さ 大型 直径20~30㎝
栄養摂取 褐色腐朽菌 
発生場所 針葉樹の根際、枯木、切株
分  布 北半球の温帯以北を中心に世界に広く分布、南半球のオーストラリア、ニュージランドにも分布
食  毒 不食
撮  影 岡崎市  16.10.27
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