コウジタケに似た小型のものであり、写真のものは最も大きい傘が直径約1.5㎝であり、ヒメコウジタケと判断した。
子実体は林内(主にブナ科)の地上に群生する。傘は小型、直径(0.7)0.8~1.3(2.2)[3]㎝、初め半球形、ビロード状、饅頭形~扁平、表面は乾き、褐色~濃赤褐色~紅褐色、成長すると表皮が細かくひび割れる。柄は長さ(0.5~1)1.3~2.5㎝、幅2~3㎜、柄は上下同形、中実、細くて硬く、表面はやや微粉状、頂部は黄色、中部から下方へ向かって帯紫紅色が強くなり、下部は黄土色~帯オリーブ黄土色。管孔面は鮮黄色、傷つくと強く青変し、管孔は直生、孔口は多角形、微小。肉は質が薄く、黄色(帯黄白色)、傷つくと青変する。柄の基部の肉は淡黄土色で青変しない。胞子は長さ(7~8)9~12.5µm、幅(3.5~4)4~5µm、紡錘形。解説の大きさはまちまちであり、()で示した。
コウジタケBoletus fraternus はヒメコウジタケに比べ大型、傘は直径2~5(7)㎝、饅頭形~扁平、乾き、赤褐色~血赤色、表皮が細かくひび割れ、黄白色の肉が見える。柄は長さ(2)3~5(8)㎝、幅5~10(12)㎜、上下同径、中実、淡黄色地に赤色の条線が入る。管孔面は鮮黄色、傷つくと青変し、管孔は直生~離生し、孔長3~7㎜、孔口は角形、2個/㎜程度。肉は黄白色、傷つくと青変する。無味(美味い)、無臭。胞子紋はオリーブ褐色。胞子は長さ12~16µm、幅(4.5)5~6.5(6~8)µm、紡錘形。縁シスチジアは長さ40~55µm、幅10~13µm、紡錘形~類フラスコ形。側シスチジアは縁シスチジアと同形、同大。傘上皮層は柵状被。
ミヤマベニイグチBoletellus obscurecoccineus は林内(主にブナ科、アカマツ混生)の地上に発生し、日本、中国などアジア東部、アフリカに分布する。傘は直径2.5~6㎝、ピンク色~深紅色~帯紅褐色、細鱗片があり、ビロード状。柄は淡紅色の微鱗片が上部ほど濃く、基部は白色。管孔面は黄色、傷ついても変色せず、古くなると帯褐オリーブ色になる。肉は黄白色、変色性なく、苦味がある。
ヌメリコウジタケAureoboletus thibetanusは傘が赤褐色~褐色、しばしば鈍い赤味を帯び、古くなると明褐色~帯橙褐色、まれに灰紅色となり、明瞭な網目状~粗いしわ状~まれに平坦、湿ると強粘性、縁に黄色~無色~ほぼ無色の強くゼラチン化した内被膜の残片がつく。肉は変色性はなく、弱い酸味があり、無臭。管孔面は黄色、古くなるとオリーブ色を帯びオリーブ黄色~暗オリーブ・バフ色になり、変色性はなく、退色は非常に遅い。柄は中実、平滑、ときに上部に帯黄色の鱗粉が付着し、帯白色~帯淡黄色地に灰紅色~赤褐色の濃い条斑があり、幼時や湿った時には強い粘性がある。
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