美味であり、人工栽培され、販売されている。撹乱地(路盤、小道、造成地)の地上に束生、群生し、ときに林に単生~散生することもある。夏~秋に発生し、春に見られる地域もある。傘は直径3~12(~16)㎝、初期に饅頭形、後に広饅頭形~扁平になり、初期に縁は内巻きし、後に分裂したり、巻き上がったりする。背面は新鮮なときは湿り気があるが粘性なく、平滑、暗黄褐色~灰褐色~褐色(普通、成熟すると濃色になる)、しばしば、多少の条線が表出する(日本では放射状の繊維紋が普通ある)。ひだはつき方に変化が多く(直生~延生)、密につき、不等長、白色~汚白色、古くなると多少、黄色を帯びる。柄は長さ(3)5~10㎝、幅0.7~1.8(2)㎝、平滑、中実、ほぼ上下同形、乾き、帯白色、下方は褐色を帯びることもある。肉は白色、表皮下は表面色を帯び、硬質、変色性無く、無味無臭(又は味は良いか温和、又は多少の芳香がある)。胞子紋は純白色。胞子は無色、直径4~6(日本や中国のものは胞子がやや大きく、5.5~7.5×5~7)µmの球形~類球形、平滑、非アミロイド。シスチジアを欠く。坦子器は鉄親和性(siderophilous:アセトカルミンで黒紫色に染まる)顆粒をもつ。クランプはある。
類似種は多く、MushroomExpert.Com(by Dr. Michael Kuo)によればLyophyllum decastes として扱われているものは多くの種を含むグループであり、外観では分類は困難であり、誤った観察図鑑も多いと解説している。日本ではホンシメジ、カクミノシメジ 、シャカシメジが珍重される食菌である。
ホンシメジ Lyophyllum shimeji は秋だけアカマツ、コナラ林に束生~群生する菌根菌。分布は日本、中国。傘は暗黄褐色~暗灰褐色~灰褐色、放射状の繊維紋がある。傘の白いものはシロフ、黒いものはクロフと呼ばれる。柄は逆棍棒形(徳利形)、白色、平滑、基部が丸い。肉は表皮下とにひだの境界が灰褐色を帯び、わずかにうま味と多少の芳香がある。胞子は無色、直径4~6µmの球形。美味。人工栽培され、大黒本しめじの名で販売されている。
カクミノシメジ Lyophyllum sykosporum 針葉樹、広葉樹林下に散生~束生~群生する菌根菌。分布は日本、中国。傘は灰褐色~オリーブ褐色、繊維紋なし。傘やひだや肉は、触ると黒変する。柄は逆棍棒形、白色、繊維状、基部が尖る。胞子は長さ5.5~8.5µm、幅4.5~6.5µmのイチジク形。可食。
シャカシメジ Lyophyllum fumosum 秋にだけ広葉樹林、アカマツ混生林下に散生する菌根菌(アメリカのものは腐生菌)。北半球温帯に広く分布。柄は上下同形、条線があり、基部が合着して多数、束生し、別名がセンボンシメジ。傘は直径1~7㎝、灰白色~灰褐色、放射状の繊維紋がある。胞子は無色、直径5~6µmの類球形。美味。
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