モミ属やトウヒ属などの針葉樹の枯木や切株に通年、発生し、雨の季節に多い。
子実体は背着生、不連続、やや強靭、単生~群生し、ときに合着し、円盤形~クッション形~皿形、直径1~6㎜(合着して1~5㎝程度)、円盤はピンク色を帯びた橙色~オーカーグレイ色~ピンクグレイ色、縁は内巻きし、淡色の縁毛がある。非子実層面(abhymenial)は白色~灰色~黒灰色~淡褐色、綿毛~細かい粗毛がある。シスチジアは円柱形~数珠形、無色、長さ約200µm、幅5~10µm以下。担子器は長さ90~180µm、幅20~30µm、長さ25µm以下の小柄がある。胞子は類球形~広楕円形、長さ20~30µm、幅20~25µm、短くて鈍い刺がある。
アカコウヤクタケモドキAleurodiscus grantii は北アメリカ、日本に分布し、生きた針葉樹の枯れた枝(直径1~6㎝)に発生する。ときに枯れた若木の切株や落ち枝にも発生する。子実体は円盤形~チャワンタケ形、直径1~4㎜。散生~群生、ときに合着し、厚さ0.5~1㎜、縁の周りに長さ0.2㎜以下の白色、光沢のある繊維束がつく。子実層の表面は平ら~わずかに凸面、細かい顆粒状、淡橙ピンク色~ピンク色、ときに古くなったり、保存しておくと退色する。非子実層面は白色~灰色~淡褐色、細かい粗毛又はからみ合った毛がある。1菌糸型。担子器は棍棒形、長さ±
230µm、幅25~28µm、4小柄があり、各々長さ21µm以下。胞子は広楕円形~類球形、長さ22~32(39)µm、幅18~24(28)µm、非青染性、刺がある。刺はアミロイド、長さ4µm、幅3µm以下、先は鈍い。
コガネコウヤクタケAleurodiscus aurantius は3~5月にバラ属やキイチゴ属の枯枝に発生する。子実体は背着生、橙色~オーカー色。シスチジアは狭い棍棒形、しばしば先が数珠形になる。樹枝状糸状体(dendrohyphidia)が豊富にあり、枝分かれが多く、結晶で覆われる。担子器は長さ約70µm、幅約15µm、長さ14µm以下の小柄がある。胞子は類球形~広楕円形、長さ18~22µm、幅12~16µm、いぼ状又はいがぐり状。
その他にも類樹種は多い。クスノキに発生するサーモンピンク色のニクコウヤクタケAleurodiscus mirabilis、ヤナギに発生するヤナギノアカコウヤクタケCytidia
salicina 、広葉樹(とくにコナラ属)に発生する淡褐色のサカズキコウヤクタケAleurodiscus oakesii、広葉樹に発生するピンク色のAleurodiscus
wakefieldiae(サカズキコウヤクタケと同一とする見解もある)などがある。
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