ヤマニガナ 山苦菜
Flora of Mikawa
キク科 Asteraceae アキノノゲシ属
別 名 | チョウセンヤマニガナ(広義) |
中国名 | 毛脉翅果菊 mao mai chi guo ju |
学 名 | Lactuca raddeana Maxim. var. elata (Hemsl.) Kitam synonym Pterocypsela elata (Hemsl.) C.Shih synonym Lactuca raddeana Maxim チョウセンヤマニガナ |
花 期 | 8~9月 |
高 さ | 80~200㎝ |
生活型 | 2年草 |
生育場所 | 山地の林縁 |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア、ベトナム |
撮 影 | 三ヶ根山 05.7.30 |
ヤマニガナはアキノノゲシ属の草本、チョウセンヤマニガナの変種である。KewscienceやFlora of Chinaではチョウセンヤマニガナにヤマニガナを含めている。また、YListではヤマニガナをヤマニガナ属(Pterocypsela)に分類している。
ムラサキニガナと同様に細くて草丈が高く、全形がムラサキニガナ似た雰囲気がある。
2年草。高さ80~200㎝。茎は直立する。葉は互生し、長さ 5~16㎝、幅2~8.5㎝の卵形~卵状楕円形、下部ほど大きく、下部の葉は羽裂する。葉裏は白毛が多く、淡緑色。葉柄は長さ2~10㎝、翼がある。花は円錐花序にややまばらにつく。頭花は黄色、直径約1㎝、上向きに咲く。舌状花は7~13個で、9~11個ほどになるものが多い。舌状花の小舌の先に5歯があり、歯裏がオオジシバリと同じように赤くなることがある。ムラサキニガナの花が終わった頃、普通、咲き始める。総苞は長さ8~10㎜、下部がやや膨れ、花後には丸く膨らみ、長さ9~11㎜、幅4~5㎜。外総苞片は三角状卵形~披針形、長いもので長さ約5㎜。内総苞片は鈍頭、5~6個。痩果は長さ(3)4~5㎜、幅1.5~3㎜の扁平な惰円形、両面に3肋があり、長さ約0.5㎜の太い嘴が明瞭、冠毛は長さ6~8㎜、白色。2n=18。花期は8~9月。
多年草又は1年草、まれに亜低木、(中国ではLactuca orientalisだけ)。茎には普通、葉がつく。葉は羽状分裂又は分裂しない。頭花は4~30個又はそれ以上の小花をもつ。総苞は狭い円筒系。総苞片は無毛又は有毛。外総苞片は中心に向かって次第に長くなり、± 覆瓦状、しばしば、内総苞片の長さの約1/2又はほぼ同長。内総苞片は普通、3、5又は8個、±線状披針形~線形、果時にしばしば不等長になる。花托は露出。小花は帯黄色又は青色。痩果は狭楕円形又は広楕円形、やや扁平~扁平、2本の太い又は幅広い両側の側部のうねの間に1~数本の細いうねをもち、嘴が普通あり、丈夫、細く又は糸状。冠毛は白色又はときに、かすかに黄色を帯びた1列の細い、ざらつく剛毛をもつ[又は小さな毛の列を外側につけ、2列]。
世界におそらく約50~70種あり、主に中央アジアと南西アジア、ヨーロッパ、北アメリカに分布する。る。
synonym Pterocypsela formosana (Maximowicz) C. Shih 【ヤマニガナ属】
synonym Lactuca morii Hayata
synonym Lactuca sonchus H. Leveille & Vaniot
中国、台湾原産。中国名は台湾翅果菊 tai wan chi guo ju。山の斜面や谷の草地、山の斜面の藪や林、野原、遊歩道沿いに生える。
一年草または多年草。高さ0.5~1.5m。根は枝がある(ramose)。茎は単生、直立し、先で緩く分枝し、±粗毛があり、無毛になる。下部および中部の茎葉は、狭い葉柄のような長さ5㎝以下の抱茎の基部を持つか、または著しく広がった半抱茎(semiamplexicaul)の基部を持つ。葉身は楕円形、披針形、または倒披針形、長さ8~18㎝、粗毛があり、主肋は小さな刺のあるいがぐり状(echinulate)、分裂せずに縁に粗い歯があるか、または羽状中裂(pinnatifid)して、2~5対の楕円形~広く鎌形の側裂片があって縁にかすか~強い歯があり、頂裂片は披針形または三角形。上部の茎葉は中部の茎葉に似ており、縁はほとんど±全縁である。合成花序はゆるい散房花序であり、約10個~多数の頭花をもつ。頭花は普通、25~30個の小花を持つ。総苞は円筒形、花期に長さ1~1.1㎝、果期に長さ1.8㎝×幅0.8㎝以下になる。総苞片は先が鋭形~尖鋭形。外総苞片は広倒卵形~披針形、最も長いものは約・長さ8㎜×幅1~2㎜。内総苞片は8個。小花は黄色。痩果は長さ4.5~6.5mm、果体は赤褐色、暗褐色、または黒褐色、楕円形、扁平、広い翼があり、翼の幅2~2.3㎜、両側に1本の顕著な肋があり、先が収縮して嘴になり、嘴は普通、淡緑色~帯緑色、糸状、長さ2~3.5mm。冠毛は長さ7~8㎜、早落性。花期および果期は4~11月。2n=18。
2 Lactuca indica L. アキノノゲシ 秋の野罌粟
synonym Pterocypsela indica (L.) C.Shih 【ヤマニガナ属】
synonym Lactuca indica L. var. laciniata (Houtt.) H.Hara
synonym Pterocypsela laciniata (Houtt.) C.Shih
1・2年草。高さ60~200㎝。茎は分枝せず、直立し、茎を切ると白い乳液が出る。葉は互生し、茎の上部の葉は全縁で小さく、下部の葉は長さ10~30㎝、羽状深裂し、裂片の先が尖る。茎頂に円錐花序をのばし、直径約2㎝の頭花を多数つける。舌状花のみからなり、筒状花はない。花の色は普通、白から淡黄色、わずかに紫色を帯びることもあり、花の裏が灰色を帯びる。総苞は長さ約1㎝、花後に下部が膨れる。総苞片は覆瓦状で、縁が濃紫色。痩果は著しく扁平、長さ3~4㎜の長楕円形、黒色、両面に1肋があり、嘴は細くて長い。冠毛は白色、長さ約8㎜。2n=18。花期は8~11月。
2-1 Lactuca indica L. var. dracoglossa (Makino) Kitam. リュウゼツサイ 竜舌菜
昭和初期に台湾から鳥の餌として輸入された。
3 Lactuca pulchella (Pursh) DC. アメリカニガナ 亜米利加苦菜
synonym Lactuca integrifolia Nutt.
synonym Lactuca oblongifolia Nutt.
synonym Lactuca pulchella var. heterophylla Farw.
synonym Lactuca tatarica var. heterophylla (Nutt.) B.Boivin
synonym Lactuca tatarica var. pulchella (Pursh) Breitung
synonym Lactuca tatarica subsp. pulchella (Pursh) Stebbins
synonym Mulgedium heterophyllum Nutt.
synonym Mulgedium oblongifolium (Nutt.) Reveal
synonym Mulgedium pulchellum (Pursh) G.Don [FNA]
synonym Sonchus pulchellus Pursh 北アメリカ(USA、カナダ)原産。英名はblue lettuce。石灰質の場所、森林または低木林の空き地、牧草地、道端、川岸に生える。
多年草、根茎は広く広がり、高さ30~100㎝。茎は直立し、無毛。根生葉は花期には無い。茎葉は多数、葉身は長さ3~12(~18)㎝×幅5~25(~35+)㎜、線形~楕円形~披針形、縁は全縁~分裂し、葉の基部は普通、狭く、茎を抱かない。葉の上面の脈は無毛。花序は頭花が少数~多数、集散花序状または円錐花序状に集まってつく。花は直径2~3㎝。果時の総苞は長さ12~15(~18)mm。頭花は花が15~50個つく。花冠は鮮やかな青色で目立つ。痩果の果体は長さ4~5+㎜、赤褐色~黒色、ときに斑点があり、無毛、面には4~6本のうねがある。嘴は長さ0~1㎜。冠毛は長さ7~9(~12+)㎜、白色。2n=18。花期は6~9月。
4 Lactuca raddeana Maxim. チョウセンヤマニガナ 朝鮮山苦菜 広義
synonym Pterocypsela raddeana (Maxim.) C.Shih 【ヤマニガナ属】
日本、朝鮮、中国、ロシア、ベトナム原産。中国名は毛脉翅果菊 mao mai chi guo ju。別名はヤマニガナ。森林、林縁、雑木林、山の斜面の湿った場所、山の谷、野原、小道に生える。
2年草または多年草、高さ0.8~2m。根は枝がある(ramose)。茎は単生、直立し、基部の半分は±密に剛毛があり、先の半分は無毛で分枝する。下部と中部の茎葉は基部の長さ2~10㎝がくさび形または翼のある葉柄状。葉身の先部分は卵形、楕円形、または三角形、長さ5~16㎝×幅2~8.5㎝、不分裂~羽状深裂、または頭大羽状深裂、±剛毛があり、縁は歯状~粗い波状の歯状。側裂片は1~3対、楕円形、先は鋭形。頂裂片は三角形、卵状三角形、またはほぼ菱形、先は鋭形。上部の茎葉は、基部に短い翼があり、葉柄状~くさび形、葉身の先部分は卵形、楕円形、または披針形。合成花序は狭い円錐花序、針金状の枝に多数の頭花がある。頭花は8~11個の小花を持つ。総苞は円筒形、花期に長さ8~10㎜、果期に長さ9~11㎜×幅4~5mm。総苞片はしばしば淡紫赤色になる。外総苞片は三角状卵形~披針形、最大約・長さ5mm×幅1~2mm、先は鈍形。内総苞片は5(~6)個、先は鈍形。小花は明るい黄色。痩果は長さ3~4㎜、果体は帯赤色~暗褐色、楕円形、扁平、広い翼があり、幅1.5~2㎜、両側に3(~5)本の突出した肋があり、先が収縮して丈夫な嘴になり、嘴は果体と同色または先端が淡色、長さ0.2~0.4㎜。冠毛は長さ6~7㎜、±早落性。花期および果期は5~10月。2n=18。
伊豆諸島青ヶ島固有変種。原記載ではヤマニガナとアキノノゲシの雑種とされたが、島で分化したものとして、変種とされた。
痩果はよく結実し、両面に3肋がある(アキノノゲシは1肋、チョウセンヤマニガナは両面に4~5肋)。全体に剛壮で、茎、葉ともに全く無毛。葉が菱状倒卵形、縁に切れ込みは無く、質が厚く、表面に光沢がある。(ヤマニガナは葉形や毛に変化が多く、葉がほとんど無毛のものもあるが、質が薄く、表面に光沢は無い)
4-2 Lactuca raddeana Maxim. var. elata (Hemsl.) Kitam. ヤマニガナ 山苦菜
北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア、ベトナムに分布。山地の林縁に生える。
2年草。高さ80~200㎝。茎は直立する。葉は互生し、長さ 5~16㎝、幅2~8.5㎝の卵形~卵状楕円形、下部ほど大きく、下部の葉は羽裂する。葉裏は白毛が多く、淡緑色。葉柄は長さ2~10㎝、翼がある。花は円錐花序にややまばらにつく。頭花は黄色、直径約1㎝、上向きに咲く。舌状花は7~13個で、9~11個ほどになるものが多い。舌状花の小舌の先に5歯があり、歯裏がオオジシバリと同じように赤くなることがある。ムラサキニガナの花が終わった頃、普通、咲き始める。総苞は長さ8~10㎜、下部がやや膨れ、花後には丸く膨らみ、長さ9~11㎜、幅4~5㎜。外総苞片は三角状卵形~披針形、長いもので長さ約5㎜。内総苞片は鈍頭、5~6個。痩果は長さ(3)4~5㎜、幅1.5~3㎜の扁平な惰円形、両面に3肋があり、長さ約0.5㎜の太い嘴が明瞭、冠毛は長さ6~8㎜、白色。2n=18。花期は8~9月。
4-3 Lactuca raddeana Maxim. var. raddeana チョウセンヤマニガナ 朝鮮山苦菜 狭義
synonym Pterocypsela raddeana (Maxim.) C.Shih 【ヤマニガナ属】
狭義のチョウセンヤマニガナは痩果が長さ2.5~3mmで、両面に4~5肋がある。
5 Lactuca sativa L. チシャ 萵苣(広義のレタス)
栽培種。英名はgarden lettuce , lettuce。中国名は莴苣 wo ju 。
イラク原産。地中海沿岸、西アジア原産ともいわれる。食用に栽培される野菜。レタス、サラダ菜、カキチシ、タマレタスなどの多数の栽培種がある。
1年草または2年草、高さ25~100㎝。茎は単生、帯白色、黄緑色または粉白色を帯びた緑色、直立し、先は分枝し、無毛。葉は緑色、無毛でやや柔らかい。根生葉と下部の茎葉は無柄、倒披針形~楕円状倒披針形、長さ6~15㎝×長さ1.5~6.5㎝、分裂せず、基部は心形~矢じり形、半抱茎、縁は波状の歯状、先は鋭形、尖鋭形又は円形。上部の茎葉は下部の茎葉に似ているかまたは披針形、小さい。最上部の茎葉は卵形、非常に小さく、基部は心形~矢じり形で茎を抱き、縁は全縁。合成花序は、非常に多数の頭花を持つ円錐花序であり、頭花は普通、10~30個の小花を持つ。総苞は狭い円筒形、花期に長さ0.9~1.3㎝、果時に卵形で、直径約6㎜。総苞片は緑色~淡黄緑色、無毛、普通、果時に直立し、先は鈍形。外総苞片は広三角形~披針形、長さが内総苞片に近い。内総苞片は8個。小花は黄色。痩果の果体は淡褐色、狭倒卵形、長さ約mm、扁平、両側に5~7本の肋がある。嘴は白色、糸状、長さ2~4㎜。冠毛は長さ3~4㎜。花期および果期は2~9月。2n=18。
5-1 Lactuca sativa L. var. angustana L.H.Bailey カキチシャ 搔き苣
結球しないもの。葉チシャともいう。
(1) リーフレタス
結球性はなく、葉数が多く、葉の欠刻やしわが多い。
品種) アフロ , アメリカンレッドオークリーフ , カットマン , カルビーグリーン , カルビーレッド , キュアグリーン1号 , キュアレッド1号 , Quick(クイック)レタス , グリーンウエーブ , グリーンオーク/L-116 , グリーンカール , グリーンジャケット , グリーンスパン , グリーンバタビア/L-113 , グリーンバタビア/L-120 , グリーンリーフ/L-110(改良系) , グリーンリーフ/L-111 , サニーレタス , サマーサージ , サマールージュ , サンブライト , ダークロロロッサ , ダンシング , 夏獲りサンレッド , ノーチップ , バターレタス , ハリウッド , バリグリーン , ハワイ2号 , ハンサムグリーン , ハンサムレッド , 晩抽レッドファイヤー , 晩抽サーフレッド , 晩抽サンブライト , 晩抽サンレッド , 美味タス , ファンシーグリーン , ファンシーレッド , ブラックローズ , フリルアイス , フリルレタス/L-121 ,マザーグリーン , マザーレッド , マリノ , リバーグリーン , レッドオーク/L-117 , レッドバタビア/L-115 , レッドファイヤー , レッドリーフ/L-112 , ロザンナ , ロロロッサ ,ワインドレス ,
(2) サラダ菜
結球のしまりが柔らかいもの
品種) エルーゴ , 岡山サラダ菜 , グリーンバター/L-108 , ニュー赤サラダ , バイオ・サラダ , バターレタス , レッドバター/L-106
(3) ベビーリーフ
品種) ガーデンベビー ,
(4) クキレタス
地中海沿岸原産。中国名は莴笋 wo sun 、茎用莴苣 jing yong wo ju 。英名はstem lettuce 。
茎が伸長し、葉は狭長円形で、葉も茎も食べられる。乾燥させた茎は山クラゲという。
別名はステムレタス、茎苣(くきちしゃ)、チシャトウ。
品種) ケルン , アスパラガスレタス
(5) 韓国カキチシャ (サンチュ)
韓国料理では葉を食用とし、サンチュsangchu とよばれる。 包菜, 包み菜ともい。英名はKorean lettuce
品種) チマサンチュ(青葉種) , チマサンチュ(赤葉種)
品種) あさひな , アリスト , ウィザード , ウィンレー , エステス , エムラップ231 , オアシス , からさわ , カーチス , 菊川102 , 菊川103 , キャスパー , グリーンレーク2B61 , クールガイ ,コロラド , 極早生シスコ , サウザー , サマーガイ , サマーランド , サーマルスター , サンバレー , シーカー , しずか , シスコ , シスコF , シスコビバ , Jブレス , Jレタス , スターレイ , スーパー102 , トリガー ,ニューサリナス2号 , パスポート , バークレー , パパレタス , ビックガイ , ブリザード , フレッシュワールド , フルバック , ママレタス , マリーナ , マリア , みずさわ , ラプトル , ララポート , ランサー , レイヤード , レガシー , ロジック
5-3 Lactuca sativa L. var. longifolia ロメインレタス
立ちチシャの1種。コスレタスとも呼ばれる。英名はRomaine lettuce
葉が立性で長く、へら形。白菜のような長楕円形をした半結球形になる
品種) エバンス , コスタリカ2号 , コスタリカ4号 , コスレタス/L-119 , スプラッシュ1号 , スプラッシュ2号 ,フレンディー , マノア ,レッドコスレタス/L-118 レッドレネット , ロマリア ,コロッセオ
6 Lactuca serriola L. トゲチシャ 刺萵苣
synonym Lactuca scariola L.
中国、ロシア、インド、パキスタン、西~中央アジア、ヨーロッパ、北アフリカ原産。中国名は野莴苣 ye wo ju。英名はcompassplant , milk thistle , prickly lettuce , scarole。
1、2、多年草。高さ50~150(250)㎝。茎は直立し、赤色を帯び、長い刺が散生する。葉は互生し、無柄、深緑色~青緑色、羽状に深裂し、刺状の鋸歯があり、葉脈が白く目立つ。葉裏の中央脈に1列に刺が並ぶのが特徴である。葉の基部は耳状に張り出し茎を抱き、基部で捻じれて葉面が横を向く。茎頂に円錐花序をのばし、頭花を多数つける。頭花は長い花柄があり、淡黄色、直径10~12㎜。総苞の幅は4~6㎜。果実はタンポポに似て、長さ約4.5㎜の細長い嘴があり、嘴を含めて長さ7~7.5㎜、冠毛は長さ4~5㎜の白色。2n=18。花期は7~9月。
葉に全く切れ込みのないもの。
多年草、高さ50~100㎝、直根がある。茎は通常、淡い紫がかった赤、直立、先端で分枝し、無毛、規則的に葉が多い。葉は質が薄く、無毛、下面は粉白色の緑色、上面は緑色。下部と中部の茎葉は無柄、披針形、狭楕円状披針形または狭長円状披針形、長さ10~26㎝×幅2~3㎝、分裂しないか、ややまれに波状の歯状~羽状浅裂し、基部は漸尖し、耳状または矢じり状に茎を抱き、縁は全縁~かすかに小歯があり、先は鋭形~尖鋭形。上部の茎葉は中部の茎葉に似ているが、小さい。合成花序は散房花序~散房花序状の円錐花序状、多数の頭花を持つ。頭花は約20個の小花をもつ。総苞は円筒形、長さ0.9~1.3㎝。総苞片はしばしば帯紫色またはまだらになる。外総苞片は三角状卵形~披針形、先は鋭形。内総苞片は8個、先はほぼ鈍形。小花は青色、まれに白色。痩果は褐色~オリーブグリーン色、狭楕円形、長さ約4㎜、ほぼ扁平、両縁の肋の太さは痩果の直径の厚さの約1/3、中部の3分の1には両側に4~5本の狭い肋があり、先は漸尖または約1㎜の嘴をもつ。冠毛は長さ5~7㎜。花期および果期は7~9月。2n=18。
8 Lactuca tatarica (L.) C.A.Mey. ムラサキハチジョウナ 紫八丈菜
中国、モンゴル、ロシア、インド、パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は乳苣 ru ju 。川岸と段丘、湖畔、牧草地、野原、固まった砂丘、砂利の多い場所に生える。
多年草、高さ15~60㎝。直根があり、根から芽を出す。茎は直立し、先で分枝し、無毛、基部に主に葉がつく。葉は灰緑色~粉白色、硬く、無毛。下部と中部の茎葉は楕円形、狭楕円形、または線形、長さ6~19㎝×幅2~6㎝、基部に向かって狭くなり、羽状全裂~羽状中裂、または粗い歯があり、先は鋭形~鈍形。側裂片は2~5対、ほぼ楕円形~三角形、縁は全縁~小歯があり、または小刺がある。頂裂片は披針形~狭三角形、縁は全縁~小歯があり、または小刺がある。上部の茎葉は中部の茎葉に似ているが、小さくて切れ込みが少ない。合成花序は総状花序~散房花序状の円錐花序で、ほとんど葉がなく、普通、多数の頭花がある。頭花は約20個の小花をもつ。総苞は円筒形、花期に長さ1.1~1.4㎝×幅0.3~0.5㎝、果時に長さ2㎝以下になる。総苞片は普通、紫赤色を帯び、無毛、先は鋭形~鈍形。外総苞片は卵形~披針形。内総苞片は8個。小花は普通、紫青色~青色、まれに白色。痩果は長さ5~6mm、果体は暗灰色、円柱形~非常に狭い楕円形、ほぼ扁平、両側に5~7本の肋があり、先が漸尖するか狭くなり、果体と同色または淡色で丈夫な長さ1~2㎜の嘴になる。冠毛は長さ約1㎝花期および果期は6~9月。2n=18。
9 Lactuca triangulata Maxim. ミヤマアキノノゲシ 深山秋の野罌粟
synonym Pterocypsela triangulata (Maxim.) C.Shih 【ヤマニガナ属】
synonym Lactuca triangulata Maxim. var. sachalinensis Kitam.
日本(北海道、本州の関東地方、中部地方)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は翼柄翅果菊 yi bing chi guo ju。山の斜面の草地、山林、林縁、登山道に生える。
2年草または多年草、高さ1m以上になる。根は枝がある(ramose)。茎は単生、普通は紫赤色、直立し、先の半分または3分の1で分枝し、無毛。下部および中部の茎葉は±無毛で、縁には不等で三角形の歯があり、基部の部分は翼のある葉柄状になり、長さ6~13㎝、基部は広い耳状~矛状に茎を抱く。葉身の先部は三角形、広卵形、または広卵状心形、長さ8.5~13㎝×幅9~16㎝。上部の茎葉は中bの茎葉に似ているか、または基部が短い楔形~翼のある葉柄状になり、耳状または矢じり状に茎を抱き、葉身の先部は楕円形~菱形。最上部の葉は半抱茎の基部を持つ。合成花序はやや狭い円錐花序で、多数の頭花を持つ。頭花は10~16個の小花を持つ。総苞は円筒形、花期に長さ1~1.1cm、果時に長さ1.5㎝×幅0.5~0.6㎝以下になる。外総苞片は狭三角形~披針形で、最も長いものは約・長さ7㎜×幅1㎜、先は鋭形。内総苞片は8個、普通は紫赤色、先は鋭形~鈍形。小花は黄色。痩果は長さ4~6㎜、果体は帯黒色、帯赤色、または暗褐色、楕円形、扁平、広い翼があり、幅2~2.5㎜、両側に1~2本の突出した肋があり、先は狭まり頑丈な嘴になり、嘴は淡色、長さ0.1~0.5㎜。冠毛は長さ6~8㎜、早落性。花期および果期は6月~9月。2n=18。
10 Lactuca virosa L. トゲハニガナ 刺花苦菜
ヨーロッパ、北アフリカ、マクロネシア原産。英名はbitter lettuce , great lettuce , wild lettuce。別名はワイルドレタス。オーストラリア、ニュージーランド、北アメリカなどに帰化。
2年草。高さ20–120(–200+) cm。茎の下部1/2~2/3に葉がある。茎葉は分裂せず、葉身は倒卵形~へら形、縁は小歯があり、中肋には普通刺状の剛毛がある。 頭花は円錐花序につく。総苞は長さ12~15mm。総苞片は普通、果時に後屈する。頭花に小花は10~15個。花冠は黄色、普通、潮解性(deliquescent)。痩果は果体が帯紫色~帯黒色、±扁平、±楕円形、長さ3.5~4㎜、嘴は±糸状、長さ2.5~3.5mm、面には5~7本の脈がある。冠毛は白色、長さ5~6㎜。2n=18。花期は5~10 月。
1年草、2年草又は多年草。葉は全縁又は様々に、羽状全裂する。頭花は散房花序、円錐花序又は総状花序につく。花は黄色。痩果は扁平、楕円状長円形~倒卵形、各側に1~3条線がり、薄くて広い翼をもち、無毛、黒色、嘴が明瞭だが、普通、短い。冠毛は剛毛が多数、細かく、白色、ざらつく。
世界に約11種があり、アジア西部と南東部に分布し、主に中国にある。
synonym Lactuca raddeana Maxim. var. elata (Hemsl.) Kitam
YListでは認めているが、Kewscience, Flora of China ではLactuca raddeana に含めている。
2 Pterocypsela x mansuensis (Hayata) C.I.Peng マンスアキノノゲシ
synonym Lactuca mansuensis Hayata
台湾の恒春半島と花蓮太魯閣(タロコ)で発見の記録がある。中国名は恆春山苦藚。KewscienceではLactuca mansuensis Hayataのsynonymとしている。
形はタイワンニガナ=臺灣山苦(Lactuca formosana)とアキノノゲシ=鵝仔草(Lactuca indica)の中間で、葉は裂け、先は長く、下面の中肋に毛があり、葉の基部は半抱茎。痩果の嘴は短く長さ約1㎜。
Lactuca.
Pterocypsela C. Shih
Lactuca
Pterocypsela indica
勝山輝男:伊豆諸島青ヶ島の維管束植物 2011
ムラサキニガナと同様に細くて草丈が高く、全形がムラサキニガナ似た雰囲気がある。
2年草。高さ80~200㎝。茎は直立する。葉は互生し、長さ 5~16㎝、幅2~8.5㎝の卵形~卵状楕円形、下部ほど大きく、下部の葉は羽裂する。葉裏は白毛が多く、淡緑色。葉柄は長さ2~10㎝、翼がある。花は円錐花序にややまばらにつく。頭花は黄色、直径約1㎝、上向きに咲く。舌状花は7~13個で、9~11個ほどになるものが多い。舌状花の小舌の先に5歯があり、歯裏がオオジシバリと同じように赤くなることがある。ムラサキニガナの花が終わった頃、普通、咲き始める。総苞は長さ8~10㎜、下部がやや膨れ、花後には丸く膨らみ、長さ9~11㎜、幅4~5㎜。外総苞片は三角状卵形~披針形、長いもので長さ約5㎜。内総苞片は鈍頭、5~6個。痩果は長さ(3)4~5㎜、幅1.5~3㎜の扁平な惰円形、両面に3肋があり、長さ約0.5㎜の太い嘴が明瞭、冠毛は長さ6~8㎜、白色。2n=18。花期は8~9月。
アキノノゲシ属
family Asteraceae - genus Lactuca多年草又は1年草、まれに亜低木、(中国ではLactuca orientalisだけ)。茎には普通、葉がつく。葉は羽状分裂又は分裂しない。頭花は4~30個又はそれ以上の小花をもつ。総苞は狭い円筒系。総苞片は無毛又は有毛。外総苞片は中心に向かって次第に長くなり、± 覆瓦状、しばしば、内総苞片の長さの約1/2又はほぼ同長。内総苞片は普通、3、5又は8個、±線状披針形~線形、果時にしばしば不等長になる。花托は露出。小花は帯黄色又は青色。痩果は狭楕円形又は広楕円形、やや扁平~扁平、2本の太い又は幅広い両側の側部のうねの間に1~数本の細いうねをもち、嘴が普通あり、丈夫、細く又は糸状。冠毛は白色又はときに、かすかに黄色を帯びた1列の細い、ざらつく剛毛をもつ[又は小さな毛の列を外側につけ、2列]。
世界におそらく約50~70種あり、主に中央アジアと南西アジア、ヨーロッパ、北アメリカに分布する。る。
アキノノゲシ属 の主な種と園芸品種
1 Lactuca formosana Maxim. タイワンニガナ 台湾苦菜synonym Pterocypsela formosana (Maximowicz) C. Shih 【ヤマニガナ属】
synonym Lactuca morii Hayata
synonym Lactuca sonchus H. Leveille & Vaniot
中国、台湾原産。中国名は台湾翅果菊 tai wan chi guo ju。山の斜面や谷の草地、山の斜面の藪や林、野原、遊歩道沿いに生える。
一年草または多年草。高さ0.5~1.5m。根は枝がある(ramose)。茎は単生、直立し、先で緩く分枝し、±粗毛があり、無毛になる。下部および中部の茎葉は、狭い葉柄のような長さ5㎝以下の抱茎の基部を持つか、または著しく広がった半抱茎(semiamplexicaul)の基部を持つ。葉身は楕円形、披針形、または倒披針形、長さ8~18㎝、粗毛があり、主肋は小さな刺のあるいがぐり状(echinulate)、分裂せずに縁に粗い歯があるか、または羽状中裂(pinnatifid)して、2~5対の楕円形~広く鎌形の側裂片があって縁にかすか~強い歯があり、頂裂片は披針形または三角形。上部の茎葉は中部の茎葉に似ており、縁はほとんど±全縁である。合成花序はゆるい散房花序であり、約10個~多数の頭花をもつ。頭花は普通、25~30個の小花を持つ。総苞は円筒形、花期に長さ1~1.1㎝、果期に長さ1.8㎝×幅0.8㎝以下になる。総苞片は先が鋭形~尖鋭形。外総苞片は広倒卵形~披針形、最も長いものは約・長さ8㎜×幅1~2㎜。内総苞片は8個。小花は黄色。痩果は長さ4.5~6.5mm、果体は赤褐色、暗褐色、または黒褐色、楕円形、扁平、広い翼があり、翼の幅2~2.3㎜、両側に1本の顕著な肋があり、先が収縮して嘴になり、嘴は普通、淡緑色~帯緑色、糸状、長さ2~3.5mm。冠毛は長さ7~8㎜、早落性。花期および果期は4~11月。2n=18。
2 Lactuca indica L. アキノノゲシ 秋の野罌粟
synonym Pterocypsela indica (L.) C.Shih 【ヤマニガナ属】
synonym Lactuca indica L. var. laciniata (Houtt.) H.Hara
synonym Pterocypsela laciniata (Houtt.) C.Shih
synonym Lactuca indica L. var. laciniata (Houtt.) H.Hara f. indivisa (Maxim.) H.Hara ホソバアキノノゲシ
日本全土、朝鮮、中国、ロシア、インド、ブータン、フィリピン、タイ、ベトナム原産。中国名は翅果菊 chi guo ju。英名はIndian lettuce1・2年草。高さ60~200㎝。茎は分枝せず、直立し、茎を切ると白い乳液が出る。葉は互生し、茎の上部の葉は全縁で小さく、下部の葉は長さ10~30㎝、羽状深裂し、裂片の先が尖る。茎頂に円錐花序をのばし、直径約2㎝の頭花を多数つける。舌状花のみからなり、筒状花はない。花の色は普通、白から淡黄色、わずかに紫色を帯びることもあり、花の裏が灰色を帯びる。総苞は長さ約1㎝、花後に下部が膨れる。総苞片は覆瓦状で、縁が濃紫色。痩果は著しく扁平、長さ3~4㎜の長楕円形、黒色、両面に1肋があり、嘴は細くて長い。冠毛は白色、長さ約8㎜。2n=18。花期は8~11月。
2-1 Lactuca indica L. var. dracoglossa (Makino) Kitam. リュウゼツサイ 竜舌菜
昭和初期に台湾から鳥の餌として輸入された。
2-2 Lactuca indica L. var. laciniata (Houtt.) H.Hara f. indivisa (Maxim.) H.Hara ホソバアキニノゲシ 細葉秋の野罌粟
葉幅の狭いもの。現在では品種に分類しない。3 Lactuca pulchella (Pursh) DC. アメリカニガナ 亜米利加苦菜
synonym Lactuca tatarica (L.) C. A. Mey. subsp. pulchella (Pursh) Stebbins [The Jepson Herbarium]
synonym Agathyrsus pulchellus D.Donsynonym Lactuca integrifolia Nutt.
synonym Lactuca oblongifolia Nutt.
synonym Lactuca pulchella var. heterophylla Farw.
synonym Lactuca tatarica var. heterophylla (Nutt.) B.Boivin
synonym Lactuca tatarica var. pulchella (Pursh) Breitung
synonym Lactuca tatarica subsp. pulchella (Pursh) Stebbins
synonym Mulgedium heterophyllum Nutt.
synonym Mulgedium oblongifolium (Nutt.) Reveal
synonym Mulgedium pulchellum (Pursh) G.Don [FNA]
synonym Sonchus pulchellus Pursh 北アメリカ(USA、カナダ)原産。英名はblue lettuce。石灰質の場所、森林または低木林の空き地、牧草地、道端、川岸に生える。
多年草、根茎は広く広がり、高さ30~100㎝。茎は直立し、無毛。根生葉は花期には無い。茎葉は多数、葉身は長さ3~12(~18)㎝×幅5~25(~35+)㎜、線形~楕円形~披針形、縁は全縁~分裂し、葉の基部は普通、狭く、茎を抱かない。葉の上面の脈は無毛。花序は頭花が少数~多数、集散花序状または円錐花序状に集まってつく。花は直径2~3㎝。果時の総苞は長さ12~15(~18)mm。頭花は花が15~50個つく。花冠は鮮やかな青色で目立つ。痩果の果体は長さ4~5+㎜、赤褐色~黒色、ときに斑点があり、無毛、面には4~6本のうねがある。嘴は長さ0~1㎜。冠毛は長さ7~9(~12+)㎜、白色。2n=18。花期は6~9月。
4 Lactuca raddeana Maxim. チョウセンヤマニガナ 朝鮮山苦菜 広義
synonym Pterocypsela raddeana (Maxim.) C.Shih 【ヤマニガナ属】
日本、朝鮮、中国、ロシア、ベトナム原産。中国名は毛脉翅果菊 mao mai chi guo ju。別名はヤマニガナ。森林、林縁、雑木林、山の斜面の湿った場所、山の谷、野原、小道に生える。
2年草または多年草、高さ0.8~2m。根は枝がある(ramose)。茎は単生、直立し、基部の半分は±密に剛毛があり、先の半分は無毛で分枝する。下部と中部の茎葉は基部の長さ2~10㎝がくさび形または翼のある葉柄状。葉身の先部分は卵形、楕円形、または三角形、長さ5~16㎝×幅2~8.5㎝、不分裂~羽状深裂、または頭大羽状深裂、±剛毛があり、縁は歯状~粗い波状の歯状。側裂片は1~3対、楕円形、先は鋭形。頂裂片は三角形、卵状三角形、またはほぼ菱形、先は鋭形。上部の茎葉は、基部に短い翼があり、葉柄状~くさび形、葉身の先部分は卵形、楕円形、または披針形。合成花序は狭い円錐花序、針金状の枝に多数の頭花がある。頭花は8~11個の小花を持つ。総苞は円筒形、花期に長さ8~10㎜、果期に長さ9~11㎜×幅4~5mm。総苞片はしばしば淡紫赤色になる。外総苞片は三角状卵形~披針形、最大約・長さ5mm×幅1~2mm、先は鈍形。内総苞片は5(~6)個、先は鈍形。小花は明るい黄色。痩果は長さ3~4㎜、果体は帯赤色~暗褐色、楕円形、扁平、広い翼があり、幅1.5~2㎜、両側に3(~5)本の突出した肋があり、先が収縮して丈夫な嘴になり、嘴は果体と同色または先端が淡色、長さ0.2~0.4㎜。冠毛は長さ6~7㎜、±早落性。花期および果期は5~10月。2n=18。
4-1 Lactuca raddeana Maxim. var. aogashimaensis (Kitam.) Katsuy. ヤマアキノノゲシ 山秋の野罌粟
synonym Lactuca aogashimaensis Kitam.伊豆諸島青ヶ島固有変種。原記載ではヤマニガナとアキノノゲシの雑種とされたが、島で分化したものとして、変種とされた。
痩果はよく結実し、両面に3肋がある(アキノノゲシは1肋、チョウセンヤマニガナは両面に4~5肋)。全体に剛壮で、茎、葉ともに全く無毛。葉が菱状倒卵形、縁に切れ込みは無く、質が厚く、表面に光沢がある。(ヤマニガナは葉形や毛に変化が多く、葉がほとんど無毛のものもあるが、質が薄く、表面に光沢は無い)
4-2 Lactuca raddeana Maxim. var. elata (Hemsl.) Kitam. ヤマニガナ 山苦菜
北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア、ベトナムに分布。山地の林縁に生える。
2年草。高さ80~200㎝。茎は直立する。葉は互生し、長さ 5~16㎝、幅2~8.5㎝の卵形~卵状楕円形、下部ほど大きく、下部の葉は羽裂する。葉裏は白毛が多く、淡緑色。葉柄は長さ2~10㎝、翼がある。花は円錐花序にややまばらにつく。頭花は黄色、直径約1㎝、上向きに咲く。舌状花は7~13個で、9~11個ほどになるものが多い。舌状花の小舌の先に5歯があり、歯裏がオオジシバリと同じように赤くなることがある。ムラサキニガナの花が終わった頃、普通、咲き始める。総苞は長さ8~10㎜、下部がやや膨れ、花後には丸く膨らみ、長さ9~11㎜、幅4~5㎜。外総苞片は三角状卵形~披針形、長いもので長さ約5㎜。内総苞片は鈍頭、5~6個。痩果は長さ(3)4~5㎜、幅1.5~3㎜の扁平な惰円形、両面に3肋があり、長さ約0.5㎜の太い嘴が明瞭、冠毛は長さ6~8㎜、白色。2n=18。花期は8~9月。
4-3 Lactuca raddeana Maxim. var. raddeana チョウセンヤマニガナ 朝鮮山苦菜 狭義
synonym Pterocypsela raddeana (Maxim.) C.Shih 【ヤマニガナ属】
狭義のチョウセンヤマニガナは痩果が長さ2.5~3mmで、両面に4~5肋がある。
5 Lactuca sativa L. チシャ 萵苣(広義のレタス)
栽培種。英名はgarden lettuce , lettuce。中国名は莴苣 wo ju 。
イラク原産。地中海沿岸、西アジア原産ともいわれる。食用に栽培される野菜。レタス、サラダ菜、カキチシ、タマレタスなどの多数の栽培種がある。
1年草または2年草、高さ25~100㎝。茎は単生、帯白色、黄緑色または粉白色を帯びた緑色、直立し、先は分枝し、無毛。葉は緑色、無毛でやや柔らかい。根生葉と下部の茎葉は無柄、倒披針形~楕円状倒披針形、長さ6~15㎝×長さ1.5~6.5㎝、分裂せず、基部は心形~矢じり形、半抱茎、縁は波状の歯状、先は鋭形、尖鋭形又は円形。上部の茎葉は下部の茎葉に似ているかまたは披針形、小さい。最上部の茎葉は卵形、非常に小さく、基部は心形~矢じり形で茎を抱き、縁は全縁。合成花序は、非常に多数の頭花を持つ円錐花序であり、頭花は普通、10~30個の小花を持つ。総苞は狭い円筒形、花期に長さ0.9~1.3㎝、果時に卵形で、直径約6㎜。総苞片は緑色~淡黄緑色、無毛、普通、果時に直立し、先は鈍形。外総苞片は広三角形~披針形、長さが内総苞片に近い。内総苞片は8個。小花は黄色。痩果の果体は淡褐色、狭倒卵形、長さ約mm、扁平、両側に5~7本の肋がある。嘴は白色、糸状、長さ2~4㎜。冠毛は長さ3~4㎜。花期および果期は2~9月。2n=18。
チシャ(広義のレタス)の分類
5-1 Lactuca sativa L. var. angustana L.H.Bailey カキチシャ 搔き苣
結球しないもの。葉チシャともいう。
(1) リーフレタス
結球性はなく、葉数が多く、葉の欠刻やしわが多い。
品種) アフロ , アメリカンレッドオークリーフ , カットマン , カルビーグリーン , カルビーレッド , キュアグリーン1号 , キュアレッド1号 , Quick(クイック)レタス , グリーンウエーブ , グリーンオーク/L-116 , グリーンカール , グリーンジャケット , グリーンスパン , グリーンバタビア/L-113 , グリーンバタビア/L-120 , グリーンリーフ/L-110(改良系) , グリーンリーフ/L-111 , サニーレタス , サマーサージ , サマールージュ , サンブライト , ダークロロロッサ , ダンシング , 夏獲りサンレッド , ノーチップ , バターレタス , ハリウッド , バリグリーン , ハワイ2号 , ハンサムグリーン , ハンサムレッド , 晩抽レッドファイヤー , 晩抽サーフレッド , 晩抽サンブライト , 晩抽サンレッド , 美味タス , ファンシーグリーン , ファンシーレッド , ブラックローズ , フリルアイス , フリルレタス/L-121 ,マザーグリーン , マザーレッド , マリノ , リバーグリーン , レッドオーク/L-117 , レッドバタビア/L-115 , レッドファイヤー , レッドリーフ/L-112 , ロザンナ , ロロロッサ ,ワインドレス ,
(2) サラダ菜
結球のしまりが柔らかいもの
品種) エルーゴ , 岡山サラダ菜 , グリーンバター/L-108 , ニュー赤サラダ , バイオ・サラダ , バターレタス , レッドバター/L-106
(3) ベビーリーフ
品種) ガーデンベビー ,
(4) クキレタス
地中海沿岸原産。中国名は莴笋 wo sun 、茎用莴苣 jing yong wo ju 。英名はstem lettuce 。
茎が伸長し、葉は狭長円形で、葉も茎も食べられる。乾燥させた茎は山クラゲという。
別名はステムレタス、茎苣(くきちしゃ)、チシャトウ。
品種) ケルン , アスパラガスレタス
(5) 韓国カキチシャ (サンチュ)
韓国料理では葉を食用とし、サンチュsangchu とよばれる。 包菜, 包み菜ともい。英名はKorean lettuce
品種) チマサンチュ(青葉種) , チマサンチュ(赤葉種)
5-2 Lactuca sativa L. var. capitata L. タマチシャ 球萵苣 、玉レタス(狭義のレタス)
結球するもの。品種) あさひな , アリスト , ウィザード , ウィンレー , エステス , エムラップ231 , オアシス , からさわ , カーチス , 菊川102 , 菊川103 , キャスパー , グリーンレーク2B61 , クールガイ ,コロラド , 極早生シスコ , サウザー , サマーガイ , サマーランド , サーマルスター , サンバレー , シーカー , しずか , シスコ , シスコF , シスコビバ , Jブレス , Jレタス , スターレイ , スーパー102 , トリガー ,ニューサリナス2号 , パスポート , バークレー , パパレタス , ビックガイ , ブリザード , フレッシュワールド , フルバック , ママレタス , マリーナ , マリア , みずさわ , ラプトル , ララポート , ランサー , レイヤード , レガシー , ロジック
5-3 Lactuca sativa L. var. longifolia ロメインレタス
立ちチシャの1種。コスレタスとも呼ばれる。英名はRomaine lettuce
葉が立性で長く、へら形。白菜のような長楕円形をした半結球形になる
品種) エバンス , コスタリカ2号 , コスタリカ4号 , コスレタス/L-119 , スプラッシュ1号 , スプラッシュ2号 ,フレンディー , マノア ,レッドコスレタス/L-118 レッドレネット , ロマリア ,コロッセオ
6 Lactuca serriola L. トゲチシャ 刺萵苣
synonym Lactuca scariola L.
中国、ロシア、インド、パキスタン、西~中央アジア、ヨーロッパ、北アフリカ原産。中国名は野莴苣 ye wo ju。英名はcompassplant , milk thistle , prickly lettuce , scarole。
1、2、多年草。高さ50~150(250)㎝。茎は直立し、赤色を帯び、長い刺が散生する。葉は互生し、無柄、深緑色~青緑色、羽状に深裂し、刺状の鋸歯があり、葉脈が白く目立つ。葉裏の中央脈に1列に刺が並ぶのが特徴である。葉の基部は耳状に張り出し茎を抱き、基部で捻じれて葉面が横を向く。茎頂に円錐花序をのばし、頭花を多数つける。頭花は長い花柄があり、淡黄色、直径10~12㎜。総苞の幅は4~6㎜。果実はタンポポに似て、長さ約4.5㎜の細長い嘴があり、嘴を含めて長さ7~7.5㎜、冠毛は長さ4~5㎜の白色。2n=18。花期は7~9月。
6-1 Lactuca serriola L. f. integrifolia (Gray) S.D.Prince et R.N.Carter マルバトゲチシャ
synonym Lactuca serriola L. var. integrata Gren. et Godr.葉に全く切れ込みのないもの。
7 Lactuca sibirica (L.) Benth. ex Maxim. エゾムラサキニガナ 蝦夷紫苦菜
日本(北海道)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、エストニア、ウクライナ、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン原産。中国名は山莴苣 shan wo ju 。森林、林縁、牧草地、川岸、湿った場所、湖畔に生える。多年草、高さ50~100㎝、直根がある。茎は通常、淡い紫がかった赤、直立、先端で分枝し、無毛、規則的に葉が多い。葉は質が薄く、無毛、下面は粉白色の緑色、上面は緑色。下部と中部の茎葉は無柄、披針形、狭楕円状披針形または狭長円状披針形、長さ10~26㎝×幅2~3㎝、分裂しないか、ややまれに波状の歯状~羽状浅裂し、基部は漸尖し、耳状または矢じり状に茎を抱き、縁は全縁~かすかに小歯があり、先は鋭形~尖鋭形。上部の茎葉は中部の茎葉に似ているが、小さい。合成花序は散房花序~散房花序状の円錐花序状、多数の頭花を持つ。頭花は約20個の小花をもつ。総苞は円筒形、長さ0.9~1.3㎝。総苞片はしばしば帯紫色またはまだらになる。外総苞片は三角状卵形~披針形、先は鋭形。内総苞片は8個、先はほぼ鈍形。小花は青色、まれに白色。痩果は褐色~オリーブグリーン色、狭楕円形、長さ約4㎜、ほぼ扁平、両縁の肋の太さは痩果の直径の厚さの約1/3、中部の3分の1には両側に4~5本の狭い肋があり、先は漸尖または約1㎜の嘴をもつ。冠毛は長さ5~7㎜。花期および果期は7~9月。2n=18。
8 Lactuca tatarica (L.) C.A.Mey. ムラサキハチジョウナ 紫八丈菜
中国、モンゴル、ロシア、インド、パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は乳苣 ru ju 。川岸と段丘、湖畔、牧草地、野原、固まった砂丘、砂利の多い場所に生える。
多年草、高さ15~60㎝。直根があり、根から芽を出す。茎は直立し、先で分枝し、無毛、基部に主に葉がつく。葉は灰緑色~粉白色、硬く、無毛。下部と中部の茎葉は楕円形、狭楕円形、または線形、長さ6~19㎝×幅2~6㎝、基部に向かって狭くなり、羽状全裂~羽状中裂、または粗い歯があり、先は鋭形~鈍形。側裂片は2~5対、ほぼ楕円形~三角形、縁は全縁~小歯があり、または小刺がある。頂裂片は披針形~狭三角形、縁は全縁~小歯があり、または小刺がある。上部の茎葉は中部の茎葉に似ているが、小さくて切れ込みが少ない。合成花序は総状花序~散房花序状の円錐花序で、ほとんど葉がなく、普通、多数の頭花がある。頭花は約20個の小花をもつ。総苞は円筒形、花期に長さ1.1~1.4㎝×幅0.3~0.5㎝、果時に長さ2㎝以下になる。総苞片は普通、紫赤色を帯び、無毛、先は鋭形~鈍形。外総苞片は卵形~披針形。内総苞片は8個。小花は普通、紫青色~青色、まれに白色。痩果は長さ5~6mm、果体は暗灰色、円柱形~非常に狭い楕円形、ほぼ扁平、両側に5~7本の肋があり、先が漸尖するか狭くなり、果体と同色または淡色で丈夫な長さ1~2㎜の嘴になる。冠毛は長さ約1㎝花期および果期は6~9月。2n=18。
9 Lactuca triangulata Maxim. ミヤマアキノノゲシ 深山秋の野罌粟
synonym Pterocypsela triangulata (Maxim.) C.Shih 【ヤマニガナ属】
synonym Lactuca triangulata Maxim. var. sachalinensis Kitam.
日本(北海道、本州の関東地方、中部地方)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は翼柄翅果菊 yi bing chi guo ju。山の斜面の草地、山林、林縁、登山道に生える。
2年草または多年草、高さ1m以上になる。根は枝がある(ramose)。茎は単生、普通は紫赤色、直立し、先の半分または3分の1で分枝し、無毛。下部および中部の茎葉は±無毛で、縁には不等で三角形の歯があり、基部の部分は翼のある葉柄状になり、長さ6~13㎝、基部は広い耳状~矛状に茎を抱く。葉身の先部は三角形、広卵形、または広卵状心形、長さ8.5~13㎝×幅9~16㎝。上部の茎葉は中bの茎葉に似ているか、または基部が短い楔形~翼のある葉柄状になり、耳状または矢じり状に茎を抱き、葉身の先部は楕円形~菱形。最上部の葉は半抱茎の基部を持つ。合成花序はやや狭い円錐花序で、多数の頭花を持つ。頭花は10~16個の小花を持つ。総苞は円筒形、花期に長さ1~1.1cm、果時に長さ1.5㎝×幅0.5~0.6㎝以下になる。外総苞片は狭三角形~披針形で、最も長いものは約・長さ7㎜×幅1㎜、先は鋭形。内総苞片は8個、普通は紫赤色、先は鋭形~鈍形。小花は黄色。痩果は長さ4~6㎜、果体は帯黒色、帯赤色、または暗褐色、楕円形、扁平、広い翼があり、幅2~2.5㎜、両側に1~2本の突出した肋があり、先は狭まり頑丈な嘴になり、嘴は淡色、長さ0.1~0.5㎜。冠毛は長さ6~8㎜、早落性。花期および果期は6月~9月。2n=18。
10 Lactuca virosa L. トゲハニガナ 刺花苦菜
ヨーロッパ、北アフリカ、マクロネシア原産。英名はbitter lettuce , great lettuce , wild lettuce。別名はワイルドレタス。オーストラリア、ニュージーランド、北アメリカなどに帰化。
2年草。高さ20–120(–200+) cm。茎の下部1/2~2/3に葉がある。茎葉は分裂せず、葉身は倒卵形~へら形、縁は小歯があり、中肋には普通刺状の剛毛がある。 頭花は円錐花序につく。総苞は長さ12~15mm。総苞片は普通、果時に後屈する。頭花に小花は10~15個。花冠は黄色、普通、潮解性(deliquescent)。痩果は果体が帯紫色~帯黒色、±扁平、±楕円形、長さ3.5~4㎜、嘴は±糸状、長さ2.5~3.5mm、面には5~7本の脈がある。冠毛は白色、長さ5~6㎜。2n=18。花期は5~10 月。
ヤマニガナ属
Kewscienceではこの属を認めていない。YListには記載あり。 family Asteraceae - genus Pterocypsela1年草、2年草又は多年草。葉は全縁又は様々に、羽状全裂する。頭花は散房花序、円錐花序又は総状花序につく。花は黄色。痩果は扁平、楕円状長円形~倒卵形、各側に1~3条線がり、薄くて広い翼をもち、無毛、黒色、嘴が明瞭だが、普通、短い。冠毛は剛毛が多数、細かく、白色、ざらつく。
世界に約11種があり、アジア西部と南東部に分布し、主に中国にある。
ヤマニガナ属の主な種
1 Pterocypsela elata (Hemsl.) C.Shih ヤマニガナ 山苦菜synonym Lactuca raddeana Maxim. var. elata (Hemsl.) Kitam
YListでは認めているが、Kewscience, Flora of China ではLactuca raddeana に含めている。
2 Pterocypsela x mansuensis (Hayata) C.I.Peng マンスアキノノゲシ
synonym Lactuca mansuensis Hayata
台湾の恒春半島と花蓮太魯閣(タロコ)で発見の記録がある。中国名は恆春山苦藚。KewscienceではLactuca mansuensis Hayataのsynonymとしている。
形はタイワンニガナ=臺灣山苦(Lactuca formosana)とアキノノゲシ=鵝仔草(Lactuca indica)の中間で、葉は裂け、先は長く、下面の中肋に毛があり、葉の基部は半抱茎。痩果の嘴は短く長さ約1㎜。
参考
1) GRINLactuca.
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=6451
2) Pterocypsela in Digital Flora of Taiwan @ efloras.orgPterocypsela C. Shih
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=100&taxon_id=200488
3) Flora of ChinaLactuca
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=117438
4) Global Plants on JSTORPterocypsela indica
https://plants.jstor.org/compilation/Pterocypsela.indica
5) 神奈川県立 生命の星・地球博物館勝山輝男:伊豆諸島青ヶ島の維管束植物 2011
http://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=23256