ヤマハハコ 山母子
Flora of Mikawa
キク科 Asteraceae ヤマハハコ属
中国名 |
珠光香青 zhu guang xiang qing |
英 名 | western pearly everlasting , pearly everlasting |
学 名 |
Anaphalis margaritacea (L.) Benth. et Hook.f. subsp. margaritacea synonym Anaphalis margaritacea (L.) Benth. et Hook.f. var. margaritacea |
花 期 | 8~10月 |
高 さ | 30~60(100) |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 山野の向陽地 |
分 布 | 在来種 北海道、本州(長野県、石川県以北)、中国、ロシア、インド、ネパール、北アメリカ |
撮 影 | 長野県 06.8.19 |
変種の西日本型のホソバノヤマハハコはやや小型で、中間では枝分かれせず、葉が細い。
カワラハハコは茎の中部で枝分かれし、葉が線形。
ヤマハハコ属
family Asteraceae - genus Anaphalis多年草、まれに1年草又は2年草、又は亜低木、やや木質の根茎をもつ。茎は直立又はロゼット形になり、単純又は分枝し、密に白色又は灰色の綿毛がある。葉は単葉、互生、まれに類対生~対生し、葉柄は無又は有、又は沿下し、長円形~披針形、全縁。頭花は小花を多数もち、直径3~15㎜、類球形、鐘形又は類漏斗形、散房花序状または円錐状の散房花序状の分枝する合成花序につき、まれに単生又は合成花序に2~3個つく。雌雄異株又は異形配偶、異なった形の小花をもつ。両性の不稔の小花は、縁に多数の列につく雌性の支配的な小花と1~少数の中央の雄小花とともにつき、又は多数列の雄小花と中央に少数の雌小花とともにつく。総苞は鐘形、こま形、又は半球形、基部に綿毛がある。総苞片は多列につき、覆瓦状、直立又は広がり、薄膜質、下部は褐色、1脈があり、上部は普通、薄膜質、白色又は黄白色、まらに、帯ピンク色。花托は類凸面、又は平ら、ハチの巣状、鱗片がある。雄小花の花冠は筒形、5歯がある。雄しべは基部が矢形で、針状の尾をもつ。柱頭は2個の短い裂片をもち、先は切形。雌小花は花冠が糸状、基部はわずかに広がり、2~4歯がある。花柱の枝は長く、先は類円形。痩果は長円形又は類球形、腺毛又はマミラがあるか、まてゃほとんど無毛。支配的な雌頭花では雄小花の痩果は痕跡、支配的な雄頭花では普通、無い。両小花の冠毛は離生の脱落性の白色の毛の1列からなり、花冠の長さとほぼ等しく、ザラつき、.雄小花では先が羽状に肥厚(pinnate-incrassate)する。雌小花では糸状でほとんど平滑又は先がザラつく。
世界に約110種あり、主に熱帯、亜熱帯のアジアに分布し、少数がアジア、ヨーロッパ、北アメリカの温帯に分布する。
ヤマハハコ属 の主な種と園芸品種
1 Anaphalis adnata DC. タイワンヤマハハコ 台湾山母子 ⇒ ハハコグサ属
synonym Pseudognaphalium adnatum (DC.) Y.S.Chen中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン原産。中国名は宽叶拟鼠麴草 kuan ye ni shu qu cao
ハハコグサ属(Pseudognaphalium)に移動されている。
2 Anaphalis alpicola Makino タカネヤハズハハコ 高嶺矢筈母子
synonym Anaphalis lactea auct. non Maxim.
日本固有種(北海道、本州の中部以北)。別名はタカネウスユキソウ。高山帯の乾いた礫地、湿った草地などに生える。
多年草、高さ10~20(30)㎝、叢生する。全体に絹毛状の綿毛があり白っぽく見える。花茎を出さない株の根出葉は直立し、倒披針形、長さ6~12cm×幅1~2cm。花茎は高さ10~20(30)㎝。茎葉は互生し、全縁、灰白色の綿毛があり、下部の茎葉は小さく、中部の茎葉は披針形、長さ4~6cm×幅約1cm、基部は茎に沿下し、細い翼になる。雌雄異株、雄株と両性花株がある。頂生の散房花序状の合成花序に直径約1㎝の淡黄色の頭花を10数個つける。総苞は球形。総苞片は乾いた薄膜質、白色、下部は紅褐色または紅色を帯びる。頭花は筒状花のみ。痩果は長円形。花期は7~8月。
2-1 Anaphalis alpicola Makino f. robusta H.Hara アポイハハコ
根生葉は厚く、広披針形、葉先は円形。
3 Anaphalis aureopunctata Lingelsh. & Borza ニオイヤハズハハコ
synonym Anaphalis sinica Hance subsp. intermedia (Pamp.) Kitam.
中国原産。中国名は黄腺香青 huang xian xiang qing。森林、林縁、丘陵地、草地、竹林や草地の斜面、岩場、谷間、湿地に生える。
根茎は細いかやや太い。ランナーは長さ約12㎝、まれに20㎝。茎は直立または斜上し、長さ20~50㎝、細いまたは太く、単純、まれに、開花期の後に直立した花枝をもち、基部は草質または木質で、白色または淡色のくも毛の綿毛があり、下部はやや無毛。下部の葉が密集するか、上部の葉が緩い。ロゼットの葉は広へら状楕円形、下部は漸尖して長い柄になり、普通、密に羊毛状毛がある。下部の葉は落葉し、開花期までに失われ、ヘラ形または披針状楕円形、柄に翼があり、長さ5~16㎝×幅1~6㎝。中部の葉はわずかに小さく、やや広がり、基部は漸尖し、茎に沿下し、幅の広いまたは狭い翼になり、縁は平らで、先は鋭形、またはまれに尖鋭形、微突(mucro)または長い尖り(cusp)形がある。上部の葉は小さく、披針状線形。 すべての葉は白色または青白いくも毛があり、触手があり(tentacles)、羊毛状毛があり、または下面は無毛で、上面は柄のある(cauliferous)羊毛状毛と容易に脱落するクモ毛があり、3または5脈があり、側脈が目立ち、縁に達するか縁で消えるか、または1脈がある。頭花は多数、密、複合の散房花序。花序柄は細い。総苞は鐘形または狭い鐘形、長さ5~6㎜×幅約5㎜。総苞片は5列。外総苞片は薄褐色~帯暗褐色、卵形、長さ約2㎜、羊毛状毛がある。中総苞片は白色または黄白色、長さ約5㎜、雄花の先端は広円形、幅約2.5㎜、雌花の先は鈍形~鋭形、幅約1.5㎜。 最も内側の総苞片は、わずかに細くて短く、ヘラ形または楕円形、爪部は長さが全長の約2/3。花托は繊維状の付属体をもつ。大部分の(predominantly)中心雌頭花は雌小花と3~4個の雄小花を持つ。大部分の雄頭花は、雄小花のみをもつか、または外側の列に3~4個の雌小花を持つ。花冠は長さ3~3.5㎜。冠毛は花冠よりわずかに長く、雄小花の先の頂部が肥厚し(incrassate)、細かい鋸歯がある(serrulate)。痩果は長さ約1㎜、絨毛がある。花期は7~9月。果期は9~10月。
4 Anaphalis hancockii Maxim. シナタカネヤハズハハコ 志那高嶺矢筈母子
中国原産。中国名は铃铃香青 ling ling xiang qing。亜高山帯の山頂や草が茂った斜面に生える。根茎は細く、やや木質で、ランナーは膜質の鱗状葉が多く、末端にロゼットの葉をつける。茎は膝状の基部(geniculate base)から直立し、高さ5~35㎝、細く、くも毛状の綿毛があり、有頭有柄の腺のある直軟毛があり、上部はくも毛状の綿毛があり、しばしばまばらに葉がつく。ロゼットと下部の茎葉はヘラ形または線状長円形、長さ2~10㎝×幅0.5~1.5㎝、基部は漸尖して葉柄になり、または無柄、先は円形~鋭形。中部と上部の茎葉は直立または茎に伏せ、線形または線状披針形、まれに線状長円形、やや広がり、縁は平ら、膜質、先は枯れた長い尖形をもつ。葉はすべて質が薄く、両面に有頭腺毛があり、縁に灰白色のくも毛状の綿毛があり、明瞭な3本の脈があるか、またはさらに不明瞭な2本の側脈がある。頭花は9~15個、密な複合の散房花序につく。花序柄は長さ1~3㎜。総苞は広鐘形、長さ8~9(~11)㎜×幅8~10㎜。総苞片4~5列、やや広がる。外総苞片は赤褐色(rufous)または暗赤色(puce)、楕円形、長さ5~6㎜。中総苞片は白色、長円状披針形、長さ8~10㎜×幅3~4㎜、先が鋭形。最も内側の総苞片は線形で、全長の約1/3の爪部がある。花托は小繊維状の短毛を持つ。頭花は多数の雌小花を持ち、大部分の雌の頭花は、1~6個の雄小花がある。大部分の雄の頭花は雄の小花のみを持つ。花冠の筒部は長さ4~4.5㎜。冠毛は花冠を越え、雄小花の頂端に密生し、細かい鋸歯状になる。痩果は楕円形、長さ約1.5㎜、密にパピラがある。花期は6~8月。果期は8~9月。
5 Anaphalis horaimontana Masam. ホウライヤマハハコ 鳳来山母子
台湾原産。中国名は大山香青 da shan xiang qing。高山草原
茎は枝分かれせず、直立し、高さ約10㎝、密に毛があり、基部で直径約1㎜、葉があり、先は斜上、散房状に枝分かれする。 根生葉はロゼットになり、小さく、倒卵形、花期までに枯れ、両面には灰色の綿毛がある。中部の茎葉はへら形、長さ12~14㎜×幅3~3.5㎜、両面には密に綿毛があり、基部は漸尖し、ほぼ鞘状、先は鈍形。上部の茎葉は線形、長さ5~6㎜。頭花は6個、散房花序状、花序柄がある。総苞は鐘状球形、約・長さ6㎜×幅6㎜、基部は丸く、密に羊毛状毛がある。総苞片は覆瓦状、6列。 外総苞片は赤褐色、卵状披針形、尖鋭形または鈍形。内総苞片は白色、先は鈍形。頭花は多数の周辺の雌小花を持ち、花冠は糸状、長さ約3.5㎜。両性の小花は数個、花冠は筒状、長さ約3.5㎜、先には5歯がある。 雌小花の冠毛長さ約3.5㎜、雄小花の冠毛は長さ約3.7㎜、先はザラつき、棍棒形では無い。子房は小さく、微軟毛がある。
6 Anaphalis margaritacea (L.) Benth. et Hook.f. ヤマハハコ 山母子
日本(北海道、本州の長野県・静岡県以北、)、朝鮮、中国、ロシア、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、北アメリカ(カナダ、USA、メキシコ)原産。中国名は珠光香青 zhu guang xiang qing 。英名はpearly everlasting。山野の向陽地に生える。
多年草。根茎は這い、木質、短い褐色の鱗片のある走出枝をもつ。茎は単生又は少数叢生し、直立又は斜上し、長さ30~60(~100)㎝、普通、太く不分枝、まれに折れた茎や通常の茎で分枝し、灰色の綿毛があり、基部は木質。下部の葉は花期までに枯れる。中間の葉は広がり、線形~線状披針形、長さ5~10㎝×幅3~12㎜、まれに幅広くなり、基部は漸尖形又は鋭く狭まり、やや抱茎、縁は平坦、先は尖鋭形で先端が小さく尖る。上部の葉は次第に小さくなり、長く尖る。全ての葉はわずかに革質、下面は密に灰色~赤褐色の産毛があり、上面は蜘蛛の巣状又は後に無毛になり、1脈、又は3又は5脈がある。頭花は多数、複合の散房状(又は散房状)の合成花序につく。花序柄は長さ4~17㎜。総苞は広鐘形又は半球形、長さ5~8㎜×幅8~13㎜。総苞片は5~7列、やや広がり、上部は白色。外総苞片は総苞の1/3まで、卵形、綿毛がある。中総苞片は卵形~長円形、約長さ5㎜×幅2.5㎜、雄株では幅3㎜以下、先は円形又は尖鋭形。最も内側の総苞片は線状披針形、幅約0.5㎜、前長の3/4以下の爪部がある。花托はハチの巣状。支配的な雌頭花は多数の小花をもち、中央に3~20個の雄小花をもち、縁に多列の小花をもつ。支配的な雄頭花は多くの小花をもち、中央の小花は全て雄小花で縁に少数の列の雌小花をもつ。花冠は長さ3~5㎜。冠毛は花冠からわずかに突き出し、雌小花では糸状、先が肥厚し(incrassate)、雄花では細鋸歯がある。痩果は長円形、長さ約0.7㎜、腺点がある。花期と果期は7~11月。2n=28, 42, 56。
品種) New Snow
6-1 Anaphalis margaritacea (L.) Benth. et Hook.f. var. margaritacea ヤマハハコ 山母子
synonym Anaphalis margaritacea (L.) Benth. et Hook.f. var. angustior (Miq.) Nakai
synonym Anaphalis margaritacea (L.) Benth. et Hook.f. subsp. angustior (Miq.) Kitam.
日本、中国、インド、ネパール、ロシア、北アメリカ原産。英名はwestern pearly everlasting , pearly everlasting。茎は高さ30~60(100)㎝。下茎を延ばして増え、全体に白色の綿毛で被われる。葉は互生し、線状披針形、長さ3~10(15)㎝×幅3~8㎜、全縁、縁が裏側へ巻き、柄はなく、基部は茎をやや抱く。葉の上面くも毛がありまたは後に無毛いなり、光沢があることも多く、下面には灰色または薄褐色の綿毛(lanuginous)が密生する。頭花は茎頂に散房状につく。頭花は単性。ときに雄性頭花は周辺にいくつかの雌花をもち、雌性頭花は中央に1~9個の雄花をもつ。雌花は雄しべを欠く。雄花は葯が卵形、花柱の先は切形。総苞は長さ5~7(8)㎜×幅6~8(13)㎜、総苞片が8~12列につき、白い花弁のように見える。外総苞片は卵形、内総苞片はほぼ線形。痩果は長さ0.5~1㎜、2脈があり、長い冠毛がある。2n=28,56。花期は8~10月。
6-2 Anaphalis margaritacea (L.) Benth. et Hook.f. var. angustifolia (Franch. et Sav.) Hayata ホソバノヤマハハコ 細葉の山母子
synonym Anaphalis margaritacea (L.) Benth. et Hook.f. subsp. japonica (Miq.) Kitam.
synonym Anaphalis margaritacea (L.) Benth. et Hook.f. var. japonica (Miq.) Makino
日本(本州の福井県・愛知県以西、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は线叶珠光香青 xian ye zhu guang xiang qing。別名はホソバヤマハハコ。ヤマハハコの西日本型。ヤマハハコより小型で、茎は高さ30~60㎝、叢生し、中間では枝分かれせず、上部でだけ枝分かれする。茎や葉に白毛が多い。葉は線形、長さ3~10㎝×幅2~6㎜。茎頂に頭花を散房状に上向きに多数つける。頭花は直径7~10㎜。総苞はときに小さく、長さ約5㎜。総苞片は白色、乾膜質。花冠は長さ約3㎜。痩果は長楕円形、冠毛は1列。
6-3 Anaphalis margaritacea var. cinnamomea (Candolle) Herder ex Maximowicz
中国、インド、ブータン、ネパール、ミャンマー原産。中国名は黄褐珠光香青 huang he zhu guang xiang qing。茎は高さ50~100㎝。葉は長円形~線状披針形、長さ4~9㎝×幅7~12㎜、ときに幅25㎜まで、下面は密に期褐色又は赤褐色の産毛があり、上面は灰色のクモの巣状の産毛があり、隆起した3又は5脈があり、基部は広耳形、先は尖鋭形。総苞は var. angustifoliaと同じ。2n=42。
6-4 Anaphalis margaritacea (L.) Benth. et Hook.f. var. yedoensis (Franch. et Sav.) Ohwi カワラハハコ 河原母子
synonym Anaphalis yedoensis (Franch. et Sav.) Maximsynonym Anaphalis margaritacea (L.) Benth. et Hook.f. subsp. yedoensis (Franch. et Sav.) Kitam.
日本固有亜種(北海道、本州、四国、九州)。多年草。高さ30~50㎝。茎は下部から多数出て叢生し、中部で多数、分枝して団塊状になる。全体に細かい毛が生え、白く見える。葉は互生し、長さ3 ~6㎝、幅1~2㎜の線形、縁は裏面に巻く。小さな頭花が茎頂に散房状に多数つく。総苞は鐘球形。総苞片は白色、膜質で、光沢がある。痩果は長楕円形、冠毛は1列。花期は8~10月。
7 Anaphalis morrisonicola (Hayata) Hayata ニイタカヤマハハコ 新高山母子
synonym Anaphalis margaritacea (L.) Benth. et Hook.f. subsp. morrisonicola (Hayata) Kitam.
台湾、フィリピン原産。中国名は玉山香青 yu shan xiang qing 。標高1600~3500mの低い丘、亜高山の草原、岩場に生える。根茎は地を這い、やや木質で、普通、走出枝がある(sarmentose)。茎は普通、叢生し、直立または斜上し、高さ15~40㎝、細く、多数、分枝または分枝せず、密に灰色の棉状の綿毛があり、節間は短い。下部の葉は宿存性または落葉性で、花期までに失われ、小さく、先は鈍形。中部の茎葉は広がり、線形、長円形、または倒披針状線形、長さ1.5~3.5㎝×幅0.2~0.4(~0.7)㎝、基部は漸尖し、半抱茎でやや沿下し、縁は平ら、先は鋭形または鈍形、小さな尖り(cusp)をもつ。上部の茎葉は狭葉性(stenophyllous)。葉はすべてわずかに革質で、下面は密に淡い灰色(ash-gray)または黄褐色の棉状の綿毛があり、上棉は無毛またはクモ毛状の綿毛があり、1または3脈がある。頭花は5個以上あり、茎の頂部に散房花序状の合成花序をつくる。花序柄は長さ2~6㎜。総苞は広鐘形または半球形、長さ約5㎜×幅5~6㎜。総苞片は7~8列。外総苞片は卵形、長さ1~2㎜、棉状の綿毛がある。中総苞片は黄白色、楕円形、約・長さ4.3㎜×幅1.5㎜。最も内側の総苞片は、より狭く、へら状で、全長の約2/3の爪部がある。花托はハチの巣状。主に雌の頭花は外側の小花が雌性で、中央に3~4個の雄の小花がある。 主に雄の頭花は雄の小花のみを持つ。花冠は長さ約3㎜。冠毛は花冠の長さと同長、雄小花の冠毛は先の頂部がやや肥厚し(incrassate)、鋸歯状になる。痩果は長円形、長さ0.5~0.7㎜、緩く腺点がある。花期と果期は7月~10月。2n=28。
8 Anaphalis nagasawae Hayata コダマギク 兒玉菊
synonym Anaphalis nepalensis auct. non (Spreng.) Hand.-Mazz.
台湾原産。中国名は永健香青 yong jian xiang qing。高山の乾燥草原に生える。
根茎は細く、わずかに木質。匍匐枝は密に葉がつき、末端にロゼット葉がある。茎および不稔の枝または匍匐枝は、密に叢生する。茎は高さ8~12㎝、細く、主に斜上し、単純、白色の綿毛があり、密に葉ある。下部の葉は開花期(efflorescence)に宿存し、ヘラ形または倒卵形、長さ0.5~1㎜×幅0.3~0.5㎜、先は円形または鈍形。中部の茎葉は長円形または披針形、長さ1~2㎝×幅0.4~0.6㎝、基部はわずかに漸尖し、茎の上に沿下し、狭い翼になり、縁は平ら、先は鈍形、明瞭な短い尖りがない。上部の茎葉はわずかに短い。すべての葉は、両面に淡い綿毛(pallid tomentose)がある。総苞はほぼ球形、長さ約1㎝×幅1~1.5㎝、赤褐色、基部に薄く綿毛がある。中間の総苞片は白色または黄褐色(ochroleucous)、楕円状披針形、長さ7~8㎜×幅約3㎜、先は鋭形。 最も内側の総苞片は線状披針形、長さ約7㎜、全長の約1/2の爪部がある。花托は深い溝や穴状(lacunose)、無毛。頭花には多数の周辺の雌小花があり、主に雌の頭頂部の中心に数個~15個の雌小花がある。雌小花の花冠は長さ約4㎜、やや短い。雄花は不明(無い)。痩果は円柱形、長さ約1㎜。花期は7~8月。
9 Anaphalis royleana DC. ノウコウウスユキソウ
synonym Anaphalis transnokoensis Sasaki
中国、台湾、インド、ブータン、カシミール、ネパール、パキスタン、ミャンマー原産。中国名は须弥香青 xu mi xiang qing 。標高3,000~5,000mの岩の間、氷河、開けた牧草地に生える。
多年草または亜低木、基部は±木質、枝分かれする。 枝は直立または枝分かれせず、白色の綿毛がある。葉は密につき、無柄、茎にやや付着し、線状長円形または長円状披針形、長さ2~3cm、1脈があり、下面は白色のくも毛状の綿毛、または灰色~赤褐色の産毛で覆われ(lanuginous)、上面はほぼ無毛、基部は弱く沿下し、縁は全縁、先は鈍形~鋭形、短い尖り(cusp)がある。頭花は7~9個、散房花序状の合成花序に密につく。花序柄は淡灰色棉状の綿毛があり、合成花序の長さと同長。総苞は長さ5~7mm。総苞片は雪のように白く、無毛で、先は鈍形または尖鋭形。外総苞片は卵形で短い。真ん中の総苞片は卵形で、小花より長い。最も内側の総苞片は花托と同長の線状長円形。2n=28。
10 Anaphalis sinica Hance ヤハズハハコ 矢筈母子 [広義]
synonym Anaphalis pterocaulon (Franch. et Sav.) Maxim.
日本(本州の関東地方~中国地方)、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は香青 xiang qing 。別名はヤバネオウコ , ヤバネハハコ。山地や低山の岩場、礫地に生える。
根茎は細く又は太く、木質、走出枝は長さ約8㎝。茎は緩く又は密に叢生し、直立、高さ20~50㎝、細く又は太く、普通、単純、又は花序がなくなってから分枝又は折れた枝で分枝し、白色~灰色の綿毛があり、葉が密につく。ロゼットの葉は密に羊毛状の毛があり、先は鈍形~円形。下部の茎葉は脱落し、花時までになくなる。中間の葉は長円形、倒披針状長円形、又は線形、長さ2.5~9㎝×幅0.2~1.5㎝、基部は漸尖し、茎に沿下し、狭い又はわずかに広い翼となり、縁は平坦、先は鋭形で短くて小さな尖った先端になる。上部の葉は小さく、披針状線形、全ての葉にはクモの巣状の羊毛状毛又は密に白色~黄白色の羊毛状毛が下面又は両面にあり、腺毛が混じり、1又は3脈があり、側脈は見えない。頭花は多数、密に複合の散房花序又は多環の散房花序につく。花序柄は細い。総苞は鐘形又はほとんど倒円錐形、長さ4~5(~6)㎜×幅4~6㎜。総苞片は6又は7列。外総苞片は薄褐色、楕円形、長さ約2㎜、クモの巣状の綿毛がある。中総苞片は乳白色~汚白色、長さ約3.5㎜×幅1~1.2㎜、先は鈍形~円形。最も内側の総苞片は狭く、狭楕円形、全長の約2/3の爪部がある。雄小花の総苞片は普通、鈍い。中央の支配的な雌頭花は雌小花と1~4個の雄小花をもつ。花冠は長さ2.8~3㎜。冠毛は花冠よりわずかに長く、雄小花の先端が肥厚し、鋸歯がある。痩果は長さ0.7~1㎜、小さな腺がある。花期は7~9月。果期は8~10月。
品種) 'Moon's Silver'
10-1 Anaphalis sinica var. sinica ヤハズハハコ 矢筈母子
日本、朝鮮、中国に分布。中国名は香青 xiang qing 。
茎は緩く叢生し、節間は短く、5~10㎜。葉は長円形~倒披針形状長円形、長さ3~9㎝×幅1~1.5㎝、下面に密に羊毛状の毛があり、上面はクモの巣状の羊毛状毛。合成花序は密又は広がる。総苞片は白色、まれに赤色。
10-2 Anaphalis sinica Hance var. morii (Nakai) Ohwi タンナヤハズハハコ 丹那矢筈母子
synonym Anaphalis sinica Hance subsp. morii (Nakai) Kitam.synonym Anaphalis pterocaulon (Franch. et Sav.) Maxim. subsp. morii (Nakai) Kitam.
synonym Anaphalis morii Nakai日本(屋久島)、朝鮮原産。
茎が叢生し、密に葉をつける。葉は幅3~7㎜、やや厚い。頭花が少ない。
10-3 Anaphalis sinica Hance var. pernivea T.Shimizu トダイハハコ 戸台母子
synonym Anaphalis todaiensis Honda長野県、山梨県の石灰岩地に生える。
雌性両全性同株。高さ20~30㎝。全体に綿毛が多く白緑色、腺毛が混じる。葉は無柄、倒被針形、基部は沿下し、先は鋭形。頭花は散房花序につく。
10-4 Anaphalis sinica Hance var. viscosissima (Honda) Kitam. クリヤマハハコ 栗山母子
synonym Anaphalis viscosissima Honda栃木県、群馬県、埼玉県の山地のやや乾燥した岩壁に生える。和名は産地の栃木県栗山村に因む。
高さ20~35㎝。根生葉は花期には枯れる。茎中部の葉は倒披針形、先は鈍形、腺毛が多く、白緑色。葉をもむと黒糖のような独特の臭気がある。頭花は散房花序につく。花期は8~9月。
10-5 Anaphalis sinica Hance var. yakusimensis (Masam.) Yahara ヤクシマウスユキソウ 屋久島薄雪草
日本(鹿児島県の屋久島)、朝鮮(済州島)に分布。11 Anaphalis triplinervis (Sims) C. B. Clarke アナファリス・トリプリネルビス
中国、インド、ブータン、ネパール、パキスタン原産。中国名は三脉香青 san mai xiang qing 。英名はpearly everlasting。草が茂った斜面に生える。多年草、叢生する。根茎は木質、ストロンがあり、細い根をもつ。茎は前年成長(annotinal: last year's growth)で、直立し、上部に散房状の枝があり、高さ40~60㎝、白色の綿毛がある。下部の葉は小さく、まれに柄があり(cauliferous)、楕円形、3脈がある。茎葉は長円形または楕円形、3脈またはそれ以上の脈があり、下面には白色の綿毛があり、上面はくも毛状の綿毛があり、基部は無柄、ときに抱茎、先は鋭形。下部の葉は楕円状披針形、柄があり(長い場合もある)または漸尖して葉柄になる。中部の葉は広披針形、長さ7~10㎝×幅1.5~2.5㎝。頭花は大きい。総苞は長さ5~7㎜×幅7~10㎜。総苞片は白色、先は鋭形。内総苞片は楕円形または長円状披針形。花期は8~10月。果期は10~11月。2n=28。
品種) 'Silberregen' , 'Snow Mound' , Summer Snow
参考
1) GRINAnaphalis
Anaphalis
Anaphalis adnata Wall. ex DC.
Anaphalis