ワレモコウ 吾木香

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Flora of Mikawa

バラ科 Rosaceae ワレモコウ属

中国名 地榆 di yu
英 名 great burnet, burnet bloodwort, common burnet,garden burnet
学 名 Sanguisorba officinalis L.
ワレモコウの花
ワレモコウ葉の鋸歯
ワレモコウの葉
ワレモコウの痩果
ワレモコウ
ワレモコウ小葉の表
ワレモコウ小葉の裏
花 期 8~11月
高 さ 50~140㎝
生活型 多年草
生育場所 日当たりのよい草地
分 布 在来種  北海道、本州、四国、九州、アジア、ヨーロッパ、北アメリカ
撮 影 蒲郡市  09.11.4
根茎は太く、這う。茎は直立する。葉は互生し、長さ20~40㎝の奇数羽状複葉、小葉は3~6対つき、長さ2.5~6㎝の長楕円形。小葉は歯牙縁、両面とも無毛。穂状花序は長さ12~20㎜、幅7~10㎜の楕円形、小さな花が20個以上密集する。花柄は長さ3~15㎝。花には花弁がなく、4個の萼片が暗赤紫色で、花弁のように見える。萼片は長さ2~3.5㎜。雄しべは4個、萼片より短く、花の外へは出ない。痩果は長さ2.5~3.5㎜、革質。2n=28,56。
 葉裏の脈上に白毛があり、手触りがビロード状であるのはウラゲワレモコウという。ナガボノアカワレモコウは雄しべの花糸が長く、花から突き出る。

ワレモコウ属

  family Rosaceae - genus Sanguisorba
 
 多年草、根茎は丈夫、下部に多数の紡錘形、円筒形の根をつける。托葉は鞘になり、葉柄につく。葉柄は鞘になり、基部に覆瓦状になる。葉身は奇数羽状複葉。小葉は鋸歯縁。花序は長い花茎に頂生し、密な頭状花序又は穂状花序であり、苞や小苞がある。花は両性、まれに単性(雌雄同株のとき)。花托筒はのど部でくびれる。咢片は4(~7)個、,覆瓦状、花弁状、紫色、赤色、ピンク色、又は白色、まれに、帯緑色。花弁は無い。 花盤は花托筒が裏につく。雄しべは普通4本、稀にそれ以上になり、花托筒ののど部につく。花糸は分離、まれに部分的に合着する。葯は対になる。心皮は1(又は2)個、花托筒に含まれる。胚珠は下垂。花柱は頂生、糸状。柱頭はほうき状(房状)。痩果は乾き、硬くなった微細突起又は翼のある花托筒に含まれる。子葉はひら凸面形。 x = 7。
 世界に約30種があり、アジア、ヨーロッパ、北アメリカに分布する。

ワレモコウ属の主な種と園芸品種

1 Sanguisorba albiflora (Makino) Makino  シロバナトウウチソウ 白花唐打草
 日本固有種(本州の東北地方)。高山の草地に生える。
 多年草。全体にほぼ無毛。根茎は太い。茎は高さ30~70㎝。葉は根成葉と茎葉。茎葉は互生する。根出葉は束生し、葉柄が長く、葉身は奇数羽状複葉、小葉ややまばらに、5~7対つく。小葉柄は長さ5~20㎜。小葉は長さ2.5~5㎝、広卵形~楕円形、基部は心形、鋸歯縁、先は円形、しばしば凹形、下面は粉白色を帯びる。穂状花序は頂生、分枝した枝先に単生し、直立又はやや下を向につき、円柱形、長さ3~6㎝、花が密につく。花序の上側から、順に開花する。花は花弁が無く、花弁状の萼片が4個。咢片は白色、ときに紅色を帯びる。雄しべは4本、長さ6~8㎜、萼片の長さの2~3倍あり、突き出る。花糸は上部が扁平で幅広。葯は黄褐色又は紅紫色。子房は下位、萼筒に包まれる。胚珠は1個。柱頭は房状。痩果はやや革質。花期は8~9月。
品種)  'Cindy's Tall White'

2 Sanguisorba argutidens Nakai  コウライトウウチソウ 高麗唐打草
 朝鮮原産。KewscienceではSanguisorba obtusaのsynonymとし、Sanguisorba obtusaの分布域を日本、朝鮮としている。

3 Sanguisorba canadensis L
  北アメリカ原産。英名はCanadian burnet , white burnet , wild burnet
 ※ Flora of China , Kewscience , Flora of North Americaでは北アメリカ原産とし、Sanguisorba stipulata Rafを別種としている。The Plant ListではSanguisorba stipulata Raf.をSanguisorba canadensisのsynonymとしている。YListではSanguisorba stipulata Raf.をSanguisorba canadensisの亜種としている。Flora of China等に従った。
品種) 'Red Thunder' , 'Twisty'

4 Sanguisorba hakusanensis Makino  カライトソウ 唐糸草
 日本固有種(本州の北アルプス、白山、三国山)。亜高山、高山の草地、砂礫地に生える。
  多年草。高さ40~80㎝。葉は奇数羽状複葉。小葉は長さ4~6㎝の楕円形、縁に鋭鋸歯。穂状花序は長さ約10㎝、先が垂れ下がり、先から咲き始める。花には花弁がない。萼片と長く突き出た雄しべが紅紫色に見える。雄しべは6~10個、長さ約1㎝。花期は7~9月。2n=28
品種)  'Alster Luft' , 'Lilac Squirrel'

4-1 Sanguisorba hakusanensis Makino var. coreana H.Hara  コウライカライトソウ

5 Sanguisorba japonensis (Makino) Kudo   エゾトウウチソウ 蝦夷唐打草
  synonym Sanguisorba hakusanensis Makino var. japonensis (Makino) Ohwi 
 日本固有種(北海道日高山脈)。湿った岩場や渓谷に生える。

6 Sanguisorba magnifica I.Schischk. & Kom.
 ロシア原産。
品種) 'Botanic Selection'

7 Sanguisorba minor Scop.  オランダワレモコウ
 ロシア、西アジア、コーカサス、ヨーロッパ、北アフリカ原産。英名はgarden burnet , little burnet , small burnet

8 Sanguisorba obtusa Maxim.  ナンブトウウチソウ 南部唐打草
 日本(岩手県、早池峰山)。高山の日当たりのよい岩礫地に生える。
 多年草。高さ30~60㎝。根茎は太い。茎や羽軸に赤褐色の縮毛がある。葉は根生し、奇数羽状複葉。小葉は6~8対つき、楕円形、長さ3~3.5㎝、下面は白色。小葉柄はほとんど無又は長さ1~2㎝。花序は頂生の穂状花序、円柱形、花が密生し、長さ4~7㎝、先は垂れ下がり、上方から下に向かって順に開花する。花は淡紅色、長さ2~5㎝、花弁は無い。咢は淡ピンク色。雄しべは4本。葯は乾くと黄褐色になる。花期は8~9月
品種) 'Nana'

9 Sanguisorba officinalis L.  ワレモコウ 吾木香
  synonym Sanguisorba officinalis L. var. carnea (Fisch. ex Link) Regel ex Maxim.
  synonym Sanguisorbaofficinalis var. montana (Jordan) Focke  ミヤマワレモコウ
  synonym Sanguisorba menziesii Rydb. 北アメリカ原産。英名はAlaskan Burnet
 日本(北海道、本州、四国、九州)、アジア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。英名は地榆 di yu 。英名はburnet bloodwort , great burnet , salad burnet , sanguisorba 。まばらな林、林縁、雑木林、牧草地、草原、山地の斜面の草地、渓谷の湿った場所、川岸に生える。
 多年草。高さ50~140㎝。根茎は太く、這う。茎は直立する。葉は互生し、長さ20~40㎝の奇数羽状複葉、小葉は3~6対つき、長さ2.5~6㎝の長楕円形。小葉は歯牙縁、両面とも無毛。穂状花序は長さ12~20㎜、幅7~10㎜の楕円形、小さな花が20個以上密集する。花柄は長さ3~15㎝。花には花弁がなく、4個の萼片が暗赤紫色で、花弁のように見える。萼片は長さ2~3.5㎜。雄しべは4個、萼片より短く、花の外へは出ない。痩果は長さ2.5~3.5㎜、革質。花期は8~11月。2n=28(4倍体) , 42(6倍体) , 56(8倍体)。
【Flora of Chinaの解説】
 多年草、高さ30~120㎝。根茎は褐色又は紫褐色、丈夫、普通、紡錘形、まれに円柱形、断面は黄白色又は紫色。茎は直立し、角(かど)があり、無毛又は基部に細い柔らかい軟毛又はまばらに腺毛がある。根生葉は托葉が褐色、膜質、無毛又は下面にまばらに腺毛がある。葉柄は長く、無毛又はまばらに腺があり、基部は鞘が覆瓦状にあり、ときにまばらに腺毛がある。葉身は4~6対の小葉をもつ。小葉は小葉柄があり、両面とも緑色、卵形、長円状卵形、帯化長円形(fasciated oblong)、又は帯化披針形(fasciated lanceolate)、長さ1~7㎝×幅0.5~3㎝、基部は心形~広楔形、縁には粗く鈍い又はまれに鋭い鋸歯があり、両面とも無毛又は下面にまばらに細い軟毛がある。茎葉は托葉が大きく、
班卵形、草質、鋭鋸歯縁。小葉は短い小葉柄が有又は無、長円形~長円状披針形、基部は類心形~円形、先は鋭形。花序は直立、穂状花序、楕円形~円筒形~卵形、普通、長さ1~6㎝×幅0.5~1㎝、先から基部まで花がつき、花序軸は無毛又はたまに、まばらに腺毛がある。苞は披針形、咢片の長さより短いか又はまれに同長になり、膜質、外面は細い軟毛があり、先は尖鋭形~尾状。咢片は4個、赤色、ピンク色、又は白色、楕円形~広卵形、外面は細い軟毛があり、かすかに縦の中脈があり、普通、先は短い鋭形。雄しべは4本。花糸は糸状、咢片の長さの0.5~1倍、突き出るか又は突き出ない。子房は無毛又は微軟毛がある。花柱は広がり、円盤状、縁には采状のパピラがある。果時の花托筒は縦に4うねがある。花期と果期は7~11月。
【Flora of North Americaの解説】
 高さ30~200㎝。葉身は長さ5~40㎝。小葉は (7~)11~15個つき、円形~卵形、長さ7㎝×幅5㎝以下、長さは幅の1.5~2.5倍、基部は楔形、切形、円形、又は心形、托葉は無い。穂状花序は花が50~250個つき、楕円形~卵形、主に長さ1.5~3㎝、開花は求基的(basipetal)。咢片は暗紫色、中脈は上部で太くならない。雄しべは長さが花托筒の長さにほぼ等しい。花糸は長さ1.5~2.5㎜、全体に糸状。2n = 56, 112.。花期は(6~)7~9月。果期は8~10月。
品種) 'Arnhem' , 'Burgundy Buttons' , 'Chocolate Tip' , 'Crimson Queen' , 'False Tanna' , 'Lemon Splash' (v) , 'Lum' , 'Martin's Mulberry' , 'Morning Select' , 'Pink Tanna' , 'Red Buttons' , 'Red Thunder' , 'Shiro-fukurin' (v) , 'Tanna' , 'White Tanna'
品種) 'Dali Marble' (S. menziesiiv) , 'Fathoms Deep' (S. menziesiiv) , 'Misbourne' (S. menziesiiv) , 'Wake Up' (S. menziesiiv)
,
9-1 Sanguisorba officinalis L. f. pilosella (Ohwi) H.Hara  ウラゲワレモコウ 裏毛吾木香
  synonym Sanguisorba officinalis L. var. glandulosa (Kom.) Vorosch. [Flora of China]
  synonym Sanguisorba glandulosa Kom.
  synonym Sanguisorba officinalis L. var. pilosella Ohwi 
 The Plant Listでは変種を含め、YlListでは品種としている。Flora of Chinaではvar. glandulosaとし、日本を分布域から除いている。
 ウラゲワレモコウf. pilosella はワレモコウの中に稀に見られ、葉裏の脈上に白毛があり、手触りがビロード状である。
 中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は腺地榆 xian di yu 。林縁、湿った場所に生える。
 葉柄や茎の基部にまばらに腺毛がある。根生葉の小葉は卵形~長円状卵形、下面にまばらに細い軟毛があり、基部は心形~類心形。咢片は紫色~赤色~帯紫色。花糸は咢片とほぼ同長。花期と果期は7~9月。

9-2 Sanguisorba officinalis var. longifila (Kitag.) T.T.Yu & C.L.Li
  synonym Sanguisorba longifolia Bert
 中国原産。中国名は长蕊地榆 chang rui di yu 。
 根生葉の小葉は帯化長円形(fasciated oblong)、又は帯化披針形(fasciated lanceolate)。花糸は咢片の長さの0.5~1倍、突き出る。花期と果期は8~9月。

9-3 Sanguisorba officinalis var. longifolia (Bertol.) T.T.Yu & C.L.Li   ミヤマワレモコウ 深山吾木香
  synonym  Sanguisorba longifolia Bertol. 
 朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア原産。中国名は长叶地榆 chang ye di yu
根生葉の小葉は帯化長円形(fasciated oblong)、又は帯化披針形(fasciated lanceolate)、基部は類心形~円形~広楔形。花糸は咢片の長さに近い。花期と果期は8~11月。[Flora of China]
※Flora of ChinaではSanguisorba officinalis var. longifoliaの分布域から日本を除いている。YListではSanguisorba longifolia Bertol.を採用している。Flora of China の解説ではSanguisorba officinalis var. longifoliaは花糸の長さが咢片の長さに近いとなっている。

 ミヤマワレモコウは日本では北海道(日高地方)、本州(秋田県・福島県南西部~岐阜県北部)に分布する。標高1000m前後の夏緑樹林帯の湿原に生える。
 ワレモコウより雄しべが長く、花序から突き出る。ナガボノワレモコウとは花序がほとんど直立し、雄しべの長さが平均3.4㎜と短いことにより区別される。ミヤマワレモコウは4本の雄しべの長さが等長であり、咢片より長く、ワレモコウは2本ずつの長短の対になっていて、咢片と等長かそれより短い。これにより別種が妥当とされている。
 多年草、ほとんど無毛、根茎は短く横臥し、肥厚する。茎は直立、細くやや堅い、基部は斜上、高さ30~100㎝、まれに150㎝にもなる。丈夫は枝をうち、葉を互生する。葉は奇数羽状複葉、葉柄がある。根出葉と茎葉がある。根出葉は1株当たり普通2枚、有柄、長さ(10~)25~50(~70)㎝、小葉は(7~)9~13枚、楕円形~長楕円形~卵状楕円形、先端は円頭まれに切形、基部は心形または円形、長さ1.5~4(~7)㎝、幅1~2.2(~3)㎝表面は無毛、緑色、裏面は無毛、淡緑色。3角形の鋸歯がある。頂小葉の小柄は長さ12~28㎜、側小葉の小柄は長さ1~12㎜。まれに側小葉の小柄の基部に小葉片がある。托葉は草質、葉柄基部に合着する。茎葉は根出葉に比べ小さく、細く、小葉は5~11枚、長楕円形~狭長楕円形、ほとんど無柄~約1㎝の柄がある。托葉は扇形、緑色。 穂状花序は先端につき、花茎当たり1~5(~27)本、直立まれに斜傾、長い柄(2.5~13㎝)があり、長円柱状、長さ1~4(~5.5)㎝、直径0.5~1㎝。花は多数、密で無花柄。花期は8~9月。花は小さく、両性、4数性、無花弁、苞と小苞がある。花は花序の上端から下部に向かって咲く。咢筒は卵球~楕円球形。上部に細毛がある。長さ1.6~2.1㎜。咢片は4枚、花弁状、淡赤紫色~赤紫色~暗紫色まれに白色で帯緑色、外側下部に細毛がある。内側は無毛、長さ1.9~2.6㎜、幅1.4~2㎜。雄しべは4本、早落性、咢片より長く、長さ2.5~5㎜、幅0.2~0.5㎜。花糸は白色~ピンク色。葯は長楕円形、暗紫色。雌しべは1本、咢片より短く、長さ1~2㎜、花盤はよく発達する。心皮は1個。子房は咢筒に包まれる。花柱は頂生。柱頭は房状、赤紫色。苞はへら形~卵形、長さ1.4~2.6㎜、外側と縁に長毛がある。小苞は披針形~卵形、長さ0.5~1㎜。外側と縁に長毛がある。胚珠は1個。痩果は革質。2n=28(4倍体) , 56(8倍体) , 84(12倍体)[参考5]

10 Sanguisorba stipulata Raf.   タカネトウウチソウ 高嶺唐打草
  synonym Sanguisorba canadensis L. subsp. latifolia (Hook.) Calder et R.L.Taylor
  synonym Sanguisorba sitchensis C.A.Mey. 
 日本(北海道、本州の関東地方・中部地方)、朝鮮、中国、ロシア、北アメリカ原産。中国名は太白花地榆 da bai hua di yu 。英名はSitka burnet 。高山の草地に生える。まばらな林、林縁、山地、渓谷、湿地。
 多年草、高さ35~80㎝。根茎は丈夫、深くて長い。茎は無毛。根生葉托葉が黄褐色、膜質、無毛。葉柄は角(かど)があり、無毛。葉身は小葉が4~6対。小葉は小葉柄があり、両面とも緑色、下面は濃緑色、楕円形又は卵状楕円形、両面とも無毛、基部は心形~深い心形、まれにわずかに心形、縁は粗く、鋭い切れ込み状鋸歯、先は円形。茎葉は2~4個つき、托葉が緑色、卵形、草質、縁は切れ込み状鋸歯。葉身は根生葉に似るが、茎の上部では小葉が少ない。花序は直立、穂状花序。花序柄は無毛。苞は狭い、帯状(fasciated)、咢片の長さに近く、無毛又は外面に細い軟毛がある。咢片は4個、楕円状卵形、無毛。雄しべは4本。花糸は中間から先まで扁平で広がり、先で最も幅が広く、咢片の長さの2~3倍あり、葯の幅に近い。果時の花托筒は細い軟毛がある。咢片は宿存する。花期と果期は7~9月。
10-1 Sanguisorba stipulata Raf. var. pilosa (H.Hara) H.Hara  ケトウウチソウ
  synonym Sanguisorba canadensis L. subsp. latifolia (Hook.) Calder et R.L.Taylor var. pilosa (H.Hara) T.Shimizu
10-2 Sanguisorba stipulata Raf. var. riishirensis (Makino) H.Hara  リシリトウウチソウ
  synonym Sanguisorba canadensis L. subsp. latifolia (Hook.) Calder et R.L.Taylor var. riishirensis (Makino) T.Shimizu

11 Sanguisorba tenuifolia Fisch. ex Link  ナガボノワレモコウ 長穂の吾木香
  synonym Sanguisorba tenuifolia Fisch. ex Link var. alba Trautv. et C.A.Mey.
  synonym Sanguisorba tenuifolia Fisch. ex Link var. purpurea Trautv. et C.A.Mey.
  synonym Sanguisorba tenuifolia Fisch. ex Link f. purpurea (Trautv. et C.A.Mey.) W.T.Lee 
  synonym Sanguisorba tenuifolia Fisch. ex Link f. alba (Trautv. et C.A.Mey.) Kitam
 日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は细叶地榆 xi ye di yu 。林内、林縁、牧草地、山地の斜面の草地、湿った場所に生える。
 多年草。高さ1.5m以下。根茎は分枝し、丈夫、多数の長い細い根をもつ。茎は角(かど)があり、無毛。根生葉は托葉が褐色、膜質、下面が無毛。葉柄は無毛。葉身は小葉が7~9対。小葉は小葉柄があり、両面とも緑色、帯化形又は帯化披針形(fasciated lanceolate)、長さ5~7㎝×幅1.5~1.7㎝、両面とも無毛、基部は類心形~斜めの切形~円形、縁は鋭く切れ込む鋸歯縁。先は円形~鋭形。茎葉は托葉が緑色、かま形、草質、縁は切れ込む鋸歯縁、葉身は根生葉に似るが、小葉が少なく、茎の上部では狭い。 花序は普通、下方に垂れた穂状花序、長い円筒形、長さ2~7㎝×幅0.5~0.8㎝。花序柄はほぼ無毛。苞は披針形、咢片より短く、外面と縁に密に毛がある。咢片は赤色、白赤色又は白色、長い楕円形外面は無毛。雄しべは4本。花糸は扁平で幅広、咢片の長さの0.5~2倍、先は葯の幅より狭いか又は近い。子房は無毛又は基部近くに軟毛がある。柱頭は広がり、円盤状。果時の花托筒は縦の4うねがあり、無毛。花期と果期は7~9月。2n=56 , 84
 var. purpurea ナガバノアカワレモコウ(赤色)、var. albaナガボノシロワレモコウ(白色)は変種に分類されなくなっている。
品種) 'Atropurpurea' , 'Big Pink' , 'Bordeaux' , 'Henk Gerritsen' , 'Pieters' , 'Pink Elephant' , 'Pink Tickler' , 'Purpurea' , 'Stand Up Comedian' , 'Strawberry Frost' , 'Strawberry Fruli' , 'Sturdy Guard' , 'The Invisible' , var. alba 'John Coke' , var. alba 'Korean Snow' , var. parviflora 'Burr Blanc' , 'White Elephant' , 'White Tanna'

11-1 Sanguisorba tenuifolia Fisch. ex Link var. kurilensis Kudo   チシマワレモコウ
  synonym Sanguisorba tenuifolia Fisch. ex Link subsp. grandiflora sensu Toyok.
  synonym Sanguisorba tenuifolia Fisch. ex Link var. grandiflora auct. non Maxim.
  synonym Sanguisorba grandiflora Makino 

11-2 Sanguisorba tenuifolia Fisch. ex Link var. parviflora Maxim.  コバナノワレモコウ
  synonym Sanguisorba tenuifolia Fisch. ex Link var. parviflora Maxim. f. coccinea (Koidz.) Sugim
  synonym Sanguisorba parviflora (Maxim.) Takeda 
 日本(本州の西部、四国、九州)、朝鮮、中国に分布する。小葉は長さ2~8㎝の線形。穂状花序は長さ2~7㎝の円柱形。花は白色~淡紅色、花糸が萼片のほぼ2倍長で長く突き出る。2n= 56 (8倍体、関東以西)。最近の見解ではナガボノワレモコウに含める。

11-2-1 Sanguisorba tenuifolia Fisch. ex Link var. parviflora Maxim. f. pilosa H.Hara  ケナガボノシロワレモコウ

12 ハイブリッド
(1) Sanguisorba x kishinamii Honda  ユキクラトウウチソウ
  synonym Sanguisorba stipulata Raf. var. kishinamii (Honda) H.Hara 
 カライトソウとタカネトウウチソウの交雑種
(2) Sanguisorba x poroshirensis S.Watan.  ポロシリトウウチソウ
 タカネトウウチソウとエゾトウウチソウの交雑種
(3) Sanguisorba x pseudoofficinalis Naruh.  ワレモコウモドキ
 ワレモコウとナガボノワレモコウの自然雑種
(4) Sanguisorba x takahashihideoi Naruh.  ハッポウワレモコウ
 カライトソウとミヤマワレモコウの雑種
(5) その他
品種) 'All Time High' , 'Ankum's Thums' , 'Autumn Bliss' , 'Autumn Red' , 'Beetlewings' , 'Bere Rose' , 'Blacksmith's Burgundy' , 'Blackthorn' , 'Burr Blanc' , 'Candy Floss' , 'Cangshan Cranberry' , 'Ccc' , 'Chocolate Tip' , 'Coen's Cranberry' , 'Dark Knight' , 'Figaro' , 'Foxtail' , 'Hendrickx' , 'Ivory Towers' , 'John Coke' , 'Joni' , 'Lilac Squirrel' , 'Little Angel' , 'Maartjes Merlot' , 'Major Roma' , 'Misbourne Menzi' , 'Misbourne Pink' , 'Miss Elly' , 'Nassachtal' , 'Nettlesworth Wand' , 'Pink Brushes' , 'Pink September' , 'Prim and Proper' , 'Proud Mary' , 'Purple Tails' , 'Raspberry Coulis' , 'Raspberry Mivvi' , 'Red Busby' , 'Rock and Roll' , 'Rose Catepelose' , 'Ruby Velvet' , 'Sangria' , 'Sanguine Dwarf' , 'Scapino' , 'Skinny Fingers' , 'Sussex Prairies Apache' , 'Sussex Prairies Cheyenne' , 'Sussex Prairies Iroquois' , 'Sussex Prairies Iroquois Alba' , 'Sussex Prairies Navaho' , 'Swarm' , 'Tall Raspberry' , 'Tall Tanna' , 'Tanna' , 'Thistleton Gem' , 'Touch of Green' , 'Tully' , 'White Tails' , 'Woottens' , 'Zwarte Bolletjes'

参考

1) Flora of China
 Sanguisorba  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=129129
2) GRIN
 Sanguisorba  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=10695
3)Flora of North America
 Sanguisorba  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=129129
4)Plants of the World Online | Kewscience
 Sanguisorba  
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30004698-2
5)植物地理・分類研究 49(2) (通号 150) 2001.12 p.129~135
 日本産ミヤマワレモコウSanguisorba longifoliaの形態,分布,及び染色体数
https://ci.nii.ac.jp/naid/10007967419
6) J. Phytogeogr. Taxon. Vol.58. No.1 p15-19(2010)
 植物地理・分類研究 第58巻 第1 号 2010年12月
 鳴橋直弘 1・岩坪美兼 2: 日本産バラ科ワレモコウ属の2 新雑種  
AN00307805-58-1-15-19.pdf