ウスユキソウ  薄雪草
[中国名] 薄雪火绒草 bao xue huo rong cao
[学名] Leontopodium japonicum Miq.
キク科 Asteraceae  ウスユキソウ属
三河の植物観察
ウスユキソウ花序
ウスユキソウ花
ウスユキソウ花
ウスユキソウ
ウスユキソウ葉
 和名の由来は白色の苞葉が白く、薄雪が積もったように見えることから。茎は直立し、直径2~3㎜、丈夫で、普通上部に葉が密につく。葉は長さ4~6㎝、幅6~15㎜の披針形。葉表の綿毛が少なく、葉裏の綿毛は多い。苞葉は白色、5~8個、長さ1~3㎝。頂部に直径3.5~4.5㎜の小さな頭花を固まってつけ、頭花に短い柄がある。総苞は長さ4~5㎜。総苞片は3列。周辺花は雌性、長さ約2㎜の毛管状。中心花は両性の筒状花、長さ約3㎜、不稔。痩果は長さ約1㎜、有毛。冠毛は長さ約3㎜、白色。
 高山型は小型のミネウスユキソウ。頭花の柄がないか、あってもごく短い。
 ハッポウウスユキソウは葉が斜上する。
[花期] 7~8月
[高さ] 25~50㎝
[生活型] 多年草
[生育場所] 山地の岩場
[分布] 在来種 北海道、本州、四国、九州、中国
[撮影] 美ケ原高原  09.8.21

 ウスユキソウ属

  family Asteraceae - genus Leontopodium

 多年草、叢生し又は匍匐茎があり、普通、白色の綿毛がある。葉は互生し、単葉、全縁。茎葉は少数~多数。根生葉は普通、ロゼットにつく。頭花は頂生、単生又は3~12(~20)個、束生(散房花序又は団散花序につき)普通、目立つ広がった苞葉(bracteal leaves又はbracts)に取り囲まれる。苞葉は、茎葉との色の違い、サイズや毛の違いがあり、星形につく。小花単性、頭花は中心小花頭花(discoid:同性の筒状小花だけからなる頭花)で雌雄異株、又は、円盤型頭花(disciform:中心小花は両性又は機能が雄性、周辺の筒状小花は雌性)。総苞は鐘形。総苞片は暗褐色、多列。花托は平ら又は凸面、パレアは無い。周辺小花は雌性、中心小花より数が多く、糸状、花冠は黄色、3~4歯がある。中心小花は機能的に雄性、筒状鐘形、花冠は黄色、黄色、5歯がある。葯は線形、尾状。痩果は長円状楕円形、まばらに毛があるか無毛で、短いこん棒形又は粘液を出す双生の毛(myxogenic twin hairs)をもつ。冠毛は剛毛の房で、基部は合着し、脱落性。(参考3)
 世界に約30種があり、ヨーロッパ、アジア、北アメリカに分布する。

【Flora of Chinaの解説】
 多年草、まれに亜低木。茎は師管部(phloem)に繊維をもち、樹脂道(resin canal)は無く、外環形成層( pericyclic cambium)は無い。葉は互生、無柄、綿毛~絨毛があり、腺は無く、縁は平ら、全縁。頭花は異形配偶、円盤型頭花(disciform 中心小花は両性又は機能が雄性、舌状小花は雌性)、頂部が平らな頂生の散房花序につき、目立つ白色の羊毛状の毛の葉(苞葉)の輪に取り囲まれる(星状につく)。花托は平ら、パレアは無い。総苞片は紙質、単一形、単色の帯褐色、透明。機械組織(stereome)は分かれない。雌小花は黄色、糸状、中心小花より数が多い。中心小花は機能的には雄性。花冠は黄色、花冠裂片は直立、脈は裂片の先に届く。葯は距がなく、短い尾をもち、内半葯組織(endothecial tissue)は2極化する(endothecial tissue)。先の付属体は平ら、半葯と同幅。花粉はgnaphalioid(ハハコグサ連 Gnaphalieaeタイプ)。花柱は2岐。花柱の枝は切形、背に鈍くなでつけた毛をもち、分岐部に届かない。柱頭の表面は離れる。中心小花と雌小花の痩果は小さく、長円形、5本の導管の束をもち、まばらに毛があり、短いこん棒形の粘液を出す双生の毛をもち、表皮は平滑。冠毛は2形、基部が合着し、ひげ状剛毛があり、毛細管剛毛は1列につく。中心小花の先端の細胞はこん棒形、雌小花では鋭形。x = 7。
 世界に約58種があり、アジア、ヨーロッパに分布する。日本には約7種が分布し、うち、4種(ミヤマウスユキソウ、ハヤチネウスユキソウ、大平ウスユキソウ、コマウスユキソウ)が固有種。


 ウスユキソウ属の主な種と園芸品種

 1  Leontopodium conglobatum (Turcz.) Hand.-Mazz.  ハナウスユキソウ  花薄雪草
 中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は团球火绒草 tuan qiu huo rong cao

 2  Leontopodium coreanum Nakai  コウライウスユキソウ 高麗薄雪草
   synonym Leontopodium leiolepis Nakai  ミユキソウ
 朝鮮原産。英名はKorean edelweiss

 3  Leontopodium discolor Beauverd  エゾウスユキソウ 蝦夷薄雪草
 日本(北海道)、ロシア原産。別名はレブンウスユキソウ(礼文薄雪草)
多年草。高さ13~33cm。根出葉は倒披針形、長さ3.5~8cm。茎葉は互生し、10~20個つき、倒披針形、長さ3~5cm×幅3~8mm、基部は漸尖して細くなるが鞘状にはならず、先は鋭形。頭花の基部に輪生する苞葉は直径2.5~6㎝の星状になる。頭花は5~22個が密集してつき、直径約6㎜、雄小花と雌小花が混在する。痩果は長楕円形、長さ約1㎜、4稜がある。花期は7~8月。 2n=24

 4  Leontopodium fauriei (Beauverd) Hand.-Mazz.  ミヤマウスユキソウ 深山薄雪草
 東北地方(秋田駒ヶ岳、朝日岳、飯豊山、月山、鳥海山)に分布。山頂付近の乾いた草原に生える。別名はヒナウスユキソウ。
 高さ6~15㎝。葉は根生葉と茎葉。根生葉は幅2~4㎜。茎葉は2~5個つき、線状披針形、両面に綿毛がある。頂生の散房花序に頭花は4~10個、密集してつく。苞葉は葉状、不等長、8~13個つく。頭花は筒状小花の集合。花期は7~8月。
4-1 Leontopodium fauriei (Beauverd) Hand.-Mazz. var. angustifolium H.Hara et Kitam.  ホソバヒナウスユキソウ
 尾瀬の至仏山と群馬・新潟県境の谷川岳に分布する。蛇紋岩地帯の崩壊地や風衝草原に生える。
 葉が細く、根生葉は幅1~1.5(2.5)㎜。苞葉も ミヤマウスユキソウより幅が狭い。

 5  Leontopodium hallaisanense Hand.-Mazz.  タンナウスユキソウ
 朝鮮原産。

 6  Leontopodium hayachinense (Takeda) H.Hara et Kitam. ハヤチネウスユキソウ 早池峰薄雪草
 日本固有種(岩手県早池峰山)。蛇紋岩地帯の礫地に生える。日本のエーデルワイスと呼ばれ、栽培されている。
 多年草。高さは10~20(~30)㎝。地下茎は硬く横に這う。茎は直立、分枝せず、叢生し、白色の綿毛が密にある。根出葉は線状倒披針形、長さ3~8㎝、両面に白色の毛がある。茎葉は互生、7~10個つき、線状披針形長さ3~5㎝×幅4~6㎜、基部は楔形、茎を抱き、先は鋭形、上面は緑色、綿毛は少なく、下面は灰白色、綿毛が密生する。花序は頂生、頭花を密に4~8個つける。総苞は直径7~9㎜。頭花の基部の苞葉は5~15個つき、直径4~6㎝の星状になり、先は鋭形、灰白色の綿毛が密生する。 花期は7~8月。
品種) Ajs/j 111

 7  Leontopodium japonicum Miq.  ウスユキソウ 薄雪草
 日本(北海道、本州、四国、九州)、中国原産。中国名は薄雪火绒草 bao xue huo rong cao
 和名の由来は白色の苞葉が白く、薄雪が積もったように見えることから。
 多年草。高さ25~50㎝。茎は直立し、直径2~3㎜、丈夫で、普通上部に葉が密につく。葉は長さ4~6㎝、幅6~15㎜の披針形。葉表の綿毛が少なく、葉裏の綿毛は多い。苞葉は白色、5~8個、長さ1~3㎝。頂部に直径3.5~4.5㎜の小さな頭花を固まってつけ、頭花に短い柄がある。総苞は長さ4~5㎜。総苞片は3列。周辺小花は雌性、長さ約2㎜の毛管状。中心小花は両性の筒状花、長さ約3㎜、不稔。痩果は長さ約1㎜、有毛。冠毛は長さ約3㎜、白色。花期は7~8月。2n = 28
7-1 Leontopodium japonicum Miq. f. happoense Hid.Takah. ex T.Shimizu  ハッポウウスユキソウ
 八方尾根にはえる。葉が斜上する
7-2 Leontopodium japonicum Miq. f. orogenes (Hand.-Mazz.) Ohwi  ヤマウスユキソウ
   synonym Leontopodium japonicum Miq. var. orogenes Hand.-Mazz.
 広島県東部の蛇紋岩の山地に生育し、花期は7~10月。
7-3 Leontopodium japonicum Miq. var. perniveum (Honda) Kitam.  カワラウスユキソウ
   synonym Leontopodium japonicum Miq. f. perniveum (Honda) Ohwi
 本州の南アルプス北部の石灰岩地帯だけに生える。
 頭花は長い花序柄があり、散房花序がまばらになる。
7-4 Leontopodium japonicum Miq. var. shiroumense Nakai ex Kitam.  ミネウスユキソウ 峰薄雪草
   synonym Leontopodium japonicum Miq. f. shiroumense (Nakai ex Kitam.) Ohwi
 本州中北部の高山に生える。
 高さ5~15㎝。葉は長さ2~4㎝、幅0.5~1㎝の披針形~長楕円形。葉の両面に綿毛が生える。包葉は茎葉よりやや小さく、長さが不揃いで、星形につく。頂部に小さな頭花を数個を付ける。頭花は球形に近く、花柄がなく、あってもごく短い。花は筒状花のみ、花冠は白色、先が5裂する。総苞は長さ約4㎜の球状鐘形。痩果は長さ1.5㎜、冠毛がある。花期は7~8月。
7-5 Leontopodium japonicum Miq. var. spathulatum (Kitam.) Murata  コウスユキソウ 小薄雪草
   synonym Leontopodium japonicum Miq. f. spathulatum (Kitam.) Ohwi
 本州(奈良県)、四国(徳島県)、九州(宮崎県)に分布。山地の乾いた礫地、岩場に生える。別名はコバノウスユキソウ。
 全体に小型で、高さ10~20㎝。茎は叢生する。葉はへら形、小さく、長さ約17㎜。頭花もやや小さい。頭花に両性花をつける株と、雌花だけをつける株とがある。花期は7~8月。

 8  Leontopodium junpeianum Kitamura   ナガバウスユキソウ
   synonym Leontopodium linearifolium Hand.-Mazz
   synonym Leontopodium longifolium Y.Ling 
 中国、カシミール原産。中国名は长叶火绒草 chang ye huo rong cao
品種) Ks 2111

 9  Leontopodium kurilense Takeda  チシマウスユキソウ 千島薄雪草
 古くから栽培されている南千島産といわれる小型のウスユキソウ。丈夫で育てやすい。花は大輪で全体に白毛で覆われる。2n=18

 10  Leontopodium leontopodioides (Willd.) Beauverd  ノウスユキソウ
 朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は火绒草 huo rong cao 。中国で白頭翁とされる薬草の1つ。根または全草が使われる。2n=22 , 24(朝鮮) , 26(ロシア)

 11  Leontopodium microphyllum Hayata  カワカミウスユキソウ
 台湾原産。中国名は小叶火绒草 xiao ye huo rong cao 。

 12  Leontopodium miyabeanum (S.Watan.) Tatew. ex S.Watan.  オオヒラウスユキソウ 大平薄雪草
   synonym Leontopodium hayachinense (Takeda) H.Hara et Kitam. var. miyabeanum S.Watan.
 日本固有種(北海道の大平山、崕山)。高山帯の石灰岩地の岩場に生える。
 高さ10~15(30)㎝。茎は直立、分枝せず、白色の綿毛が密生する。根生葉は花期に残る。茎葉は互生し、15~30個つき、長さ2~4㎝×幅3~7㎜、先は急に細くなる。花序は頂生の散房花序、頭花が数個、つく。雌雄異株の傾向があり、頭花は雄小花だけのものや雌小花だけとなる株が多く、まれに雌雄混生する頭花の株もある。花序の基部につく苞葉は白い綿毛が密生し、厚みがあり、先端は円みを帯びる。苞葉の数はハヤチネウスユキソウより多い。花期は6~8月。

 13  Leontopodium nivale (Ten.) Huet ex Hand.-Mazz.
13-1 Leontopodium nivale (Ten.) Huet ex Hand.-Mazz. subsp. alpinum (Cass.) Gleuter  エーデルワイス
   synonym Leontopodium alpinum Cass.
 ヨーロッパのアルプス原産。英名はedelweiss , snow flower , lady's mantle。イタリア名はstella alpina。別名はセイヨウウスユキソウ(西洋薄雪草)。標高2000~2900mに生える。
 多年草、高さ8~20㎝。茎は基部が木質になり、短く、直立、叢生し、白色の綿毛が密生する。葉は灰色で綿毛があり、根生葉は長さ約2~4㎝、へら形。茎葉は長く、線形~披針状線形、長さ24~40㎜×幅2~3㎜、両面に白色の綿毛がある。花序は頂生、多数(3~12個)の帯黄色の頭花からなる団散花序(glomerule)を形成し、最も大きい頭花を他の小さい頭花が取り囲む。頭花の柄は有又は無。頭花は筒状小花だけからなり、舌状小花は無い。総苞は全体に白色の綿毛があり、総苞片はしばしば先の縁が暗色になる。散房花序[団散花序]は(6~9)9~15個の苞葉(bracteal leaves)に取り囲まれる。苞葉は両面が強く綿毛で覆われ、先が尖り、星形になり、花粉媒介の昆虫を呼び寄せる機能をもつ。花後に苞葉は枯れ、雌性の頭花は種子が熟す。痩果は長円形、冠毛をもつ。2n=24
品種) Blossom of Snow = 'Berghman' , 'Everest' , 'Matterhorn' , 'Mignon' , 'Mt. Everest' , 'Tibet'
14-2 Leontopodium nivale subsp. nivale (Ten.) Greut
 イタリアのアペニン山脈固有種。
 全体に小型、綿毛が多い。

 15  Leontopodium shinanense Kitam.  コマウスユキソウ 駒薄雪草
 中央アルプス(木曽山脈)に分布。花崗岩の礫地に生える。別名はヒメウスユキソウ。
 日本産の同属では最も小型。高さは4~15㎝。頭花は2~3個、淡黄色。花期は7~8月。


 参考

1) Flora of China
  Leontopodium
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=117992
2)GRIN
  Leontopodium
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=4835
3)Flora of Pakistan
  Leontopodium
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=117992
4) Plants of the World Online | Kew Science
  Leontopodium
 http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30016652-2
5) 北方山草 10 (1992)
 世界と日本のウスユキソウ属
 http://hopposansokai.web.fc2.com/kaishi/no10/10-13.pdf
6) MONACO NATURE ENCYCLOPEDIA
 Leontopodium nivale
 https://www.monaconatureencyclopedia.com/leontopodium-nivale/?lang=en
7)Grana: 36: 80-95, 1997
 Pollen characteristics of New Zealand Gnaphalieae (Compositae) and
   their taxonomic significance
 https://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.1080/00173139709362594
8)quelle-est-cette-fleur.com Fiches-botaniques
 Leontopodium nivale subsp. alpinum
 https://quelle-est-cette-fleur.com/Fiches-botaniques/edelweiss.php
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