チカラシバ 力芝
Flora of Mikawa
イネ科 Poaceae チカラシバ属
別 名 | ミチシバ |
中国名 | 狼尾草 lang wei cao |
英 名 | Chinese fountaingrass , Chinese fountain grass , foxtail fountain grass , swamp foxtail |
学 名 | Pennisetum alopecuroides (L.) Spreng. synonym Cenchrus alopecuroides (L.) Thunb. |
花 期 | 8~10月 |
高 さ | 15~40㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 道端、草地 |
分 布 | 在来種 日本全土、朝鮮、中国、台湾、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、オーストラリア |
撮 影 | 幸田町 04.10.30 |
茎は枝分かれしない。葉は長さ10~80㎝、幅0.3~1㎝。葉舌は長さ0.5~2.5㎜。円柱形の穂状花序は長さ10~20㎝、直径約4㎝。小穂の基部に長さ約2㎝の黒紫色の総苞毛(毛状の総苞)がある。小穂は長さ5~8㎜。第1苞頴は長さ約1.5㎜、0~1脈。第2苞頴は長さ約4㎜、3~5脈。頴果は総苞毛とともに落ちる。2n=18
総苞毛が淡緑色のものはアオチカラシバといわれている。
帰化種のエダウチチカラシバは茎が分枝し、花序の枝1本に2~4個の小穂がつき、内側の総苞毛が羽毛状に分岐する。
チカラシバ属
family Poaceae - genus Pennisetum一年生草または多年草。稈は房状または根茎があり、平伏~高さ3m以上になる。葉身は平らまたは折りたたまれ、または巻き込む。葉舌は縁毛のある膜質。花序は穂状花序状の円錐花序、円筒形~ほぼ球形。枝が多数あり、剛毛の総苞が基部につく1個または複数の小穂の短い束に収縮する。総苞は無柄または基部に短い柄を持ち、熟すと小穂とともに脱落し、主軸に花序柄の切り株または傷跡を残す。剛毛は細く、ザラつき、ときには羽毛があり、単純またはごくまれに分枝し、非常に不均等で、外側が短く、しばしば、最も内側が丈夫で、残りの部分を明瞭に超える。小穂は普通、披針形、背側が扁平、草質、鋭形または鈍形、小花は2個つき、苞穎(glume)と下側の護穎(lemma)は様々。苞穎はしばしば小さく、小穂の長さの1/2を超えない。下側の護穎は雄性または中性、小穂の長さに等しいか、または小さくなる。上側の護穎は小穂の長さに等しく、草質または硬化し、先は鈍形~鋭形。x=9。
世界に約80種あり、世界中の熱帯全域に分布する。
チカラシバ属の主な種と園芸品種
1 Pennisetum alopecuroides (L.) Spreng. チカラシバ 力芝synonym Cenchrus alopecuroides (L.) Thunb. [Kewscience] クリノイガ属
synonym Pennisetum alopecuroides (L.) Spreng. f. purpurascens (Thunb.) Ohwi
日本全土、朝鮮、中国、台湾、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、オーストラリア原産。中国名は狼尾草 lang wei cao。英名はChinese fountaingrass , Chinese fountain grass , foxtail fountain grass , swamp foxtail。別名はミチシバ。道端、草地に生える。多年草。高さ15~40㎝。茎は枝分かれしない。葉は長さ10~80㎝、幅0.3~1㎝。葉舌は長さ0.5~2.5㎜。円柱形の穂状花序は長さ10~20㎝、直径約4㎝。小穂の基部に長さ約2㎝の黒紫色の総苞毛(毛状の総苞)がある。小穂は長さ5~8㎜。第1苞頴は長さ約1.5㎜、0~1脈。第2苞頴は長さ約4㎜、3~5脈。頴果は総苞毛とともに落ちる。2n=18。花期は8~10月。
品種) Autumn Wizard , 'Black Beauty' , 'Bruno Ears' , 'Burgundy Bunny' , 'Cassian' , 'Cassian's Choice' , 'Caudatum' , 'Dark Desire' , 'Desert Plains' , f. erythrochaetum 'Ferris' , 'Foxtrot' , 'Gelbstiel' , 'Gilo'PBR , 'Goldstrich' , 'Hameln' , 'Hameln Gold'PBR , 'Herbstzauber' , 'JS Jommenik'PBR , 'Lady U' , 'Little Bunny' , 'Little Honey' (v) , 'Little Richie' , 'Magic' , 'Moudry' , 'National Arboretum' , 'Pauls Giant' , 'Pav300' , Pennstripe ('Pav300') (v) , Peppa Pig , 'Piglet'PBR , 'Reborn' , 'Red Buttons' , 'Red Head' , 'Weserbergland' , 'Woodside'
1-1 Pennisetum alopecuroides (L.) Spreng. f. anacanthum Hayashi ボウズチカラシバ 坊主力芝
総苞毛を全く欠く品種。1-2 Pennisetum alopecuroides (L.) Spreng. f. erythrochaetum (Ohwi) Ohwi ベニチカラシバ 紅力芝
総苞毛が帯赤色のもの。1-3 Pennisetum alopecuroides (L.) Spreng. f. viridescens (Miq.) Ohwi アオチカラシバ 青力芝
synonym Pennisetum alopecuroides (L.) Spreng. var. viridescens (Miq.) Ohwi
総苞毛が淡緑色のもの。2 Pennisetum clandestinum Hochst. ex Chiov. キクユグラス
synonym Cenchrus clandestinus (Hochst. ex Chiov.) Morrone [Kewscience]クリノイガ属
アフリカ東部原産。中国名は铺地狼尾草 pu di lang wei cao。英名はkikuyu grass。別名はアフリカチカラシバ。中国、台湾に帰化している。芝草として使われる。多年草。細長い根茎があり、匍匐茎が丈夫で、多数、枝分かれして、広がる。栄養葉のシュートは高さ20cmまで、花のつくシュートはコンパクトで、高さ2~4cm。葉鞘は緩く、覆瓦状、やや膨らむ。葉身は線形、栄養葉のシュートの葉は長さ15㎝以下×幅0.2~0.5㎝、花のつくシュートの葉は長さ1~4cm。葉舌は長さ約1.2㎜。花序は最上部の葉鞘に包まれた2~4個の小穂に小さくなり、小穂の先端だけが突き出る。剛毛は非常に繊細で、小穂の長さの1/2~3/4で、細かくザラつくか繊毛がある。小穂は線状披針形、長さ13~20㎜、先は尖鋭形、第1苞穎は無い。第2苞穎は袖口ようで(cufflike)、長さ1~3㎜またはときに無い。下側の小花は不稔。下側の護穎は小穂と同長、10~13脈があり、内穎は無い。上側の護穎は似ている。葯は糸状の花糸の上に長く5㎝以下突き出る。柱頭は単純または短く2裂し、長さ3cm以下。花期および果期は夏~秋。2n=36。
品種) 'Rk19'PBR
3 Pennisetum flaccidum Griseb. イヌチガヤ 犬茅萱
synonym Cenchrus flaccidus (Griseb.) Morrone [Kewscience] クリノイガ属
synonym Pennisetum centralasiaticum Tzvelev中国、アフガニスタン、ブータン、北西インド、カシミール、ネパール、パキスタン、タジキスタン、南西アジア(イラン)原産。中国名は白草 bai cao。丘の中腹、畑の縁、乾燥した砂質土壌の道端、ときに氾濫原のわずかに塩分を含んだ沖積土に生える。
多年草。丈夫で広がる根茎がある。稈は房状になり、高さ1m以下。葉鞘は緩く、ほぼ無毛、丸く、基部が覆瓦状になる。葉身は線形、幅の広い白色の中肋があり、長さ3~25㎝×幅0.2~1.2㎝、無毛、尖っています。葉舌は長さ1~2㎜。花序は頂生、ときに上部の葉鞘に腋生し、線形、真っ直ぐまたはわずかに屈曲し、緩く~中程度に密、長さ5~18㎝。花序軸は無毛、平滑、または細かくザラつき、短い花序柄の切り株または傷跡がある。総苞は1つの小穂(まれに2つ)を囲む。剛毛は多数、普通、淡緑色、たまに紫色を帯び、柔らかく、細く、最も長いものは長さ0.9~2㎝、まれに、内側に薄い羽毛がある。小穂は狭卵状長円形、長さ4~7㎜。第1苞穎は普通、小穂の長さの1/4またはそれ以下、鈍形、鋭形、または 微細不整歯がある。第2苞穎は小穂の長さの1/3~3/4、1~3脈があり、尖鋭形。下側の小花は雄性、護穎は小穂の長さと同長、3~5(~7)脈があり、中脈に沿って凹面になり、尖鋭形状の嘴があり、内穎は完全に発達する。上側の護穎は尖鋭形状の嘴があり、脈がある。葯は先端に毛がない。花期および果期は7~10月。
4 Pennisetum glaucum (L.) R.Br. トウジンビエ 唐人稗
synonym Cenchrus americanus (L.) Morrone [Kewscience]クリノイガ属
アフリカ原産。英名はAfrican millet , pearl millet。別名はトウジンキビ、パールミレット。広く栽培される雑穀の一つ。一年草。稈は50~300㎝、直立、分枝し、節は無毛。葉鞘は無毛または毛があり、縁毛は有または無。葉舌は長さ2~5㎜。葉身は長さ15~100㎝×幅7~70㎜、平ら、無毛または有毛。円錐花序は頂生、長さ4~200㎝×幅2~70㎜、鞘から完全に突き出し、直立する。花序軸は円柱形、密に毛がある。密散花序(fascicles:束生)は1㎝あたり33~160個、密散花序の軸は長さ1~28㎜、宿存し、1~9個の小穂がつく。外側の剛毛は44~131本、長さ0.5~6㎜。内側の剛毛は6~19本、長さ4~6㎜、羽毛がある。一次剛毛は長さ5.5~6.3㎜、縁毛があり、ときに他の剛毛よりも著しく長い。小穂は長さ3~7㎜。小梗(小花柄)は長さ0.6~1.8mm。第1苞穎はないか、または長さ1.5㎜以下、脈はない。第2苞穎は長さ0.5~3.5㎜、3~5脈がある。下側の小花は雄性または不稔。下側の護穎は長さ1.5~6㎜、無毛、3~7脈があり、縁に縁毛がある。下側の内穎は痕跡または完全に発達し、縁に縁毛がある。葯は長さ2.2~2.5㎜、ほうき状。上側の小花は革質、光沢がある。上側の護穎は長さ4.3~7㎜、5~7(9)脈があり、縁に縁毛がある。上側の内穎は長さ3.4~3.9mm、毛があり、少なくとも基部の近くに毛があり、縁に縁毛がある。葯は長さ2~2.2㎜、ほうき状。穎果は長さ2~5.5㎜×幅1.6~3.2㎜、成熟時に護穎と内穎から突き出る。2n=14。果期は秋。
品種) 'Jade Princess' , 'Jester' , 'Purple Baron' , 'Purple Majesty'
5 Pennisetum macrostachyum (Brongn.) Trin. ペンニセツム・マクロスタキウム
synonym Cenchrus elegans (Hassk.) Veldkamp [Kewscience]クリノイガ属
マレーシア(ボルネオ)、インドネシア(ボルネオ、ジャワ、小スンダ列島、ニューギニア)、パプアニューギニア(ニューギニア、ビスマルク諸島)、ソロモン諸島原産。英名は Pacific fountaingrass 。多年草。密に房状に茂る。 稈は高さ20~130cm。葉身は約・長さ30cm×幅3mm以下、中肋が上面で著しく太くなり、巻き込み(convolute)、堅く、荒く(harsh)、粉白を帯びる。円錐花序は線形、長さ6~30㎝、花序軸は円筒形で、切り株の残らない痕の下に浅い角張ったうねがあり、無毛~直軟毛がある。総苞は細い毛のある長さ1~3㎜の柄の上につき、1~3個の小穂を囲み、そのうちの1個は無柄、他は短い小梗(小花柄)がある。 剛毛は少なくとも内側にあり、緩やかな毛羽がつき、最も長いものは長さ16~40㎜、小穂は披針形、長さ4.5~6.5㎜、下側の苞穎はたまに卵形になり、長さは小穂の長さの1/3 まで、通常は短く、ほぼ円形だが、ときに抑制される。上側の苞穎は小穂の長さの1/4~2/3。下側の護穎は小穂と同長、♂性 または不捻(barren)、先は尖鋭形。上側の護穎は下側の護穎に似ている。たまに、小軸(rhachilla)は上側の護穎を超えて小さな剛毛のように伸びる。
品種) 'Burgundy Giant'(Giant Fountain Grass) , 'Purple Fountain'
6 Pennisetum macrourum Trin. アフリカンフェザーグラス
synonym Cenchrus caudatus (Schrad.) Kuntze [Kewscience]クリノイガ属
アフリカ南部~東部、中東(サウジアラビア、イエメン)原産。英名はAfrican feather grass , African river grass。ニュージーランドに帰化。多年草、株立(clump-forming)になり、高さ2m以下。根はひげ根、深い。根茎は長さ2m以下×直径7mmになり、新しい地上のシュートと根を形成する。葉は薄緑色、強いうねがあり、下面は暗緑色、長さ1.2m×幅13㎜・以下、丈夫で粗い(harsh)。茎は直立し、丸く、高さ2m以下、紫白色、多くの細い毛があり、触れると切れて、皮膚の炎症を引き起こす。花序は狭く、円筒形、穂状花序状、長さ10~30㎝×直径10~20㎜。 多数の種子がつき、それぞれに長さ約10㎜の剛毛がある。
品種) 'Short Stuff' , 'Tail Feathers' , 'White Lancer'
7 Pennisetum massaicum Stapf ペンニセツム・マッサイクム
synonym Cenchrus massaicus (Stapf) Morrone [Kewscience]クリノイガ属
アフリカ原産。英名はbunny tails , fountain grass。多年草、短い木質の根茎がある。稈は高さ90㎝以下、枝分かれが多く、しなやかまたは木質。葉は平らまたは折りたたまれる。葉舌は毛が線状に並ぶ。円錐花序は線形~長円形、長さ2~10㎝、密。花序軸は傷痕の下に角(かど)のある肋があり、細かくザラつく。総苞は1個の無柄の小穂を囲み、基部にごく短い長円形の柄がある。剛毛は無毛またはまばらに縁毛があり、最も長い毛4~10㎜、普通、2輪につく。小穂は長円形、長さ3.5~5.5㎜。第1苞穎は小穂の長さの1/2。第2苞穎は小穂の長さ2/3~3/4。護穎は質感が似ており、鋭形~錐形。下側は雄性。 品種) 'Red Bunny Tails'('Red Buttons')
8 Pennisetum orientale Rich. エダウチチカラシバ 枝打ち力芝 広義
synonym Cenchrus orientalis (Rich.) Morrone [Kewscience] クリノイガ属
北アフリカ、中東、南西アジア原産。英名はoriental fountain grass , white fountaingrass。多年草。根茎がある。稈は高さ50~200㎝、直立し、円錐花序の下は毛があり、節に毛がある。葉は緑色または粉白色。葉鞘は前向きに細かくザラつき、ほとんどが無毛で、縁に縁毛がある。葉舌は長さ1~1.7㎜。葉身は長さ25~50㎝×幅3~9㎜、平らで、前向き細かくざらつく、無毛または有毛、縁は縁毛があるかまたは無毛、中脈は顕著に厚くならない。円錐花序は長さ11.5~37.3㎝×幅35~50㎜、鞘から完全に突き出し、直立~わずかにアーチ状になり、白色(ときに紫色を帯びる)。花序軸は円柱形、毛がある。密散花序(fascicles)は1㎝あたり5~12個つく。密散花序の軸は長さ1~6㎜、1~10個の小穂がつく。外側の剛毛は0~24本、長さ0.8~9.6㎜、円柱形、ザラつく。内側の剛毛は6~20本、長さ5.6~17.5㎜、縁毛(羽毛)がある。一次の剛毛は長さ12.2~23.8㎜、縁毛があり、他の剛毛よりも著しく長い。小穂は長さ5.6~6.7㎜。小梗(小花柄)は長さ0.1~0.2㎜。第1苞穎は長さ1~2.2㎜、脈はない。第2苞穎は長さ3.1~5.5㎜、1~3脈がある。下側の小花は雄性。下側の護穎は長さ5.2~6.5㎜、4~6脈がある。下側の内穎は長さ3.8~5㎜。葯は長さ2.3~3㎜。上側の小花は成熟時に関節離断しない。上側の護穎は長さ5.2~6.2㎜、縁は無毛、5脈がある。上側の内穎は2裂し、歯は長さ0.3~0.8㎜。葯は長さ1.9~2.9㎜。穎果は成熟時に護穎と内穎によって隠される。2n=18, 27, 36, 45, 54。
品種) 'Fairy Tails' , 'Flamingo' , 'Karley Rose'PBR , 'Robustum' , 'Shenandoah' , 'Shogun' , 'Tall Tails'
8-1 Pennisetum orientale Rich. var. triflorum (Nees ex Steud.) Stapf ex Hook.f. エダウチチカラシバ
synonym Cenchrus orientalis subsp. triflorum (Nees ex Steud.) Acev.-Rodr. & M.T.Strong
茎が分枝し、花序の枝1本に2~4個の小穂がつき、内側の総苞毛が羽毛状に分岐する。基本種に含める見解もある。9 Pennisetum polystachion (L.) Schult. マキバチカラシバ 牧場力芝 広義
synonym Setaria parviflora (Poir.) Kerguélen [Kewscience] エノコログサ属
synonym Pennisetum setosum (Sw.) Rich.synonym Panicum polystachion L.
アメリカ大陸に広く分布。中国名は牧地狼尾草 mu di lang wei cao。英名はmission grass , feather pennisetum , thin napier grass 。別名はホソボチカラシバ。インド、熱帯アフリカが原産で、アジア、アメリカに帰化しているともされていた。世界中の熱帯に広く分布している。
一年草または多年草。硬くて節のある基部から叢生する。稈は長さ30~200㎝、直立し、枝分かれし、節は無毛。葉鞘は平滑、縁は縁毛がある。葉舌は長さ1.5~2.7 mm。葉身は長さ15~55 cm×幅4~18 mm、平ら、無毛または有毛。円錐花序は長さ10~25 cm×幅15~30 mm、葉鞘から完全に突き出し、直立~垂れ下がり、白色、黄色、薄褐色、またはピンク色~濃紫色。花序軸は円柱形、ザラつく。密散花序(fascicles)は33~45個/cm、熟すと関節離断し、密散花序の軸は長さ0.2~0.5 mm、小穂が1個つく。外側の毛は13~30本、長さ1.3~5 mm、ザラつく。内側の剛毛は6~14本、長さ4.3~11.5 mm、長い縁毛がある。一次の剛毛は長さ14~25 mm、長い縁毛があり、他の剛毛よりも著しく長い。小穂は長さ3~4.5mm、無柄。第1苞穎はないか、長さ2mm以下、脈がない。第2苞穎は長さ3~4.5mm、無毛、5~7脈があり、3裂する。下側の小花は不稔または雄性。下側の護穎は長さ3~3.9mm、5~7脈があり、先は分裂する。下側の内穎は長さ2.9~3.7mm。葯はないか、長さ1.7~2mm。上側の小花は熟すと関節離断する。上側の護穎は長さ1.7~3mm、革質、光沢があり、5脈があり、先は縁毛がある。葯は長さ1.3~2.1mm。穎果は熟すと護穎と内穎に隠れ、長さ約1.7mm。2n=18, 36, 45, 48, 52, 53, 54, 56, 78。
9-1 Pennisetum polystachion (L.) Schult. subsp. polystachion
一年草、普通、多数、枝分かれしする。密散花序(fascicles)は白色、ピンク色、赤色、または濃紫色。9-2 Pennisetum polystachion (L.) Schult. subsp. setosum (Sw.) Brunken マキバチカラシバ 牧場力芝
synonym Cenchrus setosus Sw.[Kewscience] クリノイガ属
synonym Pennisetum setosum (Sw.) Rich.アフリカ、マダガスカル、サウジアラビア、インド、ラオス、バングラデシュ、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナム原産。中国名は別名はホソボチカラシバ。南アメリカ(コロンビア)、北アメリカに帰化している。
多年草、普通、控えめに枝分かれする。密散花序(fascicles)は黄色、薄褐色、または帯紫色。
10 Pennisetum purpureum Schumach. ナピアグラス
synonym Cenchrus purpureus (Schumach.) Morrone [Kewscience] クリノイガ属
アフリカ原産。中国名は象草 xiang cao。英名はNapiergrass , elephanto grass。別名はネピアグラス、エレファントグラス、オニチカラシバ。日本には牧草として持ち込まれ、九州以南で野生化している。多年草、大きな茂み(tussocks)を形成し、しばしば短い根茎がある。稈は丈夫、傾伏し、基部で発根し、高さ2~4mに斜上する。葉鞘は無毛または剛毛がある。葉身は線形、長さ120㎝×幅5㎝・以下、下面は無毛、上面は剛毛または基部にパピラのある直軟毛があり、中肋は明瞭、縁はザラつく。葉舌は長さ1.5~5㎜。花序は線形、長さ10~30㎝×幅1~3㎝、金色、帯褐色、または帯紫入り、花序軸は密に直軟毛があり、小さな花序柄の切り株で密に覆われる。総苞は多くの細い剛毛からなり、1~5個の小穂を囲み、頂部の小穂は稔性で、ほぼ無柄であり、側小穂がある場合は長さ1~2㎜の小梗があり、雄性。内側の剛毛は薄く羽毛状で、最長の剛毛は長さ1~4㎝。小穂は長さ5~7 mm。第1苞穎は痕跡または無く、第2苞穎は小穂の長さの1/4~1/2、鋭形。下側の小花は雄性または中性、護穎は小穂の長さの1/2~3/4、5~7脈があり、微細な小剛毛があり、先は尖鋭形。上側の護穎は膜質、明瞭な5脈が狭い尖鋭形の先端に向かってあり、下半分は軟骨質、平滑で光沢がある。葯は先端に短い毛の房がある。花期および果期は8~10月。2n=27, 28。
品種) 'Prince' , 'Princess'PBR
11 Pennisetum setaceum (Forssk.) Chiov. ファウンテングラス
synonym Cenchrus setaceus (Forssk.) Morrone [Kewscience] クリノイガ属
synonym Pennisetum scoparium Chiov.アフリカ、中東、アフガニスタン原産。英名はTender fountaingrass。
多年草、または温帯気候では一年草、叢生する。稈は高さ40~150㎝、直立、花序の下部に毛があり、節は無毛。葉は緑色、ときに粉白色。葉鞘は無毛、縁は縁毛がある。葉舌は長さ0.5~1.1㎜。葉身は長さ20~65㎝×幅2~3.5㎜、内巻きまたは折り畳み、ザラつく、中脈は著しく厚くなる。円錐花序は長さ(6)8~32㎝×幅40~52㎜、直立またはアーチ状になり、ピンク色~暗ワインレッド色(burgundy)、花序柄に毛がある。密散花序(fascicles)は1cmあたり8~10個、密散花序の軸は長さ2.3~4.5㎜、1~4個の小穂がつく。外側の毛は28~65本、長さ0.9~19㎜。内側の毛は8~16本、長さ8~27㎜、縁毛がある。一次の剛毛は長さ26.5~34.3㎜、縁毛があり、他の剛毛よりも著しく長い。小穂は長さ4.5~7㎜、無柄または小梗があり、小梗は長さ0.1㎜以下。第1苞穎は無いかまたは長さ0.3㎜以下、脈がない。第2苞穎は長さ1.2~3.6㎜、(0)1脈がある。下側の小花は普通、不稔、ときに雄性。下側の護穎は長さ4~6㎜、3脈があり、先は尖鋭形、中脈は長さ0.7㎜以下突き出す。下側の内穎は普通なく、もし、あれば長さ4.4㎜以下。葯はないか、または長さ2.3~2.4㎜。上側の護穎は長さ4.5~6.7㎜、漸尖し、5脈があり、中脈は長さ0.7㎜以下突き出し、縁は無毛。葯は長さ2.1~2.7㎜。 2n=27。
品種) 'Burgundy Giant' , 'Eaton Canyon' , 'Rubrum Dwarf'
12 Pennisetum sordidum Koidz. シマチカラシバ 島力芝
synonym Pennisetum alopecuroides (L.) Spreng. subsp. sordidum (Koidz.) T.Koyama
synonym Cenchrus alopecuroides (L.) Thunb. [Kewscience] クリノイガ属
日本固有種。九州南部から南西諸島、小笠原諸島に分布。海岸の崖地、砂浜に生える。チカラシバに似るが、葉幅が狭く、花序が汚黄色になる。多年草。高さ約30㎝。葉は堅く、内巻きし、葉幅が狭く、線形、長さ30~50㎝×幅1.5~3㎜、無毛。葉鞘は扁平、無毛、口部に長毛がある。葉舌は長さ約0.5㎜。花序は円柱形、淡汚黄色。花期は秋。
13 Pennisetum sphacelatum (Nees) T.Durand & Schinz ペンニセツム・スファケラツム
synonym Cenchrus sphacelatus (Nees) Morrone
アフリカ南部、東部原産。英名はRye Puffs , slender veldt Grass。高地の草地、高地の常緑樹林内の空き地に生える。
多年草。密に房状になる。 稈は高さ30~150cm、円錐花序の下に毛~絨毛がある。葉身は内巻きし(convolute)、長さ10~35cm×幅2~4mm、硬く、脈が目立つ。円錐花序は線形、長さ4~12cm、密集する。花序軸は円筒形、丸い肋とごく短いほとんど小梗の切り株があり、細かくザラつく~毛がある。総苞は1個の無柄の小穂を包み、基部が微細な円錐形になる。剛毛は無毛~弱く羽毛があり、短く、最長の剛毛は長さ4~14mm。小穂は披針形、長さ2.5~4.5mm、鋭形~尖鋭形。第1苞穎は小穂の長さの1/8~1/2、第2苞穎は小穂の長さの(1/8)1/3~2/3(~3/4)。下側の護穎は不毛、長さは小穂の長さまで(南アフリカではまれに2/3の長さ)、先は鋭形~芒状尖鋭形。上側の護穎は下側と同様。
品種) 'Eaton Canyon' , 'Malibu' , 'Sky Rocket'
14 Pennisetum thunbergii Kunth ペンニセツム・スンベルギ
synonym Pennisetum glabrum Steud.
synonym Cenchrus geniculatus Thunb.
アフリカ、イエメン原産。品種の'Red Buttons'がよく栽培されている。
多年草、房状になる。根茎は長い。匍匐茎はない。基部の葉鞘は無毛。稈は直立または膝状に曲がり、斜上し、高さ10~150cm。葉鞘は無毛。葉舌は毛の房飾りがある。葉身は平らまたは内巻き(convolute)、長さ3~40㎝×幅2~8㎜、先は漸尖し、糸状になる。花序は中実、円錐花序。花序柄は無毛。円錐花序は穂状花序状、線形または長円形、長さ2~5cm。一次の円錐花序の枝は中心軸に向かって花後に伸び、軸上に側部の切り株がある。円錐花序の軸は丸い肋があり、細かくザラつき、無毛、脱落性の小穂の集団をつける。小穂は総苞が基部につく。総苞は剛毛からなり、長円形、長さ5~14mm、基部は切形。総苞の剛毛は稔性の小穂と一緒に脱落し、多数つき、最長の剛毛はほとんど出現せず、長さ5~14 mm、円柱形、しなやかで、無毛。稔性の小穂は2小花をつけ、1個の稔性の小花からなり、下側の小花は不稔で上側が稔性、小軸の伸長はなく、披針形または卵形、背側が扁平、先は尖鋭形、長さ2.5~5 mm、全体で落下し、脱落性、付属枝構造をもつ。苞穎は1個(第1苞穎は無いかまたは不明瞭)、稔性の護穎よりも薄い。第2苞穎は長円形または卵形、小穂の長さの20~25%、透明、0~1脈があり、中脈は無いかまたは明瞭、側脈は無く、先は凹形または鈍形または鋭形。基部の不稔の小花は1個、目立つ内穎はない。下側の不稔の小花の護穎は楕円形または卵形、小穂の長さの(25~)33~66(~75)%、膜質、1~3脈があり、先は尖頭形または尖鋭形、微突形。下側の不稔の小花の芒は長さ0.5~1.5mm。稔性の護穎は卵形、長さ2.5~5㎜、膜質、5~7脈があり、縁は平ら。先は尖鋭形、芒がなくまたは微突形。内穎は護穎の長さの100%、膜質。葯は3個、長さ1.5~2.5mm。葯の先端は平滑、またはほうき状。花柱は下に合着し、合着はその長さの20%。穀物は付着性果皮をもち、長円形、背側が扁平、長さ1.7mm。
品種) 'Red Buttons'
15 Pennisetum villosum R.Br. ex Fresen. シロガネチカラシバ 白金力芝
synonym Cenchrus longisetus M.C.Johnst. [Kewscience] クリノイガ属
アフリカ(エリトリア、エチオピア、ソマリア)、中東(サウジアラビア、イエメン)原産。英名はfeathertop。園芸名はギンギツネ。多年草。根茎がある。稈は高さ16~75cm、直立し、節は無毛。葉鞘は平滑、縁は縁毛がある。葉舌は長さ1~1.3㎜。葉身は長さ5~40cm×幅2~4.5㎜、平ら~折りたたまれ、無毛、有毛、またはザラつき、縁は縁毛があるかまたは基部が無毛。円錐花序は頂生、長さ4~11.5cm×幅50~75㎜、鞘から完全に突き出し、直立し、白色、花序軸は円柱形、有毛(基部が)。密散花序(fascicles)は1cmあたり7~11個、密散花序の軸は長さ1.5~2.5㎜、1~4小穂がつく。外側の毛は(0)1~8本、長さ1~13.5㎜。内側の剛毛は23~41本、長さ13~50.5㎜、密に羽毛状になる。一次の剛毛は長さ40~50㎜、縁毛があり、普通、他の剛毛よりも目立って長くはない。小穂は長さ9~12㎜、無毛。小梗(小花柄)は長さ0.1~0.4㎜。第1苞穎は長さ0.3~1.3㎜、脈はない。第2苞穎は長さ2.5~5.2㎜、1(3)脈がある。下側の小花は雄性または不稔。下側の護穎は長さ7.5~10.5㎜、7~9(10)脈がある。下側の内穎はなくまたは長さ5.5~8.5㎜。葯はないかまたは長さ3.8~4.5㎜。上側の護穎は長さ9~11㎜、7脈があり、先は細かくザラつく。葯は長さ3.5~5㎜。穎果は熟すと護穎と内穎に隠れる。2n=45。
品種) 'Cream Falls' , 'Nemira' , 'White Ladies'
16 Pennisetum × advena Wipff & Veldkamp
synonym Cenchrus × cupreus (Thorpe) Govaerts
アフリカ原産のハイブリッド
品種) 'Chelsea'PBR , 'Eaton Canyon' , 'Fireworks'PBR (v) , 'Knightsbridge' , 'Leopard' , 'Mayfair'PBR , 'Rubrum'
17 その他ハイブリッド
品種) 'Fairy Tails' , 'Foxtrot' , 'Herbstzauber' , 'Japonicum' , 'Magic' , 'Malibu' , 'Paul's Giant' , Princess Caroline ('Tift-17') , 'Purple Majesty' , 'Purple Millet' , 'Reine Saat' , 'Tift-17'
クリノイガ属
family Poaceae - genus Cenchrus一年草または多年草。稈は普通、基部近くで分枝する。葉身は普通、平ら。葉舌は縁に縁毛がある。花序の穂状花序状、円筒形、角(かど)に沿って刺状または剛毛状の脱落性のイガ=壷状の総苞(fascicles:小束[密散花序]またはburrs:バリ[突起])があり、しばしば花序軸が曲がりくねり、イガは無柄または基部に倒円錐形の柄を持ち、それぞれが刺と剛毛の総苞に囲まれた1個またはそれ以上の無柄の小穂で構成される。剛毛は屈曲性またはより多くの場合刺状で、±平らで、外面に溝があり、下部は統合し、結合の程度は小さな基部の円盤~深い殻まで様々であり、内側の刺または剛毛はしばしば小穂の周りの縁毛になる。小穂は披針形、鋭形。両苞穎は等しくなく、小穂より短く、ときに下側の苞穎は無くなる。下側の小花は膜質、雄性または中性。上側の小花はより堅く、雌性先熟(protogynous)。鱗被は無い。
世界に23種あり、世界中の熱帯および温帯地域に分布する。
クリノイガ属の主な種と園芸品種
1 Cenchrus brownii Roem. et Schult. クリノイガ 栗の毬synonym Cenchrus echinatus auct. non L.
synonym Cenchrus calyculatus auct. non Cav.
世界の熱帯、亜熱帯に広く分布。中国名は蒺藜草 ji li cao。別名はハリガヤ。海岸の砂丘、道端、荒地に生える。
1年草。稈は膝状に曲がり、普通は基部の節から発根し、高さ15~90㎝。葉鞘は竜骨があり、普通、基部に覆瓦状になる。葉身は線形または線状披針形、長さ5~20(~40)㎝×幅0.4~1㎝、無毛~有毛。葉舌は長さ約1mm。花序は長さ3~10㎝×幅約1cm、イガ(burrs)は隣接し、イガの軸はザラつく。イガは球形、長さ0.4~1㎝、切形、柄には毛があり、すべての刺と剛毛は後ろ向きにつく。内側の刺はその長さの1/3~1/2が合着して、球形の殻斗(cupule)を形成し、平らになった離生の先端は三角形で、直立または内側に曲がり、殻斗と先端には毛があり、外側の刺は散開する2輪になり、中央の輪は内側の歯に等しい丈夫な堅い刺の輪であり、最も外側の輪は比較的少数で短く、細い剛毛である。小穂はイガの中に2~4個つき、長さ4.5~7㎜。第1苞穎は小穂の長さの1/2。第2苞穎は小穂の長さの2/3~3/4。花期および果期は夏。2n=34, 68。
2 Cenchrus ciliaris L. ヒゲクリノイガ 髭栗の毬
synonym Pennisetum ciliare (L.) Link
アフリカ、中東、南西アジア、インド、パキスタン原産。英名はbuffel grass。日本でも帰化が確認されている。
多年草。硬くて節のある基部から叢生する。根茎は有または無。稈は高さ10~150㎝、直立し、ときに、空中の節で枝分かれし、無毛、ときに円錐花序の下がザラつく、節は無毛。葉は緑色または粉白色、葉鞘は無毛または毛があり、縁に縁毛がある。葉舌は長さ0.5~3㎜、膜質、縁毛がある。葉身は長さ3~50㎝×幅2~13㎜、平ら、無毛または毛があり、縁は縁がありまたは基部が無毛。円錐花序は長さ2~20㎝×幅4~35㎜、鞘から完全に突き出し、直立し、緑色、褐色、褐紫色、または暗紫色、花序軸は円柱形、ザラつく。イガ(fascicles)は1㎝あたり11~37個、成熟時に関節から離れ(disarticulating)、イガの軸は長さ0.2~1.5㎝、1~12個の小穂がつく。外側の剛毛は16~89本、長さ0.3~11.7㎜、多くが小穂を超える。内側の剛毛は7~20本、長さ3.8~13.8㎜、長さの1/4が融着し、平らになり、溝があり、縁毛がある。一次の剛毛は長さ10.5~23㎜、長い縁毛があり、他の剛毛よりも著しく長い。小穂は長さ2.5~5.6㎜、無柄、無毛。第1苞穎は長さ1~3㎜、0~1脈がある。第2苞穎は長さ1.3~3.4mm、小穂の長さの約1/2の長さ、(0)1~3脈がある。下側の小花は雄性または不稔である。下側の護穎は長さ2.5~5.3mm、3~7脈がある。下側の内穎は無いかまたは長さ2.5~5mm。葯がないか、または長さ約1.4mm。上側の小花は熟しても関節離断しない。上側の護穎は長さ2.2~5.4㎜、(3)5(6)脈があり、縁は無毛。葯は長さ1.4~2.7㎜。穎果は長さ1.2~1.9㎜×幅0.4~1㎜、成熟時に護穎と内穎によって隠される。2n=36, 45。
3 Cenchrus echinatus L. シンクリノイガ 新栗の毬
北メリカ、南アメリカ原産。英名はsouthern sandbur , spiny sandbur , southern sandspur , Australia , Mossman River grass。中国名は蒺藜草 ji li cao。沖縄県各地の路傍や海岸近くでよく見られ、関東以西の開港地でまれに見られる。
1年草。稈は基部が膝状に曲がり、斜上し、高さ20~100cm。葉鞘は節間より短いものから等しいものまであり、扁平。葉舌は長さ0.7~1.7㎜。葉身は長さ4~18(35)cm×幅は2~10(14.2)mm、上面にはまばらに直軟毛があり、毛は基部がパピラ状である。円錐花序は長さ2.5~12cm、花序軸の節間は長さ2~4mm。イガ(fascicles)は長さ5~10mm、幅3.5~6(6.3)mm、覆瓦状。外側の剛毛は10~20本、円柱形、大部分は内側の剛毛の1/2以下の長さ。内側の剛毛は長さ2~5 mm、幅0.6~1.5㎜、平らで、溝がなく、ほとんどが直立し、長さの少なくとも1/2が球形の殻斗(cupule)に融合し、ときに成熟時に連動し、短い毛があり、しばしば成熟時に紫色になる。小穂は密散花序あたり2~3(4)個つき、長さ4.8~7mm。第1苞穎は長さ1.3~3.4mm。第2苞穎は長さ3.8~5.7mm、3~7脈がある。下側の護穎は長さ4.5~6.5mm。上側の小花は長さ4.7~7mm。葯は長さ0.8~2.4mm。穎果は卵形、長さ1.2~3.2㎜×幅1.3~2.2mm。2n=(34),68。
4 Cenchrus latifolius (Spreng.) Morrone ツリエノコロ 吊狗尾草
synonym Pennisetum latifolium Spreng.
アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ原産。英名はUruguay fountaingrass。日本には明治時代に渡来した。
多年草、叢生する。稈は高さ1.5~3m、直立し、節に毛がある。葉鞘は有毛またはザラつき、縁に縁毛がある。葉舌は長さ1.3~2㎜。葉身は長さ30~75 cm×幅19~45㎜、平ら、無毛、偽葉柄がある。円錐花序は稈の末端に頂生および上部の葉鞘に腋生し、長さ2.2~9.5㎝×幅10~15㎜、鞘から完全に突き出し、しなやかで、垂れ下がり、緑色~わら色。花序軸は円柱形、ザラつきまたはまばらに毛がある。 イガ(fascicles)は1cmあたり5~13個、イガの軸は長さ約0.3㎜、1(2)個の小穂がつく。外側の毛は8~33本、長さ1.1~11㎜、もろい(brittle)。内側の毛はない。一次剛毛は長さ(11.5)15.7~26.5㎜、ザラつき、他の剛毛よりも著しく長い。小穂は長さ4~7㎜、無柄。第1苞穎は長さ1.2~2.2㎜、1(2)脈がある、細かくザラつき、上部に縁毛がある。第2苞穎は長さ1.8~3.3㎜、3脈があり、縁は繊毛がある。下側の小花は不稔。下側の護穎は長さ4.8~6.8㎜、5~8脈がある。下側の内穎は存在しない。上側の護穎は長さ4.6~5.5㎜、5脈がある。上側の内穎は2~3脈がある。葯は長さ1.2~1.5㎜。穎果は長さ2.5~2.8mm。 2n=36。
5 Cenchrus longispinus (Hack.) Fernald ヒメクリノイガ 姫栗の毬
synonym Cenchrus pauciflorus auct. non Benth.
synonym Cenchrus pauciflorus Benth. var. longispinus (Hack.) Jansen et Wacht.
北アメリカ(カナダ、USA、メキシコ)原産。英名はmat sandbur , longspine sandbur , longuesspiny burr grass , gentle Annie。別名はヒメクリノイガモドキ、メリケンクリノイガ。ヨーロッパ、オーストラリア、ニュジーランドで有害雑草(noxious weed )とされている。 1年草、房状になる。稈は20~90㎝、ときに傾伏し、しばしば、基部から多数の枝を生じる。葉鞘は強く扁平な竜骨がある。葉舌は長さ0.6~1.8㎜。葉身は長さ4~27㎝×幅1.5~5(7.5)㎜、上面はザラつきまたはまばらに直軟毛がある。円錐花序は長さ1.5~8(10)㎝。イガ(fascicles)は長さ8.3~11.9㎜×幅3.5~6 mm、やや球形、中程度~短い毛がある。剛毛は45~75本。外側の剛毛は多数あり、内側の剛毛よりも短く、薄く、覆瓦状、ほとんどが円柱形で、後屈する。内側の剛毛は長さ3.5~7㎜、基部で幅0.5~0.9(1.4)mm、不規則に配置され、長さの1/2以上で融合し、明瞭な殻斗(cupule)を形り、上部では不規則な間隔で殻斗から散開し、しばしば、縁に沿って溝があり、紫色を帯びる。小穂は各密散花序束に2~3(4)個つき、長さ(4)5.8~7.8㎜。第1苞穎は長さ0.8~3㎜。第2苞穎は長さ4~6㎜、3~5脈がある。下側の小花はしばしば雄性。下側の護穎は長さ4~6.5㎜、3~7脈がある。葯は長さ1.5~2㎜。上側の護穎は長さ4~7(7.6)㎜。葯は長さ0.7~1㎜、開時には十分に発達していないように見える。穎果は長さ2~3.8㎜×幅1.5~2.6㎜、卵形。 2n=34(38)。6 Cenchrus setigerus Vahl クシクリノイガ 櫛栗の毬
インド、ミャンマー、パキスタン、アンダマン諸島、ニコバル諸島、ソコトラ島、アフリカ(アルジェリア、ブルキナファソ、チャド、ジブチ、エリトリア、エチオピア、ガーナ、ケニア、モーリタニア、ニジェール、セネガル、ソマリア、スーダン、タンザニア)、中東(エジプト、湾岸諸国、イラン、クウェート、オマーン、サウジアラビア、イエメン)原産。中国名は倒刺蒺藜草 dao ci ji li cao。飼料用に導入され、栽培されている。
多年草。 稈は基部がやや球根状になり、膝状に曲がり、斜上し、高さ20~60cm。 葉鞘は竜骨があり、ザラつく。 葉身は線形、長さ2~20㎝×幅0.4~0.8㎝、上面は直軟毛があり、長い毛が散生する。葉舌は長さ約0.5㎜。花序はやや硬く、長さ4~12㎝×幅0.6~0.7㎝、イガ(burrs)はその長さの約半分で重なり、花序軸にはザラつく微軟毛がある。 イガ(burrs)は広長円形で、基部は丸みを帯び、長さ0.3~0.7㎝、ほぼ無柄。内側の刺はその長さの1/4~1/2で合着し、丈夫な殻斗(cupule)を形り、離生の平らな先端は狭三角形で、直立し、前向きに細かくザラつき、外面に広い緑色の溝があり、内面には短い縁毛がある。外側の刺は非常に短いかほとんど無く、殻斗の周囲の剛毛に退化する。小穂はイガの中に1~4個つき、長さ3.5~5㎜。第1苞穎は小穂の長さの1/2。第2苞穎は小穂小穂の長さの4/5。2n=34, 36。
7 Cenchrus spinifex Cav. コウベクリノイガ 神戸栗の毬
synonym Cenchrus incertus M.A.Curtis
synonym Cenchrus pauciflorus Benth.
北メリカ~南アメリカ原産。英名はcommon sandbur, coastal sandbur, or stickerweed。中国名は光梗蒺藜草 guang geng ji li ca。
※ Kewscience、GBIFではCenchrus spinifexのsynonumとしている。日本では初めはヒメクリノイガ(本文 C. tribloides、検索表 C. pauciflorus)と記載されたが、現在ではC. tribloidesはオオクリノイガであり、ヒメクリノイガはCenchrus longispinusとされている。C. pauciflorus および C. incertus はCenchrus spinifexの異名とされている。Flora of ChinaではCenchrus incertusとしている。和名は神戸で最初に発見されたことによる。
一年草または多年草であるが短命、房状になる。稈は高さ30~100cm、膝状に曲がる。葉鞘は扁平、無毛またはまばらに直軟毛がある。葉舌は長さ0.5~1.4㎜。葉身は長さ3~28㎝×幅(1)3~7.2㎜、無毛または上面にまばらに長い直軟毛がある。円錐花序は長さ3~5(8.5)㎝。イガ(fascicles)は長さ5.5~10.2㎜×幅2.5~5 mm、覆瓦状、卵形から球形、無毛または中程度に毛がある。外側の剛毛はあれば、ほとんどが平らになる。内側の剛毛は8~40本(まれにそれ以上)、長さ2~5.8㎜×幅1~2㎜、長さの少なくとも1/2が融合し、分離した殻斗(cupule)を形り、上部は普通、殻斗から複数の不規則な間隔で散開し、ときに、多少、同じレベルで発散し、基部に縁毛があり、わら色~藤色または紫色になり、平らになる。小穂は各イガに2~4個つき、長さ3.5~5.9㎜、無毛。第1苞穎は長さ1~3.3㎜。第2苞穎は長さ(2.8)3.5~5㎜、5~7脈がある。下側の小花はときに、雄性。下側の護穎は長さ3~5(5.9)㎜、5~7脈がある。下側の内穎はときに小さくなるか、または無くなる。葯は長さ1.3~1.6㎜。上側の護穎は長さ3.5~5(5.8)㎜。葯は長さ0.5~1.2㎜。穎果は長さ約2.5㎜×幅1~2㎜、卵形。2n=34(32)[Flora of North America]。
【Flora of ChinaのCenchrus incertus】
一年草または短命の多年草。 稈は膝状に曲がり、傾伏または直立し、高さ40~100cm。 葉鞘は竜骨があり、緩く、無毛または縁の近くに直軟毛がある。葉身は線形または狭披針形、長さ3~20cm×幅0.2~0.6cm、両面とも無毛。葉舌は長さ0.5~1.5mm。花序は長さ1.5~6.5cm×幅約1cm、開きまたはコンパクトで、花序軸はザラつく。イガ(burrs)は様々、球形状または卵形、長さ約1cm、柄は無毛、刺は後ろ向きで、その長さの大部分が合着し、刺の先端がイガの体全体に不規則に散開し、総苞の殻斗(involucral cupule)は2つの側面に裂け目があり、毛があり、刺は堅く、長く、細い~短くて広い。小穂は各イガに2~3個つき、長さ3.5~6㎜。第1苞穎は小穂の長さの1/3~1/2。第2苞穎は小穂の長さの3/4。花期および果期は秋。海岸の砂丘に生育する。
8 Cenchrus tribuloides L. オオクリノイガ 大栗の毬
北アメリカ、西インド諸島原産。英名はdune sandbur , sanddune sandbur。北海道、長野県に帰化している。 1年生草。稈は高さ10~70cm、傾伏し、枝分かれし、下部節から発根する。 葉鞘は扁平、無毛または有毛。葉舌は長さ1~2.1㎜。葉身は長さ2~14cm×幅3~14.2㎜。円錐花序は長さ2~8.2cm。イガ(fascicles)は長さ9~16㎜×幅4~8㎜、覆瓦状、卵形、密に毛がある。剛毛は15~43本。外側の剛毛は普通、あり、平らまたは円柱形。内側の剛毛は長さ4~8㎜×幅1.2~3㎜で、少なくとも長さの1/2が融合し、明確な殻斗(cupule)を形成する。上部は殻斗から不規則な間隔で散開し、わら色または紫色。小穂は各イガに1(2)個、長さ6~8.8㎜。第1苞穎は長さ1~4mm。第2苞穎は長さ4.9~6.8㎜、3~7脈がある。下側の護穎は長さ5.5~7.5㎜、3~7脈があり、内穎を囲む。上側の護穎は長さ6~8.7㎜。葯は長さ0.8~2.8mm。穎果は長さ2.6~4㎜×幅2.2~3.1㎜、卵状楕円形。2n=34。
クリノイガ属のKey to Species
A.総直は花序に少なくとも 15個以上つき ,総苞には太い刺 と基部に輪状に並ぶ剛毛状の刺がある。太い刺は熟しても直立または斜上していることが多い
B 花序には密に総苞がつき ,花序の中軸は見えない。総苞は長さ 4~5㎜、表面には細毛が密生する。
........................... クリノイガ C.browniiB.花序はやや疎らに総苞がつき、花序の中軸が見える。総苞は長~6㎜、表面にはやや長い白色軟毛が密生する。
.......................... シンクリノイガ C.echinatusA 総苞は花序に6~10(稀に15)個つき、総苞には太い刺のみがある(基部にやや細く短い刺があっても、それは剛毛状ではなく、太い刺からしだいに細 くなり連続している)。刺は熟すと著しく開出または反り返る。
B.総苞は長さ7~8㎜
C.総苞の刺は数個~30個、刺の基部の幅は1.5~2㎜あり、総苞基部に熟すと下向きになる短い刺はない
,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,, C, spinifex(C. incertus) コウベクリノイガC 総苞の刺は45~75個、刺の基部の幅は1㎜以下、総苞基部に熟すと 下向きになる短い刺がある
,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,ヒメクリノイガ C.longispinusB.総苞は長さ10~15㎜ .........オオクリノイガ C. tribuloide
参考
1) Flora of ChinaPennisetum
Pennisetum
Pennisetum
Pennisetum
Pennisetum
Cenchrus macrourus
近年北海道に帰化したイネ科植物
勝 山輝男 。神奈川県のクリノイガ属植物
Pennisetum thunbergii Kunth