オカウコギ 丘五加木
Flora of Mikawa
ウコギ科 Araliaceae ウコギ属
別 名 | マルバウコギ、ツクシウコギ |
学 名 | Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu var. japonicus (Franch. et Sav.)H.Ohba |
花 期 | 5~6月 |
果 期 | 7~8月 |
高 さ | 50~150㎝ |
生活型 | 落葉低木 |
生育場所 | 山地、丘陵地の明るい林内、林縁 |
分 布 | 在来種(日本固有種) 本州(福島県以西)、九州 |
撮 影 | 西尾市(幡豆町) 12.5.12 |
枝は灰褐色、惰円形の小さな皮目があり、刺がある。葉は互生し、掌状複葉、小葉は5個、頂小葉が大きい(長さがほぼ等しいとする図書もある)。小葉は質がやや薄く、倒卵形~倒卵状惰円形、基部は楔形。葉先端部に鋸歯があり、重鋸歯が混じる。鋸歯の深さにはばらつきがあり、浅い場合や、やや欠刻状の粗い鋸歯となる場合もある。中央の葉脈は上へ盛り上がる。葉の両面の脈上にまばらに立毛(毛状突起)があり、少ないものも多い。葉の裏面の脈腋に薄膜があり、わずかしかないものもある。葉柄の上面には明瞭な溝があり、葉と葉柄との境や葉柄に刺があることがある。雌雄異株。散形花序に淡緑色の小さな5弁花をつける。花序の柄は4~6㎝、葉柄とほぼ同長。小花柄は長さ5~8㎜。雄花は雄しべ5個、花弁が強く後方へ曲がり、上から見ると花弁がないように見えることが多い。雌花は花柱が2個、花柱の基部は合着し、柱状になり、花弁がほぼ開出する。萼は合着し、萼片は5個、三角状、花弁の間から萼片の先が少し出る。果実は密集してつき、直径4~6㎜扁平な球形、黒紫色。種子は長さ3~4㎜、長楕円形。
ヤマウコギは葉が大きくて厚い革質で、葉に立毛がなく、裏面の脈腋の薄膜が目立ち、葉縁は低い鈍鋸歯。果実があれば小果柄が長く、果実が密集しないのでわかりやすい。
ヒメウコギは葉裏に薄膜がなく、花柱が5~7個。
低木、直立又は攀縁性、まれに高木。両性又は(及び)雌雄同株、無毛又は軟毛があり、普通、刺があり、たまに刺が無い。葉は掌状複葉又は3小葉。托葉は無い又は発達がごく弱い。花序は頂生(まれに、腋生)、複数の散形花序からなる円錐花序、又は1個の散形花序、2次の花序軸は頂生の散形花序で、両性の花と1個~多数の側散形花序(開花の遅い両性又は機能的な雄花)からなる。花柄は関節が無く、又は子房の下だけわずかに関節がある。咢は縁が全縁又は5個の小歯がある。花弁は5個、敷石状。雄しべは5本。子房は心皮が2~5個。花柱は2~5本、離生又は基部が合着又は部分的~全体に合着する。果実は核果、側部が扁平、又はほぼ球形。種子は側部が扁平、胚乳は平滑。
世界に約40種あり、アジア東部、ヒマラヤ地域に分布する。
synonym Acanthopanax divaricatus (Siebold et Zucc.) Seem.
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮原産。別名はオニウコギ。林内、林縁に生える。
落葉低木。高さ1~2m。枝は灰褐色、長惰円形の小さな皮目があり、幅が広い刺がある。若枝には淡褐色の毛が密生し、後に脱落する。葉は互生し、掌状複葉、小葉は5個まれに3個つき、頂小葉が最も大きい。小葉は長さ4~12㎝の倒卵状長楕円形、基部は楔形、短い小葉柄へと続く。小葉の質はやや厚く、革質、縁に細かい重鋸歯がある。葉表には脈上に細毛がまばらにあり、葉裏には縮れた毛が密生する。葉柄にも縮れた毛が多い。雌雄同株。直径約2㎝の球状の散形花序に花を多数集まってつける。散形花序は複生する。花序には普通、両性花がつき、下部の花序には両性花と雄花が混生する場合がある。花は緑白色~紫褐色の小さな5弁花、雄しべ5個、花柱は浅く2裂し、紫褐色。雄花は花柱が小さい。果実は直径6~8㎜扁平な惰円形、2種子が入り、表面に縮れた毛があり、黒色に熟す。小果柄は縮れた毛が密生する。種子は長さ5~6㎜の半長楕円形。花期は9~10月。果期は10~11月
1-1 Eleutherococcus divaricatus (Siebold et Zucc.) S.Y.Hu f. inermis (Nakai) H.Ohashi トゲナシオニウコギ
1-2 Eleutherococcus divaricatus (Siebold et Zucc.) S.Y.Hu var. chiisanensis (Nakai) C.H.Kim et B.Y.Sun チイサンウコギ
2 Eleutherococcus higoensis (Hatus.) H.Ohba ヒゴウコギ 肥後五加木
日本固有種(九州)
低木、無毛、高さ3m以下。枝は太さ約2㎜、平滑、長さ約1.5㎜の鋭い刺が散生し、小枝にはほとんど刺が無い。葉は掌状複葉、5小歯。小葉は質が薄く、紙質、長円状倒披針形~倒披針形、普通、長さ7~10㎝×幅2~3㎝、先は尖鋭形、基部は楔形、縁は重鋸歯、下面は無毛、緑色、上面は暗緑色、側脈は5~6対、網状脈(細脈)は下面で明瞭。小葉柄は長さ2~3㎜、無毛。葉柄は長さ4~7㎝、無毛、平滑。散形花序は小さく、長さと幅は約4㎝、花序柄は短く、長さ約5㎜。花は少なく(約10個以下)、直径約1~2㎝。花柄は長さ5~7㎜。咢は5歯があり、ほとんど毛が無い。花柱は長さ約0.5㎜。核果は楕円形、長さ約5㎜×幅約3.5㎜、平滑。
3 Eleutherococcus hypoleucus (Makino) Nakai ウラジロウコギ 裏白五加木
日本固有種(本州、四国、九州)。おもに石灰岩地に生える。
落葉低木。高さ1~3(~6)m。枝はやや細く、には針状の刺がある。葉は互生する掌状複葉。小葉は5枚で、長さ7〜15㎝の倒卵状楕円形で、縁には鋭い鋸歯があり、両面は無毛、下面は粉白色。枝先に2~3個の長い柄のある散形花序を出し緑白色の小さな花をつける。果実は球形~扁球形、直径6~7~8㎜、黒紫色に熟す。花期は7~8月。果期は10~11月。
4 Eleutherococcus nodiflorus (Dunn) S.Y.Hu タンナウコギ
synonym Eleutherococcus gracilistylus (W.W.Sm.) S.Y.Hu
中国、台湾原産。中国名は细柱五加 xi zhu wu jia
5 Eleutherococcus senticosus (Rupr. et Maxim.) Maxim. エゾウコギ 蝦夷五加木
日本(北海道)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は刺五加 ci wu jia 。英名はeleuthero , Siberian-ginseng
低木、高さ6m以下。枝は密~疎に細い円柱形の剛毛状の刺をもつ。葉柄は長さ3~12㎝、細く、ときに、細かい刺をもつ。中央の小葉の小葉柄は長さ(0.6~)1.2~2㎝、普通、帯褐色の軟毛がある。小葉は (3~)5個、楕円状倒卵形~長円形、長さ5~13㎝×3~7㎝、紙質、下面は脈に軟毛があり、基部は広楔形、縁は鋭い重鋸歯、先は短尖鋭形~尖鋭形。花序は頂生、1個又は複合の散形花序、葉のあるシュートにつき、普通、2~6個の散形花序が一緒につく。花序柄は長さ5~7㎝、無毛。花柄は長さ1~2㎝、無毛又は基部にわずかに軟毛がある。咢はほぼ全縁又は5個の不明瞭な歯があり、無毛。花冠は紫黄色。子房は心皮が5個。花柱は円柱に統合する。果実は卵状球形、長さ約8㎜。花柱は宿存し、長さ約1.5㎜。花期は6~7月。果期は8~10月。
5-1 Eleutherococcus senticosus (Rupr. et Maxim.) Maxim. f. inermis Kom. トゲナシエゾウコギ
synonym Eleutherococcus senticosus (Rupr. et Maxim.) Maxim. var. subinermis Regel
6 Eleutherococcus sessiliflorus (Rupr. et Maxim.) S.Y.Hu マンシュウウコギ
朝鮮、中国原産。中国名は无梗五加 wu geng wu jia 。
7 Eleutherococcus sieboldianus (Makino) Koidz. ヒメウコギ 姫五加木
synonym Eleutherococcus pentaphyllus Nakai
中国(安徽省)原産。中国名は异株五加 yi zhu wu jia。英名はfive-fingered aralia , fiveleaf aralia , Siebold eleutherococcus。日本、朝鮮、北アメリカに帰化。別名はムコギ、ウコギ。日本あるのはほとんど雌株で、結実は少ない。中国原産とされているがFlora of Chinaには載せられていない。百度百科では安徽省の固有種であり、黄山、潜山の雑木林に生えると記載されている。 Kewscienceも中国(安徽省)原産としている。中国でも古くから各地で栽培されている。日本最古の本草書の『本草和名』(918)に中国名「五加(うこ)」と記載され、古くから栽培されている。樹皮と根が薬用、新芽が食用とされる。
落葉低木、高さ1~2.4m。樹皮は灰褐色、丸い皮目があり、鋭い扁平な刺がある。主枝は長く弓なりになり、古くなると直立し、灰色でいぼがあり、各葉芽に短刺がある。 葉は互生し、掌状複葉、短枝には束生状つき、葉柄は長さ7.5㎝以下。小葉は5(~7)個、質が厚く、長さ2~7㎝×幅2.5㎝以下、倒卵形、粗い鋸歯があり、下面には光沢がある。 雌雄異株。日本には雄株はほとんどない。 散形花序は短枝の先につき、半球形、多数の小さい花をつける。花弁は黄緑色、5(~7)個。雌花は雄しべが無く、。雄花は雄しべ5(~7) 本。直径6~8ミリの扁平な球形の液果をつけ、赤紫褐色から黒紫色に熟すが、結実は少ない。花期は5~6月。
品種) 'Aureomarginatus' , 'Aureovariegatus' (v) , 'Variegatus' (v)
7-1 Eleutherococcus sieboldianus (Makino) Koidz. f. variegatus (Rehder) S.Y.Hu フイリウコギ
世界中で栽培されている。品種名は'Variegatus' (v)
8 Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu ヤマウコギ 山五加木
synonym Acanthopanax spinosus (L.f.) Miq.
日本固有種(本州の岩手県以南)別名はオニウコギ、ウコギ。林内、原野に生える。
落葉低木。高さ2~4m。枝は灰褐色、惰円形の小さな皮目があり、刺がある。葉は互生し、掌状複葉、小葉は5個、頂小葉が大きい(この写真のものはほぼ等しく、ほぼ等しいという図鑑もある)。小葉は厚く、革質、倒卵形~倒卵状惰円形、基部は楔形、葉先端部に浅い鈍鋸歯がある。葉の表面に毛はなく、裏面の脈腋の薄膜が目立つ。葉柄の上面には平らな溝がある。葉と葉柄の境に小さな刺がある。雌雄異株。散形花序に淡緑色の小さな5弁花をつける。花序の柄は2~6㎝、葉柄より短い。小花柄は長さ8~12㎜。花柱は2個。果実は直径5~6㎜扁平な球形、赤褐色~黒紫色、小果柄が長く、果実が密集しない。種子は長さ約5㎜の半円形。花期は5~6月。果期は7~8月。
8-1 Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu f. espinosus (H.Hara) Yonek. トゲナシウコギ
synonym Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu f. inermis H.Ohashi
8-2 Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu var. japonicus (Franch. et Sav.) H.Ohba オカウコギ 丘五加木
synonym Eleutherococcus japonicus (Franch. et Sav.) Nakai
synonym Acanthopanax japonicus Franch. et Savat.
本州(福島県以西)、九州に分布。別名はヤマウコギ。山地、丘陵地の明るい林内、林縁に生える。
落葉低木。高さ0.5~1.5m。枝は灰褐色、惰円形の小さな皮目があり、刺がある。葉は互生し、掌状複葉、小葉は5個、頂小葉が大きい(長さがほぼ等しいとする図書もある)。小葉は質がやや薄く、倒卵形~倒卵状惰円形、基部は楔形。葉先端部に鋸歯があり、重鋸歯が混じる。鋸歯の深さにはばらつきがあり、浅い場合や、やや欠刻状の粗い鋸歯となる場合もある。中央の葉脈は上へ盛り上がる。葉の両面の脈上にまばらに立毛(毛状突起)があり、少ないものも多い。葉の裏面の脈腋に薄膜があり、わずかしかないものもある。葉柄の上面には明瞭な溝があり、葉と葉柄との境や葉柄に刺があることがある。雌雄異株。散形花序に淡緑色の小さな5弁花をつける。花序の柄は4~6㎝、葉柄とほぼ同長。小花柄は長さ5~8㎜。雄花は雄しべ5個、花弁が強く後方へ曲がり、上から見ると花弁がないように見えることが多い。雌花は花柱が2個、花柱の基部は合着し、柱状になり、花弁がほぼ開出する。萼は合着し、萼片は5個、三角状、花弁の間から萼片の先が少し出る。果実は密集してつき、直径4~6㎜扁平な球形、黒紫色。種子は長さ3~4㎜、長楕円形。花期は5~6月。果期は7~8月。
8-2-1 Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu var. japonicus (Franch. et Sav.) H.Ohba f. ionanthus (Nakai) H.Ohba クロバナヤマウコギ
synonym Eleutherococcus japonicus (Franch. et Sav.) Nakai f. ionanthus (Nakai) H.Ohashi
8-2-2 Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu var. japonicus (Franch. et Sav.) H.Ohba f. kiusianus (Nakai) H.Ohba ツクシウコギ
synonym Eleutherococcus japonicus (Franch. et Sav.) Nakai f. kiusianus (Nakai) H.Ohashi
8-3 Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu var. nikaianus (Koidz. ex Nakai) H.Ohba ウラゲウコギ
synonym Eleutherococcus nikaianus (Koidz. ex Nakai) H.Ohashi
9 Eleutherococcus trichodon (Franch. et Sav.) H.Ohashi ミヤマウコギ 深山五加木
日本固有種(本州の関東地方~近畿地方)。山地の林内。
落葉低木、高さ1~2m。茎は少数分枝し、斜上し、まばらに針状の小刺がある。葉は互生し、葉柄は長さ2~5㎝、細かい小刺がある。葉身は5小葉の掌状複葉。小葉は倒卵形~菱状楕円形、頂小葉が最も大きく、長さ2~5㎝×幅1~2㎝、基部はくさび形、小葉柄に沿下し、縁には粗い鋸歯があり、先は鋭形、上面は光沢があり、両面とも無毛、脈上にしばしば小刺がある。雌雄異株。散形花序は枝先に頂生し、花が10~25個つく。花序柄は長い。花弁は5個、黄緑色、長さ約2㎜。雄花は雄しべが5本。花柱は1本、短い。雌花は花柱が2本。雌花の花柄はしばしば紫色を帯びる。液果は扁球形で直径6~8㎜、紫黒色に熟す。花期は5~6月。果期は10~11月。
10 Eleutherococcus trifoliatus (L.) S.Y.Hu ミツバウコギ 三葉五加皮
日本(宮古島)、中国、台湾、タイ、ベトナム、フィリピン原産。中国名は白簕 bai le
10-1 Eleutherococcus trifoliatus (L.) S.Y.Hu var. setosus (H.L.Li) H.Ohashi アラゲミツバウコギ
Eleutherococcus
Eleutherococcus
Eleutherococcus
大橋広好 : ウコギ属の分類と
5)植物研究雑誌 64(7): 216-218(1989)
大橋広好 : ウコギ属の学名と日本産の種類
6)异株五加_百度百科
异株五加(学名:Eleutherococcus sieboldianus)
初島住彦:九州産ウコギ属の一新種に就て ヒメウコギ
ヤマウコギは葉が大きくて厚い革質で、葉に立毛がなく、裏面の脈腋の薄膜が目立ち、葉縁は低い鈍鋸歯。果実があれば小果柄が長く、果実が密集しないのでわかりやすい。
ヒメウコギは葉裏に薄膜がなく、花柱が5~7個。
ウコギ属
family Araliaceae - genus Eleutherococcus低木、直立又は攀縁性、まれに高木。両性又は(及び)雌雄同株、無毛又は軟毛があり、普通、刺があり、たまに刺が無い。葉は掌状複葉又は3小葉。托葉は無い又は発達がごく弱い。花序は頂生(まれに、腋生)、複数の散形花序からなる円錐花序、又は1個の散形花序、2次の花序軸は頂生の散形花序で、両性の花と1個~多数の側散形花序(開花の遅い両性又は機能的な雄花)からなる。花柄は関節が無く、又は子房の下だけわずかに関節がある。咢は縁が全縁又は5個の小歯がある。花弁は5個、敷石状。雄しべは5本。子房は心皮が2~5個。花柱は2~5本、離生又は基部が合着又は部分的~全体に合着する。果実は核果、側部が扁平、又はほぼ球形。種子は側部が扁平、胚乳は平滑。
世界に約40種あり、アジア東部、ヒマラヤ地域に分布する。
ウコギ属の主な種と園芸品種
1 Eleutherococcus divaricatus (Siebold et Zucc.) S.Y.Hu ケヤマウコギ 毛山五加木synonym Acanthopanax divaricatus (Siebold et Zucc.) Seem.
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮原産。別名はオニウコギ。林内、林縁に生える。
落葉低木。高さ1~2m。枝は灰褐色、長惰円形の小さな皮目があり、幅が広い刺がある。若枝には淡褐色の毛が密生し、後に脱落する。葉は互生し、掌状複葉、小葉は5個まれに3個つき、頂小葉が最も大きい。小葉は長さ4~12㎝の倒卵状長楕円形、基部は楔形、短い小葉柄へと続く。小葉の質はやや厚く、革質、縁に細かい重鋸歯がある。葉表には脈上に細毛がまばらにあり、葉裏には縮れた毛が密生する。葉柄にも縮れた毛が多い。雌雄同株。直径約2㎝の球状の散形花序に花を多数集まってつける。散形花序は複生する。花序には普通、両性花がつき、下部の花序には両性花と雄花が混生する場合がある。花は緑白色~紫褐色の小さな5弁花、雄しべ5個、花柱は浅く2裂し、紫褐色。雄花は花柱が小さい。果実は直径6~8㎜扁平な惰円形、2種子が入り、表面に縮れた毛があり、黒色に熟す。小果柄は縮れた毛が密生する。種子は長さ5~6㎜の半長楕円形。花期は9~10月。果期は10~11月
1-1 Eleutherococcus divaricatus (Siebold et Zucc.) S.Y.Hu f. inermis (Nakai) H.Ohashi トゲナシオニウコギ
1-2 Eleutherococcus divaricatus (Siebold et Zucc.) S.Y.Hu var. chiisanensis (Nakai) C.H.Kim et B.Y.Sun チイサンウコギ
2 Eleutherococcus higoensis (Hatus.) H.Ohba ヒゴウコギ 肥後五加木
日本固有種(九州)
低木、無毛、高さ3m以下。枝は太さ約2㎜、平滑、長さ約1.5㎜の鋭い刺が散生し、小枝にはほとんど刺が無い。葉は掌状複葉、5小歯。小葉は質が薄く、紙質、長円状倒披針形~倒披針形、普通、長さ7~10㎝×幅2~3㎝、先は尖鋭形、基部は楔形、縁は重鋸歯、下面は無毛、緑色、上面は暗緑色、側脈は5~6対、網状脈(細脈)は下面で明瞭。小葉柄は長さ2~3㎜、無毛。葉柄は長さ4~7㎝、無毛、平滑。散形花序は小さく、長さと幅は約4㎝、花序柄は短く、長さ約5㎜。花は少なく(約10個以下)、直径約1~2㎝。花柄は長さ5~7㎜。咢は5歯があり、ほとんど毛が無い。花柱は長さ約0.5㎜。核果は楕円形、長さ約5㎜×幅約3.5㎜、平滑。
3 Eleutherococcus hypoleucus (Makino) Nakai ウラジロウコギ 裏白五加木
日本固有種(本州、四国、九州)。おもに石灰岩地に生える。
落葉低木。高さ1~3(~6)m。枝はやや細く、には針状の刺がある。葉は互生する掌状複葉。小葉は5枚で、長さ7〜15㎝の倒卵状楕円形で、縁には鋭い鋸歯があり、両面は無毛、下面は粉白色。枝先に2~3個の長い柄のある散形花序を出し緑白色の小さな花をつける。果実は球形~扁球形、直径6~7~8㎜、黒紫色に熟す。花期は7~8月。果期は10~11月。
4 Eleutherococcus nodiflorus (Dunn) S.Y.Hu タンナウコギ
synonym Eleutherococcus gracilistylus (W.W.Sm.) S.Y.Hu
中国、台湾原産。中国名は细柱五加 xi zhu wu jia
5 Eleutherococcus senticosus (Rupr. et Maxim.) Maxim. エゾウコギ 蝦夷五加木
日本(北海道)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は刺五加 ci wu jia 。英名はeleuthero , Siberian-ginseng
低木、高さ6m以下。枝は密~疎に細い円柱形の剛毛状の刺をもつ。葉柄は長さ3~12㎝、細く、ときに、細かい刺をもつ。中央の小葉の小葉柄は長さ(0.6~)1.2~2㎝、普通、帯褐色の軟毛がある。小葉は (3~)5個、楕円状倒卵形~長円形、長さ5~13㎝×3~7㎝、紙質、下面は脈に軟毛があり、基部は広楔形、縁は鋭い重鋸歯、先は短尖鋭形~尖鋭形。花序は頂生、1個又は複合の散形花序、葉のあるシュートにつき、普通、2~6個の散形花序が一緒につく。花序柄は長さ5~7㎝、無毛。花柄は長さ1~2㎝、無毛又は基部にわずかに軟毛がある。咢はほぼ全縁又は5個の不明瞭な歯があり、無毛。花冠は紫黄色。子房は心皮が5個。花柱は円柱に統合する。果実は卵状球形、長さ約8㎜。花柱は宿存し、長さ約1.5㎜。花期は6~7月。果期は8~10月。
5-1 Eleutherococcus senticosus (Rupr. et Maxim.) Maxim. f. inermis Kom. トゲナシエゾウコギ
synonym Eleutherococcus senticosus (Rupr. et Maxim.) Maxim. var. subinermis Regel
6 Eleutherococcus sessiliflorus (Rupr. et Maxim.) S.Y.Hu マンシュウウコギ
朝鮮、中国原産。中国名は无梗五加 wu geng wu jia 。
7 Eleutherococcus sieboldianus (Makino) Koidz. ヒメウコギ 姫五加木
synonym Eleutherococcus pentaphyllus Nakai
中国(安徽省)原産。中国名は异株五加 yi zhu wu jia。英名はfive-fingered aralia , fiveleaf aralia , Siebold eleutherococcus。日本、朝鮮、北アメリカに帰化。別名はムコギ、ウコギ。日本あるのはほとんど雌株で、結実は少ない。中国原産とされているがFlora of Chinaには載せられていない。百度百科では安徽省の固有種であり、黄山、潜山の雑木林に生えると記載されている。 Kewscienceも中国(安徽省)原産としている。中国でも古くから各地で栽培されている。日本最古の本草書の『本草和名』(918)に中国名「五加(うこ)」と記載され、古くから栽培されている。樹皮と根が薬用、新芽が食用とされる。
落葉低木、高さ1~2.4m。樹皮は灰褐色、丸い皮目があり、鋭い扁平な刺がある。主枝は長く弓なりになり、古くなると直立し、灰色でいぼがあり、各葉芽に短刺がある。 葉は互生し、掌状複葉、短枝には束生状つき、葉柄は長さ7.5㎝以下。小葉は5(~7)個、質が厚く、長さ2~7㎝×幅2.5㎝以下、倒卵形、粗い鋸歯があり、下面には光沢がある。 雌雄異株。日本には雄株はほとんどない。 散形花序は短枝の先につき、半球形、多数の小さい花をつける。花弁は黄緑色、5(~7)個。雌花は雄しべが無く、。雄花は雄しべ5(~7) 本。直径6~8ミリの扁平な球形の液果をつけ、赤紫褐色から黒紫色に熟すが、結実は少ない。花期は5~6月。
品種) 'Aureomarginatus' , 'Aureovariegatus' (v) , 'Variegatus' (v)
7-1 Eleutherococcus sieboldianus (Makino) Koidz. f. variegatus (Rehder) S.Y.Hu フイリウコギ
世界中で栽培されている。品種名は'Variegatus' (v)
8 Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu ヤマウコギ 山五加木
synonym Acanthopanax spinosus (L.f.) Miq.
日本固有種(本州の岩手県以南)別名はオニウコギ、ウコギ。林内、原野に生える。
落葉低木。高さ2~4m。枝は灰褐色、惰円形の小さな皮目があり、刺がある。葉は互生し、掌状複葉、小葉は5個、頂小葉が大きい(この写真のものはほぼ等しく、ほぼ等しいという図鑑もある)。小葉は厚く、革質、倒卵形~倒卵状惰円形、基部は楔形、葉先端部に浅い鈍鋸歯がある。葉の表面に毛はなく、裏面の脈腋の薄膜が目立つ。葉柄の上面には平らな溝がある。葉と葉柄の境に小さな刺がある。雌雄異株。散形花序に淡緑色の小さな5弁花をつける。花序の柄は2~6㎝、葉柄より短い。小花柄は長さ8~12㎜。花柱は2個。果実は直径5~6㎜扁平な球形、赤褐色~黒紫色、小果柄が長く、果実が密集しない。種子は長さ約5㎜の半円形。花期は5~6月。果期は7~8月。
8-1 Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu f. espinosus (H.Hara) Yonek. トゲナシウコギ
synonym Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu f. inermis H.Ohashi
8-2 Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu var. japonicus (Franch. et Sav.) H.Ohba オカウコギ 丘五加木
synonym Eleutherococcus japonicus (Franch. et Sav.) Nakai
synonym Acanthopanax japonicus Franch. et Savat.
本州(福島県以西)、九州に分布。別名はヤマウコギ。山地、丘陵地の明るい林内、林縁に生える。
落葉低木。高さ0.5~1.5m。枝は灰褐色、惰円形の小さな皮目があり、刺がある。葉は互生し、掌状複葉、小葉は5個、頂小葉が大きい(長さがほぼ等しいとする図書もある)。小葉は質がやや薄く、倒卵形~倒卵状惰円形、基部は楔形。葉先端部に鋸歯があり、重鋸歯が混じる。鋸歯の深さにはばらつきがあり、浅い場合や、やや欠刻状の粗い鋸歯となる場合もある。中央の葉脈は上へ盛り上がる。葉の両面の脈上にまばらに立毛(毛状突起)があり、少ないものも多い。葉の裏面の脈腋に薄膜があり、わずかしかないものもある。葉柄の上面には明瞭な溝があり、葉と葉柄との境や葉柄に刺があることがある。雌雄異株。散形花序に淡緑色の小さな5弁花をつける。花序の柄は4~6㎝、葉柄とほぼ同長。小花柄は長さ5~8㎜。雄花は雄しべ5個、花弁が強く後方へ曲がり、上から見ると花弁がないように見えることが多い。雌花は花柱が2個、花柱の基部は合着し、柱状になり、花弁がほぼ開出する。萼は合着し、萼片は5個、三角状、花弁の間から萼片の先が少し出る。果実は密集してつき、直径4~6㎜扁平な球形、黒紫色。種子は長さ3~4㎜、長楕円形。花期は5~6月。果期は7~8月。
8-2-1 Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu var. japonicus (Franch. et Sav.) H.Ohba f. ionanthus (Nakai) H.Ohba クロバナヤマウコギ
synonym Eleutherococcus japonicus (Franch. et Sav.) Nakai f. ionanthus (Nakai) H.Ohashi
8-2-2 Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu var. japonicus (Franch. et Sav.) H.Ohba f. kiusianus (Nakai) H.Ohba ツクシウコギ
synonym Eleutherococcus japonicus (Franch. et Sav.) Nakai f. kiusianus (Nakai) H.Ohashi
8-3 Eleutherococcus spinosus (L.f.) S.Y.Hu var. nikaianus (Koidz. ex Nakai) H.Ohba ウラゲウコギ
synonym Eleutherococcus nikaianus (Koidz. ex Nakai) H.Ohashi
9 Eleutherococcus trichodon (Franch. et Sav.) H.Ohashi ミヤマウコギ 深山五加木
日本固有種(本州の関東地方~近畿地方)。山地の林内。
落葉低木、高さ1~2m。茎は少数分枝し、斜上し、まばらに針状の小刺がある。葉は互生し、葉柄は長さ2~5㎝、細かい小刺がある。葉身は5小葉の掌状複葉。小葉は倒卵形~菱状楕円形、頂小葉が最も大きく、長さ2~5㎝×幅1~2㎝、基部はくさび形、小葉柄に沿下し、縁には粗い鋸歯があり、先は鋭形、上面は光沢があり、両面とも無毛、脈上にしばしば小刺がある。雌雄異株。散形花序は枝先に頂生し、花が10~25個つく。花序柄は長い。花弁は5個、黄緑色、長さ約2㎜。雄花は雄しべが5本。花柱は1本、短い。雌花は花柱が2本。雌花の花柄はしばしば紫色を帯びる。液果は扁球形で直径6~8㎜、紫黒色に熟す。花期は5~6月。果期は10~11月。
10 Eleutherococcus trifoliatus (L.) S.Y.Hu ミツバウコギ 三葉五加皮
日本(宮古島)、中国、台湾、タイ、ベトナム、フィリピン原産。中国名は白簕 bai le
10-1 Eleutherococcus trifoliatus (L.) S.Y.Hu var. setosus (H.L.Li) H.Ohashi アラゲミツバウコギ
参考
1) Flora of ChinaEleutherococcus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=111440
2) Plants of the World Online | Kew ScienceEleutherococcus
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:328246-2
3)GRINEleutherococcus
http://wgb.cimmyt.org/gringlobal/taxonomylist.aspx?category=species&type=genus&value=Eleutherococcus&id=4176
4)植物研究雑誌 62(12): 353-361(1987)大橋広好 : ウコギ属の分類と
5)植物研究雑誌 64(7): 216-218(1989)
大橋広好 : ウコギ属の学名と日本産の種類
6)异株五加_百度百科
异株五加(学名:Eleutherococcus sieboldianus)
https://baike.baidu.com/item/%E5%BC%82%E6%A0%AA%E4%BA%94%E5%8A%A0/7809699
7)植物研究雑誌 Journ. Jap. Bot. Vo1.36 No.3 90-91(1961)初島住彦:九州産ウコギ属の一新種に就て ヒメウコギ