ノササゲ 野ささげ

mark

Flora of Mikawa

マメ科 Fabaceae ノササゲ属

別 名 キツネササゲ
中国名 山黑豆 shan hei dou
学 名 Dumasia truncata Sieb. et Zucc.
ノササゲの葉
ノササゲの花
ノササゲの花横
ノササゲの萼の基部の苞
ノササゲの果実
ノササゲ葉
ノササゲ
ノササゲ萼
ノササゲ種子
ノササゲ葉
ノササゲ小托葉
花 期 8~9月
高 さ つる性(長さ1~3m)
生活型 多年草
生育場所 山地の林縁
分 布 在来種  本州、四国、九州、朝鮮、中国
撮 影 幸田町  06.9.23
巻き付きとよじ登りの蔓草本。茎は細く、長さ1~3m、普通無毛。葉は3小葉の複葉。托葉と小托葉があり、托葉は長さ2~4㎜、線状披針形、3脈がある。小托葉は長さ約1㎜、剛毛状。葉柄は細く、長さ3~7㎝、小葉柄 (小托葉から先) は長さ2~3㎜。小葉は膜質、長さ3~6(15)㎝、幅2~3.5(6)㎝の先が細くなった三角状長卵形、両面は普通、無毛又は葉裏にまばらに粗毛があり、基部は切形~円形、先は円形、ときに先端が凹頭。側小葉は頂小葉よりわずかに小さく、基部はやや斜形。総状花序は腋生、細く、長さ1~4㎝、普通無毛。小花柄は長さ1~3㎜。苞や小苞は小さい。花は長さ1.2~2㎝、下向きに垂れ下がる。萼は無毛、長さ約6㎜、先端が斜めに切り取ったような形で、萼歯は不明瞭。萼の基部に小苞が2個ある。花冠は黄色~淡黄色、旗弁は楕円形~やや倒卵形、翼弁や竜骨弁はほぼ楕円形、わずかに曲がり、旗弁よりわずかに短い。子房は線状倒披針形、無毛。胚珠は3~5個。豆果は無毛、長さ2~5㎝、幅約9㎜、数珠状にくびれ、普通、2~5個の種子を入れ、熟すと紫色になり、裂開する。種子は直径4~6㎜の球形、粉白を帯びた青~黒紫色、果皮についたままで、はじき飛ばない。
 タンキリマメトキリマメも黄色花であるが、小葉の幅が広く、葉裏に腺点がある。

ノササゲ属

  family Plantaginaceae - genus Dopatrium

 多年草又は蔓性低木、絡み付く。葉は羽状複葉、3小葉。托葉と小托葉は宿存する。花序は腋生、総状花序。花は中型サイズ。苞と小苞は小さい。咢は筒形、口部は斜めの切形、咢片は不明瞭か又は無い。花冠は黄色又は薄黄色、咢より長い。花弁には全て爪部がある。旗弁は普通、倒卵形、まれに長円形又は広楕円形、無毛、耳がある。翼弁はかま形状長円形~長円形~長円状楕円形。竜骨弁は翼弁より普通、わずかに短い。雄しべは2体雄しべ(diadelphous)。旗弁の雄しべ( vexillary stamen)は離生。葯は均一。子房は短い柄があり、線形。胚珠は4個~多数。花柱は糸状、中間近くで膨れ、中空、先端部分は円筒形、毛は無い。柱頭は頂部にあり頭状。豆果は線形、裂開し、扁平、種子の間でくびれ、隔壁は無く、基部に膜質の円筒形の咢が宿存する。種子は普通、黒色又は青色、ほぼ無毛。へそは短く、中央にある。仮種皮は発達しない。
 世界に約10種があり、アフリカ南部、アジアに分布する。

ノササゲ属の主な種と園芸品種

1 Dumasia truncata Siebold et Zucc.  ノササゲ 野ささげ
 日本、中国原産。中国名は山黑豆 shan hei dou。
 多年草、よじ登り、絡み付く。茎は細く、長さ1~3m。托葉は小さく、線状披針形、長さ2~4mm、3脈がある。葉柄は細く、長さ3~7㎝、無毛。小葉柄は長さ2~3mm、無毛。小托葉は剛毛状、長さ約1mm。小葉は膜質、三角形又は卵状三角形、普通、長さ3~6㎝×幅2.3~3.5㎝、両面とも普通無毛又は下面にまばらに租毛があり、基部は切形」又は円形、先は±円形、ときにわずかに凹形で微突がある。側小葉はわずかに小さく、基部はわずかに斜め。総状花序は細く、長さ1~4㎝、普通、無毛。花序柄は短い。苞と小苞は小さい。花は長さ1.2~2㎝。花柄は長さ1~3mm。咢は長さ約6mm、無毛。花冠は黄色~薄黄色。旗弁は楕円形~わずかに倒卵形。翼弁と竜骨弁はほぼ楕円形、わずかに曲がり、旗弁よりわずかに短く、長い爪部があり、両側の基部に小さな耳がある。子房は線状倒披針形、無毛。胚珠は3~5個。花柱は細く、無毛。豆果は倒披針形~披針形、約・長さ4㎝×幅0.9㎝、わずかに膨らみ、基部は尖鋭形、先に嘴がある。種子は普通、2~5個、青色、扁平な球形、直径4~6mm。花期は8~9月。果期は10~11月(Flora of China)

2 Dumasia miaoliensis T.S.Liu et F.Y.Lu 
 台湾原産。中国名は苗栗野豇豆 miao li ye jiang dou。
 多年草、蔓性。茎は細く無毛。葉は掌状複葉、3小葉 。托葉は長さ2~2.5mm。小托葉は長さ約1mm。小葉柄は長さ1~2mm、無毛。小葉は膜質、卵状披針形、両面とも無毛、下面で中肋が根立、上面にわずかに隆起し、側脈は片側に4又は5本、細脈は明瞭な網状、葉の基部は切形、全縁、先は鈍形、凹形、頂部が微突頭。頂小葉は葉身が長さ3~5㎝×幅1.5~2.5㎝。総状花序は腋生、花が緩くつき、長さ5~8㎝。小苞は錐形、長さ約1mm。花柄は長さ3~4mm。咢は膜質、筒形、長さ5~7mm、無毛、ギボス状、口部は斜めのほぼ切形。花冠は白黄色、長さ12~15mm、突き出す。花弁はほぼ等長。旗弁は両側に耳がある。翼弁と竜骨弁は全てに長さ約1mmの爪部がある。子房は柄がある。豆果は楕円形、扁平、かま形、柄を含めて長さ約3㎝、無毛、裂開する。種子は普通2個、稀に1~3個、黒色。
 台湾からDumasia miaoliensis と D. villosaのハイブリッドが報告されている。ハイブリッドは豆果の扁平度が少なく、柄が短い。

3 Dumasia villosa DC. 
 中国、ブータン、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、パキスタン、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、アフリカ、オーストラレーシア、マダガスカル原産。中国名は柔毛山黑豆 rou mao shan hei dou。英名はblack bean。
 多年草。絡み付き、茎に絨毛がある。托葉は小さく、線状披針形又は剛毛状、長さ2~3mm、密に絨毛がある。葉柄は長さ3~5(~9.5)㎝、密に毛がある。小葉柄は長さ2~3mm、有毛。小葉は紙質。頂小葉は卵形~広卵形、長さ3.5~5(~9)㎝×幅2~3(~5)㎝、両面に密に伏した絨毛があり、側脈は4~6対、基部は円形~ほぼ切形~広くさび形、先は鈍形又はわずかに凹形で微突形。側小葉はわずかに小さく、斜め。総状花序は腋生、長さ4~11(~15)㎝、花は束生又はわずかにまばらにつく。花序柄は明瞭。苞と小苞は小さく剛毛状。花は長さ1.5~1.8㎝。花柄は短く、長さ約2mm、毛がある。咢は長さ約10mm、無毛又はまばらに伏毛がある。花冠は黄色。花弁はほぼ等長、明瞭な爪部がある。旗弁は倒卵形。翼弁と竜骨弁は斜めの楕円形、長い爪部があり、耳はない。花柱は長く、毛があり、先付近で扁平。柱頭は頭状。豆果は長円形、種子の間でくびれ、長さ2~3㎝×幅約0.5㎝、密に黄色の絨毛がある。種子は1~4個、黒色又は青色。花期は9~10月。果期は11~12月。2n=20。
3-1 Dumasia villosa DC. subsp. bicolor (Hayata) H.Ohashi et Tateishi  タイワンノササゲ 
  synonym Dumasia bicolor Hayata
台湾原産。
 

参考

1) Flora of China
 Dumasia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=110810
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Dumasia
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:22319-1