タンキリマメ 痰切豆

Flora of Mikawa
マメ科 Fabaceae タンキリマメ属
| 中国名 | 鹿藿 lu huo |
| 英 名 | rat's eye bean |
| 学 名 | Rhynchosia volubilis Lour. |












| 花 期 | 7~9月 |
| 高 さ | つる性 |
| 生活型 | 多年草 |
| 生育場所 | 日当たりのよい草地、林縁、生垣 |
| 分 布 | 在来種 本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾、ベトナム、フィリピン |
| 撮 影 | 田原市 07.9.1 |
和名の由来は種子を食べると痰が切れるということから。
全体に毛が多く、茎には下向きの毛が密生する。葉は3小葉。小葉は長さ3~5㎝、幅2.5~4㎝の倒卵形、鈍頭、頂小葉の基部は90度以下の楔形、葉の中央より先寄りで葉幅が最も広い。葉は質がやや厚く、裏面に黄色の腺点があり、軟毛が密生し、表面にも毛が多い。総状花序に黄色の豆花を固まってつける。豆花は長さ約9㎜、翼弁と竜骨弁(舟弁)が前に長く、竜骨弁の先が細長い。萼は腺点があり、軟毛が密生し、先が5裂して、最下の萼片が萼筒とほぼ同長又は長い。豆果は長さ約1.5㎝、腺点があり、熟すと果皮(さや)が赤くなり、開いて、2個の黒い種子が見える。種子は果皮についたままで、はじき飛ばない。2n=22
トキリマメは全体に毛が少なく、葉先が尖り、葉の質が薄い。花の下部の裂片が萼筒より明瞭に短い。
普通、蔓性、這い又は絡み付き、まれに直立して低木又は亜低木。葉は羽状に3小葉。托葉は普通、早落性。小托葉は宿存又は無い。小葉は普通、下面に無柄の腺をもつ。花序は腋生、総状花序、ときに分枝又は花が単生。苞は普通、脱落性、まれに宿存する。萼は鐘形、5裂し、上側の2萼片は±合着し、下側の1個が長い。花冠は萼より長いか又は短い。旗弁は円形又は倒卵形、基部に内側に曲がった耳があり、付属体は有又は無。翼弁は竜骨弁とほぼ等しく、内側に曲がる。雄しべは2体雄しべ(diadelphous)、旗弁の雄しべ(vexillary stamen)は離生。葯は均一。子房は無柄又はほぼ無柄。胚珠は(1)2個。花柱は上半分が曲がり、下部は普通、毛がある。柱頭は頂生。豆果は長円形、倒披針形、倒卵状楕円形、斜めの円形、かま形(sickleform)、又は楕円形、裂開し、扁平又は膨れ、種子が(1又は)2個、隔壁はなく、先に常に嘴がある。種子は普通、ほぼ円形又は腎形、へそは丸く、珠柄(funicle)は中間にあり、ストロフィオール(strophiole)は小さいか又は無い。
世界に約200種があり、世界中に分布する。
日本(本州の関東地方以西、四国、九州)、中国(安徽省、貴州省、江蘇省、浙江省)原産。中国名は渐尖叶鹿藿 jian jian ye lu huo。別名はオオバタンキリマメ。山野、森林に生える。
多年草、つる性。葉は3小葉。小葉は薄く、先がやや急に長く尖る。葉の基部は90度より大きい楔形、葉の中央より基部寄りで葉幅が最も広い。葉表は無毛、葉裏は黄色の腺点があり、脈上に毛があるが葉面にはない。総状花序に黄色の豆花が多数つく。翼弁は先の細い竜骨弁(舟弁)を挟んで前に長い。萼は黄色の腺点があり、先が5裂し、最下の萼片が最も長いが、萼筒より短い。豆果は普通2個の種子をもち、熟すと赤くなり、2つに割れて黒い種子が見える。花期は7~9月。
2 Rhynchosia minima (L.) DC. ヒメノアズキ 姫野小豆 広義
日本(宮古群島、八重山群島、沖縄群島、奄美群島)、中国(四川省、雲南省)、台湾、インド、スリランカ、パキスタン、アフガニスタン、ネパール、ブータン、アッサム、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、オマーン、パレスチナ、湾岸諸国、イエメン、サウジアラビア、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア、アフリカ、中央アメリカ、南アメリカ、北アメリカ原産。中国名は小鹿藿 xiao lu huo。英名はleast snout-bean, burn-mouth-vine, jumby-bean。標高900~2500mの森林に生える。
1年草。茎は絡み付き、細く、まばらに毛がある。葉は3小葉。托葉は小さく、披針形、普通、長さ1~2mm。葉柄は長さ1~4㎝、無毛又はまばらに毛がある。小托葉はとりわけ小さい。小葉柄は±膜質。頂小葉は菱状円形、長さ1.5~3㎝×幅1.5~3㎝、ときに長さより幅が広く、無毛又はまばらに絨毛があり、下面に密に腺があり、基部に3脈があり、先は鈍形~円形、まれに短い鋭形。側小葉は頂小葉とほぼ同長又は短く、斜めの円形。総状花序は長さ5~11㎝、花序軸は細く、まばらに毛がある。苞は小さく、披針形、脱落性。花は長さ6~8㎜、わずかに曲がる。花柄はとくに短い。萼は長さ約5mm、まばらに毛がある。萼片は披針形、萼筒よりわずかに短く、下側の萼片が長い。花冠は黄色、萼より長い。花弁はほぼ等長。旗弁は倒卵状円形、基部に2耳がある。翼弁は倒卵状楕円形、耳がある。竜骨弁は曲がり、先が鈍形。豆果は倒披針形~楕円形、長さ1~2㎝×幅0.4~0.5㎝、毛があり、種子は1~2個。花期は5~10月。果期は9~11月。2n=22。[Flora of China]
6変種がある。
2-1 Rhynchosia minima var. macrocalyx (Chiov.) Verdc.
synonym Rhynchosia flavissima var. macrocalyx Chiov.
synonym Rhynchosia sennaarensis var. macrocalyx (Chiov.) Cufod.
synonym Rhynchosia maitlandii Baker f.
アフリカ(ブルンジ、エリトリア、エチオピア、スーダン南スーダン、タンザニア、ウガンダ)原産。川沿いの岩場、道端に生える。
小さな匍匐性または蔓性植物。茎は淡緑色、長さ1.2~1.8m。葉は3出複葉、小葉は上面が濃緑色、下面は淡緑色。長い総状花序に花が多数つく。萼は淡緑色~赤色。花冠の旗弁は外面が赤色、内面が淡黄色、帯紫色の脈がある。翼弁は黄色、竜骨弁は淡緑色。果実は淡緑色。
2-2 Rhynchosia minima var. memnonia (Delile) T.Cooke
synonym Rhynchosia memnonia (Delile) DC.
アフリカ(アルジェリア、ベナン、ブルキナファソ、カーボベルデ、チャド、エジプト、エリトリア、エチオピア、コートジボワール、マリ、モーリタニア、モロッコ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、ソマリア、スーダン・南スーダン)、、シナイ半島、中東(湾岸諸国、サウジアラビア、イエメン)原産。サバンナ、休耕地、牧草地、湖岸に生える。
var. prostrata(R. hockii)と同一の根および生育習性を持つ草本植物であり、より蔓性であると思われるが、特に若いときは全体がかなり長い白色の綿毛に覆われ、ときに非常に密生し、植物に非常に顕著な白っぽい外観を与え、ときに脱落してはるかに密度が低くなるが、常に葉柄、若い葉の葉脈、および萼に見られる。葉の葉柄は長さ約2cm。小葉は var. prostrataと同様だが、長さおよび幅が3cmに達することもある。総状花序は葉より短~長、花は少数~多数、密につく。花序柄は長さ1~1.5cm、非常に毛が多い。花は後屈し、接触する。萼はvar. prostrataに似るが、特に蕾に白毛が密生し、長さ7mmを超えない。花冠は黄色。旗弁は耳が長さ1mmの爪部とほぼ同長で、倒卵形、基部は切形、長さ7~8mm×幅3~4mm。子房はかなり長い毛を持ち、先端を超え、花柱を超えて伸びる。豆果(莢)は長さ8mm×幅3~4mmで、種子の上部は非常に膨らみ、腺はないか、わずかに腺があるだけで、長さ0.5mmを超える白毛がある。花期は6~12月。[Flora of Central Africa]。
2-3 Rhynchosia minima var. minima ヒメノアズキ 姫野小豆
日本(宮古群島、八重山群島、沖縄群島、奄美群島)、中国(四川省、雲南省)、台湾、インド、スリランカ、パキスタン、アフガニスタン、ネパール、ブータン、アッサム、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、オマーン、パレスチナ、湾岸諸国、イエメン、サウジアラビア、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州、西オーストラリア州、南オーストラリア州、ノーザンテリトリー州)、アフリカ、中央アメリカ、南アメリカ、北アメリカ原産。草地に生える。
【北アメリカ】
草本または亜低木。茎は通常、匍匐または蔓性で、まれに斜上し、まれに粘性があり、無毛、微軟毛または微絨毛があり、毛は銀色または灰色、開出または反り返る。葉は3出複葉。托葉は宿存し、線形~披針形、長さ1~6mm×幅1~2mm、先は尖鋭形、表面には微軟毛または微絨毛がある。葉柄は長さ4~100mm、無毛、微綿毛または微絨毛がある。小葉は菱状円形、菱形、ほぼ菱形、または卵形、長さ30~90mm×幅5~70mm、膜質またはほぼ革質、腺点があり、基部は鈍形~円形、楔形または切形、先は尖鋭形~鈍形、下面は無毛、微軟毛または疎~密に微絨毛があり、上面は無毛または細かい伏剛毛~微絨毛または微軟毛がある。花序は総状花序、葉より長く、長さ2~20cm。小花柄は1~5mm。花は、萼が長さ3~6mm、微軟毛または微絨毛があり、萼筒は長さ1.5~2mm、萼片は披針形、側萼片は長さ1.5~4mm、長さは筒部の長さの2.5倍まで、外側の萼片は長さ0.5~1mm。花冠は黄色、紫色または褐色の脈がある。旗弁は円状卵形、長さ4~6mm×幅3~5mm、先は凹形、微軟毛があり、腺点がある。翼弁は狭長円形、長さ4.5~5mm×幅1~2mm、狭い腺点があり、先に微軟毛がある。竜骨弁は長さ5~6mm×幅2~3mm、無毛。雄しべは長さ5~7mm。豆果は鎌形~長円状卵形、扁平、長さ9~20mm×幅3~5mm、無毛、微軟毛または微絨毛がある。種子は帯灰色、褐色、黒色、またはまだらになり、卵状腎形、丸々としており、長さ3~4mm×幅2~3mm。2n=22。花期は春~夏。撹乱地、森林、林縁、草原、砂丘に生える。標高0~100m。[FNA]
【オーストラリア】
つる性または匍匐性の草本植物。茎は±後向きの毛があり、まばらに腺がある。葉は3小葉。小葉は卵形~菱形または±円形で、長さ0.8~3cm、通常は幅が長さより広く、毛があるかまたはほぼ無毛、下面には腺が点在する。葉柄は長さ1~6cm、托葉は長さ約2mm。総状花序は長さ2~10(11)cm、花は2~15個つく。萼は長さ3~5mm、毛がある。花冠は大部分が長さ4~6mmで、黄色で、しばしば紫色の縞模様がある。豆果(莢)は長円状鎌形、長さ約13mm×幅3~5mm、短く細い毛がある。種子は(1~)2個入り、腎形、長さ約3mm、灰色、褐色または黒色で、しばしばまだらになる。花期は春~夏。[NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE]
【アフリカ】
茎はほとんどが蔓性または匍匐性で、微細な微軟毛があるかまたは無毛になる。小葉は通常、先が鋭い鋭形(sharply acute)~尖鋭形、無毛になるかまたはまばらに微軟毛があり、葉脈はほとんど淡色で、上面で隆起する。萼歯は三角形、萼筒と同長かわずかに長く、長さ3~4mm。旗弁は長さ5~6mm×幅約3mm。豆果(莢)は長さ20mm以下(1種子の莢は長さ8mm)×幅4~5mm、基部が狭まり、微細な微軟毛と腺があるか、またはほぼ無毛で、まれに長毛がある[JSTOR | FZ, Vol 3, Part 5, (2001)]。
synonym Rhynchosia nuda DC.
synonym Rhynchosia minima (L.) DC. f. nuda (DC.) H.Ohashi et Tateishi
アフリカ(カメルーン、カーボベルデ、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、エリトリア、エチオピア、マラウイ、モザンビーク、ロドリゲス、セネガル、ソマリア、スーダン南スーダン、タンザニア)、スリランカ原産。中国名は小葉括根。沖縄、台湾に帰化している。
蔓性の細長い草本植物、ほぼ無毛。葉は3出複葉。小葉は広倒卵形、長さ1~2cm、鈍形。托葉は微細、披針形、長さ4mm、脱落性。総状花序は腋生、6~12個の花がつく。花は黄色、長さ7~8mm。萼は長さ約4mm、萼歯は尖鋭形。豆果(莢)は倒披針形、鎌形、長さ約1cm、種子は2個。
2-5 Rhynchosia minima var. pedicellata Verdc.
ザンビア原産。
小花柄が長さ12mmまで。
2-6 Rhynchosia minima var. prostrata (Harv.) Meikle
synonym Rhynchosia memnonia var. prostrata Harv.
synonym Rhynchosia hockii De Wild.
synonym Rhynchosia hockii var. grandifolia Hauman
synonym Rhynchosia schoelleri Schweinf.
アフリカ(アンゴラ、ベナン、ボツワナ、ブルンジ、コンゴ民主共和国、エリトリア、エスワティニ、エチオピア、ギニア湾、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、ルワンダ、セネガル、ソマリア、スーダン・南スーダン、トーゴ、イエメン、ザンビア、ジンバブエ、南アフリカ[ケープ州、フリーステート州、クワズール・ナタール、北部諸州])原産。アカシア(Acacia)などの生える草地、定期的に野焼きが行われるダンボ(dambos:浅い湿地帯)やムブガ(mbuga:草原)の縁、焼かれたチピア(chipya:燃えやすい草と耐火性の高い樹木の混生するチピヤ林)、ブラキステギア(brachystegia:マメ科の樹木)、モパネ(mopane:ジャケツイバラ亜科樹木)の林地、道端に生える。
茎はほとんど匍匐性で、微軟毛または軟毛がある。根茎は明瞭に木質になる。小葉は先端が大部分が円形であるが、中間的で、多数の鋭い小葉があり、軟毛~ビロード状毛がある。萼歯は披針形、通常萼筒よりはるかに長く、長さ5~9mmである。旗弁は長さ7~10mm×幅5~7mm。豆果(莢)は長さ11~12mm×幅4~4.5mm、短~長の灰色の毛と腺に密に覆われる。
3 Rhynchosia sericea Span. キヌノアズキ 絹野小豆
synonym Rhynchosia rothii Benth. ex Aitch.
中国(福建省)、台湾、インド、アフガニスタン、パキスタン、ネパール、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、インドネシア原産。中国名は绒叶鹿藿 rong ye lu huo。草原に生える。
蔓性で木質。茎には密に毛があり、黄色の腺がある。葉は羽状3小葉。托葉は卵状披針形、長さ8~10mm×幅7~8mm。葉柄は長さ4~6cm。、頂小葉柄は長さ15~28mm、密に毛がある、側小葉柄は長さ3~4mm。小葉は円状菱形、長さ5~8cm、両面に密に毛がある、基部の脈は3本、側脈は3~4対あり、基部は円形、先は円形~ほぼ切形、短い微突形。総状花序は長さ11~16cm、丈夫、多数花が束性する。萼は長さ約6mm、密に毛がある。萼片はほぼ三角形、先は鋭形または尖鋭形、萼片の長さは萼筒より短いかまたはほぼ等しい。花冠は帯赤色。旗弁は倒卵形、長さ1.1~1.3cm、密に毛があり、耳は鋭形。翼弁は倒卵状長円形で最も短い。竜骨弁は鎌形で、旗弁とほぼ同長で、耳があり、先は鈍形。子房には密に毛があり、柄がある。豆果は倒披針形~楕円形、長さ約3cm、扁平、軟毛があり、先には嘴がある。種子は2個、赤褐色、腎形、約・長さ3mm×幅4mm。花期は4~11月。果期は9~2月。2n=22。
4 Rhynchosia volubilis Lour. タンキリマメ 痰切豆
日本(本州の関東地方以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、ベトナム、フィリピン原産。中国名は鹿藿 lu huo 。英名はrat's eye bean。
多年草。蔓性。全体に毛が多く、茎には下向きの毛が密生する。葉は3小葉。小葉は長さ3~5㎝、幅2.5~4㎝の倒卵形、鈍頭、頂小葉の基部は90度以下の楔形、葉の中央より先寄りで葉幅が最も広い。葉は質がやや厚く、裏面に黄色の腺点があり、軟毛が密生し、表面にも毛が多い。総状花序に黄色の豆花を固まってつける。豆花は長さ約9㎜、翼弁と竜骨弁(舟弁)が前に長く、竜骨弁の先が細長い。萼は腺点があり、軟毛が密生し、先が5裂して、最下の萼片が萼筒とほぼ同長又は長い。豆果は長さ約1.5㎝、腺点があり、熟すと果皮(さや)が赤くなり、開いて、2個の黒い種子が見える。種子は果皮についたままで、はじき飛ばない。花期は7~9月。2n=22。
Rhynchosia
Dopatrium junceum
Rhynchosia
Rhynchosia minima var. prostrata Harv. Meikle [family LEGUMINOSAE]
Rhynchosia minima f. nuda 小葉括根
23 Rhynchosia p567
全体に毛が多く、茎には下向きの毛が密生する。葉は3小葉。小葉は長さ3~5㎝、幅2.5~4㎝の倒卵形、鈍頭、頂小葉の基部は90度以下の楔形、葉の中央より先寄りで葉幅が最も広い。葉は質がやや厚く、裏面に黄色の腺点があり、軟毛が密生し、表面にも毛が多い。総状花序に黄色の豆花を固まってつける。豆花は長さ約9㎜、翼弁と竜骨弁(舟弁)が前に長く、竜骨弁の先が細長い。萼は腺点があり、軟毛が密生し、先が5裂して、最下の萼片が萼筒とほぼ同長又は長い。豆果は長さ約1.5㎝、腺点があり、熟すと果皮(さや)が赤くなり、開いて、2個の黒い種子が見える。種子は果皮についたままで、はじき飛ばない。2n=22
トキリマメは全体に毛が少なく、葉先が尖り、葉の質が薄い。花の下部の裂片が萼筒より明瞭に短い。
タンキリマメ属
family Fabaceae - genus Rhynchosia普通、蔓性、這い又は絡み付き、まれに直立して低木又は亜低木。葉は羽状に3小葉。托葉は普通、早落性。小托葉は宿存又は無い。小葉は普通、下面に無柄の腺をもつ。花序は腋生、総状花序、ときに分枝又は花が単生。苞は普通、脱落性、まれに宿存する。萼は鐘形、5裂し、上側の2萼片は±合着し、下側の1個が長い。花冠は萼より長いか又は短い。旗弁は円形又は倒卵形、基部に内側に曲がった耳があり、付属体は有又は無。翼弁は竜骨弁とほぼ等しく、内側に曲がる。雄しべは2体雄しべ(diadelphous)、旗弁の雄しべ(vexillary stamen)は離生。葯は均一。子房は無柄又はほぼ無柄。胚珠は(1)2個。花柱は上半分が曲がり、下部は普通、毛がある。柱頭は頂生。豆果は長円形、倒披針形、倒卵状楕円形、斜めの円形、かま形(sickleform)、又は楕円形、裂開し、扁平又は膨れ、種子が(1又は)2個、隔壁はなく、先に常に嘴がある。種子は普通、ほぼ円形又は腎形、へそは丸く、珠柄(funicle)は中間にあり、ストロフィオール(strophiole)は小さいか又は無い。
世界に約200種があり、世界中に分布する。
タンキリマメ属の主な種と園芸品種
1 Rhynchosia acuminatifolia Makino トキリマメ日本(本州の関東地方以西、四国、九州)、中国(安徽省、貴州省、江蘇省、浙江省)原産。中国名は渐尖叶鹿藿 jian jian ye lu huo。別名はオオバタンキリマメ。山野、森林に生える。
多年草、つる性。葉は3小葉。小葉は薄く、先がやや急に長く尖る。葉の基部は90度より大きい楔形、葉の中央より基部寄りで葉幅が最も広い。葉表は無毛、葉裏は黄色の腺点があり、脈上に毛があるが葉面にはない。総状花序に黄色の豆花が多数つく。翼弁は先の細い竜骨弁(舟弁)を挟んで前に長い。萼は黄色の腺点があり、先が5裂し、最下の萼片が最も長いが、萼筒より短い。豆果は普通2個の種子をもち、熟すと赤くなり、2つに割れて黒い種子が見える。花期は7~9月。
2 Rhynchosia minima (L.) DC. ヒメノアズキ 姫野小豆 広義
日本(宮古群島、八重山群島、沖縄群島、奄美群島)、中国(四川省、雲南省)、台湾、インド、スリランカ、パキスタン、アフガニスタン、ネパール、ブータン、アッサム、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、オマーン、パレスチナ、湾岸諸国、イエメン、サウジアラビア、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア、アフリカ、中央アメリカ、南アメリカ、北アメリカ原産。中国名は小鹿藿 xiao lu huo。英名はleast snout-bean, burn-mouth-vine, jumby-bean。標高900~2500mの森林に生える。
1年草。茎は絡み付き、細く、まばらに毛がある。葉は3小葉。托葉は小さく、披針形、普通、長さ1~2mm。葉柄は長さ1~4㎝、無毛又はまばらに毛がある。小托葉はとりわけ小さい。小葉柄は±膜質。頂小葉は菱状円形、長さ1.5~3㎝×幅1.5~3㎝、ときに長さより幅が広く、無毛又はまばらに絨毛があり、下面に密に腺があり、基部に3脈があり、先は鈍形~円形、まれに短い鋭形。側小葉は頂小葉とほぼ同長又は短く、斜めの円形。総状花序は長さ5~11㎝、花序軸は細く、まばらに毛がある。苞は小さく、披針形、脱落性。花は長さ6~8㎜、わずかに曲がる。花柄はとくに短い。萼は長さ約5mm、まばらに毛がある。萼片は披針形、萼筒よりわずかに短く、下側の萼片が長い。花冠は黄色、萼より長い。花弁はほぼ等長。旗弁は倒卵状円形、基部に2耳がある。翼弁は倒卵状楕円形、耳がある。竜骨弁は曲がり、先が鈍形。豆果は倒披針形~楕円形、長さ1~2㎝×幅0.4~0.5㎝、毛があり、種子は1~2個。花期は5~10月。果期は9~11月。2n=22。[Flora of China]
6変種がある。
2-1 Rhynchosia minima var. macrocalyx (Chiov.) Verdc.
synonym Rhynchosia flavissima var. macrocalyx Chiov.
synonym Rhynchosia sennaarensis var. macrocalyx (Chiov.) Cufod.
synonym Rhynchosia maitlandii Baker f.
アフリカ(ブルンジ、エリトリア、エチオピア、スーダン南スーダン、タンザニア、ウガンダ)原産。川沿いの岩場、道端に生える。
小さな匍匐性または蔓性植物。茎は淡緑色、長さ1.2~1.8m。葉は3出複葉、小葉は上面が濃緑色、下面は淡緑色。長い総状花序に花が多数つく。萼は淡緑色~赤色。花冠の旗弁は外面が赤色、内面が淡黄色、帯紫色の脈がある。翼弁は黄色、竜骨弁は淡緑色。果実は淡緑色。
2-2 Rhynchosia minima var. memnonia (Delile) T.Cooke
synonym Rhynchosia memnonia (Delile) DC.
アフリカ(アルジェリア、ベナン、ブルキナファソ、カーボベルデ、チャド、エジプト、エリトリア、エチオピア、コートジボワール、マリ、モーリタニア、モロッコ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、ソマリア、スーダン・南スーダン)、、シナイ半島、中東(湾岸諸国、サウジアラビア、イエメン)原産。サバンナ、休耕地、牧草地、湖岸に生える。
var. prostrata(R. hockii)と同一の根および生育習性を持つ草本植物であり、より蔓性であると思われるが、特に若いときは全体がかなり長い白色の綿毛に覆われ、ときに非常に密生し、植物に非常に顕著な白っぽい外観を与え、ときに脱落してはるかに密度が低くなるが、常に葉柄、若い葉の葉脈、および萼に見られる。葉の葉柄は長さ約2cm。小葉は var. prostrataと同様だが、長さおよび幅が3cmに達することもある。総状花序は葉より短~長、花は少数~多数、密につく。花序柄は長さ1~1.5cm、非常に毛が多い。花は後屈し、接触する。萼はvar. prostrataに似るが、特に蕾に白毛が密生し、長さ7mmを超えない。花冠は黄色。旗弁は耳が長さ1mmの爪部とほぼ同長で、倒卵形、基部は切形、長さ7~8mm×幅3~4mm。子房はかなり長い毛を持ち、先端を超え、花柱を超えて伸びる。豆果(莢)は長さ8mm×幅3~4mmで、種子の上部は非常に膨らみ、腺はないか、わずかに腺があるだけで、長さ0.5mmを超える白毛がある。花期は6~12月。[Flora of Central Africa]。
2-3 Rhynchosia minima var. minima ヒメノアズキ 姫野小豆
日本(宮古群島、八重山群島、沖縄群島、奄美群島)、中国(四川省、雲南省)、台湾、インド、スリランカ、パキスタン、アフガニスタン、ネパール、ブータン、アッサム、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、オマーン、パレスチナ、湾岸諸国、イエメン、サウジアラビア、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州、西オーストラリア州、南オーストラリア州、ノーザンテリトリー州)、アフリカ、中央アメリカ、南アメリカ、北アメリカ原産。草地に生える。
【北アメリカ】
草本または亜低木。茎は通常、匍匐または蔓性で、まれに斜上し、まれに粘性があり、無毛、微軟毛または微絨毛があり、毛は銀色または灰色、開出または反り返る。葉は3出複葉。托葉は宿存し、線形~披針形、長さ1~6mm×幅1~2mm、先は尖鋭形、表面には微軟毛または微絨毛がある。葉柄は長さ4~100mm、無毛、微綿毛または微絨毛がある。小葉は菱状円形、菱形、ほぼ菱形、または卵形、長さ30~90mm×幅5~70mm、膜質またはほぼ革質、腺点があり、基部は鈍形~円形、楔形または切形、先は尖鋭形~鈍形、下面は無毛、微軟毛または疎~密に微絨毛があり、上面は無毛または細かい伏剛毛~微絨毛または微軟毛がある。花序は総状花序、葉より長く、長さ2~20cm。小花柄は1~5mm。花は、萼が長さ3~6mm、微軟毛または微絨毛があり、萼筒は長さ1.5~2mm、萼片は披針形、側萼片は長さ1.5~4mm、長さは筒部の長さの2.5倍まで、外側の萼片は長さ0.5~1mm。花冠は黄色、紫色または褐色の脈がある。旗弁は円状卵形、長さ4~6mm×幅3~5mm、先は凹形、微軟毛があり、腺点がある。翼弁は狭長円形、長さ4.5~5mm×幅1~2mm、狭い腺点があり、先に微軟毛がある。竜骨弁は長さ5~6mm×幅2~3mm、無毛。雄しべは長さ5~7mm。豆果は鎌形~長円状卵形、扁平、長さ9~20mm×幅3~5mm、無毛、微軟毛または微絨毛がある。種子は帯灰色、褐色、黒色、またはまだらになり、卵状腎形、丸々としており、長さ3~4mm×幅2~3mm。2n=22。花期は春~夏。撹乱地、森林、林縁、草原、砂丘に生える。標高0~100m。[FNA]
【オーストラリア】
つる性または匍匐性の草本植物。茎は±後向きの毛があり、まばらに腺がある。葉は3小葉。小葉は卵形~菱形または±円形で、長さ0.8~3cm、通常は幅が長さより広く、毛があるかまたはほぼ無毛、下面には腺が点在する。葉柄は長さ1~6cm、托葉は長さ約2mm。総状花序は長さ2~10(11)cm、花は2~15個つく。萼は長さ3~5mm、毛がある。花冠は大部分が長さ4~6mmで、黄色で、しばしば紫色の縞模様がある。豆果(莢)は長円状鎌形、長さ約13mm×幅3~5mm、短く細い毛がある。種子は(1~)2個入り、腎形、長さ約3mm、灰色、褐色または黒色で、しばしばまだらになる。花期は春~夏。[NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE]
【アフリカ】
茎はほとんどが蔓性または匍匐性で、微細な微軟毛があるかまたは無毛になる。小葉は通常、先が鋭い鋭形(sharply acute)~尖鋭形、無毛になるかまたはまばらに微軟毛があり、葉脈はほとんど淡色で、上面で隆起する。萼歯は三角形、萼筒と同長かわずかに長く、長さ3~4mm。旗弁は長さ5~6mm×幅約3mm。豆果(莢)は長さ20mm以下(1種子の莢は長さ8mm)×幅4~5mm、基部が狭まり、微細な微軟毛と腺があるか、またはほぼ無毛で、まれに長毛がある[JSTOR | FZ, Vol 3, Part 5, (2001)]。
2-4 Rhynchosia minima var. nuda (DC.) Kuntze マルバヒメノアズキ 丸葉姫野小豆
synonym Rhynchosia minima f. nuda (DC.) H.Ohashi & Tateishisynonym Rhynchosia nuda DC.
synonym Rhynchosia minima (L.) DC. f. nuda (DC.) H.Ohashi et Tateishi
アフリカ(カメルーン、カーボベルデ、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、エリトリア、エチオピア、マラウイ、モザンビーク、ロドリゲス、セネガル、ソマリア、スーダン南スーダン、タンザニア)、スリランカ原産。中国名は小葉括根。沖縄、台湾に帰化している。
蔓性の細長い草本植物、ほぼ無毛。葉は3出複葉。小葉は広倒卵形、長さ1~2cm、鈍形。托葉は微細、披針形、長さ4mm、脱落性。総状花序は腋生、6~12個の花がつく。花は黄色、長さ7~8mm。萼は長さ約4mm、萼歯は尖鋭形。豆果(莢)は倒披針形、鎌形、長さ約1cm、種子は2個。
2-5 Rhynchosia minima var. pedicellata Verdc.
ザンビア原産。
小花柄が長さ12mmまで。
2-6 Rhynchosia minima var. prostrata (Harv.) Meikle
synonym Rhynchosia memnonia var. prostrata Harv.
synonym Rhynchosia hockii De Wild.
synonym Rhynchosia hockii var. grandifolia Hauman
synonym Rhynchosia schoelleri Schweinf.
アフリカ(アンゴラ、ベナン、ボツワナ、ブルンジ、コンゴ民主共和国、エリトリア、エスワティニ、エチオピア、ギニア湾、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、ルワンダ、セネガル、ソマリア、スーダン・南スーダン、トーゴ、イエメン、ザンビア、ジンバブエ、南アフリカ[ケープ州、フリーステート州、クワズール・ナタール、北部諸州])原産。アカシア(Acacia)などの生える草地、定期的に野焼きが行われるダンボ(dambos:浅い湿地帯)やムブガ(mbuga:草原)の縁、焼かれたチピア(chipya:燃えやすい草と耐火性の高い樹木の混生するチピヤ林)、ブラキステギア(brachystegia:マメ科の樹木)、モパネ(mopane:ジャケツイバラ亜科樹木)の林地、道端に生える。
茎はほとんど匍匐性で、微軟毛または軟毛がある。根茎は明瞭に木質になる。小葉は先端が大部分が円形であるが、中間的で、多数の鋭い小葉があり、軟毛~ビロード状毛がある。萼歯は披針形、通常萼筒よりはるかに長く、長さ5~9mmである。旗弁は長さ7~10mm×幅5~7mm。豆果(莢)は長さ11~12mm×幅4~4.5mm、短~長の灰色の毛と腺に密に覆われる。
3 Rhynchosia sericea Span. キヌノアズキ 絹野小豆
synonym Rhynchosia rothii Benth. ex Aitch.
中国(福建省)、台湾、インド、アフガニスタン、パキスタン、ネパール、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、インドネシア原産。中国名は绒叶鹿藿 rong ye lu huo。草原に生える。
蔓性で木質。茎には密に毛があり、黄色の腺がある。葉は羽状3小葉。托葉は卵状披針形、長さ8~10mm×幅7~8mm。葉柄は長さ4~6cm。、頂小葉柄は長さ15~28mm、密に毛がある、側小葉柄は長さ3~4mm。小葉は円状菱形、長さ5~8cm、両面に密に毛がある、基部の脈は3本、側脈は3~4対あり、基部は円形、先は円形~ほぼ切形、短い微突形。総状花序は長さ11~16cm、丈夫、多数花が束性する。萼は長さ約6mm、密に毛がある。萼片はほぼ三角形、先は鋭形または尖鋭形、萼片の長さは萼筒より短いかまたはほぼ等しい。花冠は帯赤色。旗弁は倒卵形、長さ1.1~1.3cm、密に毛があり、耳は鋭形。翼弁は倒卵状長円形で最も短い。竜骨弁は鎌形で、旗弁とほぼ同長で、耳があり、先は鈍形。子房には密に毛があり、柄がある。豆果は倒披針形~楕円形、長さ約3cm、扁平、軟毛があり、先には嘴がある。種子は2個、赤褐色、腎形、約・長さ3mm×幅4mm。花期は4~11月。果期は9~2月。2n=22。
4 Rhynchosia volubilis Lour. タンキリマメ 痰切豆
日本(本州の関東地方以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、ベトナム、フィリピン原産。中国名は鹿藿 lu huo 。英名はrat's eye bean。
多年草。蔓性。全体に毛が多く、茎には下向きの毛が密生する。葉は3小葉。小葉は長さ3~5㎝、幅2.5~4㎝の倒卵形、鈍頭、頂小葉の基部は90度以下の楔形、葉の中央より先寄りで葉幅が最も広い。葉は質がやや厚く、裏面に黄色の腺点があり、軟毛が密生し、表面にも毛が多い。総状花序に黄色の豆花を固まってつける。豆花は長さ約9㎜、翼弁と竜骨弁(舟弁)が前に長く、竜骨弁の先が細長い。萼は腺点があり、軟毛が密生し、先が5裂して、最下の萼片が萼筒とほぼ同長又は長い。豆果は長さ約1.5㎝、腺点があり、熟すと果皮(さや)が赤くなり、開いて、2個の黒い種子が見える。種子は果皮についたままで、はじき飛ばない。花期は7~9月。2n=22。
参考
1) Flora of ChinaRhynchosia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=128490
2) Jepson eFlora: Taxon pageDopatrium junceum
http://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=23256
3) Flora of Pakistan @ efloras.orgRhynchosia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=128490
4) JSTORRhynchosia minima var. prostrata Harv. Meikle [family LEGUMINOSAE]
https://plants.jstor.org/stable/10.5555/al.ap.flora.fz2452
5) 台灣植物資訊整合查詢系統 Plants of TaiwanRhynchosia minima f. nuda 小葉括根
https://tai2.ntu.edu.tw/species/409%20101%2001%200
6) BHL | Flora of Japan:in English23 Rhynchosia p567
https://www.biodiversitylibrary.org/item/95083#page/595/mode/1up