タンキリマメ 痰切豆

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Flora of Mikawa

マメ科 Fabaceae タンキリマメ属

中国名 鹿藿 lu huo
英 名 rat's eye bean
学 名 Rhynchosia volubilis Lour.
タンキリマメ花序
タンキリマメ花
タンキリマメ豆果
タンキリマメの赤くなった豆果
タンキリマメの葉
タンキリマメの葉表
タンキリマメの葉裏の腺点
タンキリマメ
タンキリマメ萼筒と萼片の長さ
タンキリマメ萼の腺点
タンキリマメ葉
タンキリマメ種子
花 期 7~9月
高 さ つる性
生活型 多年草
生育場所 日当たりのよい草地、林縁、生垣
分 布 在来種 本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾、ベトナム、フィリピン
撮 影 田原市  07.9.1
和名の由来は種子を食べると痰が切れるということから。
 全体に毛が多く、茎には下向きの毛が密生する。葉は3小葉。小葉は長さ3~5㎝、幅2.5~4㎝の倒卵形、鈍頭、頂小葉の基部は90度以下の楔形、葉の中央より先寄りで葉幅が最も広い。葉は質がやや厚く、裏面に黄色の腺点があり、軟毛が密生し、表面にも毛が多い。総状花序に黄色の豆花を固まってつける。豆花は長さ約9㎜、翼弁と竜骨弁(舟弁)が前に長く、竜骨弁の先が細長い。萼は腺点があり、軟毛が密生し、先が5裂して、最下の萼片が萼筒とほぼ同長又は長い。豆果は長さ約1.5㎝、腺点があり、熟すと果皮(さや)が赤くなり、開いて、2個の黒い種子が見える。種子は果皮についたままで、はじき飛ばない。2n=22
 トキリマメは全体に毛が少なく、葉先が尖り、葉の質が薄い。花の下部の裂片が萼筒より明瞭に短い。

タンキリマメ属

  family Fabaceae - genus Rhynchosia

 普通、蔓性、這い又は絡み付き、まれに直立して低木又は亜低木。葉は羽状に3小葉。托葉は普通、早落性。小托葉は宿存又は無い。小葉は普通、下面に無柄の腺をもつ。花序は腋生、総状花序、ときに分枝又は花が単生。苞は普通、脱落性、まれに宿存する。咢は鐘形、5裂し、上側の2咢片は±合着し、下側の1個が長い。花冠は咢より長いか又は短い。旗弁は円形又は倒卵形、基部に内側に曲がった耳があり、付属体は有又は無。翼弁は竜骨弁とほぼ等しく、内側に曲がる。雄しべは2体雄しべ(diadelphous)、旗弁の雄しべ(vexillary stamen)は離生。葯は均一。子房は無柄又はほぼ無柄。胚珠は(1)2個。花柱は上半分が曲がり、下部は普通、毛がある。柱頭は頂生。豆果は長円形、倒披針形、倒卵状楕円形、斜めの円形、かま形(sickleform)、又は楕円形、裂開し、扁平又は膨れ、種子が(1又は)2個、隔壁はなく、先に常に嘴がある。種子は普通、ほぼ円形又は腎形、へそは丸く、珠柄(funicle)は中間にあり、ストロフィオール(strophiole)は小さいか又は無い。
 世界に約200種があり、世界中に分布する。

タンキリマメ属の主な種と園芸品種

1 Rhynchosia acuminatifolia Makino  トキリマメ 
 日本(本州の関東地方以西、四国、九州)、中国原産。中国名は渐尖叶鹿藿 jian jian ye lu huo。別名はオオバタンキリマメ。br>  多年草、つる性。葉は3小葉。小葉は薄く、先がやや急に長く尖る。葉の基部は90度より大きい楔形、葉の中央より基部寄りで葉幅が最も広い。葉表は無毛、葉裏は黄色の腺点があり、脈上に毛があるが葉面にはない。総状花序に黄色の豆花が多数つく。翼弁は先の細い竜骨弁(舟弁)を挟んで前に長い。萼は黄色の腺点があり、先が5裂し、最下の萼片が最も長いが、萼筒より短い。豆果は普通2個の種子をもち、熟すと赤くなり、2つに割れて黒い種子が見える。花期は7~9月。

2 Rhynchosia minima (L.) DC.  ヒメノアズキ 姫野小豆
 日本(沖縄など)中国、台湾、熱帯に広く分布。原産。中国名は小鹿藿 xiao lu huo。英名はeast snout-bean , burn-mouth-vine , jumby-bean。
 1年草。茎は絡み付き、細く、まばらに毛がある。葉は3小葉。托葉は小さく、披針形、普通、長さ1~2mm。葉柄は長さ1~4㎝、無毛又はまばらに毛がある。小托葉はとりわけ小さい。小葉柄は±膜質。頂小葉は菱状円形、長さ1.5~3㎝×幅1.5~3㎝、ときに長さより幅が広く、無毛又はまばらに絨毛があり、下面に密に腺があり、基部に3脈があり、先は鈍形~円形、まれに短い鋭形。側小葉は頂小葉とほぼ同長又は短く、斜めの円形。総状花序は長さ5~11㎝、花序軸は細く、まばらに毛がある。苞は小さく、披針形、脱落性。花は長さ6~8㎜、わずかに曲がる。花柄はとくに短い。咢は長さ約5mm、まばらに毛がある。咢片は披針形、咢筒よりわずかに短く、下側の咢片が長い。花冠は黄色、咢より長い。花弁はほぼ等長。旗弁は倒卵状円形、基部に2耳がある。翼弁は倒卵状楕円形、耳がある。竜骨弁は曲がり、先が鈍形。豆果は倒披針形~楕円形、長さ1~2㎝×幅0.4~0.5㎝、毛があり、種子は1~2個。花期は5~10月。果期は9~11月。2n=22。
2-1 Rhynchosia minima (L.) DC. f. nuda (DC.) H.Ohashi et Tateishi  マルバヒメノアズキ 
  synonym Rhynchosia minima (L.) DC. var. nuda (DC.) Kuntze

3 Rhynchosia sericea Span.  キヌノアズキ 
  synonym Rhynchosia rothii Benth. ex Aitch.
 中国、台湾、インド、アフガニスタン、パキスタン、ネパール、バングラデシュ、インドネシア、ミャンマー、タイ原産。中国名は绒叶鹿藿 rong ye lu huo。

4 Rhynchosia volubilis Lour.  タンキリマメ 痰切豆
 日本(本州の関東地方以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、ベトナム、フィリピン原産。中国名は鹿藿 lu huo 。英名はrat's eye bean。
 多年草。蔓性。全体に毛が多く、茎には下向きの毛が密生する。葉は3小葉。小葉は長さ3~5㎝、幅2.5~4㎝の倒卵形、鈍頭、頂小葉の基部は90度以下の楔形、葉の中央より先寄りで葉幅が最も広い。葉は質がやや厚く、裏面に黄色の腺点があり、軟毛が密生し、表面にも毛が多い。総状花序に黄色の豆花を固まってつける。豆花は長さ約9㎜、翼弁と竜骨弁(舟弁)が前に長く、竜骨弁の先が細長い。萼は腺点があり、軟毛が密生し、先が5裂して、最下の萼片が萼筒とほぼ同長又は長い。豆果は長さ約1.5㎝、腺点があり、熟すと果皮(さや)が赤くなり、開いて、2個の黒い種子が見える。種子は果皮についたままで、はじき飛ばない。花期は7~9月。2n=22。

参考

1) Flora of China
 Rhynchosia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=128490
2) Jepson eFlora: Taxon page
 Dopatrium junceum
http://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=23256