ナズナ 薺
Flora of Mikawa
アブラナ科 Brassicaceae ナズナ属
別 名 | ペンペングサ |
英 名 | shepherd's purse |
中国名 |
荠 qi |
学 名 | Capsella bursa-pastoris (L.) Medic. |
花 期 | 3~6月 |
高 さ | (2)10~50(70) ㎝ |
生活型 | 2年草 |
生育場所 | 道端、畑 |
分 布 | 帰化種 ユーラシア、アフリカ原産 |
撮 影 | 幸田町 10.4.6 |
別名は果実の形が三角形で、三味線のバチの形をしていることから。道端、荒地などどこでも見られ、雑草の代名詞となっている。春の七草の1つで、利尿、止血、解熱の薬草としても用いられる。
茎は直立する。根生葉はロゼットをつくり、長さ(0.5)1.5~10(15)㎝、幅0.2~2.5(5)㎝の惰円形~倒披針形、 羽状に裂ける。早春の頃は裂片が細く、裂片の基部に耳片(耳状の小裂片)があることが多い。茎葉は長さ1~5.5(8)㎝、幅1~15(20)㎜、 上部では裂けず、無柄、基部は矢じり形に茎を抱く。葉面には毛があり、小さな星状毛が多数混じる。萼片は長さ1.5~2㎜、幅 0.7~1㎜、縁が薄膜質、頂部は赤色を帯びることが多い。花は直径約4㎜の白色、十字形花。花弁は長さ (1.5)2~4(5)㎜、幅1~1.5㎜の倒卵形。雄しべ6個。雌しべ1個。果実(単角果)は長さ(3)4~9(10)㎜の倒三角形、上部が凹む。果柄は長さ(0.3)0.5~1.5(2)㎝。種子は褐色、長さ0.9~1.1㎜、幅0.4~0.6㎜。2n=32
葉の裂片に耳片があるものをオオナズナと分類することがあったが、現在は分類しないのが普通である。
花が黄色で、花のつき方が似ているのはイヌナズナ。
マメグンバイナズナは果実が小さく円形。
1年草又は2年草。毛状突起は無柄で星状、ときに単毛や又状毛が混じる。茎は直立又は斜上。根生葉はロゼットになり、単葉、普通、羽状分裂し、頭大羽状分裂(lyrate)又は逆向き羽状分裂(runcinate)、まれに全縁又は歯状。茎葉は無柄、耳状又は抱茎、全縁、歯状、又は波状。総状花序は花が多数つき、苞は無い。果時の花柄は細く、斜上又は散開する。咢片は卵形~長円形、直立又は斜上し、無毛又は軟毛があり、側対の基部に袋は無い。花弁は白色、ピンク色、赤色、まれに帯黄色、咢片よりかなり長いか又は短く、ときに欠く。花弁の弁部(舷部)は倒卵形~へら形、先は鈍形、爪部は弁部から明瞭に分かれる。雄しべは6本、直立し、4強雄しべ。花糸は基部が広がらない。葯は卵形~長円形、先は鈍形。中央蜜腺は無く、側蜜腺が側雄しべの各側に1個ある。胚珠は子房に(12~)20~40個。果実は裂開性の短角果(silicle)、倒三角形~倒三角状倒心形、強く扁平で、狭い隔壁があり(angustiseptate)、無柄。バルブは紙質、脈が目立ち、強い竜骨があり、レプルム(replum:果実のバルブを分ける薄い隔壁)は円く、隔壁は完全。花柱は長さ1㎜未満で、先端のノッチから突き出ず又は突き出る。柱頭は頭状、全縁。種子は1列、翼は無く、長円形、丸みがある。種皮は網状、湿ると粘る。子葉は背位(incumbent)。
世界に約8種あり、ユーラシア、アフリカ、アメリカに分布する。起源は1種と考えられている。
【ナズナ属の種】
Capsella bursa-pastoris (L.) Medik. ユーラシア、アフリカ
Capsella draboides Korsh ウズベキスタン
Capsella × gracilis Gren. フランス、イタリア、スイス、アルジェリア、スワジランド、トルコ
Capsella grandiflora (Fauche & Chaub.) Boiss. ギリシャ、アルバニア、トルコ
Capsella lycia Stapf トルコ
Capsella mexicana Hemsl. メキシコ
Capsella orientalis Klokov ヨーロッパ、西アジア、中央アジア
Capsella puberula Rupr. ジョージア、アゼルバイジャン、アルメニア
Capsella rubella Reut. 地中海沿岸地域
Capsella tasmanica (Hook.) F.Muell タスマニア 絶滅
synonym Capsella bursa-pastoris triangularis E.B.Almq.
ユーラシア、北アフリカ原産。中国名は荠 qi 。英名はshepherd's-purse 。別名はペンペングサ。日本には麦栽培とともに伝来し、史前帰化植物と考えられている。
2年草。高さ(2)10~50(70) ㎝。茎は直立する。根生葉はロゼットをつくり、長さ(0.5)1.5~10(15)㎝、幅0.2~2.5(5)㎝の惰円形~倒披針形、 羽状に裂ける。早春の頃は裂片が細く、裂片の基部に耳片(耳状の小裂片)があることが多い。茎葉は長さ1~5.5(8)㎝、幅1~15(20)㎜、 上部では裂けず、無柄、基部は矢じり形に茎を抱く。葉面には毛があり、小さな星状毛が多数混じる。萼片は長さ1.5~2㎜、幅 0.7~1㎜、縁が薄膜質、頂部は赤色を帯びることが多い。花は直径約4㎜の白色、十字形花。花弁は長さ (1.5)2~4(5)㎜、幅1~1.5㎜の倒卵形。雄しべ6個。雌しべ1個。果実(単角果)は長さ(3)4~9(10)㎜の倒三角形、上部が凹む。果柄は長さ(0.3)0.5~1.5(2)㎝。種子は褐色、長さ0.9~1.1㎜、幅0.4~0.6㎜。2n=32。花期は3~6月。
1-1 Capsella bursa-pastoris (L.) Medik. var. bursa-pastoris ナズナ 狭義
ユーラシア、北アフリカに分布。北半球などに広く帰化している。
わずかに低い、毛があるかまたはほとんど無毛。果実は長さ6~9㎜×幅4~9㎜、基部でほとんど空にならず、頂部でわずかに切れ込みがある。花柱は長さ0.2~0.5㎜。2n=32。
1-2 Capsella bursa-pastoris subsp. thracicus (Velen.) Stoj. & Stef.
synonym Capsella thracica Velen.
ブルガリア原産。
下部は柔らかく短い毛があり、上部は無毛。果実は長さ6~9㎜×幅約4㎜、基部は明らかに空になり、頂部は深く切り込まれる。花柱は長さ 0.5~1㎜。2n=32。
2 Capsella grandiflora (Fauche et Chaub) Boiss. オオバナナズナ 大花薺
ギリシャ、アルバニア、トルコ原産。英名はgrand shepherd's-purse。
ナズナと似ているが、他家受粉のため花は香りがよく、花弁は長さ4~5㎜、長さが無毛の萼片の長さの2.5~3倍。花期は4~6月。2n=16。
3 Capsella rubella Reuter ルベラナズナ
フランス、ポルトガル、スペイン、イタリア、アルバニア、ボスニアヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、マケドニア、モンテネグロ、セルビア、トルコなど地中海沿岸地域原産。英名はpink shepherd's-purse。
1年草。茎は高さ5~30㎝、直立する。根生葉はロゼット状で、開花期まで宿存し、葉柄があり、羽状中裂。茎葉は無柄、徐々に分裂が少なくなり、最上部の茎葉は全縁、線形。円錐花序は花時には散房花序状に束生し、果時には長くなる。萼片は通常、先端が赤みを帯び、無毛。花弁は長さ1.5~2㎜、萼片よりわずかに長く、白色または縁がピンク色。短角果は約・長さ6㎜x幅6㎜、長さと幅が同じで、側部の縁は真っすぐから凹状で、通常、明瞭な凹形。2n=16。花期は3~6月。
Capsella
Capsella
Capsella
Capsella
Capsella
Capsella grandiflora (Fauché & Chaub.) Boiss.
茎は直立する。根生葉はロゼットをつくり、長さ(0.5)1.5~10(15)㎝、幅0.2~2.5(5)㎝の惰円形~倒披針形、 羽状に裂ける。早春の頃は裂片が細く、裂片の基部に耳片(耳状の小裂片)があることが多い。茎葉は長さ1~5.5(8)㎝、幅1~15(20)㎜、 上部では裂けず、無柄、基部は矢じり形に茎を抱く。葉面には毛があり、小さな星状毛が多数混じる。萼片は長さ1.5~2㎜、幅 0.7~1㎜、縁が薄膜質、頂部は赤色を帯びることが多い。花は直径約4㎜の白色、十字形花。花弁は長さ (1.5)2~4(5)㎜、幅1~1.5㎜の倒卵形。雄しべ6個。雌しべ1個。果実(単角果)は長さ(3)4~9(10)㎜の倒三角形、上部が凹む。果柄は長さ(0.3)0.5~1.5(2)㎝。種子は褐色、長さ0.9~1.1㎜、幅0.4~0.6㎜。2n=32
葉の裂片に耳片があるものをオオナズナと分類することがあったが、現在は分類しないのが普通である。
花が黄色で、花のつき方が似ているのはイヌナズナ。
マメグンバイナズナは果実が小さく円形。
ナズナ属
family Brassicaceae - genus Capsella1年草又は2年草。毛状突起は無柄で星状、ときに単毛や又状毛が混じる。茎は直立又は斜上。根生葉はロゼットになり、単葉、普通、羽状分裂し、頭大羽状分裂(lyrate)又は逆向き羽状分裂(runcinate)、まれに全縁又は歯状。茎葉は無柄、耳状又は抱茎、全縁、歯状、又は波状。総状花序は花が多数つき、苞は無い。果時の花柄は細く、斜上又は散開する。咢片は卵形~長円形、直立又は斜上し、無毛又は軟毛があり、側対の基部に袋は無い。花弁は白色、ピンク色、赤色、まれに帯黄色、咢片よりかなり長いか又は短く、ときに欠く。花弁の弁部(舷部)は倒卵形~へら形、先は鈍形、爪部は弁部から明瞭に分かれる。雄しべは6本、直立し、4強雄しべ。花糸は基部が広がらない。葯は卵形~長円形、先は鈍形。中央蜜腺は無く、側蜜腺が側雄しべの各側に1個ある。胚珠は子房に(12~)20~40個。果実は裂開性の短角果(silicle)、倒三角形~倒三角状倒心形、強く扁平で、狭い隔壁があり(angustiseptate)、無柄。バルブは紙質、脈が目立ち、強い竜骨があり、レプルム(replum:果実のバルブを分ける薄い隔壁)は円く、隔壁は完全。花柱は長さ1㎜未満で、先端のノッチから突き出ず又は突き出る。柱頭は頭状、全縁。種子は1列、翼は無く、長円形、丸みがある。種皮は網状、湿ると粘る。子葉は背位(incumbent)。
世界に約8種あり、ユーラシア、アフリカ、アメリカに分布する。起源は1種と考えられている。
【ナズナ属の種】
Capsella bursa-pastoris (L.) Medik. ユーラシア、アフリカ
Capsella draboides Korsh ウズベキスタン
Capsella × gracilis Gren. フランス、イタリア、スイス、アルジェリア、スワジランド、トルコ
Capsella grandiflora (Fauche & Chaub.) Boiss. ギリシャ、アルバニア、トルコ
Capsella lycia Stapf トルコ
Capsella mexicana Hemsl. メキシコ
Capsella orientalis Klokov ヨーロッパ、西アジア、中央アジア
Capsella puberula Rupr. ジョージア、アゼルバイジャン、アルメニア
Capsella rubella Reut. 地中海沿岸地域
Capsella tasmanica (Hook.) F.Muell タスマニア 絶滅
ナズナ属の主な種と園芸品種
1 Capsella bursa-pastoris (L.) Medik. ナズナ 薺synonym Capsella bursa-pastoris triangularis E.B.Almq.
ユーラシア、北アフリカ原産。中国名は荠 qi 。英名はshepherd's-purse 。別名はペンペングサ。日本には麦栽培とともに伝来し、史前帰化植物と考えられている。
2年草。高さ(2)10~50(70) ㎝。茎は直立する。根生葉はロゼットをつくり、長さ(0.5)1.5~10(15)㎝、幅0.2~2.5(5)㎝の惰円形~倒披針形、 羽状に裂ける。早春の頃は裂片が細く、裂片の基部に耳片(耳状の小裂片)があることが多い。茎葉は長さ1~5.5(8)㎝、幅1~15(20)㎜、 上部では裂けず、無柄、基部は矢じり形に茎を抱く。葉面には毛があり、小さな星状毛が多数混じる。萼片は長さ1.5~2㎜、幅 0.7~1㎜、縁が薄膜質、頂部は赤色を帯びることが多い。花は直径約4㎜の白色、十字形花。花弁は長さ (1.5)2~4(5)㎜、幅1~1.5㎜の倒卵形。雄しべ6個。雌しべ1個。果実(単角果)は長さ(3)4~9(10)㎜の倒三角形、上部が凹む。果柄は長さ(0.3)0.5~1.5(2)㎝。種子は褐色、長さ0.9~1.1㎜、幅0.4~0.6㎜。2n=32。花期は3~6月。
1-1 Capsella bursa-pastoris (L.) Medik. var. bursa-pastoris ナズナ 狭義
ユーラシア、北アフリカに分布。北半球などに広く帰化している。
わずかに低い、毛があるかまたはほとんど無毛。果実は長さ6~9㎜×幅4~9㎜、基部でほとんど空にならず、頂部でわずかに切れ込みがある。花柱は長さ0.2~0.5㎜。2n=32。
1-2 Capsella bursa-pastoris subsp. thracicus (Velen.) Stoj. & Stef.
synonym Capsella thracica Velen.
ブルガリア原産。
下部は柔らかく短い毛があり、上部は無毛。果実は長さ6~9㎜×幅約4㎜、基部は明らかに空になり、頂部は深く切り込まれる。花柱は長さ 0.5~1㎜。2n=32。
2 Capsella grandiflora (Fauche et Chaub) Boiss. オオバナナズナ 大花薺
ギリシャ、アルバニア、トルコ原産。英名はgrand shepherd's-purse。
ナズナと似ているが、他家受粉のため花は香りがよく、花弁は長さ4~5㎜、長さが無毛の萼片の長さの2.5~3倍。花期は4~6月。2n=16。
3 Capsella rubella Reuter ルベラナズナ
フランス、ポルトガル、スペイン、イタリア、アルバニア、ボスニアヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、マケドニア、モンテネグロ、セルビア、トルコなど地中海沿岸地域原産。英名はpink shepherd's-purse。
1年草。茎は高さ5~30㎝、直立する。根生葉はロゼット状で、開花期まで宿存し、葉柄があり、羽状中裂。茎葉は無柄、徐々に分裂が少なくなり、最上部の茎葉は全縁、線形。円錐花序は花時には散房花序状に束生し、果時には長くなる。萼片は通常、先端が赤みを帯び、無毛。花弁は長さ1.5~2㎜、萼片よりわずかに長く、白色または縁がピンク色。短角果は約・長さ6㎜x幅6㎜、長さと幅が同じで、側部の縁は真っすぐから凹状で、通常、明瞭な凹形。2n=16。花期は3~6月。
参考
1) Flora of ChinaCapsella
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=105575
2) Plants of the World Online | Kew ScienceCapsella
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331460-2
3)GRINCapsella
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=2054
4) Flora of North AmericaCapsella
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=105575
5) Flora VascularCapsella
https://www.floravascular.com/index.php?genero=Capsella
6) Flora Helvetica 2018Capsella grandiflora (Fauché & Chaub.) Boiss.
https://www.floravascular.com/index.php?genero=Capsella