マツヨイグサ 待宵草

mark

Flora of Mikawa

アカバナ科 Onagraceae マツヨイグサ属

中国名 待宵草 dai xiao cao
英 名 Chilean evening primrose, fragrant evening-primrose
学 名 Oenothera stricta Ledeb. ex Link
マツヨイグサ花
マツヨイグサ花横
マツヨイグサ花のしぼみかけ
マツヨイグサしぼみ
マツヨイグサの苞葉と果実
マツヨイグサの裂開した果実
マツヨイグサ
マツヨイグサ根生葉
マツヨイグサ葉表
マツヨイグサ葉裏
マツヨイグサ種子
花 期 4~5月
高 さ 25~100㎝
生活型 多年草
生育場所 海岸、空地
分 布 帰化種 南アメリカ原産
撮 影 蒲郡市竹島町  04.5.7
マツヨイグサは花が開くのは夕方から早朝で、昼間は閉じているため、月見草とか宵待草とも呼ばれる。マツヨイグサの仲間で最も早く渡来した。
 茎は直立し、赤味を帯びる。全体に毛が多い。根生葉は花期にもある。茎葉は互生し、長さ(5)6~10(13))㎝の狭い楕円状披針形、切れ込みがなく、縁に波状鋸歯があり、先が尖る。葉の色は濃いことが多く、白色の中央脈が目立つ。花は葉腋に単生し、直径3~4㎝の4弁花。花弁は長さ15~25㎜、黄色、普通、基部に赤い点があり、しぼむと赤色を帯びたオレンジ色になる。萼片は長さ14~20㎜。花托筒は長さ20~45㎜と長く、花柄のように見えるがその下位に子房がある。花托筒が長いのがこの属の特徴である。蒴果は長さ30~40㎜、幅3~4㎜、熟すと4裂し、裂片が反曲する。種子は長さ1.4~1.8㎜。2n=14。
 同じようにしぼむと赤色を帯び、花が小さいのはミナトマツヨイグサ。葉に切れ込みがあるのはコマツヨイグサ。花がしぼんでも赤色lを帯びないのはメマツヨイグサオオマツヨイグサヒナマツヨイグサなどである。

マツヨイグサ属

 family Onagraceae - genus Oenothera

 1年草、2年草、多年草、有茎又は無茎。直根又はひげ根たまに根茎を持ち、広がった側根からシュートを出す。葉は互生又は基部のロゼットにつき、しばしば、小さい植物体で欠く。葉身は全縁、歯状、羽状中裂。托葉は無い。花は完全、放射相称、上部の葉腋につき、又は頂部の葉のある穂状花序に多数つき、又は散房花序につく。開花は夕暮れ近く又は夜明け近く。花筒は普通、よく発達し、円筒形で口部がややフレアーになり、開花後はすぐに落ちる。花は4数性、放射相称。萼片は4個、緑色又は帯黄色、しばしば赤色又は紫色を帯び又は縞模様がある。花弁は4個、黄色、紫色、ピンク色、白色。雄しべ8個。葯は多方向。花粉は単集粒。子房は4室、胚珠は多数。柱頭は4個の線形に分裂し(X形)、全方向に受容可能で、早い段階から基部に環状の膜がつき、ときに不明瞭。果実は裂開性の蒴果(まれに非裂開性)、真っすぐ又は曲がり、円柱形又は4角(かど)又は翼があり、無柄たまに有柄又は基部が無性で柄状。種子は多数、1又は2(又は3)列につき、又は4室それぞれに房状につく。2n=14, 28, 42, 56。
 世界に約120(140ともいわれる)種がある。北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカの温帯~亜熱帯のしばしば攪乱地域に見られ、北アメリカ南西部が分布の中心に当たる。

マツヨイグサ属の節 Section

1 Sect. Anogra 北アメリカ西部に分布
 Oenothera arizonica , Oenothera californica , Oenothera deltoides , Oenothera engelmannii , Oenothera neomexicana , Oenothera nuttallii , Oenothera pallida , Oenothera wigginsii
2 Sect. Calylophus 北アメリカ・グレートプレーンズ、メキシコ南部~中部
2-1 subs. Calylophus
  Oenothera berlandieri , Oenothera serrulata
2-2 subs. Salpingia
  Oenothera hartwegii , Oenothera lavandulifolia , Oenothera toumeyi , Oenothera tubicula
3 sect. Contortae カリフォルニア州、ネバダ州西部
 Oenothera xylocarpa
4 sect. Eremia 北アメリカ西部
 Oenothera primiveris
5 sect. Gaura ほとんどが旧ヤマモモソウ属(Gaura) 北アメリカ~メキシコ
5-1 subsect. Campogaura- Oenothera boquillensis , Oenothera suffrutescens
5-2 subsect. Gaura - Oenothera coloradensis , Oenothera demareei , Oenothera filiformis , Oenothera gaura , Oenothera hexandra , Oenothera lindheimeri(ハクチョウソウ) , Oenothera patriciae , Oenothera simulans , Oenothera suffulta , Oenothera triangulata
5-3 subsect. Gauridium - Oenothera anomala
5-4 subsect. Schizocarya - Oenothera curtiflora
5-5 subsect. Stenosiphon - Oenothera glaucifolia
5-6 subsect. Stipogaura - Oenothera calcicola , Oenothera cinerea , Oenothera filipes , Oenothera mckelveyae , Oenothera sinuosa
5-7 subsect. Xenogaura - Oenothera xenogaura
5-8 subsect. Xerogaura -Oenothera arida

6 sect. Gauropsis USA南部
 Oenothera canescens
7 sect. Hartmannia USA、メキシコ、南アメリカ北部
 Oenothera deserticola , Oenothera platanorum , Oenothera rosea(ユウゲショウ) , Oenothera speciosa(ヒルザキツキミソウ) , Oenothera texensis
8 sect. Kleinia USA
 Oenothera albicaul , Oenothera coronopifolia
9 sect. Kneiffia USA東部
Oenothera fruticosa(キダチマツヨイグサ) , Oenothera perennis(ヒナマツヨイグサ) , Oenothera pilosella , Oenothera riparia , Oenothera spachiana
10 sect. Lavauxia 北アメリカ~南アメリカ
10-1 subsect. Australis
  Oenothera acaulis( チャボツキミソウ) , Oenothera centaurifolia
10-2 subsect. Lavauxia
  Oenothera acutissima , Oenothera flava , Oenothera triloba
11 sect. Leucocoryne USA(テキサス州)、メキシコ、グアテマラ、ニカラグア、コスタリカ
 Oenothera dissecta , Oenothera kunthiana , Oenothera luciae-julianiae , Oenothera orizabae , Oenothera tetraptera(ツキミソウ)
12 sect. Megapterium  北アメリカ南中央部
 Oenothera brachycarpa , Oenothera howardii , Oenothera macrocarp (ミズーリマツヨイグサ)
13 sect. Oenothera カナダ~パナマ
13-1 subsect. Candela - Oenothera clelandii , Oenothera curtissii , Oenothera heterophylla , Oenothera rhombipetala
13-2 subsect. Emersonia - Oenothera macrosceles , Oenothera maysillesii , Oenothera organensis , Oenothera stubbei
13-3 subsect. Munzia
[1] series Allochroa
 Oenothera affinis , Oenothera arequipensis , Oenothera bahia-blancae , Oenothera catharinensis , Oenothera coquimbensis , Oenothera featherstonei , Oenothera indecora(ミナトマツヨイグサ) , Oenothera mendocinensis , Oenothera mollissima , Oenothera montevidensis , Oenothera odorata , Oenothera parodiana, Oenothera picensis , Oenothera ravenii , Oenothera stricta(マツヨイグサ)
[2] series Clelandia
 Oenothera elongata , Oenothera punae , Oenothera siambonensis , Oenothera villaricae
[3] series Renneria
 Oenothera longituba , Oenothera nana , Oenothera pedunculifolia , Oenothera peruana , Oenothera sandiana , Oenothera santarii , Oenothera scabra , Oenothera tafiensis , Oenothera tarijensis , Oenothera versicolor
13-4 subsect. Nutantigemma - Oenothera breedlovei , Oenothera pennellii , Oenothera pubescens , Oenothera tamrae
13-5 subsect. Oenothera - Oenothera argillicola , Oenothera biennis(メマツヨイグサ) , Oenothera elata , Oenothera glazioviana(オオマツヨイグサ) , Oenothera grandiflora , Oenothera jamesii , Oenothera longissima ,Oenothera nutans , Oenothera oakesiana , Oenothera parviflora(アレチマツヨイグサ) , Oenothera villosa(ノハラマツヨイグサ) ,Oenothera wolfii
13-6 subsect. Raimannia - Oenothera drummondii , Oenothera falfurriae , Oenothera grandis(オオバナコマツヨイグサ) , Oenothera humifusa , Oenothera laciniata(コマツヨイグサ) , Oenothera mexicana
14 sect. Pachylophus   北アメリカ西部
 Oenothera brandegeei , Oenothera cavernae , Oenothera cespitosa , Oenothera harringtoni , Oenothera psammophila
15 sect. Paradoxus  チワワ砂漠(アリゾナ州、テキサス州)
 Oenothera havardii
16 subsect. Peniophyllum USA南東部に1種 - Oenothera linifolia
    sect. Paradoxus subsect. Peniophyllumとする見解もある。
17 sect. Ravenia   メキシコ 
 Oenothera muelleri , Oenothera riskindii , Oenothera tubifera
18 sect. Xanthocoryne  メキシコ中部~南アメリカ北部
 Oenothera epilobiifolia , Oenothera multicaulis , Oenothera seifrizii

マツヨイグサ属の主な種と園芸品種

1 Oenothera acaulis Cav. チャボツキミソウ 矮鶏月見草

  synonym Oenothera acaulis var. grandiflora (Ruiz & Pav.) Kuntze

  synonym Oenothera acaulis var. major Ser.
  synonym Oenothera grandiflora Ruiz & Pav.
 チリ原産。英名はDandelion-leaved evening primrose。オーストラリアに帰化し、海岸の崖で記録されている。
 多年草。茎は下向きで、長さ約40㎝、密に短い毛がある。根生葉はロゼット状、倒披針形、長さ5~20㎝×幅6~60㎜、羽状中裂~頭大羽状分裂(先端が最も広く、タンポポの葉に似た後方に向いた裂片がある)、葉柄がある。茎葉は根生葉に似ているが、一般に小さい。花は単生で、葉腋に付き、放射相称、日没近くに開き、朝にはしぼむ。花托筒は長さ10~11㎜、円筒形~棍棒形。萼片は線状披針形、長さ25~30㎜、しばしば完全に分離せず、片側に曲がる。花弁は長さ15~35㎜、白色で、しだいにピンク色に色あせる。蒴果は倒卵形、長さ約10~20㎜×幅約7㎜、細かい開出する毛で覆われ、4翼があり、翼は幅約2~7㎜。花期は10~11月。
品種) 'Aurea'黄花 , 'Lutea'

2 Oenothera biennis L. メマツヨイグサ 雌待宵草
 北アメリカ(カナダ、U.S.A.)原産。中国名は月见草 yue jian cao。英名はcommon evening primrose , king's cure-all。マツヨイグサの仲間は月見草とか宵待草とも呼ばれている。花が開くのは夕方から早朝で、昼間は閉じている。マツヨイグサの仲間では最も多く見られ、花の時期も遅く、9月まで見られる。
 多年草、高さ30~200㎝。茎は直立し、赤色を帯び、斜上した軟毛が長短多数あり、太い毛の基部には凸点がある。葉は長さ5~20㎝の倒披針形~惰円形、先は尖り、切れ込みはない。葉縁は波打たず、波状の鋸歯がある。葉の中央脈は赤色を帯びることが多い。花の直径は約3㎝。花弁は4個、長さ10~25(30)㎜、黄色。 花はしぼんでも赤くならない。萼片は長さ 12~20(28)㎜、下方に反り返り、緑色~黄色を帯びる。花托筒(hypanthium) は長く (20)25~40㎜、花柄のように見え、長いのがこの属の特徴である。雄しべ8個。雌しべ1個、柱頭は4分岐する。 蒴果は長さ20~40 ㎜、幅 4~6㎜、種子が頭を横向きに2~4列/1分果、密に充填されている。種子は長さ1~2㎜。2n=14。花期は6~9月。

3 Oenothera capillifolia Scheele オエノテラ・カピリフォリア
 USA、メキシコ原産。
 多年草(短命またはときに亜低木)または1年草、無毛または小直剛毛(strigillose)がある。丈夫な直根がある。茎は1~多数、弱く傾伏~斜上または直立し、不分枝~中程度に分枝し、長さ(10~)25~80㎝。葉は長さ1~9㎝×幅(0.1~)0.3~1㎝、ときに花つかない枝腋に長さ2㎝までの小葉が束生する。葉柄は長さ0~0.6㎝、葉身は線形~狭披針形または倒披針形、縦に折りたたまれることが多く、通常、上部ではあまり小さくならず、最下部の葉はときにへら形、基部は漸尖し、縁はほぼ全縁または小鋸歯状または小棘鋸歯縁、先は鋭形。花は日の出に開花する。花芽の自由先端は長さ0~4㎜。花筒は長さ5~20㎜。萼片は長さ4~12㎜、中肋は竜骨になる。花弁は黄色で、橙色~帯紫色に退色し、長さ6~25㎜。萼片に対生する花糸は長さ2~8㎜。花弁に対生する花糸は長さ1~4㎜。葯は2~7㎜、花粉の90~100%が稔性。花柱は長さ9~30㎜。柱頭はときに青黒色になり、円盤形~四稜形、葯を超えて突出する。蒴果は長さ10~35㎜×幅1~2㎜、硬く、その長さの半分で裂開し、しばしば遅れて全長にわたって裂開する。種子は倒卵形、長さ1~1.8㎜、角は鋭角で、先は切形。
3-1 Oenothera capillifolia subsp. berlandieri (Spach) W.L.Wagner & Hoch
 カンザス州、オクラホマ州、テキサス州、メキシコに分布。英名はBerlandier's evening-primrose , square-bud Primrose。標高0~1200mの草地、平原、低地、砂質、砂利質、石灰岩質の土壌、比較的乾燥した地域に生える。
 多年草。茎は数本~多数、傾伏~斜上、中程度に分枝し、長さ(10~)25~40㎝。葉は長さ1~4㎝×幅(0.1~)0.3~0.6㎝、葉縁はほぼ全縁または鋸歯状で、とき弱く波状になる。花芽の自由先端は長さ0~2㎜。萼片はしばしば中肋がわずかに竜骨になる。2n=14。花期は3~9月。
3-2 Oenothera capillifolia subsp. capillifolia
  synonym Oenothera serrulata subsp. pinifolia (Engelm. ex Gray) Munz
  synonym Oenothera berlandieri subsp. pinifolia
 ルイジアナ州、ミシシッピ州、オクラホマ州、テキサス州に分布。標高0~900mの草原、オークのサバンナの開けた場所、岩、粘土、砂質の土壌、しばしば石灰質に生える。
 1年草または短命の多年草。茎は1~数本、不分枝またはまばらに分枝し、斜上~直立し、高さ30~80㎝。葉は長さ2.5~9㎝×幅0.2~1㎝、葉縁は離れた小鋸歯~小棘状鋸歯がある。花芽の自由先端は長さ0.5~4㎜。萼片には目立つ竜骨状の中肋がある。2n=14。花期は3~9月。
品種) 'Southern Belle

4 Oenothera curtiflora W.L.Wagner et Hoch イヌヤマモモソウ 犬山桃草

  synonym Gaura parviflora Douglas ex Lehm.
 USA,メキシコ原産。英名はclockweed。標高10~2800mの岩の多い草原の斜面、森林、小川沿い、道端、攪乱された地域に生える。
 1年草、小直剛毛(strigillose)があり、腺微軟毛があり、長い絨毛があり、太い直根からなり、直径2~4㎝。茎は直立し、分枝しないか、上部で多数分枝し、長さ(20~)30~200(~300)㎝。葉は根生葉のロゼットと茎葉、根生葉は長さ4~15㎝×幅1.5~3㎝、葉柄は長さ0~1.8㎝、葉身は広倒披針形、縁は波状の歯~歯がある。茎葉は長さ2~13㎝×幅0.5~5㎝、葉柄は長さ0~2㎝、葉身は狭楕円形~狭卵形、縁は波状の歯~歯がある。花序は比較的長く、密。花は4数性で、ほぼ放射相称、日没近くに開花する。花筒は長さ1.5~5㎜。萼片は長さ2~3.5㎜。花弁は白色で、淡いピンクから暗ピンクに退色し、わずかに不均等、長円状倒卵形~楕円状倒披針形、長さ1.5~3㎜、急に爪部になる。花糸は長さ1.5~3㎜。葯は長さ0.5~1㎜。花粉の85~100%が稔性。花柱は長さ3~9㎜、花柱は花時に葯に囲まれる。蒴果は紡錘形、円柱形、上部の1/3に弱く角(かど)があり、下部では角が広く丸みを帯び、長さ5~11㎜×幅1.5~3㎜、基部に向かって急に細くなり、無柄。種子は3または4個、赤褐色、長さ2~3㎜×幅1~1.5㎜。2n=14。花期は(2~)4~10月。

5 Oenothera fruticosa L. キダチマツヨイグサ 木立待宵草
 USA原産。英名はsundrops , southern sundrops。標高0~500(~1100)mの開けた場所、牧草地、川岸、森林の端、開けた森林、淡水または塩水湿地の縁、安定した砂丘、道端、部分的に撹乱された場所に生える。
 多年草、中程度~密に小直剛毛(strigillose)があり、および/またはときに腺微軟毛または絨毛がある。ひげ根があり、わずかに肉質の根茎または根茎がある。茎は直立または傾伏し、分枝または不分枝、長さ(10~)30~80㎝。葉はロゼットの根生葉および茎葉、ロゼットは通常開花までに枯れ、ときに表面は粉白色になり、特に下面が粉白色になる。根生は長さ3~10㎝×幅0.5~2㎝、葉柄は長さ1~4㎝、葉身は倒披針形~倒卵形、縁はほぼ全縁またはわずかに鋸歯状。茎葉は長さ2~6(~8) × 0.1~1(~1.7)cm、葉柄は 0.2~2(~4)cm、葉身は線形、披針形~倒披針形、狭楕円形または狭卵形、縁はほぼ全縁またはわずかに離れた鋸歯状。花序は通常直立し、まれに垂れ下がり、最遠位の数節の腋に花がつく。花は日の出近くに開花し、花芽の自由先端は長さ0.5~1(~6)㎜、輻合し、ときに開出する。花筒は長さ5~15㎜。萼片は長さ5~20㎜。花弁は淡黄色~鮮黄色、淡ピンク色に退色し、オレンジがかったピンク色、または黄色、長さ(8~)15~25㎜。花糸は長さ5~15㎜。葯は長さ4~7㎜。花粉の85~100%が稔性。花柱は長さ12~20㎜、花柱は開花時に葯より突き出る。蒴果は棍棒形~長円状棍形、先端から中央部にかけて最も広く、角張り、まれに狭い翼状があり、長さ(5~)10~17(~20)㎜×幅(2~)3~4㎜、柄は長さ3~10㎜、無柄。種子は約・長さ1㎜×幅0.5㎜。2n=28, 42。花期は4~8(~9)月。
品種)  'African Sun' , 'Apricot Delight' , 'Best Red' , 'Blood Orange' , 'Camel' (v) , 'Cuthbertson , 'Fyrverkeri' , 'Hoheslicht' , 'Lady Brookeborough' , 'Michelle PlOeger', 'Silberblatt' (v) , 'Ung Oen01' (PBR) , 'Youngii' , 'W. Cuthbertson' , 'Yellow River'

6 Oenothera grandiflora L'Hér. オエノテラ・グランディフロラ
  synonym Oenothera lamarckiana Ser.
 USA東南部原産。英名はlarge flower evening primrose。標高20~600mに散在し、白亜質の断崖、石灰岩上の緩い砂、小川沿い、湿地、溝、道端に生える。
 2年草、肉眼では無毛に見えることが多く、通常疎~中程度に条毛と絨毛があり、花序の下部に膿疱をもつ半透明の毛がある。膿疱は赤くない(生標本の場合)。花序は無毛、腺微軟毛または小直剛毛(strigillose)があり、腺微軟毛がある。茎は直立し、下部は赤く、上部は通常緑色、まれに全体が赤色になり、分枝しないか、またはロゼットから斜めに枝が出て、主茎から二次枝が出て、長さ100~300(~400)㎝。葉は根生のロゼット葉と茎葉。根生葉は長さ18~32㎝×幅(2~)3~6.5㎝、茎葉は長さ6~20㎝×幅1.5~6.5㎝。葉身は柔らかく薄く、明るい緑色で、通常平らで、まれに波打ち、狭倒披針形~狭倒卵形または狭楕円形~楕円形、ときに上部では狭卵形になり、縁は鈍い歯状またはほぼ全縁、歯は広く間隔を開け、ときに下部では波状の歯がありまたは浅裂する。苞は通常早落性。花序は直立し、しばしば主枝のすぐ下に二次枝または三次枝がある。花は日没近くに開花し、蕾は直立し、直径 5~9㎜、頂部の自由先端は直立し、長さ2~9㎜。花筒は長さ35~55㎜。萼片は黄緑色または帯赤色で、長さ22~46㎜。花弁は黄色~淡黄色、淡黄白色に褪せ、非常に広い倒心形または倒卵形、長さ(25~)30~45㎜。花糸は長さ18~27㎜。葯は長さ10~15㎜。花粉の90~100% が稔性。花柱は長さ57~90㎜、柱頭は開花時に葯より上に突き出す。蒴果は直立またはわずかに広がり、乾くと鈍い緑色、狭披針形~狭卵形、長さ15~35㎜×幅3.5~5.5㎜、バルブの自由先端は長さ0.5~2.5㎜。種子は長さ1~1.7㎜×幅0.6~1.2㎜。2n=14。花期は7~8(~9)月。
品種) 'Black Magic'

7 Oenothera glazioviana Micheli オオマツヨイグサ 大待宵草
  synonym Oenothera lamarckiana auct. non Ser.
  synonym Oenothera erythrosepala (Borbás) Borbás
 ヨーロッパ原産。中国名は黄花月见草 huang hua yue jian cao。英名はlarge-flowered evening-primrose , red-sepaled evening-primrose。道端、海岸、河原に生える。ヨーロッパなど世界で広く栽培されている。日本には明治の初めに観賞用として導入され、各地に帰化したものである。三河では海岸に近いところでなく、山間部に近いところで稀に見かけられる。
 2年草、高さ80~150㎝。茎は直立し、開出した剛毛があり、剛毛の基部には暗赤色の凸点がある。根生葉は倒卵形、鈍頭。茎葉は長さ6~15㎝、幅約3㎝の長楕円形、先が尖り、縁が波打つ。花は黄色で直径約7(4~8)㎝と大きく、しぼんでも赤くならない。蒴果は長さ約2㎝。2n=14。花期は7~9月。
品種)  'Black Magic' , 'Tina James'

8 Oenothera grandis (Britton) Smyth オオバナコマツヨイグサ 大花小待宵草

  synonym Oenothera laciniata Hill var. grandiflora (S.Watson) B.L.Rob.

 USA、メキシコ原産。英名はshowy evening-primrose, largeflower eveningprimrose, showy eveningprimrose。標高0~1500(~2200)mの開けた砂地に生える。
 1年草、小直剛毛(strigillose)があり、でまばらに絨毛があり、また先端に腺毛がある。茎は直立または斜上し、しばしば斜上する側枝を持ち、長さ15~60(~100)cm。葉は根生葉のロゼットおよび茎葉、根生葉は長さ5~13㎝×幅1~3㎝。茎葉は長さ3~10㎝×幅1.5~3.5㎝、葉身は緑色で狭倒披針形~狭楕円形、縁は浅裂または歯があり、裂片はしばしば歯状になる。苞は広がり、平ら。花は日没近くに1日に1個~数個開花する。花芽は直立し、自由先端は頂生し、直立または角(つの)状、長さ1.5~5㎜。花筒は長さ25~45㎜。萼片は長さ15~30㎜。花弁は黄色、極広い倒卵形または浅い倒心形、長さ25~40㎜。花糸は長さ12~22㎜、葯は長さ4~11㎜。花粉の85~100%が稔性。花柱は長さ40~75㎜、花柱は花時に葯より高く突出する。蒴果は円筒形、ときに先端に向かってわずかに大きくなり、長さ25~50㎜×幅2~3㎜。種子は広楕円形~ほぼ球形、長さ0.8~1.5㎜×幅0.5~0.9㎜。2n=14。花期は3~9月。

9 Oenothera indecora Cambess. ミナトマツヨイグサ 港待宵草
  synonym Oenothera humifusa auct. non Nutt.
 南アメリカ(ブラジル、アルゼンチン)原産。英名はsmall-flower evening-primrose。別名はハマベマツヨイグサ。アフリカ、オーストラリア、ヨーロッパへの帰化が知られている。三河の海岸近くで見られる黄色い花のマツヨイグサの仲間のうち花が最も小さい。葉も短い割りに、草丈が高いので、全体に細い感じがする。海岸に近い道路の中央分離帯などでよく見られる。花の時期はマツヨイグサと同時期の春で、他のマツヨイグサの仲間より花が早く終わってしまう。  1年草、高さ15~60cm、直立し、基部のロゼットは花期にはない。根生葉は5~7㎝、幅5~13㎜の狭倒披針形、無柄。茎葉は長さ1.5~5㎝、幅3~10㎜の狭惰円形~披針形、ほぼ無柄。縁は不規則に歯があり、波打つ。花托筒(下位の子房と萼片との間の柄のように見える部分)は長さ5~15㎜。萼片は長さ約10㎜。花弁は長さ6~10㎜、黄色、時間が経つと赤色を帯びる。果実は長さ20~30㎜、幅2~3㎜の円筒形、軟毛があり、4列に種子が入り、熟すと先が4裂する。種子は長さ1.2~1.5㎜の不定形。花期は4~5月。

10 Oenothera hartwegii Torr. オエノテラ・ハルトウェギー
 USA(アリゾナ州、コロラド州、カンザス州、ニューメキシコ州、オクラホマ州、テキサス州)、メキシコ原産。英名はHartweg's sundrops, western sundrops。岩や砂利の多い土壌、時には石灰岩、草原、針葉樹林に生える。
 多年草ときに亜低木、小直軟毛~腺微軟毛があり~無毛~微細粗毛または短細柔毛がある。太い直根がある。茎は1~多数、直立~斜上、不分枝~密に分枝し、長さ4~60㎝。葉は長さ0.3~6.5㎝×幅0.04~1.2㎝で、ときに花のつかない枝腋に長さ0.1~1.5㎝の小葉が束生する。葉柄は長さ0~0.2㎝。葉身は楕円形、披針形、線形、糸状~卵形または倒披針形、通常上部でもあまり小さくならず、下部の葉はときに倒卵形~へら形、基部は漸尖形~鈍形、切形またはほぼ心形で、ときに抱茎、縁は全縁または鋸歯縁、しばしば波打ち、先は鋭形。花は通常茎ごとにに1個つき、午後または日没近くに1日に1回開く。花芽の自由先端は長さ0.5~6㎜、花筒は長さ16~50(~60)㎜、先端1/2またはそれ以下は漏斗形。萼片は長さ7~28㎜。花弁は黄色で、淡いピンク色または淡い紫色に変色し、長さ10~35㎜。花糸は長さ4~13㎜。葯は長さ5~13㎜。花粉は85~100%が稔性。花柱は長さ25~65(~75)㎜。柱頭は黄色で四稜形、通常葯より突出する。蒴果は長さ6~40㎜×幅2~4㎜、硬く、すぐに全長にわたって裂開する。種子は倒卵形、長さ1~2.5㎜。2n=14, 28。花期は2~
品種) 'High Plains Yellow'

11 Oenothera humifusa Nutt. オエノテラ・フミフサ
 USA東部原産。英名はseabeach evening primrose。標高0~10mの砂丘、大西洋岸沿いまたは近くの開けた砂地に生える。
 1年草または短命の多年草、密に小直剛毛(strigillose)があり、ときに絨毛もあり、また上部に腺微軟毛がある。茎は直立または傾伏し、よく分枝し、長さ10~50(~90)cm。葉はロゼット状の根生葉と茎葉。根生葉は長さ4~8 ×幅0.7~1cm、茎葉は長さ1~7 ×幅0.3~1.5cm。葉身は通常灰緑色で、狭長円形~狭楕円形または狭倒卵形、縁は離れた浅い歯状~ほぼ全縁。苞は広がり、平ら。花は通常日没近くに1日に1回開花する。蕾は直立し、自由先端は直立して密着またはわずかに広がり、長さ0.5~2㎜。花筒は長さ15~35㎜。萼片は長さ3~11mm。花弁は黄色で、非常に広い倒卵形または倒心形、長さ4.5~16㎜。花糸は長さ4~11㎜、葯は長さ2~5.5㎜。花粉の約50%が稔性。花柱は長さ23~45㎜、開花時に柱頭が葯に囲まれる。蒴果は円筒形、ときに先に向かってわずかに大きくなり、長さ15~45㎜×幅2~3㎜。種子は通常楕円形~広楕円形、まれにほぼ球形、長さ1~2㎜×幅0.5~0.9㎜。2n=14。花期は4~11月。

12 Oenothera jamesii Torr. et A.Gray オニマツヨイグサ 鬼待宵草
  synonym Oenothera grandiflora auct. non L'Hér. ex Aiton
  synonym Onagra jamesii (Torrey & A. Gray) Small

  synonym Oenothera communis var. jamesii (Torrey & A. Gray) H. Léveillé

 USA(カンザス州、オクラホマ州、テキサス州)、メキシコ原産。英名はtrumpet evening-primrose。標高(30~)300~1800mの砂地の川岸、溝、湿地、耕作地、荒れた道端に生える。
 2年草または越年草(winter-annual)、通常優勢な密に小直剛毛(strigillose)があり、ときに絨毛があり、伏毛が散在し、まれに少数の膿疱性毛(pustulate hairs)があり、花序にはときに腺毛がある。茎は直立し、通常緑色だが、まれに赤みがかる。分岐しないか、ロゼットから斜めに枝を出し、二次枝は主茎から生じ、長さ 60~180㎝。葉はロゼットの根生葉と茎葉。根生葉は長さ10~30㎝×幅2.5~5㎝。茎葉は長さ4~20㎝×幅1~5㎝。葉身は鈍い緑色、平ら、狭倒披針形~倒披針形~狭楕円形または狭披針形、縁は鈍い歯状またはほぼ全縁、歯は広く間隔が離れる。苞は宿存性。花序は直立し、通常分枝せず、まれに少数の側枝を生じる。花は日没近くに開き、花芽は直立し、直径7~12㎜、頂部の自由な先端は直立し、長さ0.5~3㎜。花筒は開花後も子房上に宿存し、長さ(60~)80~120(~160)㎜。萼片は黄緑色で、全体が赤縞から赤、長さ30~55㎜。花弁は黄色で、オレンジ色または淡黄色に退色し、非常に広い倒心形、長さ40~50㎜。花糸は長さ23~30㎜。葯は長さ12~22㎜、花粉は90~100%稔性。花柱は長さ90~170(~200)㎜、柱頭は開花時に葯より突出する。蒴果は直立またはわずかに広がり、乾燥すると鈍い緑色または灰緑色、狭い披針形、長さ20~50㎜×幅6~12㎜、バルブの自由先端は長さ2.5~5mm。種子は長さ1~1.2㎜×幅0.7~1.3㎜。2n=14。花期は7~9(~10)月。

13 Oenothera kunthiana (Spach) Munz オエノテラ・クンティアナbr>  USA(テキサス)、メキシコ、コスタリカ、ドミニカ共和国、グアテマラ、ニカラグア原産。英名はKunth's Evening-primrose。標高10~1300[~2000]mの沖積平地、開けた場所、砂質土、雑草が生い茂った場所に生える。
 1年草、小直剛毛(strigillose)と粗毛もあり、細い直根がある。茎は長さ5~40㎝。葉は長さ1~6㎝×幅0.3~3㎝、葉柄は長さ0.1~1.1㎝。葉身は普通披針形~倒披針形ときに楕円形で、縁は弱い鋸歯~波状羽状中裂する。花は日没近くに1日に1~3個開花する。蕾の自由先端は長さ0~0.5㎜、花筒は長さ5~31㎜。萼片は長さ10~27㎜。花弁は白色、ピンク色に退色し、長さ8~25㎜。花糸は長さ6~12㎜。葯は長さ3~5㎜。花粉の35~65%が稔性。花柱は長さ12~30㎜、開花時に柱頭は葯に囲まれる。蒴果は広棍棒形または倒卵形、長さ7~31㎜×幅3~5㎜、翼があり、翼は長さ0.5~1.5㎜、バルブの表面には目立つ中肋があり、基部の柄は長さ3~17㎜、果柄は無い。種子は狭倒卵形、長さ0.9~1.2㎜×幅0.4~0.5㎜。2n=14。花期は2~5月。
品種) 'Glowing Magenta'

14 Oenothera laciniata Hill コマツヨイグサ 小待宵草
 北アメリカ原産。中国名は裂叶月见草 lie ye yue jian cao。英名はcutleaf evening primrose。小形で、普通に見られ、茎が地を這い、草高が低いのがコマツヨイグサで、世界中に広く帰化している。
 多年草、高さ5~50㎝。茎は斜上又は地を這い、毛が密生する。根生葉はへら形、葉柄がある。茎葉は長さ2~10㎝の狭倒披針形~長楕円形、羽状に浅裂~中裂するのが普通、全縁のものも見られる。花は葉脇に単生し、淡黄色、直径1~2.5(4)㎝、しぼむとやや赤色を帯びる。花弁、萼片とも4個。花弁は長さ5~22㎜。萼片は長さ5~15㎜、開花すると下向きに垂れ下がる。花托筒(hypanthium)は長い円柱状で長さ12~35㎜、花柄のように見えるが、下位に子房がある。蒴果は長さ20~50㎜、幅2~4㎜の円柱状、4分果、上向きの短毛があり、熟すと先が4裂し、種子が落ちる。種子は長さ約1.4(1.0~1.8)㎜。2n=14。花期は5~10月。

14-1 Oenothera laciniata Hill f. integrifolia Jansen et Kloos マルバコマツヨイグサ 


15 Oenothera lindheimeri (Engelm. et A.Gray) W.L.Wagner et Hoch ハクチョウソウ 白蝶草

  synonym Gaura lindheimeri Engelm. et A.Gray
 北アメリカ(テキサス州、ルイジアナ州)原産。中国名は山桃草 shan tao cao。英名はLindheimer's beeblossom , Lindheimer's gaura , white gaura , butterfly gaura , Lindheimer's clockweed , Indian feather。別名はガウラ、ヤマモモソウ。オーストラリアなどで野生化し、日本でも栽培種が逸出している。学名は以前はヤマモモソウ属(ガウラ属の)Gaura lindheimeriとされていた。現在はマツヨイグサ属の中のgenus Oenothera sect. Gaura に入れられている。和名はヤマモモソウであるが、普通、ハクチョウソウと呼ばれる。日本へは明治時代に渡来し、観賞用に栽培されている。現在では花がピンク色や濃い縁取りなどの園芸品種が多数あり、葉に斑入りのものもある。
 多年草、根茎があり、高さ50~150㎝、茎は短毛があり、直立し、多数、分枝する。葉は無柄、しばしば基部でロゼット状になり、茎葉は互生する。葉身は細かい毛があり、披針形、長さ1~9㎝、幅1~13㎜、縁に粗い鋸歯がある。花序は穂状花序又は総状花序、頂生及び腋生、長さ10~80㎝。花は直径2~3㎝。花弁は長さ10~15㎜、4個、上側に1列に並び、白色、古くなると、ピンク色になる。雄しべは長く、8個、花糸は毛状。葯は赤褐色。雌しべは1個、雄しべより長く、柱頭は4裂。果実は非裂開の小堅果状、断面が四角の紡錘形、長さ7~8㎜。種子は赤褐色。花期は5~9月。果期は秋。
品種)  Ballerina™ Blush , Ballerina™ Rose , Bantam® Pink , Bantam® Red , Bantam® White , Belleza™ Dark Pink , Ballerina™ White , Belleza™ Early Pink , Belleza™ White , 'Bijou Butterflies' , 'Blaze' , 'Blushing Butterflies' , 'Corrie's Gold' , 'Crimson Butterflies' , 'Cherry Brandy' , 'Dauphine' , 'Freefolk Rosy' , Gaudi™ Pink , Gaudi™ Red , Gaudi™ Rose , Geyser Pink , Geyser™ White , 'Indian Feather' , KaraleeR Petite Pink , Karalee White , 'Light Pink' , 'Lillipop Blush' , 'Little Janie' , 'My Melody' , 'Passionate Blush' , 'Passionate Pink' , 'Passionate Rainbow' , 'Passionate Rainbow Petite' , 'Perky Pink' , 'Pink Cloud' , Pink Fountain™ , 'Pink Lady' , 'Rosy Jane' , 'Siskiyou Pink' , Snow Fountain™, 'So White' , 'Sparkle White' , Stratosphere™ Pink Picotee , Stratosphere™ White , 'Summer Emotions' , 'Sunny Butterflies' , 'The Bride' , White Fountain™ , 'Whiskers Deep Rose'

16 Oenothera macrocarpa Nutt. ミズーリマツヨイグサ ミズーリ待宵草

  synonym Oenothera missourensis Sims var. oklahomensis (Norton) Munz

  synonym Oenothera missourensis Sims

  synonym Oenothera macrocarpa Nutt. subsp. oklahomensis (Norton) W.L.Wagner

 USA(アーカンソー州、イリノイ州、カンザス州、ミズーリ州、ネブラスカ州、オクラホマ州、テネシー州、テキサス州)、メキシコ原産。英名はMissouri evening primrose。
 草本は茎があり、小直剛毛(strigillose)があるかまたは無毛、ときに上部に腺微軟毛がある。太い主根をもち、ときに側根をもち、不定芽を出す。茎は中程度に葉があり、長さ(1~)4~40(~60)㎝。葉は茎状で、長さ(2.8~)3.7~12.5(~17)㎝×幅(0.1~)0.4~3(~4.5)㎝、葉柄は長さ(0.4~)1~4(~6)㎝、葉身は線形、披針状楕円形、楕円形~倒披針形またはほぼ円形、縁は全縁または明瞭または不明瞭な小歯状または小鋸歯状、ときに波状、先は通常鋭形、ときに鈍角または微凹形(subsp. incana)。花は通常1~2個、稀にそれ以上、日没近くに1日に1回開花し、翌朝しぼむが、ときには(subsp. macrocarpaおよびoklahomensis)2日間咲き、香りは弱い。花芽は不等な自由先端を持ち、長さ1~11(~15)㎜。花筒は長さ(21~)35~140(~160)㎜。萼片は長さ(20~)25~65(~75)㎜。花弁は明るい黄色、しぼむと橙色、赤橙色またはほとんど変化せず、倒卵形~ごく広い倒卵形、長さ(17~)25~65(~68)㎜、通常先端に切れ込みおよび/または歯があり、縁はときに不規則に切れ込む。花糸は長さ13~40(~44)㎜、葯は長さ10~24(~25)㎜。花柱は長さ(45~)55~192㎜、柱頭は開花時に葯より上に突出する。蒴果は古くなると紙質になり、狭楕円形~披針形、ときにねじれ(subsp. fremontii)、翼があり、翼の幅は(2~)10~28(~34)㎜、果体は長さ(13~)25~70(~115)㎜×幅2~9mm、裂開部は長さの1/4~1/3、小花柄は長さ1~12(~25)㎜。種子は多数、まれに8個程度で、室ごとに1列に並び、倒卵形、長さ(2~)3~5㎜×幅1~2.3㎜。
品種) 'Comanche Campfire' , 'Dwarf Silver' , 'Greencourt Lemon' , Yellow Queen'
 5亜種がある。

16-1 Oenothera macrocarpa subsp. fremontii (S.Watson) W.L.Wagner

 カンザス州、ネブラスカ州に分布。標高400~900mの岩の多い丘陵、断崖、荒地のきめの細かい砂岩、頁岩、白亜質岩からなる岩の多い土壌に生える。
 草本は密に小直剛毛(strigillose)がある。茎は多数あり、多数の短い二次枝を持ち、長さ3~30㎝。葉は灰色、長さ(2.8~)3.7~11㎝×幅0.1~0.6(~1.5)㎝。葉身は線形~狭楕円形、狭楕円状披針形または狭倒披針形、縁は平らで全縁または不明瞭な小歯があり、先は鋭形。花芽の自由先端は不等、長さ1~2(~5)㎜。花筒は長さ(21~)35~65(~80)㎜。萼片は長さ(20~)25~30(~37)㎜。花弁は長さ(17~)25~33(~37)㎜。花糸は長さ13~18㎜。葯は長さ10~12㎜。花柱は長さ(45~)55~80(~98)㎜。蒴果は楕円形~狭楕円形、しばしば捻じれ、翼は幅2~5(~9)㎜、果体は長さ13~30(~65)㎜×幅2~6㎜。2n=14。花期は5~8月。
品種) 'Lemon Silver' , 'Shimmer' , 'Silver Wings'

16-2 Oenothera macrocarpa subsp. incana (A.Gray) W.L.Wagner

 カンザス州、オクラホマ州、テキサス州に分布。標高(500~)600~1200mの岩石、粘土質土壌、草原、乱れた場所、石灰岩、石膏、まれに火成土壌に生える。
 草本は小直剛毛(strigillose)があり、通常密生し、まれに無毛、ときに先端に腺微軟毛がある。茎は数本、分枝せず、ときに短い二次枝があり、長さ1~20(~30)㎝。葉は通常灰色、まれに緑色で、長さ(5~)6.2~12.5(~17)㎝×幅2~4.3㎝。葉身は通常非常に広い楕円形~ほぼ円形、まれに倒披針形または楕円形、縁は通常平らで、ときに波打つ、通常全縁、ときに不明瞭な小歯があり、先は通常鋭形~鈍形、ときに微凹形。花芽の自由先端は不均等で長さ5~11㎜。花筒は長さ(50~)70~140(~160)㎜。萼片は長さ(25~)35~50㎜。花弁は長さ(25~)31~50(~52)㎜。花糸は長さ(13~)15~25(~28)㎜。葯は長さ(10~)14~20㎜。花柱は長さ(75~)100~192㎜。蒴果は広楕円形~球形で捻じれず、翼は幅10~15(~24)㎜、果体は長さ28~48(~74)㎜×幅6~8㎜。2n=14。花期は4~6(~8月)。
品種) 'Silver Blade'
16-3 Oenothera macrocarpa subsp. macrocarpa
 USA(アーカンソー州、イリノイ州、カンザス州、ミズーリ州、ネブラスカ州、オクラホマ州、テネシー州、テキサス州)、メキシコに分布。標高100~500mの岩石、粘土、アルカリ性土壌、氷河のない草原、空き地、断崖、開けた草原の丘陵、乱れた場所、石灰岩またはドロマイトに生える。
 草本は小直剛毛(strigillose)があり、上部に腺微軟毛がある。茎は数本、分枝せず、ときに短い二次枝があり、長さ10~40(~60)㎝。葉は緑色で、若いものは灰緑色、長さ(6~)8~12(~14.5)㎝×幅0.4~2.3(~3)㎝、葉身はしばしば披針状楕円形~広楕円形、ときに線形または披針形、縁は通常平らで、ときに波打ち、全縁または不明瞭な小歯があり、先は鋭形。蕾は不均等な自由先端が長さ(4~)8~10(~12)㎜。花筒は長さ(78~)95~115(~140)㎜。萼片は長さ(45~)50~65(~75)㎜。花弁は長さ(40~)50~65(~68)㎜。花糸は長さ(25~)30~40(~44)㎜。葯は長さ(15~)17~24㎜。花柱は長さ(120~)135~160(~190)㎜。蒴果は卵形、狭卵形、狭披針形~広楕円形、またほぼ球形で、捻じれず、翼は幅(14~)18~34㎜、果体は長さ52~70(~115)㎜×幅7~8㎜。2n=14。花期は4~6(9)月。
16-4 Oenothera macrocarpa subsp. mexicana W.L.Wagner
  synonym Lavauxia graminifolia Rose
  synonym Oenothera graminifolia H.Lév.
 メキシコに分布。

16-5 Oenothera macrocarpa subsp. oklahomensis (Norton) W.L.Wagner

 カンザス州、オクラホマ州、テキサス州に分布。標高200~500(~800)mの岩の多い粘土質土壌、石膏が混じったきめの細かい赤色砂岩の開けた場所、純粋な石膏の上、石灰岩の上に生える。
 草本は無毛。茎は数本、分枝せず、ときに短い二次枝がつき、長さ5~30(~42)㎝。葉は緑色で、通常、赤紫色の斑点または帯赤色の斑点があり、長さ(5.5~)7~11(~12.5)㎝×幅(0.3~)0.8~2(~3)㎝。葉身は通常楕円形~披針状楕円形、ときに線形、中程度の厚さ、肉質、縁は通常波打ち、通常目立つ小歯状~小鋸歯状、まれにほぼ全縁、先は鋭形。花芽の不均等な自由先端は長さ (5~)6~10(~15)㎜。花筒は長さ(82~)90~140(~147)㎜。萼片は長さ35~60㎜。花弁は長さ(38~)42~55(~65)㎜。花糸は長さ24~34㎜。葯は長さ(15~)19~21(~25)㎜。花柱は長さ(120~)140~190㎜。蒴果は球形~狭楕円形でねじれず、翼は幅(10~)15~20(~25)㎜、果体は長さ35~55(~75)㎜×幅7~9㎜。2n=14。花期は4~6(~9)月。

17 Oenothera odorata Jacq. オエノテラ・オドラタ
 アルゼンチン、チリ原産。英名はfragrant evening primrose。標高0~2800mのパタゴニア、アンデス高地に生える。
 1年草、直立し高さ25~80㎝、単純なロゼットを形成するかまたは、主茎と平伏またはロゼットから広がる~斜めに斜上する広いアーチ状の側茎を備える。茎、葉、子房、花筒、萼片は密~緩く小伏剛毛(strigulose)があって、密~疎に絨毛があり、まれに腺がある。葉は平ら、または顕著~わずかに波状の縁があり、不規則な鋸歯があり、根生葉は長さ15~20㎝×幅0.5~1.5㎝、線形~狭倒披針形、鋭形で、葉柄のところで次第に狭くなる。茎葉は長さ5~18㎝×幅0.5~1.5㎝、線形~狭楕円形または狭披針形、先は鋭形、基部は狭い楔形~鋭形、短い葉柄があるかまたは無柄。苞は長さ3~7㎝×幅(0.3)0.5~1.5㎝、通常、苞がつく蒴果よりも長い。花筒は長さ2~3㎝。成熟した芽は長さ2~3㎝×幅0.5~1㎝、子房と花筒を除き、披針形~狭卵形。萼片は長さ2~3.2㎝×幅4~8mm、緑色から黄緑色、しばしば赤味を帯び、萼片の先端は2~3㎜、直立し、散開または蕾中では角(つの)形。花弁は長さ2~4.5×幅2.1~4.6cm、黄色、広倒卵形、切頭形で切頭状です。葯は長さ9~14mm。花糸は長さ16~24㎜。花柱は長さ3.5~6.5㎝、柱頭は葯に囲まれ、葯は開花時に柱頭に直接花粉を出すか、または棍棒形の柱頭は葯を超えて、他花受粉する。柱頭裂片は長さ4~7㎜。子房は長さ1.3~1.7㎝。蒴果は長さ3~5㎝×幅3~4㎜。種子は長さ1.5~2㎜×幅0.5~0.8㎜、楕円形、淡褐色 品種)  'Sulphurea'

18 Oenothera oakesiana (A.Gray) J.W.Robbins ex S.Watson オエノテラ・オアケシアナ

 カナダ、USA原産。英名はOakes evening primrose , sandy evening primrose。標高0~50(~500)mの海岸沿いの砂地の草原や砂丘、川沿いの砂利や岩の多い場所、乱れた場所、道端に生える。ニューファンドランド、中国、ヨーロッパ(オーストリア、南東部、チェコスロバキア、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、スウェーデン)に帰化している。
 2年草、少なくとも下部には密に絹状小直剛毛があり、まばらに長い伏毛の絨毛もあり、ときに絨毛があり、上部に開出する膿疱性毛および/または腺微軟毛がある。茎は直立または傾伏し、下部または全体が緑色または赤色になり、分枝しないか、または茂み状で基部から分枝し、側枝はロゼットから斜めまたは弧状に生じ、長さ10~60㎝。葉は根生葉のロゼットと茎葉があり、根生葉は長さ8~30㎝×幅0.5~3㎝。茎葉は長さ3.5~20㎝×幅0.5~2.7㎝。葉身は灰緑色~鈍い緑色、極狭い倒披針形~狭倒披針形または狭楕円形、縁は平らでほぼ全縁または離れた歯状、歯はときに鈍く、ときに下部で波状歯になる。苞は宿存性。花序は通常反曲し、上部に斜上する先端があり、まれにほぼ直立し、分枝しない。花は日没近くに開花し、蕾は直立し、直径3~5㎜、自由先端はほぼ頂生し、開出するかまたは直立し、長さ2.5~4㎜。花筒は長さ15~40㎜。萼片は緑色~黄色で、赤色と暗赤色の斑点または赤色の縞が入り、長さ9~17㎜。花弁は黄色~淡黄色で、黄白色~淡黄橙色に退色し、極広い倒心形、長さ7~20㎜。花糸は長さ6~15㎜。葯は長さ3~7㎜。花粉の稔性は約50%。花柱は長さ20~45㎜、開花時に柱頭は葯に囲まれる。蒴果は直立またはわずかに広がり、乾燥すると通常はさび褐色になり、狭披針形~披針形、長さ15~40㎜×幅4~8㎜、バルブの自由先端は長さ0.5㎜。種子は長さ1.1~1.2㎜×幅0.8~1㎜。2n=14。花期は6~8月。

19 Oenothera pilosella Raf. オエノテラ・ピロセラ
 USA東部原産。英名はmeadow evening primrose。標高100~600mの開けた野原、森の端、沼地、低地の草原、開けた乱れた場所、溝、古い野原、鉄道、道端に生える。
 多年草、通常密~疎に毛があり、まれに無毛。基部の肥厚する根茎がある。茎は開出するかまたは斜上し、上部は分枝しないかまたは少数分枝し、長さ20~80㎝。葉は基部にロゼット状および茎状になり、基部の長さ4~8㎝×幅2~5㎝、葉柄は長さ(0.5~)1~3(~4)㎝、葉身は倒披針形~卵形、縁は全縁。茎葉は葉身の長さ3~10(~13)㎝×幅1~2 (~4)㎝、葉柄は長さ0~0.5 (~2)㎝、葉身は披針形~卵形、基部に向かって急に狭まり、縁はほぼ全縁かまたは粗い歯がある。花序は直立し、花は最先端部の少数の節の葉腋につく。花は日の出近くに開く。花筒は長さ10~25㎜。萼片は長さ10~20㎜。花弁は明るい黄色、淡いピンク色または淡黄色に色あせ、長さ15~30㎜。花糸は長さ7~15㎜。葯は長さ4~8㎜。花粉は85~100%が稔性。花柱は長さ10~20㎜、花柱は開花時に葯より突き出る。蒴果は通常、長円状棍棒形~長円形または楕円形で、4角(かど)または弱く4翼があり、長さ(5~)10~15(~28)㎜×幅2~4(~5)㎜、柄は長さ(1~)3~5(~9)㎜、無柄。種子は約・長さ1㎜×幅0.5㎜。2n=56。花期は5~7月(~8)月。
品種) 'Mella Yella' , 'Yella Fella'

20 Oenothera pallida Douglas ex Lindl. オエノテラ・パリダ
 カナダ、USA、メキシコ原産。英名はpale evening-primrose。
 1年草または多年草、無毛、小直剛毛(strigillose)および/または絨毛があり、ときに特に花の部位の上部で絨毛が多くなる。主根から出るが、ときに側根から不定芽を出す。茎は直立または斜上し、基部から1~数本あり、全体が分枝しないか多数分枝し、長さ10~50(~70)㎝。葉は茎生で、ロゼット葉は通常弱く発達するか、少なくとも花期には発達しないが、ときによく発達し、長さ1~5(~7.8)㎝×幅0.3~1(~1.5)㎝、葉柄は長さ0~2(~4.5)㎝、葉身は披針形、長円形、線状披針形、または卵形、縁はほぼ全縁または離れた小歯があり、深く波状歯があり、または羽状中裂し、ときに縁が波形になる(repand)。花は日没近くに1~数個/日に咲く。蕾は下向きにうなずき、弱い四稜形、自由先端は長さ0~2㎜。花筒は長さ15~40㎜。萼片は長さ10~30㎜、斑点はない。花弁は白色で、淡いピンク色から濃ピンク色に変色し、広倒卵形または倒心形、長さ(10~)15~25(~40)㎜。花糸は長さ9~15㎜。葯は長さ3~10㎜。花柱は長さ25~55㎜、柱頭は開花時に葯より突出する。蒴果は開出~後屈し、真っすぐ~湾曲または捻じれ、円筒形、鈍角の4角(かど)があり、基部から先端にかけてわずかに先細り、長さ15~60㎜×幅1.5~2.5㎜。無柄。種子は多数、1室に1列につき、暗色の斑点のある帯褐色または黒色、狭倒卵形、長さ1.5~2.2mm。
品種) 'Innocence' , 'Wedding Bells'
20-1 Oenothera pallida subsp. latifolia (Rydberg) Munz
 コロラド州、カンザス州、ネブラスカ州、ニューメキシコ州、オクラホマ州、サウスダコタ州、ユタ州、ワイオミング州に分布。花期は6~9月。
20-2 Oenothera pallida subsp. pallida
 ブリティッシュコロンビア州、アリゾナ州、コロラド州、アイダホ州、ネバダ州、ニューメキシコ州、オレゴン州、ユタ州、ワシントン州、ワイオミング州に分布。花期は5~9月。
20-3 Oenothera pallida subsp. runcinata (Engelmann) Munz & W. M. Klein
 アリゾナ州、コロラド州、ニューメキシコ州、テキサス州、ユタ州、メキシコ(チワワ)に分布。花期は(4~)5~9月。
20-4 Oenothera pallida subsp. trichocalyx (Nuttall) Munz & W. M. Klein
 アリゾナ州、コロラド州、ニューメキシコ州、ユタ州、ワイオミング州に分布。花期は(4~)5~6月。

21 Oenothera parviflora L. アレチマツヨイグサ 荒地待宵草
 北アメリカ原産。中国名は小花月见草 xiao hua yue jian cao。英名はnorthern evening-primrose。海岸、空地、河原に生える。
 多年草、高さ30~150㎝。茎には腺毛と基部の膨らんだ開出毛がある。葉は明るい緑色、脈は白色~赤色、ほぼ無柄。根生葉は長さ10~30㎝、幅1~4㎝の狭惰円形~倒披針形、鋸歯縁。茎葉は長さ4~18㎝、幅1~3㎝。開花は夕方。萼片は長さ7~17㎜。花弁は長さ8~20㎜、黄色、しぼむとオレンジ色~鈍い黄色になる。葯は長さ3.5~6㎜、黄色。果実は長さ2~4㎝、2室。種子は長さ1.1~1.8㎜。2n=14。花期は6~9月。

22 Oenothera perennis L. ヒナマツヨイグサ 雛待宵草

  synonym Oenothera perennis L. var. rectipilis (S.F.Blake) S.F.Blake ケヒナマツヨイグサ

 北アメリカ(カナダ、U.S.A.)原産。英名はlittle evening primrose ,little sundrops ,perennial sundrops , small sundrops。別名はヒメツキミソウ 姫月見草。山草として栽培されているものが各地に逸出しているようある。マツヨイグサの仲間だが、昼間に開花する。
 2年草又は多年草、高さ(5)10~20(50)㎝。茎は直立し、わずかに分枝し、白色の伏毛があり、上部には腺毛があることがある。葉は互生し、長さ2~5㎝のへら形~倒披針形、白色の伏毛があり、全縁、腺毛があることもある。茎葉は無柄。花は葉腋につき、直径1.5~2㎝の4弁花。花弁は長さ.5~10㎜、黄色、しぼんでも赤色を帯びない。萼片は花弁の色に近く、長さ4~5㎜、花時には垂れ下がる。花托筒は赤色を帯び長さ3~4㎜、花柄のように見えるがその下位に長さ5~8㎜の子房がある。花托筒や子房には腺毛がある。果実は長さ約1㎝、4個の翼があり、翼の中間が盛り上がり、4室に分かれる。果実が熟すと、先端に隙間ができるが、隙間は小さくわかりにくい。種子は長さ0.9~1.1㎜。花期は6~7月。

23 Oenothera rosea L'Hér. ex Aiton ユウゲショウ 夕化粧
 北アメリカ(U.S.A、メキシコ)、南アメリカ(コスタリカ、グワテマラ、ボリビア、エクワドル、ペルー)原産。中国名は粉花月见草 fen hua yue jian cao。英名はrose evening primrose, rose primrose , pink eveningprimrose。別名はアカバナユウゲショウ。世界中で栽培され、野生化している。日本でも観賞用に輸入されたものが帰化している。道端、草地で見られる。
 多年草、高さ10~50(100)㎝。茎は傾伏又は斜上し、白色の伏毛がある。 葉は互生し、根生葉はへら形。茎葉は長さ1.5~4㎝の披針形、先が尖り、縁に波状の鋸歯がある。花は淡紅色~紅紫色、直径1~1.5㎝。花托筒は長さ4~8㎜。萼は長さ5~8㎜。花弁は4個、長さ5~10㎜。雄しべ8個。柱頭4個。蒴果は長さ(4)8~12㎜、幅3~4㎜の棍棒状、8稜があり、熟すと先端が4裂する。種子は長さ0.5~0.8(1.2)㎜。2n=14。花期は5~10月。

24 Oenothera serrulata Nutt. オエノテラ・セルラタ
 カナダ、USA、メキシコ原産。英名はyellow sundrops。標高0~2100mの草原、森林の草地、開けた場所、まれに山岳地帯、通常は砂地または岩地に生える。
 多年草、無毛または小直剛毛(strigillose)がある。丈夫な直根がある。茎は1~多数、弱く傾伏く~直立し、分枝しない~中程度に分枝し、長さ10~60(~80)㎝。葉は長さ1~9㎝×幅0.1~1㎝、花がつかない枝の腋に長さ2㎝以下の小さい葉が束生する。葉柄は長さ0~0.6㎝、葉身は線形~狭披針形または倒披針形で、しばしば縦に折れたたまれれ、上部ではあまり小さくならないのが普通。最も下部の葉はしばしば狭倒披針形~倒披針形、ときにへら形、基部は漸尖し、縁はほぼ全縁または小棘状鋸歯があり、先は鋭形。花は日の出近くに開花する。萼片は長さ1.5~9㎜、中脈は竜骨がある。花弁は黄色で、次第に暗黄色からオレンジ色に変色し、長さ5~12(~20)㎜。萼片の前にある花糸は長さ1~5(~7)㎜。花弁の前にある花糸は長さ0.5~3㎜。葯は長さ1.5~4(~6)㎜。花粉は30~60(~80)%が稔性。花柱は長さ2~15(~20)㎜。柱頭は円盤形~四稜形、開花時に葯に囲まれる。蒴果は長さ6~25㎜×幅1~3㎜、硬く、その長さの半分まで裂開し、しばしば遅れて長さ全体にわたって裂開する。種子は倒卵形で、長さ1~1.8㎜、角は鋭角で、先は切形。2n=14。花期は3~8月。
品種) 'Prairie Lode'

25 Oenothera speciosa Nutt. ヒルザキツキミソウ 昼咲月見草
 北アメリカ原産。英名はMexican evening primrose , showy eveningprimrose。観賞用に輸入され、道端、草地に野生化している。
 多年草、高さ30~60㎝。横に伸びる根茎で群生する。茎は下部が木質化する。葉は互生し、線状長楕円形、浅い上部の葉は波状の鋸歯があり、下部の葉は深く切れ込む。花は4花弁で、直径3~4㎝。花色は白花。しぼむと淡紅色になる。果実は棍棒状、8稜があり、断面は菱形。花期は5~8月。

24-1 Oenothera speciosa Nutt. var. childsii (L.H.Bailey) Munz モモイロヒルザキツキミソウ 桃色昼咲月見草

 北アメリカ原産。英名はpink showy eveningprimrose , pinkladies。観賞用に輸入され、野生化したもので、最近では道端でよく見かけられる。
 多年草、高さ10~50㎝。横に伸びる根茎で群生する。茎は斜上から直立し、下部は木質化する。葉は互生し、茎生、長さ2.5~8㎝の倒披針形~惰円形、波状の鋸歯~ほぼ全縁。花弁は4個、長さ25~40㎜、花色は淡紅色(ピンク)。花弁のすぐ下に萼片4個があり、片側へ捲れ上がる。萼片は長さ15~30㎜。花托筒は長さ10~23㎜、下部の子房へと続く。花托筒が長いのがこの属の特徴。雄しべ8個。雌しべの柱頭は十字形。花が終わると花托筒から上は落ちる。果実は長さ10~25㎜、棍棒状、8稜がある。種子は長さ1~1.5㎜。花期は5~8月。
品種) 'Alba' , 'Ballerina' , 'Pink Petticoats' , 'Rosea' , 'Siskiyou' , Twilight = 'Turner01' (PBR) (v) , Oenothera speciosa variegated (v) , 'Woodside White'

26 Oenothera stricta Ledeb. ex Link マツヨイグサ 待宵草
  synonym Oenothera odorata auct. non Jacq.
 南アメリカ原産。中国名は待宵草 dai xiao cao。英名はChilean evening primrose , fragrant evening-primrose。花が開くのは夕方から早朝で、昼間は閉じているため、月見草とか宵待草とも呼ばれる。マツヨイグサの仲間で最も早く渡来した。海岸、空地に生える。
 多年草、高さ25~100㎝。茎は直立し、赤味を帯びる。全体に毛が多い。根生葉は花期にもある。茎葉は互生し、長さ(5)6~10(13)㎝の狭い楕円状披針形、切れ込みがなく、縁に波状鋸歯があり、先が尖る。葉の色は濃いことが多く、白色の中央脈が目立つ。花は葉脇に単生し、直径3~4㎝の4弁花。花弁は長さ15~25㎜、黄色、普通、基部に赤い点があり、しぼむと赤色を帯びたオレンジ色になる。萼片は長さ14~20㎜。花托筒は長さ20~45㎜と長く、花柄のように見えるがその下位に子房がある。花托筒が長いのがこの属の特徴である。蒴果は長さ30~40㎜、幅3~4㎜、熟すと4裂し、裂片が反曲する。種子は長さ1.4~1.8㎜。2n=14。花期は4~5月。
品種) 'Moonlight' , 'Sulphurea'

27 Oenothera tetragona Roth シモフリマツヨイグサ 霜降待宵草
  synonym Oenothera fruticosa subsp. tetragona (Roth) W. L. Wagner
  synonym Oenothera fruticosa L. subsp. glauca (Michx.) Straley
  synonym Oenothera tetragona Roth var. fraseri (Pursh) Munz
  synonym Oenothera tetragona Roth subsp. glauca (Michx.) Munz
  synonym Oenothera glauca Michx.
 カナダ、USA原産。英名はnarrowleaf evening-primrose, sundrops。標高(100~)300~1700mの開けた草原、小川の縁、林の端、開けた林に生える。  草本、ほとんどに腺微軟毛があり、ときに茎に小直剛毛(strigillose)または絨毛がある。繊維状の根茎から生じる。葉は基部でロゼットの根生葉および茎葉、根生葉は長さ3~12㎝×幅0.5~3㎝、葉柄は長さ1~3㎝、葉身は倒披針形~倒卵形、縁は歯状または間隔の開いた小歯状。茎葉は長さ2~6(~11)㎝×幅(0.5~)1~2(~5)cm、ときに粉白色、葉柄は長さ0.1~2(~6)㎝、葉身は狭楕円形~広卵形、縁は歯状または間隔の開いた小歯状。花芽は自由な先端が長さ(3~)4~8(~13)㎜、輻合(connivent)~開出する。花筒は長さ5~20㎜。萼片は長さ8~22㎜。花弁は長さ(8~)15~20(~30)㎜。蒴果は長円形~長円状楕円形、中央部が最も幅広く、長さ(5~)10~17(~20)㎜×幅(2~)3~4(~6)㎜、4翼があり、ときに4角(かど)があり、柄は長さ0.1~3(~7)mm、果実は無柄。2n=28。花期4~8(~9)月。
品種)  'Erica Robin' (v) ' (PBR) , 'Fireworks' , 'Fruhlingsgold' (v) , 'Glaber' , 'Goudsberg' , 'Highlights' , 'Longest Day' , 'Sonnenwende' , 'Spring Gold' , 'Summer Solstice' , 'Sunspot' (v)

28 Oenothera tetraptera Cav. ツキミソウ 月見草
 北アメリカ南部~メキシコ原産。英名はwhite evening primrose , fourwing evening primrose , four-winged evening primrose。標高10~300[~2000]mの沖積平地、開けた場所、砂質土、雑草が生い茂った場所に生える。
 1年草または多年草、小直剛毛(strigillose)と粗毛もあり、細い直根から生える。茎は長さ15~50㎝。葉は長さ2.5~10㎝×幅0.6~2.5㎝。葉柄は長さ0.2~2.2㎝、葉身は普通披針形~倒披針形、ときに楕円形、縁は弱い鋸歯状~波状羽状中裂。花は日没近くに1日に1~3個開花する。蕾の自由な先端は長さ0.5~3㎜。花筒は長さ10~30㎜。萼片は20~40㎜、花弁は白色、ピンク色になり、長さ20~43㎜。花糸は長さ12~18㎜。葯は長さ5~10㎜。花粉の85~100%が稔性。花柱は長さ19~67㎜、花時に柱頭は葯より高く突出する。蒴果は無柄、広棍棒形または倒卵形、長さ20~51㎜×幅5~7㎜、翼があり、翼は長さ2~4㎜、バルブの表面に中肋が目立ち、下部の柄は長さ8~45㎜。種子は狭倒卵形、長さ1~1.5㎜×幅0.5~0.7㎜。2n=14。花期は2~5月。

29 Oenothera texensis P.H.Raven & D.R.Parn. オエノテラ・テキセンシス
 テキサス州、メキシコ(コアウイラ州、タマウリパス州)原産。英名はTexas evening primrose , Texas evening-primrose。標高900~2500mの河床および河川沿いの砂州および砂利州に生える。
 多年草、茎があり、小直剛毛(strigillose)またまばらに粗毛がある。細い直根がある。茎は数本~多数、斜上し、不分枝または分枝し、長さ25~50㎝。葉は根生のロゼットおよび茎葉があり、根生葉は長さ(1~)2.5~6.5㎝×幅0.6~2.3㎝、葉身は狭楕円形~狭卵形または卵形、縁は弱い小鋸歯~波状羽状中裂する。茎葉は長さ1~5.5㎝×幅0.6~2㎝、葉身は狭楕円形~狭卵形、縁は弱い小鋸歯状。花序は直立する。花は日の出近くに1日に1~3個開花する。花芽の自由先端は長さ0~1㎜。花筒は長さ15~26㎜。花弁はローズ紫色で、次第に暗色になり、長さ12~25(~30)㎜。花糸は長さ9~13㎜。葯は長さ3.5~6㎜。花粉は85~100%が稔性。花柱は長さ26~36㎜。柱頭は開花時に葯より上に突き出る。蒴果は棍棒形または狭倒卵形で、長さ9~15㎜×幅3.5~6㎜、先は漸尖し不稔の嘴になり、バルブは中肋が上部で目立ち、下部の柄は長さ7~12(~28)㎜、基部に向かって次第に細くなる。無柄。種子は狭倒卵形、長さ0.8~1㎜×幅0.2~0.4㎜。2n=14。花期は5~9月。
品種) 'Early Rise'

30 Oenothera triloba Nutt. クキナシマツヨイグサ 茎無し待宵草
 USA,メキシコ原産。カナダ、オーストラリアに帰化している。英名はstemless evening primrose , sessile evening primrose。標高300~1900mの粘土、砂、岩の多い土壌、プラヤ(playa:雨期には浅い湖になる乾燥平野)、氾濫原、小川の河床、斜面や平地、湿地、乱れた場所、道端、古い畑、ラレア砂漠、草原、空き地に散在~普通に生育する。
 越年草(winter-annual)ときに2年草、無茎または非常に短い茎を持ち、まばらから中程度に小直剛毛(strigillose)と腺微軟毛があり、ときに一種類の毛が優勢で、まれにほぼ無毛になり、ときに非常にまばらに粗毛があり、特に葉脈に多い。直根は細いが、ときに頑丈なこともある。茎(ある場合)は斜上し、1~数本、密に葉をつけ、長さ0~20㎝。葉は根生しロゼット状につき、ときに茎葉もあり、長さ(2.5~)6~25(~32)㎝×幅(0.6~)1.5~4(~5)㎝、質が薄い。葉柄は長さ(0.5~)1~8㎝。葉身は倒披針形~楕円形、縁は不規則に羽状中裂し、ときにほぼ全縁、先は鋭形~鈍形または円形。花は日没近くに1日に1~4個咲き、香りは特にない。花芽はほぼ均等な自由先端が長さ2~7㎜。花筒は長さ(20~)28~95(~138)㎜。萼片は長さ(6~)10~30(~35)㎜。花弁は淡黄色で、退色しつつあるときは淡橙色、乾燥するとラベンダー色になり、長さ(10~)12~30(~38)㎜、花糸は長さ(5~)8~15(~18)㎜、葯は長さ(3.5~)4~11㎜、花柱は長さ(3.4~)4.2~11.5(~16.3)㎜。柱頭は通常葯に囲まれているが、ときに(特にテキサス州の一部の個体群では)葯を超えて突出する。蒴果は古くなると木質化し、菱形~倒卵形で翼があり、翼は広三角形、幅5~10㎜、多くの場合鉤状の歯で終わり、長さ(10~)15~25(~28)㎜×幅4~8㎜(翼を除く)、バルブの表面は網状になり、長さの1/8~1/3で裂開する。種子は非対称の楔形で、長さ(2.1~)2.5~3(~3.3)㎜。2n=14。花期は(2~)3~5(~7)月。

31 Oenothera versicolor Lehm. オノエテラ・ヴェルシコロル
 アルゼンチン、ボリビア、エクアドル、ペルー原産。英名はred sundrops , orange evening-primrose。別名はイノティラ・バーシカラー。
 多年草、高さ1m以下。茎は直立し、根生のロゼット状の葉をつける。葉は狭披針形、葉柄に向かって徐々に狭くなる。茎はほとんど分枝せず、代わりに1本の穂状花序を形成する。成熟した葉は長さ20~25㎝×幅1.5~3.5㎝。茎葉は狭披針形、長さ8~12㎝×幅0.6~2㎝。通常は無柄だが、短い葉柄がある場合もあり、葉縁は赤みがかり、特に若い芽の苞は赤みがかる。花序はほとんど分枝しない。花は夜ではなく日中に咲く。花は花冠が長さ1.2~2.5㎝、直径6~8㎝、花芽は萼片と花冠の接合部が赤みがかる。花弁は長さ1.2~2㎝、非常に広い倒卵形、先は円形または微凹形、黄色、基部近くと脈に沿って赤色になり、または全体が赤色になる。葯は長さ5~8㎜。花糸は長さ6~10㎜。花柱はほとんどが短く、柱頭に直接、花粉を落とす。子房は長さ8~10㎜。蒴果は長さ1.5~3㎝×厚さ5~9㎜、熟すと濃色になる。種子は長さ1㎜強と小さく、わずかに楕円状。花期は夏~初秋。
品種) 'Endless Orange' , 'Sunset Boulevard'

32 Oenothera villosa Thunb. ノハラマツヨイグサ 野原待宵草
  synonym Oenothera depressa Greene
 カナダ、USA原産。英名はhairy evening-primrose。
 2年草、密に小直剛毛(strigillose)があり、まばらまたは中程度に絨毛があり、伏せまたは開出する毛があり(基部はときに赤色の膿疱性)、上部にときに腺微軟毛がある。茎は直立し、通常下部は赤色を帯びるが、ときに全体が緑色または赤色で、分枝しないか、ロゼットから斜めに枝が生じ、主茎からは二次枝が生じ、長さ50~200㎝。葉は根生葉のロゼットと茎葉。根生葉は長さ10~30㎝×幅1.2~4(~5)㎝、茎葉は長さ5~20㎝×幅1~2.5(~4)㎝。葉身は鈍い緑色または灰緑色、狭倒披針形~倒披針形~狭楕円形または狭披針形、縁は平らまたは波状、歯状からほぼ全縁、歯は時に広く間隔が離れ、ときに下部で波状歯がある。苞は宿存性。花序は密から開き、直立し、分枝しない。花は日没近くに開花する。花芽は直立し、直径3~5㎜、自由先端は直立し、長さ0.5~3㎜。花筒は長さ23~44㎜。萼片は緑色~黄緑色、赤色の縞模様または帯赤色、長さ9~18㎜。花弁は黄色~淡黄色、退色してオレンジ色または淡黄色、非常に広い倒心形、長さ7~20㎜。花糸は長さ7~15㎜。葯は長さ4~10㎜。花粉の稔性は約50%。花柱は長さ30~55㎜、開花時に柱頭は葯に囲まれる。蒴果は直立またはわずかに開出し、乾燥すると鈍い緑色または灰緑色、披針形、長さ20~43㎜×幅4~7㎜、バルブの自由な先端は長さ1~2㎜。種子は長さ1~2㎜×幅0.5~1.2㎜。
 2亜種がある。
32-1 Oenothera villosa subsp. villosa
 カナダ、USAに分布。標高30~1500(~1700)mの開けた場所、しばしば湿地、川岸、野原、道端に生える。
 草本は鈍い緑色~灰緑色、密に小直剛毛(strigillose)があり、ときにまばらに絨毛があり、伏したまたはほぼ伏した毛があり、これらの毛には赤色または緑色の膿疱がないか、またはあり、まれに上部に腺微軟毛がある。葉は灰緑色~鈍い緑色、葉縁は目立つ歯状で、基部は波状歯があり、特に下面では脈が顕著で、通常は淡緑色、まれに赤色。花序は比較的密で、先は切形、果実の節間は蒴果より著しく短い。萼片は緑色~黄緑色。2n=14。花期は7~8(~9)月。

32-2 Oenothera villosa subsp. strigosa (Rydberg) W. Dietrich & P. H. Raven

 カナダ、USAに分布。標高30~3200mの開けた場所、しばしば湿地、川岸、野原、道端に生える。
 草本は、少なくとも基部が赤く染まり、しばしば全体が赤く染まり、小直剛毛(strigillose)があり、まれに小直剛毛のみで、通常は絨毛があり、直立または斜上し、またはほぼ伏した赤色の膿疱毛(red-pustulate hairs)と腺微軟毛があり、少なくとも上部にはある。葉は緑色~鈍い緑色で、葉縁は通常小歯状またはほぼ全縁で、ときに中程度の歯状になる。葉脈は目立たない。花序は比較的開き、先は鈍形、果実の節間は通常、蒴果と同じかそれより長い。萼片は赤の縞模様または赤く染まる。2n=14。花期は6~9月。

33 ハイブリッド
(1) Oenothera x gigantea hort ex C.Huber タマザキマツヨイグサ 
(2) Oenothera x laeta de Vries オオメマツヨイグサ 大待宵草
  synonym Oenothera x fallax Renner
 メマツヨイグサ(Oenothera biennis)とオオマツヨイグサ(Oenothera glazioviana)の交雑種。
(3) Oenothera × braunii Döll
 オーストリア、チェコスロバキア、フランス、ドイツ、ポーランド、スイスで野生化している。
 メマツヨイグサ(O. biennis)とアレチマツヨイグサ(O. parviflora)の交雑種。
(4) Oenothera × clavifera Hudziok
 ドイツで野生化している。
  O. oakesiana × ノハラマツヨイグサ(O. villosa)
(5) Oenothera × fallax Renner
 アルバニア、オーストリア、ベルギー、チェコスロバキア、デンマーク、フィンランド、ドイツ、イギリス、ギリシャ、アイルランド、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、スペイン、スウェーデンで野生化している。英名はintermediate eveining primrose。
 メマツヨイグサ(O. biennis)× オオマツヨイグサ(O. glazioviana)
(6) Oenothera × heiniana Teyber
 オーストリア、チェコスロバキア、ドイツ、ポーランドで野生化している。
 メマツヨイグサ(O. biennis) × O. oakesiana
(7) Oenothera × moravica V.Jehlík & Rostański
 チェコスロバキア、デンマークで野生化している。
 メマツヨイグサ(O. biennis) × O. fallax[O. biennis×O. glazioviana]
(8) Oenothera × polgari Rostański
 オーストリア、バルト諸国、ベラルーシ、チェコスロバキア、フランス、ドイツ、ハンガリー、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、スウェーデン、ウクライナで野生化している。
 メマツヨイグサ(O. biennis) ×ノハラマツヨイグサ(O. villosa)
(9) Oenothera × purpurans (Borbás) Borbás
 ハンガリーで野生化している。
 オオマツヨイグサ(O. glazioviana)×ノハラマツヨイグサ(O. villosa)
(10) その他 ハイブリッド
品種) 'Apricot Delight' , 'Beach' , 'Blood Orange' , 'Bredon Springs' , 'Camel' , 'Cold Creek' , 'Cold Crick' , 'Colin Porter' , 'Constable' , 'Copper Canyon' , 'Cossack' , 'Crown Imperial' , 'Crown of Gold = 'Lishal , 'Epic' , 'Epinal' , 'Epitome' , 'Erica Robin' , 'Finlay's Fancy' , 'Give-me-sunshine' , 'Gold Crown' (v) , 'Gold Dream' , 'Hollow Meadows , 'Jubilee' , Lemon Drop ® = 'InnOeno131' (PBR) , 'Lemon Sunset' , 'Lishal' , 'Oenon 1321' , 'Paul' , 'Penelope Hobhouse' , 'Peter' , 'Pink Domino' , 'Pink Panther' , 'Rigel' , 'Rosie Baby' , 'Silberlicht' , 'Silky Orchid' , Sonnenwende' ,'Summer Sun' , 'Sunburst' (v) ,'Sunny Delight'

参考

1) Flora of North America
 Oenothera - FNA
http://floranorthamerica.org/Oenothera
2) Oenothera glazioviana M. Micheli - GBIF
 分類、異名、分布図
https://www.gbif.org/species/3188894
3) Flora of China
 Oenothera stricta Ledebour ex Link
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=242413831
4) Oenothera - GRIN-Global Web v 1.9.8.2
 Oenothera L.
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=8398
5) VicFlora - Royal Botanic Gardens Victoria
 Oenothera acaulis Cav.
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/23ed1179-0721-4e6c-85aa-7709d728c269
6) Flora Argentina
 Oenothera odorata
http://buscador.floraargentina.edu.ar/species/details/2085