マイヅルソウ 舞鶴草

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Flora of Mikawa

キジカクシ科 Asparagaceae マイヅルソウ属

英 名 false lily of the valley, false lily-of-the-valley
学 名 Maianthemum dilatatum (A.W.Wood) A.Nelson et J.F.Macbr.

  synonym Maianthemum kamtschaticum (J.F.Gmel. ex Cham.) Nakai

  synonym Maianthemum bifolium (L.) F.W.Schmidt subsp. kamtschaticum (J.F.Gmel. ex Cham.) A.E.Murray

  synonym Maianthemum bifolium (L.) F.W. Schmidt var. kamtschaticum (J.F. Gmel. ex Cham.) Trautv. et C.A. Mey.

マイヅルソウの花序
マイヅルソウの花
マイヅルソウの果実
マイヅルソウの葉
マイヅルソウ
花 期 5~7月
高 さ 8~20(35)㎝
生活型 多年草
生育場所 深山の林内
分 布 在来種  北海道、本州、四国、九州、朝鮮、カムチャッカ半島、北アメリカ
撮 影 天狗棚展望台付近 05.5.21  
  果実(志賀高原) 05.8.1
マイヅルソウはキジカクシ科マイヅルソウ属であり、キジカクシ科は旧分類のユリ科から分割された。
 多年草。高さ8~20(35)㎝。根茎は分かれ、横に広がり、群生する。葉は2~3個つき、生育のよいものは長さ6~10㎝、幅5~8㎝の卵形、基部は深い心形。葉質は柔らかく、無毛。葉柄は長さ4~7(10)㎝。花は茎頂の長さ2~8㎝の総状花序に10~40個つく。花被片は4個、白色、長さ2~3.2㎜、幅約1.5㎜の卵形~披針形。雄しべは4個、花被片より短い。子房は2室。液果は直径4~6㎜の球形、種子を1~2個入れ、赤く熟す。種子は長さ2~3㎜、褐色。2n=36。花期は5~7月。
 ヒメマイヅルソウ Maianthemum bifolium は中国名が舞鶴草(wu he cao )。マイヅルソウと非常によく似ているが、茎、葉柄、花序軸にパピラ状の軟毛(柱状突起)があり、葉縁にルーペを使わないと見えない微細な鋸歯がある。

マイヅルソウ属

  family Asparagaceae - genus Maianthemum

 多年草、根茎をもつ。茎は直立、単純。葉は互生、葉柄は無又は又は有、普通、楕円形~卵形、ときに根生葉は単生し、早く枯れる、花序は頂生の総状花序あるいは円錐花序。花は両性、ときに単性(雌雄異株のとき)、小さい。花被片は4又は6個、2輪につき、分離又は下部で±合着し、まれに長い筒ぶを作る。雄しべは4又は6本、花被片の基部又は花被の筒部につく。花糸は糸状。葯は背着。子房は2~3室、胚珠は各室に1~2個。花柱は円柱形、比較的短い。柱頭は2又は3裂。果実は液果、球形~ほぼ球形。種子は1~3個、球形~卵形。
 世界に約35種あり、主に東アジア、北アメリカに分布し、北アジア、中央アメリカとヨーロッパ北部にも分布する。

マイヅルソウ属の主な種と園芸品種

1 Maianthemum bicolor (Nakai) Cubey エビチャザサ 海老茶笹
  synonym Smilacina bicolor Nakai
  synonym Vagnera bicolor (Nakai) Makino
  Smilacina bicolor var. flavovirens N.S.Lee & J.Y.Kim
 朝鮮、中国(吉林省)原産。中国名は两色鹿药 liang se lu yao。Two-colored Maianthemum , Two-colored False Lily of the Valley。
 根茎は太く、横に伸びる。茎は高さ30~45cm。葉は2~3枚が基部に根生し、茎葉は5~7枚が2列につく。葉身は楕円形または広楕円形で両端が狭くなり、長さ6~11㎝×幅2.5~5㎝、下部は急に沿下し、短い葉柄になり、毛がほとんど無く、上面の脈上に細かい突起(protrusions)が若干ある。 花は直径4.5~5mm。頂生の総状花序はときに1本の枝をもち、花がついた部分は長さ4~4.5㎝で、突起(protuberances)がない。苞は長さ約1mm、褐色。小花柄は長さ3~7㎜で横に開出する。花被片は楕円形、先が鋭形だが、縁巻きし、長さ約2㎜、最初は黄色だが、その後、紫黒色に変わり、斑点がある。雄しべは6本、雄しべの基部は幅が広くなる。子房は球形で3室をもつ。花柱は真っすぐ。果実は液果、球形、暗褐色。花期は5~7月。

2 Maianthemum bifolium (L.) F.W.Schmidt ヒメマイヅルソウ 姫舞鶴草
 日本(北海道、本州北部以北)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は舞鹤草 wu he cao 。英名はMay lily , false lily of the valley
 マイヅルソウと非常によく似ているが、茎、葉柄、花序軸にパピラ状の軟毛(柱状突起)があり、葉縁にルーペを使わないと見えない微細な鋸歯がある。
 高さ8~20(~25)㎝。根茎はときに2又分枝し、長さ20㎝以下×幅1~2㎜。 茎はパピラ状の軟毛(柱状突起)が散生する。根生葉は花時に枯れ、葉柄が長さ10㎝以下。茎葉は普通2枚、茎の上部~先端につき、葉柄は長さ1~2㎝、しばしばパピラ状の軟毛がある。葉身はデルタ状卵形、長さ3~8(~10)㎝×幅1~5(~9)㎝、下面は脈上に微軟毛があり、基部は心形、縁は微細な小歯状、パピラ又は微軟毛がある。総状花序は直立、長さ3~5㎝、花が10~25個つき、花序軸にパピラ状の軟毛がある。苞は小さい。花は単生又は双生、花柄は長さ約5㎜、細く、先に関節がある。花被は白色。花被片は長円形、長さ2~2.5㎜×幅1.5~1.8㎜。雄しべは長さ1.6~2.1㎜。花柱は長さ約1㎜。液果は熟すと赤色、直径3~6㎜。種子は種子が黄色。花期は5~7月。果期は8~9月。2n=28, 30, 36, 42, 54, 88。

3 Maianthemum canadense Desf. カナダマイヅルソウ
 カナダ、USA原産。英名はfalse lily-of-the-valley , two-leaved Solomon's-seal , Canadian may-lily。標高0~1800mの森林の落葉樹林や針葉樹林に生える。
 高さ10~25㎝。 根茎は仮軸性(sympodial)、増殖的(proliferatively)に分枝し、一本は長さ2~30㎝×太さ1~1.5㎜、根は節に限定される。茎は直立し、長さ10~18㎝×太さ1~2.5㎜。葉は不稔のシュートには1枚、稔性のシュートには2~3枚ずつつく。葉身は長さ4.5~7(~9)㎝×幅3~4.5(~5.5)㎝、先は鋭形または短い尾状。下部の葉は無柄、葉身は卵形、基部には狭い湾入がある。上部の葉は葉柄があり、葉身は心形で、葉柄は長さ1~7㎜。花序は総状花序、複合で、花が12~25個つく。花は節ごとに(1~)2(~3)個つき、2数性。花被片は目立ち、長さ1.5~2㎜×幅0.8~1㎜。花糸は長さ1~1.5 mm。葯は長さ0.2~0.4㎜。子房は球形、幅0.8~1㎜。花柱は長さ0.5~0.8 mm、柱頭は明瞭に2裂する。小花柄は長さ3~7㎜×幅0.2~0.5㎜。果実は若いうちは緑色で赤色のまだらになり、熟すと半透明の濃赤色になり、直径4~6㎜の球形になる。種子は1~2個入り、球形、直径約3㎜。 2n=36, 54, 72。花期は早春。
品種)  'Mullerthal'

4 Maianthemum dahuricum (Fisch. et C.A.Mey.) LaFrankie カラフトユキザサ 樺太雪笹

 朝鮮、中国(黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル)、ロシア原産。中国名は兴安鹿药 xing an lu yao。標高400~1000mの森林に生える。
 高さ30~60㎝。根茎は匍匐性で、太さ1~2.5㎜、細い。茎は無毛か、または上部に短い毛がある。葉は6~12枚つき、無柄。葉身は長円状卵形または長円形、長さ6~13㎝×幅2~4㎝、下面に密に毛が生える。花序は総状花序、長さ3~4㎝。花序軸には短い毛がある。花は2~4個、束生し、まれに単生。小花柄は長さ3~5㎜、毛がある。花被は白色。花被片は基部で±合着し、倒卵状長円形または長円形、長さ2~4㎜×幅1~1.5㎜。花糸は長さ1.5~3㎜。葯は小さい。花柱は長さ約1㎜、子房より短い。柱頭はわずかに3裂する。果実は成熟すると赤色または赤紫色、直径6~7㎜、種子が1~2個ある。花期は6月。果期は8月。2n=36。

5 Maianthemum dilatatum (Alph.Wood) A.Nelson et J.F.Macbr. マイヅルソウ 舞鶴草

  synonym Maianthemum kamtschaticum (J.F.Gmel. ex Cham.) Nakai

  synonym Maianthemum bifolium (L.) F.W.Schmidt subsp. kamtschaticum (J.F.Gmel. ex Cham.) A.E.Murray

  synonym Maianthemum bifolium (L.) F.W. Schmidt var. kamtschaticum (J.F. Gmel. ex Cham.) Trautv. et C.A. Mey.

 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、カムチャッカ半島、北アメリカ原産。英名はfalse lily of the valley, false lily-of-the-valley , False Solomon's Seal。
 多年草。高さ8~20(35)㎝。根茎は分かれ、横に広がり、群生する。葉は2~3個つき、生育のよいものは長さ6~10㎝、幅5~8㎝の卵形、基部は深い心形。葉質は柔らかく、無毛。葉柄は長さ4~7(10)㎝。花は茎頂の長さ2~8㎝の総状花序に10~40個つく。花被片は4個、白色、長さ2~3.2㎜、幅約1.5㎜の卵形~披針形。雄しべは4個、花被片より短い。子房は2室。液果は直径4~6㎜の球形、種子を1~2個入れ、赤く熟す。種子は長さ2~3㎜、褐色。2n=36。花期は5~7月。
品種) 'Baby Moon' (v) , 'Yakushima' , 'Variegatum' (v)

6 Maianthemum formosanum (Hayata) LaFrankie タイワンユキザサ 台湾雪笹

 台湾原産。中国名は台湾鹿药 tai wan lu yao。標高2000~3700mの森林、湿った日陰の場所に生える。
 高さ15~35㎝。 根茎は這い、ほぼ円柱形、太さ2~7 mm、ときに膨れた節を伴う。茎は上部に毛があり、±ジグザグになる。葉は無柄または短柄がある。葉身は長円形、長円状卵形、または披針形、長さ3.5~12㎝×幅2~5㎝、紙質、ときに葉脈にわずかに毛がある。花序は通常、円錐花序、長さ4~5㎝。 花序軸には粗毛がある。花は単生。小花柄は長さ約2㎜、粗毛がある。花被は白色。花被片は基部で±合着し、長円形または倒披針形、長さ3~4㎜×幅1~2㎜。花糸は長さ1.5~2㎜。葯は小さい。花柱は非常に短く、長さ約0.5㎜、長さは子房の長さの約1/2。柱頭はわずかに3裂する。花期は6~8月。2n=36。

7 Maianthemum fuscum (Wallich) LaFrankie クロバナユキザサ 黒花雪笹
 中国(西蔵、雲南)、インド、ネパール、ブータン、シッキム、ミャンマー原産。中国名は西南鹿药 xi nan lu yao 。英名はHimalayan false Solomon's seal。標高1600~2800mの森林、藪に生える。
 高さは25~50㎝。 根茎は匍匐し、塊茎が数珠状になり、太さ約1㎝、丈夫。茎は無毛または上部に直軟毛がある。葉は4--9枚つく。葉柄は長さ1~2.5㎝、無毛または毛羽立ち。 葉身は長楕円形から卵形-槍状、長さ8~17㎝×幅3~6.5㎝、基部は円形または索状で、縁には繊毛があることもあり、先端は尖状-尾状です。 花序は円錐花序。花序軸はジグザグまたは真っ直ぐで、ときに開出する硬い毛が生える。花は単生。小花柄は長さ4~8(~13)㎜。花被はバラ色。花被片はほぼ離生、ほぼ楕円形、長さ3~4㎜×幅2~3㎜。 花糸はほぼ三角形、長さ約1mm、扁平。葯は小さい。子房は長さ1.5~2㎜、花柱の長さの3~4倍。 花柱は非常に短い。果実は熟すと赤色、直径5~8㎜、種子が1~3個ある。花期は5~7月。果期は9~11月。2n=28, 36, 54, 66, 72。
品種) 'Shirui Giant' , 'Tangkhul Giant'

8 Maianthemum harae Y.H.Tseng et C.T.Chao アリサンユキザサ 阿里山雪笹

 台湾原産。2012年に報告された新種。
 多年草。 根茎は直径7~10mmの塊茎があり、ひげ根が多く、根毛(root hairs)が存在する。茎はアーチ状に直立し、長さ30~75cm、上部に毛があり、基部の節は鱗片状の葉で覆われる。葉は落葉性、単葉、托葉がなく、紙質、互生し、披針形、長さ15~25cm×幅5~10cm、先は鋭形、基部は漸尖形~鈍形、縁は波打ち、下面と縁に毛がある。葉柄は短く、長さ3~5 mm。 花序は頂生、円錐花序、思春期、長さ6~10 cm×幅5~8 cm、苞はありません。 花は両性、平らで芳香があり、花被片は6個で、不明瞭な2輪に3個ずつ配置され、白色、花被片は約・長さ5 mm×幅 2mm、1脈があり、わずかに反り返り、先は漸尖形~鋭形。雄しべは6本、花糸は長さ約2mm、葯は長円形、長さ約0.5mm。子房は上位、扁球形、約・長さ1.5 mm×幅2 mm、無毛。花柱は長さ2~2.5 mm、無毛、柱頭は3裂、毛がある。果実はほぼ球形、直径8 ~ 10 mm、熟すと赤色になる。
 アリサンユキザサ(Maianthemum harae)はタイワンユキザサ(M.formosanum)によく似るが、塊状の根茎、披針形の大きめの葉、長さ2㎜の花柱を持つことで区別される。ユキザサ(M. japonicum)にも似るが、塊状の根茎、9~12枚の葉、および3裂した柱頭があることで区別される。

9 Maianthemum japonicum (A.Gray) LaFrankie ユキザサ 雪笹
  synonym Smilacina japonica A. Gray.
  synonym Smilacina japonica var. mandshurica Maxim.
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は鹿药 lu yao 。英名はJapanese false Solomon's seal。和名の由来は葉が笹の葉に似て、花が雪のように白く、細かいことから。
 多年草。高さ20~70㎝。根茎は這い、円柱状~数珠状、幅(4~)7~10㎜。茎は直立し、単純、上部で斜上する。葉は5~7(~10:var. mandshurica)枚つき、無柄または下部の葉は短柄があり、葉身は狭長円形~楕円形(卵状長楕円形)、ときに広卵形、長さ6~15㎝、幅2~5(~7)㎝、基部は円形~鈍形、先は急に狭くなり尖り、直軟毛があり、特に下面にある。円錐花序は頂生、長さ3~6㎝、花が10~25個ほどつく。花序にはやや密に粗毛がある。花被片は白色、狭長楕円形、長さ3~4㎜、幅約1.5㎜。雄しべは花被片より短い。花柱は長さ0.5~1㎜、ほぼ子房の長さと同長。柱頭は丸くなるか、3浅裂する。果実は直径5~6㎜の球形、熟すと赤色になり、種子が1~2個入る。2n=36。花期は5~7月。
品種) 'Dragons Treasure' , 'Golden Dragon' , 'Ki-shiro-fukurin-fu' (v) , 'Snow Dragon' , 'White Stripes'

10 Maianthemum racemosum (L.) Link マイアンセムム・ラケモスム
 北アメリカ(カナダ、USA、メキシコ)原産。英名はtreacleberry , feathery false lily of the valley , false Solomon's seal , Solomon's plume , false spikenard。
 地上植物、高さ12.5 cmまで。 根茎は仮軸性(sympodial)、円筒形、一本(units)は長さ30~40㎝×太さ8~14mm、ときに増殖し、根は散在する。 茎は直立またはアーチ状で、長さ75~125㎝×太さ7~9㎜。葉は7~12枚つき、無柄で抱茎、または葉柄がある。葉身は楕円形~卵形、長さ9~17㎝×幅5~8㎝、基部は円形または先細になり、先は鋭形または尾状。花序は円錐花序、70~250個の花がつき、枝はよく発達し、ピラミッド形になる。花は3数性。花被片は目立たず、長さ0.5~1㎜×幅0.5㎜。花糸は約・長さ1㎜×幅0.5㎜。葯は長さ0.5~1㎜。子房は球形、幅約1mm。花柱は長さ0.1~0.3㎜。柱頭は不明瞭。小花柄は長さ0.5~1㎜×太さ0.5㎜。果実は若いうちは緑色で銅色の斑点があり、熟すと、半透明の濃赤色、球形または3分裂、幅4~6㎜。種子は1~4個あり、球形、直径2.5~4㎜。2n=36, 72, 144。2亜種がある。
 マイアンセマム・ラセモサムが栽培されることもある。それは単為生殖(apomictic)であると記載されている(A. L. Gorham 1953)。
品種) 'Major' , 'Wisley Spangles'
10-1 Maianthemum racemosum subsp. amplexicaule (Nutt.) LaFrankie
  synonym Maianthemum amplexicaule (Nutt.) W.A.Weber
  synonym Smilacina amplexicaulis Nutt.
 北アメリカ(カナダ、USA、メキシコ)原産。標高0~700mの 日陰のある道端や都市部および郊外の樹林帯に沿って続く落葉樹林に生える。
 茎は直立する。葉は無柄、茎を抱く。葉身は基部が円形、花序の下の3番目の葉の先は鋭形、長さ2㎜未満。花期は春半ば。果期は初夏~秋。
品種) 'Emily Moody'
10-2 Maianthemum racemosum subsp. racemosum
 USA,カナダに分布。標高0~800mの日陰のある道端や都市部および郊外の樹林帯に沿って続く落葉樹林に生える。
 茎がアーチ状に曲がる。葉は葉柄があり、葉身の基部が先細になり、花序の下の第3葉の先は尾状で長さ12~25㎜。葉柄は長さ2~6㎜。花期は春半ば。果期は初夏~秋。

11 Maianthemum robustum (Makino et Honda) LaFrankie ハルナユキザサ 榛名雪笹

  synonym Smilacina robusta Makino & Honda in Fl. Jap.: 304(1953)

  synonym Smilacina japonica var. robusta (Makino & Honda) Ohwi

  synonym Smilacina robusta Makino & Honda in J. Jap. Bot. 11: 569 (1935)

 日本固有種(本州の栃木県、群馬県、長野県)。山地の林内に生える。和名は榛名山に因む。
 ユキザサに似るが全体に大型、高さ1~1.5m。根茎は太く短く頑丈、節間がつまり、数珠状になる。葉は長さ約20㎝。花期は6~7月。
 丈夫な多年草。根茎は密に節があり、数珠状になり、長さ5~10㎝×直径7~15㎜。茎は直立、上部で斜上し、丈夫、長さ80~150㎝×基部付近で直径2㎝以下、単純、無毛になり、下部が淡紫色を帯び、基部を除いて葉がつく。葉は披針状長円形~卵状長円形、長さ15~20㎝×幅6~9㎝、先は急に狭くなるか、鈍形、基部は円形で短柄があり、上面は緑色、短毛があり、下面は密に毛があり、わずかに青みがかった色または灰色がかった緑色(glaucescent)。葉柄は長さ5~7㎜。花序は円錐花序、密に直軟毛があり、長さ5~15㎝×幅3~10㎝、直立し、多数、花がつく。苞は小さい。小花柄がある。花は両性、白色、直径7㎜。花被片は狭長円形またはへら状長円形、長さ3.5~4㎜、1脈がある。雄しべは長さ2.5㎜。花糸は白色、錐形。葯は長さ約0.7㎜。花柱は非常に短い。柱頭の裂片は短く、太い。花期は6~8月。

12 Maianthemum stellatum (L.) Link マイアンセムム・ステラーツム
 北アメリカ(カナダ、USA、メキシコ)原産。英名はstar-flowered false Solomon's seal , starry false Solomon's seal , little false Solomon's seal , simply false Solomon's seal , star-flowered lily-of-the-valley , starry false lily of the valley。標高0~3200mの砂丘、森林の縁、開けた落葉広葉樹林に生える。
 陸上植物、高さ15~45㎝。 根茎は同胞状で、増殖的に広がり、狭い円筒形、一本(units)は長さ15~60㎝×幅3~4.5㎜、根は表面に散在する。茎は直立し、長さ25~50㎝×幅2~3.5㎜。葉は8~11枚つき、無柄、抱茎。葉身は卵状楕円形~披針形、長さ5~6㎝×幅2.5~3.5㎝、基部は円形、先は鋭形。花序は総状花序、単純、花が6~15個つく。花は節ごとに1個つく、3数性。花被片は目立ち、長さ4~5×幅1.5~2mm。花糸は長さ1.2~1.5㎜。葯は長さ0.6~0.8㎜。子房は球形~円筒形、幅約1㎜。花柱は長さ1.3~1.8㎜。柱頭は不明瞭に3裂する。小花柄は長さ6~12㎜×太さ0.8~1㎜。 果実は若いときは緑色で、中央心皮の脈に沿って黒い縞模様があり、直径4~6㎜ の赤色の球形に成熟します。 種子は1 ~ 6、球形、直径2.5~3㎜。2n=36。花期は春の中旬~下旬。
品種) 'Crassum'

13 Maianthemum trifolium (L.) Sloboda トナカイソウ 馴鹿草
 朝鮮、中国(黒竜江省、吉林省、内モンゴル)、モンゴル、ロシア、北アメリカ原産。中国名は三叶鹿药 san ye lu yao 。英名はthree-leaf Solomon's-seal , false mayflower。標高400~700mの森林に生える。ユキザサを極小型にしたように見える。
 高さ10~20㎝。根茎は太さ2~2.5㎜、細い。茎は無毛。葉は2~4枚つき、通常、3枚つく。葉柄は短く、茎を±抱く。葉身は長円形または狭楕円形、長さ6~13㎝×幅1.5~3.5㎝、紙質、無毛。花序は総状花序、長さ(2~)3.5~6㎝、花が4~7個つき、無毛。花は単生。小花柄は長さ4~6㎜。花被は白色。花被片は基部でわずかに合着し、長円形、長さ2~3㎜×幅1.5~2㎜。花糸は糸状、長さ2~2.5㎜。葯は小さい。花柱は長さ約1mm、子房とほぼ同長。柱頭はわずかに3裂する。花期は6月。果期は8月。2n=36。

14 Maianthemum viridiflorum (Nakai) H.Li ヤマトユキザサ 大和雪笹
  synonym Maianthemum hondoense (Ohwi) LaFrankie 

  synonym Smilacina hondoensis Ohwi in Fl. Jap.: 304(1953)

 日本固有種。本州に分布する。別名はオオパユキザサ。山地の林内に生える。
 多年草、雌雄異株。根茎は丈夫で這い、直径約7㎜。茎は丈夫で、8~12枚の葉がつき、茎は円柱形、普通は紫褐色を帯び、稜は全く無く、基部は直立し、上部は斜上し、毛は短く、開出する。葉は短柄があり、葉身は長円形~広卵形、長さ10~15㎝×幅3~6㎝、先は急に狭まり、先端はほぼ鈍形、基部は円形、両面に短毛があり、特に下面に多く、または上面は無毛になり、葉縁は上下に5~7箇所でゆるく波状にうねるものが多い。花序は円錐花序、花序軸は円柱形、やや密に短毛がある。雄花の花被片は雄しべの長さとほぼ同長。雌花では葯は小さく、未成熟。花粉粒の彫紋は小網状。花柱はごく短い。柱頭は深く3裂し、裂片は長く、強く反曲する。花期は6~7月。

15 Maianthemum yesoense (Franch. et Sav.) LaFrankie  ヒロハユキザサ 広葉雪笹

  synonym Smilacina yesoensis Franch. et Savat.
 日本固有種。北海道、本州の中部地方以北に分布。別名はヒロハノユキザサ、ミドリユキザサ。高山~高山の林縁、林床、草地に生える。
 多年草。高さ50~100㎝。茎は緑色、面はほとんど無毛、ジグザグに曲がり、葉柄の基部が半ば茎を抱いて茎に沿下して明瞭な2本の稜があり、下部の節に達し、稜の上に毛がある。葉は互生し、長さ長さ7~20㎝×幅2.5~8㎝、長円形~卵状楕円形、先が尖り、上面は無毛、下面には毛があり、葉縁が波状にうねることは稀である。雌雄異株。雄花序は円錐花序、雌花序は総状花序となる。雄花序の枝の毛は少ないが花序軸や花柄に茎と同じような稜があり、稜の上に毛がある。花は直径約5㎜。花被片は淡緑色~緑色で6個、長さ約3㎜。雌花の花被片は果時にも宿存し、やや紫褐色に変わる。柱頭はごく短く、3深裂して強く反曲する。短い雄しべが6個つく。花粉粒の彫紋は疣状。液果は直径約7㎜の球形、橙赤色に熟す。花期は7~8月。

13 ハイブリッド
(1) Maianthemum x intermedium Vorosch.  アイノコマイヅルソウ
 ヒメマイヅルソウ ×マイヅルソウ

参考

1)Flora o China
 Maianthemum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=119474
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Maianthemum
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331272-2
3)GRIN  Maianthemum
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxon/taxonomysimple
4)Flora of North America
 Maianthemum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=119474
5)植物研究雑誌 32(12): 373-374(1957)
 佐竹義輔,伊藤栄子 : ヤマトユキザサとミドリユキザサとの相違
6)ResearchGate 2012 Annales Botanici Fennici 49(4):234-238
 Maianthemum harae (Asparagaceae), A New Species from Taiwan
https://www.researchgate.net/publication/263806479_Maianthemum_harae_Asparagaceae_A_New_Species_from_Taiwan
7) Biodiversity Heritage Library(BHL)
 Flora of Japan(1953) 29 Maianthemum p304, 28 Smilacina p304
https://www.biodiversitylibrary.org/item/95083#page/1060/mode/1up