キュウリグサ 胡瓜草

mark

Flora of Mikawa

ムラサキ科 Boraginaceae キュウリグサ属

別 名 タビラコ
中国名 附地菜 fu di cai
英 名 cucumber herb
学 名 Trigonotis peduncularis (Trevis.) Benth. ex Baker et S. Moore
キュウリグサの花
キュウリグサの花
キュウリグサの苞葉
キュウリグサの果実
キュウリグサの分果
キュウリグサ
キュウリグサの葉表
キュウリグサの葉裏
花 期 3~11月
高 さ 15~30㎝
生活型 越年草
生育場所 道端、土手
分 布 在来種 日本全土、アジアの温帯、東ヨーロッパ原産
撮 影 蒲郡市  06.3.26
葉をもむとキュウリのような臭いがする。下部の茎葉は長さ1~3㎝の卵円形で、基部が細くなって柄となり、上部の葉には柄がない。茎の先に花序の先端が巻いているサソリ形の花序を出す。花後に花序は伸びる。花は淡青色で、直径は約2㎜。花冠の付属体は白色又は黄色。萼は果期になっても長くならない。苞葉は葉と同形で、花序の下部の2~3個の花だけにつく。果実は4分果。分果は四面体形。
 オニタビラコも別名タビラコといわれる。
 特徴的な花序がないときは淡青色のハナイバナと混同しやすい。花序があれば、ハナイバナは花1個ごとに必ず苞葉がつくことで簡単に見分けられる。

キュウリグサ属

  family Boraginaceae - genus Trigonotis

 多年草、2年草、まれに1年草。茎は1本又は数本、叢生、直立~散開し、剛毛又は長軟毛があり、まれに無毛。集散花序は単生又は2又分枝し、苞は無く又は下部の花柄に苞があるり、まれに全て苞がある(花は腋生外 extra-axillary)。咢は5浅裂又は5深裂、果時に大きくならず又はわずかに大きくなる。花冠は青色又は白色。筒部は普通、咢より短く、重なる。柱頭は突き出さず、頭状。花托(gynobase)は平ら。小堅果は4個、半球形状の四面体形又は錐状の三稜形状四面体形、光沢があり、無毛又は有毛、まれにこぶがあり、内側の3面は大きさがほぼ等しく又は底は2側面より小さく、2側面の接続点に縦の脈があり、無柄又は3内側面の角から出る短い果柄(carpophore)をもつ。外面は平ら又は凸面、うねは鋭形又は鈍形、まれに狭い翼がある。付着痕は果柄の底又は無柄のとき3内側面の角につく。胚は垂直、子葉は卵形。
 世界に約58種あり、アジア、東ヨーロッパに分布する。

キュウリグサ属の主な種と園芸種

1 Trigonotis brevipes (Maxim.) Maxim.  ミズタビラコ 水田平子
 日本固有種(本州、四国、九州)。山地の水辺、湿地などに生える。
 短い地下茎をもつ。茎は高さ10~40㎝、伏毛がある。茎、葉ともに柔らかい。葉は互生し、上部の葉は無柄、下部のものは葉柄がある。葉身は楕円形、長さ1.5~4㎝×幅1~2㎝、表面には細毛がある。茎頂に分枝する花序をつけ、1~5本の花序枝に先にさそり形の集散花序(scorpioid cyme)をつける。さそり形花序は密に多数つけ、初め巻いているが、成長すると巻いていたものが次第に真っすぐに伸び、下から花が咲く。花柄は萼筒より短い。萼は5深裂し、裂片は3角形、長さ0.5~1㎜、有毛。花は白色又は淡青紫色、直径2.5~3㎜。花冠は車形、5裂して平開し、花冠ののど部に5裂した白色の付属体がつく。雄しべは5個、花冠裂片に互生し、花冠の筒部の中間につく。小堅果は黒褐色、平滑で光沢があり、倒3角錐状の4面体。花期は5~6月。
1-1 Trigonotis brevipes (Maxim.) Maxim. var. coronata (Ohwi) Ohwi  コシジタビラコ
  synonym Trigonotis coronata Ohwi
  synonym Trigonotis brevipes (Maxim.) Maxim. f. coronata (Ohwi) T.Yamaz.
 本州の青森県~福井県に分布
 小堅果は倒台形状、光沢はあまり無く、上面に環状の付属体がある。果時の萼筒は広鐘形に広がる。

2 Trigonotis formosana Hayata  アリサンタビラコ
 台湾原産。中国名は台湾附地菜 tai wan fu di cai
2-1 Trigonotis formosana Hayata var. elevatovenosa (Hayata) S.D.Shen et J.C.Wang  ウチダシタビラコ
  synonym Trigonotis elevatovenosa Hayata 
3 Trigonotis guilielmii (A.Gray) A.Gray ex Gurke  タチカメバソウ 立亀葉草
 日本(北海道、本州)、朝鮮原産。
 多年草。高さ20~40㎝。太い地下茎が横に伸びる。茎は柔らかく、圧毛があり、直立する。葉は互生し、長さ3~5㎝の卵形~広卵形、全縁、細毛がある。下部の葉の葉柄は長く、上部の葉柄は短い。茎の先に総状花序をつける。花冠は直径7~10㎜、白色~微淡青紫色、5深裂し、真ん中に黄色い付属体があるのが特徴。雄しべ5個は花筒の中にある。萼は5裂し、花後も大きくなって残る。果実は4分果。花期は5~6月

4 Trigonotis iinumae (Maxim.) Makino  ツルカメバソウ 蔓亀葉草
 日本固有種(本州の太平洋側の青森県、岩手県、宮城宮城、埼玉県、群馬県、長野県)。山地の林下に生える。
 多年草、高さは7~20㎝。茎は平伏し、先は斜上する。葉は互生し、根生葉は葉柄がかなり長く、茎葉は上部ほど葉柄が短い、葉は卵形、長さ3~5㎝×幅1.5~2.5㎝、基部は浅い心形~円形、先は鋭形。 茎頂で斜上して花序をつけ、花後に倒れ、花序直下の葉腋から長い走出枝を伸ばす。花序はさそり形花序、花が7~10個つく。花柄は長さ1.5~2.5㎝。花は直径約1㎝、白色~淡青紫色、まれに淡紅色。花冠は車形、筒部は長さ約2㎜、先は5裂して平開し、のど部に黄色の付属体をもつ。雄しべは花冠筒部の中間より上につく。小堅果は4面体、長さ約2㎜、毛がある。花期は 5~6月。

5 Trigonotis myosotidea (Maxim.) Maxim.  ヤチムラサキ
 中国、ロシア原産。中国名は水甸附地菜 shui dian fu di cai

6 Trigonotis nankotaizanensis (Sasaki) Masam. et Ohwi  ツギタカシロルリ
 台湾原産。中国名は白花附地菜 bai hua fu di cai

7 Trigonotis peduncularis (Trevir.) F.B.Forbes et Hemsl.  キュウリグサ 胡瓜草
 日本全土、アジアの温帯、東ヨーロッパ原産。中国名は附地菜 fu di cai。英名はcucumber herb。
 1年草又は2年草。茎は普通、多数、まれに1本、密集し、拡散し、基部で多数、分枝し、高さ5~30㎝、短い剛毛がある。根生葉はロゼットになり、葉柄があり、へら形、長さ2~5㎝、剛毛があり、基部は楔形~漸尖形、先は円形~鈍形。上部の茎葉は無柄又は短柄、長円形~楕円形。花序は頂生、若い時は渦巻き状、次第に伸び、長さ5~20㎝、基部の2~3個の花は葉状の苞をもつ。花柄は花後に長さ3~5㎜になり、先は太く、果時にこん棒形になる。咢片は卵形、長さ1~3㎜、先は鋭形。花冠は薄青色又はピンク色、のど部の付属体は白色又は黄色。花冠の拡大部は長さ1.5~2.5㎜、裂片は開出し、倒卵形、先は円形~鈍形。葯は卵形、長さ約0.3㎜、先は微突形。小堅果は斜めの錐形、三角状4面体、長さ0.8~1㎜、短軟毛があるか又は無毛。内側の2側面はほぼ等しく、底面は小さくて凸面、外側の面は三角状卵形、鋭い3うねがあり、果柄は長さ約1㎜、曲がる。花期は早い。

7-1 Trigonotis peduncularis (Trevir.) F.B.Forbes et Hemsl. var. amblyosepala (Nakai et Kitag.) W.T.Wang  トウワスレナグサ
  synonym Trigonotis amblyosepala Nakai et Kitag
 中国原産。中国名は钝萼附地菜 dun e fu di cai 。
 花冠は幅3.5~5(~6)㎜、筒部は長さ約1.5㎜。咢片は果時に倒披針状線形、先は鈍形又は円形、まれに±鋭形。
.
8 Trigonotis radicans (Turcz.) Steven  ケルリソウ 毛瑠璃草
 日本(九州の阿蘇)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は北附地菜 bei fu di cai
 多年草、まばらに短剛毛があり、無毛になるか又は、より密に絹毛状剛毛がある。茎は数本叢生し、直立し、這い、高さ50㎝以下、先から根を出し、又は上部の葉腋から根を出す枝を生じる。根生葉の葉柄は長さ18㎝以下。葉身は長円状卵形~卵形、長さ1~4㎝、まれに長く、下面に細かい短剛毛があり、基部は心形~円形、先は鋭形、中脈が目立ち、側脈は不明瞭。茎葉は短い葉柄がある。果時の花柄は長さ2㎝以下、密に短剛毛がある。花は上部の茎葉の葉腋に単生する。咢は5深裂、裂片は披針形~広卵形、長さ約3㎜、果時に長さ5㎜以下、先は鋭形。花冠は薄青色、又は白色。花冠筒部は長さ約1.2~2㎜。のど部の付属体は長さ約0.5㎜、毛がある。拡大部は幅6~8(~12)㎜、裂片は開出し、長円形。葯は楕円形長さ約0.5㎜、先は鈍形。 熟した小堅果は褐色、斜めの錐形、3稜状の4面体、毛があり、内側の低面は2側面よりわずかに小さく、外側の表面は平ら、菱形~菱状卵形、長さ約2㎜、縁には狭いうねがあり、先は鋭形。果柄は長さ約0.8㎜、曲がる。花期は6~8月。果期は7~9月。
8-1 Trigonotis radicans (Turcz.) Steven var. sericea (Maxim.) H.Hara  チョウセンカメバソウ
  synonym Trigonotis coreana Nakai
  synonym Trigonotis sericea (Maxim.) I.M.Johnst.
  synonym Trigonotis radicans (Turcz.) Steven subsp. sericea (Maxim.) Riedl
  synonym Trigonotis nakaii H.Hara 
 毛がより密で、絹毛状剛毛。

参考

1) Flora of China
 Trigonotis
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=133653
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Trigonotis
 http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:4847-1
3) GRIN
 Trigonotis
 http://tn-grin.nat.tn/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=12373
4)Flora Malesiana
 Trigonotis hirsuta
 http://portal.cybertaxonomy.org/flora-malesiana/node/8410