クマシデ 熊四手
Flora of Mikawa
カバノキ科 Betulaceae クマシデ属
別 名 | イシシデ、カタシデ |
英 名 | Japanese hornbeam |
学 名 | Carpinus japonica Blume |
花 期 | 4月 |
高 さ | 10~15m |
生活型 | 落葉高木 |
生育場所 | 丘陵、山地の谷筋 |
分 布 | 在来種(日本固有種) 本州、四国、九州 |
撮 影 | 面ノ木 07.7.1 |
落葉高木、高さ10~15m。幹は黒褐色、若木の樹皮は滑らか、成長するとミミズ腫れ状の模様が入り、老木は裂ける。葉は互生し、長さ5~10㎝の長楕円形、幅がやや狭く、先が尖る。葉の質は薄く、葉脈が深く、裏面に出っ張り、縁は重鋸歯。葉表は無毛、葉裏の脈上には帯褐色の長毛があり、脈腋に毛叢がある。雌雄同株。開花は葉の展開と同時。雄花序、雌花序ともに垂れ下がる。果穂は長さ5~10㎝、葉状の果苞が密生する。果苞は長さ1.5~2㎝、縁に粗い鋸歯がある。堅果は長さ約4㎜の扁平な長楕円形、果苞の基部につく。2n=16。花期は4月。
サワシバ Carpinus cordata は幹に菱形の裂け目が入り、クマシデより葉の幅が広く、基部が心形。果苞の鋸歯が浅い。
クマシデ属
family Betulaceae - genus Carpinus高木、ときに低木、落葉性。樹皮は亀裂.があるか又は平滑。托葉は脱落性。葉は互生、不規則な重鋸歯又は単純な鋸歯状。雄花序は垂れ下がり、穂状の集散花序、円筒形、冬の間は蕾に包まれ、多くの苞が重なる。花は小苞又は花被がない。雄しべは3~12個、苞の基部につく。花糸は先が又状に分かれ、葯は2室。葯室は分かれ、先に毛がある。雌花序は小さいシュートに頂生又は腋生、総状花序。花は対につく。苞は葉状、平らになり、重なり、基部で2~3分裂する。小堅果(small nutlet)はうねがあり、苞の裂片により包まれ又は包まれない。x=8。
世界に約50種があり、日本、朝鮮、中国、インド、ラオス、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナム、ヨーロッパ、南北アメリカに分布する。
クマシデ属の主な種と園芸品種
1 Carpinus betulus L. セイヨウシデ 西洋四手ヨーロッパ、アジア西部原産。英名はcommon hornbeam , European hornbeam , hornbeam。AGMを受賞している。
落葉高木、高さ15~25m、まれに30m。幹はしばしば溝があり、曲がる。樹皮は古くなっても平滑、緑灰色。蕾(芽)はブナに似ず、せいぜい長さ10㎜、小枝にくっつく。葉は互生、長さ4~9㎝、葉脈は明瞭、特有の波形の質感を与え、縁は鋸歯状。雌雄同株。風媒の雄と雌の尾状花序(catkin)が葉の展開後の早夏に生じる。果実は堅果、小さく、長さ7~8㎜、長さ3~4㎝の3点が尖る葉状の総苞に部分的に取り囲まれる。果実は秋に熟す。種子はしばしば、播種の後、2年目の春まで発芽しない。
品種) 'A. Beeckman' , 'Albovariegata' (v) , 'Asplenifolia' , 'Columnaris Nana' , 'Columnaris' , 'Cucullata' , 'Fastigiata'[AGM] , 'Fielder's Tabular' , 'Folis Argenteovariegatis Pendula' (v) , 'Frans Fontaine' , 'Globus' , 'Heterophylla' , 'Horizontalis' , 'Incisa' , 'Jardin des Burettes' , 'Lucas' , 'Monument' , 'Monumentalis' , 'Pendula' , 'Pendula Dervaesii' , 'Pinocchio' , 'Prostrate' , 'Punctata' , 'Purpurea' , 'Pyramidalis' , 'Quercifolia' , 'Rockhampton' , 'Rockhampton Red' , 'Streetwise' , 'Stegemanns Primus' (PBR) , 'Variegata' (v)
2 Carpinus caroliniana Walter アメリカシデ 亜米利加四手
北アメリカ東部原産。英名はAmerican hornbeam , blue-beech , musclewood
落葉、小高木又は高木、高さ6~10m。幹の樹皮は平滑、灰色。枝は大きく、果時に筋肉のようになり、musclewoodともいわれる。花期は春、雄花序と雌花序が別個の尾状花序(catkin)であり、雌性の尾状花序は翼のある小堅果の束をつける。葉は暗緑色、楕円状長円形、鋸歯縁、しばしば、秋に黄色、橙色、赤色になる。堅木(hard wood =広葉樹)といわれ、商業的にはシデ材(hornbeam wood)といわれる。花期は晩春。
品種) 'Ascendens' , 'Red Fall' , 'Sentinel Dries'
2-1 Carpinus caroliniana subsp. caroliniana
USA中部~東南部原産。英名はAmerican hornbeam。標高0~200mの川岸、氾濫原、湿った斜面に生える。
高木、高さ8mまで。幹は短く、曲がり、浅い溝がある。樹冠は開いて広がる。樹皮は鋼鉄灰色または褐灰色、平滑~やや粗い。花序を含む冬芽は断面が3~4mmの四角形。 葉身は狭卵形~長楕状卵形、長さ3~8.5(~12)㎝×幅3~6㎝、基部は狭く円形~心形、縁は重鋸歯があり、先は鋭形または鈍形、下面はわずかから中程度に毛があり、特に主脈にあり、小さな暗色腺は無い。果序は長さ2.5~7cm。苞は比較的密集せず、長さ2~3㎝×幅1.4~2.3㎝、裂片は狭く、長く、先は鋭形~鈍形または円形。晩春に開花。
2-2 Carpinus caroliniana subsp. virginiana (Marshall) Furlow
カナダ東部~USA東部原産。英名はAmerican hornbeam, blue beech, musclewood, ironwood。標高0~300mの川岸沿いの豊かな落葉樹林の下層、氾濫原、湿った丘の中腹に生える。高木、高さ12mまで。幹は短く、曲がり、浅い~深い溝があり、しばしば不規則になる。樹冠は広く広がる。樹皮は青灰色で、平滑~やや粗くなる。葉身は卵形~楕円形~狭楕円形、長さ(6~)8~12㎝×幅3.5~6㎝、基部は狭い円形~心形、縁は粗く不規則な重鋸歯があり、歯は鋭く細く、2次の歯は1次の歯とほぼ同じ大きさであり、先は通常急に尾状に近くなるが、ときに長く、徐々に先細になる。下面は通常中程度に毛があり、特に主脈は多数の小さな暗褐色の腺で覆われる。花序: 雄花序は長さ2~6㎝。雌花序は長さ1~3㎝。果序は長さ4.5~12㎝。苞は長さ2.5~3.5㎝×幅1.5~2.8㎝、裂片は狭い三角形で先が尖る。2n=16。花期は晩春。
3 Carpinus cordata Blume サワシバ 沢柴 広義
synonym Carpinus erosa Blume
synonym Carpinus cordata Blume var. microcarpa (Hayashi) Hayashi
日本、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は千金榆 qian jin yu。別名はサワシデ、ヒメサワシバ。山地の沢沿い、谷筋に生える。高木、高さ18m以下。樹皮は灰色~黒灰色、鱗状に裂ける。小枝は褐色~黄褐色、無毛又は若い時にまばらに絨毛があって無毛になるか又は密に短毛と柔毛がある。葉柄は長さ1.5~2㎝、無毛になるか又はまばらな柔毛~密な短毛や綿毛がある。葉身は卵形~卵状楕円形~倒卵状頂楕円形、長さ8~15㎝×幅4~5㎝、下面は中脈にまばら~密に絨毛があるか又は密に短毛や綿毛がある。上面はまばらに絨毛があるか無毛になる。葉の基部は不等の心形、縁は不規則な重鋸歯。葉先は尖鋭形~尾状尖鋭形。側脈は15~20対。雌花序は長さ5~12㎝×幅4~4.5㎝。花序柄は長さ3~4㎝、まばらに淡毛があるか無毛になる。苞は密に重なり、広卵状長楕円形、長さ1.5~2.5㎝×幅1~1.3㎝、外面の基部の髭を除いて無毛。外側の苞の縁は離れた鋸歯で曲がる。内側の苞の縁は離れた鋸歯が先端にあり、長楕円形の基部の裂片が小堅果を包み、脈は5本、かすかな網状脈がある。小堅果は長楕円形、長さ4~6㎜、幅約2㎜、無毛、かすかにうねがある。花期は4~6月。果期は7~8月。2n=16。(FOC)
3-1 Carpinus cordata var. cordata サワシバ 沢柴
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国(甘粛省、河北省、遼寧省、陝西省、山東省、山西省)、ロシア原産。中国名は千斤狱 qian jin yu。標高200~2500mの湿った山地の斜面にある森林に生える。
花序の小枝、葉柄、および花序軸は、若いときは無毛またはまばらに絨毛がある。
3-2 Carpinus cordata Blume var. chinensis Franch. ビロードサワシバ 天鵞絨沢柴
synonym Carpinus cordata Blume var. velutina (Hayashi) Honda
synonym Carpinus cordata Blume f. chinensis (Franch.) Nakai
synonym Carpinus chinensis (Franchet) Pei.日本(北海道、本州の中部以北)、中国(安徽省、甘粛省、貴州省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、四川省、浙江省)原産。中国名は华千金榆 hua qian jin yu。標高700~2400mの湿った山地の斜面にある森林に生える。
花序の小枝、葉柄、花序の軸には密に短毛と絨毛がある。葉は下面の中脈と側脈にまばらに絨毛がある。
3-3 Carpinus cordata var. mollis (Rehder) W.C.Cheng ex F.H.Chen
synonym Carpinus mollis Rehder中国( 甘粛省、寧夏、陝西省)原産。中国名は毛叶千金榆 mao ye qian jin yu。標高1700~2400mの湿った山地の斜面にある森林に生える。
花序の小枝、葉柄、、および花序軸には絨毛が密生する 葉は下面に毛と綿毛が密にある。
4 Carpinus eximia Nakai オオイヌシデ 大犬四手
synonym Carpinus tschonoskii Maxim. var. eximia (Nakai) Hatus.
朝鮮原産。英名はKorean hornbeam。落葉高木、高さ30m以下。樹皮は灰色、幹の直径30~45㎝。葉は卵形~卵状長楕円形、基部は円形~切形近く、先は細く尖り、重鋸歯、長さ7.5~10㎝×幅2.5~3.1㎝、側脈は14~16対、両面に絹毛があり、上面は羽毛状。雌の果時の尾状花序は長さ5~7.5㎝×幅約3㎝。花序柄は絹毛があり、長さ3.3~5㎝。苞は半卵形、長さ3.3㎝×幅1.3㎝、脈に毛がある。小堅果は腺点があり、先に毛がある。
5 Carpinus fangiana Hu, カルピヌス・ファンギアナ
中国西部原産。中国名は川黔千金榆(chuan qian qian jin yu) 。英名はmonkeytail hornbeam。
高さ20m以下。樹皮は暗灰色~灰褐色。小枝は紫褐色、無毛になる。葉柄は無毛、長さ約1.5㎝。葉身は卵状披針形又は楕円状披針形、長さ6~27㎝、幅2.5~8㎝、両面とも中脈と側脈のまばらな絨毛以外は無毛、側脈に腋に毛叢があり、基部は心形類~円形~広楔形、縁は不規則な剛毛状の重鋸歯、先は尖鋭形。側脈は24~34対。雌花序は長さ45~50㎝、幅3~4㎝。花序柄は長さ3~5㎝、密に短毛とまばらに絨毛がある。苞は密に重なり、斜めの楕円形、長さ1.8~2.5㎝、幅1~1.2㎝、紙質、両面の脈上にまばらに絨毛があり、外面は基部に毛があり、外側の縁は離れた鋸歯があり、わずかに屈曲し、内側の縁には下部に離れた微鋸歯があり、小堅果を包む小さい曲がった基部の裂片を持ち、先は鋭形、基部から5脈があり、かすかに網状脈がある。小堅果は長楕円形、長さ約3.5㎜、無毛、かすかにうねがある。花期は5~6月。果期は7~9月。
品種) 'Wharton's Choice'
6 Carpinus hebestroma Yamam. タロコシデ 太魯閣四手
台湾固有種。中国名は太鲁阁鹅耳枥 tai lu ge e er li。標高1000~1500mの山地の斜面の森林に生える。
高さ8m以下。樹皮は暗灰色。小枝は紫褐色委、細く、有毛。葉柄は細く、長さ7~10㎜、有毛。葉身は披針形~卵状披針形、長さ5~5.5㎝、幅1.4~1.5(~1.8)㎝、類無毛、基部は類円形、縁は不規則な鋸歯縁、先は尖鋭形、側脈は11~12対。雌花序は長さ3~3.5㎝、幅約1.5㎝、花序柄は長さ1.5~2㎝、有毛。苞は広半卵形、長さ7~10㎜、幅約5㎜、網状脈にまばらに毛があり、外側の縁は切刻状の歯があり、基部に裂片は無く、内側の縁は全縁、基部に内曲する耳があり、先は鈍形、脈は4~5本。小堅果は卵形、長さ約2.5㎜、幅約1.5㎜、密に毛があり、先に絨毛があり、まばらに樹脂を含む腺があり、うねがある。花期は5~7月。果期は7~9月。
7 Carpinus japonica Blume クマシデ 熊四手
synonym Carpinus japonica Blume var. cordifolia H.J.P.Winkl. オオクマシデ
日本固有種。本州、四国、九州に分布。英名はJapanese hornbeam。別名はイシシデ、カタシデ。丘陵、山地の谷筋に生える。落葉高木、高さ10~15m。幹は黒褐色、若木の樹皮は滑らか、成長するとミミズ腫れ状の模様が入り、老木は裂ける。葉は互生し、長さ5~10㎝の長楕円形、幅がやや狭く、先が尖る。葉の質は薄く、葉脈が深く、裏面に出っ張り、縁は重鋸歯。葉表は無毛、葉裏の脈上には帯褐色の長毛があり、脈腋に毛叢がある。雌雄同株。開花は葉の展開と同時。雄花序、雌花序ともに垂れ下がる。果穂は長さ5~10㎝、葉状の果苞が密生する。果苞は長さ1.5~2㎝、縁に粗い鋸歯がある。堅果は長さ約4㎜の扁平な長楕円形、果苞の基部につく。2n=16。花期は4月。
品種) 'Chinese Lantern'
8 Carpinus kawakamii Hayata アリサンシデ 阿里山四手
synonym Carpinus minutiserrata Hayata
中国(福建省連城県)、台湾原産。中国名は阿里山鹅耳枥 a li shan e er li 。標高500-2000mの亜熱帯林内の日当たりの良い場所に生える。
高木。樹皮は暗灰色。小枝は褐色、無毛又はまばらに短毛がある。葉柄は長さ0.8~1.5㎝、まばらに毛がある。葉身は卵状披針形~長楕円状披針形、長さ4~5㎝、幅1.8~2.5㎝。下面は脈上にまばらに絨毛がある。上面は若い時にまばらに毛があり、無毛になり、基部は類円形~類心形、ときに不等形、縁は規則的な重鋸歯、ときに先が単純な鋸歯状、葉先は尖鋭形又は尾状尖鋭形。側脈は10~15対。雌花序は長さ4~6㎝、幅2~2.5㎝。花序柄は長さ約1㎝、密に毛がある。苞は半卵形、長さ1.8~2㎝、外面に密に毛があり、外側の苞の縁は不規則な粗い歯があり、基部の裂片は無い。内側の苞の縁は類かま形又は真っすぐ、全縁、卵形、曲がった基部の裂片は長さ約3㎜、先は尖鋭形、脈は5本、網状脈が明瞭。小堅果は広卵形、長さ約3㎜、まばらに樹脂質の腺があり、先は密に絨毛があり、うねが6本ある。花期は4~6月。果期は7~8月。
9 Carpinus laxiflora (Siebold et Zucc.) Blume アカシデ 赤四手
synonym Carpinus laxiflora (Siebold et Zucc.) Blume var. longispica Uyeki
synonym Carpinus laxiflora (Siebold et Zucc.) Blume f. macrophylla (Nakai) W.T.Lee
日本、朝鮮原産。別名はコシデ、シデノキ、ソロノキ、コソロ。山野の湿った場所に生える。落葉高木、高さ10~15m。幹は暗灰色、平滑、皮目が多く、老木は樹皮が筋状に窪む。葉は互生し、長さ3~7㎝、幅2~3.5㎝の卵形~卵状楕円形、先が尾状に尖り、基部は円形。若芽が赤色を帯び、特に若葉の付け根や葉柄が赤色になる。葉の質は薄い洋紙質、葉脈が深く、裏面に出っ張り、縁は不揃いの重鋸歯、葉先が尾状に長く尖る。葉表は長い伏毛が散生し、側脈は7~15対、葉裏の脈上、脈腋には細毛がある。葉柄は長さ3~14㎜、雌雄同株。開花は葉の展開と同時。雄花序は長さ4~5㎝で、垂れ下がり、苞や葯が赤色を帯び、黄褐色。雌花序は上向きにつくか、又は垂れ下がる。果穂は長さ4~10㎝、葉状の果苞がやや密に多数つき、熟すと赤色を帯びた黄褐色になる。果苞はイヌシデより小さく、長さ1~1.8㎝、幅も狭く、基部で3裂し、縁に粗い鋸歯がある。堅果は果苞の基部につき、長さ約3.5㎜の扁平な広卵形、表面に縦の筋が7~10本ある。花期は4~5。月
9-1 Carpinus laxiflora (Siebold et Zucc.) Blume f. pendula (Miyoshi) Sugim. シダレアカシデ 枝垂赤四手
10 Carpinus orientalis Mill. オリエンタルシデ
地中海沿岸(アジア西部、ヨーロッパ南東部)原産。英名はOriental hornbeam , Eastern Hornbeam , Turkey hornbeam。
高さ6~7.5m、まれに15mになる。葉は長円状楕円形、長さ5㎝以下(C. betulus= European hornbeam や C. caroliniana = American hornbeam の15㎝よりかなり小さい)、光沢があり、暗緑色、下面は中脈に軟毛がある以外は無毛。花期は春。雌の尾状花序は翼のある小堅果の束をつける。秋遅く、鈍い黄色や赤色に紅葉する。耐乾性がある。
品種) 'Calcarea' , 'Grandifolia' , 'Perdika'
11 Carpinus pubescens Burkill カルピヌス・プベッセンス
中国、ベトナム原産。中国名は云贵鹅耳枥 yun gui e er li。
高さ17m以下、樹皮は褐灰色。小枝は暗褐色、まばらに絨毛があるか無毛になる。葉柄は長さ4~15㎜、まばらに、毛があるか又はほぼ無毛。葉身は長楕円形~長楕円状披針形~卵状披針形~卵状楕円形、まれに卵形~楕円形、長さ5~10㎝、幅2~3.5㎝、下面は脈にまばらに絨毛があり、側脈の腋に毛叢がある。葉の上面は無毛、葉の基部は類円状楔形、~類円形~類心形、ときに不等形、縁は規則的な小さな重鋸歯、葉先は尖鋭形、まれに鋭形。側脈は12~14対。雌花序は長さ5~7㎝、幅1~2.5㎝。花序柄は長さ2~3㎝、まばらに絨毛があるか又は無毛。苞は半卵形、まれに広半卵形、長さ1~2.5㎝、脈にまばらに絨毛があり、外側の縁は不規則な歯状、基部に裂片は無く、内側の縁は全縁、真っすぐ又は類かま形、基部に内曲する耳をもち、先は鈍形又は鋭形、脈は5本、網状脈が明瞭。小堅果は広卵形、長さ3~4㎜、幅2~3㎜、密に毛があり、まれに無毛になり、先には絨毛があり、まばらに樹脂を含む腺があり、うねは目立つ。花期は5~6月。果期は7~9月。
品種) 'Abbotsbury'
12 Carpinus rankanensis Hayata ランカンシデ
台湾原産。中国名は兰邯千金榆 lan han qian jin yu。標高1000~2000mの混合林に生える。
高さ3.5~4m。樹皮は暗灰色。小枝は褐色、無毛。葉柄は長さ5~10㎜。葉身は長楕円形~卵状長楕円形~楕円形、長さ8~10㎝×幅3~4㎝、下面は中脈と側脈に絨毛があり、上面は中脈に小剛毛がある以外は無毛、葉の基部は心形、縁は不規則な剛毛状の重鋸歯、先は尖鋭形又は尾状尖鋭形。側脈は20~25対。雌花序は頂生、長さ10~12㎝。花序柄は長さ2~3㎜、小剛毛がある。苞は密に重なり、卵状長楕円形~披針形、長さ約13㎜×幅約7㎜、外面は基部に髭があり、外側の縁には離れた鋸歯があり、内曲し、基部の裂片は無く、内側の縁は全縁又は先部に離れた鋸歯があり、小さな内曲する裂片があり、小堅果を被い、先は鋭形又は尖鋭形、脈は基部から3本、網状脈はかすか。小堅果は長楕円形又は卵形、長さ約3.5㎜、ごくかすかなうねがある。花期は5~6月。果期は7~8月。
13 Carpinus tschonoskii Maxim. イヌシデ 犬四手
synonym Carpinus fauriei Nakai
日本(本州の岩手県・新潟県以南、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は昌化鹅耳枥 chang hua e er li。別名はシロシデ、ソネ。
落葉高木、高さ10~15m。幹は灰白色、平滑、老木は樹皮に縦筋状に浅い割れ目が入る。若芽は赤色を帯びない。葉は互生し、長さ4~12㎝×幅2~5㎝の卵形~卵状長楕円形。先が鋭形、基部は円形~広いか椀形。側脈は12~16対、裏面に出っ張り、縁は不揃いの重鋸歯。葉裏の脈上と脈腋に毛がある。葉柄は長さ8~15㎜、淡褐色の毛が密生する。雌雄同株。開花は葉の展開と同時。雄花序は長さ約5㎝、垂れ下がり、苞の縁には長毛がある。雌花序は本年度の先又は短枝の腋から垂れ下がる。果穂は長さ4~12㎝、葉状の果苞がまばらに開き気味につく。果苞はアカシデより大きく、長さ2~2.5(3.5)㎝、先が尖り、外側の縁に不揃いの鋭い鋸歯があり、内側はほぼ全縁、基部に小堅果を包むように裂片がある。小堅果は果苞の基部につき、長さ4~5㎜の扁平な広卵形、表面に縦の筋が約10本ある。花期は4~5月。
13-1 Carpinus tschonoskii Maxim. f. pendula Hayashi シダレイヌシデ 枝垂犬四手
14 Carpinus turczaninovii Hance イワシデ 岩四手
synonym Carpinus tanakaeana Makino
synonym Carpinus turczaninovii Hance var. coreana (Nakai) W.T.Lee チョウセンイワシデ
日本(本州中国地方、四国、九州)、朝鮮原産。盆栽に利用される。別名はコシデ。 岩壁、崖地、岩の割れ目などに生える。落葉低木、高さ4m以下。樹皮は暗灰色、浅く縦に裂ける。枝は密に分枝し、当年枝には伏毛がある。葉は互生し、葉柄は細く、長さ2~5㎜、赤色を帯び、軟毛がある。葉身卵形~卵円形、長さ2.5~6㎝×幅1.5~2.5㎝、基部は円形~広楔形、細かい重鋸歯縁、葉先は鋭形、下面は脈上に伏毛があり、脈腋に毛叢があり、上面は無毛になる。側脈は10~13対。托葉は線形で硬く、宿存性、長さ約8㎜。雄花序の苞は赤色で目立つ。雌花序は長さ3~6㎝、苞は4~8個つき、長さ1~1.8㎝、歪んだ卵形、不規則な粗い鋸歯縁。小堅果は卵形、長さ約4㎜、先が尖り、花柱が宿存し、表面に縦の筋がある。花期は4~5月。果期は8~9月。
15 ハイブリッド
(1) Carpinus × schuschaensis
セイヨウシデ Carpinus betulus と オリエンタルシデ Carpinus orientalisの交雑種。
品種) 'Rockhampton Red'
参考
1) Flora of ChinaCarpinus
Carpinus
Carpinus orientalis
Carpinus L.