キオン 黄苑

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Flora of Mikawa

キク科 Asteraceae キオン属

別 名 ヒゴオミナエシ
中国名 林荫千里光 lin yin qian li guang
英 名 alpine ragwort ,wood ragwort
学 名 Senecio nemorensis L.

 synonym Senecio nemorensis L. subsp. fuchsii (C.C.Gmel.) Durand

キオンの花
キオンの花
キオン葉
キオン
キオン葉
花 期 8~9月
高 さ 50~100㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の草地、林縁
分 布 在来種  北海道、本州、四国、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、ヨーロッパ
撮 影 美ケ原高原林道  09.8.21
和名は葉が紫色花のシオンに似て、黄色花であることから。キク科の植物は食べることができるものが多いが、このキオンは猛烈な下痢を起こす毒草である。
 茎は直立する。葉は互生し、長さ5~15㎝、広披針~長楕円形、切れ込みがなく、縁に細かい鋸歯がある。茎頂に直径約2㎝の頭花を散房状に多数つける。総苞は長さ6~7㎜、幅4~5㎜の筒状。総苞片は12~18個。舌状花は4~7(8~10)個、間隔が不均等でやや不定にねじれる。筒状花は15~16個。痩果は長さ4~5㎜。冠毛は汚れた白色、長さ7~8㎜。2n=40。
 ハンゴンソウは花が似て、葉が羽状に3~7深裂する。

キオン属

 family Asteraceae - genus Senecio

 1年草、2年草、多年草、亜低木又は低木、高さ5~100(~250+)㎝(基部の直根で生き残り、ひげ根があり、てい幹は分枝し、又は根茎が類直立~這い、根はしばしば肉質、めったに分枝せず、全体に無毛又は有毛、しばしば花期に無毛になる)。茎は1本又は束生、直立~緩く(1本又は分枝)。葉は根生葉及び/又は茎葉、互生、有柄又は無柄(基部はときに抱茎)。葉身は類掌状~羽状脈、主に卵形~デルタ形~倒披針形~披針形~線形~糸状(ほとんどの中間形)、まれに、類円形(ときに、掌状分裂又は羽状分裂~2・3回羽状中裂)、最終の縁は全縁又は小歯状~鋸歯状~歯状(ときに、比較的多く、硬くなった小歯又は歯をもち)、表面は無毛又は有毛(普通、クモ毛~綿毛、しばしば無毛になる)。頭花は(ときに下向き)普通、放射状頭花(radiate)又は中心小花頭花(discoid)、まれに類円盤型頭花(quasi-disciform)、普通、散房花序~集散花序状、ときに、円錐花序又は総状花序状につき(ときに上部の葉の葉腋に)、ときに花が単生。副咢(calyculi)は普通、1~8+個の小苞(小苞はしばしば、上部の花序柄の苞と交錯され、長さはほとんどが総苞片の長さの1/5~1/2+倍)であり、ときに無い。総苞はほとんどが円筒形~こま形~鐘形、直径5~15(~40)㎜。総苞片は宿存し、普通、(1~)2列に、 ± 5, 8, 13, 又は21[34]個、分離し(縁は連結し)、直立(しばしば、果時に反り返り)、ほとんどが、長円形~披針形~線形、ほぼ等長~等長、縁は、普通、薄膜質。花托は平ら~凸面、凹点があり、パレアは無い。周辺小花は普通、± 5, 8, 13,又は21[34]個、雌しべがあり、稔性、ときに無く、花冠は普通、黄色、ときに黄白色(ochroleucous)~白色、まれに、帯赤色~帯紫色(弁部はときに、かろうじて総苞片を超え、周辺の雌しべをもつ小花は普通、0個、ときに1~8+個、花冠は普通、黄色ときに黄白色~白色)。中心小花は(5~)13~80+個、両性、稔性、花冠は普通、黄色、まれに黄白色~白色~帯赤色~帯紫色、筒部は鐘形ののど部より短く~同長、裂片は5個、直立~反り返り、普通、±デルタ形。花柱の枝は柱頭状で2本の線になり、先は普通、切形のほうき状。痩果は円筒形又は角柱形、普通、5うね又は5角(かど)があり、無毛または有毛(とくに、うねや角の上に多く、毛はときに、粘液性)。冠毛は普通、宿存性(壊れやすく)、ときにすぐに落ち、30~80+本、白色~麦わら色、小芒状~平滑な剛毛状。x=10。
 世界に1000+(1457)種あり、ほぼ全世界の主に暖温帯、亜熱帯、中~高標高の熱帯に分布する。

キオン属の主な種と園芸品種

1 Senecio blochmaniae Greene マツバサワギク 松葉沢菊
 北アメリカ原産。東京都大田区の大井埠頭の路傍で1994年に採集された(参考9)。
 亜低木、高さ45~130㎝(直根は木質の冠を形成)。全体に無毛又はまばらに有毛。茎は普通、多数(上側でアーチ状)。葉は均等につき(しばしば、密につき、下部はしばしば枯れて、垂れ下がる)、無柄又は±有柄。葉身は線状糸形、長さ3~12㎝×幅1~3㎜、基部は±線形、全縁。頭花は5~20個、散房花序につく(総苞は鐘形)。副咢は小苞が0又は1~3+個、槍状デルタ形~線形(長さは総苞片の長さの1/4まで)。総苞片は±13個、長さ7~10㎜、先端は緑色。周辺小花は±8個、花冠の拡大部は長さ8~10㎜。痩果は微細剛毛(灰白軟毛)がある。2n=40。花期は夏~初秋。

2 Senecio crassissimus Humbert シバントウ 紫蛮刀
 マダガスカル原産。英名はvertical-leaf , lavender steps , propeller plant , vertical leaf senecio。別名はシキンショウ 紫金章。
 亜低木、高さ45~80㎝、幅40㎝。茎は直立し、多肉質、太く、灰緑色~紫色、下部に葉痕がある。葉は常緑、紫色の縁取りのある平らな多肉質の銀灰色の大きな葉が垂直に並び、側部が扁平、主に倒卵形だが、外形、サイズ、色は様々で、長さ5~10㎝×幅3㎝×厚さ2~5㎜、ワックス状の銀灰色~帯青色で、縁は鮮やかな紫色になり、外側に向き、脈があり、下部は細くなり、短柄があり、先は硬い微突形。葉に水分を溜める能力があり、霧、霧、または蒸気の形の水分を、葉の表面の数百万の小さな鱗片状の表面から取り込むことができる。花序の柄は頂生し、長さ30~60(~100)㎝、鱗片状の苞葉を持ち、上部で枝分かれして緩い散房花序になり、30個以上の頭花をつける。頭花は直径±6mm。総苞片は約10個。周辺小花は5個またはまれに6個、黄色。中心小花は黄色。花期は真夏~秋または冬。2n=20。

3 Senecio inaequidens DC. シンコウサワギク 新港沢菊
 アフリカ原産。英名はnarrow-leaf ragwort , South African ragwort。別名はダイコクサワギク。神奈川県で確認されたものは多年草で、基部が木化し、葉は長さ3~8㎝×幅2~5㎜、分裂しない。頭花の総苞片は20個ほどつく。ダイコクサワギクは1年草か多年草かは不明。長さ3~8㎝×幅1~5㎜、縁には不明の鋸歯があり、基部は半ば茎を抱く。頭花はシンコウサワギクと同じ。
 亜低木、高さ20~50 (~100) ㎝。茎は基部がしばしば木質、よく分枝し、無毛。葉は単葉、長さ2~5(~7)㎝×幅1~3(5)㎜、無柄、線形、全縁又は間隔が離れた歯状。散房花序に花が多数つき、花は直径(10)15~25㎜。総苞は長さ6~8㎜。総苞片は白色の乾いた薄片と縁飾りをもち、先端が帯褐色。舌状小花は(10)12~15個、舌部は黄金色。中心小花は多数、黄色。果実は毛のある痩果。
 多年草~矮性低木、基部は木質、高さ60(100)㎝まで。茎は直立し、±無毛、しばしば基部から強く分枝する。葉は互生し、長さ3~14㎝×幅0.3 ~ 0.7(1.0)㎝(通常幅5㎜以下)、単葉、線形~線状披針形、鋭形、非常に変化しやすく、縁は小歯~粗く不規則な歯があり、ときに葉柄があり、明るい緑色で、茎の上部では小さくなる。 上部の葉はたまに羽状浅裂し、短い葉柄があるか、ほぼ無柄または無柄。花序は頂生または腋生、円錐花序。 頭花は直径18~25㎜、放射状頭花、1株あたり80~ 100個つく。総苞片は披針形、鋭形、±無毛、竜骨があり、長さ4~7㎜、樹脂質になる(resinous)。総苞片(supplementary bracts)は10~20個、鋭形、±無毛、先端が暗色。周辺小花は長さ7~13㎜、雌性、小舌は明るい黄色、外巻きする。中心小花は多数。 痩果は長さ2~2.5mm、円筒形、うねの間に軟毛がある。冠毛は痩果の長さの2~3倍、白色。(参考11 ブルガリア)

4 Senecio madagascariensis Poir.  ナルトサワギク 鳴門沢菊
  synonym Senecio paludosus auct. non L
  synonym Senecio incognitus Cabrera
 アフリカ、マダガスカル原産。英名はfireweed , Madagascar ragwort。別名はコウベギク 神戸菊。
 1年草又は多年草。高さ20~60㎝。全体無毛。葉は互生し、長さ2~7(10)㎝、幅3~10㎜、先が尖り、縁に鋸歯がある。きわめて変異が多く、葉が線状披針形から羽状に中裂~深裂するものがあり、葉の基部は葉柄状~基部がやや耳状になって茎を抱くものがあるといわれている。花は直径15~20㎜。舌状花は10~15個、普通13個。総苞は直径4㎜以下。総苞片は1列、19~21個、長さ4~5㎜。痩果は長さ1.5~3㎜、褐色、縦肋に短毛がある。冠毛は長さ3.5~6.5㎜。花と痩果が同時にみられる。2n=20。花期は通年。

5 Senecio morrisonensis Hayata ニイタカボロギク 新高襤褸菊
 台湾原産。中国名は玉山千里光 yu shan qian li guang 。林内、林縁、山の斜面、岩が多い川床に生える。
 多年草、根茎がある。茎は単生、直立し、高さ30~60㎝、共生花序より下で分枝せず、基部付近から分枝し、無毛。 基部およびしばしば下部の茎の葉も開花によって枯れます。 茎は多数、半無柄または短い葉柄を残す。 葉身は広披針形~長円形披針形、長さ7~14㎝×幅1.3~3.5㎝、紙質、無毛、基部はくさび形状に漸尖し、縁は分裂せず、まれに鋸歯があり、普通、粗い鋸歯状裂片があるかまたは粗い歯があり、または深く羽状分裂し、長円形の不規則な微突の小裂片がある側裂片を8~10個があり、先は鋭形~尖鋭形または尖鋭状に漸尖する。上部の葉は小さい。頭花は放射状頭花、多数、頂生または頂生および上部に腋生の散房花序つく。花序柄は長さ1~2㎝。小苞は2~3個つき、線形、長さ2~3㎜、まばらに毛があるか、またはほぼ無毛。総苞はほぼ円筒形、長さ4.5~6㎜×幅2~4㎜、萼状。副萼(calyculate)の苞葉は4~5個、線形、長さ約1.5㎜。総苞片は普通13個、長円形、幅0.5~1㎜、草質、無毛、縁には狭い薄膜質があり、先は三角状尖鋭形、ほぼ鈍形、帯紫色の微軟毛がある。周辺小花は5~6個、花冠筒部は長さ約4.5㎜、小舌は黄色、長さ8~9㎜×幅約1.5㎜、4脈があり、3小歯がある。中心小花は14~15個、花冠は黄色、長さ6~6.5㎜、筒部は長さ3.5~4㎜、拡大部は漏斗形、裂片は長円状披針形、長さ約1.5㎜、先は鋭形、パピラがある。葯は長さ約2.5㎜、基部は短く鈍い耳があり、付属体は卵状披針形、葯台(antheropodia:葯の足部分)はかなり広く、基部は徐々に広がる。痩果は円筒形、長さ約3mm、まばらに微細剛毛があるか~ほぼ無毛。花期は6~10月。
5-1 Senecio morrisonensis var. morrisonensis タイトウボロギク
  synonym Senecio taitungensis S.S.Ying
 台湾原産。中国名は玉山千里光 yu shan qian li guang、台東黃菀。森林、岩場の河川敷に生える。
 葉は羽状中裂~羽状深裂し、しばしば粗い小葉状の裂片になる。

6 Senecio nemorensis L. キオン 黄苑
  synonym Senecio nemorensis L. subsp. fuchsii (C.C.Gmel.) Durand 
 北海道、本州、四国、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、ヨーロッパ原産。英名はalpine ragwort , wood ragwort 。中国名は林荫千里光 lin yin qian li guang。別名はヒゴオミナエシ。山地の草地、林縁に生える。
 多年草。高さ50~100㎝。茎は直立する。葉は互生し、長さ5~15㎝、広披針~長楕円形、切れ込みがなく、縁に細かい鋸歯がある。茎頂に直径約2㎝の頭花を散房状に多数つける。総苞は長さ6~7㎜、幅4~5㎜の筒状。総苞片は12~18個。舌状花は4~7(8~10)個、間隔が不均等でやや不定にねじれる。筒状花は15~16個。痩果は長さ4~5㎜。冠毛は汚れた白色、長さ7~8㎜。2n=40。花期は8~9月。
6-1 Senecio nemorensis L. var. dentatus (Kitam.) H.Koyama  ニイタカキオン
  synonym Senecio morrisonensis Hayata var. dentatus Kitam. 

7 Senecio scandens Buch.-Ham. ex D.Don タイキンギク 堆金菊
 日本、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、ミャンマー、タイ、フィリピン原産。中国名は千里光 qian li guang 。
 多年草、攀縁性、根茎がある。茎は長く、曲がりくねり、長さ2~5m、多数、分枝し、有毛又は無毛、古くなると、木質で樹皮が淡色になる。葉柄は長さ0.5~1(~2)㎝、有毛又は類無毛、基部は耳が無く又は小さな耳をもつ。葉身は卵状披針形~狭三角形、長さ2.5~12㎝×幅 (1.5~)2~4.5㎝、両面に短毛があるか又は無毛、羽状脈があり、基部は広楔形、切形、矛形又はまれに心形、縁はまれに類全縁、縁は浅く又は深く、歯状、ときに分枝し、分裂又は羽状中裂し、少なくとも基部付近には2~6個の小さな側裂片があり、先は鋭形~尖鋭形。上部の葉は小さく、披針形又は線状披針形、先は漸尖形。頭花は放射状頭花(radiate)、多数つき、枝は散開し、枝先に複合の密穂花序をつける。枝や花序柄には密~まばらに微軟毛がある。花序柄は長さ1~2㎝、苞があり、普通。1~10個の線状槍形の小苞がある。総苞は筒状鐘形長さ5~8㎜×幅3~6㎜、副咢をもつ。副咢(calyculus)の苞は約8個、線状槍形、長さ2~3㎜。総苞片は12~13個、線状披針形、草質、微軟毛があるか又は無毛、3脈があり、縁は広い薄膜質、尖鋭形で上側の縁と先に微軟毛の縁毛がある。周辺小花は8~10個、花冠筒部は長さ約4.5㎜、舌部は黄色、長楕円形長さ9~10㎜×幅約2㎜、4脈があり、先は鈍形、3歯がある。中心小花は多数、花冠は黄色、長さ約7.5㎜、筒部は長さ約3.5㎜、裂片は卵状長円形、先は鋭形、パピラがある。葯は長さ約2.3㎜、基部に鈍い耳がある。耳は葯台(antheropodia:葯の足部分)の約1/7。付属体は卵状披針形、葯台は長く、基部がわずかに広がる。花柱の枝は長さ約1.8㎜。痩果は円筒形、長さ約3㎜、有毛。冠毛は白色、長さ約7.5㎜。花期は8~4月又は10~12月。2n=20。

7-1 Senecio scandens var. crataegifolius (Hayata) Kitam. タイキンギクモドキ 堆金菊擬

  synonym Senecio crataegifolius Hayata

  synonym Senecio scandens Buch.-Ham. ex D.Don var. crataegifolius (Hayata) Kitam. [Flora of China]

 台湾原産。中国名は山楂叶千里光 shan zha ye qian li guang。標高2100~2900mの山地の斜面に生え、低木を這い登る。
 葉身は小さく、普通、長さ2~3.5㎝×幅約1.5cm、質は厚く、三角形、欠刻状の歯があり、歯は幅広の三角形、ときに基部に小裂片ある。花期は10月~12月。

7-2 Senecio scandens Buch.-Ham. ex D.Don var. incisus Franch. キレバタイキンギク 切葉堆金菊

  synonym Senecio scandens Buch.-Ham. ex D.Don f. incisus (Franch.) Kitam.

 中国、インド、ブータン、ネパール、スリランカ原産。中国名は缺裂千里光 que lie qian li guang
 葉身は羽状中裂又は大きな頂裂片と小さな2~6個の側裂片を基部にもつ。花期は8~2月。

8 Senecio sylvaticus L. アレチボロギク 荒地襤褸菊
 ヨーロッパ、マデイラ島原産。英名はheath groundsel , wood groundsel 。
 1年草。高さ(15~)30~80+㎝、ひげ根のある直根をもつ。全体に微軟毛(毛が多く、巻き毛)がある。茎は1本。葉は均等につき、葉柄がある。葉身は倒卵形~長楕円毛、長さ3~7(~12)㎝×幅1~3(~4)㎝、普通、1~2回羽状分裂し、基部は狭くなり、最終の縁は歯状(上部の葉は同様、抱茎、苞状)。頭花は散房花序に12~24個つく。副咢として小苞が線形~糸状、0又は1~5+個つく。総苞片は±13 (± 21)個、長さ4~7㎜、先端が帯緑色又は小さく黒色になる。種片小花は0又は1~8+個、花冠の舌部は普通、1~2+㎜(かろうじて総苞片を超える)。痩果は有毛(特に、かどの上に多い。)2n=40。花期は晩春~夏(寒冷な北部地域)、冬(南部地域)。

9 Senecio tarokoensis C.I.Peng タロコボロギク
 台湾原産。中国名は太鲁阁千里光 tai lu ge qian li guang。岩が多い石灰岩の尾根に生える。
 多年草、直立、短い根茎がある。茎は直立し、高さ15~75㎝、単純、条線があり、基部に絨毛があり、上部は無毛またはほぼ無毛。葉は葉柄があり、外側に耳がある(exauriculate)。葉柄は長さ3~8㎝、葉身は厚い紙質~革質、下部と中央の茎葉は三角状卵形~披針形、長さ3~9㎝×幅約2.5㎝、下面は絨毛があり、上面はほとんど無毛、基部は鈍形~切形~心形、ときに基部近くに1つまたは2つの小さな側裂片があり、縁は鋸歯~粗い鋸歯または鋸歯状の小裂片があり、先は鋭形、微突形。 上部の茎葉は短柄~ほぼ無柄、葉身は披針形~線形、長さ(3~)4~5㎝×幅(0.3~)1~2㎝、不規則に浅裂~ほぼ全縁。頭花は放射状頭花、頂生の散房花序に緩く、約20個以下つく。花序柄は長さ2.5~6(~12)㎝、細く、ほぼ無毛~まばらに微軟毛があり、斜上する線形で長さ1~4.5㎜の小苞が2~5個、離れてつく。総苞は円筒形、長さ約8㎜×幅5-6㎜、副萼がある(calyculate)。副萼の苞は4~5個、長さ3~3.5㎜。総苞片は約20個、緑色、線状披針形、幅約1.5㎜、無毛~まばらに軟毛があり、縁は膜質、先は紫色を帯び、尖鋭形。周辺小花は8~12個、花冠筒部は長さ約5㎜、小舌は黄色、長さ10~12㎜、4脈がある。中心小花は約40個、花冠は黄色、長さ約6.5㎜、筒部は長さ約2㎜、拡大部は漏斗形、花冠裂片は長さ1.3~1.5㎜、鋭形。葯は長さ1.8~2.2㎜、基部は鈍形、付属体は卵形、鈍形、葯台(antheropodia)の基部はわずかに広がる。花柱の枝は長さ約1.2㎜。痩果は円筒形、長さ3~4㎜、両端がわずかに狭くなる。冠毛は白色、長さ4~5.㎜。花期は3~6月。

10 Senecio vernalis Waldst. et Kit. ハナノボロギク 花野襤褸菊

  synonym Senecio leucanthemifolius subsp. vernalis (Waldst. et Kit.) Greuter

 ヨーロッパ、中央アジア、西アジア、コーカサス原産。英名はeastern groundsel。
 1年草。高さ20~40 (~65) ㎝。茎は直立、真っすぐ、溝があり、普通、下半部で分枝、若い時に密にクモ毛があり、普通、基部が紫色。葉は両面にクモ毛があり、後に無毛になり、ほとんどが黄緑色、花と果実の後にしばしば花が咲く。基部の葉はロゼットになる。茎葉は羽状浅裂~羽状中裂、巻き、無柄、頂裂片は側裂片と同長、最終裂片は卵形、裂片の間には鋸歯がある。葉身は外形が倒卵形、長さ20~30㎜。花は開いた散房花序につく。頭花は直径15~22㎜、総苞は円筒形~鐘形。総苞片は21個、先端が暗色。小苞(bracts of the spinal cord)は6~11個、圧着し、先が黒色。舌状小花は13個、小舌は黄色、まれに欠く(少なくなる)。冠毛は宿存し、果実の長さの約2倍。果実は痩果、褐色、円筒形、長さ2~3㎜、溝がある。

11 Senecio viscosus L. ネバリノボロギク 粘り野襤褸菊
 ユーラシア原産。北アメリカに帰化している。日本でも帰化が報告されている(参考9)。ノボロギクに似た一年草で、全草に顕著な腺毛を密布し、粘着する。
 1年草、高さ(10~)20~40(~60)㎝、直根をもつ。全体に腺毛をもつ。茎は1本。葉は均等につき、葉柄がある。葉身は倒卵形~長楕円形(羽状全裂~羽状中裂)、長さ2~7㎝×幅1.5~4㎝、基部は狭くなり又は±切形、最終の縁は波状又は円鋸歯状歯状(上部の葉は無柄、小さく、±抱茎)。頭花は不規則な散房花序状に (1~)3~8(~30)個つく。 2~5個(最大4㎜)の小苞の副咢(Calyculi)がある。総苞片は(±13)±21個、長さ5~7㎜、先端が黒色。周辺小花は± 13個。花冠の花弁は長さ1~2㎜(普通、コイル状に巻き、わずかに総苞片を超える)。痩果は普通、無毛、ときに、有毛。2n=40。花期は春~秋。

12 Senecio vulgaris L. ノボロギク 野襤褸菊
 ヨーロッパ原産。英名はcommon fireweed , common groundse , groundsel。中国名は欧洲千里光 ou zhou qian li guang。世界中に帰化しており、日本には明治の始めに渡来した。現在では普通に見られる。
 1年又は越年草。高さ20~50(60)㎝。茎は紫褐色を帯び、茎や葉に白いくも毛がある。葉は互生し、長さ2~10㎝×幅0.5~2(4)㎝、柄がなく、不規則な羽状に分裂する。頭花は筒状花のみ。筒状花の花冠は黄色、長さ5~6㎜。開花は春に一番多いが、通年見られる。総苞は長さ6~7㎜、幅2~4㎜。総苞片は18~22個、長さ4~6㎜。小苞の先に濃紫色の点がある。痩果は長さ2~2.5㎜。冠毛は長さ6~7㎜。2n=40。花期はほぼ通年。

【ヤコバエア(Jacobaea)属に移動されたもの】

1 Senecio ambraceus Turcz. ex DC. オオバナコウリンギク⇒Jacobaea ambracea (Turczaninow ex Candolle) B. Nordenstam

2 Senecio argunensis Turcz. コウリンギク ⇒Jacobaea erucifolia subsp. argunensis (Turcz.) Veldkamp

3 Senecio cineraria DC. シロタエギク ⇒Jacobaea maritima (L.) Pelser & Meijden

  synonym Senecio bicolor (Willd.) Tod. subsp. cineraria (DC.) Chater

4 Senecio cannabifolius Less. ハンゴンソウ⇒Jacobaea cannabifolia (Lessing) E. Wie

4-1 Senecio cannabifolius Less. f. integrifolius (Koidz.) Kitag. ヒトツバハンゴンソウ

  synonym Senecio cannabifolius Less. var. integrifolius (Koidz.) Kitam.
  synonym Senecio litvinovii Schischk. 

5 Senecio jacobaea L. ヤコブボロギク⇒Jacobaea vulgaris Gaertn

6 Senecio pseudoarnica Less. エゾオグルマ⇒Jacobaea pseudoarnica (Less.) Zuev


ヤコバエア属

 family Asteraceae - genus Jacobaea

 ヤコバエア属(Jacobaea)はキオン属(Senecio)から多系統に分離され、最近の分子的な研究により、分離が確認されている(Pelser et. al. 2002; Mabberley 2008)。属の立場は交雑の挙動により支持され、Jacobaea属の中にいくつかのハイブリッドがある。一方、Jacobaea属とSenecio属との間のハイブリッドは無い。しかしながら、両属は形態学的には差がほとんどんなく、Stace (2010) に従えば、両属は一緒に特定される最高のものである。Jacobaea属においては内総苞片の数が舌状弁の数とほぼ等しい。一方、Senecio属においては内総苞片の数は舌状弁の数の約1.5~2倍である。さらに、Jacobaea属においては痩果の表面に細かいパピラがあるが、Senecio属では普通、平滑である。Jacobae属ではほとんどが2年生又は多年性である。
 世界に約35種があり、ユーラシアに分布する。

参考

1) GRIN
 Senecio
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=11063
2) Flora of North America
 Senecio
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=130085
3) New Zealand Plant Conservation Network
 Jacobaea vulgaris
http://www.nzpcn.org.nz/flora_details.aspx?ID=2748
 Jacobaea maritima
http://www.nzflora.info/factsheet/taxon/Jacobaea-maritima.html
 Jacobaea aquatica
http://www.nzflora.info/factsheet/taxon/Jacobaea-aquatica.html
4) Flora of China
 Jacobaea vulgaris
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=242348344
5) Manual of the Alien Plants of Belgium
 Jacobaea
http://alienplantsbelgium.be/content/jacobaea
6)Senecio vernalis
 Senecio vernalis
https://plantevaernonline.dlbr.dk/cp/graphics/Name.asp?id=djf&Language=en-la&TaskID=1&DatasourceID=1&NameID=12
7)SENECIO VERNALIS Waldst. et Kit. / star?ek jarny Botany.CZ
 Senecio vernalis チェコ語
https://botany.cz/cs/senecio-vernalis/
8)LLIFLE - Encyclopedia
 Senecio crassissimus Humbert
http://www.llifle.com/Encyclopedia/SUCCULENTS/Family/Asteraceae/29042/Senecio_crassissimus
9)植物研究雑誌,70(4):235-238(1995)
 マツバサワギク(新称)、ネパリノボロギク(新称)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_070_235_238_d.pdf
10)FLORA KANAGAWA Jan. 10. 2000 No. 49
 Senecio属の未同定2種 (キク科) 569-570
http://flora-kanagawa2.sakura.ne.jp/fk/fk49.pdf
11)PHYTOLOGIA BALCANICA 15(3):373–375 Sofia,2009
Senecio inaequidens (Asteraceae): a new alien species for the Bulgarian flora
file:///C:/Users/haovo/Downloads/Senecio_inaequidens_Asteraceae_a_new_alien_species.pdf