カワラマツバ 花河原松葉

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Flora of Mikawa

アカネ科 Rubiaceae ヤエムグラ属

別 名 白花のキバナカワラマツバ
中国名 白花蓬子菜 bai hua peng zi cai
学 名

Galium verum subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz. var. asiaticum Nakai f. lacteum (Maxim.) Nakai

 synonym Galium verum L. subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz.

 synonym Galium verum L. 広義

 synonym Galium verum var. lacteum Maximowicz

 synonym Galium verum f. lacteum (Maxim.) Nakai

カワラマツバの花序
カワラマツバの花
カワラマツバの花2
カワラマツバの花柱
カワラマツバの子房
カワラマツバの果実
カワラマツバ
カワラマツバ葉
花 期 7~8月
高 さ 30~80㎝
生活型 多年草
生育場所 日当たりのよい草地、道端
分 布 在来種 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア
撮 影 御津町  11.6.15
カワラマツバはアカネ科ヤエムグラ属の多年草。和名は河原に生え、葉が松葉のようであることから。カワラマツバは広義にはGalium verum L.である。狭義にはキバナカワラマツバ Galium verum subsp. asiaticum の白花品種(f. lacteum)とされてきたが、POWOではキバナカワラマツバに含め、白花のキバナカワラマツバとして扱う。河原だけでなく道端や草地に生える。

1 Galium verum L. カワラマツバ 広義

  synonym Galium floridum Salisb.
  synonym Galium verum subsp. euverum Hyl.
  synonym Galium verum var. typicum Rouy
 日本、韓国、中国(安徽省、甘粛省、河北省、黒竜江省、河南省、湖北省、江蘇省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、青海省、陝西省、山東省、山西省、四川省、新疆ウイグル自治区、西蔵、浙江省)、モンゴル、ロシア、インド、パキスタン、カシミール、カザフスタン、キルギス、トルクメニスタン、ウズベキスタン、南西アジア、ヨーロッパ(全域)、アイスランド、北西アフリカ(モロッコ、アルジェリア、チュニジア)原産。中国名は蓬子菜 peng zi cai。英名はlady's bedstraw。海抜0~4100m付近までの山地、草原、牧草地、河岸、開けた野原、溝の側、川岸、湿地、森林、茂み、谷間に生える。北アメリカに帰化している。
 多年草、根茎と地下茎を持つ。茎は直立し、高さ(5~)15~70(~120)㎝、4角(かど)があり、密に微軟毛(puberulent)、微絨毛(villosulous)または微細粗毛(hirtellous)があり~稀に無毛で平滑。葉は茎の中央部に6~12枚が輪生し、無柄である。葉身は乾くと紙質~ほぼ革質、しばしば黒色になり、上面はやや光沢があり、下面はより色が淡色で、線形~線状長楕円形、長さ10~30(~50)㎜×幅1~2(~2.5)㎜、上面は無毛~密に毛があり、平滑~まばらに小刺がある(aculeolate)、下面は普通密に微軟毛~綿毛があり、まれに無毛になるかまたは無毛、基部は鋭形~楔形、縁は通常強く外巻きし、後ろ向きの小刺があり、先は鋭形で短い微突形で、先端は長さ1.5㎜以下、葉脈は1本。花序は密錘花序(thyrsoid)または円錐花序、頂生および腋生の集散花序には少数~多数の花がつき、やや密で、小苞がある。花序軸には通常密に微軟毛、微細粗毛があり、まれに無毛、平滑。苞は葉状±、長さ1.5~3㎜。小花柄は長さ1~3㎜。花は芳香があり、両性。子房は楕円形~ほぼ球形、長さ0.5~0.8㎜、無毛~密に毛が生え、直立する毛状突起がある。花冠は黄色~白色、輻状花冠(rotate)、直径約3㎜、無毛、3/4以上分裂し、裂片は4個、披針状長楕円形、ほぼ鈍形、鋭形~小突形。分果は楕円形で横に扁平、長さ1.5~2㎜、無毛~密に微細剛毛があり(hispidulous)、直立した毛状突起がある。花期は4~8月。果期は5~10月[Flora of China]。
 POWOでは5亜種、1変種に分類している。POWOでは狭義のキバナカワラマツバに狭義のカワラマツバを含めて(果実に毛にないもの)キバナカワラマツバ subsp. asiaticumとし、それ以外の日本で見られるものは広義のエゾノカワラマツバ Galium verum subsp. verumに含めている。果実に毛が無く、日本を分布域に含まないオオカワラマツバ(Galium verum var. trachyphyllum Wallroth. 粗糙蓬子菜 cu cao peng zi cai)はPOWOではGalium verum subsp. verumのsynonymとされている。

1-1 Galium verum subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz. キバナカワラマツバ 黄花河原松葉

  synonym Galium verum var. asiaticum Nakai in J. Jap. Bot. 15: 344 (1939) キバナカワラマツバ

  synonym Galium lacteum (Maxim.) Pobed. in V.L.Komarov, Fl. URSS 23: 718 (1958)

  synonym Galium verum var. lacteum Maxim. カワラマツバ 白花蓬子菜 bai hua peng zi cai 花は白色

  synonym Galium verum f. lacteum (Maxim.) Nakai in Bot. Mag. (Tokyo) 34: 50 (1920)

  synonym Galium verum f. nikkoense (Nakai) Ohwi in Bull. Natl. Sci. Mus. Tokyo 33: 86 (1953)

  synonym Galium verum var. nikkoense Nakai ニッコウカワラマツバ 日光蓬子菜 ri guang peng zi cai

 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国(安徽省、甘粛省、河北省、黒龍江省、河南省、湖北省、江蘇省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、山東省、山西省、四川省、浙江省)、ロシア原産。中国名は长叶蓬子菜 chang ye peng zi cai。別名はカワラマツバ、キバナノカワラマツバ、ウスイロカワラマツバ、オオキバナノカワラマツバ標高100~1700m以下の山地の草原、開けた野原、河岸に生える。
 多年草、根茎と地下茎を持つ。茎は直立し、丈夫で、高さ(5~)15~70(~120)㎝、茎はヤエムグラ属には珍しく、断面が円形、密に微軟毛または絨毛があり~稀に無毛で平滑。葉は茎の中央部に6~10枚が輪生し、無柄である。葉身は乾くと紙質~ほぼ革質、しばしば黒色になり、上面はやや光沢があり、下面はより色が淡色で、線形~線状長楕円形、長さ10~30(~70)㎜×幅1~2(~2.5)㎜、上面は無毛、平滑またはザラつき~まばらに小刺がある(aculeolate)、下面は普通密に白色の微軟毛~綿毛があり、基部は鋭形~楔形、縁は通常外巻きし、後ろ向きの小刺があり、先は鋭形で短い微突形で、先端は長さ1.5㎜以下、葉脈は1本。花序は密錘花序(thyrsoid)または円錐花序、頂生および腋生の集散花序には少数~多数の花がつき、やや密で、小苞がある。花序軸には通常密に微軟毛、微細粗毛があり、まれに無毛、平滑。苞は葉状±、長さ1.5~3㎜。小花柄は長さ1~3㎜。花は芳香があり、両性。子房は楕円形~ほぼ球形、長さ0.5~0.8㎜、無毛~密に毛が生え、直立する毛状突起がある。花冠は黄色(キバナカワラマツバ 狭義)~緑白色~白色(カワラマツバ)、輻状花冠(rotate)、直径約3㎜、無毛、3/4以上分裂し、裂片は4個、披針状長楕円形、ほぼ鈍形、鋭形~小突形。分果は楕円形で横に扁平、長さ1.5~2㎜、無毛~密に微細剛毛があり(hispidulous)、直立した毛状突起がある。花期は(4)6~8月。果期は(5)6~10月。山崎(Fl. Japan 3a: 240. 1993)によると、Galium verum subsp. asiaticumにはGalium verumの日本型がすべて含まれ、より長い葉と粗毛がある(微細な軟毛ではない)茎によって典型的な亜種(subsp. verum)と区別される(Flora of China)。

1-2 Galium verum subsp. glabrescens Ehrend. ガリウム・ベルム・グラブレッセンス

  synonym Galium bassitense J.Thiébaut
 イラン、イラク、レバノン・シリア、トルコ原産。標高700~1800mの岩の多い斜面、低木林、耕作地に生える。茎、花序、葉の裏面が無毛になる~無毛の亜種。
 有茎性の多年草、高さ(20~)50~120㎝。茎は一般に多数、直立または斜上、単枝またはまれに分枝、±円柱形で4本の隆起した線があり、無毛。葉は(6~)8~12輪生し、長さ(10~)15~30(~40)㎜×幅0.5~l(~2)㎜、倒披針状線形~ほぼ糸状、先は短い尖鋭形、縁は強く外巻きし、ザラつき、上面はわずかにザラつく~有毛、下面は無毛、乾くとしばしば黒色になる。花序は長楕円形~卵形、密、±葉があり、短くやや広がる枝があり、密に微軟毛があるか無毛。小花柄は長さ約1-2㎜、細く、果時に散開する。苞は長さ1~2㎜、披針形。花冠は黄金色、輻状花冠(rotate)、直径2~3.5㎜、裂片は卵状披針形、先は鋭形~短い小突形。分果は直径1~1.5 ㎜、細かい顆粒状、無毛ときに有毛。

1-3 Galium verum var. hallaensis K.S.Jeong & K.Choi ガリウム・ベルム・ハルラエンシス

  synonym Galium pusillum Nakai
  synonym Galium verum var. hallasanense M.Kim
 朝鮮原産。済州島固有種。ハルラ山の水辺に生える。
 高さ10~20㎝。茎は基部が平伏し、弱く、多数分枝し、細かい毛がある。葉は線形、主茎には各節に2枚の葉と5~9枚の托葉が輪生し、長さ6~8㎜、無毛、縁が外巻きする。枝では葉は6または4輪生し、長さ3~5㎜で無毛、縁が外曲する。花は黄色で小型、枝先に集まって円錐形の花序を形成する。花序柄は長さ2mm。花冠は直径2mm、4裂し、裂片は卵形、先が尖る。子房は無毛。雄しべは4本、長さ1㎜。、葯と雄しべの花糸は長さがほぼ同じで、花柱は2分岐し、無毛。柱頭は点状。果実は小型で、2個ずつつき、無毛。

1-4 Galium verum subsp. meridionale F.M.Vázquez & Crystal ガリウム・ベルム・メリディオナレ

 スペイン原産。小川の縁に生える。
 多年草、下部の節は木質化し、通常は根を張り、多数の茎を出し、無毛~上半分に毛があり、2~3種類の毛状突起がある。毛の長さは短いものは0.01㎜まで。長いものは0.1㎜以下で、一部のものはほとんどが曲がった後ろ向きの毛で、長さ0.08㎜以下、乾くと帯灰色~わずかに粉白色、生え際は乾くと黒くなる。茎は長さ85㎝まで、直立し、単純、または短い枝があり、特に花序に近い上半分に枝がある。 葉は長さ(3)4~16(18)㎜×幅0.2~0.8(1)㎜、6~9(12)輪生し、真っすぐな線形、先の3分の1で直立し、中間3分の1で開出~後屈し、茎の基部3分の1で後屈し、縁は外巻きし、1本の明瞭な中脈があって下面で目立ち、上面と下面はザラつき、上面は明るい緑色、下面は帯灰色~わずかに粉白色、先には小突形がある(apiculate)。 花は円錐形の頂生の花序に集まり、線形~長楕円形、長さ(3)5~14(16)㎝、密。花は小花柄が長さ(0.4)0.6~1.3(1.5)㎜、剛毛があり、線状披針形の小苞が基部につき、長さ0.15㎜まで剛毛があり、先には長さ0.2㎜に達する突起(aculeus)がつく。花冠は直径1.5~2.5㎜、輻状花冠(rotate)、花弁は基部で融合し、成熟すると反り返り、花弁の先端は内側に曲がり、先端は長さ0.1㎜までの微突があり、通常花弁の下側には微細剛毛があり、毛は長さ0.05㎜以下、淡黄色~レモンイエロー。花冠筒部は長さ0.1~0.2㎜。雄しべは4本、後屈し、花糸はは花冠筒部に0.2~0.3㎜融着し、長さ(0.4)0.5~0.7㎜。葯は長さ0.2~0.4㎜、黄色。子房は長さ0.3~0.6㎜、卵形、通常は微細剛毛があり、毛は長さ0.03㎜以下。花柱は長さ0.5㎜以下。柱頭は球形。分果は長さ0.6~0.9㎜、ほぼ卵形、帯黒色、背に長さ0.03㎜以下の微細剛毛があり、他は平滑。花期は6~7(8)月。

1-5 Galium verum subsp. verum エゾノカワラマツバ 蝦夷の河原松葉

  synonym Galium verum var. tomentosumm C. A. Meyer エゾノケカワラマツバ 毛蓬子菜 mao peng zi cai

  synonym Galium verum var. trachycarpum DC. エゾノカワラマツバ 狭義 毛果蓬子菜 mao guo peng zi cai

  synonym Galium luteum var. brachycarpum (DC.) St.-Lag

  synonym Galium verum var. trachyphyllum Wallroth オオカワラマツバ 粗糙蓬子菜 cu cao peng zi cai 果実は無毛、ヨーロッパにも分布

  synonym Galium verum var. leiophyllum Wallroth ウスイロカワラマツバ 淡黄蓬子菜 dan huang peng zi cai 果実は無毛、ヨーロッパにも分布

  synonym Galium verum f. tomentosum (C.A.Mey.) Nakai in Bot. Mag. (Tokyo) 34: 50 (1920) エゾノケカワラマツバ 果実は有毛、ヨーロッパにな無い

  synonym Galium verum f. album H.Hara in J. Jap. Bot. 10: 368 (1934) チョウセンカワラマツバ 花は白色

  synonym Galium ruthenicum Willd.

  synonym Galium verum var. intermedium Nakai in Rep. Veg. Diamond Mountains: 185 (1918) ウスキカワラマツバ=エゾノカワラマツバ

  synonym Galium verum var. japonalpinum Nakai in J. Jap. Bot. 15: 343 (1939) タカネカワラマツバ⇒キバナカワラマツバ

  synonym Galium verum var. luteum (Lam.) Nakai in Bot. Mag. (Tokyo) 34: 49 (1920). キバナノカワラマツバ⇒キバナカワラマツバ

  synonym Galium verum var. praecox Nakai in J. Jap. Bot. 15: 343 (1939).  キバナノカワラマツバ⇒キバナカワラマツバ

 ※キバナノカワラマツバはキバナカワラマツバ変更され、Galium verum subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz.のsynonymである。タカネカワラマツバとウスイロカワラマツバはキバナカワラマツバの別名とされる。オオカワラマツバは日本には分布しないが朝鮮、中国、ヨーロッパに分布し、果実が無毛である。Galium luteumの引用は、フランス産のタイプに基づくG. verumの古くから知られている同義語であり、W. C. Chen (引用元: 266) に従っている。Ehrendorfer et al. (引用元: 200–201) は、G. verum subsp. verum 内に、密度と毛の分布によって区別される2つの形態、すなわち無毛の子房と果実を持つ f. veruと、毛のある子房と果実を持つ f. subpubescensを認識したものである。したがって、彼らの f. subpubescens cor は、Cufodontis(引用元: 216–219)とW. C. Chen (引用元: 268–269) の var. tomentosum(エゾノケカワラマツバ)と var. trachycarpum(エゾノカワラマツバ) に対応する[Flora of China]。
 日本(北海道、本州)、韓国、中国(安徽省、甘粛省、河北省、黒竜江省、河南省、湖北省、江蘇省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、青海省、陝西省、山東省、山西省、四川省、新疆ウイグル自治区、西蔵、浙江省)、モンゴル、ロシア、インド、パキスタン、カシミール、カザフスタン、キルギス、トルクメニスタン、ウズベキスタン、南西アジア、ヨーロッパ(全域)、アイスランド、北西アフリカ(モロッコ、アルジェリア、チュニジア)原産。中国名は蓬子菜 peng zi cai。海抜4000m付近までの山地の岩場、河岸、野原、溝の側、草原、牧草地、茂み、森林、海岸の草地などに生える。北アメリカおよびその他の地域に帰化している。  多年草、根茎と地下茎を持つ。茎は直立し、高さ20~70(~100)㎝、4角(かど)があり、密に微軟毛(puberulent)、微絨毛(villosulous)または微細粗毛(hirtellous)があり~稀に無毛で平滑。葉は6~12枚が輪生し、無柄である。葉身は乾くと紙質~ほぼ革質、しばしば黒色になり、上面はやや光沢があり、下面はより色が淡色で、線形~線状長楕円形、長さ10~30(~50)㎜×幅0.5~3㎜、上面は無毛~密に毛があり(エゾノケカワラマツバ)、平滑~まばらに小刺がある(aculeolate)、下面は普通密に微軟毛~綿毛があり、まれに無毛になるかまたは無毛、基部は鋭形~楔形、縁は通常強く外巻きし、後ろ向きの小刺があり、先は鋭形で短い微突形で、先端は長さ1.5㎜以下、葉脈は1本。花序は密錘花序(thyrsoid)または円錐花序、頂生および腋生の集散花序には少数~多数の花がつき、やや密で、小苞がある。花序軸には通常密に微軟毛、微細粗毛があり、まれに無毛、平滑。苞は葉状±、長さ1.5~3㎜。小花柄は長さ1~3㎜。花は芳香があり、両性。子房は楕円形~ほぼ球形、長さ0.5~0.8㎜、無毛~密に毛が生え、直立する毛状突起がある。花冠は黄色(エゾノカワラマツバ)~淡黄色(ウスキカワラマツバ)~白色(チョウセンカワラマツバ)、輻状花冠(rotate)、直径2~3㎜、無毛または有毛(シナノカワラマツバ)、3/4以上分裂し、裂片は4個、披針状長楕円形、ほぼ鈍形、鋭形~小突形。分果は楕円形で横に扁平、長さ1.5~2㎜、密に微細剛毛があり(hispidulous)、直立した毛状突起がある。花期は5~9月(日本では6~8月)。果期は6~10月。

1-6 Galium verum subsp. wirtgenii (F.W.Schultz) Oborny ガリウム・ベルム・ベルムウィルトゲニー

  synonym Galium vernum var. wirtgenii (F.W.Schultz) Nyman
  synonym Galium wirtgenii F.W.Schultz
  synonym Galium hypanicum Klokov
  synonym Galium verum var. praecox Láng ex Hagenb.
  synonym Galium verum subsp. praecox (K. H. Lang) Petr.
 モンゴル、ロシア、ウクライナ、バルト諸国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、アルバニア、チェコスロバキア、フランス、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、ポーランド、スイス原産。英名はWirtgen's Bedstraw。野原、牧草地、道端、荒れ地に生える。
 多年草、群生する。根は長くよく枝分かれし、しばしば、木質の根茎を持つ。茎は硬くて真っ直ぐ、高さ30~80㎝、通常は分枝しないかまたはまばらに分枝し、通常は短い毛があり、または無毛、しばしば赤く膨れ、中央の茎部分は葉より1.5~2.5倍長い。葉と托葉は6~9個の輪生で多数つき、線形~線状披針形、先が尖り、縁が中脈まで巻き上がることはほとんどない。花序は頂生、まばらに分枝し、短縮した円筒形、花序の枝は通常節間より短く、小花柄は長さ1~2㎜。花冠は丸く、黄金色で、芳香は無く、約2/3分裂し、裂片は平開する。分果は腎形、表面に規則正しく並んだ疣状突起がある。2n=22。

YListのGalium verum L. subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz.の分類

 YListでは日本に見られるものをすべてGalium verum L. subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz.に入れ、果実に毛にないものをvar. asiaticum、果実に毛のあるものをvar. trachycarpumに分類し、さらに花の色などで品種に細分類している。POWOではキバナカワラマツバに狭義のカワマツバを含めて(果実に毛にないもの)subsp. asiaticumとし、それ以外の日本で見られるものはGalium verum subsp. verumに含めている。果実に毛が無く、日本を分布域に含まないオオカワラマツバ(Galium verum var. trachyphyllum Wallroth. 粗糙蓬子菜 cu cao peng zi cai)はPOWOではGalium verum subsp. verumのsynonymとされている。

(1) Galium verum L. subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz. var. asiaticum Nakai f. lacteum (Maxim.) Nakai カワラマツバ 河原松葉 狭義

  synonym Galium verum L. var. asiaticum Nakai f. nikkoense (Nakai) Ohwi

  synonym Galium verum L. var. lacteum (Maxim.) Maxim. ex Makino  in Bot. Mag. (Tokyo) 34: 49 (1920)

  synonym Galium verum L. forma lacteum (Maxim.) Nakaiin Bot. Mag. (Tokyo) 34: 49 (1920)

  synonym Galium verum L. var. nikkoense Nakai ニッコウカワラマツバ
  synonym Galium ruthenicum Willd. 
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は 白花蓬子菜 bai hua peng zi cai 。当たりのよい草地、道端に生える。花が白色。子房・果実は無毛。
 多年草。高さ30~80㎝。茎はヤエムグラ属には珍しく、断面が円形、直立する。葉は長さ2~3㎝の線形で、2個が対生し、同形の托葉がつき、6~10個の輪生となる。葉の上面は光沢があり、縁は下向きに曲がり、下面に短縮毛があり、先に短い刺がある。葉腋に円錐花序をつける。花冠は直径約2㎜、白色、4裂し、基部から平開する。花冠の下に2球を接したような丸い子房があり、子房は無毛。果実は直径1~1.5㎜、無毛。花期は7~8月。

(2) Galium verum L. subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz. var. asiaticum Nakai f. luteolum Makino キバナカワラマツバ 黄花河原松葉 狭義

 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシアに分布。別名はキバナノカワラマツバ、ウスイロカワラマツバ、オオキバナノカワラマツバ。日当たりの良い草地に生える。黄色花、子房無毛。
 多年草、高さ30~80㎝。茎はヤエムラ属には珍しく、断面が円形、直立する。葉は長さ2~3㎝の線形、2個が対生し、同形の托葉がつき、6~10個の輪生となる(ヤエムグラ属の特徴)。葉の下面に短毛が生え、茎にも細い毛が生える。葉腋から円錐花序を出し、多数の花をつける。花冠は直径約2㎜、黄色、4裂し、開出する。花冠の下の子房は無毛。果実は無毛。2n=44。花期は7~8月。

(3) Galium verum L. subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz. var. trachycarpum DC. エゾノカワラマツバ 蝦夷の河原松葉

  synonym Galium verum var. trachycarpum DC. 毛果蓬子菜 mao guo peng zi cai

  synonym Galium verum var. intermedium Nakai ウスキカワラマツバ

  synonym Galium verum L. var. trachycarpum DC. f. intermedium Nakai 
 北海道、本州、南千島、朝鮮、中国、ロシア、サハリン、ヨーロッパにかけて広く分布する。中国名は毛果蓬子菜 mao guo peng zi cai。岩場や裸地、草地など日当たりの良い場所に生える。ヨーロッパでは根を赤色染料とし、茎の搾り汁をチーズ製造に利用した。
 茎や葉には毛がある。花は黄色または淡黄色。子房、果実に毛がある。花期は6~7月。果期6~9月。

(4) Galium verum L. subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz. var. trachycarpum DC. f. album Nakai チョウセンカワラマツバ 朝鮮河原松葉

  synonym Galium verum var. album Nakai
  synonym Galium verum L. var. lacteum auct. non Maxim
 北海道、本州に分布。里や山地の乾いた草地に生える。
 エゾノカワラマツバの花が白色の品種。子房有毛。

(5) Galium verum L. subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz. var. trachycarpum DC. f. shinanense Hiyama シナノカワラマツバ 信濃河原松葉

 花は白色、子房有毛。花冠に毛がある以外はチョウセンカワラマツバに一致する。
 茎は根元から毛が密生する。葉の上面には毛がある。花序には白い毛が生える。花冠は白色、外側には細柔毛(pilose)が生える。子房には絨毛がある。チョウセンカワラマツバの子房の毛は株によって長短があり、長いものでは 0.4㎜位のものさえときに見られるが、シナノカワラマツバの標本では0.15㎜位である。花柱は下部または中央よりやや下で 2岐するものが多いが、よきに上部で分岐するものも見られる。これらは同一品種中に起るばかりでなく、同一株でさえ不定のことが稀ではない。

(6) Galium verum L. subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz. var. trachycarpum DC. f. tomentosum Nakai エゾノケカワラマツバ 蝦夷の毛河原松葉

  synonym Galium verum L. var. tomentosum (Nakai) Nakai
 北海道、千島、サハリン、中国に分布する。中国名は毛蓬子菜 mao peng zi cai。
 茎は全部に密毛がある。葉の上面には小刺突起または刺毛がある。花冠は黄金色。子房、果実に毛がある。花果期6~9月。