ジンチョウゲ 沈丁花

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Flora of Mikawa

ジンチョウゲ科 Thymelaeaceae ジンチョウゲ属

別 名 チンチョウゲ
中国名 瑞香 rui xiang
英 名 winter daphne
学 名 Daphne odora Thunb
ジンチョウゲ花序
ジンチョウゲ花
ジンチョウゲ蕾
ジンチョウゲ幹
ジンチョウゲ
ジンチョウゲ葉表
ジンチョウゲ葉裏
花 期 3~5月
高 さ 0.3~1.5m
生活型 常緑低木
生育場所 栽培種
分 布 外来種 中国、台湾、ベトナム原産。中国、日本で広く栽培され、自生地は不明で、原産地は曖昧。
撮 影 西尾市  21.3.10
ジンチョウゲは中国と日本で古くから、栽培されている。中国、台湾、ベトナム原産と推定されているが、中国の自生地が無く、原産地は曖昧とされている。中国名は瑞香(rui xiang)。和名は花の香りが香木の沈香に似て、花の形が丁字に似ていることに由来する。コショウノキより花数が多く、花序が球形になる。
 ジンチョウゲ属の種は約100種あり、自然交雑種も多く、ハイブリッドの園芸品種も多数、作り出されている。
 常緑低木、高さ1.5m以下。枝は紫赤色~紫褐色、丈夫で無毛。葉は互生、葉柄は長さ4~5㎜、無毛又はまばらに微軟毛がある。葉身は倒卵形~倒卵状楕円形、長さ63~13㎝、幅2.5~5㎝、革質、両面とも無毛、基部は楔形、先は類鋭形、しばしば、微突頭、側脈は7~13対。花序は頂生、頭状花序、花が12(~20)個つく。苞は披針形~卵状披針形長さ5~12㎜、幅2~4㎜、無も負う。花は芳香がある。萼は外側が紫赤色~白色、萼筒は長さ6~10㎜、外側は無毛。萼片は4個、卵形~卵状披針形、長さ6~12㎜、基部は耳状、先は鈍形。雄しべは8個、下側の輪の雄しべは萼筒の中間のすぐ上につき、上側の輪の雄しべはのど部につく。花糸は長さ約0.7㎜。葯は長楕円形、長さ約2㎜、上側の葯は萼筒から1/2突き出る。花盤は環状、非常に狭い。子房は長楕円形、無毛。花柱は短い。柱頭は頭状。核果は深紅色、無毛、長さ約8㎜。花期は3~5月。果期は7~8月。

ジンチョウゲ属

  family Thymelaeaceae - genus Daphne

 低木、亜低木、常緑又は落葉。枝は無毛又は短毛がある。葉はほとんどが互生、ときに対生。葉柄は短い。花序は普通、頂生し、ときに腋生、頭状花序又は短い総状花序、ときに、円錐花序、総状花序、穂状花序、総苞は有又は無。花序柄は短叉は無。花は両性又は単生(ときに雌雄異株)、4又は5数性。花弁は無く、萼片が花弁状に見える。萼筒は白色、ピンク色、黄色、まれにモーブ色、鐘形~円筒形~わずかに漏斗形、外側は無毛又は短毛がある、萼片は4又は5個、直立、広がり、長いものと短いものが互生する。雄しべは萼片の長さの2倍、2列につく。花糸は短又は無。葯は長楕円形、突き出さない。葯隔は不明瞭。花弁状の付属体は無い。花盤は普通、環状、ときに、突起状で子房に側生する。子房は普通、無柄又はわずかに柄があり、卵形、1室。花柱は頂生、短い。柱頭は頭状。果実は多汁、核果、液果又は乾き革質、ときに宿存する咢に包まれ、ときに露出し、普通、赤色又は黄色。種皮は甲殻質、胚乳は小さく又は無く、子葉は肉質。
 世界に約97種あり、アジア、ヨーロッパに分布する。

ジンチョウゲ属の主な種と園芸品種

1 Daphne arbuscula Celak. ダフネ・アブスクラ
 スロバキア原産。英名はshrubby daphne。標高800~1300mのムランスカ平原国立公園の日当たりの良い岩の斜面と石灰岩の岩盤に生える。野生では葉のサイズや縁の巻く度合い、花のサイズが様々に変化する。園芸品種がいくつか作り出され、ハイブリッド品種の親に使われている。
 矮性の小常緑低木、通常高さ10~20㎝、ときにそれ以上になる。若い茎は赤色を帯びる。葉は線形~線状長円形、長さ約18㎜以下、暗緑色、光沢があり、革質、縁は外巻きする。茎の先に花が密に5~30個束生し、非常に香りがよい。花は濃ピンク色~白色、長さ1.2~2㎝×幅1~1.6㎝。果実は肉質ではなく、しばしばしおれた花に包まれる。花期は春~初夏。
品種) 'Diva' , 'Franceska'(D. arbuscula 'Typ Tschechei'× D. arbuscula 'Typ Zwergform') , 'Grandiflora'(AGM)=f. grandiflora ,'Jurasek' , 'Libussa' , 'Mountain Peak' , 'Muran Pinackle' , 'Muran Pride' , 'Typ Tschechei' , 'Typ Zwergform' , 'Wetter'

2 Daphne arisanensis Hayata アリサンコショウノキ 阿里山胡椒の木

 台湾原産。中国名は台湾瑞香 tai wan rui xiang。森林に生える。
 常緑低木、高さ2~3m。枝は緩やかに広がり、帯灰色、細く、若いときには綿毛がある。葉は互生または対生し、葉柄は長さ3~10㎜。葉身は披針形または楕円形、長さ4.5~7㎝×幅0.5~1.3(~2)㎝、(膜質または)紙質、両面とも無毛、基部は楔形、縁はわずかに外巻きし、先は尖鋭形~鈍形。花序は頂生、まれに腋生、花が2~7個つく。苞は早落性、披針形、長さ約5㎜、縁には長い縁毛がある。小花柄は長さ約2㎜、関節があり、関節の下にまばらに微軟毛がある。萼は黄色、まれに乳白色。萼筒は鐘形、長さ4~6㎜、外側は無毛。萼片は4個、卵状三角形、長さ1.5~2.5㎜×幅1~2㎜、先は鈍形。雄しべは8本、下側の輪生は萼筒の中央より少し上に挿入され、上側の輪生は喉の少し下に位置する。花糸は長さ約0.3㎜。葯は線形、長さ約1㎜。花盤は環状、縁は小円鋸歯状。子房は長円状卵形、長さ約2㎜、無毛。花柱は短いかほとんどない。柱頭は頭状。核果は(黄色または)赤色、卵形、約・長さ7㎜×幅4㎜、先は小突起形。

3 Daphne bholua Buch.-Ham. ex D.Don ダフネ・ブホルア
 中国(四川省、西蔵、雲南省)、インド、アッサム、ネパール、ブータン、ミャンマー、バングラデシュ、ベトナム原産。中国名は藏东瑞香 zang dong rui xiang。標高1700~3500mの森林に生える。
 常緑または落葉低木、匍匐性または直立性、高さ1~2.6(~4)m。枝は帯褐色、暗褐色になり、紫色を帯び、まばらに粗毛があり、すぐに無毛になる。葉は互生し、茎の先に密集する。葉柄は長さ1~5㎜。葉身は鈍い暗緑色、狭楕円形または長楕円状披針形、長さ(3.5~)5~17㎝×幅(1~)1.7~3.2㎝、薄い革質、両面とも無毛、基部は広楔形、縁はときにわずかに外巻きし、波打つ。先は鋭形、まれに尖鋭形または鈍形。葉脈は6~16対。花序は頂生または腋生、花が(5~)7~12(~15)個つく。花序柄はほとんど無い。苞は対につき、脱落性で、広披針形または長楕円形、長さ14~18㎜×幅約4㎜、絹毛があり、先は尾状。花は芳香があり、小花柄は無いか、または長さ長さ4㎜まで、関節があり、密に絹毛がある。萼は少なくとも外面が赤紫色または赤色。萼筒は円筒形、長さ7~10(~12)㎜、外側には密に絹毛がある。萼片は4個、卵形、長さ5~7㎜×幅3~5㎜、外面には毛があり、先はわずかに微凹形~ほぼ鋭形。雄しべは8本、下側の輪生は萼筒の中央より上に挿入され、上側の輪生は口部に達する。花糸は長さ約0.5㎜。葯は長さ約2㎜。花盤は杯形、幅約1㎜、縁は全縁。子房は円筒状梨形、長さ約4㎜、無毛、短い柄がある。花柱は長さ約0.5㎜、柱頭は頭状。核果は黒色、卵形、長さ7~8㎜×幅約5㎜。花期は1~3月。果期は4~5月。
品種) 'Alba' , 'Arabella' (v) , 'Cobhay Debut' , 'Cobhay Snow' , 'Darjeeling' , 'Garden House Ghost' , 'Garden House Enchantress' , 'Garden House Red Stem' , 'Garden House Sentinel' , 'Glendoick' , 'Gurkha' , 'Hazel Edwards' , 'Heale House' ,'Jacqueline Postill' , 'John Darly' , 'Limpsfield' , 'Penwood' , 'Peter Smithers' , 'Rupina La' , 'Sheopuri' , 'Spring Beauty' , 'Winter Bliss' , 'Wisley Purple'
var. glacialis

4 Daphne cneorum L. ダフネ・クネオルム
 ヨーロッパ(アルバニア、オーストリア、ベラルーシ、ブルガリア、ロシア、チェコスロバキア、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、ポーランド、ルーマニア、スペイン、スイス、ウクライナ、ユーゴスラビア)原産。英名はgarland-flower , rose daphne。海抜0~2500mの砂質または岩質、岩場や松林の端に自生する。品種の'Eximia'などがよく栽培されている。
 常緑低木、成木は通常高さ15~30㎝、まれに高さ45㎝、幅100㎝まで成長し、広がるかやや盛り上がり、平伏する性質がある。若い枝、萼筒、果実は毛がある。葉は茎に沿って密につき、葉身は狭いへら形(スプーン形)~倒披針形、長さ1~1.8(~2.5)㎝×幅約5㎜、ときにそれ以上になり、上面は濃緑色、下面は帯灰色。頂生の散形花序に花が密に6~10個以上つく。花は芳香があり、ピンク色(淡いバラ色)~濃いバラ色、長さ6~10㎜×幅8~14㎜、無毛。花期は5~6月。秋に再び咲くこともよくある。2n=18。
品種) 'Velky Kosir' , 'Alba' , 'Aurea Marginata' (v) , 'Benaco' , 'Blackthorn Triumph' , 'Czech Song' , 'Ewesley' , 'Eximia' , 'Grandiflora' , 'Klaus Patzner' , 'Lac des Gloriettes' , 'Leila Haines' , 'Major' , 'Peggy Fell' , 'Porteous' , 'Puszta' , 'Pygmaea' , 'Rose Glow' , 'Rubra' , 'Ruby Glow' , 'Snow Carpet' , 'Variegata' (v)

4-1 Daphne cneorum subsp. arbusculoides (Tuzson) Soó

 ヨーロッパ(オーストリア、ハンガリー、ユーゴスラビア)原産。  酸性土壌を好み、高さ30㎝になり、葉縁が外巻きする。
4-2 Daphne cneorum subsp. cneorum
 ヨーロッパ(アルバニア、オーストリア、ベラルーシ、ブルガリア、中央ヨーロッパのロシア、チェコスロバキア、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、ポーランド、ルーマニア、スペイン、スイス、ウクライナ、ユーゴスラビア)原産。
 アルカリ土壌を好み、高さ約20㎝。花に芳香があり、果実はオレンジ色。

5 Daphne chingshuishaniana S.S.Ying ダフネ・チングシュイシャニアナ

 台湾原産。中国名は高山瑞香 gao shan rui xiang。標高約2200mの山頂近くの低木のある斜面に生える。
 常緑低木、高さ約2m。枝は直立し、黄緑色、無毛。葉は互生。葉柄は長さ2~3㎜、無毛。葉身は黄緑色、卵形または卵状長楕円形から長楕円形、長さ1.5~2.5㎝×幅1~1.5㎝、革質、両面とも無毛、基部は円形または楔形、縁はわずかに外巻きし、先は凹形。花序は小枝の先端に付き、束状、6~9花がつく。花序柄はない。小花柄は長さ1~1.5㎜、軟毛がある。萼筒は3~4㎜×幅1~1.5㎜、外側は無毛。裂片は4個、三角形、長さ0.2~0.4mm、先は鋭形。雄しべは8本、萼筒の中央近くに挿入される。花糸は長さ約0.1㎜。葯は底着、長円形、長さ0.4~0.6㎜。花盤は環状、縁は不規則な歯状。子房は球形または長円形、長さ0.7~0.9㎜×幅0.3~0.5㎜、無毛。花柱はないか短く、長さ0.1㎜まで。柱頭は球形または頭状。果実は見られない。花期は6月

6 Daphne genkwa Siebold et Zucc. フジモドキ 藤擬

  synonym Daphne genkwa Siebld et Zucc. f. taitoensis Hamaya

 朝鮮、中国、台湾原産。中国名は芫花 yuan hua。英名はChinese daphne , lilac daphne。別名はチョウジザクラ、サツマフジ、シゲンジ。
 落葉低木、高さ0.3~1m。枝は多数、黄緑色又は紫褐色、絹毛が密生する。葉は対生し、類対生、又は互生。葉柄は0~2㎜、灰色の短毛がある。葉身は卵形、卵状披針形、楕円状長楕円形、長さ3~4(~6)㎝、幅(0.5~)1~2㎝、紙質、下面には絹毛があり、基部は広楔形又は円形、先は鋭形又は短い尖鋭形、側脈は5~7対。花序はほとんどが側生、葉の展開前に生じ、頻度は低いものの調整し、長いシュート又は腋生し、花が 3~7(~15)個つく。花序柄は普通、非常に短く、遅い花序では長くなる。花は芳香が無く。花柄は短く、灰黄色の短毛がある。萼は青紫色、ライラック色又はラベンダー色、萼筒は円筒形、長さ6~11㎜、細く、外側には絹毛がある。萼片は4個、卵形又は長楕円形、長さ5~6(~10)㎜、幅約4㎜、外側は微軟毛があり、先は円形。雄しべは8個、下側の輪の雄しべは萼筒の中間につき、上側の輪はのど部の下につく。花糸は短い。葯は卵状楕円形、長さ約1㎜、上側の葯は萼筒から部分的に突き出し、花盤は環状。子房は倒卵形、長さ約2㎜、黄色の短毛が密にある。花柱は短又は無。柱頭は頭状。核果は白色~帯赤色、乾くと黒色、楕円形、長さ約4㎜、宿存する咢に包まれる。花期は3~5月。果期は6~7月。

7 Daphne jejudoensis M.Y.Kim ダフネ・ジェジュドーエンシス
 韓国原産。2013年に新しく報告された。コショウノキに似た種。済州道の広葉樹林に生える。
 常緑低木、高さ60~90㎝。枝は紫褐色で、細く、無毛。葉は互生。葉柄は長さ2~3㎜、無毛。葉身は楕円形、長さ7.0~8.5㎝×幅1.7~2.5㎝、革質、両面とも無毛、基部は楔形、先は尖鋭形、葉脈は6~8対。花序は頂生、頭状の短い総状花序で、花は12~16個つく。苞は披針形、長さ5~6㎜×幅1.5~3.0㎜、無毛。花は両性花、芳香がある。萼は白色。萼筒は長さ12~14㎜、外側は無毛。萼片は4個、卵形、長さ6~7㎜、基部は耳状、先は鈍形。花弁はない。雄しべは8本、下側の輪生は萼筒の中央より少し上に挿入され、上側の輪生は喉部に挿入される。花糸は長さ0.4~0.6㎜。葯は長円形、長さ2~3㎜。花盤は環状。子房は長円形、無毛。花柱は短い。柱頭は頭状。核果は赤色、球形、長さ8~10㎜。花期は3月。果期は6月。

8 Daphne jezoensis Maxim. ナニワズ 難波津
  synonym Daphne kamtschatica Maxim. var. jezoensis (Maxim.) Ohwi

  synonym Daphne kamtschatica Maxim. subsp. jezoensis (Maxim.) Vorosch.

  synonym Daphne pseudomezereum A.Gray subsp. jezoensis (Maxim.) Hamaya

 日本(北海道、福井県・福島県以北の日本海側)、ロシア原産。別名はエゾナニワズ。オニシバリによく似ている。ナニワズは葉柄がほとんど無く、葉の側脈が4~7対、花が鮮やかな黄色でキバナジンチョウゲとも呼ばれる。オニシバリは葉柄が長さ3~10㎜、側脈が8~12対、花が黄緑色、花期が早く2~4月。両者が混同されていることもある。
 落葉低木、高さ50㎝以下、茎はまばらに分枝し、無毛。葉は互生、ほぼ無柄。葉身は倒披針状長楕円形、長さ3~8㎝、幅1~3.5㎝、基部は長い楔形、全縁、先は円形~鈍形、側脈は4~7対、下面は粉白色を帯びる。オニシバリ同様に、盛夏に落葉し、秋に新葉と花蕾が生じる。雌雄異株。花は多数、束生する。花柄はごく短い。花は芳香があり、黄色。萼筒は長さ4~9㎜。萼片は4個、長さ4~7㎜、ほぼ同長、開出する。雄しべは8個で、萼筒の上部に4個、下部に4個ある。短雄しべの葯は内側を向く。子房は無毛狭長楕円形。果実は液果、赤橙色に熟す。花期は4~5月。果期は8~9月。

9 Daphne kamtschatica Maxim. カラフトナニワズ 樺太難波津 広義
  synonym Daphne koreana Nakai
 日本(北海道)、朝鮮、朝鮮、ロシア原産。
 花が白色、長い地下茎を伸ばして栄養繁殖する。

9-1 Daphne kamtschatica var. kamtschatica カラフトナニワズ 樺太難波津

  synonym Daphne koreana Nakai チョウセンナニワズ

  synonym Daphne pseudomezereum A.Gray var. koreana (Nakai) Hamaya

 日本(北海道)、朝鮮、ロシア(シベリア、カムチャッカ半島)原産。白樺林、草原に生え、北海道ではミズナラ、イタヤカエデからなる落葉広葉樹林の下層に生育する。
 無毛で斜上性の低木、高さ30~60㎝。根茎は長い。茎と枝は淡褐で、短い枝がよく形成される。冬と夏は新芽は休眠する。葉は春と晩夏に展開し、その時点で古い葉が残っているため、植物は一年中葉がある。葉は互生し、柔らかい紙質、薄青緑色、やや長円状の倒披針形、先は鈍形、長さ2.7~8.7㎝×幅0.6~2.5㎝、側脈は6~9本。花は2~5個、両性花、ほぼ白色、秋に枝の先端に短い総状花序をなし、露出する。小花柄は短い。萼筒は長さ3.5~7.3㎜、萼片は卵状披針形、長さ2.0~4.5㎜、萼筒の半分の長さ。雄しべは完全に萼筒の内側にある。果実は鮮やかな赤色の液果、長さ8㎜。2n=18。花期は4~5月。

9-2 Daphne kamtschatica var. kirigishiensis N.Nitta & Ken Sato キリギシナニワズ 崕難波津

 日本(北海道)原産。芦別市の崕山(きりぎしやま)だけに分布する。
 地下茎を伸ばさず、夏に休眠せず、夏季の葉の枚数が多い点で母変種と異なる。[J. Jap. Bot. 97: 125 (2022)]

10 Daphne kiusiana Miq. コショウノキ 胡椒の木
  synonym Daphne kiusiana Miq. f. fasciata (T.Ito) H.Hara
  synonym Daphne kiusiana Miq. var. kiusiana

  synonym Daphne kiusiana Miq. var. atrocaulis (Rehder) F.Maek. タイワンコショウノキ

 本州(関東地方以西の太平洋側)、四国、九州、沖縄、朝鮮原産。
 幹は紫褐色。葉は互生し、長さ4~16㎝、幅1.5~4㎝の長楕円形~倒披針形、全縁、光沢があり、無毛、枝先に集まってつく。雌雄異株。枝先に頭状に花を4~12個つける。花はジンチョウゲと同じように芳香が強く、花弁がなく、萼が白色、萼筒は長さ8~10㎜の筒状、肉質で厚く、有毛、先は4裂する。裂片は卵状三角形、外面に細毛が密生する。雄しべ8個、雌しべ1個。果実は長さ8~10㎜の球形~楕円形の核果、液質、6~7月に赤く熟す。核は直径4~5㎜の球形、先が尖る。

(1) Daphne kiusiana Miq. var. atrocaulis (Rehder) F.Maek. タイワンコショウノキ

  synonym Daphne odora Thunb. var. atrocaulis Rehder
 中国、台湾に分布する。中国名は毛瑞香 mao rui xiang。
 葉は長楕円形~披針形、倒披針形にならない。花の萼筒が長く10~14㎜。

11 Daphne laureola L. ローレルジンチョウゲ
 グレートブリテン島(イギリス)原産。英名はspurge-laurel , daphne-laurel , laurel-leaved daphne , olive-spurge , wood laurel ,copse laurel。 USA,ヨーロッパ、アジア南西部、北アフリカ、地中海沿岸地域に帰化している。
 常緑低木、高1.5m以下、枝は無毛。葉はほぼ無柄。葉身は倒卵形~長楕円形~披針形、長さ3~8㎝、幅1~1.5㎝、革質、上面は光沢がある。花序は花が2~10個つく。花柄は無又は短く、花は葉の展開後に生じ、当年枝の上に腋生し、束生する。花托筒は黄緑色又は黄色、筒形又は狭い漏斗形、長さ3~8㎜、無毛。萼片は卵形、長さ2.5~4㎜。核果は黒色。花期は晩冬~早春(2~4月)。果期は晩夏。花や実はアオカワラヒワなどの鳥には無毒であるが、人間に対して強い毒性がある。
品種) 'Margaret Mathew' , 'Kingsley Green'

12 Daphne longilobata (Lecomte) Turrill ダフネ・ロンギロバタ
 中国(四川省、西蔵、雲南省)原産。中国名は长瓣瑞香 chang ban rui xiang。標高1600~3500mの森林、低木林斜面、岩の間に生える。広く栽培されており、接ぎ木の台木として使用されることもある。
 常緑低木で、高さ1.5mまで、直立する。枝は淡緑色で、ときに紫がかった茶色になり、細く、毛がある。葉は互生し、葉柄は長さ0.5~2(~3)㎜、無毛。葉身は披針形または倒披針形、長さ1.5~4.5(~9)㎝×幅0.6~1.1(~2)㎝、紙質、若いときは先に毛が密生することを除いて両面とも無毛、基部は狭い楔形、縁はときにわずかに外巻きし、先は鈍形または鈍状円形、まれに小突起形または微凹形、葉脈は6~9対。花序は頂生で、3~5(または6)個の花がつく。花序柄は長さ0.8~1㎝、毛がある。苞はない。小花柄は長さ1(~3)mm、毛がある。萼は淡緑色、白色または非常に淡いクリーム色の裂片がある。萼筒は円筒形、長さ8~10(~14)㎜、外側に毛がある。萼片は4個、不等長、披針形、長さ5~7㎜×幅2~2.5(~3.5)㎜、外側は無毛、先端は長い尖鋭形。雄しべは8本、下側の輪生は萼筒の中央より下に挿入され、上側の輪生は筒の喉部と中央の間にある。花糸は長さ約0.5㎜、葯は長円形、長さ約1.5㎜、花粉はオレンジ色。花盤は環状で、縁は浅く波打つ。子房は卵形、長さ約2㎜、無毛。花柱は短い。柱頭は頭状。核果は緋色がかった赤色で、卵形~球形、長さ 8~12㎜。花期は6~7月。果期は8~12月。
品種) 'Peter Moore'

13 Daphne mezereum L. セイヨウオニシバリ 西洋鬼縛り
 ヨーロッパ、西アジア原産。英名はMezereon, paradise-plant。別名はヨウシュジンチョウゲ。
 落葉性低木、高さ1m以下。枝は無毛。葉は無柄。葉身は長楕円形~披針形、長さ3~8㎝、幅1~2.5㎝、柔らかく、膜質、上面は光沢が無い。花序は花が2~4個つく。花は直径10~15㎜、芳香があり、無柄、葉の展開前に生じ、当年枝の上に腋生し、束生する。花托筒はピンク色~赤色~白色、筒形、長さ5~8㎜、絹毛がある。萼片は卵形~鈍形~円形、長さ3~5㎜。核果は直径7~12㎜、赤色又は黄色。 2n=18。花期は早春。果実はツグミなどの鳥には無毒であるが、人間に対して強い毒性がある。
品種) 'Bowles's Variety' , 'Kingsley Purple' , 'Rosea' , 'Variegata' (v)

14 Daphne miyabeana Makino カラスシキミ 烏樒
 日本固有種(北海道、鳥取県大山以東の日本海側、隠岐島)。
 常緑小低木。高さ1m以下。茎はまばらに分枝し、枝は濃紫褐色、無毛、若枝は緑色、有毛。葉は互生し、ほぼ無柄。葉身は倒披針形、長さ4~12㎝、幅1~2.5㎝、薄い革質、先は鋭形、基部は長い楔形、全縁、上面は光沢があり、下面の中脈が隆起し、目立つ。雌雄異株。花序は頂生、短い総状花序、花が4~11個つく。花柄は短く、花後、数年間は宿存する。花は白色。萼筒は肉質、長さ約5㎜。萼片は4個、長さ約2㎜、開出する。雄しべは8個。子房は無柄、楕円。花柱はほとんどない。柱頭は円盤形。果実は液果、球状楕円形、直径約8㎜、赤く熟す。花期は6月。果期は7~8月。

15 Daphne morrisonensis C.E.Chang モリソンコショウノキ
 台湾原産。中国名は玉山瑞香 yu shan rui xiang。
 低木、高さ2~3m。枝は無毛。葉は互生。葉柄はほぼ無、無毛。葉身は線形~線状倒披針形、長さ4~7㎝、幅0.3~0.4㎝、質が厚く、両面とも無毛、基部は漸尖形、縁はわずかに外巻き、先は尖鋭形尾状。花序は頂生及び腋生、花が7個つく。花序柄は無。苞は早落性、線状披針形。花柄は短く、無毛。萼は帯白色。咢筒はつぼ形、長さ3~4㎜、外側は無毛。剥片は4個、卵形、外側の萼片は長さ約1.5㎜。雄しべは8個、花糸は無い。葯は線形。花盤は環状、ごく狭い。子房は卵形、無柄、無毛。花柱は短い。柱頭は小さく、2列。果実は見られない。

16 Daphne nana Tagawa ヒメコショウノキ 姫胡椒の木
 台湾原産。中国名は小芫花 xiao yuan hua。台湾東部の花蓮に自生する。
 低木で、高さ20㎝。茎は分枝が2叉、3叉、または輪生する。枝は褐色、±光沢があり、細く、無毛。葉は互生し、葉柄は非常に短い。葉身は長円形または長円状披針形、まれに倒卵状長円形、長さ1.5~2.5㎝×幅0.7~1(~1.4)㎝、厚い紙質、両面とも無毛、基部は楔形、先は円形・凹形。花序は頂生、頭状、花が5~8個つく。苞はすぐに脱落し、長円形、長さ約1㎜、縁は先に縁毛がある。小花柄は長さ約2㎜、無毛。萼は白色、萼筒は円筒形、約・長さ3㎜×幅1.5㎜、外側は無毛。萼片は4個、広卵形、約・長さ2㎜×幅1.5㎜、2裂片は先が鈍形、先端が微尖形の他の2個の裂片と互生する。雄しべは8本、下側の輪生は萼筒の中央より下に挿入され、上側の輪生は中央付近にある。花糸は葯より短い。葯は狭長円形、長さ約0.5㎜、基部は窪み、先は微突形。花盤は環状で非常に狭い。子房は円筒状卵形、約・長さ2㎜×幅0.7㎜、無毛。花柱はない。柱頭は扁球形、わずかに分裂する。核果は卵形、先は小突起形、約・長さ4㎜×幅2㎜。花期と果期は9月。

17 Daphne odora Thunb. ジンチョウゲ 沈丁花
 中国、台湾、ベトナム原産。中国、日本で広く栽培され、原産地は曖昧。中国名は瑞香 rui xiang。英名はwinter daphne。
 常緑低木、高さ1.5m以下。枝は紫赤色~紫褐色、丈夫で無毛。葉は互生、葉柄は長さ4~5㎜、無毛又はまばらに微軟毛がある。葉身は倒卵形~倒卵状楕円形、長さ63~13㎝、幅2.5~5㎝、革質、両面とも無毛、基部は楔形、先は類鋭形、しばしば、微突頭、側脈は7~13対。花序は頂生、頭状花序、花が12(~20)個つく。苞は披針形~卵状披針形長さ5~12㎜、幅2~4㎜、無も負う。花は芳香がある。萼は萼片が外側が紫赤色~白色、萼筒は長さ6~10㎜、外側は無毛。萼片は4個、卵形~卵状披針形、長さ6~12㎜、基部は耳状、先は鈍形。雄しべは8個、下側の輪の雄しべは萼筒の中間のすぐ上につき、上側の輪の雄しべはのど部につく。花糸は長さ約0.7㎜。葯は長楕円形、長さ約2㎜、上側の葯は萼筒から1/2突き出る。花盤は環状、非常に狭い。子房は長楕円形、無毛。花柱は短い。柱頭は頭状。核果は深紅色、無毛、長さ約8㎜。花期は3~5月。果期は7~8月。
品種) 'Aureomarginata' (v) , 'Aureomarginata Alba' (v) , 'Baker's Gold' , 'Banana Split'Clotted Cream' (v) , 'Cameo' , 'Daphne' , 'Double Cream' (v) , 'Forde Abbey' (v) , 'Geisha Girl' (v) , 'Grace Stewart' , 'Gold Dragon' , 'Leucanthe' , 'Limelight' (v) , 'Mae-jima' (v) , 'Marginata' , Marianni = 'Rogbret' (v) , Rebecca = 'Hewreb' (v) , 'Rogbret' , 'Sakiwaka' , 'Sunshine' , 'Sweet Amethyst' , 'Variegata' (v) , 'Variegata' (v) , 'Walberton' (v) ,'Zuiko-nishiki' , 瑞香 , 瑞香錦 , 前島 , 信濃錦 ,

17-1 Daphne odora Thunb. 'Marginata' フクリンジンチョウゲ 覆輪沈丁花

  synonym Daphne odora Thunb. f. marginata Makino 
 葉に黄色の斑が入る。中国名は金边瑞香。

17-2 Daphne odora Thunb. f. alba (Hemsl.) H.Hara シロバナジンチョウゲ 白花沈丁花

 花が白色。

17-3 Daphne odora Thunb. f. rosacea (Makino) H.Hara ウスイロジンチョウゲ 薄色沈丁花

 花が白色で縁がピンク色になるもの。別名はウスバナジンチョウゲ。

18 Daphne petraea Leyb. ダフネ・ペトラエア
 イタリア固有種。ドイツ語名はFelsen-Seidelbast 。山岳地帯の崖の石灰質の岩の割れ目に生える。
 常緑低木、平伏又は直立し、高さ15㎝以下、幅 30 cm 以上に広がる。葉は茎の先端に密集し、無柄、葉身は硬く、革質、狭線形~線状倒披針形~狭倒卵形または長楕円形、長さ6~12㎜×幅1.5~2㎜、基部は漸尖し、先は鈍形~円形、縁は厚くなり、断面は三角形、上面は光沢のある濃緑色。頂生の散形花序に3~5個の花がつく。花は芳香があり、ピンク色又は赤色、長さ9~15㎜、直径5~10㎜。花筒は細く円筒形で、細かい綿毛で覆われ、裂片は楕円形で広がる。種子は非常に小さく、乾燥した萼筒の中に隠れる。花期は晩春~夏。
品種) 'Alba' , 'Cima Tombea' , 'Corna Blacca' , 'Flamingo'(白花) , 'Flore Pleno' (d) , 'Garnet' , 'Grandiflora'(濃いピンク色) , 'Idro' , 'Lydora' , 'Michele' , 'Persebee' , 'Punchinello' , 'Tremalzo' , 'Tuflungo' , Watts clone

19 Daphne pseudomezereum A.Gray オニシバリ 鬼縛り
  synonym Daphne japonica Siebold & Zuccarini
 日本。朝鮮、中国原産。中国名は东北瑞香 dong bei rui xiang。別名はナツボウズ。
 夏に落葉するため、ナツボウズとも呼ばれる。低木、高さ15~40㎝。古い茎は葉痕が大きく、近接。枝は短く、丈夫、平滑、不規則な縞があり、無毛。葉は互生。葉柄は長さ3~10㎜。葉身は披針形~長楕円状披針形、長さ (3~)4~10㎝、幅0.8~2㎝、膜質、両面とも無毛、基部は楔形、先は鈍形、側脈は8~12対、縁近くは網目状。雌雄異株。花序は頂生、主に、ごく短い側シュー上に、花が2~10個、束生する。花は黄緑色。花序柄は無い。苞は無い。花柄はごく短い。雄しべは8個、下側の輪の雄しべは萼筒の中間につく。上側の輪の雄しべはのど部につく。花盤は環状。核果は赤色、卵形、長さ5~8㎜。花期は2~4月。果期は5~7(8)月。

19-1 Daphne pseudomezereum A.Gray f. atropurpurea Hiyama ムラサキオニシバリ 紫鬼縛り

 萼や萼片の裏側が暗紫色を帯びる。

20 Daphne sericea Vahl ダフネ・セリケア
  synonym Daphne collina Sm. ex Dicks.
 イタリア、シチリア島、クレタ島、シリア、コーカサス原産。英名はsilky daphne, rose daphne。標高(50~)300~1200(~1500)mの岩の多い斜面の低木地および乾燥した開けた低木林に生える。
 常緑低木、やや密生し、丸みを帯び、直立~広がり、高さ30~40㎝、ときに高くなり高さ70㎝まで。若い芽は毛深い。葉は長さ20~50㎜×幅6~12㎜、密集し、濃緑色、革質、長円形、中央より上で最も幅が広く、下部は狭まり、非常に短い柄があり、下面に白色の伏した絹毛が密にあり、縁に白色の縁毛がある。散形花序は頂生、ときに腋生、密に5~15個の花がつき、花は非常に香りがよい。苞は花序の基部につき、長さは花托筒の半分ほどの長さで、短い卵形、絹毛がある。花托筒は長さ6~8㎜、帯白色の毛で覆われる。花被(萼)は長さ10~17㎜、ピンク色または帯紫色から褐黄色に変色し、絹毛があり、花被片(萼片)は4個、卵形または長円形、長さ3~6㎜×幅2.5~5㎜、先は鈍形または広鋭形。子房には軟毛がある。果実は液果、卵形、肉質、熟すと橙赤色~橙褐色になる。花期は3~6月。
 イタリア南部の品種 'Collina' , Collina Group はDaphne collinaとして分類されていたこともあるが、小型である。
品種) 'Collina' , Collina Group (Neapolitan daphne) , Hidcote form , 'Omalos Gold'

21 Daphne striata Tratt. ダフネ・ストリアタ
 ヨーロッパのアルプス、ドロミーティ山地(フランス、ドイツ、スイス、オーストリア、イタリア、ユーゴスラビア)原産。D. cneorum によく似ている。
 半常緑低木、無毛、高さ5~15(~30)㎝。茎は細く、樹皮は褐色、葉痕があり、まばらに分枝する。葉や花は無毛。葉は枝の先端に房状に集まり、葉身は狭楕円形、長さ1~2.5㎝、革質、暗緑色。頭状の散形花序は枝先に頂生し、花が8~12個つき、芳香がある。花被(萼)は長さ約1.3㎝、ピンク色~バラ色または白色。花被筒(萼筒)は長さ約1㎝、色が濃く、縞模様がある。花被片は4個、平開し、直径約6㎜。果実は核果、褐橙色、卵形、長さ5~8㎜。花期は6~7月。
品種) 'Wolfgang Reich'

22 Daphne tangutica Maxim. ダフネ・タングティカ
 中国(重慶、甘粛省、貴州省、湖北省、青海省、陝西省、山西省、四川省、西蔵、雲南省)原産。中国名は唐古特瑞香 tang gu te rui xiang。標高1000~3800mの森林に生える。
 常緑低木、高さ0.5~2.5m。枝は黄緑色で、灰黄色または赤紫色~灰褐色に変わり、まばらに毛があり、無毛。葉は互生し、葉柄は長さ約1㎜、無毛。葉身は光沢のある暗緑色、披針形~倒披針形、長さ2~10㎝×幅0.5~2.2(~3)㎝、革質、外面は無毛またはまばらに微軟毛があり、上面は無毛、基部は楔形または沿下し、縁はときに外巻きし、先は鈍形、まれに微凹形、鋭形~尖鋭形になる。花序は頂生、頭状、3~12個の花がつく。花序柄は長さ1~3㎜、毛がある。苞は早落性で卵形または卵状披針形、長さ5~9㎜×幅3~4㎜、無毛、縁に縁毛があり、先は鈍形。小花柄は長さ約1㎜まで、密に毛がある。萼はピンク色~白色、外側は紫赤紫色を帯びる。萼筒は円筒形、長さ9~13(~15)㎜、外側は無毛。萼片は4個、卵形または卵状楕円形、長さ5~8(~10)㎜×幅(3~)4~5(~6)㎜、先は鈍形。雄しべは8本、下側の輪生は萼筒の中央より少し上に挿入され、上側の輪生は喉部に挿入される。花糸は短い。葯は長円形、長さ1~1.2㎜m、上側の葯は萼筒からわずかに突出する。花盤は環状で幅約0.5㎜、不規則に分裂する。子房は長円形、長さ2~3(~4)㎜、無毛。花柱は短く、柱頭は円盤状頭状、4裂する。核果は赤色、ほぼ球形または卵形、長さ6~8(~10)㎜。花期は4~6月。果期は5~7月。
品種) 'Aureomarginata' (v) , 'Golden Thread' (v) , 'Rajah' , Retusa Group

23 Daphne velenovskyi Halda ダフネ・ベレノフスキー
 ブルガリア原産。英名はfragrant daphne。
 常緑小低木、無毛、成長が遅く小さく、緩やかに枝分かれし、高さ10㎝以下、直径15㎝以下、短く平伏~斜上し、ときにクッション状になる。若い枝は薄緑色、無毛、古い枝は細く、短く、灰褐色、鈍く、明瞭な葉痕がある。葉は無柄、著しく粉白色を帯び、淡色、長さは幅の2~3倍、長さ8~17㎜×幅5~7(~8)㎜、倒卵形~長円形、先は明瞭な鈍形~円形、微倒形、成熟すると水平に広がり、枝の先だけに密集し、面は平らで、中脈は太く、下面で非常に目立ち、上面で凹む。頭状花序は頂生、球形で、5~14個の花が密に集まってつく。苞は薄く、膜質、葉状で、小さく、成熟した葉の半分程度。花は香りがよい。花被はローズ色。花被筒部の外側は紫がかったピンク色、常に無毛、長さ8~10㎜、先は4裂して平開し、直径は長さとほぼ同じ、裂片は厚く、先はやや内巻きする。液果は光沢があり、ふっくらしている。
品種) 'Weber's Findling'

24 Daphne wolongensis C.D.Brickell & B.Mathew ダフネ・ワロンゲンシス

 中国(四川省)で見つかった新種(2007)。極めて希少な種であるが、園芸用に栽培され、Guardsman、Miya Lou、Kevock Star、および China Pink という栽培品種名が与えらた。
 常緑低木、直立し、高さ(50~)100~180㎝、枝は緩く、若い枝は帯褐の縞状になる。葉は互生し、ほぼ無柄または葉柄が長さ約1.5㎝未満である。葉身は線状披針形または狭い楕円形~倒披針形~長楕円形、先は鋭形~尖鋭形、基部は楔形、縁は多少反り返り、長さ27~90㎜×幅8~52㎜、長さ/幅指数は2.2~8、大きな葉では質が薄く、小さな葉身は濃い緑色の葉身が厚く、より革質に近くなる。腋生の花序に花が密に束状につき、頂生の花序ではさらに密になる。苞葉は卵形~披針形、長さ8~12㎜、無毛で、ときに縁に縁毛がある。花はピンク色~濃ピンク色またはほぼ白色。萼片によって形成される花被筒は、細長い円筒形、長さ9~12㎜、無毛、裂片は4個、卵形、長さ6~9㎜×幅 4~8㎜、先は鋭形。子房は楕円形。柱頭は頭状。果実は肉質、赤色に熟し、非常に水分が多く、球形~ほぼ球形、長さ8~12㎜。種子はほぼ球形 長さ5~7㎜x幅4~6㎜。
品種) 'Kevock Star' , 'Guardsman' 'Miya Lou'

25 ハイブリッド
(01) Daphne x burkwoodii Turrill チェリーピンク
 D. caucasica x D. cneorum。英名はBurkwood daphne。
品種) 'Albert Burkwood' , 'Astrid' (v) , 'Briggs Moonlight' (v) ,'Carol Mackie' (v) ,'G.K. Argles' ,'Gold Dust' , 'Golden Treasure' , 'Gold Sport' , 'Gold Strike' (v) , 'Jan Dekker' , 'Lavenirii' , 'Marjolein' (PBR) , ,Somerset' , 'Somerset Gold Edge' (v) , 'Somerset Variegated' (v) , Variegata' (v) ,
(02) Daphne × eschmannii
 D. blagayana x D. cneorum
品種) 'Jacob Eschmann'
(03) Daphne x goodsoniae
 D. acutiloba x D. sericea 'Collina'
品種) 'Hinton'
(04) Daphne x hendersonii
 D. petraea x D. cneorum 自然交雑種
品種)  'Apple Blossom'=Appleblossom' , 'Aymon Correvon' , 'Blackthorn Rose' , 'Bonnie Glen' , 'Ernst' , 'Ernst Hauser' , 'Fritz Kummert' , 'Jeanette Brickell' , 'Kath Dryden' , 'Marion White' , 'Rosebud' ,'Solferino',
(05) Daphne × houtteana
 D. mezereum x D. laureola
品種) 'Chameleon' , 'Louis Van Houtte'
(06) Daphne × jintyae
 D. petraea x D. rodriguezii
品種) 'Pink Cascade'
(07) Daphne × latymeri
 D. rodriguezii x D. sericea
品種) 'Spring Sonnet'
(08) Daphne × napolitana
 D.sericea 'Collina' x D. cneorum イタリア南部の自然交雑種
品種) Bramdean' , 'Enigma' Details , 'Maxima' ,'Meon' , 'Stasek' (v)
(09) Daphne × rollsdorfii
 D. collina x D. petraea
品種) 'Arnold Cihlarz' , 'Wilhelm Schacht'
(10) Daphne × rossetii
 D. laureola philippii x D. cneorum 自然交雑種
品種) 'Gavarnie' , 'Rossetii'
(11) Daphne x sillingeri
 D. oleoides x D. velenovskyi 自然交雑種
(12) Daphne x susannae
 D. arbuscula x D. collina
品種) 'Anton Fahndrich' , 'Tichborne' daphne ' , 'Cheriton' , 'Tage Lundell' , 'Titchborne' , Collina Group , 'Lawrence Crocker' ,
(13) Daphne × schlyteri
 D. cneorum x D. arbuscula
品種) 'July Glow' , 'Lovisa Maria' , 'Pink Panther'
(14) Daphne × suendermannii
 D. petraea x D. arbuscula
品種) 'Blackthorn Gem' , 'Chris Brickell' , 'Franz Suendermann'
(15) Daphne × transatlantica
 D. caucasica x D. collina
品種) 'Blafra' (PBR) , 'Beulah Cross' (v) , Eternal Fragrance = 'Blafra' (PBR) , 'Jim's Pride' , Pink Fragrance = 'Blapink' (PBR) , Spring Pink Eternal Fragrance (PBR) , 'Summer Ice' (v) ,
(16) Daphne × thauma
 D. striata x D. petraea. 自然交雑種
(17) Daphne × whiteorum
 D. petraea x D. jasminea
品種) 'Beauworth' , 'Kilmeston' , 'Warnford'

(18) その他ハイブリッド
 Magnolia 'Daphne'( 'Miss Honeybee' x 'Gold Crown') , Daphne 'Silver Y' , Daphne 'Louis Mountbatten' , Daphne Perfume Princess = 'Dapjur01'(D. odora x D. bholua) , Daphne 'Richard's Choice'((D. collina x D. x burkwoodii) ) , Daphne 'Spring Herald'(D. acutiloba x D. bholua) , Daphne 'White Queen' (D. acutiloba x D. sureil) , Daphne 'Rosy Wave'(D. burkwoodii x D. collina ) , Daphne 'Hildap' , Daphne 'Kilmeston Beauty'(D.caucasica x D.tangutica ) , Daphne 'Dame Blanche' , Daphne 'Allison Carver' (v) , Daphne 'Pink Star'(3 (4) parent ) ,Daphne 'Leila Haines'(D. strata x D. cneorum ) , Daphne 'Lord Mountbatten' , Daphne 'Valerie Hillier'(D. longilobata x D. cneorum) , Daphne 'Mountbatten'

参考

1) Flora of China
 Daphne
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=109294
2) GRIN
 Species of Daphne
http://tn-grin.nat.tn/gringlobal/taxonomylist.aspx?category=species&type=genus&value=Daphne&id=3393
3) A new species of Daphne
 Korean J. Pl. Taxon. 43(2): 94-98 (2013)
 e-kjpt.org/upload/pdf/kjpt-43-2-94.pdf
4) Seidelbast.net
 Daphne hybrid
http://www.seidelbast.net/hybrids.html
5) Daphne striata Tratt. - Info Flora
 Daphne striata Tratt.
https://www.infoflora.ch/de/flora/daphne-striata.html
6) Agronomy 2020,10, 1628 p1-15
Morphological and Molecular Status ofDaphne wolongensis C.D.Brickell et B.Mathew asGenetic Resource for Horticulture
https://www.researchgate.net/publication/346369922_Morphological_and_Molecular_Status_of_Daphne_wolongensis_CDBrickell_et_BMathew_as_Genetic_Resource_for_Horticulture
7) Preslia
 Two new species of the genus Daphne from Balkan Peninsula
https://www.preslia.cz/archive/Preslia_53_1981_345-347.pdf
8) 植物研究雑誌J. Jpn. Bot. 95(6): 341–347 (2020)
Daphne kamtschatica (Thymelaeaceae),a New Record for Japan from Hokkaido;Noritoshi Nitta and Akitomo Uchida
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/95/6/95_95_6_11054/_pdf/-char/en
9) 植物研究雑誌 2022年 97巻 3号 p.125-130
北海道中央部崕山に認められた カムチャツカナニワズの新変種キリギシナニワズ(ジンチョウゲ科)
https://www.preslia.cz/archive/Preslia_53_1981_345-347.pdf
10) Korean J. Pl. Taxon. 43(2): 94-98 (2013)
A new species of Daphne (Thymelaeaceae): D. jejudoensis M. Kim
https://www.e-kjpt.org/upload/pdf/kjpt-43-2-94.pdf
11) www.cretanflora.com
 Daphne sericea
https://www.cretanflora.com/daphne_sericea.html