ヒカゲミゾソバ 日陰溝蕎麦

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Flora of Mikawa

タデ科 Polygonaceae イヌタデ属

学 名

Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross var. coreana (H.Lev.) Nakai

 synonym Persicaria debilis (Meisn.) H.Gross ex W.Lee [POWO]

  synonym Polygonum thunbergii Siebold et Zucc. var. coreanum Leveille

ヒカゲミゾソバの花
ヒカゲミゾソバの花横
ヒカゲミゾソバの花2
ヒカゲミゾソバの花2
ヒカゲミゾソバの花柄
ヒカゲミゾソバ葉状托葉鞘
ヒカゲミゾソバ葉柄
ヒカゲミゾソバ
ミヒカゲミゾソバ葉表
ヒカゲミゾソバ葉裏
ヒカゲミゾソバ果実
ヒカゲミゾソバ果実比較
花 期 6~9月上旬
高 さ 30~100㎝
生活型 1年草
生育場所 湿った場所
分 布 在来種  北海道、本州、四国、九州
撮 影 田原市(旧渥美町) 14.6.9(花)
豊田市(旧稲府町) 05.10.16(果実)
ヒカゲミゾソバはミゾソバの変種と分類されていたものである。ミゾソバの分類は難しく、染色体数やDNAの比較による研究などにより、ミゾソバ類がミゾソバ、ニシミゾソバ、コミゾソバの3種に整理し直された。ヤマミゾソバ(var. oreophila)、ヒカゲミゾソバ(var. coreana)、オオミゾソバ(var. hastatotriloba)はミゾソバに含められた。ヤマミゾソバは変種とする見解もある(YList)。葉形は参考に示されているが、いずれも変化が多い。(ミゾソバ類の比較参照)  ヒカゲミゾソバはミゾソバ、オオミゾソバ、ヤマミゾソバの小形のもので起源的には多系統と考えられている。最近では分類せず、ミゾソバに含める。Kew(POWO)ではミヤマタニソバ(Persicaria debilis (Meisn.) H.Gross ex W.Lee)のsynonymとしている。ミヤマタニソバは葉が三角形でありヤマミゾソバやミゾソバの葉が三角形のものに似ている。ヒカゲミゾソバは全体に繊細で刺や毛が少なく、葉が多形であり、三角形のものもあり、ミゾソバ形、オオミゾソバ形やヤマミゾソバ形の葉のものもあるが、小型の葉のものと考えられ、YListではミゾソバの別名とされている。
 1年草、高さ30~100㎝。全体に繊細で刺や毛が少ない。茎は中空、下向きの明瞭な小刺があり、根元は横に這い、立ち上がる。葉は互生し、質はやや厚く、葉形はミゾソバの小型で耳がなく三角形のもの~またはオオミゾソバ形の小さい形で葉身が長さ8~13㎜のもの~あるいはヤマミゾソバの葉が小型のものがあり、いずれもヒカゲミゾソバとされていた。葉の基部は浅い心形~切形~楔形。葉柄には翼がある。花序の花数は少ない。花柄には赤色の腺毛、長毛及び小さな星状毛がある。花被は淡紅色~白色、ほとんど白色のものもあり、5裂する。托葉鞘は上部が葉のように丸く広がるものと縁毛だけの2種ある。痩果は長さ3~3.5(4)㎜の3稜形、黄緑色~淡褐色、光沢はない。果実が乾いてくると淡褐色になる。花期は6~9月上旬。2n=40。
 田原市内で6月9日に開花し始めている群落があった。葉先及び側裂片が鋭頭であり、開花が早いため、ヒカゲミゾソバに近いものと判断した。花は淡紅紫色、普通の大きさ。果実は6月19日に採取、長さ約3㎜。
 豊田市内の林縁に花が大きいミゾソバがあり、9月6日に花を確認し、10月24日には花は無く、果実を採取した。花色は白色に近い。果実の長さが約4㎜あり、ミゾソバの3~3.5㎜より明らかに大きく、ミゾソバの閉鎖花の果実とほぼ同じである。花の長さも長い。ヒカゲミゾソバに近いものと思われる。
 いずれにしろ、ヒカゲミゾソバはミゾソバに含められたため、ミゾソバの変異のうちと考えられる。