ミゾソバ類の比較

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Flora of Mikawa

ミゾソバ類

ミゾソバの分類は難しく、染色体数やDNAの比較による研究などにより、ミゾソバ類がミゾソバ、ニシミゾソバ、コミゾソバの3種に整理し直された。ヤマミゾソバ(var. oreophila)、ヒカゲミゾソバ(var. coreana)、オオミゾソバ(var. hastatotriloba)はミゾソバに含められた。ヤマミゾソバは変種とする見解もある(YList)。葉形は参考に示されているが、いずれも変化が多い。
 表・1 ミゾソバ類似種の形態的比較
ミゾソバ
P. thunbergii
ニシミゾソバ
P. hassegawae
コミゾソバ
P. mikawana
主軸長 ㎝ 45~200 90~235 15~125
閉鎖花序枝 ㎝ 0.3~80 20~50 なし
葉形の基部 切形~楔形 切形 浅い心形
頂裂片形 卵形 卵形 卵形
頂裂片先端 鋭頭~鈍頭 鋭頭 鈍頭
側裂片先端 鋭頭~鈍頭  鋭頭~鈍頭  鈍頭~円頭 
葉身湾入部 中程度 中程度 やや深い
側裂片の相対的大きさ 中程度 小さい やや大きい
痩果の光沢 無  やや有  やや有 
開花期間 9月下~11月下 10月上~11月上 8月下~10月上
染色体数 2n=40 2n=20 2n=20

 表・2 ミゾソバに含められた類似種の形態的比較
ヤマミゾソバ
var. oreophila
ヒカゲミゾソバ
var. coreana
オオミゾソバ
var. hastatotriloba
主軸長 ㎝ 50~240 10~60 60~150
閉鎖花序枝 ㎝ 0.5~4.0 0.1~2.5 30~150
葉形の基部 切形 切形~楔形 切形~楔形
頂裂片形 ほぼ三角形 卵形 卵形
頂裂片先端 鈍頭 鋭頭 鋭頭
側裂片先端 鈍頭  鋭頭 鈍頭 
葉身湾入部 ほとんど無い 中程度 深い
側裂片の相対的大きさ やや小さい 中程度 大きい
痩果の光沢 有  無 
開花期間 10月上~11月上 7月上~9月上 9月下~11月下
染色体数 2n=38 2n=40 2n=40,42

 ※秋期の環境指標植物開発に関する研究 (愛知教育大学)第1表を参考
1 Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross ミゾソバ
 葉形の変化が多い。葉基部は切形~楔形としているが、浅い心形のものもあり、葉身の湾入のほとんどないものもよく見られる。閉鎖花をつける。2n=(34), 40
2 Persicaria hassegawae Hanai & Seriz. ニシミゾソバ
. 葉の側裂片が小さく、葉先が尖る。西日本の水田の畔など湿った場所で見られる。閉鎖花をつける。2n=20。
3 Persicaria mikawana Hanai et Seriz. コミゾソバ
 岡崎市の北山湿地を基準産地としている。ミゾソバより葉がやや小さく、裂片が鈍頭、基部が浅い心形。閉鎖花をつけない。愛知県準絶滅危惧種に指定され、愛知県レッドデータブックに解説がある。2n=20。

4 Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross var. oreophila (Makino) Murai ヤマミゾソバ

 山地の林内の日陰に生える変種。茎に刺が少ない。節間長が広い。葉幅が広く、くびれのない三角形、裂片の先が鈍頭。葉柄に翼がない。花は白色、花数が少ない。花柄が長く腺毛がほとんどない。果実は光沢がある。2n=38。現在はミゾソバに含める。

5 Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross var. coreana (H.Lev.) Nakai ヒカゲミゾソバ

 葉が特に小さく、葉先も側裂片の先も尖る。花が大きく、花数が少ない。現在はミヤマタニソバまたはミゾソバに含める。2n=40。

6 Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross var. hastatotriloba (Meisn.) Miyabe オオミゾソバ

 葉が大きく、葉の中央のくびれが深く、側裂片も大きい。葉柄にはっきりした翼がある。現在はミゾソバに含める。2n=40. 42。