ハタガヤ 畑茅

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Flora of Mikawa

カヤツリグサ科 Cyperaceae ハタガヤ属

中国名 球柱草 qiu zhu cao
学 名 Bulbostylis barbata (Rottboll) C. B. Clarke
ハタガヤ穂
ハタガヤ穂
ハタガヤ穂
ハタガヤ果実
ハタガヤ
ハタガヤ小穂
ハタガヤ果実
花 期 8~10月
高 さ 10~40㎝
生活型 1年草
生育場所 畑、荒地、道端
分 布 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾、東南アジア、北アフリカ、オーストラリア
撮 影 蒲郡市形原町 03.8.3
南北アメリカに帰化している。
 茎は直線の糸状、放射状に叢生し、葉も糸状である。茎頂に花序より長い苞葉を1 ~3 個付けた頭状花序を付ける。花序には淡褐色の無柄の小穂が5~15個つく。小穂は長さ3 ~7 ㎜の披針形。小穂の鱗片は螺旋状に並び、鱗片の先は芒状に尖る。花柱の基部は肥厚して小さな球形になる。果実は乳白色の広卵形、断面は3稜形。柱頭は3岐。2n=10。
 よく似たイトテンツキは苞葉が短い。
 イトハナビテンツキも茎や葉が糸状であるが、花序枝があり、頭状花序にならない。

ハタガヤ属

  family Cyperaceae - genus Bulbostylis

 1年草(又は多年草)。稈は叢生、非常に細い。葉は葉身があり、又はまれに葉身の無い鞘になり、口部に緩く白色の毛をもつ。葉身は糸状~線形、縁はしばしば内巻する。苞(総苞片)は葉状又は剛毛状。花序は頂生の単純又は複合のイグサ形花序(anthela)又は頭状花序、ときに1個の小穂に減ずる。小穂は卵形~楕円形、多数の花をもつ。鱗片(苞穎)は螺旋状につき又はまれに2列につき、草質又は膜質、脱落性、1個の花を抱くが、基部の1~2個は空。花は両性。花被の剛毛(指針状花被片)は無い。雄しべは(1~)2(~3)本。花柱は糸状、基部は太く球根状になり、果時に宿存する。柱頭は3岐。小堅果は倒卵形~倒ナシ形、3面がある。
 世界に約100種あり、世界中の熱帯~温帯に分布し、熱帯アフリカと熱帯アメリカの分布密度が高い。

ハタガヤ属の主な種

1 Bulbostylis barbata (Rottb.) Kunth ハタガヤ 畑茅
 日本、朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、遼寧省、内モンゴル、山東省、浙江省)、台湾、インド、スリランカ、ブータン、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシア、 ニューギニア、オーストラリア、アフリカ、マダガスカル、インド洋諸島原産。中国名は球柱草 qiu zhu cao 。英名はwatergrass 。南北アメリカに帰化。標高100~2000mの湿った~乾いた砂地、砂泥炭、砂浜、畑、荒地、道端に生える。
 1年草、高さ10~40㎝。茎は直線の糸状、放射状に叢生し、葉も糸状である。茎頂に花序より長い苞葉を1 ~3 個付けた頭状花序を付ける。花序には淡褐色の無柄の小穂が5 ~15個つく。小穂は長さ3~7 ㎜の披針形。小穂の鱗片は螺旋状に並び、鱗片の先は芒状に尖る。花柱の基部は肥厚して小さな球形になる。果実は乳白色の広卵形、断面は3稜形。柱頭は3岐。2n=10。花期は8~10月。
【Flora of Chinaの解説】
 根茎は無い。 稈は密に株立し、高さ0.6~3㎝、糸状、太さ0.5~0.8㎜、直立し、平滑。葉鞘は褐色、長さ0.5~2㎝、薄い膜質、無毛、口部は白色透明で、長い毛が散在する。葉身は糸状、長さ4~10cm×幅4~8㎜、下面は無毛、またはまばらに直軟毛があり、縁は全縁、先は尖鋭形。苞は2または3個つき、剛毛状、長さ1~2.5㎝または±短く、非常に細く、下面は無毛または毛が散在する。花序は頂生、頭状花序、幅5~12(15)㎜、3~15個の無柄の小穂がつく。小穂は狭卵形、長さ3~6.5㎜×幅1~1.5㎜、角(かど)があり、7~13個の花がつき、基部は鈍形~ほぼ円形、先は鋭形。鱗片は褐緑色~黄緑色、やがて淡褐色になり、卵形~ほぼ広卵形、長さ1.5~2㎜×幅1~1.5㎜、竜骨があり、膜質、たまに先に毛があり、縁には繊毛があり、先端には反り返った短い芒がある。雄しべは1(または2)本。葯は長円形、先は鋭形。花柱は糸状。柱頭は3岐。小堅果(痩果)は淡褐色~帯黄色、倒卵状球形、長さ約0.8㎜×幅0.5~0.6㎜、3面があり(3稜形)、不明瞭ないぼ状突起があり、横向きの長方形の細胞をもち、先は円形~凹形。柱基は宿存し、凹んだ球形。花期と果期は6~11月。2n=10。
【Flora of North Americaの解説】
 1年草、密に叢生し、花茎があり、低い。 稈は高さ5~20(~30)㎝。葉は花茎の2/3の長さまで。鞘は緑褐色または黄褐色、肋上は無毛または小剛毛がある。葉身は広がり、糸状、幅0.5㎜、内巻きし、縁は細かくザラつく。花序は花茎が糸状、粗い少数のうねがあり、太さ0.5㎜まで。小穂は頂生の頭状花序につき、束生し、苞(総苞)があり、幅1~1.5cm。苞は剛毛状の葉身を持ち、まれに花序を超える。小穂は赤色~赤褐色またはくすんだ褐色、披針状卵形~披針形、または線状長円形。稔性の鱗片は披針形、竜骨があり、長さ1.2~2.2㎜、無毛、中肋が突き出し、微突になる。雄しべは1本。葯は長円形、長さ1㎜。痩果は3稜形、倒卵形、長さ0.5~0.6㎜、しばしば角(かど)が鋭く、表面は平らまたはわずかに凹面で、細かい網目があり、いぼ状突起は小さなボタン状。2n=10。果期は夏~秋。

2 Bulbostylis densa (Wall.) Hand.-Mazz. イトハナビテンツキ 糸花火点突

  synonym Bulbostylis capillaris auct. non (L.) Nees

  synonym Bulbostylis capillaris (L.) Nees var. trifida (Nees) C.B.Clarke

  synonym Bulbostylis capillaris (L.) Nees subsp. trifida (Nees) T.Koyama

 日本(北海道、本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、ロシア、東南アジア、オーストラリア、アフリカ原産。中国名は丝叶球柱草 si ye qiu zhu cao。海岸の砂地、湿地に生える。
 1年草、高さ10~20㎝。根茎はなく、茎は直立し、硬く、平滑。葉は長さ5~10㎝、幅約0.6㎜と細い。花序は1~2回、分岐する。小穂は長さ3~6㎜×幅約1.5㎜の楕円状卵形、小花は5~18個。鱗片は褐色、長さ1.5~2㎜、基部は円く、中肋は緑色、先の芒は短く、ほとんど突き出ない。雄しべ2個。果実は長さ約0.8㎜×幅0.5~0.6㎜、3稜形、柱基が膨らみ、先を押しつぶしたような倒卵形、断面は3稜形。柱頭は3岐。2n=64。花期と果期は8~9月(Flora of China:4~12月)。

2-1 Bulbostylis densa (Wall.) Hand.-Mazz. var. capitata (Miq.) Ohwi イトテンツキ 糸点突

  synonym Bulbostylis capillaris (L.) C.B.Clarke var. capitata (Miq.) Makino

  synonym Bulbostylis capillaris (L.) C.B.Clarke subsp. capitata (Miq.) T.Koyama

 日本(本州、四国、九州、沖縄)、イン ドネシアに分布。低地~低山地の原野、平地の日当たりのよい畑地や荒地、芝生、道端などに生える。
 イトハナビテンツキに似るが、小穂が濃褐色で、鱗片の先が芒とならず反曲しない。
 1年草。茎は叢生し、糸状、高さ8~40㎝。小穂は2~数個が頭状に集まり頭状の花序を頂生する。小穂は大部分が無柄、卵状楕円形、長さ3~5㎜×幅1.5㎜。痩果は倒卵円形~広倒卵形、3稜形、表面には微細な皺状の点がある。柱基は宿存。柱頭は3岐。雄しべは2個。花期と果期は8~10月頃。

3 Bulbostylis puberula Kunth オオハタガヤ 大畑茅
 中国(福建省、広東省、海南省)、香港、インド、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、熱帯アフリカ、インド洋諸島、マダガスカル原産。中国名は毛鳞球柱草 mao lin qiu zhu cao。砂地に生える。
 根茎は無い。稈は株立し、高さ10~30㎝、細く平滑。葉鞘は麦わら色~褐色、薄い膜質、毛がある。葉身は毛細管状、長さ4~6cm×幅0.4~0.8㎜、下面に毛があり、縁は全縁でわずかに外巻し、先は尖鋭形。苞は2または3個、剛毛状、長さ約8㎜、基部は膜質、縁には縁毛がある。花序は単純または複合のイグサ形花序で、1~3個またはそれ以上の小穂があり、しばしば密集してほとんど頭状花序になり、ときに1個の小穂に減じる。小穂は卵状長円形~卵形、長さ3~6㎜×幅1~2㎜、花数は7~21個、基部は鈍形~円形、先は鋭形。鱗片は帯褐色~暗褐色、卵形~広卵形、長さ1.5~2㎜×幅1~1.5㎜、竜骨があり、膜質、外面に毛があり、縁には縁毛があり、先には1~3本の黄緑色の脈があり、肋が突き出し、反り返った微突になる。雄しべは1本。葯は長円形、先は鋭形。花柱は糸状、基部は凹んだ球形。柱頭は3岐。小堅果は白色~灰黄色、倒卵形、長さ約0.8㎜×幅0.5~0.6㎜、3面があり、先は狭まり、宿存する凹んだ球根状の柱基をもつ。花期と果期は2~6月。2n=20。

参考

1) Flora of China
 Bulbostylis
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=104829
2) GRIN
 Bulbostylis
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=1787
3)Flora of North America
 Bulbostylis
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=104829
4)Plants of the World Online | Kewscience
 Bulbostylis
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331160-2
5)レッドデータブックとちぎ - 栃木県
 イトテンツキ
http://www.pref.tochigi.lg.jp/shizen/sonota/rdb/detail/05/0224.html
6) 愛媛県レッドデータブック
 イトテンツキ
https://www.pref.ehime.jp/reddatabook2014/detail/09_08_011020_0.html
7)京都府レッドデータブック2015
 イトテンツキ
https://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/db/flo0177.html