ダグラスイヌホオズキ詳細
Flora of Mikawa
オオイヌホオズキに似て球状顆粒が少ないもの
英 名 | Douglas' nightshade , greenspot nightshade |
学 名 | Solanum douglasii Dunal Solanum nigrum L. var. douglasii (Dunal) A. Gray |
日本で見られるオオイヌホオズキはSolanum nigrescens Mart. et Gal. 英名divine nightshade
ではないかといわれている。USDAはSolanum nigrescensをSolanum douglasii Dunalの同義語としていないが Referencesに掲げている中に同義語として扱っているものがある。一般には別種として扱われており、非常によく似たものであると思われる。Solanum
douglasii (同義語 Solanum nigrum var. douglasii 英名 Douglas' nightshade, greenspot
nightshade)はアメリカ合州国の西南部や、メキシコ、パナマなど中米に分布し、 The Jepson Manual 、 CDFA(CALIFORNIA
DEPARTMENT OF FOOD AND AGRICULTURE)、SEInetによって提供されているCANOTIA(An Arizona
journal publishing botanical and mycological papers )などに記述があり、次表のとおりである。
オオイヌホオズキに似て球状顆粒の少ないものが見つかった。データがSolanum douglasiiに非常によく似ており、花冠の基部も褐色を帯びるものがあり、Solanum douglasiiではないかと推定される。和名はまだつけられていないようであり、ここではひとまずダグラスイヌホオズキと仮称する。
※()は花の未確認分を含めたもの
CDFAの特記
花序は散形状で、明らかな分岐でない。白色の花冠基部に緑色の班紋がある。萼片は背面に反曲しない。
CANOTIAの記述
花冠の基部はときに褐色を帯びた星形。
ダグラスイヌホオズキの果実の種子数と球状顆粒数 実測データ
果期で、花の確認ができていないダグラスイヌホオズキと思われるもの
右端列の球状顆粒3、3、7、7は同一花序の果実
ダグラスイヌホオズキとオオイヌホオズキとの比較
【疑問点と仮説】
まだ花が確認できていないが、果実の球状顆粒が1~7個の株が見つかった。Solanum douglasiiの球状顆粒数をCDFAの示す10個以下とするとこれも含めてダグラスイヌホオズキと考えることができる。
ダグラスイヌホオズキの球状顆粒を10個以下とし、オオイヌホオズキを4個以上とすると球状顆粒を調べても判別ができなくなる場合もあり、判別が非常に難しい。
ダグラスイヌホオズキとオオイヌホオズキは球状顆粒が違うことを除き、ほとんど同じであり、原産地のメキシコやパナマなど中米では異名としている。花冠基部が褐色を帯びることはテリミノイヌホオズキの場合にもあり、特別なことではないと思われる。葉の幅がダグラスイヌホオズキの方がやや広いが、葉形は変化しやすい。これらを総合すると日本のオオイヌホオズキは新たに確認できたダグラスイヌホオズキに含まれ、Solanum douglasiiであるとも考えられる。
この説を取ると、ダグラスイヌホオズキ(オオイヌホオズキを含む。)は球状顆粒が0~12個であり、アメリカ合州国の西南部やメキシコ、パナマなど中米に分布するSolanum douglasii Dunalが帰化したものであり、Solanum nigrescens Mart. et Gal.はSolanum douglasii Dunalに含まれるものと推察できる。
しかし、オオイヌホオズキの球状顆粒数が4~12個、平均9個、ダグラスイヌホオズキは0~4個(0~7個)平均2個(3個)と差があり、花もダグラスイヌホオズキの方が大きくなるようであり、別種とするのが妥当と考える。
オオイヌホオズキに似て球状顆粒の少ないものが見つかった。データがSolanum douglasiiに非常によく似ており、花冠の基部も褐色を帯びるものがあり、Solanum douglasiiではないかと推定される。和名はまだつけられていないようであり、ここではひとまずダグラスイヌホオズキと仮称する。
オオイヌホオズキ 神奈川県植物誌 |
Solanum douglasii | 実測値 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
The Jepson Manual | CDFA | CANOTIA | オオイヌホオズキ | ダグラスイヌホオズキ | ||
葉の長さ ㎝ | 1~9 | 2~9 | ||||
花序の花 個 | 5~8 | 3~8 | 3~ 8 | 2~9 | ||
花径 ㎜ | 8~12 | ± 10 | 8~25 | 8~15.5 | 7~17 | |
花柱 ㎜ | 4~6 | 4~5 | 3~7 | 3.3~4.7 | 3.6~4.7 | |
葯 ㎜ | 2~3 | 2.5~4 | 2.5~4 | 2.2~2.8 | 2.3~2.9 | |
花粉粒 μm | 25~33 | 25~28 | ||||
果実光沢 | やや強 | やや強 | やや強 | |||
果径 ㎜ | 7~10 | 6~9 | 6~12 | 5~10 | 5~9 | |
種子数 個 | 60~120 | (9)69~110 | (20)63~125 | |||
種子長 ㎜ | 1~1.3 | 1.2~1.5 | 1.2~1.5 | 1~1.6 | 1.1~1.5 | 1.1~1.5 |
種子の色 | 淡黄褐 | 淡黄褐 | ||||
球状顆粒 個 | 4~10 | 10以下 | 0~5 | 5~12 | 0~4 (0~7) |
CDFAの特記
花序は散形状で、明らかな分岐でない。白色の花冠基部に緑色の班紋がある。萼片は背面に反曲しない。
CANOTIAの記述
花冠の基部はときに褐色を帯びた星形。
ダグラスイヌホオズキの果実の種子数と球状顆粒数 実測データ
果実径 ㎜ | 種子数 個 | 球状顆粒 個 | 果実径 ㎜ | 種子数 個 | 球状顆粒 個 | 果実径 ㎜ | 種子数 個 | 球状顆粒 個 |
5 | 20 | 0 | 7.5 | 108 | 4 | 8 | 125 | 3 |
5.5 | 38 | 2 | 7.5 | 101 | 4 | 8 | 120 | 3 |
6 | 32 | 4 | 7 | 94 | 1 | 8 | 122 | 4 |
7 | 89 | 1 | 6 | 63 | 0 | 7 | 67 | 2 |
7 | 104 | 2 | 7 | 76 | 4 | 7 | 124 | 3 |
7.5 | 63 | 1 | 7.5 | 101 | 2 | 9 | 88 | 2 |
7.5 | 83 | 3 | 7.5 | 117 | 3 | 9 | 117 | 4 |
7.5 | 104 | 0 | 7 | 102 | 3 |
果期で、花の確認ができていないダグラスイヌホオズキと思われるもの
果実径 ㎜ | 種子数 個 | 球状顆粒 個 | 果実径 ㎜ | 種子数 個 | 球状顆粒 個 | 果実径 ㎜ | 種子数 個 | 球状顆粒 個 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
7.8 | 93 | 4 | 7.6 | 76 | 4 | 7.6 | 90 | 3 |
8.1 | 79 | 3 | 7.1 | 61 | 3 | 7.8 | 94 | 3 |
7.9 | 88 | 3 | 6.8 | 49 | 3 | 8.1 | 100 | 7 |
7.8 | 82 | 2 | 7.6 | 72 | 2 | 7.9 | 90 | 7 |
7.2 | 86 | 6 | 7.7 | 75 | 1 | 6 | 29 | 6 |
ダグラスイヌホオズキとオオイヌホオズキとの比較
オオイヌホオズキ | ダグラスイヌホオズキ | |
---|---|---|
全形 | 這うことが多い | 直立し、低く枝分かれして広がる。 |
葉 | やや幅が狭い | やや幅が広い |
花 | 花冠基部が褐色を帯びない | 花冠基部が褐色を帯びることがある。褐色を帯びないことも多い。 |
果実 | 球状顆粒が4~10(実測最大12)個 | 球状顆粒が0~4個(又は10個以下)、球状顆粒が小さいことが多い。 |
【疑問点と仮説】
まだ花が確認できていないが、果実の球状顆粒が1~7個の株が見つかった。Solanum douglasiiの球状顆粒数をCDFAの示す10個以下とするとこれも含めてダグラスイヌホオズキと考えることができる。
ダグラスイヌホオズキの球状顆粒を10個以下とし、オオイヌホオズキを4個以上とすると球状顆粒を調べても判別ができなくなる場合もあり、判別が非常に難しい。
ダグラスイヌホオズキとオオイヌホオズキは球状顆粒が違うことを除き、ほとんど同じであり、原産地のメキシコやパナマなど中米では異名としている。花冠基部が褐色を帯びることはテリミノイヌホオズキの場合にもあり、特別なことではないと思われる。葉の幅がダグラスイヌホオズキの方がやや広いが、葉形は変化しやすい。これらを総合すると日本のオオイヌホオズキは新たに確認できたダグラスイヌホオズキに含まれ、Solanum douglasiiであるとも考えられる。
この説を取ると、ダグラスイヌホオズキ(オオイヌホオズキを含む。)は球状顆粒が0~12個であり、アメリカ合州国の西南部やメキシコ、パナマなど中米に分布するSolanum douglasii Dunalが帰化したものであり、Solanum nigrescens Mart. et Gal.はSolanum douglasii Dunalに含まれるものと推察できる。
しかし、オオイヌホオズキの球状顆粒数が4~12個、平均9個、ダグラスイヌホオズキは0~4個(0~7個)平均2個(3個)と差があり、花もダグラスイヌホオズキの方が大きくなるようであり、別種とするのが妥当と考える。
オオイヌホオズキ | ダグラスイヌホオズキ |
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オオイヌホオズキの花 | ダグラスイヌホオズキの花 |