アズマレイジンソウ 東伶人草

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Flora of Mikawa

キンポウゲ科 Ranunculaceae トリカブト属

別 名 アズマトリカブト
学 名 Aconitum pterocaule Koidz.
アズマレイジンソウの花序
アズマレイジンソウの花の雄しべ
アズマレイジンソウの花の屈毛
アズマレイジンソウの花柄
アズマレイジンソウの果実
アズマレイジンソウの熟した果実
アズマレイジンソウ
アズマレイジンソウ花の構造
アズマレイジンソウ蜜弁
アズマレイジンソウの種子
アズマレイジンソウ葉
アズマレイジンソウ葉2
花 期 8~10月
高 さ 30~100㎝
生活型 多年草
生育場所 林縁、林内
分 布 在来種(日本固有種) 本州(東北、関東、中部地方)
撮 影 設楽町  14.9.22
       15.9.23
茎は直立又は蔓状に伸び、断面は円形又は稜があり、下部の稜は翼状になる。根生葉は花時に残る。葉は幅5~18㎝の円形、(3)5~7中裂し、裂片には粗い鋸歯がある。葉柄と葉裏の脈上にに屈毛があり、ときに開出毛が混じる。茎頂の総状花序に5~12個の淡紅紫色の花をつけ、下部の花から開花する。花柄には屈毛がある。花の外面には屈毛がまばらに生え、ときに開出毛や伏毛が生える。上萼片(かぶと)は長い円筒形。上萼片の中に蜜弁(花弁)が2個あり、蜜弁の舷部は細い。側萼片の内側に白色の長毛がある。雄しべは多数、無毛。花糸は下部が翼状に広くなる。葯は紫色。果実は雌しべ(心皮)の数3個と同数の袋果を上向きにつけ、熟すと上側が裂開する。袋果は長さ約12㎜、幅約4㎜、(4~)6個の種子が入り、果皮の内側には微細な脈があり、光沢がある。種子は長さ3~4㎜、全面に皺のある翼がつき、翼を取った種子は長さ約2㎜の卵形。
 レイジンソウ Aconitum loczyanum は本州(関東地方以西)、四国、九州、朝鮮、九州に分布する。アズマレイジンソウによく似るが、花柄や上萼片には開出毛がある。
 オオレイジンソウ Aconitum umbrosum は本州(中部地方以北)、朝鮮、中国、ロシアに分布する。。花が淡黄色。

トリカブト属

  family Ranunculaceae - genus Aconitum

 多年草又は偽1年草(トリカブト亜属)、まれに1年草、直根又は2~数本の塊根(caudices)=貯蔵根をもつ。塊根は毎年肥大するもの(多年草)と、毎年、母根(parent tuber)から新しい栄養繁殖体(嬢根 daughter tubers)を作り、翌年に母根が枯れて、更新されるものがある(偽1年草)。茎は直立又は絡み付く。葉は単葉又は複葉、茎葉は互生、ときに全て根生し、掌状に分裂し、まれに不分裂。花序は普通、総状花序。花柄は2個の小苞もつ。花柄の毛は屈毛(下向きに曲がった毛)又は開出毛、斜上毛があり、屈毛の表面には低いいぼ状の突起があり(粗面屈毛)、開出毛等の表面は平滑である(滑面開出毛等)。花は両性、左右相称。咢片は5個、花弁状、紫色、青色、又は黄色。下咢片は2個、狭披針形又は長円形、小さい。側咢片は2個、ほぼ円形。上咢片はかま形、 舟状、かぶと形(galeate)、又は円筒形。花弁(蜜弁)は2個、爪部があり(clawed)、舷部(limb)は普通、唇(lip)と距(spur)をもち、距の先は渦巻状、屈曲、又は真っすぐ。自家不和合性の虫媒花であり、分泌組織(蜜腺)は普通、舷部の先にあり、まれに外側につく。仮雄しべは普通、無い。雄しべは多数。葯は楕円状球形。心皮は3~5(~13)個。花柱は短く、宿存する。
 世界に約400種があり、北半球の温帯地域に分布する。強い毒性があるものが多く、英名はmonk's hood という。

トリカブト属の主な種

1 Aconitum alboviolaceum Kom.  レイジンカズラ
  synonym Aconitum alboviolaceum Kom. f. purpurascens (Nakai) Kitag
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は两色乌头 liang se wu tou 。

2 Aconitum ambiguum Rchb.  コウアンウズ
 中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は兴安乌头 xing an wu tou

3 Aconitum arcuatum Maxim.  セイタカブシ
  synonym Aconitum fischeri Rchb. var. arcuatum (Maxim.) Regel
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は弯枝乌头 wan zhi wu tou

4 Aconitum asahikawaense Kadota  カムイレイジンソウ
 北海道固有種(旭川市とその周辺の蛇紋岩地域)
 花梗に屈毛が生える。 小苞は花梗の基部につく。花は黄色、より大型で長さ2.5~ 3㎝。花弁の距は長さ2~4㎜、湾曲して約180° まで屈曲するか、あるいは真っすぐ。袋果は長さ1~2㎝、直立~斜開する。各萼片の先端部に紫褐色の斑紋がある。心皮に屈毛が生えるが、時に無毛になる。

5 Aconitum austrokoreense Koidz.  ウスキトリカブト
 朝鮮原産。

6 Aconitum azumiense Kadota et Hashido  アズミトリカブト 安曇鳥兜
 日本固有種(長野県)
 1)花梗は無毛。 2)頂生花序が無限的。 3)葉身は3全裂~'3深裂する。4)上琴片が背の低い円錐形あるいはやや舟形で、嘴が長い。 5)蜜腺(花弁)の身部がわずかに膨大し、距が細く長くかつ360度近くにまで屈曲する。.2n=4x=32。

7 Aconitum barbatum Patrin ex Pers
 中国、ロシア原産。中国名は细叶黄乌头 xi ye huang wu tou

7-1 Aconitum barbatum Patrin ex Pers. var. barbatum  ホソバキエボシソウ
 中国原産。
7-2 Aconitum barbatum Patrin ex Pers. var. hispidum (DC.) Ser.  キエボシソウ
  synonym Aconitum sibiricum Poir
 中国、ロシア原産。中国名は西伯利亚乌头 xi bo li ya wu tou

7-3 Aconitum barbatum Patrin ex Pers. var. puberulum Ledeb.  オオキエボシソウ
  synonym Aconitum barbatum Patrin ex Pers. subsp. pekinense (Vorosch.) Gubanov
 中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は牛扁 niu bian 。

8 Aconitum carmichaeli Debx.  カラトリカブト 唐鳥兜
  synonym Aconitum wilsonii Stapf ex Veitch
 中国、ベトナム原産。中国名は乌头 wu tou。英名はChinese monk's hood
 日本へは徳川時代に薬用植物として中国から渡来し、観賞用に切花として栽培されている。別名はハナトリカブト。
 塊根(caudex)は倒円錐形、長さ2~4㎝×直径1~1.6㎝。茎は長さ0.6~1.5(~2) m、分枝し、先にまばらに下向きの軟毛があり、葉が均等に茎につく。下部の茎葉は花期に枯れる。中間の茎葉は長い葉柄があり、葉柄は長さ1~2.5㎝。葉身は5角形、長さ6~11㎝×幅9~15㎝、薄い革質又は草質、下面にはまばらに軟毛があるか、脈に密に軟毛がある。上面にはまばらに伏した軟毛があり、基部はわずかに心形、3全裂又は基部近くまで分裂し、中裂片は広菱形、ときに、倒卵状菱形又は菱形。側裂片は不等に2深裂する。花序は頂生、長さ 6~10(~25)㎝、花が多数つき、花序軸や花柄は±密に下向きの伏した軟毛又は開出する軟毛がある。下部の苞は3裂、他は狭卵形~披針形。花柄は長さ1.5~3(~5.5) ㎝、中間又は下部に2個の小苞をもつ。小苞は披針形~線形、長さ3~5(~10)㎜× 幅0.5~0.8(~2)㎜。咢片は青紫色、外面は軟毛がある。下側の咢片は長さ1.5~1.7㎝。側咢片は長さ1.5~2㎝。上側の咢片は高いかぶと形、高さ2~2.6㎝、基部から嘴まで1.7~2.2㎝。下側の縁はわずかに凹面形。花弁は無毛、舷部は長さ約1.1㎝。唇は長さ約6㎜、わずかに凹面形。距は普通、渦巻状、長さ(1~)2~2.5㎜。雄しべは無毛又はまばらに軟毛がある。花糸は2小歯があるか又は全縁。心皮は3~5個、疎~密に軟毛があり、まれに無毛。袋果は長さ1.5~1.8㎝。種子は長さ3~3.2㎜。花期は9~10月。2n = 32, 48, 64。
品種) 'Arendsii' , 'Barker's Variety' , 'Blue Bishop' , 'Kelmscott' , 'Pink Sensation' , 'River Avon' , 'Royal Flush' , 'Spatlese' , (Arendsii Group) 'Arendsii' , (Arendsii Group) 'Cloudy' (PBR) , (Wilsonii Group) 'Autumn Amethyst' , (Wilsonii Group) 'Barker's Variety' , (Wilsonii Group) 'Kelmscott' , (Wilsonii Group) 'Kelmscott Variegated' (v) , (Wilsonii Group) 'Spatlese' , (Wilsonii Group) 'The Grim Reaper' , Arendsii Group , 'Blue Bishop' , 'Blue Topaz' , 'Faun' , 'Mittelstand' , 'Moody Blues' , 'Redleaf' (PBR) , 'River Arrow' , 'River Avon' , 'River Dee' , 'River Devon' , 'River Finn' , 'River Lugg' , 'River Lune' , 'River Medway' , 'River Nene' , 'River Ouse' , 'River Severn' , 'River Spey' , 'River Tees' , 'River Teifi' , 'River Trent' , 'River Usk' , 'River Welland' , 'Royal Flush' (PBR) , Wilsonii Group
8-1 Aconitum carmichaelii Debeaux var. truppelianum (Ulbrich) W.T.Wang et P.K.Hsiao  リョウトウブシ
  synonym Aconitum fortunei Hemsl. 
  synonym Aconitum liaotungense Nakai
  synonym Aconitum chinense Siebold ex Paxton 
 中国原産。中国名は展毛乌头 zhan mao wu tou 。別名はハナトリカブト 花鳥兜
 花序軸、花柄に開出軟毛がある。

9 Aconitum jaluense Kom. チイサントリカブト
  synonym Aconitum chiisanense Nakai 
 朝鮮、ロシア原産。

10 Aconitum coreanum (H.Lev.) Rapaics  キバナトリカブト
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は黄花乌头 huang hua wu tou

11 Aconitum degenii Gayer
 ポーランド、チェコスロバキア、ルーマニア、ウクラウナ原産
11-1 Aconitum degenii subsp. paniculatum (Arcang.) Mucher
品種) 'Roseum'

12 Aconitum fischeri Rchb.  オオブシ 大附子
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は薄叶乌头 bao ye wu tou

13 Aconitum formosanum Tamura  タイワントリカブト 台湾鳥兜
  synonym Aconitum fukutomei Hayata var. formosanum (Tamura) T.Y.A.Yang et T.C.Huang
  synonym Aconitum bartlettii Yamam. var. formosanum (Tamura) T.S.Liu et C.F.Hsieh
 台湾原産。中国名は台湾乌头 tai wan wu tou

14 Aconitum fukutomei Hayata  シマトリカブト
  synonym Aconitum bartlettii Yamam.
 台湾原産。中国名は梨山乌头 li shan wu tou

15 Aconitum gassanense Kadota et Shin'ei Kato  ガッサントリカブト 月山鳥兜
 日本固有種(東北地方)。ブナ林の渓流沿いの湿地に生える。
 多年草。高さ150cm。茎葉は薄質で3中裂する。花梗には粗面屈毛が密生する。短い滑面斜上毛と同じく短い滑面腺毛が生える心皮を具える。2n=16。

16 Aconitum gigas H.Lev. et Vaniot  エゾレイジンソウ 蝦夷伶人草
  synonym Aconitum tatewakii Miyabe var. vegetum Miyabe
  synonym Aconitum ranunculoides Turcz. ex Ledeb. subsp. gigas (H.Lev. et Vaniot) Vorosch.
 北海道固有種(ニセコ地域~余市山地、道北、道東)
 花梗に屈毛が生える。小苞は花梗の中部につく。萼片に紫褐色の斑紋はない。花は黄色、より大型で長さ2.5~ 3㎝。花弁の距は長さ2~4㎜、湾曲して約180° まで屈曲するか、あるいは真っすぐ。心皮は無毛、稀に屈毛が散生する。袋果は長さ1~2㎝、直立~斜開する。
品種) 'Sirafu'('Jirafu'))

17 Aconitum grossedentatum (Nakai) Nakai  カワチブシ 河内附子
  synonym Aconitum grossedentatum (Nakai) Nakai var. odaiense Nakai
  synonym Aconitum grossedentatum (Nakai) Nakai var. sikokianum (Nakai) Nakai ex Tamura et Namba
 日本固有種(本州の関東地方~近畿地方の太平洋岸、四国)
 愛知県内ではやや湿った林縁で見られるのが普通である。猛毒で知られている。
 多年草。高さ50~180㎝。草原では直立し、林縁では斜上する。地下に塊根がある。葉は3全裂~3深裂し、裂片は披針形~卵状披針形、粗い鋸歯又は欠刻状。花は毛が多く、萼片は5個(上萼片(えぼし形)1個、側萼片1対、下萼片1対)、全て、青紫色。花弁(蜜弁)は上萼片の中に1対あり、距がある。雄しべは多数。花糸は上部が普通、無毛、下部が翼状に広くなり、歯がある。花柄は無毛。果実は雌しべ(心皮)の数と同数の袋果を上向きにつける。種子には翼がある。花期は8~10月。2n=4x=32

18 Aconitum hemsleyanum E.Pritz.
 中国、ミャンマー原産。中国名は瓜叶乌头 gua ye wu tou
品種) 'Red Wine'

19 Aconitum hiroshi-igarashii Kadota  コンブレイジンソウ
 北海道固有種(蘭越町、ニセコ町、豊浦町、渡島半島の七飯町)。青緑林の林縁に生える。
 ニセコレイジンソウに似るが、花柄には粗面屈毛が生える点で区別できる。
 花は淡青紫色。円筒形の上萼片(かぶと)をもち、嘴が短く、花弁の唇部は全縁。花弁の距が太くかつ短い。
19-1 Aconitum hiroshi-igarashii Kadota x A. ikedae Kadota  ハゴロモレイジンソウ
  synonym Aconitum gigas H.Lev. et Vaniot f. bicolor Kadota et Umezawa
 ニセコレイジンソウとコンブレイジンソウとの自然雑種

20 Aconitum iidemontanum Kadota, Y.Kita et K.Ueda  イイデトリカブト
 日本固有種(東北地方南部・飯豊山地の山形県側)
 サンヨウブシA.sanyoenseに似ているが、花柄に滑面開出毛が生え、上咢片は円筒状の僧帽形で嘴が短い。2n=16

21 Aconitum iinumae Kadota オオレイジンソウ 大伶人草
  synonym Aconitum gigas H.Lev. et Vaniot var. hondoense Nakai ex Tamura et Lauener 
  synonym Lycoctonum paishanense var. hondoense Nakai
  synonym Aconitum umbrosum auct. non (Korsh.) Kom.
 日本固有種(本州中部以北、北海道南部)
 多年草。高さ50~100㎝。根茎は垂直、塊根を作らない。茎は1~数本、直立し、上部には屈毛がある。根生葉は花期にも残る。葉は腎円形、直径10~30㎝、30㎝を超えることも多く、7~11中裂する。総状花序は長さ10~30㎝。花柄には粗面屈毛がある。花は淡黄色、長さ2.5~3㎝。上咢片は中部でくびれず、円筒形。花弁は身部が長さ8㎜以上あり、距が長く、4㎜以上あり、360o又はそれ以上に内曲する(circinate)。雄しべは無毛。花期は7~8月。
【学名について】 Kewscienceも
 オオレイジンソウはトリカブト属レイジンソウ亜属(キンポウゲ科)の多年草,、花が黄白色。本州に分布する。花弁の距が長く、360o又はそれ以上に内曲することから、エゾレイジンソウAconitum gigas H. Lev. & Vaniotの変種 var. hondoense として過去に扱われてきた。.しかしながら、花弁舷部と上萼片の大きさと形に注目し、オオレイジンソウとエゾレイジンソウは別種として扱い、朝鮮、中国、ロシアに分布するAconitum umbrosum (Korsh.) Kom.に含められるようになった(門田 2006, 2013,Kadota 2006)。その後の再検討の結果、A. umbrosum は上萼片が中部でくびれ、先端部が細くなる傾向があり、花梗がより長く湾曲するため、オオレイジンソウとは相違があり、さらに、根生葉が直径20㎝以下で5~7裂し、オオレイジンソウは直径約30㎝、7~11裂して異なるため、新たにAconitum iinumae Kadotaとされた(2014)。これによりAconitum umbrosum (Korsh.) Kom.は和名がタチキエボシソウに改められた。

22 Aconitum lycoctonum L.
 ヨーロッパ~西アジア原産。英名はwolf's-bane , northern wolf's-bane , yellow wolfsbane
品種) 'Dark Eyes' , 'Darkeyes' , 'Graupe' , 'Russian Yellow'

23 Aconitum ikedae Kadota  ニセコレイジンソウ
 北海道固有種(蘭越町[ニセコ山系西部の南面]とニセコ町[昆布岳の北面]及び豊浦町[礼文華])。青緑林の林縁に生える。
  高さ70~100㎝。花柄の全体に渡って。滑面開出毛が生え、先端部に滑面腺毛が生える。花は淡青紫色、長さ2~2.5㎝。円筒形の上萼片(かぶと)をもち、嘴が短い。花弁は高さ約1㎝。花弁の唇部は不規則な波状縁。花弁の距が太くかつ短い。

24 Aconitum jaluense Kom.
 日本、朝鮮、中国、ロシア原産。
24-1 Aconitum jaluense Kom. subsp. jaluense  コウライブシ 高麗附子
  synonym Aconitum jaluense Kom. var. paniculigerum (Nakai) S.X.Li
  synonym Aconitum triphyllum Nakai 
  synonym Aconitum jaluense Kom. var. triphyllum (Nakai) U.C.La
  synonym Aconitum jaluense Kom. var. truncatum S.X.Li et Y.H.Huang
  synonym Aconitum paniculigerum Nakai
 日本(九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は鸭绿乌头 ya lu wu tou。
 コウライブシはかつては三重県、大阪府、島根県、香川県などから得られていたが、現在は日本国内では九州にしか知られていない.コウライブシはかつては能登半島にも生育していた。
 ①花弁(蜜弁)の舷部が膨大しない。②花弁の距が太くかつ長く、先端部が強く巻く。③葉身が3中裂~深裂し、葉裂片に粗い鋸歯がある。④上萼片(かぶと)の嘴が短い。⑤袋果がより小型である。⑥雄しべが無毛。⑦花柄は長さ3~4㎝長く、滑面開出毛をもつ。
24-2 Aconitum jaluense Kom. subsp. iwatekense (Nakai) Kadota  センウズモドキ
  synonym Aconitum metajaponicum Nakai var. iwatense (Nakai) Tamura et Namba 
 本州(東北地方の岩手県、宮城県、福島県の太平洋側沿海地域)に分布。
 多年草。高さ0.8~1.8m。塊根は紡錘形、1本の茎が出る。茎は直立、あまり分枝しない。葉は五角形状、3全裂~3深裂し、側裂片はさらに2深裂し、粗い鋸歯がある。散房状に花をつける。花柄には滑面開出毛がある。花は外面に屈毛があり、開出毛が混じる。雄しべは有毛。雌しべは有毛。花期は8~9月。2n=32

25 Aconitum japonicum Thunb. ヤマトリカブト 山鳥兜 [広義]
 日本固有種(本州)
25-1 Aconitum japonicum Thunb. subsp. japonicum  ヤマトリカブト 山鳥兜
  synonym Aconitum japonicum Thunb. var. hakonense (Nakai) Tamura
  synonym Aconitum deflexum Nakai var. hakonense (Nakai) Tamura
  synonym Aconitum deflexum Nakai 
  synonym Aconitum japonicum Thunb. var. montanum Nakai
  synonym Aconitum ibukiense Nakai var. hakonense (Nakai) Tamura ex Ohwi 
Japanese monk's hood
 本州(関東地方西部と中部地方東部)に分布する。別名はウズ、エボシバナ。
 草原や林縁のやや湿った場所に生える。全草有毒、特に根は即効性の猛毒である。
 多年草(疑似一年草)。高さ60~200㎝。塊根は倒卵形、長さ約3㎝、淡褐色。茎は直立又はときに斜上する。葉は互生し、長い葉柄があり、葉身は五角状扁円形、掌状に3~5深裂~中裂し、縁に不規則な粗い鋸歯があり、下部の葉が5深裂し、上部の葉が3深裂となる傾向があり、裂片の幅は広いものから狭いものまで変異があり、基部は心形~切形。茎頂及び上部の葉腋に散房花序をつけ、花を直立する。花柄は長く、粗面屈毛がある。花は青紫色、外面には屈毛があり、内面にも屈毛と直毛がある。上咢花はかぶと形で、高さ3~4㎝、嘴はやや長い。花弁は絃部が幅広く、距は渦巻状。袋果は3(~5)個、直立する。雄しべは有毛。種子は長さ約3㎜、薄板が多数つく。花期は8~10月。

25-2 Aconitum japonicum Thunb. subsp. ibukiense (Nakai) Kadota  イブキトリカブト 伊吹鳥兜
  synonym Aconitum japonicum Thunb. var. ibukiense (Nakai) Tamura
  synonym Aconitum ibukiense Nakai 
  synonym Aconitum ibukiense Nakai var. eizanense Nakai ex Tamura et Namba
  synonym Aconitum japonicum Thunb. var. eizanense (Nakai ex Tamura et Namba) Tamura 
 本州(関東西部~近畿地方、福井県~兵庫県、山口県の日本海側)。別名はキタヤマブシ。向陽草地や林縁に生える。北陸地方から近畿地方では最も普通に見られる。和名は伊吹山で最初に発見されたことによる。
 多年草(疑似一年草)、高さ25~180㎝。直立し、茎はほとんど分枝しないか、上部で分枝する。葉は互生し、長い葉柄がある。葉身は厚い革質、緑色で光沢があり、卵形~長楕円形、3~5中~深裂し、裂片は中裂し、粗い不規則な鋸歯がある。茎頂や葉腋の散房花序に花を直立する。花柄には粗面屈毛がある。花は鮮やかな青紫色~淡青紫色。上萼片はかぶと形、嘴は短い。花弁の距は太くて長く、180度以上に屈曲する。雄しべは無毛。花期は8~11月。2n=32の4倍体。京都府や滋賀県でむかごをつけるものが確認されている。
 ※キタヤマブシvar. eizanense は林内や林縁に生え、斜上するが、イブキトリカブトに含められている。

25-3 Aconitum japonicum Thunb. subsp. maritimum (Tamura et Namba) Kadota  ツクバトリカブト 筑波鳥兜
  synonym Aconitum tsukubense Nakai
 本州(東北地方の太平洋沿岸~関東地方~中部地方高原) に分布。山地の草原や林縁に生える。
 高さ30~90(~150)㎝。茎は普通、直立し、ときに斜上し、あまり分枝せず、屈毛がある。葉は3全裂~3中裂し、直径9~20㎝。花序は頂生又は腋生の散房花序。花柄には粗面屈毛がある。花は青紫色~淡紫色、高さ3~4㎝。上咢片はかぶと形、微軟毛がある。雄しべに開出毛がある。2n=32。花期は8~10月。
25-3-1 Aconitum japonicum Thunb. subsp. maritimum (Tamura et Namba) Kadota var. maritimum (Tamura et Namba) Kadota  ツクバトリカブト 狭義
25-3-2 Aconitum japonicum Thunb. subsp. maritimum (Tamura et Namba) Kadota var. iyariense Kadota  イヤリトリカブト 居谷里鳥兜
 日本海側の多雪地帯に分布。湿地や谷沿いに生える。和名は居谷里湿原に由来する。
 高さ100~150㎝。茎は斜上し、よく分枝し、弓状に枝を長く伸ばす。葉は3深裂し、さらに側裂片は2裂し、縁は粗い鋭鋸歯縁。花柄に粗面屈毛がある。雄しべは有毛。花期は8~10月。
25-4 Aconitum japonicum Thunb. subsp. napiforme (H.Lev. et Vaniot) Kadota  タンナトリカブト 耽羅鳥兜
  synonym Aconitum napiforme H.Lev. et Vaniot var. saninense (Nakai) Tamura et Namba
  synonym Aconitum napiforme H.Lev. et Vaniot var. latifolium Nakai ex Tamura et Namba
  synonym Aconitum japonicum Thunb. var. napiforme (H.Lev. et Vaniot) Saiki
  synonym Aconitum napiforme H.Lev. et Vaniot 
 日本(本州の近畿以西、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は萝卜乌头 luo bo wu tou 。西日本には普通に見られる。
 塊根(caudex )は長さ3~8㎝×直径1~3㎝。茎は高さ15~150㎝、3~10分枝し、まばらに下向きの軟毛があり、葉は茎に等間隔でつく。下部の茎葉は花時に枯れる。中間の茎葉は葉柄が長さ2~8㎝、まばらに下向きの軟毛がある。葉身は五角形、長さ4~14㎝×幅4.5~16㎝、膜質~革質、両面にまばらに下向きの軟毛があり、基部は心形、3出複葉。中小葉は菱形~卵状菱形、類羽状に分裂又は浅裂する。側小葉は斜めの扇状、不等に2深裂し、先は尖鋭形。花序は頂生、総状花序~散房花序、花が2~8個つく。花序軸と花柄には下向きの軟毛がある。下部の苞は3裂、他の苞は長円形又は線形。下部の花柄は長さ3~10㎝、花柄の中間に2個の小苞をもつ。小苞は線形~披針形、長さ 3~10㎜×幅0.5~3 ㎜。咢片は紫青色、外側にまばらに下向きの軟毛がある。下咢片は長円形、長さ1~1.9㎝。側咢片は長さ1.3~2.3㎝。上咢片はかぶと形、高さ2~2.8㎝、長い嘴があり、下側の縁は長さ1.4~2.3㎝。花弁は無毛。舷部は幅3~6㎜、唇は長さ2~4㎜。距は内巻~ほぼ渦巻状、長さ2~4㎜。雄しべは無毛。花糸は2小歯がある。心皮は3~5個、無毛又は疎~密に下向きの軟毛がある。袋果は直立、長さ0.8~1.3㎝。種子は長さ約2㎜。花期は8~10月。2n=32。(Flora of China)

26 Aconitum karafutense Miyabe et Nakai  ツルカラフトブシ
 サハリン、ロシア原産。

27 Aconitum kirinense Nakai  ヒロハキエボシソウ
 中国、ロシア原産。中国名は吉林乌头 ji lin wu tou

28 Aconitum kitadakense Nakai  キタダケトリカブト  北岳鳥兜
 日本固有種(北岳、八ヶ岳)。高山の礫まじりの草地に生える。
 小型、高さ10~30(50)㎝。葉は幅3.5~6.5㎝、3深裂し、側裂片は先で2深裂し、さらに分裂し、最終裂片は線形、幅1~3cm、普通、両面の脈上と葉柄に屈毛があり、ときに無毛。花は緩い散房状につき、濃青紫色。長さ25~30㎜。花柄には粗面屈毛がある。花期は8~9月。

29 Aconitum kiyomiense Kadota  キヨミトリカブト 清見鳥兜
 日本固有種(岐阜県飛騨地方)。湿地に生える。
 茎は直立し、よく分枝する。花序は頂生。花はまばらにつき、青紫色。上咢片の嘴は長い。花柄は無毛。2n=4x=32。
 花柄に直軟毛があるものは交雑種。

30 Aconitum kojimae Ohwi ex Tamura  コジマブシ
 台湾原産。中国名は锐裂乌头 rui lie wu tou 。

31 Aconitum kusnezoffii Rchb.  ホナガウズ
  synonym Aconitum volubile Pall. ex Koelle var. pulcherrimum (Nakai) U.C.La 
  synonym Aconitum kusnezoffii Rchb. var. yamatsutae (Nakai) Kitag.
  synonym Aconitum kusnezoffii Rchb. var. gibbiferum (Rchb.) Regel
  synonym Aconitum kusnezoffii Rchb. var. birobidshanicum (Vorosch.) S.X.Li 
  synonym Aconitum kusnezoffii Rchb. subsp. birobidshanicum (Vorosch.) Luferov 
  synonym Aconitum birobidshanicum Vorosch.
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は北乌头 bei wu tou 。
 花柄が無毛。2n=4x=32。

32 Aconitum loczyanum Rapaics  レイジンソウ 伶人草
 日本固有種(本州の近畿地方以西、四国、九州)
  アズマレイジンソウによく似るが、花柄や上萼片に滑面開出毛がある。
 高さ40~80㎝。茎は上部に密に短毛がある。根生葉には長柄があり、掌状に5~7裂する。茎葉は根生葉より小さい。茎頂の総状花序や葉腋に花がつく。花は淡紅紫色、長さ約2.5㎝、外側に開出毛が生える。花柄は長さ1~1.5㎝、滑面開出毛が密に生える。 花期は8~10月。

33 Aconitum longecassidatum Nakai  シラチャレイジンソウ
 朝鮮、中国原産。中国名は高帽乌头 gao mao wu tou

34 Aconitum macrorhynchum Turcz. ex Ledeb.  ホソバハナカズラ
  synonym Aconitum villosum Rchb. f. psilocarpum (Kitag.) Kitag.
  synonym Aconitum macrorhynchum Turcz. ex Ledeb. f. tenuissimum (Nakai ex Kitag.) S.X.Li et Y.H.Huang 
 中国、ロシ原産。中国名は细叶乌头 xi ye wu tou 。

35 Aconitum mashikense Kadota et Umezawa  マシケレイジンソウ 増毛伶人草
 北海道固有種(増毛、樺戸山系)
  花柄に開出毛があるが、腺毛を欠く。葉の下面は 脈に沿って長い伏毛がある。花は黄色。小苞は花梗の中部以下につく。花弁の距は太く長い。花弁の唇部は倒卵形、先端はわずかに凹む。袋果は長さ1~2㎝。

36 Aconitum maximum Pall. ex DC.  チシマトリカブト 
 日本、ロシア、北アメリカ(アラスカ)原産。英名はKamchatka aconite。
36-1 Aconitum maximum Pall. ex DC. subsp. maximum  チシマトリカブト 千島鳥兜
  synonym Aconitum maximum Pall. ex DC. var. kunasirense (Nakai) Tamura et Namba
  synonym Aconitum kunasirense Nakai 
 根に塊根があり、塊根は球根状、長さ20~50㎜×幅5~20㎜。母塊根(parent tuber)と嬢塊根 daughter tubers)は離れ、長さ10~15㎜の根茎で繋がる。茎は普通、約長さ30~200㎝。茎葉は葉身が3裂し、深い湾入と葉身の基部の間に長さ2㎜以上の葉組織をもち、幅は5~20㎝、裂片の縁は深く分裂又は歯がある。花序は総状花序又は円錐花序羽、頂部はしばしば収縮して頭状になる。花は青色、紫色、又はたまに青白色、垂れ下がる咢片~フード(かぶと)の先まで(高さ)25~50㎜、垂れ下がる咢片は長さ約15㎜。フードは円錐状半球形、花托~フードの先端まで(長さ)約17㎜、花托~嘴の先の幅約20㎜。花期は7月中旬~9月。
36-2 Aconitum maximum Pall. ex DC. subsp. kurilense (Takeda) Kadota  シコタントリカブト
  synonym Aconitum kurilense Takeda
  synonym Aconitum misaoanum Tamura et Namba  シレトコブシ(別名シレトコトリカブト)
  synonym Aconitum maximum Pall. ex DC. var. misaoanum (Tamura et Namba) Tamura
 知床半島に分布。普通直立。花序は茎の先に集まる。小葉には小葉柄がある。
 Kadota (Rev. Aconit. subg. Aconit. E. Asia: 133-134 (1987) によれば本種はシコタントリカブトと花柄に直毛を有する不明種との雑種である。しかし、Kadota in K.Iwats. et al., Fl. Jap. 2a: 276 (2006)は本種をシコタントリカブトと区別していない(YList)

36-3 Aconitum maximum Pall. ex DC. var. misaoanum (Tamura et Namba) Tamura f. album Ken Sato  シロバナシレトコトリカブト 異分類

37 Aconitum metajaponicum Nakai  オンタケブシ 御嶽附子
 日本固有種(本州の中部)。山地の沢沿いの草地などに生える。和名は御嶽山で発見されたため。 現在では御嶽山ではほとんど見られない。サンヨウブシはよく似るが、花柄が無毛。
 高さ90~170㎝。茎は枝が斜上して伸長する。葉は円形、5~7浅・中裂する。中部の葉心形、長さ7~12㎝、5中裂し、裂片は卵形~卵状披針形、縁は粗い鋸歯状であまり分裂しない。両面に屈毛があり、ときに無い。頂部に 総状花序、上部の葉腋の散房花序につく。花は単青紫色。花柄には滑面開出毛がある。萼には屈毛と開出毛があり、上咢片は 円筒状、嘴は短い。心皮には斜上毛がある。 2n=16。

38 Aconitum monanthum Nakai  ヒメトリカブト 姫鳥兜
 朝鮮、中国原産。中国名は高山乌头 gao shan wu tou 。

39 Aconitum napellus L.  ヨウシュトリカブト 洋種鳥兜 (アコニット)
 イギリス(、フランス、ドイツ)原産。英名はaconite , monk's-hoodor , wolfsbane。強い摂取毒性と接触毒性がある。
 高さ約1m。茎や葉は無毛。葉は円形、直径5~10㎝、掌状に5~7深裂する。総状花序は直立、長い。花は濃紫色~青紫色、狭い長円形のヘルメット形、高さ1~2㎝。.2n=32
品種) 'Albiflorus' , 'Album' , 'Anglicum Group' , 'Bergfurst' , 'Bicolor' , 'Blue Valley' , 'Carneum' , 'Gletschereis' , 'Newry Blue' , 'Rubellum' , 'Rubellum' , 'Schneewittchen' , 'Snow White' , 'Spark's Variety' , 'Sphere's Variety' , (Anglicum Group) 'Spring Yellow' , 'Versicolor' , 'William Turner'

40 Aconitum neosachalinense H.Lev.  ヒロハカラフトブシ
  synonym Aconitum neosachalinense H.Lev. subsp. miyabei (Nakai) Vorosch.
 サハリン原産。

41 Aconitum nipponicum Nakai ミヤマトリカブト [広義]

41-1 Aconitum nipponicum Nakai subsp. nipponicum var. nipponicum  ミヤマトリカブト 深山鳥兜
  synonym Aconitum senanense Nakai var. incisum (Nakai) Ohwi
  synonym Aconitum otikurense Nakai 
  synonym Aconitum hakusanense auct. non Nakai 
 日本固有種(本州の日本海側)。亜高山帯~高山帯の草地に生える。
 ハクサントリカブトのタイプ標本はミヤマトリカブトとリョウハクトリカブトとの自然交雑に由来する個体と推定された。ミヤマトリカブトとされていた大部分は交雑種のハクサントリカブトであった。
 高さ50~120㎝。葉は3深裂~中裂し、 葉身は直径6~13㎝、最終裂片は幅3~6㎜。 花柄には全体に粗面屈毛が生える。花は青紫色。かぶとは円錐形、かぶとの嘴は長く水平方向に突出する。蜜弁の舷部は太く短く、距は細く短い。花期は8~9月。2n=32
41-1-1 Aconitum nipponicum Nakai subsp. nipponicum var. septemcarpum (Nakai) Kadota  ミョウコウトリカブト 妙高鳥兜
  synonym Aconitum septemcarpum Nakai 
 群馬県北部に分布。花柄には粗面屈毛がある。雄しべと雌しべが有毛。

41-2 Aconitum nipponicum Nakai subsp. micranthum (Nakai) Kadota  キタザワブシ 北沢附子
  synonym Aconitum sakuraii Nakai 
  synonym Aconitum sakuraii Nakai var. micranthum (Nakai) Tamura et Namba 
 本州(日光、関東山地、中央・南アルプス、御岳山)に分布。
 茎葉が3深裂し、花序が散房状になる。花柄には粗面屈毛がある。雄しべには粗毛が密生又は無毛。雌しべは無毛又は屈毛~斜上毛がある。雄しべが無毛のものはサクライウズ(桜井鳥頭)と呼ばれる。

42 Aconitum okuyamae Nakai  ウゼントリカブト 羽前鳥兜
  synonym Aconitum okuyamae Nakai var. wagaense Kadota ワガトリカブト
 日本固有種(本州の山形県、福島県、秋田県、宮城県、岩手円、東京都)
 オンタケブシによく似ているが、 ウゼントリカブトは分枝した枝があまり伸長せず、 花柄が花と等長かより短く、そのために花序に花がより密集する。花柄には滑面開出毛がある。萼片がより浅い円錐形。 花弁(密腺)の距が短く、屈曲する。2n=32
42-1 Aconitum okuyamae var. wagaense Kadota ワガトリカブト 和賀鳥兜
 秋田県・羽後朝日岳の山頂付近の草原に生える。Kewscienceでは変種に認めていない。
 基本変種のウゼ ントリカブト(A. okuyamae)とは全体が小型で、茎が直立し、花数の少ない コンパクトな総状花序をつけ、茎葉の質が厚い点で異なる。花柄には滑面開出毛がある。2n=32

43 Aconitum ohmorii Kadota サンチュウトリカブト 山中鳥兜
 日本固有種(群馬県多野郡上野村[奥多野地方])。石灰岩壁、岩壁直下の急斜面に生える。和名は山中地溝帯の中核部に分布するため。
 茎葉の葉身が3 裂し、花柄に滑面開出毛をもつ点がコウライブシに似るが、次の点が異なる。①花弁(蜜弁)の舷部が膨大しない。②花弁の距が太くかつ長く、先端部が強く巻く。③葉身が3中裂~深裂し、葉裂片に粗い 鋸歯がある。④上萼片(かぶと)の嘴が短い。⑤袋果が より小型である。

44 Aconitum pseudolaeve Nakai  ツルレイジンソウ 蔓伶人草
  synonym Aconitum pteropus Nakai  ヒレハリレイジンソウ
  synonym Aconitum quelpaertense Nakai
 朝鮮原産。

45 Aconitum pterocaule Koidz.  アズマレイジンソウ 東伶人草
  synonym Aconitum pterocaule Koidz. var. glabrescens Tamura 
  synonym Aconitum loczyanum Rapaics var. pterocaule (Koidz.) Ohwi 
  synonym Aconitum chrysopilum Nakai 
  synonym Aconitum pterocaule Koidz. var. albidum (Nakai) Tamura 
 日本固有種(本州の東北、関東、中部地方)。別名はアズマトリカブト。林縁、林内に生える。
 多年草。高さ30~100㎝。茎は直立又は蔓状に伸び、断面は円形又は稜があり、下部の稜は翼状になる。根生葉は花時に残る。葉は幅5~18㎝の円形、(3)5~7中裂し、裂片には粗い鋸歯がある。葉柄と葉裏の脈上にに屈毛があり、ときに開出毛が混じる。茎頂の総状花序に5~12個の淡紅紫色の花をつけ、下部の花から開花する。花柄には屈毛がある。花の外面には屈毛がまばらに生え、ときに開出毛や伏毛が生える。上萼片(かぶと)は長い円筒形。上萼片の中に蜜弁(花弁)が2個あり、蜜弁の舷部は細い。側萼片の内側に白色の長毛がある。雄しべは多数、無毛。花糸は下部が翼状に広くなる。葯は紫色。果実は雌しべ(心皮)の数3個と同数の袋果を上向きにつけ、熟すと上側が裂開する。袋果は長さ約12㎜、幅約4㎜、(4~)6個の種子が入り、果皮の内側には微細な脈があり、光沢がある。種子は長さ3~4㎜、全面に皺のある翼がつき、翼を取った種子は長さ約2㎜の卵形。花期は8~10月。

45-1 Aconitum pterocaule Koidz. var. siroumense (Nakai) Kadota  シロウマレイジンソウ

46 Aconitum puchonroenicum Uyeki et Sakata  フセンキエボシソウ
  synonym Aconitum ranunculoides Turcz. ex Ledeb. subsp. puchonroenicum (Uyeki et Sakata) Vorosch.
. 朝鮮、ロシア沿海地方南部原産。マシケレイジンソウに似る。
 花は黄色。花柄に滑面開出毛があり、多少とも滑面の腺毛が混在する。上咢片は背の高い円錐形で頂部が次第に細くなる。

47 Aconitum raddeanum Regel  オオバハナカズラ
 中国、ロシア原産。中国名は大苞乌头 da bao wu tou

48 Aconitum sachalinense F.Schmidt
48-1 Aconitum sachalinense F.Schmidt subsp. sachalinense  カラフトブシ 樺太附子
  synonym Aconitum sachalinense F.Schmidt var. nemurense Tamura et Namba
  synonym Aconitum sachalinense F.Schmidt var. lasiocarpum Tamura et Namba 
  synonym Aconitum sachalinense F.Schmidt subsp. neokurilense (Vorosch.) Luferov
  synonym Aconitum sachalinense F.Schmidt subsp. nemurense (Tamura et Namba) Vorosch.
  synonym Aconitum ito-seiyanum Miyabe & Tatew. セイヤブシ 誠哉附子
  synonym Aconitum yuparense Takeda var. ito-seiyanum (Miyabe et Tatew.) Toyok
 北海道、サハリン原産。草原、湿地に生える。
 セイヤブシは北海道固有種(留萌地方問寒別、上川、宗谷)。蛇紋岩地帯の沼沢や湿地に生える。
 多年草で、茎は直立し、高さ70~110㎝。葉は5角形、掌状に3~5全裂~深裂する。中部以下の葉は裂片が全裂して、基部が小葉柄状になり、5小葉に見えるものが多く、小葉はさらに裂片が深く切れ込んで最終裂片は線状に細くなり、裂片の間に隙間があり、頂小葉や上部の小葉には明瞭に小葉柄がある。花序は大きい。花柄には粗面屈毛がある。花は青紫色、上咢片の嘴はやや長い。花弁の舷部は幅が広い。雄しべは有毛。花期は8~9月。

48-2 Aconitum sachalinense F.Schmidt subsp. yezoense (Nakai) Kadota  エゾトリカブト 蝦夷鳥兜
  synonym Aconitum yezoense Nakai var. macroyezoense (Nakai) Tamura et Namba
  synonym Aconitum yezoense Nakai 
  synonym Aconitum yezoense Nakai var. corymbiferum (Nakai) Tamura
 北海道に分布。別名はブシ、テリハブシ、ウスバトリカブト。猛毒で知られるトリカブト類の中でも特に毒性が強いことで知られている。知床周辺では普通に見られる。
 多年草。高さ1~2m。茎は斜上又は直立する。葉は五角形、掌状に3全裂~深裂する。中部の葉は3全裂し、1次裂片の基部が小葉状になる。側小葉がさらに2全裂~深裂し、5小葉に見えるものもあり、縁に鋸歯がある。頂小葉や上部の小葉には短い小葉柄がある。花柄には粗面屈毛がある。上咢片の嘴は短い。花弁の舷部は幅が広い。雄しべの花糸に毛が散生する。2n=32。花期は8~9月。

48-3 Aconitum sachalinense F.Schmidt var. compactum Miyabe et Tatew.  リシリブシ 利尻附子
 利尻島、礼文島に分布する。海岸の草原に生える。
 高さ40~70㎝。茎は直立し、分枝しない。葉はやや細かく裂けて、荒い鋸歯がある。花序は散房状で花が密集する。花柄は5~12㎜と短く、屈毛がある。花期は7~9月。

49 Aconitum sanyoense Nakai  サンヨウブシ 山陽附子
  synonym Aconitum sanyoense Nakai var. intermedium Tamura et Namba
  synonym Aconitum sanyoense Nakai var. piliferum Tamura et Namba
 日本固有種(本州の関東地方以西、中国地方)。湿った林内に生える。
 大型で高さ50~150(200).㎝。無毒。茎は斜上して曲がる。葉は質が厚く、円形、直径約30㎝、浅く、5~7中裂する。花序はまばらな円錐花序、花を多数つける。小苞、花柄は無毛。花は淡青紫色、ときに白色。上萼片は長い。花弁の舷部が巻いた細長い距に向かって次第に細くなる。雄しべは無毛。花期は7~11月。2n =2 x =16。
 ジョウシュウトリカブトはよく似るが珠芽(むかご)をつける。
49-1 Aconitum sanyoense Nakai f. leucanthum Nakai  シロバナサンヨウブシ

50 Aconitum sczukinii Turcz.  ヒロハハナカズラ
 中国、ロシア原産。中国名は宽叶蔓乌头 kuan ye wan wu tou

51 Aconitum senanense Nakai  ホソバトリカブト 細葉鳥兜
 日本固有種(本州の中部以北~関東地方)。亜高山帯~高山帯の日当たりのよい草原に生える。カラフトブシのように1次裂片の基部が小葉柄状になることはない。
 高さ40~100㎝。茎は直立する。葉は葉柄が長く、葉柄に屈毛がある、葉身は直径5~13㎝、掌状にほとんど基部まで3深裂し、側裂片はさらに2~3深裂し、縁は不規則に分裂又は鋭歯があり、最終裂片の幅は比較的細く、葉の両面脈上に屈毛がある。茎頂、茎上部の葉腋の総状花序又は散房花序に花を直立してつける。花柄には滑面開出毛が密生し、2個の小苞がある。花は濃青紫色~紫色、
、かぶと形、高さ3~4.5㎝、嘴は短~やや頂。。花弁の舷部は幅が広い。雄しべは有毛。花期は8~9月。
51-1 Aconitum senanense Nakai subsp. senanense var. senanense  ホソバトリカブト
日光白根山、中央アルプス北部、八ヶ岳、南アルプスに分布する。

51-1-1 Aconitum senanense Nakai subsp. senanense var. isidzukae (Nakai) Kadota  オオサワトリカブト
  synonym Aconitum isidzukae Nakai 
 富士山の特産で、亜高山帯の岩の多い草原や崩壊地に生える。斑入りの個体が流通している。
 高さ30~60㎝。葉は3深裂し、さらに側裂片が深裂し、一見5深裂のように見える。花期は8~9月。
51-2 Aconitum senanense Nakai subsp. paludicola (Nakai) Kadota  ヤチトリカブト 谷地鳥兜
  synonym Aconitum senanense Nakai var. japononapellus (Nakai) Tamura
  synonym Aconitum senanense Nakai var. paludicola (Nakai) Tamura 
  synonym Aconitum senanense Nakai f. paludicola (Nakai) T.Shimizu 
 亜高山帯から高山帯の湿った草地に生える多年草
 花序が散房花序になる。

52 Aconitum septentrionale Koelle  シベリアレイジンソウ
  synonym Aconitum excelsum Rchb. 
 中国、モンゴル、ロシア、ヨーロッパ原産。中国名は紫花高乌头 zi hua gao wu tou
品種)  'Ivorine'

53 Aconitum sinomontanum Nakai
 中国原産。中国名は高乌头 gao wu tou
品種) 'Sacred Tower

54 Aconitum soyaense Kadota  ソウヤレイジンソウ 宗谷伶人草
 北海道固有種(道北の蛇紋岩地域)
 花梗に屈毛が生える。花はより小型で長さ2~2.5㎝。上萼片は浅い円筒状、頂部は円頭、花弁の距は嚢状。心皮に斜上毛が密生する 袋果は長さ約1㎝、斜開する。
 特徴は①萼片に滑面開出毛がはえる。 ②心皮あるいは袋果に滑面斜上毛がはえる。 ③上萼片(かぶと)は円頂の三角形で、 嘴が短く、 トリカブト亜属の上萼片に似る。 ④茎がよく分枝して、 枝は開出して伸長する。 ⑤種子が長さ2.5 mm と小さい。 ⑥花弁の舷部が長さ4 mm, 幅2 mmとより大きい。⑦葉の両面に長い滑面伏毛がある。
 類花茎がある多年草。高さ70~90㎝。根茎は長さ10㎝、直径1㎝以下、単純。茎は細く、真っすぐ、直立又は斜上し、中空、まばらに剛毛があり、表面が粗い曲がった毛をもち、茎の下部から2~3回分枝する。枝は長く、開出する。根生葉は花期に宿存し、葉身は膜質、腎形、長さ9~14㎝×幅10~20㎝、果時に長さ19㎝×幅26㎝までになる。基部から1.5~2㎝まで内側に7~9裂し、まばらに絹毛があり、長い平滑な表面の伏毛(滑面伏毛)をもち、縁に縁毛があり、基部は深い心形。中間の裂片は倒卵状菱形、長さ44.5~5.5㎝×幅 4~5㎝、鈍く、粗い歯があり、歯は卵形、鋭形。 葉柄は長さ25~40㎝無毛、4稜があり、中空。上部の茎葉は形が根生葉に似るが、小さく、葉柄がある。花序は頂生、総状花序、不確定な状態で、長さ 15~20㎝、花が 6~7個つく。花柄は長さ2~4㎝、内側に曲がるかほぼ真っすぐで、全面に粗い表面の曲がった剛毛(粗面屈毛)があり、平滑な面の開出毛が混じる。小苞は0~2個、線形、長さ1~6㎜×幅約0.5㎜、花柄の中間又は基部付近につく。花期は6月。花は鈍い白黄色、高さ22~27㎜、平滑な表面の開出する粗毛がまばらにある。上萼片(かぶと=helmet)は円錐形、高さ15~19㎜、幅13~17㎜、長さ15~17㎜、長さ2~3㎜の短い嘴をもつ。側咢片はゆがんだ倒卵形、長さ9~12㎜、幅6~8㎜、内側に長い粗面の開出する粗毛がある(pollencollecting hairs)。蜜腺は無毛。舷部(blade)は長さ4㎜、幅2㎜、膨れず、距に向かって先細になる。距は長さ2㎜、嚢状、わずかに内側に曲がり、下唇(labium)は長さ1㎜、浅く2裂する。柄は長さ10㎜、真っすぐ、直立する。雄しべは無毛。葯は長さ0.5㎜。花糸は長さ4㎜、歯は無い。心皮は3個、表面の平滑な斜上する粗毛がある。袋果は長さ9~15㎜、開出する。種子は長さ2.5㎜、幅2㎜、三角形、横切る薄板がある。

55 Aconitum subcuneatum Nakai  オクトリカブト 奥鳥兜
  synonym Aconitum japonicum Thunb. subsp. subcuneatum (Nakai) Kadota 
  synonym Aconitum zuccarinii Nakai
  synonym Aconitum japonicum Thunb. var. kitakamiense Saiki et Hosoi
  synonym Aconitum japonicum auct. non Thunb.
 日本固有種(東北地方の内陸地域から日本海側地域)。低山に最も普通に見られる。
 高さ1~2m。葉は円形、3裂し、側裂片は2深裂し、縁に不規則に浅裂又は少数の鋭鋸歯がある。上部の葉は裂片の幅が広く、鋸歯が鈍い。花柄には粗面屈毛が密生する。花は濃い青紫色。上咢片は背の高い三角錐状~僧帽状。花弁の舷部は幅広い。雄しべにはまばらに毛がある。花期は8~10月。

56 Aconitum tatewakii Miyabe  ヒダカレイジンソウ 日高伶人草
  synonym Aconitum gigas H.Lev. et Vaniot var. taisetsuense Inagaki et Toyok
 北海道固有種(日高、夕張、石狩山系)
 花柄に粗めn屈毛が生える。上萼片は三角状~円筒状、頂部は鋭頭。花は黄色、より小型で長さ2~2.5㎝。花弁の距は嚢状。心皮は無毛。 袋果は長さ約1㎝、斜開する。

57 Aconitum tonense Nakai ex H.Hara  ジョウシュウトリカブト 上州鳥兜
  synonym Aconitum sanyoense Nakai var. tonense (Nakai ex H.Hara) Nakai 
 日本固有種(群馬県北部~栃木県西部)。亜高山帯の沢筋や林縁などに稀に生える。
 多年草、高さ50~170㎝。茎は曲がり、無毛、 葉腋に珠芽(むかご)をつける。中部の茎葉は円腎形3~5中裂し、裂片はさらに浅裂し、欠刻状の鋸歯がある。総状花序に淡青紫色の花を多数つける。花柄は無毛。雄しべは無毛。花期は8~9月。2n =2 x =16。

58 Aconitum umezawae Kadota  オシマレイジンソウ
 北海道固有種(函館市、七飯町、八雲町、島牧村、蘭越町、黒松内町、積丹町、余市町)
 高さ70~100㎝。葉の下面は 脈に沿って長い伏毛がある。小苞は花梗の中部以上につく。花は黄白色、長さ2~2.5㎝。花梗に開出毛が生えるが腺毛を欠く。花弁は高さ約1㎝、花弁の唇部は円形、不規則な波状縁となる。花弁の距は太く短い。袋果は長さ1㎝。

59 Aconitum umbrosum (Korsh.) Kom. タチキエボシソウ
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は草地乌头 cao di wu tou
 根茎は円柱形、長さ10㎝以上、直径約1㎝。茎は高さ70~100㎝、花序の下で少数、分枝し、まばらに下向きの軟毛がある。根生葉は約3枚、根生葉と下部の茎葉は葉柄が長さ28~50㎝、ほぼ無毛。葉身は腎状五角形、長さ7~12㎝×幅10~20㎝、基部は心形、3深裂し、中裂片はくさび形状菱形又は菱形。側裂片は斜めの扇状、不等に2~3裂し、両面にまばらに伏した軟毛があり、上面は普通、無毛。花序は長さ10~30㎝、花は7~20個、花序と花柄には密に下向きの軟毛がある。基部の苞は3裂、他の苞は線形、長さ4~7.5㎜。花柄は長さ0.8~2㎝、基部の上に2個の小苞があり、小苞は線状錐形、長さ1.5~2㎜。咢片は黄色又は帯黄色、外側には軟毛がある。下咢片は長さ約0.9㎝、側咢片は長さ約0.8㎝。上咢片はほぼ円筒形、高さ1.5~1.9㎝×直径3.5~6㎜、短い嘴があり、下側の縁はほぼ直立、長さ0.8~1㎝。花弁は無毛、唇は線形、長さ約3㎜、距は渦巻き状、唇より長い。雄しべは無毛。花糸は全縁。心皮は3個。子房は無毛。花期は7月。

60 Aconitum variegatum L.
 ヨーロッパ原産。英名はvariegated Monkshood , Devil's helmet , Manchurian monkshood

60-1 Aconitum variegatum subsp. paniculatum (Arcang.) Negodi
品種) 'Roseum'

61 Aconitum villosum Rchb.  ホソバタチウズ
  synonym Aconitum tschangbaischanense S.X.Li et Y.H.Huang
 朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は白毛乌头 bai mao wu tou

62 Aconitum volubile Pall. ex Koelle  ホソバツルウズ
 中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は蔓乌头 wan wu tou
62-1 Aconitum volubile Pall. ex Koelle var. pubescens Regel  ハナカズラ
  synonym Aconitum ciliare DC.
  synonym Aconitum villosum Rchb. var. amurense (Nakai) S.X.Li et Y.H.Huang 
  synonym Aconitum volubile Pall. ex Koelle var. oligotrichum (DC.) Kitag.
  synonym Aconitum japonovolubile Tamura 
  synonym Aconitum volubile auct. non Pall. ex Koell
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は卷毛蔓乌头 juan mao wan wu tou

63 Aconitum wajimanum Kadota  ワジマブシ 輪島附子
 石川県固有種。
 ①花柄に粗面屈毛が生える。②花柄に付く小苞が2対ある。③茎葉の葉身が3深裂する。④花弁の舷部があまり膨大しない。⑤距が細くかつ長く、先端がわずかに屈曲する。
 イブキトリカブトA. japonicum subsp.ibukiense やヤサカブシA. nikaiiとは②⑤が異なる。

64 Aconitum yamazakii Tamura et Namba  ダイセツトリカブト 大雪鳥兜
  synonym Aconitum yuparense Takeda var. yamazakii (Tamura et Namba) Inagaki et Toyok.
 北海道固有種(大雪山) 。高山帯の草地に生える。白花品種などが流通している。
 多年草。高さ30~7㎝。葉は3全裂~5深裂し、裂片はさらに細かく裂け、最終裂片は線形、幅2~3㎜。花は長さ2.5~3㎝、青紫色、まれに白色。花冠や花柄には開出毛が密生する。花期は7~8月 。

65 Aconitum yuparense Takeda    エゾノホソバトリカブト 蝦夷細葉鳥兜
 北海道固有種。エゾトリカブトは似ているが、中間より下の茎葉の裂片の基部が葉柄状に細くなり、3~5小葉の複葉に見える。。
 多年草、高さ30~70㎝。茎の上部には屈毛がある。中部の茎葉は3深裂し、側裂片はさらに2深裂する。花柄には粗面屈毛が密生する。花は青紫色。上咢片は高さ2.5~3㎝、外面に屈毛がある。
65-1 Aconitum yuparense Takeda var. yuparense  エゾノホソバトリカブト
  synonym Aconitum senanense Nakai var. yuparense (Takeda) Saiki 
65-2 Aconitum yuparense Takeda var. apoiense (Nakai) Kadota  ヒダカトリカブト 日高鳥兜
  synonym Aconitum apoiense Nakai 
 日高山系に分布する。高山帯にも分布する。超塩基性岩地に多い。茎はしなだれるものが多く、直立するものもある、葉は中~深裂、エゾトリカブト似ているが裂片の基部は葉柄状にならない。花弁の舷部はは幅が狭い。

65 Aconitum zigzag H.Lev. et Vaniot  タカネトリカブト 高嶺鳥兜 [広義]
 日本固有種(本州中部の高山)。山地帯~高山帯の草地や林縁に生える。
 花柄や萼片が無毛。
65-1 Aconitum zigzag H.Lev. et Vaniot subsp. zigzag  タカネトリカブト 高嶺鳥兜
 木曽山脈と御嶽、乗鞍岳に分布する。
 多年草、高さ50~70㎝。ミヤマトリカブトより高さが低く、葉の切れ込みも弱い。茎はジグザグ(稲妻形)に屈曲し、上部で分枝し、中部以上に屈毛がある。葉身は幅9-14cm、基部近くまで3深裂し、側裂片は2深裂し、更に分裂又は歯があり、最終裂片は線状被針形。花序は散房花序状。花柄は無毛。花は青紫色、高さ約3㎝。咢は外側が無毛。上咢片は円錐形(烏帽子形)、嘴が短く、口部に直毛がある。下咢片は青紫色の筋が目立つ。雄しべ、雌しべは無毛~ほぼ無毛。花期は8~9月。

65-2 Aconitum zigzag H.Lev. et Vaniot subsp. kishidae (Nakai) Kadota  ハクバブシ 白馬附子
  synonym Aconitum kishidae Nakai 
 白馬岳、谷川連峰~志賀高原に分布。和名は発見された白馬に因むが、最近は白馬では見られなくなっている。花柄や萼片が無毛。雄しべと雌しべには毛がある。2n =4 x =32. 

65-3 Aconitum zigzag H.Lev. et Vaniot subsp. komatsui (Nakai) Kadota  ナンタイブシ 男体附子
  synonym Aconitum komatsui Nakai
 本州の赤城山、日光、足尾山地に分布する。和名は日光男体山に由来。
 高さ50~70㎝。葉身は3深裂し、中裂片は羽状に深裂する。上萼片は僧帽状。雄しべに軟毛が密生する。

65-4 Aconitum zigzag H.Lev. et Vaniot subsp. ryohakuense Kadota  リョウハクトリカブト 両白鳥兜
 両白山地に分布する。
 花柄は全く無毛。 かぶとは僧帽形、 かぶとの嘴は短くい。密弁の舷部はやや細くかつ長く、 距は太く長い。

66 ハイブリッド
(1) Aconitum x callianthum Koidz.  ツクシトリカブト
  synonym Aconitum napiforme H.Lev. et Vaniot var. callianthum (Koidz.) Tamura et Namba
 コウライブシ×タンナトリカブト

(2) Aconitum x fudjisanense Nakai  フジレイジンソウ
 レイジンソウ×アズマレイジンソウ

(3) Aconitum x hakusanense Nakai  ハクサントリカブト
 ミヤマトリカブト×リョウハクトリカブト
 花梗はほとんど無毛だが中部以上にまばらに毛がはえ,かぶとや蜜弁の形はミヤマトリカブトとリョウハクトリカブトの中間的性質をもつ。

(4) Aconitum x manshuricum Nakai  マンシュウトリカブト
  synonym Aconitum wulingense Nakai
 別名はオオムレイウズ

(5) Aconitum x parahakonense Nakai  イヌハコネトリカブト
  synonym Aconitum parahakonense Nakai f. fudzipedis (Nakai) Tamura
  synonym Aconitum parahakonense Nakai var. glanduliferum Nakai ex Tamura et Namba 
 別名はスバシリトリカブト、センモウウズ

(6) Aconitum x suspensum Nakai  ミョウギトリカブト

(7) Aconitum × cammarum
品種) 'Bicolor' , 'Eleanora' , 'Franz Marc' , 'Grandiflorum Album' , 'Pink Sensation' (PBR)

(8) Aconitum anthora × carmichaelii
品種) Arendsii Group

(9) その他ハイブリッド
品種) 'Album' , 'Alexandra' , 'Aluminium' , 'Blue Lagoon' (PBR) , 'Blue Opal' , 'Blue Sceptre' , 'Blue Sparrow' , 'Bressingham Spire' , 'Cloudy' , 'Eleonora' , 'Ivorine' , 'Kleiner Ritter' , 'Matthew Tudor' , 'Newry Blue' , 'Purple Sparrow' , 'Shirui Blue' , 'Spark's Variety' , 'Stainless Steel' , 'Surprise' , 'Tissington Pearl' , 'Unicum' , 'Wu To Di'

参考

1) Flora of China
 Aconitum  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=111902
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Aconitum  
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331596-2
3)GRIN
 Aconitum  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus?id=4332
4) Flora of North America
 Aconitum  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=111902
5)植物研究雑誌11(1): 47-50(1935))
 久米道民 : セツブンソウとキバナセツブンソウの実生
6) 植物研究雑誌49(4): 123-128(1974)
 田村道夫,水本陽子 : セツブンソウとニリンソウの胚発生における
 子葉と成長点について
7) 植物研究雑誌 J. Jpn. Bot. 93(3): 190-197 (2018)
 門田裕一:アジア産トリカブト属植物(キンポウワジマブシゲ科)
 の分類学的研究 XV.
 石川県能登半島産トリカブト亜属 の1 新種 ワジマブシ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB93-3_190-197_abstract.pdf
8)植物研究雑誌 J. Jpn. Bot. 87: 1-21 (2012)
 門田裕一:アジア産トリカブト属植物(キンポウゲ科) の分類学的研究 XIV.
 北海道産レイジンソウ亜属の4新種 コンブレイジンソ、ニセコレイジンソウ、
 オシマレイジ ンソウ、カムイレイジンソウ  
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_087_1_21_abstract.pdf
9) 植物研究雑誌 66(1): 39-45(1991)
 門田裕一 : アズミトリカブト-長野県産トリカブト属の新種
10) 植物研究雑誌78(1): 15-23(2003)
 門田裕一 : アジア産トリカブト属植物の分類学的研究
 . 山形県からのトリカブト亜属の1新種,
 ガッサントリカブト及びイイデトリカブトの第二の産地
11) 植物研究雑誌74(5): 282-295(1999)
 門田裕一 : アジア産トリカブト属植物(キンポウゲ科)の分類学的研究IV.
 3新種と1新変種の記載
12)植物研究雑誌J. Jpn. Bot. Vol.89: No.4 253-258 (2014)
 門田裕一:オオレイジンソウ(キンポウゲ科)の新学名
13) 植物研究雑誌J. Jpn. Bot. 94(3): 153-158 (2019)
 門田裕一:アジア産トリカブト属植物(キンポウゲ科)の分類学的研究 XVI.
 群馬県奥多野地方産トリ カブト亜属の1 新種,サンチュウトリカブト
14) Memoirs of the National Science Museum 17, 77-90, 1984
 東北地方におけるトリカブト属トリカブト亜属植物
 (キソポウゲ科)の形態的変異と分布  
https://ci.nii.ac.jp/naid/110004313006
15)北方山草 20 (2003)
 北海道のトリカブト属植物(キンポウゲ科)について  
http://hopposansokai.web.fc2.com/kaishi/no20/20-03.pdf
16) 石川県白山自然保護センター編集 はくさん 第14巻 第2号 p8-13
 白山山系のトリカブト属植物について 門田裕一
  ※ミヤマトリカブトとリョウハクトリカブトが反対。  
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/hakusan/publish/hakusan/documents/hakusan14-2.pdf
17) Memoirs of the National Science Museum (19), 133-144, 1986-12
 白山地のトリカブト属植物 : 新亜種リョウハクトリカブトと「ハクサントリカブト」
 の実体について
  (北陸・山陰地域の自然史科学的総合研究(2))  
https://ci.nii.ac.jp/naid/110004313053