アケビ 木通

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Flora of Mikawa

アケビ科 Lardizabalaceae アケビ属

中国名 木通 mu tong
英 名 chocolate vine , five-leaf akebia , fiveleaf
学 名 Akebia quinata (Thunb. ex Houtt.) Decne.
アケビの花序
アケビの雌花
アケビの雌花2
アケビの雄花
アケビの雄花2
アケビの果実2
アケビ
アケビ果実
アケビ葉
花 期 4~5月
高 さ つる性
生活型 落葉木
生育場所 山野
分 布 在来種 本州、四国、九州、朝鮮、中国
撮 影 豊田市(旧稲武町) 07.5.12
蒲郡市        15.9.26(果実)
日本に分布するアケビ科にはアケビ、ミツバアケビ、ムベの3種があり、どれもつる性で、実は秋に熟し、甘く食べられる。世界で広く栽培され、帰化している。
 落葉つる性木。茎は灰褐色、細く、円筒形、皮目は目立ち、小さく、円形。冬芽は外側の芽鱗は覆瓦状につき、淡赤褐色。葉は互生し、掌状複葉。葉柄は細く長さ4.5~10㎝。小葉柄は長さ0.8~1.5(~2.5)㎝。小葉は (3~)5(~7)個、倒卵形~倒卵状楕円形、紙質、下面は粉白色、上面は暗緑色、基部は円形~広楔形、先は円形で通常凹形で尖頭形。側小葉は長さ2~5㎝×幅1.5~2.5㎝。頂小葉は長さ2.5~5(~7)㎝。総状花序は束生し、長さ6~12㎝。雌雄同株。総状花序に雌花と雄花をつける。雌花がない雄花だけの花序が多く、雌花が少ない株もある。苞は覆瓦状につき、鱗片状。花序柄は長さ約2.5㎝、短い枝の上に腋生する。花はわずかに芳香がある。雄花は先端側に4~8(11)個つき、小花柄は細く長さ7~10㎜。花弁状萼片は3(~5)個つき、淡紫色、たまに淡緑色~白色、広僧帽状卵形、長さ6~8㎜×幅4~6㎜、先は円形。雄しべは6(~7)個。初め真っすぐ、内側に曲がり、花糸はごく短い。葯は長円形。退化雌しべ(pistillodes)は3~6個つき、小さい。雌花は基部側に1~3個つき、直径2.5~3㎝、小花柄が細く長さ2~4(5)㎝。萼片は暗紫色、たまに緑色または白色、広楕円形~ほぼ円形、長さ 1~2㎝×幅0.8~1.5㎝。仮雄しべは6~9個。心皮は3~6(~9)個。果実は数個集まってつき、熟すと帯紫色、真っすぐまたはわずかに内側に曲がり、長円形~楕円形、長さ5~10㎝×幅3~5㎝、裂開する。種子は卵状長円形、扁平、果肉は白色、種皮は褐色~黒色、光沢がある、花期は4~5月。果期は6~8月。2n=16,32。
 白花品種はシロバナアケビという。
 ミツバアケビの葉は3小葉で、縁に波状の不規則な鋸歯があり、花が小さく、濃紫色。
 5小葉のミツバアケビはゴヨウアケビと呼ばれ、アケビとミツバアケビの自然交雑種とされている。
 ムベは常緑、3~7の小葉で、濃緑色、先が尖る。花が淡黄白色で大きく、果実が裂開しない。

アケビ属

 family Lardizabalaceae - genus Akebia

 つる性木、落葉又は亜常緑。雌雄同株。茎は絡み付く。冬芽は外側の芽鱗が多数、宿存する。葉は互生、又は短い枝に束生する。葉身は掌状複葉、3~5(~7)小葉。小葉は全縁~曲がりくねる~ゆるやかに波打つ。花序は腋生、総状花序、ときに散形花序状になる。苞は花序の基部を抱き、宿存し、鱗片状。萼片は普通、3(~6)個、紫赤色又は緑白色、類敷石状、花時に後屈する。花弁は無い。雄花は花序の先につく。雄しべは離生。花糸はごく短い。葯は花時に内側に曲がる。退化雌しべは小さい。雌花は花序の基部に1又は2個つき、雄花より大きい。心皮は3~9(~12)個、分離、円筒形。柱頭は頭状。果実は肉質、袋果(follicles)、外側の縫合線に沿って裂開する。種子は多数、果肉の中に数列につき、わずかに扁平、胚は小さい。
 世界に5種あり、日本、朝鮮、中国に分布する。

アケビ属の種と園芸品種

1 Akebia apetala (Quan Xia, J.Z.Sun & Z.X.Peng) Christenh. アケビア・アペタラ

  synonym Archakebia apetala (Quan Xia, J.Z.Sun & Z.X.Peng) C.Y.Wu, T.C.Chen & H.N.Qin [Flora of China]

  synonym Holboellia apetala Quan Xia, J.Z.Sun & Z.X.Peng
 中国(甘粛省、陝西省、四川省)原産。中国名は长萼木通 chang e mu tong。標高500~1000mの山地の斜面にある開かれた森林に生える。
 つる性木、無毛。 茎は灰褐色、皮目は小さく、円形。冬芽は長さ約6㎜、先は鋭形、外側の芽鱗は赤褐色。葉柄は細く、長さ5~11㎝。葉身は小葉が (4または)5~7個、倒卵状楕円形~長円形、長さ3~7.5㎝×幅1.5~4㎝、ほぼ革質~紙質、下面は粉白色、上面は暗緑色、基部は広楔形~円形、縁は全縁、先は円形、わずかに凹形、不明瞭な尖頭形、主脈は基部から3本ある。総状花序は通常数個、束生し、長さ3~8㎝、花が 5~12個つく。苞は淡黄色、わずかに赤紫色。花は淡黄色、ときに緑白色または紫赤色になる。雄花:小花柄は長さ2~4㎜。外側の3萼片は披針形、長さ10~18㎜×幅2~4㎜、先は尖鋭形。内側の3萼片は線形。花弁は無い。雄しべは長さ3~4㎜、離生。花糸は非常に短い。葯は内曲し、ほぼ無柄。退化雌しべ(pistillodes)は3個、小さい。雌花は小花柄が長さ1.5~2.5㎝、外側の3萼片は披針形、長さ1.5~3.2㎝×幅0.5~0.9㎝、内側の3萼片は線形、長さ1.2~2.8㎝×幅0.2~0.3㎝、花弁は無く、仮雄しべは6個、非常に小さく、心皮は円筒形で短い。花柱は不明瞭、柱頭は頭状、ほぼ無柄。果実は黄色、楕円形~長円形、平滑、熟すと裂開する。種子は卵形~腎形、長さ約6㎜、先は鈍形。花期は4~5月。果期は9~10月。

2 Akebia longeracemosa Matsum. ホザキアケビ 穂先木通
 中国(福建省、広東省、湖南省)、台湾原産。中国名は长序木通 chang xu mu tong。標高300~1600mの照葉樹林、山の斜面に生える。
 木質、つる性木、亜常緑樹。茎は乾くと灰褐色、縦の条線がある。枝は細く、直径約5㎜、皮目は円形。葉柄は長さ7~10㎝。小葉柄は長さ0.8~1.5㎝、頂部の小葉柄が最も長い。小葉は5枚、長円形~倒卵状長円形、長さ4~9.5㎝×幅2~4㎝、亜革質、下面は淡緑色、基部は楔形~鈍形、縁は全縁、先は円形、通常は凹形で尖頭形、一次脈は3本。花序は葉が束生する。苞は宿存し、鱗片状。総状花序は1~3個、束生し、長さ12~18㎝、細い。花序柄は長さ3.5~7㎝。雄花は23~35(~43)個つき、小花柄は細く、長さ約5㎜。小苞は線形、錐形。萼片は3個、赤紫色、楕円状長円形~広楕円形、長さ4~4.5㎜×幅約3㎜、花時に後屈する。雄しべは長さ約3㎜。花糸は長さ1㎜以下。雌花は1~2個、または無い。小花柄は長さ4.5~5㎝。 萼片は3個、赤紫色、広楕円形~ほぼ円形、長さ1~1.2㎝×幅0.8~1㎝。仮雄しべは小さい。心皮は6~9個、円筒形。果実は単生または対になり、熟すと赤紫色にあり、長楕円形、長さ6~7㎝×幅約2㎝、乾くと縦しわがつく。花期は3~4月。果期は8月。
品種) 'Giganteiflora' , 'Victor's Secret'

3 Akebia longisepala (H.N.Qin) Christenh. アケビア・ロンギセパラ
  synonym Akebia trifoliata subsp. longisepala H. N. Qin
 中国(甘粛省)原産。中国名は长萼三叶木通 chang e san ye mu tong。標高600~800mの半落葉樹林の縁、丘の中腹、小川のそばに生える。  茎は紫褐色の樹皮を持ち、皮目は多数。葉は長さ8~16㎝。 葉柄は長さ5~8.5㎝。小葉は3(~5)個、卵形~卵状長円形、長さ3~6㎝×幅2~3.5㎝、革質、基部は切形~楔形、縁はほぼ全縁、先は鈍、主脈は基部から3本。総状花序は腋生、長さ6~8㎝、雄花が7~8個、雌花が2個つく。 雄花:小花柄は長さ約5㎜。萼片は3~4個、長楕円形、長さ0.9~1.2㎝。 雄しべは長さ2.5~3.5㎜。 雌花:小花柄は長さ1.5~3㎝。 萼片は紫黒色、ほぼ線形~狭長円形、長さ2.2~2.7㎝。心皮は4~6個、円筒形、長さ4~6㎜。果実は見当たらない。花期は4月。

4 Akebia quinata (Houtt.) Decne. アケビ 木通

  synonym Akebia quinata (Houtt.) Decne. f. polyphylla (Nakai) Hiyama

 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、山東省、四川省、浙江省)原産。中国名は木通 mu tong 。英名はchocolate-vine , fiveleaf , five-leaf akebia。小川沿いの森林縁、山の斜面の低木など山野に生える。根、茎、果実は薬用に使用される。果実は甘く、果皮はあく抜きして調理して食べられる。新芽も山菜として食べられる。
 落葉つる性木。茎は灰褐色、細く、円筒形、皮目は目立ち、小さく、円形。冬芽は外側の芽鱗は覆瓦状につき、淡赤褐色。葉は互生し、掌状複葉。葉柄は細く長さ4.5~10㎝。小葉柄は長さ0.8~1.5(~2.5)㎝。小葉は (3~)5(~7)個、倒卵形~倒卵状楕円形、紙質、下面は粉白色、上面は暗緑色、基部は円形~広楔形、先は円形で通常凹形で尖頭形。側小葉は長さ2~5㎝×幅1.5~2.5㎝。頂小葉は長さ2.5~5(~7)㎝。総状花序は束生し、長さ6~12㎝。雌雄同株。総状花序に雌花と雄花をつける。雌花がない雄花だけの花序が多く、雌花が少ない株もある。苞は覆瓦状につき、鱗片状。花序柄は長さ約2.5㎝、短い枝の上に腋生する。花はわずかに芳香がある。雄花は先端側に4~8(11)個つき、小花柄は細く長さ7~10㎜。花弁状萼片は3(~5)個つき、淡紫色、たまに淡緑色~白色、広僧帽状卵形、長さ6~8㎜×幅4~6㎜、先は円形。雄しべは6(~7)個。初め真っすぐ、内側に曲がり、花糸はごく短い。葯は長円形。退化雌しべ(pistillodes)は3~6個つき、小さい。雌花は基部側に1~3個つき、直径2.5~3㎝、小花柄が細く長さ2~4(5)㎝。萼片は暗紫色、たまに緑色または白色、広楕円形~ほぼ円形、長さ 1~2㎝×幅0.8~1.5㎝。仮雄しべは6~9個。心皮は3~6(~9)個。果実は数個集まってつき、熟すと帯紫色、真っすぐまたはわずかに内側に曲がり、長円形~楕円形、長さ5~10㎝×幅3~5㎝、裂開する。種子は卵状長円形、扁平、果肉は白色、種皮は褐色~黒色、光沢がある、花期は4~5月。果期は6~8月。2n=16,32。
品種) 'Amethyst Glow' , 'Aojiku' , 'Bicolor' , 'Brocade' , 'Brookside Variegated' , 'Cream Form' , 'Fuiri Goyo' , 'Fruitful Combo' , 'Grandes Fleurs' , 'Jardin d'Inuko' , 'Jirisan Pink' , 'Kohin Nishiki' , 'Leucantha' , 'Les Avettes' , 'Mont Rokko' , 'Rosea' , Purple Bouquet™ , Purple Rose™ , 'Shirobana' , 'Silver Bells' ,'Tropaeoliifolium' , 'Variegata' , 'White Chocolate'

4-1 Akebia quinata (Houtt.) Decne. f. diplochlamys (Makino) T.Shimizu フタエアケビ

4-2 Akebia quinata (Houtt.) Decne. f. viridiflora Makino アオアケビ


5 Akebia trifoliata (Thunb.) Koidz. ミツバアケビ 三葉木通

  synonym Akebia trifoliata (Thunb.) Koidz. var. litoralis Konta et Katsuy.

  synonym Akebia lobata var. australis Diels

  synonym Akebia trifoliata subsp. australis (Diels) T.Shimizu ナンゴクミツバアケビ[Flora of China]

  synonym Akebia chingshuiensis T.Shimizu 清水山木通 qing shui shan mu tong[Flora of China]

 日本(本州、四国、九州)、中国、台湾原産。中国名は三叶木通 san ye mu tong。英名はthree-leaf akebia。半落葉樹林の縁辺、谷沿いの開けた森林、丘の中腹や川沿いの低木林など山野に生える。根、茎、果実は薬用に使用される。アケビと同じように食べられる。
 つる性木、落葉樹または亜常緑樹。茎は灰褐色、小いぼ状突起があり(verruculose)、疎に皮目がある。葉は互生し、掌状複葉、葉柄は長さ7~11㎝。側小葉柄は長さ6~12㎜。頂小葉柄は長さ2~4㎝。小葉は3(~5)個、卵形~卵状長円形または広卵形、長さ3~8㎝×幅1.5~6㎝、紙質~ほぼ革質、または革質、下面は淡緑色、上面は暗緑色、基部は切形、円形、心形 、または楔形、縁は波打ち、浅裂、ほぼ全縁、または全縁、先は鈍形~狭円形でわずかに凹形、尖頭形。総状花序は短い枝に腋生し、長さ6~16cm。花序柄は細く、長さ3~5㎝。 雄花は15~30個つき、直径4~5㎜。小花柄は糸状、長さ2~5㎜。萼片は3または4個、淡紫色~紫色、広楕円形、楕円形、または長円形、長さ2.5~3㎜。雄しべは6本、長さ2.5~3㎜、萼片とほぼ同長。花糸は非常に短い。葯は花時に内曲する。退化雌しべ(pistillodes)は3個、長円状錐形。雌花は1~3個つき、直径約1.5㎝。小花柄が長さ1.5~3㎝、雄花よりわずかに太い。萼片は3個、紫褐色、暗紫色、または紫黒色、ほぼ円形~ほぼ線形または狭長円形[、長さ1~1.2㎝×幅約1㎝]。心皮は4~9個、真っ直ぐ、長さ4~6㎜。果実は数個集まってつき、長さ6~10㎝×幅2~5㎝、長円形、真っ直ぐ、またはわずかに曲がり、秋に淡紫色に熟し、裂開する。種子は卵形、長さ5~7㎜×幅4~5㎜。花期は4~5月。果期は6~9月。
品種) 'Amethyst' , 'Argentea' , 'Big Fruit' , Deep Purple™ , 'Hanten' , Purple Haze™ , Purple Kimono™ , 'Shiromi' , 'Shiro Sunago' , 'Shunjitsu' , 'Tropaeoliifolium'

5-1 Akebia trifoliata (Thunb.) Koidz. subsp. australis (Diels) T.Shimizu ナンゴクミツバアケビ

 中国、台湾原産。中国名は白木通 bai mu tong。Kewscienceでは基本種に含めている。
 葉は3小葉、小葉は卵状長円形~卵形、長さ4~7㎝×幅1.5~3(~5)㎝、革質、基部は円く、広楔形~切形~心形、縁は普通、全縁、ごくまれに不規則に波状になり、先は狭い円形、わずかに凹形、急尖形。総状花序は短枝に腋生。雄花は萼片が3個、紫色、広楕円形~楕円形、長さ2~3㎜。雄しべは新鮮なときに赤色~紫赤色、乾くと褐色~淡褐色、長さ約2.5㎜。雌花は萼片が暗紫色、長さ9~12㎜×幅7~10㎜。心皮は5~7個、紫色。果実は熟すと黄褐色、長さ6~8㎝×幅3~5㎝。種子は黒褐色、卵形。花期は4~5月。果期は6~9月。

6 ハイブリッド
(1) Akebia x pentaphylla (Makino) Makino ゴヨウアケビ 五葉木通
 日本に分布。アケビとミツバアケビの自然交雑種。英名はfive-leaf akebia。
 つる性木、落葉。葉は互生し、柄のある5小葉の掌状複葉、小葉は長さ3~6㎝の惰円形、縁に波状の不規則な鋸歯がある。雌雄同株。花はミツバアケビに似て暗紫色。花の大きさには変異があり、花序の形もアケビに似て短いものやミツバアケビのように長いものもある。液果は長さ5~10㎝の惰円形、秋に紫色に熟し、裂開する。果実ができないものもある。種子は長さ約5㎜、黒色。花期は4~5月。

(2) Akebia x pentaphylla (Makino) Makino var. integrifolia Y.Kimura クワゾメアケビ

 長野県(軽井沢)に分布。
 葉は5小葉、小葉が全縁、アケビに似る。 花はミツバアケビに似るが色が薄くやや大きい。 雌花の花柄はゴヨウアケビより短い。
(3) その他
品種) 'Pikapika' , Purple Incense™

参考

1) Flora of China
 Akebia  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=100921
2)Kew Science
 Akebia  
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:3933-1
3)GRIN
 Akebia  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=345