アカバナ 赤花

mark

Flora of Mikawa

アカバナ科 Onagraceae アカバナ属

中国名 长籽柳叶菜 chang zi liu ye cai
学 名 Epilobium pyrricholophum Franch. et Savat.
アカバナ
アカバナ葉表
アカバナ葉裏
アカバナ果実の中
アカバナ種髪を取った種子
花 期 7~9月
高 さ 25~80㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の湿った場所、湿地
分 布 在来種  北海道、本州、四国、九州、中国、ロシア
撮 影 面の木  02.8.25
アカバナの花
アカバナの花2
アカバナ萼の腺毛
アカバナ茎
アカバナ果実
アカバナ種髪のついた種子
和名は紅葉することに由来する。類似のイワアカバナは花が白色に近く、柱頭が頭状(球形)で、葉の基部が細くなり、短い柄がある。
 水湿地に生え、走出枝を出す。茎の断面は円形、稜がない。茎、葉、萼、子房など全体に腺毛が密生する。葉は長さ2~6㎝、幅0.5~2㎝の狭卵形~披針形、葉の基部の幅が最も広く、柄がほとんどなく、鋸歯縁。花は淡紅紫色~紅紫色、直径約1㎝。花弁は長さ6~8㎜、先が浅く2裂し、桜の花に似ている。ただし花弁の数は4個。柱頭(雌しべの先)は棍棒状(惰円形)。雄しべ8個。萼片は4個、長さ4~7㎜。子房下位であり、花時から子房は細長く、花柄のように見える。。蒴果は長さ3.5~7.5㎝の棒状、腺毛が密生し、熟すと上側が大きく4裂して種子を飛ばす。種子は長さ1.5~1.8㎜、褐色、長さ7~9㎜の種髪(しゅはつ)がある。種髪が赤褐色と解説されていることが多いが、白色である。2n=36。

アカバナ属

  family Onagraceae - genus Epilobium

 多年草[又は1年草、ときに亜低木]、ロゼット、匍匐枝stolons、匍匐地下茎soboles(シュート)又は越冬芽(turions:肉質の鱗片をもつ地下の球形の芽)をもつ。茎は無毛~軟毛があり、しばしば、葉柄の縁から沿下する毛の線をもつ。葉は対生、互生し花序の中の苞のようになる。葉柄は有又は無。托葉は無い。小苞は無い。花序は単純又は分枝する総状花序、円錐花序、穂状花序又は散房花序。花は4数性、しばしば雄性先熟(protandrous)、細長い花筒(floral tube)をもち、花柱の基部に蜜腺を生じる。花托筒(hypanthium:floral tubeの上部の杯形の部分=子房の先端~萼片の基部)は普通、短いが明瞭、花後に落ちる。萼片は4個。花弁は4個。ピンク色~ローズパープル色又は白色[又はまれに、クリーム色又は橙赤色]、倒心形又は倒角卵形(obtrullate)、先にノッチがある。子房下位。雄しべは8本、2個の異なる輪につく。花粉は黄色、4つ組で落ちる。花柱は1本、直立。柱頭は全縁又は4裂裂。果実は細長い蒴果、4室があり、胞背裂開。種子は多数[又はまれに4個だけ]、通常、絹毛の頂部の種髪(coma)をもつ[又はまれに種髪を欠く]。2n=[18, 20, 24, 26, 28, 30, 32,] 36, [38, 60]。
 世界に約165種あり、アフリカ、アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、南北アメリカの山地、寒帯や北極地方に分布する。

アカバナ属の主な種と園芸品種

1 Epilobium amurense Hausskn. ケゴンアカバナ 華厳赤花 広義
 日本、朝鮮、中国、台湾、ロシア、インド、ブータン、ネパール、ブータン、パキスタン、ミャンマー原産。中国名は毛脉柳叶菜 mao mai liu ye cai 。別名はシコタンアカバナ。湿った河岸、道端の溝、撹乱された草の斜面、山地の湿った場所に生える。
 多年草、直立、基部に葉のある匍匐地下茎(soboles)があり、長いロゼットをもち、まれに、肉質の匍匐枝(stolons)をもつ。茎は高さ(10~)20~150㎝、単純又は分枝し、密に伏した小剛毛があり(strigillose)、しばしば、上部で腺毛が混じり、葉柄の縁から沿下する2(又は4)本の伏した小剛毛の線が明瞭に隆起し、又はまれに、全体がほぼ無毛。葉柄は無又は長さ1~6㎜。茎葉の葉身は卵形~狭卵形、まれに披針状長円形、長さ2~9.5㎝×幅0.5~2.5㎝、ほぼ無毛、縁に伏した小剛毛と脈をもち、基部は円形又は楔形、縁は小鋸歯又は小歯があり、各側に6~35歯をもち、先は鋭形又は尖鋭形。花序や花は直立~わずかに下を向く。萼片は長さ3.5~6㎜、しばしば竜骨がある。花弁は白色、ピンク色、又はローズパープル色、長さ4.5~8(~10)㎜。柱頭は頭状又は広頭状、全縁。蒴果は長さ1.5~7㎝、まばらに伏した小剛毛があり、又は無毛。花柄は長さ0.3~1.3㎝。種子は褐色、長さ0.8~1㎜、粗くパピラがあり、短い卵帯(chalazal:珠皮と珠心がつながるひも状のもの)の襟がある。種髪は鈍い白色、取れやすい。2n=36。
1-1 Epilobium amurense Hausskn. subsp. amurense ケゴンアカバナ 華厳赤花
  synonym Epilobium tenue Kom.
 日本(北海道、本州、四国)、朝鮮、中国、台湾、ロシア、インド、ブータン、ネパール、ブータン、パキスタン、ミャンマー原産。湿った河岸、道端の溝、撹乱された草の斜面、山地の湿った場所に生える。
 多年草、直立、短い葉のある匍匐地下茎(soboles)があり、ロゼットをもち、まれに肉質の匍匐枝(stolons)がある。茎は高さ(10~)20~50(~80)㎝、上部に伏した小剛毛と腺毛があり、下部にまばらに伏した小剛毛があり、葉柄の縁から沿下する2本の密な伏した小剛毛の線が隆起し、又はまれに、ほぼ無毛。葉柄はほぼ無又は下部の葉には長さ1~4㎜の葉柄がある。茎葉の葉身は卵形、長円形、又は披針形~倒卵形、長さ2~7㎝×幅0.5~2.5㎝、縁には鋭い細鋸歯があり、各側に6~25歯をもつ。花序は伏した小剛毛があり、腺毛が散在する。萼片は長さ3.5~5㎜、まばらに伏した小剛毛があり、萼片の基部の接続点に毛の房をもつ。花弁は長さ5~8(~10)㎜。花期は(5~)7~8月。果期は(7~)8~10月。2n=36。

1-2 Epilobium amurense Hausskn. subsp. cephalostigma (Hausskn.) C.J.Chen,Hoch et P.H.Raven イワアカバナ 岩赤花

  synonym Epilobium cephalostigma Hausskn.
  synonym Epilobium nudicarpum Kom.

  synonym Epilobium cephalostigma Hausskn. var. nudicarpum (Kom.) H.Hara

  synonym Epilobium calycinum Hausskn.
  synonym Epilobium angulatum Kom.
 日本、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は光滑柳叶菜 guang hua liu ye cai 。低地や山地の川沿いの湿った場所、道端の溝に生える。全体にケゴンアカバナに似るが全体に大きく、茎や花序に腺毛が無い。
 多年草、直立、葉のある匍匐地下茎(soboles)をもつ。茎は高さ25~150㎝、普通、よく分枝し、上部に伏した小剛毛(strigillose)があり、腺毛は無く、葉柄の縁から沿下する2本のかすかな伏した小剛毛の線をもち、又はまれにほぼ無毛。葉柄はほぼ無又は下部の葉の葉柄は長さ1~6㎜。茎葉の葉身は長円状披針形~狭卵形、まれに狭菱形、長さ3~9.5㎝×幅0.8~2.5㎝、縁に鋭い小歯があり、各側に13~35歯をもつ。花序は伏した小剛毛があり、ごくまれにほぼ無毛。萼片は長さ3.8~6㎜、まばらで均等に伏した小剛毛があり、又はまれに、ほぼ無毛。花弁は長さ4.5~7㎜。花期は6~9月。果期は8~10月。2n=36。

1-2-1 Epilobium amurense Hausskn. subsp. cephalostigma (Hausskn.) C.J.Chen, Hoch et P.H.Raven f. leucanthum (Honda) Yonek. シロバナイワアカバナ 白花岩赤花

  synonym Epilobium cephalostigma Hausskn. f. leucanthum Honda

2 Epilobium anagallidifolium Lam. アシボソアカバナ 足細赤花
  synonym Epilobium alpinum L., nom. utiq. rejic. 
  synonym Epilobium dielsii H.Lev.
 日本(北海道、本州の中部地方以北)、中国(新疆)、ロシア、アジア北部、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は新疆柳叶菜 xin jiang liu ye cai。標高1300~1500[~4000]mの高山地や高山地域の湿った岩滑り(rockslides)、崖錐の斜面、小川や浸出液の近くの砂利地帯に生える。
 多年草、低いマットを形成し、薄く葉ある地上性匍匐地下茎(epigeous soboles)がある。 茎は多数、斜上またはS字状に曲がり、高さ3~20㎝、単純、全体にほぼ無毛、または茎上部に伏した小剛毛(strigillose)があり、散在する腺毛を伴い、まばらに伏した小剛毛の線は葉柄の縁から沿下する。上部の葉は無柄で、下部の葉は長さ1~6㎜の葉柄を持つ。茎葉は葉身がへら形~長円形、茎の中部では楕円形、上部の対は披針形、長さ0.8~2.5㎝×幅0.25~1㎝、まばらな伏した小剛毛がある縁と中脈を除いて無毛で、基部は漸尖~楔形、縁はほぼ全縁~上部の葉にかろうじて小歯があり、先は下部で鈍形、上部でほぼ鋭形。花序はつぼみの段階でうなずき、後にほぼ直立する。花はほぼ直立する。萼片は長さ1.5~5㎜。花弁はピンク色~バラ紫、稀に白色、長さ2.5~6.5㎜。柱頭は広こん棒形またはほぼ頭状で、全縁。蒴果は長さ1.7~3.6㎝、ほぼ無毛または散在する短い毛がある。小花柄は長さ1~3.5(~5)㎝。 種子は薄褐色、長さ0.7~1.4㎜、網状、またはまれに低いパピラがあり、短い卵帯(chalazal:珠皮と珠心がつながるひも状のもの)の襟がつく。種髪(coma)は 鈍い白色、宿存する。花期は7~8月。果期は8~9月。2n=36。

3 Epilobium brevifolium D.Don エピロビウム・ブレビフォリウム
 中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江西省、陝西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、インド、ブータン、ネパール、ミャンマー、ベトナム、フィリピン原産。中国名は短叶柳叶菜 duan ye liu ye cai。標高600~2500(~3600)mの谷や山の川沿いの湿った、または開けた荒れた場所に生える。
 多年草、直立または斜上し、肉質の匍匐地下茎(soboles)をもち、基部に緩く褐色の鱗片を残す。茎は高さ15~90㎝、単純または分枝し、全体に伏した小剛毛(strigillose)があり、ときに花序に腺毛が混じり、隆起した沿下線を欠く。葉はほぼ無柄または葉柄が長さ4㎜まで。茎葉の葉身は広卵形~広披針状楕円形、長さ1.5~5(~8)㎝×幅0.5~2.2(~3)㎝、ほぼ無毛で、縁と中脈に伏した小剛毛があり、基部はほぼ心形~楔形、縁は鋭い小歯が各側に7~22個あり、先はほぼ鈍形~鋭形。花序と花は直立~わずかにうなずく。萼片は長さ4.5~6.5㎜、竜骨がある。花弁はピンク色からバラ紫色、長さ7~11㎜。柱頭は棍棒形~広棍棒形、全縁。 蒴果は長さ3.5~7㎝、伏した小剛毛があり、しばしば腺がある。小花柄は長さ0.4~1.5cm。種子は暗褐色、長さ0.9~1.1㎜、粗く、パピラがあり、短い卵帯(chalazal)の襟を持つ。種髪(coma)は白色、簡単に離れる。2n=36。
3-1 Epilobium brevifolium subsp. brevifolium
 中国(西蔵、雲南省)、インド、ネパール原産。中国名は中国名は短叶柳叶菜 duan ye liu ye cai。標高1700~2100mの山中の小川の湿った撹乱された場所にまれに生える。
 茎は高さ25~60cm、単純または分枝する。葉は草質、ほぼ無柄または長さ2㎜までの短柄。茎葉の葉身は広卵形~卵形、長さ2.5~4.5㎝×幅1.5~2.2㎝、基部はほぼ心形、縁は片側あたり 15~22 個の鋭い小歯があり、先は鋭形またはほぼ鈍形。花弁は長さ9~11㎜。柱頭は広こん棒形またはん棒形。蒴果は長さ5~7㎝。種子は長さ0.9~1.1㎜。花期は6~7月。果期は8~9月。2n=36。

3-2 Epilobium brevifolium D.Don subsp. trichoneurum (Hausskn.) P.H.Raven タイワンアカバナ 台湾赤花

 中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江西省、陝西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、インド、ブータン、ネパール、ミャンマー、ベトナム、フィリピン原産。中国名は腺茎柳叶菜 xian jing liu ye cai 。標高600~2500(~3600)mの谷や山の小川沿いの開けた荒れた場所に生える。
 茎は高さ15~90㎝、単純から上部でよく分枝する。葉はほぼ革質。葉柄は長さ4㎜まで。茎葉の葉身は披針形~楕円形~狭卵形、長さ1.5~5(~8)㎝×幅0.5~2(~3)㎝、基部は円形または楔形、縁は片側に7~17本の鋭い小歯があり、先はほぼ鈍形~鋭形。花弁は長さ7~10㎜。柱頭は棍棒形。蒴果は長さ3.5~7㎝。種子は長さ1~1.1㎜。花期は7~9(~10)月。果期は9~10月。2n=36。

4 Epilobium canum (Greene) P. H. Raven エピロビウム・カヌム
  synonym Epilobium californicum Hausskn.

  synonym Epilobium canum var. garrettii (A.Nelson) N.H.Holmgren & P.K.Holmgren

 北アメリカ(USA、カナダ)原産。英名はCalifornia fire chalice, California fuchsia, firechalice, hummingbird trumpet, zauschneria
 栄養状態にかかわらず、木質のてい幹から基部にシュートを持ち、しばしば、基部に十字対生の鱗片をもつ。茎は直立~斜上し、しばしば群生するがマット状ではなく、緑色または灰緑色、円柱形、高さ10~110(~120)㎝、通常は全体によく分枝し、ときに単純で、伏した小剛毛(strigillose)および/または長い絨毛があり、通常、上部に腺微軟毛が混ざり、まれに無毛。 葉は密に配置され、互生し、しばしば上部で束生し、ほぼ無柄、葉身は灰緑色~緑色~銀灰白色、通常は狭線形~披針形、または楕円形~卵形、まれに円形、長さ0.6~5(~6)㎝×幅0.1~2.5㎝ 基部は楔形~漸尖形、縁はほぼ全縁~鋭い歯があり、各側に3~15 個の歯があり、脈は目立たないかまたは目立ち、側脈は各側に3~7本、先は鋭形、ときに尾状の暗色の微突があり、表面は通常±密な伏した小剛毛があり、ときに絨毛および/または腺微軟毛があり、まれにほぼ無毛になる。苞ははるかに小さくて狭い。 花序は直立する穂状花序または総状花序で、緩い~密集し、しばしば、分枝し、腺微軟毛があり、ときに伏した小剛毛または絨毛が混じる。花の蕾は 長さ11~18㎜×幅4~6㎜、ほぼ無茎または長さ1~2㎜の小花柄がある。花筒は花弁と同色、長さ16~32㎜×幅5~8㎜、基部はわずかに球根状(bulbous)、内側の基部から4~6.5mmの花糸の基部までに8つの不規則な鱗片の輪がある。萼片は花弁と同色、長さ7~15㎜×幅3.5~5㎜、外面に密に毛がある。花弁は通常橙赤色、ごくまれに白色、扁円形、長さ8~17mm×幅5~9.5㎜、先の切れ込みは深さ2~3㎜。花糸は淡オレンジ色から赤色、白色、長い雄しべは長さ12.5~32㎜、短い雄しべは長さ10~25㎜。葯は長さ2.7~4㎜x幅0.8~1.2㎜、尖頭形。子房は長さ8~15㎜、腺微軟毛があり、しばしば絨毛が混じる。花柱は明るい橙赤色、長さ42~65㎜、無毛。柱頭は4裂、長さ1~1.4㎜×幅2.4~3㎜、葯を8~15㎜超えて突き出る。蒴果は真っ直ぐ、または±湾曲して斜上し、長さ15~35㎜、ときに嘴があり、表面は腺微軟毛および伏した小剛毛がある。蒴果はほぼ無柄または小花柄は長さ0~3㎜。種子は広倒卵形~狭倒卵形、珠孔(micropylar)の端から0.6~0.8㎜のくびれがあり、長さ1.5~2.6㎜×幅0.9~1.3㎜、卵帯(chalazal)の襟は目立たず、淡褐色、表面はパピラが低い。種髪(coma)は簡単に離れ、薄汚れた白色、長さ5.5~7㎜。
品種) 'Alba' , 'Albiflora' , 'Armstrong' , 'Bowman's Hybrid' , 'Calistoga' , 'Carman's Gray' , 'Carmen's Gray , 'Catalina' , 'Cloverdale' , 'Diamondback' , 'Dublin' , 'El Tigre' , 'Firechalice' , 'Hurricane Point' , 'Marin Pink' , 'Northfork Coral' , 'Oat Hill Mine Road' , 'Pueblo' , 'Route 66' , 'Schieffelin's Choice' , 'Sierra Gold' , 'Sierra Salmon' , 'Sir Cedric Morris' , 'Sky Island Orange' , 'Solidarity Pink' , 'Topanga' , 'UC Hybrid' , 'Uvas Canyon' , 'Western Hills' , 'Woody's Peach Surprise'
4-1 Epilobium canum (Greene) P. H. Raven subsp. canum
 カリフォルニア州の固有種。英名はHummingbird Trumpet, California Fuchsia, Zauschneria。
 葉は線形~披針形、幅は5.75㎜未満、しばしば幅が2㎜しかなく、茎に密に密集してつき、綿毛により灰緑色~灰色に見える。花はしばしば他の亜種よりも長い。

4-2 Epilobium canum (Greene) P. H. Raven subsp. garrettii (A. Nelson) P. H. Raven

 USA原産。英名はGarrett's california fuchsia。標高1650mまでの乾燥した岩の多い斜面に生える。
 葉は広卵形で、他の亜種よりも顕著な鋸歯があり、幅が5.75㎜を超え、側脈が目立つ。
品種) 'Mountain Flame', Orange CarpetR , 'Pueblo'
4-3 Epilobium canum subsp. latifolium (Hook.) P.H.Raven
 USA原産。主に標高2100~3000mの高地に生えるが、1050mの低地で発見されたものもある。
 葉は、披針形~卵形で、全縁~鋸歯縁、側脈は不明瞭、葉色は緑色~灰緑色。

4-4 Epilobium canum subsp. angustifolium (D.D.Keck) P.H.Raven

 カリフォルニアの固有種。標高600m以下の海岸近くの斜面、乾燥した地域にのみ生える。
 葉は線形、密な灰白色の綿毛をもつが、区別するのが難しい場合がある。Kewscienceでは基準変種に含める。

5 Epilobium ciliatum Raf. カラフトアカバナ 樺太赤花
 日本(北海道、本州の中部地方以北)、朝鮮、中国(黒竜江省、吉林省)、ロシア、北アメリカ、南アメリカ原産。英名はAmerican willowherb , glandular willowherb , fringed willowherb , Northern willow herb , slender willow herb。中国名は东北柳叶菜 dong bei liu ye cai 。ヨーロッパ、オーストラリア、ニュジーランドなどに帰化。標高(700~)1200~2100mの小川、河川、道路脇の側溝、斜面、湧出部などの湿った乱れた場所に生える。
 多年草、直立し、コンパクトな葉のロゼットをもち、またはまれに褐色の基部の鱗片が残る多肉質の徒長枝(turions)を持つ。茎は高さ(10~)25~90(~150)㎝、よく分枝しているか、またはまれに単純で、伏した小剛毛(strigillose)と腺毛があり、下部はまばらに毛があるかまたは無毛になり、葉柄の縁から沿下する伏した小剛毛の線が隆起する。上部の葉は無柄、下部の葉は1~3㎜の葉柄をもつ。茎葉の葉身は披針形~狭卵形、長さ2.5~6(~7)㎝×幅0.6~1.5(~2)㎝、伏した小剛毛のある縁と脈を除いてほぼ無毛、基部は円形、またはまれにほぼ心形、縁には各側に10~30 個の小歯を持ち、先は鋭形~ほぼ尖鋭形。花序と花は直立する。萼片は長さ2.4~3.5mm、竜骨がある。花弁はピンク色または白色、まれにローズパープル色、長さ3.5~5(~7)㎜。柱頭は棍棒形~円筒形、全縁。 蒴果は長さ4.5~7㎝、まばらに伏した小剛毛と腺がある。小花柄は長さ0.5~0.8(~1.4)㎝。種子は褐色、長さ0.8~1.2㎜、平らな明瞭な縦の隆起があり、パピラが融合し、卵帯(chalazal)の襟は長さ0.08~0.1㎜。種髪(coma)鈍い白色で、容易に離れる。花期は7~8(~9)月。果期は8~10月。2n=36。

5-1 Epilobium ciliatum Raf. subsp. ciliatum カラフトアカバナ

  synonym Epilobium maximowiczii Hausskn.

  synonym Epilobium glandulosum Lehm. var. asiaticum H.Hara

  synonym Epilobium cylindrostigma auct. non Kom.
品種)  'Bert's Bluff' , 'Everett's Choice' , 'Ghostly Red' , 'Sidewinder' , 'Summer Snow' , 'White'

5-2 Epilobium ciliatum Raf. subsp. glandulosum (Lehm.) Hoch et P.H.Raven オオチシマアカバナ 大千島赤花

  synonym Epilobium glandulosum Lehm.

  synonym Epilobium glandulosum Lehm. var. kurilense (Nakai) H.Hara

 カリフォルニア、アラスカ、ロッキー山脈、北アメリカ北東部に分布。英名はFringed willowherb。標高3500m以下の日陰のある川岸、湧水地、牧草地に春。  高さ20~110(170)㎝。 シュートは肉質、鱗片があり、まれに葉があり、通常は地下にあり、剛毛が線状になり、上部に腺がある。 葉は狭卵形~卵形(披針形)、上部では少し縮小する。花序は密で葉がある総状花序。 花弁は長さ4~14mm、ピンク色~ローズパープル色。より大きな花を咲かせるものは他家受粉。花期は6~10月。

6 Epilobium coloratum Biehler ノダアカバナ 野田赤花
  synonym Epilobium adenocaulon auct. non Hausskn.
 北アメリカ、ドミニカ、ハイチ原産。英名はpurpleleaf willowherb。湿った土壌に生える。日本の湿地、水辺、休耕田などで見られる。和名は最初に野田市で発見されたことによる。
 多年草、冬は地上部が枯れ、直立し、高さ1mまで。茎は通常は自由に分枝し、±毛があり、特に上部にあり、毛は短く湾曲し、茎の毛は1列の線状になる傾向がある。葉は主に対生し、狭披針形~長円状披針形、大きいものはしばしば長さ10㎝になり、鋭く不規則な鋸歯があり、多数の(縁1cmあたり4~8個)歯がある。花は多数つく。萼歯は芽の先端ではなく、突き出る。花弁は長さ4~5㎜、ピンク色または白色。 果実は長さ3~5㎝。種子は急に丸くなり、頂部には嘴が無い。種髪は褐色。2n=36。花期は夏~秋。

7 Epilobium fastigiatoramosum Nakai エダウチアカバナ 枝打赤花
 日本(北海道)、朝鮮、中国(甘粛省、河北省、黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、寧夏、青海省、陝西省、山東省、山西省、四川省)、モンゴル、ロシア原産。中国名は多枝柳叶菜 duo zhi liu ye cai。標高400~2000(~3300)mの小川、湖、沼地、草が茂った牧草地沿いの湿った地域に生える。
 多年草本で、直立し、短い葉の匍匐地下茎(soboles)があり、またはまれに短い糸状の匍匐茎(stolons)があり、散在する低出葉(cataphylls)を持つ。茎は高さ7~50(~80)㎝、単純から密に分枝し、全体に密に伏した小剛毛(strigillose)があり、花序に腺毛が混在し、しばしば下部がほぼ無毛で、隆起した線が無い。葉は無柄または下部の葉は葉柄が長さ2㎜まで。茎葉の葉身は披針状楕円形~披針状長円形、長さ2~7㎝×幅0.3~1.7㎝、上面と下面の脈上にまばらに伏した小剛毛があり、基部は楔形またはほぼ円形、縁はほぼ全縁、先は鋭形または鈍形。 花序と花は直立する。萼片は長さ2.5~3.3㎜、わずかに竜骨がある。花弁は白色、長さ3~4(~4.7)㎜。柱頭はほぼ頭状~こん棒形、全縁。 蒴果は長さ1.7~7㎝、伏した小剛毛があり、まばらに腺がある。小花柄は長さ0.9~2.1㎝。 種子は褐色、長さ0.9~1.3㎜、微細なパピラがあり、目立たない卵帯(chalazal)の襟を持つ。種髪(coma)は黄褐色(tawny)、宿存する。花期は7~8月。果期は8~9月。2n=36。

8 Epilobium fauriei H.Lev. ヒメアカバナ 姫赤花
 日本(北海道、本州の鳥取県大山以北)、朝鮮、ロシア原産。別名はコゴメアカバナ、ムカゴアカバナ。高山の湿った砂れき地に生える。
 多年草、高さ3~25㎝。茎は1本、ときに株立となり、わずかに枝を分け、全体に細かい伏毛がある。葉は対生、部分的に互生し、短柄がある。葉身は下部では小さく、倒卵形、中部以上では線形~線状楕円形、長さ1~3㎝×幅1~4㎜、鈍頭、縁に1~4対の低い細鋸歯があり、葉腋にムカゴをつけることがある。冬に茎の根元に越冬芽をつける。花は茎上部の葉腋に単生する。花筒(floral tube)に白色の伏毛がある。萼片は長楕円形、長さ3~4㎜。花弁は淡紅色、倒卵形、長さ3~6㎜、先は2浅裂。雄しべは8本、4本が長い。柱頭はこん棒形。蒴果は細長い4稜形、長さ2~3.5㎝。果柄は長さ1~3.5㎝。種子は倒披針状長楕円形、長さ0.9~1.4㎜、パピラが密にある。種髪は白色で長い。花期は7~9月。

9 Epilobium glabellum G.Forst. エピロビウム・グラベルム
 ニュージーランド原産。英名はglaucus willowherb , New Zealand willow herb , willowherb
 多年草、叢生、またはときにマット状になる。茎は太い直根から出て、多数分枝し、ときに枝はバラバラに出て(straggling)、基部近くに根を出し、長さは5~40㎝。茎には伏した小剛毛(strigillose)の線があり、直立した毛または腺毛が葉柄の縁から沿下する。葉身は楕円形~披針形、または狭卵形、長さ0.5~2㎝×幅0.2~0.7㎝。花筒は深さ0.6~1.5~(3.2)㎜、無毛。 花弁は白色またはバラ紫色で、受粉後はピンク色になることが多く、長さ3~8~(18)㎜×幅2~5~(12)㎜。蒴果は無毛、長さ2~4~(6.5)㎝。果時の小花柄は長さは0~0.4~(0.6)㎝。2n=36。花期は11~3月。
品種) 'Roseum' , 'Sulphureum'

10 Epilobium hirsutum L. オオアカバナ 大赤花

  synonym Epilobium hirsutum L. var. villosum (Thunb.) Hausskn. ex H.Hara

 日本(北海道、本州中部地方以北)、朝鮮、中国(安徽省、甘粛省、広東省、貴州省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、寧夏、陝西省、山東省、山西省、四川省、新疆、西蔵、雲南省、浙江省)、モンゴル、ロシア、ネパール、パキスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、南西アジア、アフリカ、ヨーロッパ原産。中国名は柳叶菜 liu ye cai。英名はgreat willowherb , hairy willowherb。 中国北部では標高(200~)500~2000 m、中国南西部では標高(100~)500~2800(~3500)m。小川、溝、沼地、川の砂利や砂地、道端の近くの湿った場所に生える。
 多年草、丈夫、ときに根元近くが木質になり、長くて太いロープのような地下性匍匐茎(hypogeal stolons)があり、しばしばロゼット状の葉で終わる。茎は高さ25~120(~250)㎝、上半分でよく分枝し、絨毛が密にあり、特に花序に短い腺毛があり、まれに軟毛がまばらにあり、まれに密に白色の綿毛がある。葉は無柄で、茎を抱く。茎葉の葉身は披針状楕円形~狭倒卵形、または楕円形、まれに非常に狭い披針形、長さ4~12(~23)㎝×幅0.3~4(~5)㎝、両面に絨毛があり、非常にまれに無毛になり、基部は楔形で抱茎、縁には各側に20~50個の小歯があり、先は鋭形~尖鋭形。花序と花は直立する。萼片は長さ6~12㎜、しばしば竜骨がある。花弁は明るいピンク色~暗紫色、長さ8~20㎜。柱頭は深く4裂する。蒴果は長さ2.5~9㎝、有毛か、またはまれに無毛になる。小花柄は長さ0.5~2㎝。種子は暗褐色、長さ0.8~1.2㎜、粗く、パピラがあり、目立たない卵帯(chalazal)の襟を持つ。種髪(coma)は黄褐色(tawny)またはくすんだ白色(dull white)、簡単に剥がれる。花期は6~8月。果期は7~9月。2n=36。
品種) 'Album' , 'Appleblossom' , 'Caerphilly Castle' (d) , 'Cheryl's Blush' , 'Pistils at Dawn' , 'Spring Lime' , 'Well Creek' (v)

11 Epilobium hohuanense S.S.Ying ゴウカンアカバナ
 台湾原産。中国名は合欢柳叶菜 he huan liu ye cai。標高2600~3600mの山の中の開けた湿った(日陰がほとんどない)場所の緩いガレ場または砂利場に生える。
 多年草、叢生または群生(clumped)し、細くて肉質の地下匍匐枝(soboles)があり、基部に小さな鱗片が散在する。茎は高さ5~20(~30) cm、上向き、単純またはほとんど分枝せず、全体に伏した小剛毛があり(strigillose)、ときに、葉柄の縁から沿下する不定の幅広の線がある。 葉はほぼ無柄、または、長さ1~3㎜の葉柄がある。茎葉の葉身は楕円形または長円形~披針形、しばしば幅狭くなり、基部近くではへら形、長さ(0.5~)1~2㎝×幅0.15~0.7㎝、縁と中脈にかすかに伏した小剛毛があり、基部は漸尖~狭楔形、縁は各側に4~10個の小歯があり、先はほぼ鋭形~鈍形。花序は直立する。 花は直立する。萼片は長さ2~3.5㎜。花弁は白色、後にピンク色またはバラ色に変わり、長さ3.5~6.5㎜。柱頭は頭状~広こん棒形、全縁。 蒴果は長さ2.6~5.5㎝、無毛になるか、またはまばらに伏した小剛毛がある。小花柄は長さ0.9~2.2㎝。種子は薄褐色、長さ1~1.3㎜、パピラがあり、目立たない卵帯(chalazal)の襟を持つ。種髪(coma)は白色、宿存性。花期は7~9月。果期は8~11月。2n=36。

12 Epilobium hornemannii Rchb. ミヤマアカバナ 深山赤花

  synonym Epilobium hornemannii Rchb. var. foucaudianum (H.Lev.) H.Hara

  synonym Epilobium foucaudianum H.Lev. 
 日本(北海道、本州中部地方以北)、ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。英名はHornemann's willowherb。
 多年草、短く鱗片のある地下性または葉のある地上性の地下匍匐枝(soboles)をもつ。茎は斜上~直立し、群生し(clumped)、円柱形、高さ10~45㎝、通常は単純で、まれに下部で分枝し、下部~花序までほぼ無毛、葉柄の縁から沿下するまばらな伏した小剛毛(strigillose)の線をもち、上部は±まばらに伏した小剛毛と腺微軟毛が混じる。葉は下部~花序まで対生し、通常は上部で互生する。葉柄は下部で長さ3~9㎜、上部では無柄。葉身は下部で広楕円形~へら形、上部では卵形~披針形、±革質または革質でなく、長さ1.5~6.2㎝×幅0.7~2.9㎝、基部は漸尖形~楔形または円形、縁は下部がほぼ全縁、上部は小歯状で各側に10~25個の歯があり、脈はしばしば不明瞭、各側に4~7本、先は鈍形~ほぼ鋭形、表面は無毛、またはときに縁に沿って伏した小剛毛がある。苞が小さくなる。花序は直立またはうなずき、開いた総状花序、伏した小剛毛と腺微軟毛が混じる。花は直立する。芽は長さ2~5.5㎜×幅2~4㎜。小花柄は長さ2 ~ 5㎜。 花筒は長さ1~2.2㎜×幅1.3~2.8㎜、口の内側にまばらな毛の輪があるか、輪がありません。 がく片は先端が赤い、または明るい赤色、長さ2~7㎜×幅1~2.2㎜、背軸面はまばらに縞模様で、腺状の思春期がある。 花びらは通常バラ紫色またはマゼンタ色から淡いピンク色、まれに白色、長さ3~10(~11)㎜×幅2~6㎜、先の切れ込みは深さ0.7~2.4mm。 花糸はクリーム色~淡ピンク色、長い雄しべは長さ1.4~5(~6)mm、短い雄しべは長さ1.2~4mm。葯は淡黄色、長さ0.4~1.2㎜×幅0.3~0.6㎜。子房は長さ15~25㎜、腺微軟毛があり、ときに伏した小剛毛が混じる。花柱は白色またはクリーム色、長さ2~8㎜。柱頭はクリーム色、棍棒形または円筒形、全縁、長さ1.2~3㎜×幅0.5~1㎜、通常は葯に囲まれるが、まれに葯を超えて突き出る。蒴果は長さ35~65㎜、表面は腺微軟毛があり、ときに伏した小剛毛が混じる。小花柄は長さ5~15(~25) mm。種子は狭い紡錘形または倒披針形、長さ0.9~1.6㎜×幅0.3~0.5㎜、卵帯(chalazal)の襟は短く、長さ0.05~0.1㎜、金色~褐色、表面は明瞭なパピラがあるかまたは網状/平滑。種髪(coma)は容易に離れ、薄汚れた白色、長さ6~11㎜。

12-1 Epilobium hornemannii subsp. hornemannii ミヤマアカバナ 深山赤花 狭義

 日本(北海道、本州中部地方以北)、千島列島、ロシア、グリーンランド(デンマーク)、ヨーロッパ(フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、アイスランド)、北アメリカ(カナダ、USA、アラスカ)原産。標高50~3700mの山地から高山の小川や湖までの岸辺、開けた低地帯の牧草地、ヤナギの湿地、砂利の尾根、安定したガレ場の斜面、道路脇の溝に生える。
  多年草。高さ5~20(45)㎝。茎に2稜があり、腺毛が生える。葉は革質ではなく、普通、無毛。葉柄は下部で長さ3~7㎜、上部はほぼ無柄、長さ0.8㎜以下。。茎葉は葉身が長さ1.5~5.5㎝×幅0.7~2.9㎝、先が狭い披針形~卵形、低い鋸歯がある。花は円錐花序にまばらにつく。花:萼片は先端がときに赤くなり、長さ2~4.5㎜×幅1~2.2㎜。花托筒は長さ1~2.2㎜。花弁は4個つき、通常バラ紫色~淡ピンク色、まれに白色、長さ3~9㎜×幅2~5.5㎜、先が浅く切れ込む。雄しべ8本。柱頭はこん棒形。蒴果は長さ40~65㎜、腺毛がある。果柄は長さ5~15㎜、腺毛がある。種子は長さ0.9~1.2㎜×幅0.3~0.5㎜、表面ははっきりとしたパピラがある。2n=36。花期は(5~)6~8月。

12-2 Epilobium hornemannii Rchb. subsp. behringianum (Hausskn.) Hoch et P.H.Raven タラオアカバナ 多羅尾赤花

  synonym Epilobium sertulatum Hausskn.
 ロシア(カムチャッカ半島、クリル諸島(千島列島))、USA(アラスカ、アリューシャン列島)、カナダ(ユーコン準州、ブリティッシュコロンビア州)に分布する。英名はHornemann's willowherb。別名はチシマアカバナ、キタアカバナ、ルエサンアカバナ。標高0~500mの湿った牧草地、湧水、川岸、苔むした裂け目、または岩の裂け目、通常は海岸に生える。
 葉は革質、葉柄は下部で長さ4~9㎜。茎葉は葉身が長さ1.5~6.2㎝×幅0.7~2.2㎝。花:萼片は明るい赤色、長さ5~7㎜×幅2~2.5㎜。花弁はマゼンタ色(赤紫色)~淡ピンク色、長さ8~10(~11)㎜×幅3~6㎜。蒴果は長さ35~55㎜。種子は長さ0.9~1.6㎜×幅0.4~0.5㎜、表面は網状(平滑)、パピラが無い。2n=36。花期は6~8月。(FNA)
 高さ12~15㎝、数本叢生し、茎の下部は湾曲し、直立する。葉は下部で対生し、上部で互生し、無柄。茎中部の葉は長楕円状卵形、無柄、基部は急に円形、先は鈍形、縁にはまばらに小鋸歯がある。葉腋に密に数個の花をつける。花は藤色。萼片と花弁は同数の4個。花弁は萼片より長い。柱頭は狭いすり鉢形(千島 参考8)

13 Epilobium lactiflorum Hausskn. シロウマアカバナ 白馬赤花
  synonym Epilobium shiroumense Matsum. et Nakai
  synonym Epilobium alpinum auct. non L., nom. rej.
 日本(北海道、本州中部以北)、ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。英名はmilkflower willowherb , White-Flower Willowherb , broadleaf willowweed。標高50~3800mの山地の小川の土手、湿った隙間や棚、砂利道端、焼け落ちた森林、砂質の堆積地、亜高山帯の森林、高山の牧草地に生える。
 短く葉がある地上性匍匐地下茎(epigeous soboles)を持つ。 茎は斜上~ほぼ直立、しばしば群生(clumped)し、円柱形、高さ15~50㎝、通常は単純で、まれに下部で分枝し、ほぼ無毛下部~葉柄の縁から沿下する密な伏した小剛毛(strigillose)の線が隆起する花序までを除き、上部は無毛で、通常は上部に伏した小剛毛と腺毛が混じる。葉は下部~花序までまたは下部のちょうど1/3が対生し、上部は互生する。葉柄は長さ3~12㎜、±翼がある。葉身は下部で広へら形~卵形、上部では狭卵形~狭披針形、長さ2~5.5㎝×幅0.8~2.4㎝、基部は漸尖形~楔形、縁は下部が全縁~上部は小歯があり、各側に7~16 個の歯をもち、上部ではより顕著、側脈は不明瞭 、各側に4~8本、先は下部では鈍形~上部ではほぼ鋭形、表面は縁の伏した小剛毛を除いて無毛。苞は小さくなり、狭い。花序はつぼみの状態でうなずき、後に直立し、±開いた総状花序、伏した小剛毛と腺微軟毛が混じる。花はほぼ直立する。芽は長さ2~5㎜×幅1.5~3.5㎜。小花柄は長さ5~15mm。 花筒(floral-tube)は長さ1~2.2㎜×幅1~3㎜、内面は無毛で輪がない。萼片はしばしば赤紫色になり、頻繁に竜骨があり、長さ(2~)3~5.5㎜×幅0.9~1.8㎜、外面はまばらに腺微軟毛があり、ときに伏した小剛毛が混合する。花弁は白色、まれに赤い脈をもちまたは明るいピンク色になり、長さ3~8.5㎜×幅1.6~4.5㎜、先のノッチは深さ0.7~1.4㎜。花糸は白色~クリーム色、長い雄しべは長さ1.4~4㎜、短い雄しべは長さ1.1~3㎜。葯は薄黄色、長さ0.4~0.9㎜×幅0.3~0.6㎜。子房は長さ20~40mm、腺微軟毛がある。花柱はクリーム色または白色、長さ1.4~4.6㎜。柱頭はこん棒形またはまれに頭状で先にギザギザがあり、全縁、長さ1.2~2.5mm×幅0.4~1.6mm、葯に囲まれる。蒴果は細く、ときに赤緑色になり、±斜上し、長さ50~100mm、表面はまばらに腺微軟毛がある。小花柄は長さ15~45mm。 種子は狭い倒卵形、長さ1.1~1.7㎜×幅0.4~0.6㎜、卵帯(chalazal)の襟は長さ0.05~0.1㎜、金色または薄褐色、表面は網目状、またはほとんどしわ状。種髪(coma)は容易に分離でき、白色、長さ7~14㎜。2n=36。花期は6~9月。

14 Epilobium minutiflorum Hausskn. モウコアカバナ 蒙古赤花
  synonym Epilobium propinquum Hausskn
 朝鮮、中国(甘粛省、河北省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、陝西省、山西省、新疆ウイグル自治区、西蔵)、モンゴル、インド、パキスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、アフガニスタン、南西アジア(アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、アフガニスタン、イラン、イラク、シリア、トルコ)原産。中国名は细籽柳叶菜 xi zi liu ye cai。標高500~1800mの小川、沼地、道路脇の溝など、低くて暖かい地域の湿った場所によく生える。
 多年草、直立し、短くて肉質の基部の匍匐地下茎(soboles)または葉のロゼットがある。茎は高さ15~100㎝、よく分枝しているか、まれに単純で、全体に密に伏した小剛毛があり、花序には散在する腺毛があり、しばしば下部はほぼ無毛で、葉柄の縁から目立たない線が沿下する。上部の葉は無柄で、下部の葉は長さ1~6㎜の葉柄をもつ。茎葉の葉身は長円状披針形~狭卵形、長さ2~7㎝×幅0.4~1.7㎝、伏した小剛毛のある縁と脈を除いて無毛、基部は楔形またはほぼ円形、縁は片側に20~41本の小歯をもち、先は類鈍形または鋭形。花序は開花前にほぼ直立する。花は直立する。萼片は長さ2.4~4㎜、ときに竜骨がある。花弁は白色、まれにピンク色またはバラ色、長さ3~4.3(~5)㎜。 柱頭はこん棒形~ほぼ頭状、全縁。 蒴果は長さ3~8cm、伏した小剛毛があるかまたはまれに無毛になる。小花柄は長さ0.5~2㎝。種子は褐色、長さ0.8~1.2㎜、微細なパピラがあり、顕著な卵帯(chalazal)の襟は長さ0.08~0.12㎜。種髪(coma)は白色で、容易に分離できる。花期は7~8月。果期は8~9月。2n=36。

15 Epilobium montanum L. エゾアカバナ 蝦夷赤花
 ヨーロッパ、ロシア、西アジア、コーカサス原産。英名はbroad-leaved willow-herb。標高0~150[~1500]mの湿った岩の土手、砂利の多い斜面、開けた森、荒れた場所に生える。
 多年草、短い基部の匍匐茎が、地表またはその直下で多肉質または葉の多いロゼットで終わる。茎は直立し、円柱形、高さ(5~)20~95㎝、よく分枝し、特に上部で分枝し、下部~花序まで密に伏した小剛毛(strigillose)があり、沿下する線がなく、上部で伏した小剛毛と腺微軟毛が混じる。葉は下部~花序まで対生し、上部で互生し、葉柄は長さ1~6㎜。葉身は暗緑色、狭卵形~卵形、長さ3~8㎝×幅1.5~3.4㎝、節間とほぼ同じ、基部は広楔形~切形、縁は不規則な小鋸歯状で片側に20~30個の歯があり、脈が目立ち、各側に3~5本あり、先は尖鋭形~鋭形、表面は伏した小剛毛があり、特に脈や縁に沿ってある。苞はかなり小さくなる。花序は下向き~直立し、総状花序または緩い円錐花序、伏した小剛毛と腺微軟毛がある。花は直立する。芽は長さ4~5㎜×幅1.5~3㎜。小花柄は長さ2~18 mm。花筒は長さ1.2~2㎜×幅1.5~2.5㎜、口の内側に開出する毛の輪が目立つ。萼片はしばしば赤くなり、竜骨があり、長さ5~6.5㎜×幅1.2~1.7㎜、外面は伏した小剛毛と腺微軟毛がある。花弁はバラ紫色、倒心形、長さ7.5~10㎜×幅4~5.5㎜、先のノッチは深さ2.7~4.2mm。花糸は淡いピンク色、長い雄しべは長さ3.5~5.5 mm、短い雄しべは長さ1.5~2.4㎜。葯は黄色、長さ1~1.2㎜×幅0.5~0.6㎜。子房は20~30㎜、伏した小剛毛と腺微軟毛がある。花柱はバラ色~白色、長さ3.5~7.5㎜、無毛、または基部付近に長い毛が散在する。柱頭は深く4裂し、長さ1.5~2㎜×幅2.5~4㎜、裂片は長さ1.2~1.8 mm、外側に突き出る、またはときに、周囲を葯に取り囲まれる。蒴果は長さ40~80㎜、表面は伏した小剛毛と腺微軟毛がある。小花柄は長さ8~20㎜。種子は倒卵形、長さ1~1.2㎜×幅0.4~0.5㎜、卵帯(chalazal)の襟は目立たず、幅0.6~0.8㎜、褐色、表面には粗いパピラがある。種髪(coma)は容易に分離し、くすんだ白色、長さ5~6㎜。2n=36。花期は7~8月。

16 Epilobium nankotaizanense Yamam. タイリンアカバナ 大輪赤花
 台湾原産。中国名は南湖柳叶菜 nan hu liu ye cai。標高2600~3800mの高山の湿った開けたガレの斜面に局所的に生える。
 多年草、緩いマット状になり、針金のような広がった根と、肉質の匍匐地下茎(soboles)があり、節から根を出し、基部に鱗片が密にある。茎は高さ3~18㎝、通常上部で分枝し、全体に伏した小剛毛(strigillose)があり、花序に腺毛が混在する。葉は上部の茎に密集し、革質で、かなり肉質。葉柄は長さ1~3㎜。茎葉の葉身は広楕円形~倒卵形~卵形、まれにほぼ円形、長さ0.8~2.1㎝×幅0.5~1.2㎝、縁と脈にまばらに伏した小剛毛あり、それ以外は無毛、基部は漸尖またはまれにほぼ切形、縁は弱く小歯があり、各側に3~7個の歯があり、先は鈍形。花序は斜上し、花は蕾中でわずかに下向きになる。萼片は長さ1.1~1.7㎝。花弁はバラ紫色、長さ1.6~3.3㎝。柱頭はほぼ球形、浅く4裂する。蒴果は長さ2~4.5㎝、まばらに伏した小剛毛と腺がある。小花柄は長さ0.4~0.7cm。種子は褐色、長さ1.6~1.8㎜、細かい網目があり、短い卵帯(chalazal)の襟を持つ。種髪(coma)は黄褐色(tawny)、宿存する。花期は7~8月。果期は8~9月。2n=36。

17 Epilobium obscurum (Schreb.) Schreb. エピロビウム・オブスクルム
 ヨーロッパ、北アフリカ、トルコ、マクロネシア原産。英名はShort-fruited Willowherb 。
 多年草、高さ20~80㎝、直立し、夏の終わりに地表または地上に葉のある細長い匍匐茎を出す。これらは明確なロゼットで終わらない。茎は上部で伏した小剛毛(strigillose)があり、下部は無毛、葉柄の縁から下に伸びる隆起した線に毛が集中する。葉はほとんど対生し、花序では互生し、ほぼ無柄で、しばしばやや沿下し、長さ1.5~10㎝×幅0.4~1.8㎝、披針形~狭卵形、緑色または青緑色、下面の中肋と脈に伏した小剛毛あり、それ以外は無毛、小歯があり、基部は円形~抱茎、先は鈍形。花序は直立し、主に伏した小剛毛がある。花は直立する。子房は長さ1.2~3.8㎜、伏した小剛毛がある。花筒は深さ0.8~1㎜で、内側に密な長い毛の目立つ縁があり、外側に伏した小剛毛があり、少数の腺毛がある。萼片は長さ2.5~4.5×幅1~1.3mm、伏した小剛毛があり、やや竜骨がある。花弁はバラ紫色、長さ3.5~6㎜×幅1.8~3㎜。長い雄しべの花糸は長さ2~2.2㎜。花柱は白色、長さ2.5~3.5 mm、無毛。柱頭はこん棒形、高さ1.5~2㎜。蒴果は伏した小剛毛があり、長さ4~7cm。果時の小花柄は長さ0.4~1.6㎝。 種子は長さ0.8~1.0㎜×幅0.35~0.4㎜、倒卵形、粗いパピラがある。
品種) 'Mottisfont' (v)

18 Epilobium palustre L. ホソバアカバナ 細葉赤花
  synonym Epilobium palustre L. f. salicifolium H.Hara

  synonym Epilobium palustre L. var. lavandulifolium Lecoq et Lamotte ex Hausskn.

  synonym Epilobium palustre L. var. fischerianm Hausskn. チゴアカバナ

 日本(北海道、本州中部以北)、朝鮮、中国(甘粛省、河北省、黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、青海省、陝西省、山西省、四川省、新疆ウイグル自治区、西蔵、雲南省)、モンゴル、ロシア、インド、ネパール、パキスタン、カザフスタン、アジア中部、アジア北部、アジア南西部、ヨーロッパ、北アメリカ、グリーンランド原産。中国名は.沼生柳叶菜 zhao sheng liu ye cai 。英名はmarsh willowherb。別名はヤナギアカバナ。標高200~4500(~5000)mの小川、川、沼地、沼地に沿った湿った場所、しばしば荒れた亜高山の牧草地に広く生える。
 多年草、直立し、糸状の匍匐茎が小さな肉質の越冬芽(turions)で終わり、褐色の基部の鱗片を残す。茎は高さ(5~)15~70㎝、単純またはよく分枝し、全体に伏した小剛毛がありまたは下部がほぼ無毛、まれに葉柄の縁から沿下する線がある。葉は無柄または葉柄が長さ3㎜まで。茎葉の葉身はほぼ線形~狭披針形~楕円形、長さ1.2~7㎝×幅0.3~1.2(~1.9)㎝、下面および上面の脈上にまばらに伏した小剛毛があり、またはまれに無毛になり、基部は円形または楔形、縁は全縁~不明瞭な小歯があり、各側に5~9個の歯があり、ときに外巻きし、先は鋭形または鈍形。花序は直立、または蕾中でわずかにうなずき、密に伏した小剛毛があり、ときに腺毛がある。花は直立する。萼片は長さ2.5~4.5mm。花弁は白色~ピンク色、長さ3~7(~9)mm。 柱頭は棍棒形~ほぼ円筒形、全縁。蒴果は長さ3~9㎝、伏した小剛毛がある。小花柄は長さ1~5cm。種子は褐色、長さ(1.1~)1.3~2.2mm、細かいパピラがあり、目立つ卵帯(chalazal)の襟は幅0.08~0.3mm。種髪(coma)は鈍い白色、またはまれに黄褐色(tawny)で、簡単には離れない。花期は6~8月。果期は8~9月。2n=36。

19 Epilobium parviflorum Schreb. ムクゲアカバナ 木槿赤花
 朝鮮、中国(甘粛省、貴州省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、内モンゴル語、陝西省、山東省、山西省、四川省、新疆ウイグル自治区、雲南省)、ロシア、インド、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、南西アジア、アフリカ原産。中国名は小花柳叶菜 xiao hua liu ye cai。英名はhoary willowherb , smallflower hairy willowherb。ニュージーランド、北アメリカに帰化している。別名はススヤアカバナ。標高(300~)500~1800(~2500)mの小川、沼地、川の近くの荒れた湿った場所、山の開けた荒れ地の斜面や牧草地に生える。日本の本州中部以北に分布し、帰化種と考えられている。
 丈夫な多年草、茎の短い葉の基部ロゼットが特徴です。 茎は高さ18~100(~160)㎝、上部でよく分枝し、下部には灰色の絨毛が密生し、上部には短い腺毛が混ざり、しばしば、葉柄の縁から沿下する隆起した線がある。葉はほぼ無柄または下部の葉は長さ1~3㎜の葉柄がある。茎葉の葉身は、楕円形~狭披針形~長円状披針形、長さ3~12㎝×幅0.5~2.5㎝、両面に絨毛があり、基部は通常円形、縁は小歯状で片側あたり15~60本の歯があり、先はほぼ鋭形。花序と花は直立する。萼片は長さ2.5~6㎜、竜骨がある。花弁は明るいピンク色~暗紫色、長さ4~8.5㎜。柱頭は深く4裂する。蒴果は長さ3~7㎝、毛があるか、またはまれに無毛になる。小花柄は長さ0.5~1.8㎝。種子は暗褐色、長さ0.8~1.1㎜、粗いパピラがあり、目立たない卵帯(chalazal)の襟を持つ。種髪(coma)は黄褐色(tawny)またはくすんだ白色で、簡単に切り離せる。花期は6~9月。果期は7~10月。2n=36。

20 Epilobium pengii C.J.Chen, Hoch et P.H.Raven エピロビウム・ペンギー
 台湾原産。中国名は网籽柳叶菜 wang zi liu ye cai。標高3100~3700mの小川沿いの湿った保護された場所や高山地帯の浸出場所に生える。
 多年草、ゆるく群生し、葉のある短いまたは多肉質の匍匐地下茎(soboles)があり、地下茎の基部に褐色の鱗片が残る。茎は斜上し、高さ7~25㎝、単純またはまばらに分枝し、茎の上部に伏した小剛毛があり、下部には無毛で隆起した伏した小剛毛の線が葉柄の縁から沿下する。上部の葉は無柄で、下部の葉は長さ2㎜までの葉柄を持つ。茎葉の葉身は上部では卵形~披針形、下部では広披針形、長さ1.5~2.5㎝×幅0.8~1.2㎝、伏した小剛毛が縁と脈にある以外はほぼ無毛、基部は上部では円形、下部では楔形、縁は片側あたり7~12個の歯があり、先は上部で鋭形~下部で鈍形である。花序はうなずく。花は直立する。萼片は長さ4.5~5.5㎜。花弁は白色、ピンク色に変色し、長さ5~6.5㎜。柱頭は頭状、全縁。蒴果は長さ4.5~5㎝、伏した小剛毛がある。小花柄は長さ1.5~2㎝。種子は薄褐色、長さ1~1.1㎜、網目があり、短い卵帯(chalazal)の襟を持つ。種髪(coma)は薄汚れた白色(dingy white)、宿存する。花期は7~9月。果期は8~10月。2n=36。

21 Epilobium platystigmatosum C.B.Rob. トダイアカバナ 戸台赤花
  synonym Epilobium formosanum Masam.
 日本(本州の群馬県以西、四国、九州)、中国(甘粛省、広西チワン族自治区、河北省、河南省、湖北省、青海省、陝西省、四川省、雲南省)、台湾、フィリピン原産。中国名は阔柱柳叶菜 kuo zhu liu ye cai。標高(400~)1000~2000(~3500)mの山中の小川や川沿いの湿った荒れた場所に生える。
 多年草、緩く群生し、葉ある基部の匍匐地下茎(soboles)をもつ。茎は高さ(9~)15~70㎝、通常は全体に分枝し、密に葉があり、全体に伏した小剛毛(strigillose)があり、隆起した線はない。葉柄は長さ1~4㎜。茎葉の葉身はほぼ線形~狭線形、長さ1~4.5㎝×幅1.5~5㎜、 無毛で縁と中脈に伏した小剛毛があり、基部は漸尖形~狭い楔形になり、縁は弱く小歯が各側に3~8 個あり、先は鋭形または鈍形。花序は開花前にわずかにうなずく。花が直立する。萼片は長さ2.5~3.2㎜。花弁は白色またはピンク色、まれにローズパープル色、長さ3~5㎜。柱頭は頭状~広こん棒形、全縁。 蒴果は長さ2.3~5㎝、無毛になりまたはまばらに伏した小剛毛がある。小花柄は長さ0.8~2.2㎝。種子は褐色、長さ0.8~0.9㎜、粗いパピラがあり、目立たない卵帯(chalazal)の襟を持つ。種髪(coma)は汚れた白色、簡単に離れる。花期は8~10月。果期は9~11月。2n=36。

22 Epilobium pyrricholophum Franch. et Sav. アカバナ 赤花
  synonym Epilobium glandulosum auct. non Lehm
 日本(北海道、本州、四国、九州)、中国、ロシア原産。中国名は长籽柳叶菜 chang zi liu ye cai。
 多年草。高さ25~80㎝。水湿地に生え、走出枝を出す。茎の断面は円形、稜がない。茎、葉、萼、子房など全体に腺毛が密生する。葉は長さ2~6㎝、幅0.5~2㎝の狭卵形~披針形、葉の基部の幅が最も広く、柄がほとんどなく、鋸歯縁。花は淡紅紫色~紅紫色、直径約1㎝。花弁は長さ6~8㎜、先が浅く2裂し、桜の花に似ている。ただし花弁の数は4個。柱頭(雌しべの先)は棍棒状(惰円形)。雄しべ8個。萼片は4個、長さ4~7㎜。子房下位であり、花時から子房は細長く、花柄のように見える花筒がある。蒴果は長さ3.5~7.5㎝の棒状、腺毛が密生し、熟すと上側が大きく4裂して種子を飛ばす。種子は長さ1.5~1.8㎜、褐色、長さ7~9㎜の種髪(しゅはつ)がある。種髪が赤褐色と解説されていることが多いが、白色である。花期は7~9月。2n=36。
22-1 Epilobium pyrricholophum Franch. et Sav. var. curvatopilosum H.Hara ムツアカバナ 陸奥赤花
 茎に腺毛が無い。

23 Epilobium septentrionale (D.D. Keck) R.N. Bowman & Hoch エピロビウム・セプテントリオナレ

 北アメリカ(カリフォルニア州)原産。英名はhumboldt county fuchsia。標高20~1900mの乾燥した、砂地または岩だらけの棚(蛇紋岩の斜面)に生える。
 多年草、高さ5~20(30)㎝、マット状になり、針金状、下部に鱗片があり、てい幹は+-木質、たまに傾伏し、密に白色の灰白色毛(white-canescent)があり、花序の下は腺が無い。葉は普通、対生し、ほぼ無柄、長さ10~25㎜、披針形~卵形、白色の灰白色毛(white-canescent)があり、上部では苞状、+-緑色、腺と開出毛がある。花序は密に腺がある。花は赤橙色。花托筒は長さ17~23㎜。萼片は長さ7~12㎜。花弁は長さ8~14㎜。雄しべは雌しべより短い。柱頭は4裂する。果実は長さ20~26㎜、短い嘴があり、毛がある。小花柄は長さ0~2㎜。 種子は長さ1.8~2.4㎜、パピラが低く、毛束は脱落性。2n=30。花期は7~9月。 品種) 'Mattole River' , 'Select Mattole' , 'Wayne's Silver'

24 Epilobium taiwanianum C.J.Chen, Hoch et P.H.Raven タイワンミヤマアカバナ 台湾深山赤花

 台湾原産。中国名は台湾柳叶菜 tai wan liu ye cai. 標高3000~3900mの湿気が十分にある亜高山帯のガレ場または砂利の斜面に生える。
 多年草、直立し、しばしば群生し、肉質の肉質の越冬芽(turions)を持ち、褐色の革質の鱗片が基部に残る。茎は高さ7~25㎝、単純またはまばらに分枝し、全体に伏した小剛毛(strigillose)があり、隆起した沿下する線を欠く。葉はほぼ無柄、または下部の葉は長さ1~2㎜の葉柄がある。茎葉の葉身は卵形~披針形~披針状楕円形、基部付近ではへら形、長さ1~2.5㎝×幅0.5~1㎝、ほぼ無毛で縁や中脈にわずかに伏した小剛毛があり、基部は楔形~広楔形、縁は各側に3~9個の小歯をもち、先は鋭形~鈍形。花序は開花前にうなずく。花が直立する。萼片は長さ3~5㎜、竜骨がある。花弁はバラ紫色、長さ4~6.5㎜。柱頭は頭状~広こん棒形、全縁。蒴果は長さ2.5~5㎝、伏した小剛毛(strigillose)がある。 花柄は長さ0.5~1㎝。 種子は薄褐色、長さ1.1~1.5㎜、パピラが低く、目立たない卵帯(chalazal)の襟を持つ。種髪(coma)は白色、簡単に分離する。花期は7~9月。果期は8~10(~12)月。 染色体数は不明。

25 その他ハイブリッド
品種) 'Brilliant Smith' , 'White Wonder Bells' (PBR)

参考

1) Flora of China
 Eriophorum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=111844
2) GRIN
 Eriophorum
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=4311
3)Flora of North America
 Eriophorum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=112065
4)Plants of the World Online | Kewscience
 Eriophorum
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30000954-2
5)Jepson eFlora: Taxon page
 Epilobium septentrionale
http://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=24397
6)植物研究雑誌 第62巻 第10号 320 昭和62年10月
 ヒメヤナギラン日本に産す(山崎敬)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_062_320_320.pdf
7)USDA Natural Resources Conservation Service
 CALIFORNIA FUCHSIA
https://plants.usda.gov/DocumentLibrary/plantguide/pdf/pg_epca3.pdf
8)片岡侍従の千島探険を記念して 103-104
 (24) タラオアカバナ(新称)
http://hopposansokai.web.fc2.com/kaishi/no02/02-26b.pdf