ミヤマアカバナ 深山赤花

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Flora of Mikawa

アカバナ科 Onagraceae アカバナ属

英 名 Hornemann's willowherb
学 名 Epilobium hornemannii Rchb.
 synonym Epilobium hornemannii subsp. hornemannii
 synonym Epilobium foucaudianum H.Lév.
ミヤマアカバナの花
ミヤマアカバナの花
ミヤマアカバナの葉
ミヤマアカバナ
ミヤマアカバナ葉
花 期 7~8月
高 さ 5~20(45)cm
生活型 多年草
生育場所 高山の礫地
分 布 在来種  日本(北海道、本州中部地方以北)、千島列島、ロシア、グリーンランド(デンマーク)、ヨーロッパ(フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、アイスランド)、北アメリカ(カナダ、USA、アラスカ)
撮 影 乗鞍岳畳平  06.8.20
ミヤマアカバナはアカバナ科アカバナ属の多年草。学名は広義のEpilobium hornemannii Rchbであり、2亜種が確認されている。  広義のミヤマアカバナは日本(北海道、本州中部地方以北)、ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。英名はHornemann's willowherb。
 多年草、短く鱗片のある地下性または葉のある地上性の地下匍匐枝(soboles)をもつ。茎は斜上~直立し、群生し(clumped)、円柱形、高さ10~45㎝、通常は単純で、まれに下部で分枝し、下部~花序までほぼ無毛、葉柄の縁から沿下するまばらな伏した小剛毛(strigillose)の線をもち、上部は±まばらに伏した小剛毛と腺微軟毛が混じる。葉は下部~花序まで対生し、通常は上部で互生する。葉柄は下部で長さ3~9㎜、上部では無柄。葉身は下部で広楕円形~へら形、上部では卵形~披針形、±革質または革質でなく、長さ1.5~6.2㎝×幅0.7~2.9㎝、基部は漸尖形~楔形または円形、縁は下部がほぼ全縁、上部は小歯状で各側に10~25個の歯があり、脈はしばしば不明瞭、各側に4~7本、先は鈍形~ほぼ鋭形、表面は無毛、またはときに縁に沿って伏した小剛毛がある。苞が小さくなる。花序は直立またはうなずき、開いた総状花序、伏した小剛毛と腺微軟毛が混じる。花は直立する。芽は長さ2~5.5㎜×幅2~4㎜。小花柄は長さ2 ~ 5㎜。 花筒は長さ1~2.2㎜×幅1.3~2.8㎜、口の内側にまばらな毛の輪があるか、輪がありません。 がく片は先端が赤い、または明るい赤色、長さ2~7㎜×幅1~2.2㎜、背軸面はまばらに縞模様で、腺状の思春期がある。 花びらは通常バラ紫色またはマゼンタ色から淡いピンク色、まれに白色、長さ3~10(~11)㎜×幅2~6㎜、先の切れ込みは深さ0.7~2.4mm。 花糸はクリーム色~淡ピンク色、長い雄しべは長さ1.4~5(~6)mm、短い雄しべは長さ1.2~4mm。葯は淡黄色、長さ0.4~1.2㎜×幅0.3~0.6㎜。子房は長さ15~25㎜、腺微軟毛があり、ときに伏した小剛毛が混じる。花柱は白色またはクリーム色、長さ2~8㎜。柱頭はクリーム色、棍棒形または円筒形、全縁、長さ1.2~3㎜×幅0.5~1㎜、通常は葯に囲まれるが、まれに葯を超えて突き出る。蒴果は長さ35~65㎜、表面は腺微軟毛があり、ときに伏した小剛毛が混じる。小花柄は長さ5~15(~25) mm。種子は狭い紡錘形または倒披針形、長さ0.9~1.6㎜×幅0.3~0.5㎜、卵帯(chalazal)の襟は短く、長さ0.05~0.1㎜、金色~褐色、表面は明瞭なパピラがあるかまたは網状/平滑。種髪(coma)は容易に離れ、薄汚れた白色、長さ6~11㎜。

(1) Epilobium hornemannii subsp. hornemannii ミヤマアカバナ 深山赤花 狭義

 日本(北海道、本州中部地方以北)、千島列島、ロシア、グリーンランド(デンマーク)、ヨーロッパ(フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、アイスランド)、北アメリカ(カナダ、USA、アラスカ)原産。標高50~3700mの山地から高山の小川や湖までの岸辺、開けた低地帯の牧草地、ヤナギの湿地、砂利の尾根、安定したガレ場の斜面、道路脇の溝に生える。
  多年草。高さ5~20(45)㎝。茎に2稜があり、腺毛が生える。葉は革質ではなく、普通、無毛。葉柄は下部で長さ3~7㎜、上部はほぼ無柄、長さ0.8㎜以下。。茎葉は葉身が長さ1.5~5.5㎝×幅0.7~2.9㎝、先が狭い披針形~卵形、低い鋸歯がある。花は円錐花序にまばらにつく。花:萼片は先端がときに赤くなり、長さ2~4.5㎜×幅1~2.2㎜。花托筒は長さ1~2.2㎜。花弁は4個つき、通常バラ紫色~淡ピンク色、まれに白色、長さ3~9㎜×幅2~5.5㎜、先が浅く切れ込む。雄しべ8本。柱頭はこん棒形。蒴果は長さ40~65㎜、腺毛がある。果柄は長さ5~15㎜、腺毛がある。種子は長さ0.9~1.2㎜×幅0.3~0.5㎜、表面ははっきりとしたパピラがある。2n=36。花期は(5~)6~8月。

(2) Epilobium hornemannii Rchb. subsp. behringianum (Hausskn.) Hoch et P.H.Raven タラオアカバナ 多羅尾赤花

  synonym Epilobium sertulatum Hausskn.
 ロシア(カムチャッカ半島、クリル諸島(千島列島))、USA(アラスカ、アリューシャン列島)、カナダ(ユーコン準州、ブリティッシュコロンビア州)に分布する。英名はHornemann's willowherb。別名はチシマアカバナ、キタアカバナ、ルエサンアカバナ。標高0~500mの湿った牧草地、湧水、川岸、苔むした裂け目、または岩の裂け目、通常は海岸に生える。
 葉は革質、葉柄は下部で長さ4~9㎜。茎葉は葉身が長さ1.5~6.2㎝×幅0.7~2.2㎝。花:萼片は明るい赤色、長さ5~7㎜×幅2~2.5㎜。花弁はマゼンタ色(赤紫色)~淡ピンク色、長さ8~10(~11)㎜×幅3~6㎜。蒴果は長さ35~55㎜。種子は長さ0.9~1.6㎜×幅0.4~0.5㎜、表面は網状(平滑)、パピラが無い。2n=36。花期は6~8月。(FNA)

 高山に生える小型のアシボソアカバナ Epilobium anagallidifolium (pimpernel willowherb)は果柄が2~4㎝と長く、果柄、果実に腺毛がなく、曲った細かい毛が生える。
 ヒメアカバナEpilobium fauriei は葉が小さく、葉の鋸歯が点状で2、3個しかない。