アブラナ 油菜

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Flora of Mikawa

アブラナ科 Brassicaceae アブラナ属

別 名 ニホンアブラナ、ナノハナ、ナタネ
中国名

芸苔 yun tai

英 名 turnip , field mustard
学 名 Brassica rapa L. var. oleifera DC.
 synonym Brassica rapa L. var. campestris (L.) Clapham
 synonym Brassica rapa L. var. nippoleifera (Makino) Kitam.
 synonym Brassica rapa L. var. chinoleifera (Vieh.) Kitam.
アブラナ花序
アブラナ花
アブラナ花2
アブラナ萼片
アブラナ果実
アブラナ葉
アブラナ
アブラナ種子
アブラナ下部の葉
花 期 3~5月
高 さ 80~150cm
生活型 越年草
生育場所 道端、草地、土手
分 布 外来種 西アジア原産
撮 影 足助町  02.3.16
アブラナは弥生時代に中国から渡来したといわれている。昔はナタネ油の採取が多かったが、最近では野菜として栽培されることの方が多い。oleiferaは油が採れることを意味する。明治中期にヨーロッパから入った油の採取用のセイヨウアブラナも区別せずにアブラナと呼ばれることがある。
 葉は互生し、柔らかくてしわがあり、淡緑色。葉の基部は茎を抱く。萼片が花時に開出する。種子の色は黄褐色。雑種ができやすく分類が難しい。2n=20。
 ハナナは観賞用又は花芽を食用とするように改良されたもので、葉に縮れが多い。この園芸品種のカンザキハナナは12月から花が咲く。渥美半島にも植えられているようである。
 セイヨウアブラナ(rape) Brassica napus L. は食用油の原料として栽培されることが多く、野菜用の品種もつくられている。茎や葉が白い蝋質を被るので粉白色を帯び、葉が厚い。花が大きく、萼片が花時にもあまり開出しない。種子も黒い。
 カラシナ Brassica juncea (L.) Czern.もよく似ているが、やや花が小さく、葉が茎を抱かない。セイヨウカラシナともいわれる。
 Brassica rapaには野菜の変種が多く、黄色い花がよく似ている。学名に混乱が多いので注意が必要。

アブラナ属

   family Brassicaceae - genus Brassica

 1年草、2年草、多年草、まれに亜低木、低木、しばしば粉白色を帯びる。毛状突起は無いか又は単毛。茎は直立又は斜上、1本又は分枝し、葉があり、まれに葉がない。根生葉は柄があり、ロゼット状又はロゼット状にならず、単葉、全縁~歯状~頭大羽状中裂(lyrate-pinnatifid)~羽状全裂(pinnatisect)。茎葉は有柄又は無柄、基部は楔形~漸尖~耳形~矢尻形~抱茎状、縁は全縁~歯状~分裂。総状花序は苞が無く、果時に長くなる。果柄は斜上し、開出又は後屈;。萼片は卵形~長楕円形、斜上、まれに広がり、側方の一対の基部は袋状になるか又はならない。花弁は黄色、まれに白色又はピンク色、倒卵形~へら形~まれに倒披針形、先は鈍形又は凹形、爪部(claw)は明瞭、ほぼ等形、萼片より長い。雄しべ6個、4長雄しべ(tetradynamous)。葯は卵形又は長楕円形、先は鈍形。蜜腺は4個(4nectary type)、中央蜜腺(median nectary)と側蜜腺(lateral nectary)、まれに2個(2nectary type)、側蜜腺だけ。胚珠は子房に4~50個。果実は裂開する角果(silique)、線形まれに長楕円形、円柱形、4角(かど)があり又は広い隔壁があり、無柄又は短柄、部分に分かれる。バルブ(室)のセグメントは裂開し、4~46個の種子が入り、末端のセグメントより長く、平滑又はときどき膨れ、数珠状(torulose)、バルブは目立つ中脈と不明瞭な側脈を持つ。末端のセグメントは種子が無く又は1(~3)個の種子がある。レプルム(replum:果実のバルブを分ける薄い隔壁)は丸い。隔壁は完全、半透明又は不透明、脈が無く又は明瞭な中脈がある。花柱は不明瞭又は明瞭。柱頭は頭状、全縁又は2裂。種子は1列まれに2列、翼は無く、球形まれに長楕円形、太く又はまれにわずかに扁平。種皮は網状、湿ったときにねばねばするか又はしない。子葉は2つ折り。
 世界に約40種あり、主に地中海地域に分布し、特にヨーロッパ南西部、アフリカ北西部に多い。

アブラナ属の主な種

1 Brassica juncea (L.) Czern. カラシナ 芥子菜

  synonym Brassica juncea (L.) Czern. var. cernua Jorb. et Hem.

  synonym Brassica cernua (Thunb.) Matsum.
  synonym Brassica juncea (L.) Czern. Cernua Group)
 中央アジア原産。中国名は芥菜 jie cai。英名はChinese mustard , brown mustard , Indian mustard , leaf mustard , mustard-greens。別名はセイヨウカラシナ。世界中で栽培され、畑、荒れ地、道端に生える。
 1年草、高さ(20~)30~100(~180)cm、毛があるか、あるいはまれに無毛、粉白を帯びまたは帯びない。ときに、多肉質の直根を持つ。茎は直立し、上部で分枝する。根生葉と最下部の茎葉は長い葉柄がある。葉柄は長さ(1~)2~8(~15)㎝。葉身は卵形、長円形、または披針形、長さ(4~)6~30(~80)㎝×幅1.5~15(~28)㎝、頭大羽状中裂または羽状全裂、頂裂片は卵形、わずかに波状(repand)、歯状または欠刻状、側裂片は中脈の両側に1~3個あり、頂裂片よりもはるかに小さく、縮れ欠刻状、歯状、波状、または全縁。 上部の茎葉は、葉柄があるかまたはほぼ無柄、倒披針形、長円形、披針形、または線形で、長さ10㎝×幅5㎝まで、基部は楔形~漸尖形、縁は全縁または波状(repand)、まれに歯状になる。果時の小花柄は真っ直ぐ、散開し、長さ(0.5~)0.8~1.5(~2)㎝。萼片は長円形、長さ(3.5~)4~6(~7)mm×幅1~1.7㎜、広がる。花弁は黄色、長さ(6.5~)8~11(~13)㎜×幅5~7.5㎜、卵形または倒卵形、先は円形または凹形、爪部は長さ3~6㎜。花糸は長さ4~7㎜。葯は長円形、長さ1.5~2㎜。果実は線形、長さ(2~)3~5(~6)㎝×幅3~4(~5)㎜、円柱形またはわずかに4稜形、無柄、散開または斜上する。バルブ片は長さ(1.5-)2-4.5㎝、小室あたり種子が6~15(~20)個、バルブに明瞭な中脈があり、わずかに数珠状(torulose)。末端のバルブ片は円錐形、長さ(4~)5~10(~15)㎜で種子が無い。花柱はしばしば廃れる。種子は暗褐色~淡褐色または灰色、直径1~1.7㎜の球形、微細な網状になる。花期は3~6月。果期は4~7月。2n=36(4x)。
1-1 Brassica juncea subsp. juncea カラシナ 芥子菜 狭義
 英名はoil-seed mustard。brown mustard", Indian mustard , oilseed mustard。

1-2 Brassica juncea (L.) Czern. var. integrifolia (West.) Sinsk. タカナ 高菜

 中国、中央アジア原産。英名はJapanese giant red mustard。平安には既に日本に伝来していた。日本での本格的な栽培は明治時代以降。
 2年草。葉が大きく、長さ20~60㎝ほどになる。多肉性のタカナ類品種もある。
品種) 赤大葉高菜、阿蘇高菜、石川高菜、雲仙こぶ高菜、大葉高菜、久住高菜、結球タカナ、島菜、長崎高菜、博多かつお菜、芭蕉菜、広島紫高菜、三池高菜、紫高菜、柳河高菜、山形青菜(セイサイ)

1-3 Brassica juncea (L.) Czern. var. multiceps M.Tsen et S.H.Lee セツリコ 雪裡紅

 秋の終わりから冬の初めに出る中国野菜。中国名は雪里蕻 xue li hong。英名はsnow mustard。別名はシュエリーホン(雪里红 xue li hong)。
 1年草または2年草。萼片は長円状楕円形、直立し、花弁は明るい黄色、倒卵形。葉は広卵形または倒卵形、縁は重鋸歯または刻み込みがある。茎は小さく、直立し、多数分枝する。果実は長角果、線形、がある。果実の花弁の中肋が突き出る。花期は3~5月。果期は5~6月。耐寒性があり、中国北部では秋~冬に葉が赤くなることから雪里红と呼ばれる。

1-4 Brassica juncea (L.) Czern. var. multisecta L.H.Bailey ニンスーカ

 上海、広東省(広州)で栽培されている。中国名は多裂叶芥 duo lie ye jie。野菜炒めにされる。別名はセンスジハガラシ、銀糸芥。外観は京菜に似る。
 金丝芥(ゴールデンガラシ)は根が浅く、ひげ根が強くよく発達し、栄養生長期に茎が短く、その短い茎の上に根生葉が群生し、絶えず新芽を発芽させ、茎を拡大していく。大きくなると重量は3~5kgに達する。葉は長円形、緑色、長くて細い葉柄があり、ほぼ円形に浅い溝があり、白色に薄緑色、柔らかくて脆い。複総状花序、花は放射相称、花弁は4枚、十字に並び、黄色。果実は長角果、多数の種子が入る。種子はほぼ円形で赤褐色、1,000粒の重さは約1.6g、発芽は5年維持できる。
品種) 金丝芥

1-5 Brassica juncea (L.) Czern. var. napiformis (Pailleux et Bois) Kitam. ネカラシナ 根芥子菜

  synonym Brassica juncea (L.) Czern. var. megarrhiza M.Tsen et S.H.Lee

 野菜や飼料として栽培される。中国名は芥菜疙瘩 jie cai ge da。中国全土で栽培される。
 2年草。直根は多肉質、かぶら形(napiform)~円錐形~長円形、または倒卵形、直径7~10㎝。根生葉は細く、肉質でない葉柄を持ち、中脈は平らではなく、葉身は長さ5~30㎝、縁は不規則な歯状または羽状全裂し、裂片は縮れ、切り込まれる。花期は4~5月。果期は5~6月。2n=36。

1-6 Brassica juncea (L.) Czern. var. rugosa (Roxb.) Kitam. ダイシンサイ 大心菜

 中国名は大芥菜 dai gai choy 。英名はIndian Mustard , Amsoi Red , head mustard , Swatow mustard , heart mustard。別名はタイシンツァイ、ターシンツァイ、イウツァイ、イウツァイシン、ツァイタイ、タニクタカナ。
 1年草、高さ0.6m、幅0.4mまで。雌雄同株。花期は6~8月。果期は8~9月。
品種) Red Giant

1-7 Brassica juncea (L.) Czern. var. sabellica (Plenck) Kitam. チリメンカラシ 縮緬芥子

  synonym Brassica juncea subsp. integrifolia var. crispifolia.

 英名はcurled-leaf mustard。
 葉がちりめん状に縮れた丸葉。

1-8 Brassica juncea (L.) Czern. var. tumida M.Tsen et S.H.Lee ザーサイ 搾菜

  synonym Brassica juncea var. bulbifera Mas.
 野菜として栽培されている。中国名は榨菜 zha cai。主に四川省と雲南省で栽培される。
 1年草。直根は細く、円筒形。根生葉は肉厚で膨らんだ葉柄を持ち、中脈は強く平らになり、葉身は40~80㎝、縁はほぼ全縁、縁が波形または不明瞭な歯がある。花期は4~6月。果期は6~7月。2n=36。

2 Brassica napus L. セイヨウアブラナ 西洋油菜
 ヨーロッパ原産。中国名は欧洲油菜 ou zhou you cai。英名はrape , rapeseed。別名はアブラナ、ナノハナ、ナタネ。明治初期に菜種油を採るためにヨーロッパから輸入された。1965年頃までは作付け面積も多く、よく畑で見られた。現在はあまり栽培されていないが、逸出したものが土手などで野生化している。野菜用の品種もつくられており、畑に植えられているのを花で見分けるのは難しい。在来のアブラナと区別せずにアブラナと呼ばれることがある。道端、草地、土手に生える。
 1年草または2年草、高さ30~150㎝、無毛または基部にまばらに粗毛があり、しばしば粉白色、肉質の直根は有または無。茎や葉がキャベツのように白い蝋質を被るので粉白色を帯びる。茎は直立し、上部で分枝する。根生葉と最下部の茎葉は長い葉柄があり、葉柄は長さ15㎝まで。葉身は質が厚く、卵形、長円形、または披針形、長さ5~25(~40)㎝×幅2~7(~10)㎝、羽状分裂または頭大羽状分裂、ときに不分裂。頂裂片は卵形、歯状、波状(repand)、または全縁。側裂片は中脈の両側に1~6個あり、頂裂片よりもはるかに小さく、全縁、波状(repand)または歯があり、ときに欠く。上部の茎葉は無柄、披針形、卵形、または長円形で、長さ8㎝×幅3.5㎝まで、基部は抱茎、耳があり、縁は全縁または波状。 果時の小花柄は真っ直ぐ、散開し、長さ(1~)1.2~2.3(~3)cm。萼片は長円形、長さ(5~)6~10㎜×幅1.5~2.5㎜、斜上またはまれにほぼ直立し、あまり開出しない。。花弁は明るい黄色または淡黄色、長さ(0.9~)1~1.6(~1.8)cm×幅(5~)6~9(~10)㎜、広倒卵形、先は円形、爪部は長さ5~9mm。花糸は長さ(5~)7~10㎜。葯は長円形、長さ1.5~2.5mm。果実は線形、長さ(3.5~)5~9.5(~11)㎝×幅(2.5~)3.5~5㎜、円柱形またはわずかに4角(かど)があり、無柄、散開または斜上する。バルブ片は長さ(3~)4~8.5(~9.5)㎝、室あたり種子が12~20(~30)個、バルブに明瞭な中脈があり、わずかに数珠状(torulose)または平滑。バルブ頂片は円錐形、長さ(0.5~)0.9~1.6㎝、種子は無いかまたは1個。花柱はしばしば廃れる。種子は暗褐色または帯黒色、球形、直径(1.2~)1.5~2.5(~3)㎜、微細な網目がある。花期は3~6月。果期は4~7月。2n=38。アブラナとキャベツの雑種起源とされ、複2倍体。

2-1 Brassica napus L. var. napobrassica (L.) Rchb. スウェーデンカブ

  synonym Brassica napus L. subsp. napobrassica (L.) Jafri
  synonym Brassica napobrassica (L.) Mill.
 主に北欧やロシアなどで栽培されていたが、最近では葉菜や根菜として導入され栽培されている。中国名は蔓菁甘蓝 man jing gan lan。別名はカブハボタン、スウィード、ルタバガ。
 2年草。根は多肉質で、かぶら形(napiform)。カブの色は葉柄の付け根からカブの上部が紫色、すぐ下が黄緑色、その下は黄色となる。全体に白色の品種もある。2n=38。

3 Brassica nigra (L.) W.D.J.Koch クロガラシ 黒辛子
  synonym Rhamphospermum nigrum (L.) Al-Shehbaz [Kewscience]
 中国(甘粛省、江蘇省、青海省、新疆ウイグル自治区、西蔵省)、アフガニスタン、インド、カシミール、カザフスタン、ネパール、パキスタン、ロシア、シッキム、ベトナム、北アフリカ、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は黑芥 hei jie。標高900~2800mの斜面、草原、畑の縁に生える。
 1年草、高さ0.3~2(~3.1)m、少なくとも基部にはまばらに毛がある。茎は直立し、上部で分枝する。根生葉および最下部の茎葉は長さ10㎝までの葉柄を持ち、葉身は卵形、長円形、または披針形、長さ6~30㎝×幅1~10㎝、頭大羽状中裂または羽状全裂、頂裂片は卵形、歯がある。側裂片は中脈の両側に1~3個あり、頂裂片よりもはるかに小さく、歯がある。上部の茎葉は葉柄があり、披針形または線状長円形、長さ5㎝×幅1.5㎝まで、基部は楔形、縁は全縁または、まれに歯がある。果時の小花柄は真っすぐで、細く、直立または斜上し、花序軸にほぼ伏せ、長さ(2~)3~5(~6)㎜。萼片は長円形、長さ4~6(~7)㎝×幅1~1.5㎜、広がるかまたは斜上する。花弁は黄色、長さ(5~)7.5~11(~13)㎜×幅(2.5~)3~4.5(~5.5)㎜、卵形、先は円形、爪部は長さ3~6㎜。花糸は長さ3.5~5㎜。葯は長円形、長さ1~1.5㎜。果実は線形または狭長円形、長さ(0.5~)1~2.5(~2.7)㎝×幅(1.5~)2~3(~4)㎜、4角(かど)があり、無柄、花序軸にほぼ密着する。バルブ片は長さ(0.4~)0.8~2(~2.5)㎝、小室あたり種子が2~5(~8)個、バルブに明瞭な中脈があり、わずかに数珠状、先端部分は花柱状、ときに狭い円錐形、長さ(1~)2~5(~6)㎜、種子はない。種子は暗褐色、灰色、または帯黒色、直径1.2~2㎜の球形、微細な網目がある。花期と果期は4~7月。2n=16(2x)。

4 Brassica oleracea L. カンラン 甘藍(広義)
 フランス、イギリス、スペイン原産。中国名は野甘蓝 ye gan lan。英名はwild cabbage。別名はヤセイカンラン(野生甘藍)。世界中で栽培されている。
 2年草または多年草、まれに1年草、高さ(0.3~)0.6~1.5(~3)m、無毛、粉白を帯びる。茎は直立または傾伏し、中間以上で分枝し、ときに基部が肉室になる。根生葉および最下部の茎葉は長い葉柄があり、ときに強く重なり合って頭(head)を形成する。葉柄は長さ30㎝まで。葉身は卵形、長円形、または披針形で、長さ40㎝×幅15㎝まで、縁は全縁、波状(repand)または歯状、ときに、羽状中裂または羽状全裂し、大きな頂裂片とそれより小さい1~13個の長円形~卵形の側裂片が中脈の両側にある。上部の茎葉は無柄、一部の栽培種ではほぼ無柄、倒披針形、卵形、または長楕形で、長さ10㎝×幅4㎝まで、基部は抱口、耳があり、または稀に楔形で、縁は全縁、波状(repand)またはまれに歯状。総状花序はときに肉質で頭部に凝集する。果時の小花柄は通常真っ直ぐ、斜上または散開し、長さ(0.8~)1.4~2.5(~4)㎝。萼片は長円形、長さ0.8~1.5㎝×幅1.5~2.7㎜、直立する。花弁はクリーム黄色、またはまれに白色、長さ(1.5~)1.8~2.5(~3)㎝×幅(0.6~)0.8~1.2㎝、卵形または楕円形、先は円形、爪部は長さ0.7~1.5cm。花糸は長さ0.8~1.2㎝。葯は長円形、長さ2.5~4㎜。果実は線形、長さ(2.5~)4~8(~10)㎝×幅(2.5~)3~4(~5)㎜、円柱形、無柄または長さ3㎜までの子房柄(gynophore)の上につき、、散開または斜上する。バルブ片は長さ(2~)3~7.5(~9)㎝、小室ごとに種子が10~20個あり、バルブは明瞭な中脈を持ち、先端部分は円錐形、長さ(3~)4~10㎜、種子はないかまたは1(~2) 個ある。花柱は廃れる。種子は暗褐色または帯黒色の球形、直径1.5~2.5mm、微細な網目がある。花期は3~6月。果期は4~7月。2n=18。

4-1 Brassica oleracea L. var. acephala DC. ケール

  synonym Brassica oleracea L. Acephala Group

  synonym Brassica oleracea L. var. fimbriata Mill. ハゴロモカンラン

 広く栽培されている。中国名は羽衣甘蓝 yu yi gan lan。和名はリョクヨウカンラン(緑葉甘藍)やハゴロモカンラン(羽衣甘藍)。
 茎の基部は非常に短く、肉質ではなく、短い円筒形。基部および下部の茎葉は、黄色、ピンク色、紫色、または赤色、まれに緑色で、多数が重なり、緩い頭部を形成する。腋生の葉芽が結球しない。花序は肉質ではなく、頭部に凝縮しない。花は黄色。2n=18。

4-2 Brassica oleracea L. var. acephala DC. f. tricolor Hort. ハボタン 葉牡丹

  synonym Brassica oleracea L. var. tricolor Hort
 中国名は叶牡丹 ye mu dan。英名はornamental cabbage , ornamental kale , flowering kale , Japanese kale。別名はハナキャベツ
 ケールBrassica oleracea L. var. acephala の観賞用の品種。Acephala Group (Garden cultivars)に分類されている。冬期(11~2月)に葉を観賞する。暖房した室内では鮮やかな色になりにくい。日本で作り出され、現在では世界中で栽培されている。中国名はケールと同じ羽衣甘蓝といい、叶牡丹ともいわれる。2年生草本。葉は形態が美しく変化し、色彩も花のように美しい。中心の葉色も豊富で牡丹の花のような形になる。葉は根生し、幼苗はキャベツに似ているが、成長しても球にならない。葉は大きく、厚い。総状花序は頂生し、高く1.2mまで伸びる。花は淡黄色、虫媒花。花期4月。果実は角果。
4-3 Brassica oleracea L var. alboglabra  カイラン
  synonym Brassica oleracea L. Alboglabra Group
 栽培種。中国名は白花甘蓝 bai hua gan lan。野菜として栽培されている。
 茎の基部は強く伸び、肉質ではなく、狭い円筒形。根生葉と下部の茎葉は緑色で、間隔が広く、頭状にまとまらない。腋生の葉芽が結球しない。花序は緩く、肉質ではない。花は白色またはまれにクリーム白色。2n=18。
4-4 Brassica oleracea L. var. botrytis L. カリフラワー
  synonym Brassica oleracea L. Botrytis Group
 栽培種。中国名は花椰菜 hua ye cai。
 茎の基部は細長く、肉質ではなく、円筒形。根生葉と下部の茎葉は緑色で、少数~数枚つき、間隔が広く、頭状にまとまらない。腋生の葉芽が結球しない。 花序は白色、小型で、しばしば球形になり、肉質の花序柄、花序軸、小花柄、花がつく。花は黄色。2n=18。
4-5 Brassica oleracea L. var. capitata L. キャベツ
  synonym Brassica oleracea L. Capitata Group
 栽培種。中国名は甘蓝 gan lan。野菜として世界中で栽培されている。
 茎の基部は非常に短く、肉質ではなく、円錐形。根生葉および下部の茎葉は緑色で多数つき、強く重なり合って、コンパクト、球形、長円形、またはまれにほぼ円錐形になり、閉じ、頂端が丸いまたは平らな頭状(heads)になる。腋生の葉芽は結球しない。花序は肉質ではなく、頭部に凝縮しない。花は黄色。2n=18。

4-6 Brassica oleracea L. var. gemmifera (DC.) Zenk. メキャベツ

 栽培種。中国名は抱子甘蓝 bao zi gan lan。野菜として栽培される。
 茎の基部は強く伸び、肉質ではなく、円筒形。根生葉と下部の茎葉は緑色で、少数~数枚つき、間隔が広く、頭状に重なり合わない。腋生の葉芽は多数、小さなほぼ球形または倒卵形の頭状になる。花序は肉質ではなく、頭部に凝縮しない。花は黄色。2n=18。
4-7 Brassica oleracea L. var. gonygylodes L. コールラビ
  synonym Brassica caulorapa Pasq.
  synonym Brassica oleracea L. Gongylodes Group
 栽培種。中国名は擘蓝 pie lan。茎の基部が多肉質な野菜。中国で広く栽培されている。
 茎の基部は非常に短く、肉質で球形になる。根生葉と下部の茎葉は緑色で、多数つき、頭状に重ならない。腋生の葉芽が結球しない。花序は肉質ではなく、頭部に凝縮しない。花は黄色。2n=18。
4-8 Brassica oleracea L. var. italica Plenck ブロッコリー
  synonym Brassica oleracea L. Italica Group
 栽培種。中国名は绿花菜 lu hua cai。野菜として広く栽培されている。
 茎の基部は細長く、肉質ではなく、円筒形。根生葉と下部の茎葉は緑色で、少数~数枚つき、間隔が広く、頭状にまとまらない。腋生の葉芽が結球しない。花序は緑色で、やや緩く、通常は倒円錐形で、肉質の花序柄、花序軸、小花柄、花がつく。花は黄色。2n=18。

5 Brassica rapa L. カブ 蕪 広義
 ヨーロッパ(イタリア、ギリシャ、クリチ、ブルガリア、アルバニア、北コーカサス[ロシア、ジョージア、アゼルバイジャン、アルメニア], トランスコーカス[アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア]、旧ユーゴスラビア[スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、北マケドニア])、中東・西アジア(パレスチナ、サウジアラビア、トルコ 、オマーン、イラン、イラク、レバノン-シリア)、北アフリカ(アルジェリア、チュニジア、モロッコ、リビア、エチオピア、エリトリア)原産。世界中で広く栽培される。中国名は蔓菁 man jing。英名はturnip , Italian kale , rapini , seven-top turnip。別名はカブラ、カブナ、カブラナ、スズナ(鈴菜、菘)、ホウサイ(豊菜)、ダイトウナ(大頭菜)。
 1年草又は2年草、高さ30~120(~190)㎝、無毛又は基部にまばらに毛があり、まれに粉白色を帯び、ときに肉質の直根をもつ。茎は直立、単純又は上部で分枝する。根生葉と最下部の茎葉は葉柄があり、ロゼットにはならず、又は不明瞭~強くロゼットになり、小型の長円形の頭(head)を作る。葉柄は長さ(1~)2~10(~17)㎝、細く又は太くて肉質、ときに強い翼がある。葉身は外形が長円形又は披針形、長さ(5~)10~40(~60)㎝×幅3~10(~20)㎝、縁は全縁、さざ波状の縁(repand)、歯状、又は深波状(sinuate)、ときに羽状中裂又は羽状全裂で頂裂が大きく、小さい長円形~卵形の側裂片が1~6対ある。上部の茎葉は無柄、卵形、長円形、又は披針形、長さ2~8(~12)cm×幅0.8~3㎝、基部は茎を抱いて深く心形又は耳状になり、縁は全縁又はさざ波状縁。果時の花柄は真っすぐ、直立又は散開し、長さ(0.5~)1~2.5(~3)㎝。萼片は長円形、長さ(3~)4~6.5(~8)mm×幅1.5~2mm、斜上する。花弁は鮮やかな黄色、まれに、淡黄色~白黄色、長さ7~10(~13)mm×幅(2.5~)3~6(~7)mm、倒卵形、先は円形。花糸は長さ4~6(~7)mm。葯は長円形、長さ1.5~2㎜。果実は線形、長さ(2~)3~8(~11)㎝×幅2~4(~5)㎜、円柱形、無柄、散開又は斜上する。バルブ片は長さ(1.3~)2~5(~7.5)㎝、各室に種子が8~15個、バルブには目立つ中脈がある。頂部のバルブ片は円錐形、長さ(0.3~)1~2.5(~3.5)㎝、種子が無く又はまれに1種子をもつ。花柱は廃れる。種子は暗褐色~赤褐色、球形、直径1~1.8mm、微細な網目がある。花期は3~6月。果期は4~7月。2n=20。
5-1 Brassica rapa L. var. rapa カブ 蕪

  synonym Brassica campestris L. subsp. rapa (L.) Hook.f. et Anders

  synonym Brassica rapa L. var. glabra (Sinsk.) Kitam.
  synonym synonym Brassica rapa L. subsp. rapa
  synonym Brassica rapa L. Rapifera Group
 栽培種。中国名は蔓菁 man jing。英名はrapeseed , canola , turnip。油料作物や野菜として栽培されている。
 2年生草本,高さ約100㎝、根は肉質、かぶら形(napiform)[球形、扁球形または長円形]、外皮は白色、黄色または赤色、果肉は肉質、白色~黄色、辛味は無い。茎は直立し、枝分かれし、下部にわずかに毛があり、上部は無毛。根生葉は10枚以下、ロゼットにならずまたは不明瞭なロゼットになり、長さ20~34㎝、頭大羽状中裂又は頭大羽状複葉、頂裂片又は頂小葉は大きく、縁は波状または浅裂し、側裂片又は側小葉は約5対あり、徐々に下部では小さくなり、上面には剛毛が散在し、下面に白色の鋭い剛毛がある。葉柄は細く、翼がなく、肉質でなく、長さ10~16㎝、小裂片をもつ。中部と上部の茎葉は長円状披針形、長さ3~12㎝、無毛、粉白を帯び、基部は広心形で半苞茎、無柄。 総状花序は頂生。花は直径は4~5mm。花柄は長さ10~15mm。咢片は長円形、長さ4~6㎜。花弁は鮮黄色、倒披針形、長さ4~8mm、短い爪部がある。 長角果は線形、長さ3.5~8㎝、バルブに目立つ中脈がある。嘴は長さ10~20㎜。果柄は長さ3㎝以下。種子は球形、直径約1.8mm、薄黄褐色、へそ近くは黒色、細かい網状の窪んだ穴がある。花期は3~4(5)月。果期は5~6(7)月。2n=20(x=10)。 品種) 'Alderton' , 'Amber Globe' , 'Amelie' , 'Andy' , 'Aramis' , 'Atlantic' , 'Boule d'Or' , 'Centoventina' , 'Early Fall' , 'Early Flat White' , 'Falco' , 'Falko' , 'Gilfeather' , 'Gold Ball' , 'Golden Ball' , 'Golden Globe' , 'Green Top Stone' , 'Ideal Purple Top Milan' , 'Improved Purple Top' , 'Ivory' , 'Manchester Market' , 'Market Express' , 'Milan Red' , 'Milan White Forcing' , 'Nabo Roxo Comprido' , 'Namenia' , 'Navet des Vertus Marteau' , 'Niseko' , 'Novantina' , 'Oasis' , 'Oregon' , 'Petrowski' , 'Plessis' , 'Polar' , 'Primera' , 'Purple Top' , 'Purple Top Milan' , 'Purple Top White Globe' , 'Quarantina' , 'Red Round' , 'Round Red' , 'Royal Crown , 'Rubin' , 'Salad Delight' , 'Salad Red' , 'Salad White' , 'Scarlet Queen Red Stem' , 'Sessantina Grossa' , 'Seven Top' , 'Shogoin' , 'Snowball' , 'Snowball Early White Stone' , 'Sorrento' , 'Sweetbell' , 'Tiny Pal' , 'Tokyo Cross' , 'Tokyo Top' , 'Toscana' , 'Trasimeno' , 'White Egg' , 'White Lady' , 'Zamboni' , あかくら蕪 , あずま金町かぶ , あやめ雪 , うぐいす菜 , ゴルゴ , サフランイエロー , サラダ・ラティーナ , すぐき菜(京都府) , すみれかぶ , スワン , ソーレ , デトロイト・ダークレッド , なつばな , のぞみかぶ , はくれい , ミニかぶ , みふね , もものすけ , ルダバガ・グレナ , ルナ , 愛真紅3号 , 越の雪 , 黄かぶ(ヨーロッパ) , 温海(あつみ)かぶ(山形県新庄地方の紅カブ) , 加賀青かぶ(石川県) , 寄居かぶ(新潟県寄居町) , 岐阜紅かぶ , 京千舞(きょうせんまい) , 金町小蕪(かなまちこかぶ) , 戸矢かぶ(佐賀県) , 時無小蕪(ときなしこかぶ) , 小粋菜(こいきな) , 新津田かぶ(島根県) , 聖護院かぶら(京都府) , 聖護院かぶ京の雪 , 赤蕪 , 雪の華 , 雪姫かぶ , 早生大蕪(わせおおかぶ) , 耐病ひかり , 大野紅丸かぶ , 津田かぶ(出雲) , 天かぶ , 天王寺かぶ 城の雪 , 桃寿(とうじゅ) , 特選黄金カブ・ゴールド , 日野菜(滋賀県) , 日野菜蕪(ひのなかぶ)(滋賀県) , 萩ころげかぶ(山口県) , 博多据りかぶ , 白馬 , 白露 , 飛騨紅かぶ(岐阜県高山市) , 飛鳥あかね=片平あかね(奈良県) , 百万石青首蕪 , 富山かぶ , 福小町(ふくこまち) , 北之庄菜(滋賀県近江八幡) , 本紅赤丸蕪(ほんべにあかまるかぶ)ぶ , 万木(ゆるぎ)(滋賀県) , 味こがね , 木曽紫かぶ , 木曽赤かぶ(長野県) , 矢島かぶ(滋賀県) , CRあじ紅 , CRおおとろ蕪 , CRもちばな

5-1-1 Brassica rapa L. var. akana (Makino) Kitam. ヒノナ 日野菜

  synonym Brassica campestris L. subsp. rapa (L.) Hook.f. et Anders. var. akana Makino

 滋賀県蒲生郡日野町鎌掛が原産の伝統野菜。滋賀県発祥の野菜で全国に広まり、現在では九州~信越の幅広い地域で栽培されている。漬物として食され、日野菜を使った日野菜漬けが滋賀県名物となっている。
5-2 Brassica rapa L. var. chinensis (L.) Kitam. タイサイ 体菜
  synonym Brassica chinensis L
  synonym Brassica campestris L. var. chinensis (L.) Ito

  synonym Brassica campestris L. var. amplexicaulis (Tanaka et Ono) Makino

  synonym Brassica rapa L. Chinensis Group
 栽培種。中国名は青菜 qing cai。別名はチンゲンサイ bok choy。中国では主に油糧種子植物として栽培されており、野菜としてはあまり栽培されていない。Brassica chinensis var. oleifera Makino & Nemotoとして知られているが、疑わしい。英名はChinese mustard , pakchoi。
 1年草、またはまれに2年草。直根は多肉質ではなく、円筒形。根生葉は通常20枚以上つき、強くロゼット状になる。コンパクトな結球を形らない。葉柄は多肉質または肥厚し、断面は半円柱形または横長の長円形で、翼はない。葉身は全縁、または波状(repand)。花期は4~5月。果期は5~6月。2n=20。 品種) チンゲンサイ(青梗菜(qīng gěng cài) , 長岡菜 , 体菜(たいな) , 雪白体菜(せっぱくたいさい) , 山東菜

5-2-1 Brassica rapa subsp. chinensis var. parachinensis (L. H. Bailey) Hanelt サイシン 菜心

  synonym Brassica rapa L. var. utilis

  synonym Brassica rapa var. parachinensis (L.H.Bailey) Hanelt

 栽培種。中国名は菜心 cai xin、菜苔 cai tai。英名はChinese flowering cabbage。中国野菜として知られ、若い葉茎や花芽が食用とされる。茎が赤い品種が紅菜苔。
品種) コウサイタイ(紅菜苔)=ベニナバナ
5-3 Brassica rapa L. var. dichotoma Kitam. アキザキナタネ
 ヒマラヤ、東南アジアで栽培されている。葉を野菜に、種子を油料にする。
5-4 Brassica rapa var. glabra ハクサイ 白菜
  synonym Brassica rapa subsp. pekinensis (Lour.) Hanelt
  synonym Brassica rapa L. var. glabra Regel 'Pe-tsai'
  synonym Brassica rapa L. var. pekinensis (Lour.) Kitam.
  synonym Brassica pekinensis (Lour.) Rupr.

  synonym Brassica rapa L. var. amplexicaulis Tanaka et Ono subvar. pe-tsai (L.H.Bailey) Kitam.

  synonym Brassica rapa L. Pekinensis Group
 栽培種。中国名は白菜 bai cai。古くから重要な野菜として栽培されてきた。英名はChinese cabbage , petsai。
 1年草または2年草。直根は多肉質ではなく、円筒形。根生葉は通常 20 枚以上で、強くロゼットになり、長円形またはほぼ倒卵形、コンパクトな頭部を形成する。葉柄は強く扁平で、翼は欠刻状または歯状になる。葉身は歯状。花期は3~6月。果期は6~7月。2n=20。
品種) ヒロシマナ(非結球)、白茎菜(非結球)、たばね白菜(非結球)、台湾小白菜(非結球)、ふくたち(秋田県)、ナガサキハクサイ(半結球)、花芯(半結球)、プチヒリ(タケノコ形)、タケノコハクサイ(紹菜)、 'Dentata'サントウサイ(山東菜)
5-5 Brassica rapa L. var. hakabura Kitam. ノザワナ 野沢菜
 野沢温泉村が原産。漬物にされる。別名は信州菜(シンシュウナ)。
品種) 鳴沢菜

5-6 Brassica rapa L. var. narinosa (L.H.Bailey) Kitam.=var. rosularis タアサイ 塌菜

  synonym Brassica rapa L. Narinosa Group
 栽培種。中国名は塌棵菜 take cai。英名はTatsoi , Spinach mustard , Spoon mustard , Chinese flat cabbage , Rosette pakchoi , Tacai。別名はターサイ、キサラギナ 如月菜、瓢児菜。代表的な中国の冬野菜。旬が2月ごろで、霜が降りる頃に甘味を増して収穫されることから、日本では和名でキサラギナとも呼ばれる。
 2年草。 根生葉は密なロゼットになり、丸い卵形または倒卵形、厚く縮れ、縁は全縁またはまばらな鋸歯があり、濃緑色、上部の葉はほぼ円形または円状卵形、基部は抱茎。 花は淡黄色。 長角果は円筒形で、嘴がある。
5-6-1 Brassica rapa subsp. narinosa (L.H.Bailey) Hanelt ヒサゴナ 瓢児菜
  synonym Brassica narinosa L.H.Bailey
5-7 Brassica rapa L. var. neosuguki Kitam. スグキナ 酸茎菜
 京都の伝統野菜。上賀茂(かみがも)を中心として栽培される。秋遅くに収穫される漬物用の晩生型のカブ。
 2年草。葉に比べ根の部分が小さい。根は倒円錐形、長さ17~20㎝。葉は大きくビワ葉形とキク葉形がある。8月下旬~9月上旬に播種し、11月~12月に収穫される。繊維が硬いため漬物にされ、根と葉が酸茎(すぐき)漬けになる。

5-8 Brassica rapa L. var. nipposinica (L.H.Bailey) Kitam. ミズナ 水菜

  synonym Brassica rapa var. oblonga (Mill.) Tacik

  synonym Brassica rapa subsp. japonica (Thunb.) Shebalina

  synonym Brassica japonica (Thunb.) Siebold

  synonym Brassica rapa L. Japonica Group
  synonym Brassica rapa L. var. laciniifolia (L.H.Bailey) Kitam.
 京都原産の野菜。別名はキョウナ、ヒイラギナ(柊菜)、センスジナ(千筋菜)。漬物やおひたし、鍋料理などに利用される葉菜。

5-9 Brassica rapa L. var. oleifera DC. アブラナ 油菜

  synonym Brassica campestris L. var. nippoleifera Makino
  synonym Brassica rapa L. var. campestris (L.) Clapham
  synonym Brassica campestris L.

  synonym Brassica rapa L. var. chinoleifera (Vieh.) Kitam. ウンダイアブラナ[The Plant List]

  synonym Brassica rapa L. var. nippoleifera (Makino) Kitam.
  synonym Brassica campestris L. var. chinoleifera Vieh.
  synonym Brassica rapa L. Oleifera Group
 栽培種。中国名は芸苔 yun tai。英名はturnip , field mustard。別名はニホンアブラナ、ナノハナ、ナタネ。広く栽培されている。  1年草、まれに2年草、高さ80~150㎝。直根は多肉質ではなく、円筒形。根生はまれに10枚まで、ロゼットにはならず、または不明瞭なロゼットになる。葉柄は細く、肉質でなく、翼も無い。葉は互生し、柔らかくてしわがあり、淡緑色、ほぼ全縁、波状に分裂し、羽状中裂、または欠刻状に分裂して不規則な鋸歯がある。葉の基部は茎を抱く。萼片が花時に開出する。種子の色は黄褐色。雑種ができやすく分類が難しい。花期は3~5月。果期は5~7月。2n=20。
5-10 Brassica rapa L. var. perviridis L.H.Bailey コマツナ 小松菜
  synonym Brassica campestris L. var. komatsuna Matsum. et Nakai 
  synonym Brassica rapa L. Perviridis Group
 関東・東京地方での生産量が多い葉菜。別名はフユナ(冬菜)、ウグイスナ(鶯菜)。

6 Brassica tornefortii Gouan  ハリゲナタネ 針毛菜種⇒キバナスズシロモドキ属(Coincya)

  synonym Coincya tournefortii (Gouan) Alcaraz, T.E.Díaz, Rivas Mart. & Sánchez-Gómez

 2n=20。

参考

1)Flora of China
 Brassica
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=200009273
2)Plants of the World Online | Kew Sciencea
 Brassica
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30043511-2
3)江戸東京野菜通信
 水菜・京菜の原種とみられる潮江菜
http://edoyasai.sakura.ne.jp/sblo_files/edoyasai/image/1-3E6B0B4E88F9CE383BBE4BAACE88F9CE381AEE58E9FE7A8AEE381A8E381BFE38289E3828CE3828BE6BDAEE6B19FE88F9C_E7ABB9E794B0E6A0A1E6ADA316042228tw292018.pdf
4)GRIN
 Genus Brassica L.
http://tn-grin.nat.tn/gringlobal/taxon/taxonomygenus?id=1687
5)農環研報 36,1-45(2016)
 遺伝子組換えセイヨウアブラナの生物多様性影響評価に必要な
 カラシナ(Brassica juncea)、アブラナ(B. rapa)、セイヨウアブラナ(B. napus)の生物情報集
http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/sinfo/publish/bulletin/niaes36-2.pdf
6)京都大学 化学研究所講演集 (1946), 15: 46-47
 瓢児菜の成分に関する研究(抄録)
https://core.ac.uk/reader/39206570