オオアブラススキ 大油薄

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Flora of Mikawa

イネ科 Poaceae オオアブラススキ属

中国名 大油芒 da you mang
学 名 Spodiopogon sibiricus Trin.
オオアブラススキ花序
オオアブラススキ花序枝
オオアブラススキキ小穂2
オオアブラススキの下部の葉基部
オオアブラススキ茎断面
オオアブラススキ Eccoilopus cotulifer
オオアブラススキ葉
オオアブラススキキ小穂
オオアブラススキキ果実
花 期 7~8月
高 さ 70~150(200)㎝
生活型 多年草
生育場所 日当たりのよい山野
分 布 在来種  北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア
撮 影 豊橋市  14.8.24
和名は油質を帯びているアブラススキに似て、大型であることから。アブラススキよりやや小さいものも多い。
 根茎が長く、横に匍匐し、密に鱗片葉をつける。茎は直立、叢生し、直径2~4㎜、無毛。葉は長さ(10)20~40㎝、幅0.8~2㎝、葉表に短毛があり、長い葉柄がない。葉舌は膜質、長さ1~2㎜。葉鞘は無毛。円錐花序は直立し、長さ10~20㎝、紫褐色。花序枝は長さ2~6㎝、斜上して垂れ下がらず、分枝は少なく、節ごとに小枝が2~3本つき、平滑、7~9個の小穂をつける。下部の小穂は雄性。枝先に有梗と無梗の小穂が対となってつき、先端には有梗の小穂が対につく。小梗は長さ2.5~5㎜、長さ1.5~2㎜の毛がある。小穂は長さ4.5~6㎜。苞穎は第1、第2ほぼ同長、長さ1.5~2.5㎜の毛があり、先は2裂しない。護穎は膜質、先が2裂し、裂片の間から太い芒が出る。芒は長さ10~15㎜、捩じれ、途中で屈曲する。果実は長さ2~2.7㎜の長楕円形、紫褐色を帯び、光沢はない。2n=40。
 ミヤマアブラススキ(コアブラススキ)Spodiopogon depauperatus は本州(北部~中部)に分布する日本固有種。オオアブラススキに似ていて全体に小型。根茎は短い。葉は長さ7~20㎝、幅4~15㎜。円錐花序は長さ約10㎝、小穂がまばらにつく。小穂は長さ4~5㎜、毛がまばら。第1苞頴の先が2裂し、第2苞頴の先に短い芒がある。護頴の芒は長さ7~8㎜。
 アブラススキ Spodiopogon cotulifer は葉の基部に長毛が生え、下部の葉には長い柄がある。長さ約30㎝の円錐花序は先が弓状に曲がり、花序の枝は糸状、茎から放射状に出て下垂する。小穂は長さ5~6㎜、基部に短毛がある。苞穎には長毛が散生し、第1、第2ともに先が短芒状になる。護頴の芒は長さ12~18㎜。
 ヒメアブラススキは全体にやや小さく、花序が数回分枝し、小穂が数個、固まって小花序になり、小穂も芒のあるものと無いものがある。

オオアブラススキ属

  family Poaceae - genus Spodiopogon

 多年草。しばしば根茎がある。稈は直立、多数、節があり、単純又は分枝する。葉身は線形~披針形、平ら、ときに狭くなり、偽葉柄となる。葉舌は膜質、しばしば、縁や外面に毛がある。花序は頂生、開いた又は収縮した円錐花序で長い中心の軸をもち、1次の枝はほぼ垂直、典型は毛管状、平滑、1又はそれ以上の総状花序をもつ。総状花序は短く、花軸(rachis)はもろく又は強く、無柄と有柄の小穂を対につける。花軸が丈夫なとき両方に柄があり、両方が稔性、まれに小穂が単生する。花軸の節間と小梗(pedicels)は細く又は上側が太くなり、しばしば先が円蓋状になる。小穂は普通、披針形、かすかに扁平。カルス(Callus:小花の基盤)はほぼ無毛~短剛毛がある(基毛がある) 。苞頴(glume)は同長、硬い紙質、第1苞頴(lower glume)は背が丸く、微軟毛~絨毛があり、密に多数の脈があり、脈は明瞭で、うね状に隆起し、先は鋭形~短芒になる。第2苞頴(upper glume)は普通、第1苞頴に似るが、ときに竜骨がある。下部の小花はしばしば雄性。護穎(lemma)は披針形~卵形。内頴(palea)は普通、ある。上側の護穎は深く2裂し、切れ込みから芒が出る。芒には膝状関節がある(geniculate:屈曲する)。x= 10。
 世界に約15種があり、トルコから東へインド、タイ、日本まで分布する。

オオアブラススキ属の主な種と園芸品種

1 Spodiopogon cotulifer (Thunb.) Hack.  アブラススキ 油薄
  synonym Eccoilopus cotulifer subsp. densiflorus (Ohwi) T.Koyama
  synonym Eccoilopus cotulifer (Thunb.)A.Camus
 日本全土、朝鮮、中国、インド原産。中国名は油芒 you mang。別名はタカサゴアブラススキ、ヤノネアブラススキ。
 小穂は長さ5~6㎜。芒は長さ12~18㎜。
 多年生。高さ90~120㎝。茎は直立し、直径3~8㎜。葉舌は長さ2~3㎜。葉は長さ15~60㎝、幅0.8~2㎝、葉の基部には長毛が生える。下部の葉には長い柄があるのが特徴である。長さ約30㎝の円錐花序は先が弓状に曲がり、花序の枝は糸状、茎から放射状に出て下垂する。小穂は柄が長さ約5㎜の長いもの(長梗)と長さ約3㎜の短いもの(短梗)が対になってつき、長さ5~6㎜、基部に短毛がある。苞穎には長毛が散生し、第1、第2ともに先が短芒状になる。護穎と内穎はともに膜質、護頴に長さ12~18㎜の芒がつく。葯は長さ2.5~3㎜、初めは紫色で、褐色に変わる。果実(頴果)は形がススキに似て、長さ約3㎜と大きく、褐色、表面の細かい縦しわはほとんどない。花期は8~10月。2n=40
1-1 Spodiopogon cotulifer (Thunb.) Hack. var. densiflorus (Ohwi) Ibaragi  ダンチアブラススキ 
 鹿児島県、沖縄、台湾に分布する。
 花序は殆ど点頭せず、小穂は密生する。

2 Spodiopogon depauperatus Hack.  ミヤマアブラススキ 深山油薄
 日本固有種(本州の北部~中部)。オオアブラススキに似ていて全体に小型。根茎は短い。
 多年生。稈は単生。根茎は短く、節があり、鱗片がある。稈は直立、長さ60~80cm、直径1.5~3mm、節が4~6個あり、節間は4~25㎝。根生葉は葉身の発達が悪い。葉は茎葉、葉鞘は表面が無毛。葉舌は縁毛がなく、膜質、長さ0.7~1[1~1.5]mm、外面に毛がある。葉身は披針形、長さ6~20cm×幅7~15mm、無毛、先は尖鋭形移。花序は総状花序、枝先に総状花序がつく。円錐花序は開き、披針形又は長円形、長さ8~12cm×幅1.7~3.5cm。一次の円錐花序の枝は、ほとんどの節で輪生し、長さ3~5cm、総状花序は長さ1~1.5cm、稔性の小穂は少なく、それぞれに2~3個の稔性の小穂がつく。花軸は節でとれやさすく、類円柱形、縁毛はなく、節間は線形、長さ3~8mm。小穂は無柄と有柄が花序内に2~3対双生する。小梗は線形、無毛、または縁毛があり、先端が円形。小穂は2小花からなり、基部の第1小花は不稔、上部の第2小花は稔性、小軸は伸びない。小穂は披針形又は楕円形、背側が扁平、長さ4~5.5㎜×幅1.25~1.7㎜、全体で落ち、基部から落ち又は付属の枝構造をもつ。小穂のカルスは毛があり(基毛)、基部は鈍形。 基毛は小穂の長さの0.2倍。2つの苞頴(glume)は同長、小穂の先を超える。第2小花(稔性)の護穎(lemma)より硬い。第1苞頴は卵形、小穂の長さと同じ、紙質、青白く、竜骨はなく、9~13脈があり、側脈にうねがあり、表面は凸面、直軟毛があり、先は全縁又は2歯があり、鋭形。第2苞頴(upper glume)は卵形、紙質、青白く、竜骨はなく、5~7脈があり、側脈にうねがあり、直軟毛があり、縁毛があり、先は全縁又は短い芒に終わる。下側の不稔の小花は雄性、内頴(palea)をもち、内頴は護穎と同長、護穎は披針形、長さ4mm、小穂の長さと同じ、膜質、3脈があり先は鋭形。稔性の小花の護穎は線形、長さ4mm、透明、先は2裂、裂片は線形、切れ込みは護穎の長さの0.5~0.66倍、切れ込みの間から芒が1本出る。芒は膝状関節があり(屈曲し)、長さ10~12mm[7~8mm]。内頴は披針形、護穎と同長、透明、脈も竜骨もない。鱗皮(lodicule)は2個。葯は3個。花期は7~8月。

3 Spodiopogon formosanus Rendle  タイワンアブラススキ 台湾油薄
 台湾原産。中国名は台湾油芒 tai wan you mang。
 小穂は広披針形、長さ4~5mm。第2小花の護穎の芒は長さ0~5mm

4 Spodiopogon sibiricus Trin.  オオアブラススキ 大油薄
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は大油芒 da you mang
 葉身は無毛又は下面にいぼのある剛毛がある。総状花序は小穂が1~3個。
 多年生。高さ70~150(200)㎝。根茎が長く、横に匍匐し、密に鱗片葉をつける。茎は直立、叢生し、直径2~4㎜、無毛。葉は長さ(10)20~40㎝、幅0.8~2㎝、葉表に短毛があり、長い葉柄がない。葉舌は膜質、長さ1~2㎜。葉鞘は無毛。円錐花序は直立し、長さ10~20㎝、紫褐色。花序枝は長さ2~6㎝、斜上して垂れ下がらず、分枝は少なく、節ごとに小枝が2~3本つき、平滑、7~9個の小穂をつける。下部の小穂は雄性。枝先に有梗と無梗の小穂が対となってつき、先端には有梗の小穂が対につく。小梗は長さ2.5~5㎜、長さ1.5~2㎜の毛がある。小穂は長さ4.5~6㎜。苞穎は第1、第2ほぼ同長、長さ1.5~2.5㎜の毛があり、先は2裂しない。護穎は膜質、先が2裂し、裂片の間から太い芒が出る。芒は長さ10~15㎜、捩じれ、途中で屈曲する。果実は長さ2~2.7㎜の長楕円形、紫褐色を帯び、光沢はない。2n=40。花期は7~8月。
品種) 'West Lake'

5 Spodiopogon tainanensis Hayata  タイナンアブラススキ 台南油薄
 中国、台湾原産。中国名は台南大油芒 tai nan da you mang  稈は高さ40~70㎝、分枝する。葉身は長さ6~14㎝。芒は長さ7~10mm。

参考

1) Flora of China
 Spodiopogon
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=131063
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Spodiopogon
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:19054-1
3) World Flora Online
 Spodiopogon
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000036160
4) World Checklist of Vascular Plants
 Spodiopogon
https://wcvp.science.kew.org/