イタドリ 虎杖

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Flora of Mikawa

タデ科 Polygonaceae イタドリ属

中国名 虎杖 hu zhang
英 名 Japanese knotweed , Mexican-bamboo
学 名 Reynoutria japonica Houtt.

 synonym Fallopia japonica (Houtt.) Ronse Decr. var. japonica

イタドリの蕾
イタドリの雄花
イタドリの雌花
イタドリのピンク紅花
イタドリのピンク葉
イタドリのピンク芽
イタドリ
イタドリ葉
イタドリ葉縁
イタドリ果実
イタドリ種子
花 期 6~9(10)月
高 さ 50~150(~200㎝
生活型 多年草
生育場所 山野に普通
分 布 在来種  北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾
撮 影 幸田町  11.9.9
アジア、ヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリアなど世界に広く帰化している。タデ属 Polygonum がミチヤナギ属 (Polygonum)、ソバカズラ属(Fallopia)、イタドリ属(Reynoutria)などに細分化された。イタドリ属はソバカズラ属に含まれれる説もある。
 春のタケノコのような若芽は皮をむいて食べられる。葉が開くとき真っ赤な美しいものも見られる。
 多年草。根茎は太い。茎は中空、多数出て、直立し、高さ50~150(~200)㎝、丈夫、上部で分枝し、条線があり、パピラがあり、しばしば、赤色や紫色の斑点をもつ。葉はしばしば、落葉する。葉柄は長さ1~2㎝、パピラがある。葉身は卵形~広楕円形、長さ5~15㎝×幅(4~)5~9㎝、類革質、両面とも無毛、脈にパピラがあり、基部は広楔形、円形又は切形、縁は全縁、波打つことも多く、先は鋭形又は短い尖鋭形、縁毛は無い。花序は腋生、円錐花序、長さ3~8㎝。苞は漏斗形、長さ1~2㎜、斜め、それぞれ花が2~4個。花柄は長さ3~4㎜、細く、中間より下に関節がある。花被は白色又は帯緑色、5(~6)深裂する。雄花:雄しべ8個、花被より長い。雌花:3個の外花被片は花後に大きくなり、外面に翼がある。花柱は3個。柱頭は長毛縁(采状)。痩果は宿存する花被に包まれ、黒褐色、光沢があり、卵状楕円形、3稜形、長さ2.5~3(4~5)㎜。花期は6~9月。果期は7~10月。2n=44, 52。
 北海道などに分布するオオイタドリは葉の基部が心形である。イタドリとオオイタドリの自然交雑もある。

イタドリ属

  family Polygonaceae - genus Reynoutria

 多年草、落葉性。根茎は太い。茎は直立、丈夫、中空。葉は単葉、互生、葉柄がある。葉身は卵形~卵状楕円形、全縁。托葉鞘は斜め。花序は腋生、円錐花序。花は単性。花被は宿存し、5深裂。外側の3個の花被片は花後に大きくなり、雌花の外面に翼がある。雄しべは8個。花柱は3個。柱頭は長毛縁。痩果は卵形、3稜形。
 世界に約6種あり、アジアに分布する。
 類似属はイタドリ属 Reynoutria、ソバカズラ属 Fallopia、ツルドクダミ属 Pleuropterus、タデ属Polygonum。分類には多説あり、統一されていない。ツルドクダミ属に分けることやタデ属に含めることは最近ではなくなった。Flora of North AmericaやYListではソバカズラ属にまとめているが、Kewscience . Flora of China , GRINやThe Plant List ではイタドリ属を分けているが、種によっては見解が異なる。

イタドリ属の種

1 Reynoutria ciliinervis (Nakai) Moldenke チョウセンツルドクダミ 朝鮮蔓毒痛

  synonym Fallopia ciliinervis (Nakai) K.Hammer

  synonym Fallopia multiflora var. ciliinervis (Nakai) Yonekura & H. Ohashi [Flora of China]

 朝鮮、中国(甘粛省、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、吉林省、遼寧省、青海省、陝西省、四川省、雲南省)原産。中国名は毛脉首乌 mao mai shou wu。標高 200~2700mの谷の茂み、山の斜面に生える。Flora of ChinaではFallopia multifloraとの違いは葉の下面にパピラがあり、花期がやや早いだけであり、Fallopia multifloraの変種としている。
 多年草。塊根は黒褐色、狭楕円形、大きく、木質(ligneous)。茎は絡み付き、長さ2~4m(朝鮮では茎は這い、赤色で、長さ1~2m)、多数、分枝し、条線があり、無毛、基部は木質。葉柄は長さ1.5~3㎝。葉身は卵形~狭卵形、長さ3~7㎝× 幅2~5㎝、上面は無毛、下面の脈にパピラがあり、基部は心形~類心形、全縁、先は尖鋭形。葉鞘は長さ3~5㎜、膜質、斜め、無毛。花序は頂生又は腋生、円錐花序、広がり、長さ10~20㎝。花序柄には微細なパピラがある。苞は三角状卵形、パピラがあり、先は鋭形、各苞に花が2~4(朝鮮では5~6)個つく。花柄は長さ2~3㎜細く、基部に関節があり、果時に長くなる。花被は白色又は帯緑色。花被片は楕円形、大きさが異なり、外側の3個は大きく、花後に大きくなり、果時に外面に翼がある。翼は花柄まで沿下する。果時の花被(翼を含めて)はほぼ円形、直径6~7㎜。雄しべは8個。花糸は基部で広がる。花柱は3個、ごく短い。柱頭は頭状。痩果は宿存する花被に包まれ、黒褐色、光沢があり、卵形、3稜形、長さ2.5~3㎜、平滑。花期は6~9月。果期は7~10月。

2 Reynoutria compacta (Hook.f.) Nakai オノエイタドリ 尾上虎杖
  synonym Fallopia compacta (Hook.f.) G.H.Loos & P.Keil
  synonym Fallopia japonica var. compacta (Hook.f.) J.P.Bailey

  synonym Polygonum compactum Hook.f. in Bot. Mag. 106: t. 6476 (1880)

 日本(本州の中部地方以北)、朝鮮原産。別名フジイタドリ。高山帯~高山帯の砂礫地に生える。花が濃赤色のものはメイゲツソウと呼ばれる。
多年草、高山の矮性型、高さ30~50㎝。雌雄異株。葉身は幅4~6㎝、長さは幅の約1.3倍、両面とも無毛または上面脈状に微突起がある。花序は円錐花序。花は花被が白色または淡紅紫色、5深裂する。雄花には8本の雄しべと仮雄しべがある。雌花には雌しべが1個と退化雄しべがある。花柱は2~3本、柱頭は細裂する。痩果は大きくなった花被片に包まれ、外花被片3個の中肋が翼状に張り出す。痩果は3稜形、光沢がある。花期は6~10月。

3 Reynoutria forbesii (Hance) T.Yamaz. カライタドリ 唐虎杖

  synonym Fallopia forbesii (Hance) Yonek. et H.Ohashi [Flora of China]

  synonym Reynoutria japonica auct. non Houtt.
  synonym Polygonum reynoutria Makino var. elliptica Koidz.
 朝鮮、中国(安徽省、広東省、広西チワン族自治区、江西省、山東省、雲南省、浙江省)原産。中国名は华蔓首乌 hua wan shou wu。
 多年草、高さ1~2.5m。 根茎はよく発達し、太く、直径約1.6cm、木質になる。茎は直立し、丈夫で、中間より上で大部分が分枝し、直径0.6~2.1㎝、まばらに毛が生え、円錐状の単細胞毛があり、まれに1~4細胞の糸状毛が混在する。葉は互生する。葉柄は長さ0.5~1.8㎝、断面は円形で、花外蜜腺が下面にある。葉鞘(ocrea)は茎を完全に取り囲み、褐色、円筒形、長さ0.5~1.5㎝、薄膜質、まばらに毛があり、円錐形の単細胞の毛状突起および盾状の多細胞の腺のある毛状突起および1~4細胞の糸状の毛状突起を持ち、先は切形。 葉身は円形~ほぼ円形、長さ6.6~11.5㎝×幅5.1~9.4㎝、両面に盾状の多細胞の腺のある毛状突起があり、まばらに中脈と主脈にはまばらに角質の単細胞の毛状突起があり、基部は円形、縁は全縁、先は急に尖鋭形~尾状になる。花序は頂生または腋生、単純または分枝し、長さ2~6.2cm、円錐形の単細胞の毛状突起および1~4細胞の糸状の毛状突起、および盾状の多細胞の腺のある毛状突起の毛があり、円錐花序状、小花柄のある花が束生し、2~6個の花の小束(flower fascicle)が螺旋状につき、 各花の小束は鞘状苞(ocreola=bract)で基部を覆われる。鞘状苞は漏斗形、長さ1.2~1.9㎜×幅1~2㎜、薄膜質。花は機能的に単性、まれに両性になり、長さ0.4~1.1㎜、それぞれ小苞を持つ。小苞は対につき、薄膜質、基部で融合する。小花柄は長さ2~3mm、中央より上に関節がある。花被片は花弁状、白色~緑白色、5裂する。花被片は5個、外側の3個には竜骨があり、長さ1.5~2.5㎜×幅1~1.9㎜、主維管束に沿って発達した翼を持ち、翼は幅約0.2㎜。 雄しべは8本、花被の基部に2輪につき、外側の雄しべは長さ3~3.4㎜、内側の雄しべは長さ3.6~4㎜。花柱は1本、長さ0.3~0.5㎜、深く3分岐する。柱頭は繊維状に細裂する。痩果は宿存する花被に囲まれ、暗褐色、光沢があり、三角状の倒卵形~円形、長さ3.9~4.8㎜×幅2.1~2.9㎜、平滑。 花被片の翼は果実の関節のある小果柄の結合部(関節)に向かって狭く先細になる。2n=66, 88。

4 Reynoutria japonica Houtt イタドリ 虎杖
  synonym Fallopia japonica (Houtt.) Ronse Decr. var. japonica 

  synonym Fallopia japonica (Houtt.) Ronse Decr. var. compacta (Hook.f.) J.P.Bailey オノエイタドリ(高山の矮性型)

  synonym Reynoutria japonica Houtt. var. compacta (Hook.f.) Hiyama
  synonym Reynoutria japonica Houtt. f. compacta (Hook.f.) Nemoto
  synonym Polygonum cuspidatum Siebold et Zucc.
 日本、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は虎杖 hu zhang。英名はJapanese knotweed , Mexican-bamboo 。山野に普通に見られる。春のタケノコのような若芽は皮をむいて食べられる。葉が開くとき真っ赤な美しいものも見られる。
 多年草。根茎は太い。茎は中空、多数出て、直立、高さ50~150(~200)㎝、丈夫、上部で分枝し、条線があり、パピラがあり、しばしば、赤色や紫色の斑点をもつ。葉はしばしば、落葉する。葉柄は長さ1~2㎝、パピラがある。葉身は卵形~広楕円形、長さ5~15㎝×幅(4~)5~9㎝、類革質、両面とも無毛、脈にパピラがあり、基部は広楔形、円形又は切形、縁は全縁、波打つことも多く、先は鋭形又は短い尖鋭形、縁毛は無い。花序は腋生、円錐花序、長さ3~8㎝。苞は漏斗形、長さ1~2㎜、斜め、それぞれ花が2~4個。花柄は長さ3~4㎜、細く、中間より下に関節がある。花被は白色又は帯緑色、5(~6)深裂する。雄花:雄しべ8個、花被より長い。雌花:3個の外花被片は花後に大きくなり、外面に翼がある。花柱は3個。柱頭は長毛縁(采状)。痩果は宿存する花被に包まれ、黒褐色、光沢があり、卵状楕円形、3稜形、長さ2.5~3(4~5)㎜。花期は6~9月。果期は7~10月。2n=44, 52。

4-1 Reynoutria japonica Houtt. f. colorans (Makino) Nemoto メイゲツソウ 名月草

  synonym  Fallopia japonica (Houtt.) Ronse Decr. var. japonica f. colorans (Makino) Yonek.

 変化が多く、花や果実が赤いものはベニイタドリといわれ、高山型のものはメイゲツソウとして区別される。

4-2 Reynoutria japonica Houtt. var. terminalis Honda ハチジョウイタドリ 八丈虎杖

  synonym Reynoutria japonica Houtt. var. hachidyoensis (Makino) M.Mizush.

  synonym Reynoutria hachidyoensis (Makino) Honda var. terminalis Honda

  synonym Reynoutria hachidyoensis (Makino) Honda  ハチジョウイタドリ

  synonym Fallopia japonica (Houtt.) Ronse Decr. var. hachidyoensis (Makino) Yonek. et H.Ohashi

 伊豆七島に分布。大形で、葉が厚く、光沢がある。

4-3 Reynoutria japonica Houtt. var. uzenensis Honda ケイタドリ 毛虎杖

  synonym Reynoutria uzenensis (Honda) Honda 

  synonym Reynoutria japonica Houtt. var. uzenensis Honda f. rosea Satomi

  synonym Fallopia japonica (Houtt.) Ronse Decr. var. uzenensis (Honda) Yonek. et H.Ohashi

 北海道西南部、本州(北部~中部の主に日本海側)に分布する。
 茎や葉に毛が多い。

5 Reynoutria multiflora (Thunb.) Moldenke ツルドクダミ 蔓毒痛

  synonym Fallopia multiflora (Thunb.) Haraldson [Flora of China] ソバカズラ属

  synonym Pleuropterus multiflorus (Thunb.) Turcz. ex Nakai

  synonym Fallopia multiflora (Thunb.) Haraldson var. hypoleuca (Ohwi) Yonek. et H.Ohashi タイワンツルドクダミ

  synonym Fallopia multiflora var. multiflora
 中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、河北省、黒龍江省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、山東省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、タイ、ベトナム原産。中国名は何首乌 he shou wu。別名はカシュウ(何首烏)。英名はChinese knotwood, Chinese fleeceflower。中国では標高200~3000mの山の斜面、岩の隙間、谷の藪に生える。日本では漢方薬として江戸時代に渡来したものが、野生化し、山野に生える。いも状の塊根があり、 漢方薬では何首烏(カシュウ)といい、発音は違うが、中国名と同じである。Flora of ChinaやYListではソバカズラ属 Fallopiaとしている。Flora of Chinaでは日本を分布域に含めている。
 多年草。塊根は黒褐色、狭楕円形、大きく、木質(ligneous)。茎は絡み付き、長さ2~4m、多数、分枝し、条線があり、無毛、基部は木質。葉柄は長さ1.5~3㎝。葉身は卵形~狭卵形、長さ3~7㎝× 幅2~5㎝、両面とも無毛で下面の脈にパピラは無く、基部は心形~類心形、全縁、先は尖鋭形。葉鞘は長さ3~5㎜、膜質、斜め、無毛。花序は頂生又は腋生、円錐花序、広がり、長さ10~20㎝。花序柄には微細なパピラがある。苞は三角状卵形、パピラがあり、先は鋭形、各苞に花が2~4個つく。花柄は長さ2~3㎜細く、基部に関節があり、果時に長くなる。花被は白色又は帯緑色。花被片は楕円形、大きさが異なり、外側の3個は大きく、花後に大きくなり、果時に外面に翼がある。翼は花柄まで沿下する。果時の花被(翼を含めて)はほぼ円形、直径6~7㎜。雄しべは8個。花糸は基部で広がる。花柱は3個、ごく短い。柱頭は頭状。痩果は宿存する花被に包まれ、黒褐色、光沢があり、卵形、3稜形、長さ2.5~3㎜、平滑。花期は7~10月。果期は8~11月

6 Reynoutria sachalinensis (F. Schmidt) Nakai オオイタドリ 大虎杖
  synonym Fallopia sachalinensis (F.Schmidt) Ronse Decr
  synonym Pleuropterus sachalinensis (F.Schmidt) Moldenke
  synonym Polygonum sachalinense F.Schmidt
 日本(北海道、本州の中部地方以北)、ロシア原産。英名はgiant knotweed , sacaline , Sakhalin knotweed 。山野、道端、川辺の砂礫地などに生える。ヨーロッパ、北アメリカなどに帰化している。
 多年草、根茎があり、高さ2~4(~5) m。茎は普通、束生し、直立、控えめに分枝し、草質、硬く、無毛、粉白を帯びる。葉鞘は宿存又は脱落し、帯褐色、円筒形、長さ6~12㎜、縁は斜め、面は後屈せず、基部に細い剛毛があり、他には無毛又は微軟毛がある。葉柄は長さ1~4㎝、無毛。葉身は長さ15~30(~40)㎝×幅7~25㎝、基部は心形、全縁、無毛又はざらつき~縁毛があり、先は鈍形~鋭形、下面は微細な斑点があり、粉白を帯び、脈に多細胞の長さ0.2~0.6㎜の毛が明瞭にあり、先端は鋭形~尖鋭形、上面は無毛。花序は腋生、ほとんどが上部につき、直立又は広がり、円錐花序状、長さ3~8㎝、花序軸は微軟毛~毛がある。花序柄は長さ0.1~4㎝又は無く、微軟毛~帯赤色の毛がある。花柄は斜上又は広がり、下部~中間に関節があり、長さ2~4㎜、無毛。花は両性又は雌性、托葉鞘の束生(ocreate fascicle)ごとに花が4~7個。花被は果時に大きくなり、帯緑色、柄のような基部を含めて長さ4.5~6.5㎜、無毛。花被片は倒卵形~楕円形、先は鈍形~鋭形、外側の3個は翼がある。雄しべは6~8個。花糸は下部が平らになり、無毛。花柱は基部で合着する。柱頭は長毛縁(采状)。痩果は包まれ、褐色、長さ2.8~4.5㎜×幅1.1~1.8㎜、光沢があり、平滑、果時の花被は無毛、翼は平ら~波打ち、成熟して幅1.8~2.2㎜、柄のような基部~接合部まで沿下し、全縁。2n=44, 66, 102, 132 (Japan, Korea)。花期は7~10月。

7 交雑種
(1) Reynoutria × bohemica Chrtek & Chrtková アイイタドリ
  synonym Fallopia × bohemica (Chrtek & Chrtkova) J. P. Bailey
  synonym Polygonum × bohemicum (Chrtek & Chrtkova) Zika & Jacobson
 オオイタドリ(Reynoutria sachalinensis)とイタドリ(Reynoutria japonica)の交雑種。英名はBohemian knotweed 。

(2) Reynoutria x mizushimae Yokouchi ex T.Shimizu ウラゲオオイタドリ

  synonym Reynoutria sachalinensis (F.Schmidt) Nakai var. intermedia (Tatew.) Tatew. ex Miyabe et Kudo エゾイタドリ

  synonym Fallopia sachalinensis (F.Schmidt) Ronse Decr. var. intermedia (Tatew.) Yonek. et H.Ohash エゾイタドリ

 オオイタドリ(Reynoutria sachalinensis)とケイタドリ(Reynoutria japonica var. uzenensis)の交雑種。

ソバカズラ属

  family Polygonaceae - genus Fallopia

  1年草、まれに亜低木。茎は絡み付く。葉は単葉、互生、葉柄がある。葉身は卵形~心形、全縁。葉鞘は筒状、咲は斜め又は切形。花序は総状花序又は円錐花序。花は両性。花被は宿存し、5深裂。外花被片は大きく、竜骨又は翼があり、まれに竜骨や翼を欠く。雄しべは8個。花柱はごく短い。柱頭は頭状。痩果は3稜形、卵形。
 世界に12種(広義にReynoutriaを含むと約20種)あり、北半球の温帯に広く分布する。中国に8種ある。
1 Fallopia aubertii (L.Henry) Holub
2 Fallopia baldschuanica (Regel) Holub
3 Fallopia convolvulus (L.) Á.Löve
4 Fallopia cristata (Engelm. & A.Gray) Holub
5 Fallopia cynanchoides (Hemsl.) Haraldson
6 Fallopia dentatoalata (F.Schmidt) Holub
7 Fallopia dumetorum (L.) Holub
8 Fallopia filipes (H.Hara) Holub
9 Fallopia koreana B.U.Oh & J.G.Kim
10 Fallopia pterocarpa (Wall. ex Meisn.) Holub
11 Fallopia scandens (L.) Holub
12 Fallopia schischkinii Tzvele
13 Fallopia × heterocarpa (Beck) Doweld
 類似属はイタドリ属 Reynoutria、ソバカズラ属 Fallopia、ツルドクダミ属 Pleuropterus、タデ属Polygonum。分類には多説あり、統一されていない。ツルドクダミ属に分けることやタデ属に含めることは最近でjはなくなった。Flora of North AmericaやYListではソバカズラ属にまとめているが、Kewscience , Flora of China , GRINやThe Plant List ではイタドリ属 を分けている。

ソバカズラ属の主な種

1 Fallopia baldschuanica (Regel) Holub ナツユキカズラ 夏雪葛
  synonym Fallopia aubertii (L.Henry) Holub 
 中国、パキスタン、アフガニスタン、タジキスタン原産。中国名は木藤首乌 mu teng shou wu 。英名はBukhara fleeceflower , Chinese fleecevine , mile-a-minute-vine , Russianvine , silver-lace-vine。標高900~3200mの斜面、渓谷の茂みに生える。
 亜低木。茎は絡み付き、胚褐色、長さ1~4m、無毛。葉は束生し、まれに単生、葉柄は長さ1.5~2.5㎝。葉身は狭卵形~卵形、長さ2.5~5㎝×幅1.5~3㎝、類革質、両面とも無毛、基部は類心形、全縁、先は」鋭形。葉鞘は褐色、膜質、斜め、裂ける。花序は腋生又は頂生、円錐花序、少数の枝があり、垂れ下がり、パピラがある。苞は膜質、先は鋭形、それぞれに花が3~6個つく。花柄は長さ3~4㎜、細く、基部に関節がある。花被は帯緑色又は白色、5深裂する。花被片は楕円形。外側の3個は大きく、開花後に大きくなり、果時に外側の面の翼となる。翼は花柄まで沿下する。果時の花被は倒卵形、直径4~5㎜。雄しべ8個。花糸は中間より下で広がり、基部に毛がある。花柱は3個、ごく短い。柱頭は頭状。痩果は宿存する花被に包まれ、黒色、わずかに光沢があり、卵形、3稜形、長さ3.5~4㎜、密に微細な顆粒がある。花期は7~8月。果期は8~9月。

2 Fallopia convolvulus (L.) A.Love ソバカズラ 蕎麦葛
 朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、中央アジア、西アジア、コーカサス、ヨーロッパ原産。英名はblack-bindweed , climbing-buckwheat , cornbind , wild buckwheat 。標高100~3600mの渓谷の茂み、川岸に生える。日本に帰化している。
 1年草。茎は絡み付き、長さ1~1.5mまで、条線があり、パピラがあり、基部で分枝する。葉柄は長さ1.5~5㎝。葉身は下面に小さなパピラがあり、基部は心形、全縁、先は尖鋭形。葉鞘は短く、膜質、斜め、縁毛は無い。花序は腋生、総状花序、間隔が開く。苞は狭卵形、先は鋭形、それぞれ花が2~4個つく。花柄は苞より長く、細く、縁が白色。花被片は狭楕円形、大きさが異なり、外側の3個は大きく、外面に竜骨又は狭い翼があり、果時にわずかに大きくなる。雄しべは8個。花柱は3個、ごく短く、有柄。痩果は宿存する翼のほとんどない花被に包まれ、黒色、光沢が無く、楕円形、3稜形、長さ3~4㎜、細かい顆粒がある。花期は5~8月。果期は6~9月。

3 Fallopia dentatoalata (F.Schmidt) Holub オオツルイタドリ 大蔓虎杖
 日本(北海道、本州中部以北)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は齿翅首乌 chi chi shou wu 。標高200~2800mの渓谷やの混合林、斜面に生える。
 1年草。茎は絡み付き、長さ3~6㎝×幅2.5~4㎝、両面とも無毛、脈に微細なパピラがあり、基部は心形、全縁、先は尖鋭形。葉鞘は帯褐色、長さ3~4㎜、膜質、斜め、縁毛は無い。花序は腋生又は頂生、総状花序、葉があり、緩く、間隔が開き、長さ4~12㎝、普通、葉より長い。苞は漏斗形、長さ2~3㎜、膜質、斜め、先は鋭形、縁毛は無く、それぞれに花が4~5個つく。花柄は短く、果時に長くなり、中間より下に関節がある。花被は白色又は帯緑色、5深裂する。花被片は大きさが異なり、果時に大きくなる。外側の3個はかなり長く、外面に翼があり、翼には歯があり、花柄の近くまで沿下する。果時の花被は翼を含んで、倒卵形、直径5~6㎜。雄しべは8個、突き出ない。花柱はごく短い。柱頭は頭状。痩果は宿存する花被に包まれ、翼の縁にしわがあり、黒色、わずかに光沢があり、楕円形、3稜形、長さ4~4.5㎜微細な顆粒がある。花期は6~9月。果期は7~10月。

4 Fallopia dumetorum (L.) Holub ツルタデ 蔓蓼
  synonym Fallopia pauciflora (Maxim.) Kitag.

  synonym Fallopia dumetorum (L.) Holub var. pauciflora (Maxim.) A.J.Li

 朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、中央アジア、西アジア、コーカサス、ヨーロッパ原産。英名はcopse-bindweed , desert knotgrass。日本に広く帰化し、北日本に多い。別名はツルイタドリ。Flora of Chinaでは日本も分布域に含めている。標高200~2400mの草の生えた斜面、渓谷の茂美や混合林、山地の渓谷、野原に生える。
 1年草。茎は絡み付き、長さ70~150㎝、条線があり、パピラがあり、無毛、かなり分枝する。葉柄は長さ1~3㎝、パピラがある。葉身は卵状心形、長さ3~6㎝×幅1.5~4㎝、両面とも無毛、脈に微細なパピラがあり、基部は心形又は矢じり形、全縁、先は尖鋭形。葉鞘は短く、長さ2~3㎜、膜質、斜め、先は鋭形、縁毛は無い。花序は普通、腋生、総状花序、緩く、花は少数~多数つく。苞は長さ1.5~2㎜、膜質、それぞれの苞に花が1~6個。花柄は長さ3~4㎜、細く、関節があり、果時に長くなる。花被は帯緑色、5深裂する。花被片は楕円形、長さ2~3㎜、大きさが異なる。外側の3個は大きく、果時に翼がある。翼は全縁、わずかに花柄に沿下する。果時の花被(翼を含めて)は円形、直径4~4.5㎜。雄しべは8個、突き出ない。花柱はごく短い。柱頭は頭状。痩果は宿存する花被に包まれ、黒色、光沢があり、楕円形、3稜形、長さ3~3.5㎜、平滑。花期は6~8月。果期は7~9月。
4-1 Fallopia dumetorum var. dumetorum
 朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、中央アジア、西アジア、コーカサス、ヨーロッパに分布。
 花は多数、各苞に花が3~6個。翼は連続。花期は6~8月。果期は7~9月。

4-2 Fallopia dumetorum var. pauciflora (Maximowicz) A. J. Li

 中国に分布。中国名は疏花篱首乌 shu hua li shou wu
 花が少数、各苞に花が1~2(3)個、花期は6~7月。果期は7~8月。
4-3 Fallopia dumetorum var. subalata Borodina
 中国に分布。中国名は略翅首乌 lue chi shou wu。
 翼が途切れる。

5 Fallopia koreana B.U.Oh et J.G.Kim ファロピア・コレアナ
 朝鮮原産。英名はKorean knotweed , Koreana Fallopia。山地に生える。Korean JournalではFallopia sect. Pleuropterusに分類し、Fallopia ciliinervisとFallopia multifloraも同じsect.に含めている。KewscienceではReynoutria属のReynoutria ciliinervisとReynoutria multifloraである。
 蔓性多年草、3~11月に成長する。根は茎との結合部が太く、太くなり、分枝する根の上に多数、突き出る節がある。茎は左利きで絡み付き、かなり長く、長さ1.5~2m、またはそれ以上になる。葉は互生し、心形、長さ5~15㎝×幅3~7㎝、先は尖鋭形、縁は全縁。葉柄は長さ1.5~7㎝。葉鞘(ocrea)は膜質、円筒形。花序は穂状花序、主に分枝し、鞘状苞(ocreola)ごとに花が2~3個つき、花序柄に少数の毛状突起がある。花期は6~9月。花は直径3~3.5㎜、長さ4~5㎜。花被は白色、3個の弱い翼がある。雄しべは8本、長さ1~1.5㎜。雌しべは1個、長さ1㎜。柱頭は3個、盾状、表面が突き出る。花柱は短く、分離。子房は3角形、長さ0.7~0.8㎜、幅0.4~0.5㎜。果実は広倒卵形、長さ1~2㎝×幅3~5㎜、大きくなった花被に包まれ、3個の広い翼があり、果実の先で捻じれる。痩果は宿存する柱頭をもち、暗褐色、光沢があり、鋭い3稜形、長さ5~6㎜×幅2~3㎜。

参考

1) Flora of China
 Fallopia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=112640
2)GRIN
  Fallopia
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=14554
3) Fallopia koreana ( Polygonaceae ) - A new species from Korea
https://www.researchgate.net/publication/323806995_Fallopia_koreana_Polygonaceae_-_A_new_species_from_Korea
4) Flora of North America
 Fallopia sachalinensis
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=250060605
5)エゾイタドリ(タデ科)はアイイタドリに変更 - 北方山草会
 北方山草 29 (2012)
http://hopposansokai.web.fc2.com/kaishi/no29/29-24.pdf
6)Korean Journal of Plant Taxonomy 26(4):257-262 (1996)
 Fallopia koreana (Polygonaceae) - A new species from Korea
https://www.researchgate.net/publication/323806995_Fallopia_koreana_Polygonaceae_-_A_new_species_from_Korea