キミチャシブゴケ 黄実茶渋木毛
Flora of Mikawa
チャシブゴケ Lecanoraceae チャシブゴケ属
別 名 | レカノラ・レプロサ |
中国名 | 肉灰茶渍 rou hui cha zi |
学 名 | Lecanora leprosa Fee Lecanora cinereocarnea (Eschw.) Vain. Lecanora cinereocarnea (Eschw.) Stizenb. |
分 類 | 子嚢地衣類(Ascolichens) |
生育形 | 痂状 |
生育場所 | 低地~低山地の樹皮上 |
分 布 | 在来種 本州(関東地方以西)、四国、九州、中国、アジア、アフリカ、オーストラリア、南北アメリカ |
撮 影 | 新城市(樹幹) 14.3.19 |
チャシブゴケ属 Lecanora は痂状地衣。子器は裸子器で、地衣体と同色の果托をもち、この子器をレカノラ型という。
レカノラ・キネレオカルネア Lecanora cinereocarnea はレカノラ・レプロサ Lecanora leprosa と同義語であるとされ、キミチャシブゴケの和名がつけられた。子器が小さく、密集してつく。
コナイボゴケと同じように低地に広く分布する。都市部では見られない。樹皮に固着し、連続し、亀裂~小区画状、疣状~小区画状、下生菌糸は見えず又は白色。小区画は平坦、疣状~小疣状、薄く、光沢がなく、皮層がない。表面は黄白色~黄灰色~黄緑色、平滑、細粉状でなく、縁は不明瞭、粉芽もない。子器は初期にはやや埋没し、無柄、直径0.3~0.8㎜、レカノラ型。盤は橙褐色~黄褐色、平ら、細粉状でない。子器の縁は地衣体と同色、離れると曲がりくねらず、密集してつくと曲がり、平滑、薄く、又は厚いこともあり、全縁又は疣状、果殻のリングはない。果托はあり、多数の藻類をもち、KOHに不溶の結晶をもち、皮層がある。果托の皮層は透明、基部は厚くならず、側部で厚さ(10)17~25(26) µm、基部で厚さ10~25µm。 果殻は透明、KOHに不溶な結晶がある。子嚢上層は赤褐色~橙褐色、KOHに可溶な色素とKOHに不溶な結晶がある。子嚢層は透明、色素はない。側糸は太くなく、先でわずかに太くなる(幅2.5µm以下)。子嚢脚層(subhymenium)は透明、厚さ15~20µm。 子嚢下層(hypothecium)は透明~淡黄色~黄褐色、油滴はない。子嚢は棍棒状、8胞子。胞子は単室、長さ(9)9.5~13.5(14)µm、幅(5)6~7(7.5)µmの扁平な惰円形~狭惰円形。粉子器は脳状。粉子柄はtypeⅡ(sensu Vobis, 1980)。粉子は長さ15~19µmの糸状。スポットテスト 地衣体と子器の縁:K+黄色, C-, KC-, P+淡橙色。二次代謝物質はアトラノリン (major)、クロロアトラノリン (minor)、 chlorolecideoidin (minor), ガンガレオイジン (major)、 leoidin (minor) 、norgangaleoidin (minor)を含む。
コナイボゴケLecanora pulverulenta は樹皮上によく見られる。地衣体が淡黄緑色~淡黄褐色、薄く、表面は粉芽状になる。子器は直径約0.5㎜、小さな子器が密集する。子器盤は淡黄褐色。縁は波打ち、細粉状。K+黄色。ウスニン酸を含む。
モエギイボゴケLecanora yasudae= Lecanora sibirica は樹皮につき、地衣体が淡黄緑色~淡緑色、周囲に白色の長い線形の下生菌糸が目立つ。子器盤は黄緑色~黄褐色、粉を帯びる。
Lecanora symmicta はユーラシア、北アメリカに分布する樹皮着生、疣状の小区画になる。下生菌糸は白色。子器は1個又は2~3個が合体していびつになることが多く、直径 0.35~0.70㎜、波打つ。盤は黄色を帯びたベージュ~橙褐色、凸面。縁は欠けることが多い。
レカノラ・キオノカルパ Lecanora chionocarpa は地衣体の周囲が白色の下生菌糸で綿毛状になる。
マルミチャシブゴケ Lecanora megalocheila は地衣体が灰緑色、周囲が黒色。子器は直径1~2㎜、盤は赤褐色。縁は平滑。
ニホンチャシブゴケ Lecanora nipponica は子器盤が赤褐色、縁が疣状。
ニセニホンチャシブゴケ Lecanora cinereofusca は子器盤が赤褐色、縁は不規則に曲がる。
Lecanora pulicaris は樹皮着生。下生菌糸は見えないか白色~青黒色。子器は直径0.3~1.5㎜、盤は淡色のときもあり、赤褐色~暗褐色~黒色、平坦。縁が疣状、ときに欠ける。K +黄色, KC -, C +, P+橙色~赤色/P- , UV-/+青色。Lecanora chlarotera によく似ている。
レカノラ・キネレオカルネア Lecanora cinereocarnea はレカノラ・レプロサ Lecanora leprosa と同義語であるとされ、キミチャシブゴケの和名がつけられた。子器が小さく、密集してつく。
コナイボゴケと同じように低地に広く分布する。都市部では見られない。樹皮に固着し、連続し、亀裂~小区画状、疣状~小区画状、下生菌糸は見えず又は白色。小区画は平坦、疣状~小疣状、薄く、光沢がなく、皮層がない。表面は黄白色~黄灰色~黄緑色、平滑、細粉状でなく、縁は不明瞭、粉芽もない。子器は初期にはやや埋没し、無柄、直径0.3~0.8㎜、レカノラ型。盤は橙褐色~黄褐色、平ら、細粉状でない。子器の縁は地衣体と同色、離れると曲がりくねらず、密集してつくと曲がり、平滑、薄く、又は厚いこともあり、全縁又は疣状、果殻のリングはない。果托はあり、多数の藻類をもち、KOHに不溶の結晶をもち、皮層がある。果托の皮層は透明、基部は厚くならず、側部で厚さ(10)17~25(26) µm、基部で厚さ10~25µm。 果殻は透明、KOHに不溶な結晶がある。子嚢上層は赤褐色~橙褐色、KOHに可溶な色素とKOHに不溶な結晶がある。子嚢層は透明、色素はない。側糸は太くなく、先でわずかに太くなる(幅2.5µm以下)。子嚢脚層(subhymenium)は透明、厚さ15~20µm。 子嚢下層(hypothecium)は透明~淡黄色~黄褐色、油滴はない。子嚢は棍棒状、8胞子。胞子は単室、長さ(9)9.5~13.5(14)µm、幅(5)6~7(7.5)µmの扁平な惰円形~狭惰円形。粉子器は脳状。粉子柄はtypeⅡ(sensu Vobis, 1980)。粉子は長さ15~19µmの糸状。スポットテスト 地衣体と子器の縁:K+黄色, C-, KC-, P+淡橙色。二次代謝物質はアトラノリン (major)、クロロアトラノリン (minor)、 chlorolecideoidin (minor), ガンガレオイジン (major)、 leoidin (minor) 、norgangaleoidin (minor)を含む。
コナイボゴケLecanora pulverulenta は樹皮上によく見られる。地衣体が淡黄緑色~淡黄褐色、薄く、表面は粉芽状になる。子器は直径約0.5㎜、小さな子器が密集する。子器盤は淡黄褐色。縁は波打ち、細粉状。K+黄色。ウスニン酸を含む。
モエギイボゴケLecanora yasudae= Lecanora sibirica は樹皮につき、地衣体が淡黄緑色~淡緑色、周囲に白色の長い線形の下生菌糸が目立つ。子器盤は黄緑色~黄褐色、粉を帯びる。
Lecanora symmicta はユーラシア、北アメリカに分布する樹皮着生、疣状の小区画になる。下生菌糸は白色。子器は1個又は2~3個が合体していびつになることが多く、直径 0.35~0.70㎜、波打つ。盤は黄色を帯びたベージュ~橙褐色、凸面。縁は欠けることが多い。
レカノラ・キオノカルパ Lecanora chionocarpa は地衣体の周囲が白色の下生菌糸で綿毛状になる。
マルミチャシブゴケ Lecanora megalocheila は地衣体が灰緑色、周囲が黒色。子器は直径1~2㎜、盤は赤褐色。縁は平滑。
ニホンチャシブゴケ Lecanora nipponica は子器盤が赤褐色、縁が疣状。
ニセニホンチャシブゴケ Lecanora cinereofusca は子器盤が赤褐色、縁は不規則に曲がる。
Lecanora pulicaris は樹皮着生。下生菌糸は見えないか白色~青黒色。子器は直径0.3~1.5㎜、盤は淡色のときもあり、赤褐色~暗褐色~黒色、平坦。縁が疣状、ときに欠ける。K +黄色, KC -, C +, P+橙色~赤色/P- , UV-/+青色。Lecanora chlarotera によく似ている。