痂状地衣、岩上着生。地衣体は直径2～3㎝、黄色を帯びることが多く、緑灰色～黄灰色、亀裂状～小区画状。下生菌糸は明瞭、黒色。子器は直径0.2～0.5㎜、埋没する。盤は黒色。子器が目のように見える。子嚢上層は褐色～オリーブ色。胞子は褐色、2室、長さ(11)13～17(21) µm、幅6.5～9(11) µm.。スポットテスト　K-, C+橙色, P-, UV- 。二次代謝物質はアルトテリン arthothelin、 スチクチン酸を含む。
　スミイボゴケ属は痂状、鱗片状。暗色の下生菌糸がある。子器はレキデア型、盤は黒色。子嚢は4～8胞子。胞子は褐色、2～4室、まれに単室。
　スミイボゴケは樹皮着生。地衣体は亀裂状～小区画状、薄くか、やや厚く、ほぼ連続する。下生菌糸は欠くか周囲に黒色の縁の境界をつくる。表面は白色～淡黄灰色（象牙色）、暗色。子器は直径(0.2)0.4～0.6(0.7)㎜。子器の縁は厚く、黒色。子器盤は黒色、平坦、まれに凸面になる。子嚢は棍棒形、Bacidia型、8胞子。胞子は褐色、1隔壁、扁平な狭楕円体、長さ(12)15.6～[18.5]～21.3(21.5)µm、幅 (5.5)6.6～[7.7]～8.9(10)µm。スポットテスト　K+黄色, P-, C- , UV-。二次代謝物質はアトラノリン、fulgidinを含む。
　ホシスミイボゴケ(ヒメホシイボゴケ) Buellia stellulata　は岩上着生。地衣体が白色を帯び、灰色～灰緑色、小区画状。K+黄色(弱いこともあり、赤色を帯びない), P-/P+黄色, C-, KC-, CK- , UV-。二次代謝物質はアトラノリン、2'-O-methylperlatolic acid 、confluentic acidを含む。
　Buellia aethalea は岩上着生。やや高地に分布し、普通には見られない。地衣体が灰色～淡褐色、まれに暗灰色になる。亀裂状～小区画状。子器は直径 (0.1)0.2～0.4（0.5)㎜、角張ったり、不規則な円形、普通小区画の中央につき、埋没したままで、成長しても 無柄にはならない。盤は黒色、平坦、成長しても凸面にならない。胞子は褐色、扁平な広楕円形、2室、長さ(11)11.6～14.1(17µm、幅(5)7.2～8.9(10)µm。K+黄色～赤色結晶, P+黄色, C-, KC-, CK- 。ノルスチクチン酸、 connorstictic acidを含む。
　コウヤイボゴケ Buellia crocata は高野山に分布する。樹皮着生。地衣体は灰白色、顆粒状。子器は不定の円形、直径1㎜以下、盤は初期に赤褐色、後に黒色。