泉福寺は創建743年(天平15年)との伝承があり、天台宗の渥美半島で最古の山寺。本尊は十一面観世音菩薩、行基の作で、東大寺建立勧進のために巡行して来たときに寄進したものといわれている。昭和37年に火災で本堂などが消失し、現在のものは立て直されたものである。参道にスダジイの巨木(樹高
17.3m、幹周 3m、樹齢約150年)があり、参道を挟んでヤマモガシの大木、文化財の看板から少し入ったところにヤマモモの大木もある。一帯は大きな常緑自然林であり、一部、スギ、ヒノキ、モウソウチクなどもあるが、ツブラジイ、タブノキ、クスノキ、ヤマモモ、イヌガシ、ミミズバイなどが主体であり、樹種が豊富で、下部にはイズセンリョウ、ヤブコウジ、アリドオシなどが多い。この中を参道が通り、樹林内にタイミンタチバナ、ホルトノキ、トキワガキ、リュウキュウマメガキ、サカキカズラ、イズセンリョウなどが見られ、ホウライカズラ、イヌシデ、シタキソウなども確認されている。泉福寺の駐車場から雨乞山への登山道があり、泉福寺近くの山頂の見晴らし岩に登ると、尾根筋はウバメガシ、アカマツなどの低木林であり、カイナンサラサドウダンツツジ、トサノミツバツツジ、ナンキンナナカマド、ウスノキなどが確認されている。野草の種類はあまり多くないが、スルガテンナンショウ、ウラシマソウ、マキノスミレ、タチツボスミレ、ギンレイカ、コバノタツナミなどが見られる。
参道に入る前の道端にも樹種は多く、春にはタイミンタチバナ、コバノガマズ、アケビの花が咲き、夏にはハスノハカズラの花、秋にはケヤマウコギの花が見られ、カエデドコロの黄色の花が目立つ。
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