ヨウシュハッカ 洋種薄荷

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Flora of Mikawa

シソ科 Lamiaceae ハッカ属

別 名 コーンミント、クールミント
英 名 field mint, wild mint , corn mint
学 名 Mentha arvensis L.
Mentha arvensis L. var. arvensis
Mentha arvensis var. villosa (Benth.) S.R. Stewart
Mentha canadensis L.(広義)
ヨウシュハッカ花序
ヨウシュハッカ花序2
ヨウシュハッカ花
ヨウシュハッカ苞
ヨウシュハッカ茎
ヨウシュハッカ
ヨウシュハッカの葉表
ヨウシュハッカの葉裏
花 期 8~10月
高 さ 10~50㎝
生活型 多年草
生育場所 草地、やや湿った場所
分 布 帰化種 ヨーロッパ、アジアの中央~西部、インド、ネパール原産
撮 影 新城市  15.9.23
放棄水田に生えていたもの。全体に短毛がある。葉柄が仮輪より短い。葉はやや小さく、卵形~長楕円形、基部は楔形~広楔形、葉先がほぼ鈍形、縁の鋸歯は低い。花序は明瞭な腋生。萼歯は正三角形、筒部の長さの1/3~1/4。雄しべは花冠から突き出ない。ハッカの香りは強い。花冠の内側に長毛が密生するが、萼の内側の毛は無い。葉はメグサハッカのようにも見えるが、茎は直立し、花序の節間が葉より短く、萼歯が正三角形で、雄しべが短いため、ヨウシュハッカ系の交雑種と判断した。
 ハッカ Mentha canadensis とヨウシュハッカ Mentha arvensis は別種として分類されているが、中間的なものも見られ、典型的なものでないと外観では区別できない。両者を同一種とする見解もある。
1 ヨウシュハッカ Mentha arvensis L. (field mint, corn mint ,wild mint)はヨーロッパ、アジアの中央~西部、インド、ネパールに分布する。U.S.A.内ではMentha canadensisと同種として扱われ、Mentha canadensisを指す解説のものが多い。ヨーロッパ原産のものはvar. arvensisとして区別していた。
 茎は高さ10~50㎝。葉は長さ2~4(8)㎝、葉柄は長さ3~8㎜、葉身はしわが無く、普通、卵形(~長楕円状披針形)、(鋭い)鋸歯縁、先は鋭形。花序は葉腋につき、苞はわずかか又は無い。萼は長さ1.5~2.5㎜、普通、無毛又は萼歯に縁毛がある。(萼は正3角形、短毛があり、萼歯は筒の1/3~1/4長)。花冠は長さ2.5~3.5㎜、白色~ピンク色~紫色。ときに完全雄性不稔になる。2n=72。
2 ハッカ Mentha canadensis (American corn mint , Japanese pepermint)は東アジア、北アメリカに分布する。根茎があり、多年草。茎は直立し、高さ30~60(10~80)㎝、軟毛(又は短毛)があり、多数分枝する。葉柄は長さ2~10(5~25)㎜。葉身は卵状披針形~長楕円形(線形~披針形)、長さ3~5(7)㎝、幅0.8~3㎝(茎の先で小さくなる)、軟毛があり、基部は楔形~円形、先は(普通)鋭形、(円鋸歯縁~鋸歯縁)、(葉裏は脈が明瞭で、短毛がある)。輪散花序は葉(苞葉ではなく、蓋葉と、花序柄と花序の境に2個の小さな苞葉がつく場合があり、つかないこともある)に腋生し、球形、直径約1.8㎝、他段の離れた仮輪となる。花序柄は長さ0~3㎜。小花柄は細く、長さ約2.5㎜。萼は筒状鐘形、長さ約2.5(1.5~3)㎜、外面に軟毛があり、腺点があり、不明瞭な10脈がある。萼歯は狭三角状錐形、 先は尖鋭形、長さ約1㎜。花冠は帯紫色~ピンク色~白色、長さ約4(4~7)㎜、軟毛がある。上側の裂片は大きくて2裂し、下側の裂片3個はほぼ同形で、楕円形、鈍頭。雄しべは長さ約5㎜。分果は黄褐色、表面に小さい穴がある。2n=96。(Flora of China、()内はJepson eFlora)2n=96
 

ハッカとヨウシュハッカの比較


  ハッカ(2n=96)
    ①葉が卵状披針形~長楕円形
      (北アメリカ産は線形~披針形)
    ②葉柄が長いものが多い、
     長さ2~10㎜(北アメリカ産5~25㎜) 
    ③萼歯は狭い三角形で、先が細くなる。
  ヨウシュハッカ(2n=72)
     ①葉が卵形
    ②葉柄がやや短い、長さ3~8㎜
    ③萼歯は正三角形で、先が細くなならない

3 メグサハッカ Mentha pulegium (pennyroyal) はヨーロッパ、中央~西アジア、北アフリカに分布する。匐枝は鱗片状の葉をつける。茎は斜上し、まれに直立~匍匐し、高さ10~30(50)㎝、細く堅い短毛で覆われ、縦筋があり、,赤紫色を帯び、よく分枝し、節間は普通、葉より長い。葉身は狭卵形~楕円形~卵形~卵状円形、長さ0.5~2.5 ㎝、草質、微軟毛がある。葉の基部は鈍形~円形、縁は全縁又はときにかすかに円鋸歯状、葉先は鈍形~円形。輪散花序は10~30個の花がつき、球形、直径1~1.5㎝、間隔が開き多段につく。花序の葉(蓋葉又は葉状の苞)は無柄、反曲し、花序より短い。小花柄は長さ2~3㎜。萼は筒状、2唇形、長さ2.5~3(4)㎜、細く堅い毛で覆われ、腺点があり、内面ののど部に毛があり、明瞭な10脈がある。萼筒は長さ約1.5㎜、上唇は3歯、歯は披針状三角形、長さ約1㎜、下唇は2歯、錐形、長さ約1.5㎜。花冠はローズ色~紫色、まれに白色、長さ約4.5(5~6)㎜、微軟毛がある。花冠の筒部は長さ約3㎜、先で急に袋状になる。裂片は長楕円形、長さ約1.5㎜、全縁、上部は披針形。雄しべは花冠より長い。子房は無毛。2n=20,30,40。