ヤシュウハナゼキショウ 野州花石昌
Flora of Mikawa
チシマゼキショウ科 Tofieldiaceae チシマゼキショウ属
学 名 | Tofieldia furusei (Hiyama) M.N.Tamura et Fuse synonym Tofieldia nuda Maxim. var. furusei Hiyama |
花 期 | 7~8月 |
高 さ | 10~30㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 日陰のある湿気の多い森林、山地のやや湿った岩場など |
分 布 | 在来種 日本固有種。栃木県、愛知県東部、和和歌山県南部に分布 |
撮 影 | 新城市 14.7.31 |
愛知県では東三河地域でしか見られず、絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。国ではリスト外。園芸種として販売されている。三河に自生するものはハナゼキショウとされてきたが、ヤシュウハナゼキショウに訂正された。
特徴:ヤシュウハナゼキショウは走出枝があり、果時の小花柄の長さは8~12㎜あり、包、小包の先はあまり尖らない。果実は広楕円形、長さ2.5~3㎜。葯が白黄色であり、全形が西のものよりも壮大で且つ常に明かに1~3本の匍匐枝を出す性質があって、西のハナゼキショウそのものとは明かに区別ができる。
植物は頑健、高さ38㎝まで。匍匐茎(ストロン)は地下茎、白色の鱗片状である。花序は花時に長さ約10㎝、花は約50個つく。果時の小花柄は長さ14㎜まで。葯は白黄色(albo-creameae)、紫色でも黄色でもない。花期は8月下旬であり、ハナゼキショウよりも1~2ヶ月は遅れる。
多年草、高さ10~30㎝。地下茎(ストロン)は短い。根出葉は2列に重なり合い、中脈に沿って内折して剣形になり、基部は跨状、線形、長さ5~25cm、先は長く尖り、草質で緑色、全縁である(縁はザラつかない)。花茎は単純、高さ10~30cm、2~3個の小型の葉がつき、平滑である。総状花序は頂生、長さ3~12cmの総状花序をつけ、それぞれの小苞の腋に長い小花柄の先に1個ずつ花をつける。小花柄は斜上し、真っすぐ、花序の上部では短く、下部では長くなり、花被片の長さの約1~3倍またはそれ以上、長いものは長さ9~15mmになる。花被片は6個、白色、線状長円形、上面が凹面形の舟形、長さ3~4mm、花後に蒴果を包んで宿存する。葯は白黄色(albo-creameae)、紫色でも黄色でもなく、受粉後に淡褐色になる。果実は蒴果で卵状楕円形、花柱が宿存して先が尖り、花被片より長くなる。種子には尾状付属物がない。花期は7~8月。
チシマゼキショウ属
family Tofieldiaceae - genus Tofieldia多年草、短い斜上する根茎をもつ。葉は根生又はほぼ根生し、2列につき、基部は跨状(equitant)、剣形、側面が平らになる。花茎は直立し、細く、先に多数の花の総状花序、又はまれに穂状花序をつける。花は両性、苞腋につき、小さく、しばしば1個の円蓋状の、まれに3個のほぼ離生の小苞が基部につく。花被片は6個、分離又は基部が合着し、宿存性。雄しべは6本、しばしば分離、ときに基部で合着し、又は花被片の基部につく。葯は卵形、底着又は類背着、内向き~横向き。子房は上位、普通、卵形、先が3裂、有柄又は無柄。胚珠は多数。蜜腺(septal nectaries)がしばしばある。花柱は3本、かなり短く、内向きの柱頭をもつ。果実は胞間裂開蒴果、3室があり、ときに袋果状で深く裂ける。種子は小さく、普通、線形~長円形。
世界に約20種あり、主に北半球の亜寒帯、温帯、亜熱帯に分布する。
チシマゼキショウ属の主な種
1 Tofieldia coccinea Richards チシマゼキショウ 千島石菖 [広義]日本(北海道、本州の中部地方以北)、朝鮮、中国、モンゴル、千島列島、サハリン、ロシア、ブータン、アラスカ、カナダ、グリーンランド原産。中国名は长白岩菖蒲 chang bai yan chang pu。
常緑多年草。葉はほとんど根生葉、茎葉は少し。葉は長さ2.5~7(~8)㎝×幅2~3(~4) ㎜、かなり硬く、縁は微少な突起が密生しザラつきい、先は尖鋭形、脈は不明瞭。花茎は長さ5~16㎝、上部に短い線形の葉を1~2個もつ。総状花序は長さ7~30㎜、密に多数の花がつく。花は水平に広がり、又は頻繁に下を向く。小花柄は花時に長さ0.5~0.8㎜、果時に長くなり、長さ1.5~2(~3.5)㎜。小苞は1個、円蓋形、先が3裂し、まれに3全裂する。花被片は白色又はわずかにピンク色又はまれに紫色を帯び、倒披針状長円形、長さ2~3㎜×幅約0.5㎜。雄しべは花被から突き出し、まれに花被と同長になる。子房は卵形、先がかすかに3裂する。花柱はかなり太く、長さ約0.4~0.5㎜、葯の長さに近い。蒴果は下向き、球形、直径2~2.5(~3)㎜、先はわずかに3裂し、長さ0.5~0.8㎜の宿存する花柱もち、柱頭は明瞭に太くなる。種子は線状紡錘形に近く、まれに楕円形、長さ(0.8~)1㎜、白色の縦の帯は無い。花期は7~8月。果期は8~9月。2n=(20), 30, (32)。
1-1 Tofieldia coccinea Richards. var. akkana (T.Shimizu) T.Shimizu アッカゼキショウ 安家石菖
synonym Tofieldia akkana T.Shimizu日本原産。岩手県岩泉町の安家で発見された。低山の石灰岩地帯に生える。
小型の多年草、高さ15~20㎝。地下茎は短い。根出葉は線形、ときに鎌形に曲がり、先は尖鋭形。花茎は苞が1~2個つき、苞は小型。総状花序は頂生、短い。花は白色~帯紫色、やや下向きに咲く。小花柄は長さ6~10㎜。外花被片は内花被片の長さの半分の長さで、明らかに短い。花期は7~8月。
1-2 Tofieldia coccinea Richards. var. coccinea チシマゼキショウ 千島石菖
synonym Tofieldia nutans Willd. ex Schult. et Schult.f.synonym Tofieldia fusca Miyabe et Kudo クロミノイワゼキショウ
synonym Tofieldia coccinea Richards. var. fusca (Miyabe et Kudo) H.Hara
synonym Tofieldia coccinea Richards. f. fusca (Miyabe et Kudo) Q.S.Sun
synonym Tofieldia coccinea Richards. f. rishiriensis (Miyabe et Kudo) Sugim.
synonym Tofieldia nutans Willd. ex Schult. et Schult.f. var. fusca (Miyabe et Kudo) Koidz.
日本(北海道、本州の中部地方以北)、朝鮮、中国、モンゴル、千島列島、サハリン、ロシア、ブータン、アラスカ、カナダ、グリーンランド原産。中国名は长白岩菖蒲 chang bai yan chang pu。小花柄は非常に短く、花時に長さ0.5~0.8㎜、果時に長くなり、長さ1.5~2(~3.5)㎜。葯は帯黄色。
クロミノイワゼキショウは花被と蒴果が暗褐色。
1-3 Tofieldia coccinea Richards. var. dibotrya M.N.Tamura et Fuse エダウチゼキショウ 枝打石菖
日本原産。神奈川県に分布。複総状花序、花序に側枝があって円錐花序になる。
1-4 Tofieldia coccinea Richards. var. geibiensis (M.Kikuchi) H.Hara ゲイビゼキショウ 猊鼻石菖
synonym Tofieldia kiusiana var. geibiensis M.Kikuchi日本原産。岩手県に分布。一関市東山町の猊鼻(げいび)渓の湿った石灰岩地だけに生える。
小型の多年草。高さ15~25㎝。小花柄は長さ6~10㎜。外花被片が内花被片と同長。花期は5~6月。
1-5 Tofieldia coccinea Richards. var. gracilis (Franch. et Sav.) T.Shimizu ハコネハナゼキショウ 箱根花石菖
synonym Tofieldia gracilis Franch. & Sav.日本(本州の関東地方~中国地方、四国)原産。チシマゼキショウの低山地型。やや湿った岩場に生える。丈が高くなり、外観はハナゼキショウに似るが、葉の縁に微少な突起が密生する。別名はチャボゼキショウ。最近ではチャボゼキショウは普通、アポイゼキショウの別名とされる。
葉は長さ10~15cm×幅1~3㎜でアポイゼキショウより長く、葉の縁に微少な突起が密生する。花茎は長さ10~20㎝、果時に24㎝に達する。花被片は長さ2~3㎜、白色。小花柄は開出し、長さ2~3㎜、果時に2~5㎜。花がアポイゼキショウより疎らにつくため、花柄は花時によく見える。蒴果は長さ2.5~4㎜、下を向く。
1-6 Tofieldia coccinea Richards. var. kiusiana (Okuyama) H.Hara ナガエチャボゼキショウ 長柄矮鶏石菖
synonym Tofieldia kiusiana Okuyama
synonym Tofieldia nutans Willd. ex Schult. et Schult.f. var. kiusiana (Okuyama) Ohwi
日本原産。宮崎県に分布。別名はミヤマゼキショウ。細長い匍匐性の根茎で、細長い糸状の綿毛のある根を出す。葉は線形で、 剣形、先が非常に鋭形。茎葉は短く、長さ7~10㎝、幅2~3㎜、通常5~6本の脈があり、5脈が目立ち、ほぼ革質、縁は軟骨質でザラつく。花茎は直立または斜上し、平滑、長さ20~30㎝、長さは葉の長さの3倍ある。花序は長さ15~25㎝、2~3枚の葉がある。総状花序は花が10~18個つき、長さ3~5㎝。苞は尖り、長さ2㎜、1脈があり、縁は薄膜質。小花柄はアーチ状、長さ4~8㎜、糸状。萼は3裂し、裂片は三角状卵形、先が尖る。花被片は宿存性、長さ4~4.5㎜、線状へら形、1脈があり、間隔は離れる。雄しべはほぼ等長。葯は淡色。花柱は長さ約1㎜、細い。蒴果は卵状楕円体、3室。
1-7 Tofieldia coccinea Richards. var. kondoi (Miyabe et Kudo) H.Hara アポイゼキショウ
synonym Tofieldia nutans Willd. ex J.A. et J.H.Schult. var. kondoi (Miyabe et Kudo) H.Hara
synonym Tofieldia coccinea Richards. var. fauriei (H.Lev. et Vaniot) T.Yamaz. タンナイワゼキショウ
synonym Tofieldia coccinea Richards. f. pallescens H.Harasynonym Tofieldia fauriei H.Lev. et Vaniot
北海道(日高山脈、大平山、嵯山)、本州(中部・北部の標高1200~2800mの亜高山帯~高山帯)に分布。別名はチャボゼキショウ。
小型の多年草、高さ6~20㎝。地下茎は短い。葉は細く、線形~線状鎌形、長さ25~80㎜×幅1.5~3㎜、縁に細かい突起がある。果期に花茎は長さ5~12㎝、小花柄が伸びて、長さ2~5㎜になる。総状花序は花が疎につく。花は小さな白色、6弁花。葯は紫色。果序には果実がやや疎らに付き、果実は広倒卵形、長さ2~3(~4)㎜、茶褐色、黒色になることは少ない。花期は6~7(8)月。
1-8 Tofieldia coccinea subsp. sphaerocephala A.P.Khokhr.
synonym Tofieldia sphaerocephala (A.P.Khokhr.) A.P.Khokhr.ロシア(カムチャッカ、マガダン)に分布。
2 Tofieldia furusei (Hiyama) M.N.Tamura et Fuse ヤシュウハナゼキショウ 野州花石昌
synonym Tofieldia nuda Maxim. var. furusei Hiyama日本固有種。栃木県、愛知県東部、和和歌山県南部に分布。日陰のある湿気の多い森林、山地のやや湿った岩場などに生える。三河に自生するものはハナゼキショウとされてきたが、ヤシュウハナゼキショウに訂正された。
特徴:ヤシュウハナゼキショウは走出枝があり、果時の小花柄の長さは8~12㎜あり、包、小包の先はあまり尖らない。果実は広楕円形、長さ2.5~3㎜。葯が白黄色であり、全形が西のものよりも壮大で且つ常に明かに1~3本の匍匐枝を出す性質があって、西のハナゼキショウそのものとは明かに区別ができる。
植物は頑健、高さ38㎝まで。匍匐茎(ストロン)は地下茎、白色の鱗片状である。花序は花時に長さ約10㎝、花は約50個つく。果時の小花柄は長さ14㎜まで。葯は白黄色(albo-creameae)、紫色でも黄色でもない。花期は8月下旬であり、ハナゼキショウよりも1~2ヶ月は遅れる。
多年草、高さ10~30㎝。地下茎(ストロン)は短い。根出葉は2列に重なり合い、中脈に沿って内折して剣形になり、基部は跨状、線形、長さ5~25cm、先は長く尖り、草質で緑色、全縁である(縁はザラつかない)。花茎は単純、高さ10~30cm、2~3個の小型の葉がつき、平滑である。総状花序は頂生、長さ3~12cmの総状花序をつけ、それぞれの小苞の腋に長い小花柄の先に1個ずつ花をつける。小花柄は斜上し、真っすぐ、花序の上部では短く、下部では長くなり、花被片の長さの約1~3倍またはそれ以上、長いものは長さ9~15mmになる。花被片は6個、白色、線状長円形、上面が凹面形の舟形、長さ3~4mm、花後に蒴果を包んで宿存する。葯は白黄色(albo-creameae)、紫色でも黄色でもなく、受粉後に淡褐色になる。果実は蒴果で卵状楕円形、花柱が宿存して先が尖り、花被片より長くなる。種子には尾状付属物がない。花期は7~8月。
3 Tofieldia nuda Maxim. ハナゼキショウ 花石菖
synonym Asphodeliris nuda (Maxim.) Kuntze
synonym Tofieldia nuda var. hizenensis T.Yamaz. ヒゼンハナゼキショウ
日本固有種(本州の関東地方以西、四国、九州の佐賀県・長崎県)。別名はイワゼキショウ。 愛知県では東三河地域でしか見られず、絶滅危惧Ⅱ類に指定されていたが、愛知県のものはヤシュウハナゼキショウと訂正された。国ではリスト外。園芸種として販売されている。山地の岩崖地に生える。特徴:走出枝がなく、小花柄は果期に4~8(~13)㎜、包や小包の先は鋭く尖り、果実は広楕円形、これに対し、ヤシュウハナゼキショウでは走出枝があり、果期の小花柄の長さは8~15㎜あり、包、小包の先はあまり尖らない。
植物は無毛、匍匐茎(stolons)は無い。根茎は短い。葉は側部が平らになり、線形、弓状、3~7脈があり、長さ5~25cm、先は長い尖鋭形、縁は平滑。花茎は長さ10~30cm、2~3葉がつく。総状花序は長さ3~6cm、花は密に多数付き、小花柄は細く、真っ直ぐで、開出し、長さ4~8(10)mm。苞は披針形、先は鋭形または亜鈍形、長さ1.5~2mm、小苞は3裂する。花は白色、長さ3.5~4mm、葯は青白く(pallid)または淡紫色。蒴果は卵状楕円形、長さ2~4㎜、花被片よりわずかに長い。花柱は細く、長さ0.6~1.5mm。花期は7~8月。2n=30。
ハナゼキショウ類のKey(参考8)
A. 植物は匍匐茎(stolons)がない。小花柄は長さ4~8mm
B. 果実は長さ2~3(~4)mm,平均長さ2.8mm ………T. nuda
B. 果実は長さ2.5~4mm,平均長さ3.05mm ………T. nuda var. hizenensis
A. 植物は匍匐茎(stolons)がある。小花柄は長さ8~15mm
B. 果実は倒卵形. 長さ3~4mm ………………T. yoshiiana
B. 果実は広楕円形, 長さ2.5~3mm …………T. furusei
【Flora of Japan 1953の解説】
Tofieldia nuda Maxim.にTofieldia yoshiiana Makinoを含めていた。
植物は無毛で、糸状または毛細管状の匍匐茎(stolons)を持つ。根茎は短い。葉は側部が平らになり、線形、弓状、3~7脈があり、長さ5~12(~20)cm、先は長い尖鋭形、縁は平滑。花茎は長さ12~30cm、2~3葉がつく。総状花序は長さ3~6cm、花は密または緩やかに多数付き、小花柄は細く、真っ直ぐで、開出し、長さ5~12mm。苞は披針形、先は鋭形または亜鈍形、長さ1.5~2mm、小苞は3裂する。花は白色、長さ3.5~4mm、葯は青白く(pallid)または淡紫色。蒴果は卵状楕円形、花被片よりわずかに長い。花柱は細く、長さ0.6~1.5mm。山地の岩場。本州(関東、東海道以西、近畿、中国地方)、九州、韓国。
(1) Tofieldia nuda Maxim. var. hizenensis T.Yamaz. ヒゼンハナゼキショウ 肥前花石菖
九州(佐賀県、長崎県)に分布。POWOでは基本種に含められている。走出枝は無く、小花柄は短く、長さ4~8㎜。果実が広楕円形でハナゼキショウに似ているが果実がやや小さく、長さ2.5~4㎜。
4 Tofieldia okuboi Makino ヒメイワショウブ 姫岩菖蒲
日本固有種(北海道、本州の中部地方以北)。高山の牧草地や岩の上にまれに生える。[多年草。高さ5~15cm。]根茎は短く這う。葉は線形、横に平らで、中央より上が最も幅広く、長さ3~6㎝、幅2~5㎜、急に鋭形になり、微突形または短い尖鋭形、縁がザラつく。花茎は長さ6~15㎝、直立し、1~2個の短い葉がある。総状花序[は頂生、長さ1~4㎝、]花が約10個つき、小花柄は長さ2~6㎜、直立し、かなり丈夫である。花は直立し、緑白色、長さ約3㎜。小苞は3個、微細、ほぼ離生。蒴果は長円形、長さ約4㎜、直立する。花柱は非常に短い。柱頭は小さく、円盤形。[子房は緑色。蒴果は長さ約4㎜。]花期は7~8月。(Flora of Japan 1953に[]を加筆)。
5 Tofieldia pusilla (Michx.) Pers. トフィールディア・プシラ
ヨーロッパ(オーストリア、フィンランド、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、ノルウェー、ポーランド、スペイン、スウェーデン、スイス)、ロシア、アラスカ、カナダ、USA、グリーンランド、アイスランド原産。英名はScottish asphodel , Scotch false asphodel。標高0~2300mの湿った開けた場所に生え、石灰質の場所に多い。
茎は高さ1.5~30㎝。葉身は長さ8㎝×幅3㎜・まで。花序は開き、花が3~35個つき、長さ0.3~5㎝。苞は帯白色、縁は深く3裂する。小苞はない。花被片は白色~黄緑色、長さ1.5~3㎜、内側の花被片は外側の花被片よりわずかに長い。雄しべは花被片とほぼ同長。子房は楕円形。花柱は長さ0.3~0.4㎜。小花柄は長さ1~3㎜。蒴果はほぼ球形、長さ2.5~3㎜。種子は長さ0.6~0.8㎜。2n=30。花期は夏。
6 Tofieldia ulleungensis Hyerun Jo トフィールディア・ウレウンゲンシス
韓国固有種。鬱陵島だけに分布。韓国名はUl-leung-kkot-jang-po(울릉꽃장포)。標高の高い湿った岩場に生える。個体群は成熟した個体約50株で構成されている。多年生草本、高さ10~17cm、短い斜上する根茎を持つ。葉は根生またはほぼ根生し、2列、平ら、長さ7~15cm×幅5~7mm、やや硬く、縁はザラつき(微小な歯状の突起がある)、先は尖鋭形、3~5本の目立たない葉脈があり、先端はわずかに曲がる。花茎は斜めで細く、長さ12~15cm、基部に1~2枚の線形の葉がある。総状花序は約3~5cm×幅8~13mmで、花が密に多数つく。花は両性花、苞葉の腋から生じ、斜上またはほぼ斜上し、苞葉は披針形、花時に小花柄は長さ2~3㎜、小苞は1個でカップ形(cupular)、先は2~3裂する。花被片は6個、白色、狭倒披針状長円形、長さ3~3.5㎜×幅約0.7~1mm。雄しべは6本、花被片とほぼ同長、花糸は長さ2.5~3mm、葯は長さ約0.7mm、淡褐色~褐色。子房は上位、長さ約1.5~2mm、長円形~卵形、白色。花柱は3本、反り返り、長さ約0.5~0.7mm、葯とほぼ同長。柱頭は白色。蒴果はほぼ直立し、約・長さ4mm×幅3~4mm、倒卵状楕円形。心皮は長さ2~3.5mm×幅2~2.5mm、宿存する花柱は長さ0.5~1mm。柱頭はほとんど肥厚しない。種子は三日月形、約・長さ1~1.2mm×幅0.2~0.3mm、両側に白い縦縞はない。花期は7月中旬~8月下旬。
7 Tofieldia yoshiiana Makino ヤクシマチャボゼキショウ 屋久島矮鶏石菖 広義
synonym Tofieldia nuda var. yoshiiana (Makino) T.Yamaz.
日本固有種。屋久島に分布。別名はヤクシマハナゼキショウ。山の日陰や露出した岩の上に生える。特徴:ヤクシマチャボゼキショウは走出枝をもち、小花柄は長く、果期で長さ(7~)10~15㎜になり、包や小包の先は尖るがあまり鋭くなく[鋭形またはほぼ鈍形]、果実は楕円状倒卵形[紡錘状楕円形]である。
小さな多年草、匍匐性(ストロンをもつ)。根はひげ根(繊維状)、束生し、密ではなく、丈夫な糸状、毛がある。匍匐茎は少なく、地下性で細く(gracile)、多くの節と膜質の鞘がある。葉(根生葉)は二列生、扇状に跨状になり、鎌形の線状剣形、全縁で平滑な縁を持ち、薄いがしっかりしており、無毛、緑色、3脈があり、長さ5~8.5㎝×幅3~4.5㎜、基部は鞘で覆われ、鞘の縁は非常に狭い薄膜質。茎は直立し、細く、帯緑色で、葉は2枚あり、上部の葉は縮小し、小さく、幅が狭い。総状花序は直立し、高さは葉をわずかに超え、多数の花がつき、果時に長さ約4㎝、花序軸は細く、無毛、帯緑色、真っすぐ。苞は微小、三角状錐形、先は鋭形またはほぼ鈍形、全縁、背側に少し亜竜骨があり、少数の脈があり、無毛、淡緑色、長さ2~2.5㎜。最下の苞はときに大きくなり、披針状錐形、長さ約7㎜。花は小花柄があり、小花柄は直立・開出し、剛毛があり、帯緑色、無毛、果時に長さ5~15㎜。萼は杯形、3裂し、薄く、無毛、帯緑色で、縁が薄膜質、長さ約1㎜、宿存する。萼片は三角形、先は鈍形または鋭形で、1本の中肋と中肋に平行な付属の繊細な静脈を持つ。花被片は6個、宿存性、帯緑色、果時に斜上し、密着し、凹んだ舟形で、全縁、3脈を持ち、へら状倒披針形、先は亜凹状鈍形、草質~膜質。外側の3個の花被片は短く、長さ4㎜、果時に長くなる。内側の花被片は長さ5㎜。雄しべは6本、わずかに突き出る。花糸は丈夫、線状錐形、先は先細り、斜上状に直立し、1脈があり、無毛で、宿存する。蒴果は緩く配置され、高さは内花被片と同じだが、宿存する3花柱が突き出し、花柱を含めて長さ約6㎜、紡錘状楕円形、基部で短く鋭く漸尖し、3本の溝があり、帯緑色、無毛。心皮は膨れ、短く自由部分があり、花柱に向かって先細り、背には細い1本のうねがある。花柱は直立・開出し、狭い錐形、心皮よりも短い。種子は各心皮に数個あり、紡錘状線形、長さ約1.75mm。長く、縦にやや角(かど)があり、先端に短い白色の嘴があり、黄色、種皮は薄く、胚は広線形。
3変種がある。
7-1 Tofieldia yoshiiana Makino var. hyugaensis M.N.Tamura et Fuse ヒュウガハナゼキショウ 日向花石菖
宮崎県に分布する。別名はヒュウガチャボゼキショウ7-2 Tofieldia yoshiiana Makino var. koreana (Ohwi) M.N.Tamura, Fuse et N.S.Lee コハナゼキショウ 小花石菖
synonym Tofieldia yoshiiana Makino var. kanwonensis (T.Yamaz.) M.N.Tamura, Fuse et N.S.Lee
synonym Tofieldia nuda auct. non Maxim.韓国原産。
花茎が長く、花柄も長いので、チャボゼキショウとは異なり、外観はハコネハナゼキショウに似ている。 一株での葉の長さはほぼ均一で、長さ4~5㎝×幅1.5~3㎜(長さ/幅=約43)、ハコネハナゼキショウより葉が細長い.
7-3 Tofieldia yoshiiana Makino var. yoshiiana ヤクシマチャボゼキショウ 屋久島矮鶏石菖 狭義
synonym Tofieldia nuda Maxim. var. yoshiiana (Makino) T.Yamaz.
日本固有種。屋久島に分布。走出枝をもち、花柄は長く、果期で長さ(7~)10~15㎜になり、包や小包の先は尖るがあまり鋭くない。果実は楕円状倒卵形、長さ3~4㎜。
参考
1) Flora of ChinaTofieldia
Tofieldia
Tofieldia
Tofieldia Yoshiiana MAKING, sp. nov.
原寛 :日本種子植物集覧第2冊より
奥山春季:新種ナガエチャボゼキショウ
ヤシュウハナゼキショウ
ハナゼキショウとチシマゼキショウについて
Tofieldia p281
Tofieldia ulleungensis (Tofieldiaceae):
A new species, endemic to Ulleungdo Island, Korea
ヤシュウハナゼキショウ