ヤナギタデ 柳蓼
Flora of Mikawa
タデ科 Polygonaceae イヌタデ属
別 名 | マタデ、ホンタデ |
中国名 | 辣蓼 la liao |
英 名 | marsh-pepper smartweed , redleaf , water-pepper |
学 名 | Persicaria hydropiper (L.) Spach
synonym Persicaria hydropiper (L.) Delarbre var. filiformis Araki synonym Polygonum hydropiper L. |
花 期 | 6~10月 |
高 さ | 30~80㎝ |
生活型 | 1年草 |
生育場所 | 川岸、川辺、湿った谷、湿った場所、水田の畦 |
分 布 | 在来種 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシアからヨーロッパなどユーラシアのほぼ全体、スリランカ、インドネシア、フィリピンなどの諸島、北アフリカ(モロッコ、アルジェリア)、オーストラリア原産 |
撮 影 | 作手村 01.10.3 |
ヤナギタデはタデ科イヌタデ属の1年草。和名は葉がヤナギの葉に似ていることに由来する。水田の畦などに生え、葉に辛味があり、香辛料に利用され、栽培され、マタデとかホンタデとも呼ばれている。北アメリカに広く帰化し、南アメリカ、南アフリカ、ニュージーランドなどにも帰化している。
1年草。 茎は直立し、高さ(30)40~70(80)㎝、よく分枝し、無毛で、節が太くなる。葉はコショウのような辛味がある。葉柄は長さ4~8㎜。 葉身は披針形または楕円状形披針形、長さ4~8(10)㎝×幅0.5~25㎝、両面とも無毛、ときに中脈上に伏した小剛毛があり、下面に密に褐色の腺点があり、基部は楔形、縁には繊毛があり、先は尖鋭形。葉腋に多数の閉鎖花(cleistogamous flowers)が見られる。托葉鞘は筒状、長さ1~1.5㎝、膜質、まばらに伏した小剛毛があり、先は切形、短い(長さ約3㎜)縁毛がある。花序は頂生または腋生、穂状花序状、垂れ下がり、下部で途切れ、通常緩く、長さ3~8(10)cm、細い。 苞は緑色、漏斗形、長さ2~3mm、縁は膜質、まばらに短い縁毛があり、それぞれに3~5個の花がつく。小花柄は苞よりも長い。花被は帯緑色、上部は白色またはピンク色で、5(または4)深裂し、帯褐色がかった透明な腺点がある。花被片は楕円形、長さ3~3.5㎜。雄しべは6本まれに8本、突き出ない。花柱は2または3本。 痩果は宿存する花被に包まれ、黒褐色、光沢がなく、長さ2~3㎜、卵形、両凸形(レンズ)形と3稜形が混じり、密に小さな穴がある(凸凹でザラつく)。花期は5~9月。花期は6~10月。2n=18~22。
品種) 'Fastigiata'
下記の変種や品種があるが、POWO(Kewscience)では以下の変種を認めていない。
1年草、高さ30~50㎝、基部から多数分枝し、叢生、節は膨れる。葉は披針形、基部は漸尖し、葉柄になり、長さ2~5㎝×幅3~10㎜、ほぼ無毛、細腺点がある。葉鞘は短く、膜質、上部の縁毛だけがある。細い花穂を枝先に出し、下部の花は離れてつく。萼は長さ1.5~2㎜、白色、ときに淡紅色を帯び、基部は淡緑色、4~5裂し、細腺点がある。無花弁。6雄しべ。2花柱。痩果はレンズ形、長さ1.5㎜、黒可食。葉は辛味料として用いられる。ヤナギタデに比べ枝、葉は密につき、各部が小形、葉が狭線形の品種をイトタデ(f. angustissimum Makino) と呼ぶ(日本牧野植物図鑑)。
葉や茎が紫色のもの。若芽(スプラウト)が刺し身のつまとして使われている。2n=20。
1年草。高さ30~40㎝。葉は互生し、葉柄があり、葉身は幅が狭くて長く、狭長披針形~線形、両端は長く尖り、腺点があり、葉に辛味がある。托葉鞘は円筒形。花序は穂状、細く、まばらに花をつけ、垂れ下がる。花被は4~5裂し、腺点がある。雄しべは6本。子房は狭卵形。花柱は2本。痩果は宿存する花被に包まれ、2面体の卵形。
ヤナギタデは葉・葉鞘が無毛で、苞はしばしば縁毛を欠き、痩果は卵状楕円形で長さ2.5~3.5㎜。ヤナギタデと称しているものの中には、葉の中肋上や葉鞘に伏した剛毛があり、葉鞘は比較的茎に密着し、縁毛もやや長く、苞も縁毛を有し、痩果は卵円形で長さ約2㎜、葉は広披針形で両端が尖リ、質がやや堅いものがある。中間形があって、その区別は困難であるが、特に著しい形のものを変種として分ける。
ボントクタデに似るが、ボントクタデにおいては、葉は概ね楕円状または卵状披針形で先端は急に鋭尖頭になり、葉や葉鞘の毛は更に多く、縁毛もさらに長く、花穂は痩長で疎花、花被は概ね5裂し、雄しべは約8本、痩果は三稜形が多いので区別できる(J. J. B. 14: 73 1938)。
ボントクタデ(Persicaria pubescens (Blume) H. Hara)はヤナギタデと同じような場所にも生え、よく似ている。葉に辛味が全くないので、葉を噛めば簡単にわかる。ボンントクタデは葉の両面や茎など全体に小剛毛が多く、花被は5深裂であり、4裂することがなく、痩果も3稜形。葉に黒い斑紋がある。
1年草。 茎は直立し、高さ(30)40~70(80)㎝、よく分枝し、無毛で、節が太くなる。葉はコショウのような辛味がある。葉柄は長さ4~8㎜。 葉身は披針形または楕円状形披針形、長さ4~8(10)㎝×幅0.5~25㎝、両面とも無毛、ときに中脈上に伏した小剛毛があり、下面に密に褐色の腺点があり、基部は楔形、縁には繊毛があり、先は尖鋭形。葉腋に多数の閉鎖花(cleistogamous flowers)が見られる。托葉鞘は筒状、長さ1~1.5㎝、膜質、まばらに伏した小剛毛があり、先は切形、短い(長さ約3㎜)縁毛がある。花序は頂生または腋生、穂状花序状、垂れ下がり、下部で途切れ、通常緩く、長さ3~8(10)cm、細い。 苞は緑色、漏斗形、長さ2~3mm、縁は膜質、まばらに短い縁毛があり、それぞれに3~5個の花がつく。小花柄は苞よりも長い。花被は帯緑色、上部は白色またはピンク色で、5(または4)深裂し、帯褐色がかった透明な腺点がある。花被片は楕円形、長さ3~3.5㎜。雄しべは6本まれに8本、突き出ない。花柱は2または3本。 痩果は宿存する花被に包まれ、黒褐色、光沢がなく、長さ2~3㎜、卵形、両凸形(レンズ)形と3稜形が混じり、密に小さな穴がある(凸凹でザラつく)。花期は5~9月。花期は6~10月。2n=18~22。
品種) 'Fastigiata'
下記の変種や品種があるが、POWO(Kewscience)では以下の変種を認めていない。
1-1 Persicaria hydropiper (L.) Delarbre f. angustissima (Makino) Araki アザブタデ 麻布蓼
synonym Persicaria hydropiper (L.) Delarbre var. fastigiata (Makino) Araki
庭地や畑地に栽培される。別名はエドタデ。1年草、高さ30~50㎝、基部から多数分枝し、叢生、節は膨れる。葉は披針形、基部は漸尖し、葉柄になり、長さ2~5㎝×幅3~10㎜、ほぼ無毛、細腺点がある。葉鞘は短く、膜質、上部の縁毛だけがある。細い花穂を枝先に出し、下部の花は離れてつく。萼は長さ1.5~2㎜、白色、ときに淡紅色を帯び、基部は淡緑色、4~5裂し、細腺点がある。無花弁。6雄しべ。2花柱。痩果はレンズ形、長さ1.5㎜、黒可食。葉は辛味料として用いられる。ヤナギタデに比べ枝、葉は密につき、各部が小形、葉が狭線形の品種をイトタデ(f. angustissimum Makino) と呼ぶ(日本牧野植物図鑑)。
1-2 Persicaria hydropiper (L.) Delarbre f. purpurascens (Makino) Nemoto ムラサキタデ 紫蓼
synonym Persicaria hydropiper (L.) Delarbre var. latifolia Araki葉や茎が紫色のもの。若芽(スプラウト)が刺し身のつまとして使われている。2n=20。
1-3 Persicaria hydropiper (L.) Delarbre f. viridis (Makino) Araki サツマタデ 薩摩蓼
synonym Persicaria hydropiper (L.) Delarbre var. maximowiczii (Regel) Nemoto ホソバタデ
別名はホソバタデ。f. viridisはアオホソバタデ。ホソバタデは全体に紅紫色を帯びるもの。葉を辛味料として食用とする。1年草。高さ30~40㎝。葉は互生し、葉柄があり、葉身は幅が狭くて長く、狭長披針形~線形、両端は長く尖り、腺点があり、葉に辛味がある。托葉鞘は円筒形。花序は穂状、細く、まばらに花をつけ、垂れ下がる。花被は4~5裂し、腺点がある。雄しべは6本。子房は狭卵形。花柱は2本。痩果は宿存する花被に包まれ、2面体の卵形。
1-4 Persicaria hydropiper (L.) Delarbre var. scabrida H.Hara ザラツキヤナギタデ
本州、四国、九州、小笠原島、朝鮮、台湾に分布する。ヤナギタデは葉・葉鞘が無毛で、苞はしばしば縁毛を欠き、痩果は卵状楕円形で長さ2.5~3.5㎜。ヤナギタデと称しているものの中には、葉の中肋上や葉鞘に伏した剛毛があり、葉鞘は比較的茎に密着し、縁毛もやや長く、苞も縁毛を有し、痩果は卵円形で長さ約2㎜、葉は広披針形で両端が尖リ、質がやや堅いものがある。中間形があって、その区別は困難であるが、特に著しい形のものを変種として分ける。
ボントクタデに似るが、ボントクタデにおいては、葉は概ね楕円状または卵状披針形で先端は急に鋭尖頭になり、葉や葉鞘の毛は更に多く、縁毛もさらに長く、花穂は痩長で疎花、花被は概ね5裂し、雄しべは約8本、痩果は三稜形が多いので区別できる(J. J. B. 14: 73 1938)。
ボントクタデ(Persicaria pubescens (Blume) H. Hara)はヤナギタデと同じような場所にも生え、よく似ている。葉に辛味が全くないので、葉を噛めば簡単にわかる。ボンントクタデは葉の両面や茎など全体に小剛毛が多く、花被は5深裂であり、4裂することがなく、痩果も3稜形。葉に黒い斑紋がある。