ワタスゲ  綿菅

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Flora of Mikawa

カヤツリグサ科 Cyperaceae ワタスゲ属

別 名 スズメノケヤリ
中国名 白毛羊胡子草 bai mao yang hu zi cao
英 名 hare-tail cotton-grass , tussock cotton-grass
学 名 Eriophorum vaginatum L.

 synonym Eriophorum vaginatum L. subsp. fauriei (E.G.Camus) A. et D.Löve

 synonym Eriophorum vaginatum L. var. fauriei (E.G.Camus) Kitag.

ワタスゲの果実
ワタスゲの鱗片
ワタスゲの葉
ワタスゲ
果 期 6~8月
高 さ 10~60(80)㎝
生活型 多年草
生育場所 亜高山~高山の沼地、湿原、湿った場所
分 布 在来種 日本(北海道、本州の中部地方以北、四国)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、南西アジア、ヨーロッパ、北アメリカ原産
撮 影 栂池自然園  07.7.27
学名はEriophorum vaginatum L.とされ、北アメリカ産も含める。狭義にsubsp. faurieiと亜種に分類する見解もある。
 根茎は短い。稈は叢生、高さ15~80㎝、鈍い3稜があり、平滑だが、ときに花序の下部がザラつき、褐色の葉鞘で基部を被われ、鞘は繊維状に崩壊する。根生葉は線形、稈より短い。葉身は幅約1㎜、3稜があり、ザラつき、先は細く、狭まり、先は鈍形~鋭形。茎葉は1~2個、しばしば葉身の無い黒色の鞘に退化し、長さ3~6㎝。先の1つは膨らみ、膜質、細かい横脈がある[日本産には横脈がない(参考6)]。苞は灰黒色、苞穎状、卵状披針形、膜質、先は尖鋭形。花序は頂生、ただ1個の小穂だけをもち、長さ1~3㎝、多数の花があり、基部に約10個の不稔の苞穎をもつ。小穂は直立、灰褐色、倒卵状球形、花時に長さ約1.5㎝、果時には類球形、長さ2.5~3.5㎝×幅2.5~3.5㎝。苞穎は卵状披針形~デルタ状披針形、薄い膜質、1脈があり、縁は灰色~暗灰色で縁が淡色の透明、先は尖鋭形。刺針状花被片は10本又はそれ以上、白色、長さ1.5~2.5㎝。雄しべは3本。葯は線形、長さ2~2.5㎜。柱頭は3個。小堅果は褐色、倒卵形、長さ2~2.2[~3]㎜×幅約1㎜、扁平な3面があり、微細な微突頭、平滑。花期と果期は6~9月。2n=26, 58, 60, 61, 83。
 同属のサギスゲも同じような綿毛をつくるが、茎に2~5個の小穂をつける。愛知県内にはワタスゲは自生しない。

ワタスゲ属

  family Cyperaceae - genus Eriophorum

 多年草。根茎は這う。稈は叢生又は散生に近く、鈍い3稜があり、基部を葉身の無い鞘で覆われる。葉は根生葉と茎葉。根生葉の葉身は細く、長く、平ら又は3稜がある。茎葉は普通、鞘に退化する。苞は鞘状又は鱗片状(苞穎状)まれに、葉状[鱗片状になる場合は苞がないとも記載される]。花序は頂生の単純又は複合のイグサ形花序又は1個の小穂に退化する。小穂は少数~多数の脱落性の苞穎をもつ。苞穎はそれぞれが1個の両性の花を抱く。刺針状花被片は10~30本、白色又は褐赤色、花後に極端に長くなり、平滑で絹状。雄しべは3本。柱基は明瞭でなく、太くならないか又はわずかに太くなる。柱頭は3個、小堅果は倒卵形~長円形、3面があり、平滑、先に嘴がある。
 世界に約25種あり、北半球の寒冷な高山や極地に分布する。

ワタスゲ属の主な種

1 Eriophorum angustifolium Honck. シュムシュワタスゲ 占守綿菅
  synonym Eriophorum polystachion auct. non L., nom. rej
 日本(占守島)、千島列島、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は东方羊胡子草 dong fang yang hu zi cao。英名はcommon cotton-grass。 和名は北海道の占守島に因む。沼地、湿った場所に生える。
 根茎は短い。匍匐枝は細く、這う。稈は散生し、高さ35~114㎝、類円柱形だが、先部は3稜があり、平滑。 根生葉は稈より短い。茎葉は1~3個、鞘は黒紫色、長く、わずかに膨れる。葉身は幅3~5(~7)㎜、折り重なり又は平ら、先には3稜がある。苞は2~3個、暗褐色、仏炎苞状、直立し、長さ12㎝以下の葉状の葉身をもち、先は3稜があり、緑色。花序は単純なイグサ形花序、小穂を(1~)2~10個もつ。小穂は卵形~楕円形、長さ10~15㎜×幅5~7㎜。花序柄は長さが等しくなく、平らになり、平滑又はザラつき、しばしば落下する。苞穎は淡褐灰色、卵形~披針形、長さ5~5.5㎜×幅1.8~2㎜、膜質、1脈があるが、ときに基部に不明瞭な3脈があり、先は鈍形。刺針状花被片は10本又はそれ以上、白色、長さ3~4㎜、柔らかく、端で分枝せず、先は鋭形。雄しべは3本。葯は線形、長さ(2~)3~4(~5)㎜。花柱は細い。柱頭は3個。小堅果は黒色、狭倒卵形、長さ2~3㎜×幅約1㎜、扁平な3面があり、先に嘴がある。花期と果期は6~8月。2n=58。

1-1 Eriophorum angustifolium subsp. komarovii (V.N.Vassil.) Vorosch. チョウセンサギスゲ

  synonym Eriophorum komarovii V.N.Vassil.

  synonym Eriophorum vaginatum L. var. fauriei (E.G.Camus) Kitag.

 モンゴル、ロシア、サハリンに分布
 E. triste と E. komarovii に共通する唯一の特徴は、ザラつく花序柄である。 生態学的にも地理的にも、E. komarovii と E. triste は多くの形質の変異パターンの両端にあり、E. angustifolium はその中間にある(参考7)。KewscienceではE. angustifolium subsp. komaroviiとE. tristeに分類している。

2 Eriophorum brachyantherum Trautv. エリオフォルム・ブラキアンテルム
 朝鮮、モンゴル、ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ、北半球の類極部に分布。英名はClosed-sheath cotton-grass。沼地、湿地、湿原、ツンドラ、湿った土壌に生える。
 叢生する。稈は円柱形又はほぼ円柱形、高さ20~70㎝、平滑。葉身の無い鞘が1~3個、稈に均等に配置し、上部と中間は上部で膨らまず、糸状、樋があり、幅0.4~1.2㎜。苞は無い。小穂は単生、直立、球形、花時に長さ10~20㎜、果時に長さ20~35㎜。下部の空の鱗片は普通、7個又はそれ以上、斜上し、帯黒色、卵状披針形、長さ5~10㎜、薄く、縁は広く、肋は無く、中肋は先端に届かない。刺針状花被片は普通、8本以上、クリーム白色~淡褐色、長さ10~20㎜。葯は長さ0.5~2㎜。痩果は倒披針形、長さ(1.8~)2~2.3(~2.7)㎜×幅0.5~1.2㎜、先は微細な微突頭、長さ0.1㎜。2n=58。果期は夏。

3 Eriophorum gracile W.D.J.Koch サギスゲ 鷺菅
 日本、朝鮮、中国、ロシア、カザフスタン、ヨーロッパ、北アメリア原産。中国名は细秆羊胡子草 xi gan yang hu zi cao 。英名はslender cottongrass。沼地、草地に生える。
 根茎は長く這い、細い。稈は散生し、高さ25~50㎝、細く、 3稜があり、平滑または花序の下がときにザラつく。根生葉は狭線形、幅約1㎜、扁平な3稜があり、基部の部分だけに樋がある。茎葉は±短く(最も上の葉は鞘より短い葉身をもつ)、長さ1.5~2.5㎝。苞は1~2個つき、暗緑色、鞘状、長さ約1.5㎝、直立又は斜め。花序は単純なイグサ形花序、小穂を2~4個もつ。小穂は倒卵形、花時に長さ6~10㎜。花序柄は長さが不等、長さ約2㎝、平らになり、ザラつき、黄色の綿毛があり、部分的に落ちる。苞穎は暗黒色~灰色、広卵形、長さ4.5~5㎜、多数の脈があり、竜骨があり、縁は透明、先は鈍形。刺針状花被片は10本又はそれ以上、帯白色、長さ1~1.5㎝。雄しべは3本。葯は長さ2~3㎜。花柱は細い。柱頭は3岐。小堅果は黄褐色、長円形、長さ約3㎜、扁平な3面がある。花期と果期は6~7月。2n = 60。

3-1 Eriophorum gracile W.D.J.Koch subsp. coreanum (Palla) Hulten サギスゲ 狭義

  synonym Eriophorum gracile W.D.J.Koch var. coreanum (Palla) Ohwi
  synonym Eriophorum coreanum Palla
 KewscienceではEriophorum gracileのsynonymとしている。

4 Eriophorum russeolum Fr. キツネスゲ 狐菅
  synonym Eriophorum russeolum Fr. var. majus Sommier
  synonym Eriophorum strigosum Miyabe et Kudo
 日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、ヨーロッパ北部、北アメリカ原産。中国名は红毛羊胡子草 hong mao yang hu zi cao。英名はgolden cottongrass, red cottongrass。
 根茎は這う。稈は直立、高さ30~60㎝、細く、円柱形。根生葉は線形、幅約1㎜、類円柱形、先は鈍形。茎葉は1~2個つき、葉身の無い葉鞘に退化する。葉鞘は灰黒色、帯赤色の細かな横の脈があり、円筒形、長さ6.5~7.5㎝、先部はわずかに膨れ、先は鈍形。苞は灰黒色、苞穎状、卵状披針形、3~9脈があり、先は尖鋭形。花序は頂生、小穂を1個だけもつ。小穂は頂円状円筒形、花時に長さ1.5~2.5㎝、倒卵形、かなり緩く、果時に長さ2.5~4㎝。苞穎は褐灰色、卵状披針形、長さ約7㎜、薄い膜質、1脈があり、縁は広く、帯白色、透明、先は鈍形。刺針状花被片は10本又はそれ以上、普通、淡赤褐色~帯赤色、長さ約3㎜。雄しべは3本。葯は線形、長さ2~3㎜。柱頭は3岐。小堅果は長円状倒卵形、長さ約2.5㎜、扁平な3面があり、縁は小刺があり、先に嘴がある。花期と果期は6~7月。2n=58, 60, 62。

5 Eriophorum scheuchzeri Hoppe エリオフォルム・スケウクゼリ [広義]

  synonym Eriophorum scheuchzeri var. scheuchzeri
 中国(新疆ウイグル自治区)、モンゴル、ロシア、カシミール、カザフスタン、キルギスタン、パキスタン、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は羊胡子草 yang hu zi cao。
 根茎は長く、細い。稈は単生、散生し、直立、高さ8~30[~70] ㎝、±丈夫、円柱形。根生葉は葉身が狭い線形、基部に溝がある。最も上の茎葉は狭い鞘をもち、上部でわずかに膨れ、ごく短い葉身をもつ。苞(総苞片)は苞穎状(鱗片状)、広卵形、苞穎より大きく、先は類鈍形~短い尖鋭形。花序は1個の頂生の小穂に減じる。小穂は花時に倒卵形~類球形、長さ0.8~1.2㎝、果時に扁平な球形、非常に密につき、長さ2~2.5㎝。苞穎は暗灰色~帯黒色、狭披針形、縁は普通、帯白色で狭く、先は長い尖鋭形。刺針状花被片は10本又はそれ以上、純白色、長さ約2㎝。雄しべは3本。葯は長さ0.5~1.5㎜。花柱は細い。柱頭は3岐。小堅果は長円形、約長さ2㎜×幅0.5㎜、先には錐形の嘴がある。花期と果期は6~7月。2n=58(Flora of China)。

5-1 Eriophorum scheuchzeri var. scheuchzeri エリオフォルム・スケウクゼリ 狭義

 中国、モンゴル、ロシア、カシミール、カザフスタン、キルギスタン、パキスタン、ヨーロッパ、北アメリカ原産。英名はScheuchzer's cottongrass , white cottongrass。標高0~3000mのツンドラ、湿った泥炭、湿地、泥炭土壌、川岸、湖や池の岸に生える。
 多年草。長く這う根茎から群生する。稈は単生または少数が集合し、長さ5~35(~70)㎝、通常は直径1㎜以下。基部の葉鞘は宿存し、褐色または帯赤色、明瞭な横隔壁がある(septate-nodulose)。 葉:葉身は溝がありまたは強く内巻きになり、長さ3~12㎝。上部の葉は通常、葉身がなく、先端が黒色の鞘である。花序:苞(総苞)は無い。小穂は単生し、直立し、果時に広倒卵形~ほぼ球形、長さ8~12(~40)㎜。鱗片は灰色~黒緑色。下部の空の鱗片は7個以下、卵形、長さ4~10㎜、中肋は先に達しない。上部の鱗片はより狭く、より漸尖し、縁は透明、幅1㎜以下。花:刺針状花被片は10本以上、鮮白色、ときに赤みを帯び、長さ15~30㎜、平滑。葯は長さ0.5~1.5㎜。痩果は狭長円形、長さ0.4~2.5㎜、先に錐形の嘴がある。2n= 58。果期は夏(Flora of North America)。

5-2 Eriophorum scheuchzeri Hoppe var. tenuifolium Ohwi エゾワタスゲ 蝦夷綿菅

 日本固有変種。北海道大雪山の湿原に生える。
 高さ10~30㎝。匐枝を出し株をつくらない。根出葉は円柱形で平滑、上面に溝がある。小穂は1個で頂生。

6 Eriophorum triste (Th.Fr.) Hadac & Á.Löve エリオフォルム・トリステ

  synonym Eriophorum angustifolium subsp. triste (T.C.E.Fr.) Hulten

 北半球の亜寒帯に分布。標高0~500mのツンドラ、雪床、牧草地に生える。シュムシュワタスゲ(Eriophorum angustifolium)の亜種として分類されることもある。
 稈は高さ30㎝程度まで。大きな苞は長さ1~3㎝。花序柄は長さ5~20㎜、通常は周囲がザラつく。鱗片は灰色~黒色、通常は縁が淡色。2n=60。果期は夏。

7 Eriophorum vaginatum L. ワタスゲ 綿菅 [広義]
 日本(北海道、本州の中部地方以北、四国)、朝鮮、中国(黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル)、モンゴル、ロシア、カザフスタン、南西アジア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は白毛羊胡子草 bai mao yang hu zi cao。英名はhare-tail cotton-grass , tussock cotton-grass。別名はスズメノケヤリ。亜高山~高山(中国では標高1700~1800m)の沼地、湿原、湿った場所に生える。
 根茎は短い。稈は叢生、高さ15~80㎝、鈍い3稜があり、平滑だが、ときに花序の下部がザラつき、褐色の葉鞘で基部を被われ、鞘は繊維状に崩壊する。根生葉は線形、稈より短い。葉身は幅約1㎜、3稜があり、ザラつき、先は細く、狭まり、先は鈍形~鋭形。茎葉は1~2個、しばしば葉身の無い黒色の鞘に退化し、長さ3~6㎝。先の1つは膨らみ、膜質、細かい横脈がある[日本産には横脈がない(参考6)]。苞は灰黒色、苞穎状、卵状披針形、膜質、先は尖鋭形。花序は頂生、ただ1個の小穂だけをもち、長さ1~3㎝、多数の花があり、基部に約10個の不稔の苞穎をもつ。小穂は直立、灰褐色、倒卵状球形、花時に長さ約1.5㎝、果時には類球形、長さ2.5~3.5㎝×幅2.5~3.5㎝。苞穎は卵状披針形~デルタ状披針形、薄い膜質、1脈があり、縁は灰色~暗灰色で縁が淡色の透明、先は尖鋭形。刺針状花被片は10本又はそれ以上、白色、長さ1.5~2.5㎝。雄しべは3本。葯は線形、長さ2~2.5㎜。柱頭は3個。小堅果は褐色、倒卵形、長さ2~2.2[~3]㎜×幅約1㎜、扁平な3面があり、微細な微突頭、平滑。花期と果期は6~9月。2n=26, 58, 60, 61, 83。
 北アメリカ産のものも同種とされている。
 植物は叢生し、草むらを形成する。稈は10~60cm。 基部の鞘は褐色。葉:稈当たり1~3個の葉身のない鞘があり、上部で広がり、幅1㎜以下。葉身は糸状、三角形、長さ1㎝以下。花序:苞(involucral bract)は無い。小穂(spikelets)は単生で、直立し、球状・ほぼ球状~卵状長円形、花時に長さ10~20㎜、果時に大きくなり50㎜まで。鱗片は鉛色~緑灰色、縁は白色透明、幅1㎜まで。空の鱗片は10個以上つき、卵状披針形。下部の鱗片は成熟すると後屈または開出し、長さ5~10㎜。花:刺針状花被片は10本以上つき、白色、まれに赤色や褐色を帯び、長さ10~18㎜、平滑。葯は長さ1~3㎜。痩果は卵形~倒卵形、長さ1.9~3.5㎜、先には微細な短突起がある。2n=58, 60。果期は夏。標高0~500mの沼地、牧草地、湿地、ツンドラ、湿った場所、泥炭土壌に生える。(FNA)
 Kewscienceでは下位分類を認めず、Eriophorum vaginatumのsynonymとしている。YListではアジア産のものをEriophorum vaginatum L. subsp. fauriei (E.G.Camus) A. et D.Loveとしている。

7-1 Eriophorum vaginatum L. subsp. fauriei (E.G.Camus) A. et D.Love ワタスゲ 狭義

  synonym Eriophorum vaginatum L. var. fauriei (E.G.Camus) Kitag.

  synonym Eriophorum fauriei E.G.Camus
 北海道から本州中部に分布。高層湿原に生える。
 ヨーロッパのワタスゲと日本のワタスゲは葉鞘が異なる。日本のものは縦脈だけで、ヨーロッパのものは横脈があり、網目状になる。
 ワタスゲでは稈上の鞘は上端の縁を除いて厚さ硬さが均一的であり、更に、鞘の上半部も下半部(即ち筒部)と同じく密に縦脈を有するのに反して、E. vaginatumでは鞘の上半部は下半部より明らかに質薄く、縦脈は数少く(為にその間隔は広い)。特に縦脈を結ぶ横の脈が著しく、脈は網目状となる。又葉片は東亜のものでは欧州のものよりずっと硬く、必ずかなり著しく糙渋(そうじゅう=ザラつく)する。欧州のものでは全くざらつかないか又は微に糙渋である。(参考6)

参考

1) Flora of China
 Eriophorum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=112065
2) GRIN
 Eriophorum
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxon/taxonomygenus?id=4405
3)Flora of North America
 Eriophorum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=112065
4)Plants of the World Online | Kewscience
 Eriophorum
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:327438-2
5)植物研究雑誌 第81巻 第2号 平成18年4月 98-102(2006)
 カヤツリグサ科植物7分類群の細胞学的研究
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/81/2/81_81_2_9885/_pdf/-char/ja
6)植物研究雑誌 第31巻 第2号 昭和31年2月 p56
 ワタスゲはEriophorum vaginatum L. ではない(小山鉄夫)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/31/2/31_31_2_3963/_pdf/-char/ja
7)Panarctic flora
 330506 Eriophorum komarovii V.N. Vassil.
http://panarcticflora.org/330506