ウワミズザクラ 上溝桜
Flora of Mikawa
バラ科 Rosaceae サクラ属 ウワミズザクラ亜属
別 名 | 波波迦(ハハカ)、金剛桜(コンゴウザクラ)、ナタヅカハハカ |
中国名 |
灰叶稠李 hui ye chou li |
学 名 | Prunus grayana Maxim. synonym Padus grayana (Maxim.) C.K. Schneid. |
花 期 | 4~5月 |
高 さ | 15~20m |
生活型 | 落葉高木 |
生育場所 | 日当たりのよい沢、谷間の斜面 |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州、中国 |
撮 影 | 稲武町 13.5.15 |
ウワミズザクラの分類
ウワミズザクラ類は最近の系統解析の研究により広義のサクラ属(genus Prunus) 中のウワミズザクラ亜属 (Subgenus Padus)に分類される。Kewscience(POWO) , Flora of America(FNA) , GRINはこれによる。
YListではサクラ連(tribe. Amygdaleae)をスモモ属(genus Prunus)、サクラ属(genus Cerasus )、ウワミズザクラ属(genus Padus)、バクチノキ属(genus)に分けている。
サクラ亜属を含む広義のサクラ属 genus Prunus
被子植物(Angiosperm)-真正双子葉類(Eudicots)-コア真正双子葉類(Core eudicots)-バラ上群(Superrosids)-バラ類(Rosid)-窒素固定クレード(nitrogen-fixing clade)-バラ目(Rosales)-バラ科(Rosaceae)-サクラ亜科 A(Amygdaloideae =スモモ亜科Prunoideae)-サクラ連 Amy(tribe Amygdaleae)-サクラ属(genus Prunus)低木または高木、ときにクローン性の茂みを形成し、直径0.1~4mになり、無毛または毛がある。茎は1~20+本。樹皮は帯赤色、赤褐色、灰褐色、または暗灰色。普通、長いシュートと短いシュートが存在し、刺は有または無。葉は落葉性または宿存性、茎葉。托葉は早落性、線形~披針形、縁は鋸歯状から裂片状、普通、腺がある。葉柄は有または無、普通、葉身近くに腺体がある。葉身は楕円形、長円形、ほぼ円形、卵形、披針形、線形、倒卵形、倒披針形、へら形、扇形または菱形、中肋に沿って折り畳まれることはめったになく、長さ0.5~18㎝、膜質~革質、縁は平ら、普通、全縁または歯があり、ときに波打ち、歯は普通、腺があり、ときに腺が無い。花序は短いシュートの上または前年の葉に腋生し、花が1~64(~90)[~100]個つき、総状花序、散房花序、散形状に束生し、花は2個束生または単生。苞はときに有り、小苞がある。小花柄は普通あるが、ときに欠く。花は普通、両性、ときに単性(その後、普通、雌雄異株、ときに雌雄混株(andropolygamous)、花は葉の展開前または展開と同時に咲き、直径4~40mm。花托筒は長さ1.5~8㎜、外面は無毛または有毛。萼片は5個、直立~後屈し、普通は三角形、半円形、卵形、または長円形、まれに卵状楕円形、披針形、または倒卵形。花弁は5個(観賞用の重弁花では~50+個)、通常は白色~ピンク色または暗ピンク色、ときに帯黄色、普通、ほぼ円形~楕円形または倒卵形、ときに長円形、まれに卵形、倒披針形、または菱形、基部には普通、爪部がある。雄しべは10~3本、普通は花弁と同長またはそれより短く、ときに長くなる。核果は1個、緑黄色~帯黄色、またはオレンジ色~明るい赤色~暗赤色、赤褐色、または暗紫色~黒色、球形~卵形~卵状長円形~楕円形、または倒卵形、長さ5~30(~80)㎜。花托筒は脱落性、まれに果時に宿存する。萼片は花托筒と一緒にで落ちる。中果皮は普通、肉質、ときに革質~乾燥し、まれに縫合糸に沿って裂け、核(石)が現れる。内果皮は球形~卵形または楕円形~紡錘形の核(石)を形成し、ときに側部が平らになる。種子は1個。x=8。(FNA)
世界に約340種あり、汎存種(cosmopolitan)。
広義のサクラ属 genus Prunusの下位分類 [Shi etc.(2013)]
ウワミズザクラ亜属(subgen. Padus)、サクラ亜属(subgen. Cerasus)、スモモ亜属(subgen. Prunus)の3亜属に分類される。Prunus subgen. Padus(ウワミズザクラ亜属)
花序は総状花序。単系統群では無い(参考10)。 Prunus mahalebとPrunus maackii(ウラボシザクラ)はsubgen. Cerasusに移動された。(1) Laurocerasus(旧バクチノキ亜属)英名はcherry laurels:タイプ種はセイヨウバクチノキ(Prunus laurocerasus)
ほとんどが常緑(他の亜属は落葉)
腋芽は単生。花期は早春。小花柄は短い。花は総状花序につき、葉のある新芽にはつかない。核果に溝がない。核は平滑。
Prunus amplifolia - Prunus brittoniana - Prunus caroliniana - Prunus ilicifolia(holyleaf cherry) - Prunus integrifolia - Prunus javanica - Prunus laurocerasus(セイヨウバクチノキ:cherry laurels) - Prunus lusitanica - Prunus myrtifolia - Prunus oblonga - Prunus occidentalis - Prunus oleifolia - Prunus phaeosticta(クロボシザクラ) - Prunus reflexa - Prunus spinulosa(リンボク) - Prunus tucumanensis - Prunus undulata - Prunus zippeliana(バクチノキ)
(2) Maddenia(旧マッデニア属)
冬芽は大きい長円形~卵形、数個の鱗片がある。花期は春~晩春。花序は総状花序。小花柄は短い。核果は長円形、平滑。核は骨質、卵形、3角(かど)があり、先は鋭形。
Prunus fujianensis - Prunus himalayana (Himalayan false bird cherry) – Prunus hypoleuca (false bird cherry) - Prunus hypoxantha(Sichuan false bird cherry) - Prunus incisoserrata)
(3) Padus(旧ウワミズザクラ亜属)英名はbird cherries:タイプ種はエゾノウワミズザクラ(Prunus padus)
腋芽は単生。花期は晩春。小花柄は短い。花は総状花序につき、葉の多い新芽につく。核果に溝がない。核は平滑。
Prunus brachypoda – Prunus brunnescens – Prunus buergeriana(イヌザクラ) – Prunus cornuta(Himalayan bird cherry) ‐ Prunus grayana(ウワミズザクラ) – Prunus gyirongensis(entire-leaved bird cherry) - prunus maackii(ウラボシザクラ amur chokecherry) - Prunus napaulensis(Nepalese bird cherry) - Padus nakatakei(モロツカウワミズザクラ) - Prunus obtusata(シマウワミズザクラ) - Prunus padus(エゾノウワミズザクラ bird cherries) – Prunus perulata – Prunus serotina(black cherry) – Prunus ssiori(シウリザクラ) – Prunus stellipila – Prunus velutina – Prunus virginiana(chokecherry) – Prunus wilsonii(Wilson's bird cherry) (4) Pygeum(旧ピジウム亜属)
常緑。花序は総状花序。
Prunus africana(African cherry) - Prunus arborea - Prunus ceylanica - Prunus costata - Prunus crassifolia - Prunus dolichobotrys - Prunus gazelle-peninsulae - Prunus grisea - Prunus lancilimba - Prunus malayana - Prunus marsupialis - Prunus oligantha - Prunus oocarpa - Prunus polystachya - Prunus pullei - Prunus schlechteri - Prunus turneriana - Prunus wallaceana
Prunus subgen. Cerasus(サクラ亜属)
英名はtrue cherries;タイプ種はスミミザクラ(Prunus cerasus)腋芽は単生。花期は早春。小花柄は長い。花は散房花序につき、葉のある新芽にはつかない。核果は溝がない。核は平滑。
Cerasus 亜属は真のサクランボ(true cherries)のみで構成されている。Microcerasus ユスラウメ節(dwarf cherries) はこの亜属に属さない。真のサクランボは、各葉腋に芽を1個だけ付けるが、Microcerasus(dwarf cherries) は、各葉腋に3個の芽を付ける (モモとアーモンドで観察される特性状態)。北アメリカのdwarf cherriesは、真のサクランボよりもプラムに似ていることが知られていた (Catling et al. 1999)。dwarf cherriesをプラム、アプリコット、さらにはモモと交配させる方が、真のサクランボと交配するよりも簡単である (Garley 1980; Kataoka et al. 1988)。dwarf cherriesは、果物の種類がプラムに似ています。dwarf cherriesを真のサクランボと一緒に系統配置することを支持する確固たる証拠はこれまでのところ見つかっていない。分子解析データは、P. mahaleb L. と P. maackii Rupr がCerasus 亜属の構成員であることをサポートしている。これらの2種は、散房花序が長いため、Padus 亜属のメンバーとして扱われた。 Prunus mahaleb は真のサクランボに似ていると報告されており (Krüssmann 1986)、亜属 Cerasus のほとんどの種と同様に2倍体であり (González Zapatero et al. 1988)、一方、調査された亜属 Padus の種はすべて4倍体である (Goldblatt and Johnson)。 1979–2012)。 P. maackii とサクランボの類似性は形態学によって裏付けられており (Li and Jiang 1998)、この種は Cerasus 亜属の種である Prunus maximo wiczii Rupr. と自然交雑種を形成できることが報告されている。亜属 Cerasus における種の相違は、重要ではないように思われる。これは、跳躍的種分化(quantum speciation)またはマーカーの低解像度が原因である可能性がある。種間交雑 (Ohta et al. 2007) は、この亜属の分類を複雑にしている。亜属はこの研究では十分に示されていなかったため、近い将来、亜属内の系統関係を解決するために、より広範な種のサンプリングとより多くの様々な遺伝子が使用されると期待される(参考11)。
Prunus subgen. Prunus(スモモ亜属) [Shi etc.(2013).]
(1) sect. Prunus(スモモ節)[旧スモモ亜属]: Old World plums:タイプ種はセイヨウスモモ( P. domestica)腋芽は単生。花期は早春。小花柄がある。花は葉のある新芽(シュート)にはつかない。核果は片側に溝がある。核は粗い。
約40種。
P. blireiana – P. bokhariensis – P. cerasifera(ベニバスモモ=ミロバランスモモ) – P. cocomilia – P. consociiflora – P. domestica(セイヨウスモモ) – P. fruticans – P. ramburii – P. salicina(スモモ) – P. simonii(サイモンスモモ) – P. spinosa(スピノサスモモ) – P. ursina – P. ussuriensis(マンシュウスモモ) – P. vachuschtii
(2) sect. Prunocerasus(アメリカンプラム節)[旧スモモ亜属]: New World plums
旧スモモ亜属の北アメリカ産種。
P. alleghaniensis – P. americana(アメリカスモモ) – P. angustifolia – P. geniculata – P. gracilis – P. hortulana – P. maritima – P. mexicana – P. munsoniana – P. murrayana – P. nigra – P. orthosepala – P. rivularis – P. subcordata – P. umbellata
(3) sect. Armeniaca(アンズ節)[旧スモモ亜属]英名はapricots:タイプ種はアンズ(P. armeniaca)11種
腋生の冬芽は単生。頂生の冬芽はない。小花柄は無いかまたは極短く、まれに長い。花は1~3個、葉のある新芽(シュート)にはつかない。核果は片側に溝がある。核は平滑、ザラつき、網目があり、または稀に穴がある。
P. armeniaca(アンズ apricot) – P. brigantina(Alpine apricot) – P. × dasycarpa(紫杏 zi xing) - P. mandshurica(マンシュウアンズ) – P. mume(ウメ) – P. sibirica(モウコアンズ)
(4) sect. Microcerasus(ユスラウメ節)旧オウトウ亜属: bush cherries 22種
サクラ亜属から移動された。
P. alaica – P. albicaulis – P. bifrons – P. brachypetala – P. chorossanica - P. dictyoneura – P. erythrocarpa – P. erzincanica – P. glandulosa(ニワザクラ) – P. griffithii – P. griffithii var. tianshanica - P. hippophaeoides – P. humilis(コニワザクラ) – P. incana – P. jacquemontii – P. japonica(ニワウメ) – P. microcarpa – P. pogonostyla(タカサゴニワウメ) – P. pojarkovii(unplaced name, イラン、トルクメニスタン原産) – P. prostrata – P. pseudoprostrata – P. susquehanae – P. tomentosa(ユスラウメ) – P. verrucosa – P. yazdiana
(5) sect. Amygdalus(アーモンド節): almonds 26種
P. amygdalus(ヘントウ=アーモンド) – P. arabica(Arabian wild almond) – P. argentea – P. brahuica – P. bucharica – P. carduchorum – P. cercocarpifolia – P. eburnea – P. elaeagrifolia – P. eremophila – P. erioclada – P. fenzliana – P. haussknechtii – P. kansuensis – P. korshinskyi – P. kotschyi – P. kuramica – P. lycioides – P. minutiflora – P. mongolica – P. sibirica – P. scoparia – P. spinosissima – P. trichamygdalus – P. turcomanica – P. webbii(syn. Amygdalus delipavlovii)
(6) sect. Persica(モモ節): peaches 6種
P. davidiana(サントウ=ノモモ) – P. kansuensis – P. mira – P. mongolica – P. persica(モモ) – P. tangutica
※Sect. AmygdalusとP. sect. PersicaはときにPrunus subg. Amygdalus (モモ亜属)とされ、境界が明確でなく、P. spinosissima (とげのあるアーモンド) ,P. kansuensisや P. × hybrida(syn. P. persicoides=P. amygdalus × P. persica.) は両節に属す。このためsect. Amygdalus & sect. Persicaとすることもある。
※(5&6) sect. Amygdalus(アーモンド節) & sect. Persica(モモ節)[旧モモ亜属 genus Amygdalus];タイプ種はアーモンド(P. amygdalus)
腋芽は3個(中央に栄養芽、側部に 2個の花芽)。花期は早春。小花柄は無またはほぼ無。花は葉のある新芽にはつかない。核果は片側に溝がある。核は深い溝がある。
P. amygdalus(アーモンド)、P. persica(モモ)、P. persica var. nectarina(ネクタリン)など
(7) sect. Emplectocladus(エムプレクトクラドゥス節): desert almonds
アメリカ大陸に分布し、6種が含まれる。sect. Amygdalusに密接に関係する。
P. cercocarpifolia – P. fasciculata(desert almond) – P. eremophila(Mojave Desert almond) – P. havardii(Havard's wild almond) – P. microphylla ( Mexican wild almond)– P. minutiflora(Texas wild almond)
以下はまだ、不確定の節。
(8) sect. Chamaeamygdalus(シャマエアマイグダルス節)
Prunus sect. Chamaeamygdalus Spach は、以前は Amygdalus-Persica クレードに含まれていたが、分子系統学的研究により、 Amygdalus-Persica クレードから除外されるべきであることが示された。この節における種の系統学的位置はまだ不明である。
P. tenella(Russian almond) – P. petunnikowii
(9) sect. Louiseania(ルイゼアニア節)
Prunus sect. Louiseania (Carrière) Yazbekにはアジアの2~3種が含まれる。flowering almondと呼ばれるが、アンズ節やユスラウメ節とより密接に関係する。
P. pedunculata - P. triloba(オヒョウモモ) - Prunus ulmifolia(本種がこの節に属するかどうか、分子研究では未確認)
(10) sect. Penarmeniaca(ペナルメニアカ節)[旧バクチノキ亜属の一部]:タイプ種: Prunus pumila (sand cherry)
北アメリカに分布する。ペナルメニアカ節はアメリカ大陸のプラムであり、P. texana(アメリカンプラム節) および旧世界種である P. tenella(sect. Chamaeamygdalus) の姉妹グループである。
腋芽は3個。花期は早春。小花柄は長い。花は散房花序につき、葉のある新芽にはつかない。核果に溝がない。核は平滑。
P. andersonii(desert peach) – P. fremontii(desert apricot) – P. pumila(dwarf cherry ,sand cherry)
広義のウワミズザクラ亜属
family Rosaceae - genus Prunus(サクラ属) - subgen. Padus(ウワミズザクラ亜属)ウワミズザクラ亜属(subgen. Padus)はサクラ属(Prunus)の亜属で、総状花序を持つことを特徴とする。Padusはもともと別属として分類されていたが、遺伝的および形態学的研究により、ウワミズザクラ亜属は多系統性であることが示され、サクラ属内のすべての総状花序の分類群に組み込むように提案され、狭義の旧ウワミズザクラ属(Padus)、旧マッデニア属(Maddenia)、(旧バクチノキ属(Laurocerasus)、および旧ピジウム属(Pygeum) が広義のウワミズザクラ亜属(subgen. Padus)に含められた。このため、この広義のウワミズザクラ亜属は単系統ではない。
狭義のウワミズザクラ亜属(旧ウワミズザクラ亜属)
高木又は低木、落葉性、多数分枝する。枝は刺が無い。冬芽は腋生、卵形、頂芽もある。托葉は膜質、早落性。葉は単葉、互生し、若いときに二つ折り。2個の蜜腺が普通、葉柄の先又は葉身の縁の基部につき、葉縁は普通、鋸歯縁、まれに全縁、花序は当年の小枝に頂生し、総状花序、多数の花をつけ、基部に花の芽鱗からなる早落性の総苞をもつ。花序柄は普通、葉腋につく。花托筒は鐘形~杯形。萼片5個。花弁5個、白色。雄しべは10本又はそれ以上、花托筒の縁につく。子房は上位、1室。胚珠は2個、並立、下垂。花柱は頂生、長い。柱頭は平ら。果実は核果、無毛、粉白色を帯びず、縦の溝は無い。中果皮は多肉、熟しても割れず、内果皮は骨状。基準種はエゾノウワミズザクラ Prunus padus (European bird cherry)。 世界に約20種があり、ほとんどが北半球に分布する。
旧ウワミズザクラ亜属の主な種と園芸品種
1 Prunus padus L. エゾノウワミズザクラ 蝦夷の上溝桜synonym Padus avium Mill. [FOC]
synonym Padus racemosa (Lam.) C.K.Schneid.
日本(北海道、青森県)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、西~中央アジア、ヨーロッパ、モロッコ原産。中国名は稠李 chou li。英名は bird cherry , Eurasian bird cherry。
落葉高木、高さ10~15m。枝は紫色~褐灰色、淡色の皮目がある。小枝は赤褐色。冬芽は無毛又は芽鱗に縁毛がある。托葉は線形、縁は腺のある鋸歯があり、先は尖鋭形。葉柄は長さ1~1.5㎝、先に2個の蜜腺をもつ。葉身は楕円形、長円形、又は長円状倒卵形、長さ4~10㎝×幅2~4.5(6)㎝、下面は淡緑色、上面は暗緑色、葉脈の凹みが近縁種より大きく、基部は(浅い心形~)円形~広楔形、縁は不規則な鋭い鋸歯又はときに重鋸歯、先は尾状、。総状花序は長さ7~10㎝、 花が[Flora of China:7~8]20~40個つき、基部に1~2個の葉をもつ。花は直径1~1.6㎝。花柄は長さ1~1.5(~2.4)㎝。花托筒は鐘形、外側は無毛。萼は杯形、萼片は三角状卵形、早落性、外側は無毛、縁に腺があり、先は鋭形~鈍形。花弁は白色、[長円形]円形~倒卵形、、基部に短い爪部があり、先は小凹形にならない。子房は無毛。雄しべは多数、花弁より短い。花柱は雄しべの長さの1/2。柱頭は円盤形。核果は赤褐色~黒色、卵状球形、直径8~10㎜、平滑。花期は4~6月。果期は[5]7~8[10]月。[Flora of China]
1-1 Prunus padus L. f. glauca (Nakai) Kitag ウラジロウワミズザクラ 裏白上溝桜
synonym Padus avium Mill. var. glauca (Nakai) N.I.Belozor.
1-2 Prunus padus L. var. pubescens Regel ケウワミズザクラ 毛上溝桜synonym Padus avium Mill. var. pubescens (Regel) T.C.Ku et B.M.Barthol.
synonym Prunus padus L. f. pubescens (Regel) Kitag.synonym Padus racemosa (Lam.) C.K.Schneid. var. pubescens (Regel) C.K.Schneid.
中国に分布。中国名は毛叶稠李 mao yi chou小枝、葉身の下面、葉柄、花序に密に褐色の絨毛がある。葉無きは4~6月。果期は6~10月。
2 Prunus brachypoda Batalin
synonym Padus brachypoda (Batalin) C.K.Schneid.
中国原産。中国名は短梗稠李 duan geng chou li。
3 Prunus brunnescens (T.T.Yu & T.C.Ku) J.R.He
synonym Padus brunnescens T.T.Yu & T.C.Ku
中国原産。中国名は褐毛稠李 he mao chou li。
4 Prunus buergeriana Miquel イヌザクラ 犬桜
synonym Padus buergeriana (Miq.) T.T.Yu et T.C.Ku
日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾、ブータン、シッキム原産。中国名は橉木 lin mu。英名はJapanese bird cherry , Buerger's bird cherry
高木、高さ 6~12(~25)m。枝は褐色。小枝は紫褐色、普通、無毛、淡色の皮目がある。冬芽は卵形~円錐形、普通、無毛。芽鱗は縁にまれに縁毛がある。托葉は線形、縁は腺のある鋸歯があり、先は尖鋭形。葉柄は長さ1~1.5㎝、普通、無毛。葉身は楕円形~長円状楕円形、まれに卵状楕円形、長さ4~10㎝×幅2.5~5㎝、両面とも無毛、下面は淡緑色、上面は暗緑色、基部は円形~広楔形、たまに楔形、縁は鋭い密着した鋸歯、先は尾状尖鋭形~短い尖鋭形。総状花序は長さ6~9㎝、普通、花が20~30個つき、基部に葉は無い。花序柄はほぼ無毛~まばらに軟毛がある。花は直径5~7㎜。小花柄は長さ約2㎜、果時に長さ3㎜以下、ほぼ無毛~まばらに軟毛がある。花托筒は鐘形、外側は無毛。萼片は三角状卵形、果時に宿存し、外側は無毛又はまばらに軟毛があり、縁は不規則な細鋸歯、先は鋭形。花弁は白色、広卵形、基部は楔形~短い爪部があり、先の縁に微細不整歯がある。雄しべは10本。子房は無毛。花柱は雄しべの長さの約1/2。柱頭は円盤形~半球形。核果は黒褐色、ほぼ球形~卵形、直径約5㎜、無毛。花期は4~5月。果期は5~10月。
5 Prunus cornuta (Wallich ex Royle) Steudel
synonym Padus cornuta (Wallich ex Royle) Carriere, Rev.
synonym Cerasus cornuta Wallich ex Royle中国、インド、ネパール、ブータン、シッキム、アフガニスタン原産。中国名は光萼稠李 guang e chou li 。英名はHimalayan bird cherry
6 Prunus grayana Maxim. ウワミズザクラ 上溝桜
synonym Padus grayana (Maxim.) C.K.Schneid.
synonym Prunus padus L. var. japonica Miq.
日本(北海道、本州、四国、九州)、中国原産。中国名は灰叶稠李 hui ye chou li 。英名はGray's bird cherry。
落葉高木。高さ15~20m。幹は暗紫褐色、横に長い皮目がある。新枝は赤褐色、古くなると暗褐色。葉は無毛、互生し、長さ8~11㎝の卵形~卵状長惰円形、先は尾状に尖り、縁には細かい鋸歯があり、鋸歯の先は芒状になる。葉柄は長さ約1㎝。蜜腺は葉身の基部にあり、小さい。花は葉が出た後に開花する。長さ8~15㎝のブラシ状の総状花序に多数の花をつける。花は白色、直径約6㎜。花弁は5個。雄しべは約30個、花弁より長く突き出る。三河では開花の期間が短く、1周間程度で、花弁が落ちてしまう。花期は4~5月。果実は長さ約8㎜の卵形の核果、8~9月に赤色~黒色に熟す。
7 Prunus gyirongensis Y.H.Tong & N.H.Xia
synonym Padus integrifolia T.T.Yu & T.C.Ku,
synonym Prunus tsuechinii Huan C.Wangチベット原産。英名はentire-leaved bird cherry。
8 Prunus himalayana J.Wen
synonym Maddenia himalaica Hook.f. & Thomson
synonym Maddenia himalaica var. glabrifolia H.Hara
synonym Prunus gongshanensis J.Wen
中国、ブータン、ネパール、シッキム原産。中国名は喜马拉雅臭樱 xi ma la ya chou ying。英名はHimalayan false bird cherry。
9 Prunus hypoleuca (Koehne) J.Wen
synonym Maddenia hypoleuca Koehne
中国原産。中国名は臭樱 chou ying。英名はfalse bird cherry。
10 Prunus hypoxantha (Koehne) J.Wen
synonym Maddenia hypoxantha Koehne
synonym Maddenia wilsonii Koehne
中国原産。中国名は四川臭樱 si chuan chou ying。英名はSichuan false bird cherry
11 Padus maackii (Rupr.) Kom. ウラボシザクラ 裏星桜
synonym Prunus maackii Ruprecht
朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は斑叶稠李 ban ye chou li。英名はManchurian cherry , Amur chokecherry。疎林の日当たりの良い斜面、林縁、松林内、渓流沿いに生える。
高木、高さ4~10m。枝は黒褐~黄褐色、無毛、淡色の皮目がある。小枝は帯赤色、若いときは毛がある。冬芽は卵形、無毛または縁毛のある鱗状。托葉は線形、縁には腺があり、先は尖鋭形。葉柄は長さ1~1.5㎝、軟毛があり、まれにほぼ無毛、先端またはときに葉身の基部に2個の蜜腺がある。葉身は楕円形、菱状卵形、またはまれに長円状倒卵形、長さ4~8㎝×幅2.8~5㎝、下面は淡緑色、紫褐色の腺があり、中脈上に毛がある。上面は暗緑色、葉脈上は有毛~ほぼ無毛、葉の基部は円形~広くさび形、縁は不規則で鋭い腺のある鋸歯があり、葉先は尾状尖鋭形~短い尖鋭形。総状花序は長さ5~7㎝、花が多数つき、基部には葉が無い。花序柄はまばらに毛がある。花は直径8~10㎜。小花柄は長さ4~6㎜、果時には7㎜までになり、まばらに毛があり、無毛になる。花托筒は鐘形、外側は有毛。萼片は三角形~卵形披針形、早落性、外側に毛があり、縁には不規則な腺のある鋸歯があり、先は長い尖鋭形。花弁は白色、長円状倒卵形、基部は楔形で、短い爪部があり、縁は先に微細不整歯がある。雄しべは25~30本。子房は無毛。花柱は雄しべよりわずかに短い。柱頭は円盤形。核果は紫色、ほぼ球形、直径5~7㎜、無毛。花期は4~5月。果期は6~10月
12 Padus nakatakei H.Ohba et Mas.Saito モロツカウワミズザクラ 諸塚上溝桜
日本固有種(宮崎県)。シマウワミズザクラに似ている。
葉の基部が心形にならず切形または円味を帯びたくさび形、葉縁の鋸歯が小さい。葉柄は長さ2~4㎝、葉柄の頂部近くに蜜腺がある。小花柄は長さ3~8㎜、軟毛がある。萼片は果肉質。花弁の長さは雄しべとほぼ同じかそれより短い。
13 Padus napaulensis (Ser.) C.K.Schneid.
synonym Prunus napaulensis (Ser.) Steud
synonym Padus glaucifolia Wall.
synonym Cerasus napaulensis Ser.
中国、インド、ブータン、ネパール、シッキム、ミャンマー原産。中国名は粗梗稠李 cu geng chou li。英名はNepalese bird cherry。
14 Prunus obtusata Koehne シマウワミズザクラ
synonym Padus obtusata (Koehne) T.T.Yu et T.C.Ku
中国、台湾原産。中国名は细齿稠李李 xi chi chou li。斜面、谷、川沿いの混交林に生える。
高木、高さ6~20m。枝は紫褐色~暗褐色、無毛で、まばらに皮目がある。小枝は若いときは赤褐色、軟毛があるかまたは無毛。冬芽は卵形、無毛。托葉は線形、縁は腺のある鋸歯縁、先は尖鋭形。葉柄は長さ1~2.2㎝、有毛または無毛、頂部には普通、両側に蜜腺がある。葉身は狭長円形、楕円形または倒卵形、長さ4.5~11㎝×2~幅4.5cm、両面とも無毛、下面は淡緑色、上面は暗緑色、基部はほぼ円形、広くさび形またはまれにほぼ心形、縁は小円鋸歯があり、先は鋭形、尖鋭形、またはまれに鈍形、中脈と二次脈が下面に突出する。総状花序は長さ10~15㎝、花が多数つき、基部に2枚の葉がある。花序柄には毛がある。花は直径8~10㎜。小花柄は長さ3~7㎜、軟毛がある。花托筒は鐘形、外側は有毛。萼片は三角状卵形、早落性、外側はほぼ無毛、縁には小円鋸歯があり、先は鋭形。花弁は白色、ほぼ円形~長円形、基部はくさび形で短い爪部があり、縁は先端がギザギザまたは波打つ。雄しべは多数。子房は無毛。花柱は雄しべよりわずかに短い。柱頭は円盤形。核果は黒色、卵状球形、直径6~8㎜、無毛。花期は5~6月。果期は7~9月
15 Prunus perulata Koehne
synonym Padus perulata (Koehne) T. T. Yu & T. C. Ku,
中国原産。中国名は宿鳞稠李 su lin chou li。16 Prunus serotina Ehrh. ブラックチェリー
synonym Padus serotina (Ehrh.) Borkh.
北アメリカ(USA、カナダ、メキシコ)、南アメリカ(グアテマラ)。英名はblack cherry , rum cherry , wild cherry , black cherry 。
低木または高木、吸枝(suckering)はなく、高さ40~400㎝、刺は無い。小枝には頂芽があり、無毛または有毛。葉は落葉性。葉柄は長さ2~23(~30)㎜、無毛またはまばらから密に毛があり、普通、上部または葉柄と葉身の接合部に腺があり、腺は1~6個。葉身は普通、狭楕円形、長円形、または倒卵形、ときに披針形、まれに卵形、長さ2~13.5㎝×幅1.1~6.5㎝、基部はくさび形~円形、縁は小円鋸歯状小鋸歯~鋸歯があり、歯は内曲または密着して鋭くまたは鈍く、先端に腺またはカルスがあり、葉先は普通、鋭形~尖鋭形、ときに、var. alabamensisでは鈍形~円形~凹形、側脈は片側に15~30本、下面は赤味を帯び、下面には普通、中肋の下部に密に毛があり、ときに無毛またはまばらに毛があり、上面は無毛。花序は総状花序、18~55(~90)個の花がつく。中心の花序軸は長さ(25~)35~160㎜、基部に葉がある。小花柄は長さ1~10㎜、無毛又は有毛。葉の展開後に開花する。花托筒(萼)は杯形、長さ1.5~3㎜m、外側は無毛。萼片は直立開出~後屈し、半円形、長さ0.5~1.5㎜、縁は普通、全縁、まれに腺のある歯があり、まれに縁毛があり、表面は無毛。花弁は白色、倒卵形~ほぼ円形、長さ2~4㎜。子房は無毛。核果は暗紫色~ほぼ黒色、球形、直径5~10[~25]mm、無毛、花托筒は宿存し、中果皮は肉質。核はほぼ球形、扁平ではない。3変種がある。
17 Prunus ssiori F.Schmidt シウリザクラ
synonym Padus ssiori (F.Schmidt) C.K.Schneid.
日本(北海道、本州の中部地方以北、隠岐諸島)、千島列島、ロシア原産。中国名は日本稠李。別名、ミヤマイヌザクラ、シオリザクラ。英名はHokkaido bird cherry。
落葉高木。高さ10~20m、太ものは幹の直径が60㎝に達する。樹皮は淡紫褐色~灰褐色、古くなると縦に裂け目が入り、不規則に裂けて落ち、独特な香気がある。若枝は紫褐色、無毛。葉は互生し、葉柄は長さ2~4㎝、無毛、先に2個の蜜腺がつく。葉身は長さ7~16㎝×幅3~7㎝、倒卵状長円形~長円形、先は尾状に尖り、基部は心形、側脈は11~14対、上面は深緑色、無毛、下面は淡緑色、脈腋に毛がある以外に毛はなく、縁には鋸歯があり、鋸歯の先端は芒状~刺状で腺がある。 花は葉の展開後に開花する。総状花序は新枝の先につき、長さ10~20㎝、多数の花をつける。花序枝の下部に3~5個の葉がつく。花は直径7~9㎜、淡黄白色。小花柄は長さ6~8㎜。花弁は5個、円形、長さ4~5㎜、平開する。花托筒(萼)は長さ約3㎜、杯形、咢筒は外側が無毛、内側の基部に軟毛がある。萼片は5裂個、縁には腺毛状の鋸歯がある。雄しべは多数つき、花弁より短いかほぼ同長。雌しべは1個、無毛、花弁と同長。柱頭は円盤形。核果は長さ7~10㎜×幅約8㎜、卵状球形、初め赤色、熟すと暗赤色~黒色になり、完熟しても苦味がある。花期は5~6月。 果期は7~8月。
18 Prunus stellipila Koehne
synonym Padus stellipila (Koehne) T. T. Yu & T. C. Ku
中国原産。中国名は星毛稠李 xing mao chou li19 Prunus velutina Batalin
synonym Padus velutina (Batalin) C. K. Schneider
中国原産。中国名は毡毛稠李 zhan mao chou li
20 Prunus virginiana L. チョークチェリー
synonym Padus virginiana (L.) M.Roem.
synonym Padus virginiana (L.) Mill.
北アメリカ原産。英名はbitter-berry , chokecherry , Virginia bird cherry , western chokecherry。
低木または高木、しばしば吸枝があり、高さ1~6(~10)m、刺はない。小枝の頂部に芽があり、無毛または毛がある。葉は落葉。葉柄は長さ4~22(~27)㎜、普通は無毛、ときに毛があり、上部に腺が2個あり、腺は円盤形。葉身は倒卵形~楕円形~卵形または倒披針形、長さ2.5~9(~11)㎝×幅1.2~5(~6.6)㎝、基部は楔形~円形またはほぼ心形、縁は小鋸歯~鋸歯があり、歯は上向きから広がり、普通、鋭く、腺は無く、ときに先端がカルスになり、不明瞭な腺があり、側脈は片側に6~13本あり、下面に隆起し、先は尖鋭形、鋭形または鈍形、下面は無毛または毛があり(特に中肋に沿ってあり)、上面は無毛。花序は花が18~64個つき、総状花序。中心の花序軸は長さ(1.8~)4~11(~13)㎝、基部に葉がある。小花柄は長さ2~8(~16)㎜、普通無毛、まれに毛がある。花は葉の展開後に開花する。花托筒(萼)は杯形、長さ1.5~ 3㎜、外側は無毛。萼片は直立~反り返り、半円形、長さ0.7~1.4㎜、縁は微細不整歯、普通、腺のある歯があり、ときにほとんど腺がなく、表面は無毛。花弁は白色、倒卵形~ほぼ円形、長さ2~5(~7)㎜。子房は無毛。核果は赤色、紫色、暗紫色または黒色、球形、長さ6~14㎜、無毛。花托筒は脱落性、核果の基部に円盤が残る。中果皮は肉質、核は半球形~楕円形で、扁平ではなく、平滑。2変種がある。
21 Prunus wilsonii (C.K.Schneid.) Koehne
synonym Padus wilsonii C.K.Schneid
synonym Padus napaulensis (Seringe) C. K. Schneider var. sericea (Batalin) C. K. Schneider
中国原産。中国名は绢毛稠李 juan mao chou li。英名はWilson's bird cherry。旧マッデニア属(Maddenia)
落葉高木または低木、雌雄混株。枝は刺がない。冬芽は大きく、長円形~卵形、数個の芽鱗がある。托葉は大きく、宿存性、縁には腺がある。葉は互生、単葉、葉身の縁には、先端が腺状の単鋸歯、重鋸歯、または切刻状の歯がある。花序は小枝の先につき、総状花序、多数の花がつく。苞は早落性。小花柄は短い。花托筒は鐘形。萼片と花弁は本質的に同一。花被片は10~12個つき、長さ3㎜以下。雄しべは20~40本、2輪になり、花托筒の縁に不規則につく。花は両性花。子房は上位、(1-または)2室、無毛。胚珠は各室あたり2個、平行、垂れ下がる。花柱は頂生、細く、雄しべの長さとほぼ同長。柱頭は円盤状。雌花は雄しべが仮雄しべに退化し、心皮は2個、子房は無毛、花柱は仮雄しべよりもはるかに短く、柱頭は頭状。果実は1種子または2種子の核果、長円形、±平ら。中果皮は薄く、肉質で、熟しても裂開しない。内果皮は骨質、卵形、3角(かど)があり、先は鋭形。世界に5種あり、中国、ヒマラヤに分布する。
旧マッデニア属の主な品種(Maddenia)
1 Prunus fujianensis (Y.T.Chang) J.Wensynonym Maddenia fujianensis Y. T. Chang
中国原産。中国名は福建假稠李 fu jian jia chou li。
2 Prunus himalayana J.Wen
synonym Maddenia himalaica J. D. Hooker & Thomson
中国、ブータン、ネパール、シッキム原産。中国名は喜马拉雅臭樱 xi ma la ya chou ying。英名はHimalayan false bird cherry
3 Prunus hypoleuca (Koehne) J.Wen
synonym Maddenia hypoleuca Koehne
中国原産。中国名は臭樱 chou ying。英名はmadden cherry。斜面のまばらな林内に生える。栽培されている[AGM]。 低木、高さ2~7m。枝は紫色、無毛、光沢がある。1年目の小枝は紫赤色または帯緑色で、軟毛があり、無毛になる。冬芽は紫色、卵形。芽鱗は長さ10mm×幅8㎜・以下、外側は無毛。托葉は披針形、長さ約1.5㎝、草質、縁は基部に腺鋸歯があり、先は全縁、先は長い尖鋭形。葉柄は長さ2~4㎜、若いときは無毛または先に毛がある。葉身は卵状長円形、長円形、または楕円形、長さ4~9(~15)㎝×幅2~4(~8)㎝、両面とも無毛、下面は粉白を帯び、上面は暗緑色、基部はほぼ心形、円形、またはまれに広楔形、縁は不規則な鋸歯または重鋸歯があり、先は尖鋭形~尾状、中脈と二次脈が明瞭、中脈の両側にある二次脈は14~18本。総状花序は長さ1.7~5㎝。花序柄は無毛。苞は三角状披針形、縁は基部に腺のある鋸歯があり、先は全縁、苞の先は尖鋭形。両性花は直径2~4㎜。小花柄は長さ2~4㎜、無毛だが果時に密に褐色の絨毛がある。花被片は長円形、長さ約3㎜、果時に宿存し、縁は全縁、先は鋭形。雄しべは30~35本。子房は無毛。花柱は細長く、雄しべよりも長く、果時に宿存する。柱頭は斜め。核果は紫黒色、卵形、直径約8㎜、先は鋭形。花期は4月。果期は6月。
4 Prunus hypoxantha (Koehne) J.Wen
synonym Maddenia hypoxantha Koehne
synonym Maddenia wilsonii Koehne 华西臭樱 hua xi chou ying
中国原産。中国名は四川臭樱 si chuan chou ying。英名はSichuan false bird cherry。5 Prunus incisoserrata (T.T.Yu & T.C.Ku) J.Wen
synonym Maddenia incisoserrata T. T. Yu & T. C. Ku
中国原産。中国名は锐齿臭樱 rui chi chou ying。旧バクチノキ亜属
高木又は地朴、常緑又はごく稀に落葉。枝は刺が無い。托葉は小さく、分離又はときに合着し、早落性。葉は単葉、互生、若いときに二つ折り、普通、葉柄又は葉身の下面の基部又は葉身の縁に沿って2個~稀に数個の腺体をもつ。葉身は縁が全縁又は鋸歯縁。花序は腋生、普通、総状花序、まれに密散花序(束生)、 ごく稀に円錐花序、普通、花が10個以上つく。苞は小さく、早落性、基部の苞は普通、不稔で先が3深列又は3歯をもつ。小苞はしばしば欠く。花は普通、両性、ときに雄性で子房が±縮小する。花托筒は杯形~鐘形。萼片は5個。花弁は5個、白色、萼片より長い。雄しべは10~50本、2輪につき、内側の雄しべは短い。子房は上位、1室、無毛又はときに軟毛がある。胚珠は2個、並立。花柱は頂生。柱頭は円盤形。果実は核果。中果皮は多肉質、熟しても割れない。内果皮は骨質又は木質、表面は平滑又はしわがある。世界に約80種あり、アジア、ヨーロッパ、ニューギニア、北アメリカ、南アメリカに分布する。
旧バクチノキ亜属の主な種と園芸品種
1 Prunus laurocerasus L. セイヨウバクチノキ 西洋博打の木synonym Laurocerasus officinalis M.Roem.
ロシア、アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、イラン、トルコ、ヨーロッパ(ブルガリア、セルビア)原産。英名はcherry-laurel , Common cherry laurel , English Laurel 。低木又は高木。ときに吸枝を出す(suckering)。高さ2~6(~10)m。刺は無い。小枝は頂芽をもち、無毛。葉は宿存。葉柄は長さ5~15㎜、無毛、腺は無い。葉身は楕円形~倒卵形、長さ6~18㎝×幅3~7㎝、基部は楔形~鈍形、縁は離れた細鋸歯縁又は全縁に近く、歯は鈍く、腺があり、葉先は急に短い尖鋭形、先端は尖り、表面は無毛、下面に腺があり、腺は1~数個、下部にあり、平ら、円形~楕円形。花序は花が26~32個つき、総状花序、中央の花序軸は長さ(35~)55~130㎜、基部に葉は無い。小花柄は長さ1~5㎜、無毛。花は葉の展開前に開花する。花托筒は円蓋形、長さ3~4㎜、外側は無毛。萼片は広がり、三角形、長さ0.7~1.2㎜、縁は普通、全縁、ときに脱落性の腺をもち、縁毛があり、面は無毛又は有毛。花弁は白色、倒卵形~広楕円形~類円形、長さ3~5㎜。子房は無毛。核果は濃紫赤色~ほぼ黒色、卵形~円錐状卵形、長さ13~17㎜、無毛。中果皮は肉質~革質。核は卵形、扁平でない。花期は3~5月。果期は8~11月。
品種) 'Albomaculata' , 'Anbri' (PBR) , 'Angustifolia' , 'Ani' (PBR) , 'Antonius' (PBR) , 'Arktis' (PBR) , 'Aureovariegata' , 'Badenweiler Ghost' , 'Barmstedt' , 'Baumgartner' , 'Benje Green' (PBR) , 'Bokralym' (PBR) , 'Bokramer' (PBR) , 'Bruantii' , 'Camelliifolia' , 'Cascade' , 'Castlewellan' (v) , 'Caucasica' , 'Cherry Brandy' , 'Chestnut Hill' , 'Colchica' , 'Dart's Good News' , Dart's Lowgreen , 'Darzalo' (PBR) , Etna = 'Anbri' (PBR) , 'Forest Green' , 'Gabi' (PBR) , 'Gajo' (PBR) , Genolia = 'Mariblon' (PBR) , 'Golden Splash' , 'Goldglanz' , Goris GoldR , 'Goris11' (PBR) , Green Carpet , 'Green Jade' , 'Green Marble' (v) , 'Green Star' , 'Green Survival' , 'Greenmantle' , 'Greentorch' (PBR) , 'Grpl18' (PBR) , 'Grpl19' (PBR) , 'Grunerteppich' , 'Hagar' (PBR) , 'Herbergii' , 'Hibani' (PBR) , 'Holstein' , 'Interlo' , 'Ivory' (PBR) , 'Jm34' (PBR) , 'Josa' (PBR) , 'Klari' , 'Kugreen' , 'Latifolia' , 'Leander' , Legend = 'Grpl19' (PBR) , Low 'n' Green = 'Interlo' , 'Macrophylla' , 'Magnoliifolia' , 'Majestic Jade' , 'Mano' , 'Marbled Cream' , 'Marbled Dragon' (v) , 'Marbled White' , 'Mari' , 'Mariblon' (PBR) , Mercurius = 'Bokramer' (PBR) , 'Miky' , 'Mischeana' , 'Mount Vernon' , 'Mt. Vernon' , 'Nana' , 'Novita' , Olympus = 'Bokralym' (PBR) , 'Otinii' , 'Otto Luyken' , 'Parkway' , 'Piranha' (PBR) , 'Piri' , 'Polster' , 'Prostrata' , 'Prudonti' , 'Prufon' , 'Prutondi' , 'Pruzab' , Renault Ace = 'Renlau' , 'Rentan' (PBR) , 'Reynvaanii' , 'Rotundifolia' , 'Rudolf Billeter' , 'Rufescens' , 'Schipka Holland' , 'Schipkaensis' , 'Schipkaensis Compacta' , 'Schipkaensis Macrophylla' , 'Serbica' , 'Taff's Golden Gleam' (v) , 'Troncais' (PBR) , 'Van Nes' , 'Variegata' , 'Variegata' ambig. (v) , 'Whitespot' , 'Zabeliana'
2 Prunus phaeosticta (Hance) Maxim. クロボシザクラ 黒星桜
synonym Laurocerasus phaeosticta (Hance) C.K.Schneid.
中国、台湾、インド、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は腺叶桂樱 xian ye gui ying。混交林、山地の谷間、山地の牧草地、小川沿い、小道沿いに生える。
低木または高木、高さ4~12m。小枝は暗紫褐色、若い時は±軟毛があり、経年により無毛で紫黒色になり、まばらに円形の皮目がある。冬芽は紫褐色、卵形、長さ2~4㎜、無毛、先は鋭形~鈍形。葉柄は長さ4~8㎜、無毛、蜜腺は無い。葉身は狭楕円形~長円形~長円状披針形、またはまれに倒卵状長円形、長さ6~12㎝×幅2~4㎝、草質~革質、両面とも無毛、下面に黒色の点が散在し、基部はくさび形、縁近くに2個の大きな平らな蜜腺があり、縁は全縁または不稔の小枝の上の葉では鋭鋸歯があり、先は長い尾状、中脈の両側に6~10本の二次脈があり、三次脈は下面にやや隆起し、上面でわずかに突出する。総状花序は側枝の基部の正常な葉の腋、または小枝の先の低出葉(cataphylls)の腋につき、単生し、長さ4~6㎝、花数は数個~10個以上。低出葉は小さく、早落性、先に三歯がある。花序軸はしばしば、無毛。苞は線形~披針形、長さ2~4㎜、早落性、無毛、縁には腺をもつ鋸歯がある。花は直径4~6㎜。小花柄は長さ3~6㎜、しばしば無毛。花托筒は杯形、長さ1.5~2.5㎜、外側は無毛。萼片は卵状三角形、長さ1~2㎜、外側は無毛、縁には縁毛または細かい鋸歯があり、先は鈍形。花弁は白色、ほぼ円形、長さ2~3.5㎜、無毛。雄しべは20~35本、長さ5~6㎜。子房は無毛。花柱は長さ5~6㎜。核果は紫黒色、ほぼ球形~横長の楕円形、直径8~10㎜、無毛。内果皮は薄く、平滑。花期は4~5月。果期は7~10月
3 Prunus spinulosa Siebold & Zucc. リンボク
synonym Laurocerasus spinulosa (Siebold et Zucc.) C.K.Schneid.
日本(本州の関東地方以西、四国、九州、沖縄)、中国原産。中国名は刺叶桂樱 ci ye gui ying 。別名は ヒイラギカシ、カタザクラ 。照葉樹林内などの湿気の多い場所に生える。
常緑高木又は小高木。高さ5~10m。樹皮は紫色を帯びた黒褐色、横に長い皮目があり、ヤマザクラに少し似ている。葉は互生し、長さ5~8㎝の狭長楕円形~狭倒卵形、無毛。葉先は尾状に尖り、基部はくさび形、表面には光沢がある。若木の葉には針状の鋸歯があり、ヒイラギに似ている。老木では葉が全縁、葉縁が強く波打ち、縁に半透明の縁取りがある。密腺は葉身の基部にあるが、不明瞭。葉柄は長さ8~10㎜。花は高い梢の葉腋の総状花序に多数つく。花は直径約5㎜、白色5弁花、多数の雄しべが突き出る。萼(花托筒)は長さ約1.5㎜の杯形。果実は長さ約1㎝の惰円形の核果で、紫褐色~黒紫色に熟す。花期は9~10月。
4 Prunus zippeliana Miq. バクチノキ 博打の木
synonym Laurocerasus zippeliana (Miq.) Browicz
synonym Prunus zippeliana Miq. f. infravelutina (Makino) Sugim.
synonym Laurocerasus macrophylla C.K.Schneid.日本(本州の関東南部以西、四国、九州、沖縄)、台湾、中国、ベトナム原産。中国名は大叶桂樱 da ye gui ying。別名はビランジュ。
和名は樹皮が次々と剥がれ落ち、博打に負けて身ぐるみ剥がれるたとえから。太平洋の沿海地に多く、千葉県鴨川市平塚の大山不動の参道群生地が自生の北限とされている。バクチノキは蘭方医のシンボルともいわれ、葉から作られる杏仁水(バクチ水)が咳止め薬として用いられた。幕末の頃、蘭方医が植えたものが西尾市内にあり、その近くの上永良神明社にも2本のバクチノキがある。上永良神明社の境内には国の天然記念物に指定された愛知県内最大のスダジイの古木もある。豊橋市嵩山町の蛇穴の近くには自生らしいバクチノキ数本が点在している。
常緑高木。高さ10~15m。 幹は灰褐色、平滑、樹皮が鱗片状に剥がれ、まだらになる。葉は互生し、長さ10~20㎝、幅4~7㎝の長楕円形、先は尖り、縁は裏側に反り返り、鋭鋸歯、鋸歯の先に腺がある。葉の基部は広楔形~円形。葉は無毛、葉裏は淡緑色。葉柄は長さ約1㎝、上部に密腺が2個つく。葉腋から長さ約3㎝の総状花序を出し、花を多数つける。花序の軸や小花柄には短毛がある。花は直径6~7㎜。花弁は白色、5個、長さ約2㎜。雄しべは30~50個、長く突き出る。萼(花托筒)は浅い杯型。果実は長さ約1.5㎝の歪んだ長楕円形。花期は9月。果期は5月。
旧ピジウム属 Pygeum
常緑高木または低木。枝は刺が無い。托葉は小さく、離生、早落葉性、まれに宿存する。葉は単葉、互生、葉柄がある。葉身は上面の基部近くに一対の平ら~窪んだ蜜腺があり、ときに、追加の蜜腺が縁の近くにあり、縁は全縁または非常にまれに、微細な鋸歯がある。総状花序は腋生、単生、または数個が束生し、分枝は無または有。苞は小さく、早落し、開花後はほとんど残らない。花は両性または子房の欠落により単性、ときに、雌雄混株の雌雄異株(polygamo-dioecious)。花托筒は倒円錐形、鐘形、または杯形(cyathiform)、結実時に脱落し、輪状の基部のみが残る。花被片は5~10(~14)個、小さい。萼片と花弁はよく似ているが、形や質感が異なる場合がありる。花弁は白色、萼片と同数、まれに欠き、普通は萼片の1.5~2倍の長さである。雄しべは10 ~30(~85)本、1輪~多数の輪につく。花糸は糸状。子房は上位、1室、無毛または毛がある。胚珠は2個、並生(collateral)、垂れ下がる。花柱は頂生。柱頭は頭状。果実は核果で、乾き、普通、横向きの長円形~楕円形、あいまいな2形、ときに、ほぼ球形~長円形で、長さが幅よりも明らかに長い。内果皮は軟骨質。世界に約40(18)種あり、熱帯アフリカ、南および東南アジア、北東オーストラリア、ニューギニア、太平洋諸島に分布する。
旧ピジウム属の主な種
1 Prunus africana (Hook.f.) Kalkman プルヌス・アフリカナsynonym Pygeum africanum Hook.f.
熱帯アフリカ原産。英名はred stinkwood , African cherry , African plum。木材や薬として用いられ、前立腺肥大症の治療のために樹皮の採取が行われている。
高木。樹皮は不規則な鱗片状になり、コルク質。末端の枝はまだら模様になる。葉を潰すと苦扁桃の香りがある。葉は単葉、葉柄は普通、ピンク色~赤褐色。葉身は楕円形、濃緑色、革質、上面は光沢があり、浅い鋸葉縁。花序は長さ約8㎝。花は非常に小さく、緑白色、芳香がある。果実は球形、直径約1㎝、暗紅色~黒紫色に熟し、しばしば2裂し、種子を1~2個もつ、果実は非常に苦いが、マウンテンゴリラは好んで食べる。
2 Prunus arborea (Blume) Kalkman プルヌス・アルボレア
synonym Pygeum arboreum (Blume) Blume
synonym Pygeum blumei Teijsm. & Binn.
synonym Pygeum parviflorum Teijsm. & Binn.
synonym Pygeum robustum (Koord. & Valet.) Koehne
synonym Pygeum stipulaceum King
synonym Pygeum sumatranum (Miq.) Miq.
インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ原産。
高木、高さ40m、dbh74㎝以下。托葉は長さ約5㎜、早落性。葉は非常に様々、互生し、単葉、羽状脈(penni-veined)があり、葉脈はかろうじて見えるものから非常に明瞭なものまであり、下面は無毛~密に毛があり、ときに、下面の葉柄のつく近くに蜜腺がある。 花は直径約8㎜、白色、黄色、帯ピンク色で、密集した総状花序につく。果実は直径約9㎜、緑赤黒色、2裂する核果。
2-1 Prunus arborea var. montana (Hook.f.) Kalkman ホザキカナメモチ
synonym Pygeum montanum Hook.f.
synonym Pygeum henryi Dunn 云南臀果木
synonym Pygeum laxiflorum Merrill ex H. L. Li 疏花臀果木 shu hua tun guo mu
synonym Pygeum topengii Merrill [Flora of China]臀果木 ホザキカナメモチ
synonym Pygeum wilsonii Koehne 西南臀果木 xi nan tun guo mu中国、アッサム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は臀果木 tun guo mu。林内、林縁、耕作放棄地、山谷、遊歩道沿い、渓流沿いに生える。
高木、高さ25m以下。樹皮は暗灰色~灰褐色。小枝は暗褐色、若いときは褐色の毛があり、無毛になり、円形の小さな皮目がある。冬芽は卵形、長さ2.5~5mm褐色の毛があり、先は鋭形。葉柄は長さ5~8㎜、褐色の毛がある。葉身は卵状楕円形、長さ6~12㎝×幅3~5.5㎝、革質、下面は褐色の伏した軟毛があり、中脈と二次脈に沿って毛が密にあるが、無毛になりまたは非常にまばらにしか軟毛がなく、基部近くに2個の黒色の蜜腺があり、上面は光沢があり、無毛、基部は広くさび形で非対称、縁は全縁、先は短く尖鋭形で、先端は鈍く、中脈の両側に5~8本の二次静脈があり、下面に隆起する。総状花序は単生または束状に数個つき、長さ4~7㎝、花が多数つく。花序軸、小花柄、苞、花托筒、および萼片に、密に褐色の毛がある。苞は小さく、卵状披針形~披針形、早落性。花は直径2~3mm。小花柄は長さ1~3mm。花托筒は倒円錐形、長さ2~2.5㎜。萼片は5~6個、三角状卵形、長さ1~2㎜、先は鋭形。花弁は萼片と同数、長円形、萼片よりわずかに長いか、または萼片と区別できず、外側に褐色の毛があり、先は±鈍形。子房は無毛。核果は暗褐色、腎形、長さ0.8~1㎝×幅1~1.6㎝、無毛、先が窪む。花期は6~9月。果期は冬。([Flora of China]臀果木)
3 Prunus marsupialis Kalkm. カキバイヌザクラ
synonym Pygeum glandulosum Merr.
synonym Pygeum pubescens Merr
フィリピン原産。中国名は蘭嶼野櫻花 。
小高木、高さ13m以下。葉は楕円形~長円形、またはやや卵形、長さ(6~)8~13(~16)㎝×幅3~6.5㎝、基部は円形~鋭形、先は鈍形~尖鋭形、草質、側脈は5~8対、網状脈~多少、横脈があり、普通、目立たず、若いときは両面に毛があり、ほぼ無毛になり、基部の腺体は普通、2個あり、窪み、上部がはっきりと膨らみ、まれに欠く。 托葉は線形、離生、しばしば宿存し、長さ4~12(~17)mm×幅0.5~3㎜、縁に腺がある。 雄しべは20~30(~40)本、花糸は長さ5㎜以下、無毛。葯は長さ0.3~0.4㎜。子房は密に毛がある。花柱は長さ4㎜以下、基部には毛がある。 果実は横長の楕円形、長さ6~13㎜x幅7.5~15㎜、外果皮にはまばらに毛があり、赤色を経て最終的に黒色になり、内果皮は無毛または内側に毛がある。種皮は無毛(Flora Malesiana)。
参考
1)Flora of ChinaPadus
Prunus
Prunus padus L.
Laurocerasus
A New Species of Padus (Rosaceae–Prunoideae) from Kyushu, Japan